説明

発光装置用の封止構造及び封止方法、発光装置並びに電子機器

【課題】発光装置における封止性能を向上させる。
【解決手段】発光装置用の封止構造は、素子基板(10)上における素子領域(110)とこれに隣接する突出領域(60)とをまとめて包囲するシール領域(55)に配置された第1のシール材(52)と、第1のシール材によって素子基板に対向する状態で素子基板に貼り合わせられており、素子基板と対向する側に、発光素子を収容するように掘り込まれた凹部(204)を有する封止基板(20)とを備える。更に、封止基板に開けられた貫通口(204)から素子基板及び封止基板間の間隙における突出領域内に充填された第2のシール材(54)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば有機EL(Electro-Luminescence)装置等の発光装置用の封止構造及び封止方法、並びに該封止構造を有する発光装置、更には該発光装置を備えた各種電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の発光装置の封止構造としては、例えば特許文献1又は2に開示の、所謂缶封止によるものがある。より具体的には、缶封止の構成は、片面に凹部が掘り込まれた封止基板を、複数の発光素子が素子領域に形成された素子基板に対して対向配置させ、素子基板及び封止基板間において、素子領域の周囲に位置するシール領域に形成されたシール材或いは接着剤によって、貼り合わせてなる。これにより、複数の発光素子は、封止基板の凹部の内壁とシール材とによって規定される空間内に封止される。
【0003】
尚、複数の発光素子が封止される空間内には、例えば窒素ガスが充填されたり、或いは特許文献1又は2に開示されているように、液体が充填されたりする。ここで、前者のように封止基板の凹部内の空間に気体を充填させる場合には、例えば、大気圧下で、封止基板と素子基板との貼り合わせが行われる。この貼り合わせは、封止基板において、素子基板と対向する側と反対側に対して圧力を加えて、シール材を押しつぶして圧着させることにより行われる。この際、発光素子が封止される空間内の内圧が大きくなることに起因して、封止性能が劣化するのを防止するために、例えば、この空間内の気体を逃がすための穴部が封止基板を貫通させて開孔され、設けられる。そして、素子基板と封止基板とを貼り合わせた後、別途、穴部より一回り大径のガラス板片等を蓋として、この表面における穴部の開口を塞ぐ。
【0004】
【特許文献1】特開平8−162270号公報
【特許文献2】特開平5−36475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したように穴部の開口に蓋をする際に、ガラス基板片等の蓋及び封止基板を貼り合せるシール材に対して、蓋を介して圧力を加えると、封止基板に対して局所的に圧力が加わることにより、封止基板が破損する等の不具合が生じる可能性がある。よって、蓋及び封止基板を貼り合せるシール材については、素子基板及び封止基板を貼り合せるシール材と同等の圧力を加えて、蓋を圧着させることが、現実的に不可能である。これにより、蓋及び封止基板を貼り合せるシール材では、封止基板の基板面に対して垂直方向の厚さが、素子基板及び封止基板を貼り合せるシール材と比較して厚くなる。従って、蓋及び封止基板を貼り合せるシール材では、外気と接する表面積が大きくなり、シール材の全体に亘って素子基板の基板面に対して垂直方向をなす断面の断面積が不要に大きくなる。その結果、外気から湿気等が多量に浸入し易くなり、発光装置における封止性能が劣化し、発光素子が劣化することにより、例えば素子領域における表示性能が劣化するという問題点が生じる。また、このような構成によれば、缶封止による封止構造の、素子基板に対して垂直方向の厚さが厚くなり、発光装置を薄型化するのが困難となる。
【0006】
更に、発光装置の製造時、複数の素子基板を含む同一のマザー基板上で、複数の発光装置を製造する場合には、発光装置毎に、蓋を貼り合せて穴部の開口を塞ぐ必要があるために、その手間が煩雑となり、発光装置の生産性が劣化するおそれがある。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑み成されたものであり、封止性能を向上させると共に、発光装置を薄型化し且つ発光装置の製造プロセスにおいて生産性を向上させることが可能な発光装置用の封止構造及び封止方法、並びに、該封止構造を有する発光装置、更には該発光装置を備えた各種電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の発光装置用の封止構造は上記課題を解決するために、素子基板と該素子基板上における素子領域に配置された発光素子とを備える発光装置を封止するための発光装置用の封止構造であって、前記素子基板上における前記素子領域と前記素子領域に隣接する隣接領域とをまとめて包囲するシール領域に配置された第1のシール材と、前記第1のシール材によって前記素子基板に対向する状態で前記素子基板に貼り合わせられており、前記素子基板と対向する側に、前記発光素子を収容するように掘り込まれた凹部を有する封止基板と、前記素子基板及び前記封止基板間の間隙における前記隣接領域の少なくとも一部内に充填された第2のシール材とを備える。
【0009】
本発明の発光装置用の封止構造によれば、例えばガラス基板等の基板と、その素子領域に配置された発光素子とを備える、例えば有機EL装置等の発光装置を次のように封止する。即ち、例えば粘性の高い接着剤等である、第1のシール材は、素子基板上における素子領域と隣接領域とをまとめて包囲するシール領域に配置される。このようなシール領域の平面形状は、例えば素子領域の平面形状が矩形或いは長方形であれば、これより一回り大きい矩形の額縁状或いは長方形の額縁状であってもよい。更に、矩形或いは長方形の一辺が隣接領域のところで外側に局所的に突出した略矩形の額縁状或いは略長方形の額縁状であってもよい。このように配置された第1のシール材によって、発光素子を収容するように掘り込まれた凹部を有する封止基板が、素子基板に対向する状態で素子基板に貼り合わせられている。ここで特に、封止基板には、隣接領域内に貫通口が開けられているか、又は、製造途中でこのような貫通口が開けられ、最終的に該貫通口が開けられた部分が切断、分断等により除去されている。
【0010】
このような貫通口から、素子基板及び封止基板間の間隙における隣接領域の少なくとも一部内には、例えば粘性の低い接着剤等である、第2のシール材が充填されている。又は、製造途中で貫通口から、素子基板及び封止基板間の間隙における隣接領域の少なくとも一部内に充填された第2のシール材のうち、貫通口が開けられた封止基板部分と共に除去されなかった部分において、例えば粘性の低い接着剤等である、第2のシール材が充填されている。いずれの場合にも、第2のシール材は、典型的には、製造時における熱硬化、紫外線硬化、乾燥硬化等を経て、硬化されている。従って、隣接領域においては、貫通口内の空間を第2のシール材によって塞ぐことができ、更に、素子基板及び封止基板間における第1のシール材が形成されていない貫通口付近の間隙についても、第2のシール材によって塞ぐことが可能となる。即ち、貫通口が残されているか否かに拘わらず、第2のシール材によって隣接領域を塞ぐことができる。
【0011】
その結果、発光装置において、素子基板上の素子領域に形成された発光素子を、封止基板が素子基板に貼り合わせられた状態で、缶封止によって、封止基板の凹部における内壁と、第1及び第2のシール材によって、素子基板上に規定される空間内に封止することが可能となる。
【0012】
ここで特に、第2のシール材における素子基板及び封止基板間に充填された部分は、素子基板の基板面に対して垂直方向の厚さを、第1のシール材と概ね同等として形成することができる。よって、第2のシール材における素子基板及び封止基板間に充填された部分では、素子基板の基板面に対して垂直方向をなす断面の断面積が不要に大きくなるのを防止することができる。従って、シール領域に対する外気からの湿気等の浸入の程度が、第1のシール材と、第2のシール材とで相互に極端に異なる、より詳細には、第2のシール材を介しての浸入の程度が著しく大きくなるのを防止することが可能となる。これにより、第2のシール材に係る封止性能が劣化するのを防止することができる。
【0013】
ここで、発光装置の製造時には、例えば、封止基板の凹部内に例えば窒素ガスを充填させ、大気圧下で封止基板及び素子基板を貼り合せる。封止基板には、素子基板上の素子領域に対応する位置に凹部が掘り込まれると共に、素子基板上の隣接領域に対応する位置に、貫通口が開けられる。そして、第1のシール材によって、対向配置を素子基板に圧着する際には、封止基板に開けられた貫通口は、素子基板上の素子領域を覆う凹部及び第1のシール材によって規定される空間内の気体の逃げ道として機能し、この空間内の内圧が大きくなるのを防止する。従って、このような内圧によって第1のシール材に対して圧力が十分に加わらないことによって、この第1のシール材の、素子基板の基板面に対して垂直方向の厚さ及び断面の断面積が大きくなり、封止性能が劣化するのを防止することが可能となる。その後、第2のシール材を、例えば滴下、注入等により素子基板及び封止基板間に充填する際には、封止基板に開けられた貫通口は、第2のシール材を充填する部分或いは充填する経路としても機能する。よって、最終的に貫通口が残されるか否かによらずに、素子基板及び封止基板間においてシール領域及び隣接領域が、第1及び第2のシール材によって連続的に塞がれることになる。貫通口を除去する場合であっても、素子基板及び封止基板間において、シール領域及び隣接領域が、第1及び第2のシール材によって連続的に塞がれる状態が維持されていれば、封止性能には特に影響は無い、或いは影響を少なくすることができる。加えて、このような貫通口を利用せずとも、素子基板及び封止基板間の隙間に、最終的に第1のシール材とは異なる第2のシール材を充填できるのであれば、第2のシール材の充填方法は任意である。
【0014】
従って、本発明の発光装置の封止構造によれば、封止性能を向上させることが可能となり、発光装置における発光素子を長寿命化させて、例えば、素子領域において高品質な画像表示を行うことが可能となる。
【0015】
また、発光装置の製造プロセスにおいて、上述したような貫通口を封止基板に形成する場合も、既に説明したようなガラス片等からなる蓋は不要であるため、缶封止による封止構造の、素子基板に対して垂直方向の厚さが大きくなるのを防止して、発光装置を薄型化することが可能となる。
【0016】
また、複数の発光装置を、複数の素子基板を含む一枚のマザー基板上で製造する場合に、個々の発光装置に対して、別々に蓋を設けることなく、缶封止を容易に行うことができる。よって、発光装置の製造プロセスにおける生産性を向上させることが可能となる。
【0017】
本発明の発光装置用の封止構造の一態様では、前記封止基板には、前記素子基板上で平面的に見て前記隣接領域内に貫通口が開けられており、前記第2のシール材は、前記貫通口から前記隣接領域の少なくとも一部内に充填されている。
【0018】
この態様によれば、隣接領域においては、貫通口内の空間を第2のシール材によって塞ぐことができ、更に、素子基板及び封止基板間における第1のシール材が形成されていない貫通口付近の間隙についても、第2のシール材によって塞ぐことが可能となる。特に貫通口があるので、発光装置の製造時に、第1のシール材によって、封止基板を素子基板に対して圧着させる際に、素子基板上に、凹部及び第1のシール材によって規定される空間内の内圧が大きくなるのを防止して、第1のシール材に係る封止性能が劣化するのを防止することが可能となる。更に、貫通口内に存在する第2のシール材によって、第2のシール材に係る封止性能を高めることも可能である。
【0019】
この貫通口が開けられた態様では、前記隣接領域は、前記シール領域の少なくとも一辺において前記素子領域から離れる側に突出する突出領域を含み、前記第1のシール材は、前記素子基板上で平面的に見て前記突出領域を側方から囲む突出部分を有し、前記貫通口は、前記突出領域内に開けられており、前記第2のシール材は、前記貫通口から前記突出領域内へ充填されていてもよい。
【0020】
このように構成すれば、貫通口付近における素子基板や封止基板の平面サイズを不必要に大きくすることを回避でき、しかも、第2のシール材を不必要に多く使用することも回避できる。
【0021】
尚、貫通口は、封止基板上で平面的に見て円形状や楕円形状、或いは多角形状に形成されてもよい。特に、円形状であれば、封止基板に対して例えばエッチング処理を施すことにより、容易に貫通口を開孔することが可能となる。
【0022】
また、このように第1のシール材が突出部分を有する場合には、前記突出部分は、前記素子基板上で平面的に見て前記貫通口の外周に沿って形成されているように構成してもよい。
【0023】
このように構成すれば、素子基板上において突出領域が大きくなるのを防止して、素子基板及び封止基板を、より小型化することが可能となる。その結果、発光装置を小型化することができる。
【0024】
本発明の発光装置用の封止構造の他の態様では、前記第1のシール材と、前記第2のシール材とは、異なる粘性の材料により形成されている。
【0025】
この態様によれば、第1のシール材により両基板が確実に貼り合わせられており、しかも、第2のシール材が隣接領域における両基板間に確実に充填されている状態が、比較的容易にして得られる。即ち、その製造時に第1及び第2のシール材を形成する際に、第1のシール材に対して、第2のシール材の硬化前の流動性を異ならせることで、このような良好な状態が得られる。
【0026】
より具体的には、第1のシール材を比較的粘性が低く、硬化前の流動性が大きい材料により形成すると、素子基板及び封止基板を圧着させる際に、素子基板及び封止基板間から、第1のシール材が封止基板の外側、更には素子基板の外側にまではみ出す恐れがある。よって、第1のシール材は、比較的粘性の高い材料により形成されるのが好ましい。
【0027】
他方、第2のシール材は、比較的粘性の低い材料により形成すれば、素子基板及び封止基板間に、毛細管現象を利用して容易に充填させることが可能となる。即ち、第2のシール材は、第1のシール材より粘性の低い材料であって、硬化前の流動性を比較的大きくすることができる材料により形成するのがよい。
【0028】
この、第1及び第2のシール材が異なる粘性の材料により形成される態様では、前記第2のシール材は、前記第1のシール材よりも粘性の低い材料により形成されているように構成してもよい。
【0029】
このように構成すれば、第2のシール材を、素子基板及び封止基板間に、毛細管現象を利用して容易に充填させることが可能となる。
【0030】
本発明の発光装置は上記課題を解決するために、上述した本発明の発光装置用の封止構造(但し、その各種態様も含む)と、前記素子基板と、前記発光素子とを備える。
【0031】
本発明の発光装置によれば、本発明の発光装置用の封止構造により発光素子が缶封止により封止されるため、例えば、素子領域において高品質な画像表示を行うと共に薄型化することが可能となる。更に、発光装置の製造プロセスにおける生産性を向上させることが可能となる。
【0032】
本発明の発光装置の一態様では、前記素子基板上における前記シール領域の周辺に位置する周辺領域に配置され、前記発光素子を駆動するための周辺回路部を更に備えており、前記周辺回路部の少なくとも一部は、前記素子基板上で平面的に見て前記隣接領域が位置する側において前記封止基板の一辺から露出するように配置されている。
【0033】
この態様によれば、発光装置の製造時、封止基板及び素子基板を貼り合せて、第2のシール材を形成した後、隣接領域が位置する側における封止基板の一辺において、封止基板を分断して、この一辺から周辺回路部の少なくとも一部を露出させる。この際、既に説明したように、素子基板及び封止基板間において、シール領域及び隣接領域が、第1及び第2のシール材によって連続的に塞がれる状態が維持されれば、第2のシール材の一部が封止基板の一部と共に分断されても、封止性能に特に影響は無く、発光素子の封止が損なわれるのを防止することができる。よって、隣接領域を大きくすることで、封止基板の分断に係るマージンをより大きく確保することが可能となる。
【0034】
この、周辺回路部を更に備える態様では、前記素子基板上における前記周辺回路部が配置された側の前記素子基板の一辺に沿って配列され、前記発光素子を駆動するための駆動信号が外部回路より供給される複数の外部回路接続端子を更に備えるように構成してもよい。
【0035】
このように構成すれば、素子基板及び封止基板を貼り合せて、第2のシール材を形成した後、封止基板を分断して、複数の外部回路接続端子を露出させる際に、隣接領域が位置する側において、封止基板の分断に係るマージンをより大きく確保することが可能となる。
【0036】
本発明の発光装置の他の態様では、前記発光素子は、有機EL素子として形成されている。
【0037】
この態様によれば、有機EL素子を長寿命化させることが可能となる。
【0038】
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の発光装置(但し、その各種態様も含む)を具備する。
【0039】
本発明の電子機器は、上述した本発明の発光装置を具備してなるので、例えば高品質な表示を行うと共に、薄型化し且つ生産性を向上させることが可能なテレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。更にはプリンタ、コピー、ファクシミリなどの画像形成装置における露光用ヘッド等に適用することができる。
【0040】
本発明の発光装置用の封止方法は上記課題を解決するために、素子基板と該素子基板上における素子領域に配置された発光素子とを備える発光装置を封止するための発光装置用の封止方法であって、前記素子基板上における前記素子領域と前記素子領域に隣接する隣接領域とをまとめて包囲するシール領域に第1のシール材を配置する工程と、前記第1のシール材によって、前記素子基板と対向する側に前記発光素子を収容するように掘り込まれた凹部を有すると共に前記素子基板上で平面的に見て前記隣接領域内に貫通口が開けられた封止基板を、前記素子基板に対向する状態で前記素子基板に貼り合わせる工程と、前記貫通口から前記素子基板及び前記封止基板間の間隙における前記隣接領域の少なくとも一部内に第2のシール材を充填する工程とを備える。
【0041】
本発明の発光装置用の封止方法では、上述した本発明の発光装置用の封止構造の場合と同様に、缶封止により発光素子を封止することが可能となり、封止性能を向上させると共に、発光装置を薄型化することができる。加えて、発光装置の製造プロセスにおける生産性を向上させることが可能となる。尚、第2のシール材を充填した後に、貫通口が開けられた封止基板を除去してもよいし、残してもよいのは、前述の通りである。
【0042】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下では、本発明の実施の形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態は、本発明に係る発光装置を、アクティブマトリクス駆動方式の有機EL装置に適用したものである。
【0044】
<1;有機EL装置の構成>
先ず、図1から図3を参照して、有機EL装置の全体構成について説明する。ここに、図1は、素子基板をその上に形成された各構成要素と共に封止基板の側から見た有機EL装置の平面図であり、図2は、図1のA−A’断面図である。また、図3は、有機EL装置の素子領域及び周辺領域における電気的な構成について示すブロック図である。尚、図1及び図2については夫々、各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材の縮尺を、部材毎及び各図毎に互いに異ならしめてある。
【0045】
図1及び図2において、有機EL装置において、素子基板10及び封止基板20が対向配置され、素子基板10及び封止基板20間において、素子領域110の周囲に位置するシール領域55に形成された第1のシール材52によって、相互に接着されている。尚、図1又は図2中、点線によって示される、図1で平面的に見て額縁状の領域が本来シールしたい領域である。
【0046】
素子基板10上において、第1のシール材52は、その一部が、シール領域55の少なくとも一辺において、該一辺から素子領域110の外側に突出されて形成された突出部分52aを有している。そして、突出部分52aによって、本発明に係る「隣接領域」或いはこれに含まれる「突出領域」の一例である、突出領域60が規定される。図1又は図2において、突出部分52aによって囲まれた領域が突出領域60である。
【0047】
また、素子基板10上において、素子領域110の周辺に位置する周辺領域のうち、シール領域55の外側に位置する領域には、素子基板10上で平面的に見て、突出領域60と重畳的に配置されたデータ線駆動回路150が設けられる。更に、突出領域60が配置されたシール領域55の一辺に対応する封止基板20の一辺より露出して、素子基板10の一辺に沿って複数の外部回路接続端子102が配列されている。一方、走査線駆動回路130は、シール領域55内において、突出領域60が配置されたシール領域55の一辺に隣接する2辺に沿って設けられている。
【0048】
尚、図1又は図2に示す、素子基板10上の周辺領域における構成は一例であって、適宜設計変更が可能である。例えば、走査線駆動回路130は、シール領域55の外側に配置されるようにしてもよいし、複数の外部回路接続端子102の一部が、同図中、封止基板20より露出する素子基板10の他辺側に配列されて設けられるようにしてもよい。
【0049】
そして、図2において、素子基板10上の素子領域110には、例えば電流プログラム方式、電圧プログラム方式、そのほか電圧比較方式やサブフレーム方式の各種方式に併せたトランジスタ等の能動素子を含む画素回路が画素毎に形成されると共に、この画素回路によって駆動される有機EL素子が作りこまれてなる積層構造700が形成される。尚、素子基板10や封止基板20等の各部材を適宜選択して、有機EL装置を、有機EL素子からの発光を素子基板10側から表示光として出射させるボトムエミッション型としてもよいし、これとは逆に、有機EL素子からの発光を封止基板20側から表示光として出射させるトップエミッション型としてもよい。
【0050】
他方、封止基板20側においては、素子基板10と対向する側に、素子基板20上で平面的に見て、シール領域55より内側に配置され、素子領域110を覆うように、凹部204が掘り込まれて設けられている。また、封止基板20において、平面的に見て、突出領域60に配置され、封止基板20を貫通して穴部202が開孔される。図1において、穴部202は、本発明に係る「貫通口」の一例であり、例えば平面的に見て円形状に形成されており、突出部分52aは、この穴部202の外周に沿って形成される。このように、穴部202を形成することで、例えば、有機EL装置の製造時、素子基板10に対して封止基板20を貼り合せる前の段階で、封止基板20に対して例えばウエットエッチング処理を施すことにより、容易に穴部202を開孔することが可能となる。また、突出部分52aは、穴部202の外周に沿うように形成されるほか、例えば、シール領域55の一辺に隣接する2辺から夫々、第1のシール材52の一部をシール領域55の外側にずらして、見かけ上シール領域55の一辺側を、その外側に向かって拡大させるようにして、形成されてもよい。しかしながら、このような構成では、突出領域60が大きくなることにより、素子基板10又は封止基板20が不要に大型化し、有機EL装置を小型化するのが困難になる恐れがある。よって、このような不具合を防止するために、突出部分52aは、穴部202の外周に沿うように形成するのが好ましい。
【0051】
そして、第2のシール材54が、穴部202内から素子基板20及び封止基板20間に充填されて形成される。ここで、突出領域60が配置されたシール領域55の一辺において、突出部分52aの先端部に交差するシール領域55の一部には、第1のシール材52が形成されていない状態にある。第2のシール材54において、素子基板10及び封止基板20間に充填された一部によって、第1のシール材52が形成されていないシール領域55の一部に対して開いた空間が塞がれる。これにより、素子基板10及び封止基板20間では、第1のシール材52が形成されていないシール領域55の一部は、第1のシール材52と連続的に第2のシール材54の一部によって塞がれる。
【0052】
その結果、有機EL装置では、素子基板10上の素子領域110に形成された有機EL素子を、封止基板20が素子基板10に貼り合わせられた状態で、缶封止によって、封止基板20の凹部204における内壁と、第1及び第2のシール材52及び54によって、素子基板10上に規定される空間内に封止することが可能となる。
【0053】
尚、第1又は第2のシール材52又は54は、素子基板10及び封止基板20の両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、或いはこれら紫外線硬化樹脂及び熱硬化樹脂を混合したものエポキシ系接着剤等からなり、製造プロセスにおいて素子基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱、乾燥等により硬化させられたものである。本実施形態では、第1のシール材52と第2のシール材54とは、硬化前の流動性が互いに異なるように、異なる粘性の材料により形成されるのが好ましい。
【0054】
次に、図3を参照して、有機EL装置の素子領域110及び周辺領域における、電気的な構成の一例について説明する。
【0055】
有機EL装置における素子領域110には、縦横に配線されたデータ線114及び走査線112が設けられており、それらの交点に対応して画素部70がマトリクス状に配列される。電源供給線117は、素子領域110において、各データ線114に対応させて形成されている。
【0056】
また、周辺領域には、図1又は図2を参照して説明した、データ線駆動回路150及び2種の走査線駆動回路130、更には図3中には図示しない複数の外部回路接続端子102を含む、周辺回路部170が形成されている。周辺回路部170において、図1から図3には図示しない外部回路より駆動信号の1種として、外部回路接続端子102を介して供給される同期信号160によって、2種の走査線駆動回路130の動作と、データ線駆動回路150の動作とは、相互に同期が図られる。また、電源供給線117には、外部回路接続端子102を介して外部回路から画素駆動用電源が供給される。そして、走査線駆動回路130は複数の走査線112に走査信号を順次供給する。また、データ線駆動回路150は、素子領域110に配線されたデータ線114に画像信号を供給する。
【0057】
ここで、画素部70には、有機EL素子72が設けられると共に、例えば夫々TFTを用いて構成されるスイッチング用トランジスタ76及び駆動用トランジスタ74、並びに保持容量78により画素回路が形成されている。
【0058】
スイッチング用トランジスタ76のゲート電極には走査線112が電気的に接続されており、スイッチング用トランジスタ76のソース電極にはデータ線114が電気的に接続され、スイッチング用トランジスタ76のドレイン電極には駆動用トランジスタ74のゲート電極が電気的に接続されている。また、駆動用トランジスタ74のソース電極には、電源供給線117が電気的に接続されており、駆動用トランジスタ74のドレイン電極には有機EL素子72が電気的に接続されている。
【0059】
有機EL装置の駆動時、走査線112を介して走査信号が供給されることにより、スイッチング用トランジスタ76がオン状態になる。スイッチング用トランジスタ76がオン状態となると、データ線114より画像信号が保持容量78に書き込まれる。この保持容量78に書き込まれた画像信号の電流に応じて、駆動用トランジスタ74の電気的な導通状態が決まる。そして、駆動用トランジスタ74のチャネルを介して電源供給線117より、保持容量78に書き込まれた画像信号に応じた電流が有機EL素子72に供給され、供給された電流に応じて有機EL素子72は発光する。これにより、素子領域110において、例えば画像表示が行われる。
【0060】
<2;有機EL装置の製造方法>
次に、図4から図11を参照して、本実施形態に係る有機EL装置の製造方法について説明する。図4、図6、及び図8は、有機EL装置が、マザー基板上で製造される際の製造プロセスの各工程における、図1に関する構成を順を追って示す工程図であって、図5、図7及び図9は、有機EL装置の構成を、図2の断面図に関して、順を追って示す工程図である。また、図10(a)及び図10(b)は、マザー基板を分断して有機EL装置を製造する際、各工程における図1に関する構成を順を追って示す工程図であって、図11(a)及び図11(b)は、マザー基板を分断して有機EL装置を製造する際、各工程における図2に関する構成を順を追って示す工程図である。
【0061】
本実施形態では、図4、図6、及び図8に示すように、その製造時、有機EL装置は、素子基板10を複数含むマザー基板M1上で製造される。即ち、マザー基板M1は、縦横マトリクス状に配列された素子基板10を含み、各々の素子基板10について、図1から図3を参照して説明したような各種の構成要素(走査線112やデータ線114等、或いは画素毎に画素回路及び有機EL素子72等、或いは周辺回路部170等々)が形成されることになるのである。
【0062】
以下においては、本実施形態において特徴的な素子基板10及び封止基板20の貼り合わせや、その後のマザー基板の分断等に係る主要な製造工程についてのみ、特に詳しく説明することとし、そのほか素子基板10上の積層構造700や周辺回路部170の形成、封止基板20側の穴部202の開孔等についての製造工程の説明に関しては省略する。
【0063】
まず、図4又は図5の工程では、マザー基板M1における各々の素子基板10上に、例えばディスペンサーにより、シール領域55に第1のシール材52aaを塗布する。この際特に、シール領域55の一部として突出領域60を規定するように、第1のシール材52aaの一部を突出部分52abとして塗布する。
【0064】
その後、図6又は図7の工程では、マザー基板M1に対して、複数の封止基板20を配列させてなる別のマザー基板M2を対向配置させて、一対の素子基板10及び封止基板20毎に貼り合せる。
【0065】
この際、一対の素子基板10及び封止基板20について、平面的に見て、凹部204がシール領域55より内側に配置され、凹部204によって素子領域110が覆われるように、封止基板20の凹部204が掘り込まれた側を素子基板10に対向配置させる。この状態で、封止基板20の穴部202は、平面的に見て、突出領域60に配置される。
【0066】
そして、封止基板20の凹部204内に例えば窒素ガスを充填させ、大気圧下で、素子基板10及び封止基板20を貼り合せる。この際、図7中の矢印により示すように、封止基板20において素子基板10と対向する側と反対側に対して圧力を加えて、第1のシール材52aa及びその突出部分52abを押し潰して硬化させて、圧着する。圧着の際、封止基板20に開孔された穴部202は、素子基板10上の素子領域110を覆う凹部204及び第1のシール材52aaによって規定される空間内の気体の逃げ道として機能し、この空間内の内圧が大きくなるのを防止する。従って、このような内圧によって第1のシール材52aaに対して圧力が十分に加わらないことによって、この第1のシール材52aaの、素子基板10の基板面に対して垂直方向の厚さ及び断面の断面積が大きくなり、封止性能が劣化するのを防止することが可能となる。
【0067】
ここで、本実施形態では、上述したように、第1のシール材52と第2のシール材54とは、異なる粘性の材料により形成されるのが好ましい。より具体的には、第2のシール材54は、第1のシール材52よりも粘性の低い材料により形成されるようにするのがよい。第1のシール材52を比較的粘性が低い材料により形成すると、硬化前の流動性が大きくなり、素子基板10及び封止基板20を圧着させる際に、素子基板10及び封止基板20間から、硬化前の第1のシール材52aaが封止基板20の外側、更には素子基板10の外側にまではみ出す恐れがある。よって、第1のシール材52は、比較的粘性の高い材料、例えば粘度が2万〜3万ポアズ程度のエポキシ系接着剤等の材料により形成されるのが好ましい。
【0068】
その後、図8又は図9の工程では、封止基板20の穴部202内に第2のシール材54を注入する。ここで、第2のシール材54は、第1のシール材52よりも粘性の低い材料、より具体的には、例えば粘度が20〜100ポアズ程度のエポキシ系接着剤等の材料により形成するのが好ましい。これにより、第2のシール材54の硬化前の流動性を比較的大きく確保することができる。よって、硬化前の第2のシール材54を、穴部202内に加えて、穴部202内から連続的に素子基板10及び封止基板20間に、例えば毛細管現象を利用して充填することが可能となる。この際、素子基板10及び封止基板20間から、素子基板10上において凹部204によって覆われる領域に、硬化前の第2のシール材54が浸入して、例えば素子領域110における表示性能に影響を与えて、信頼性が低下するのを防止するために、第2のシール材54の充填時間を調整するのがよい。そして、このように、第2のシール材54が、穴部202内から素子基板10及び封止基板20間に充填された状態で、第2のシール材54を硬化する。
【0069】
これにより、素子基板10及び封止基板20間において、シール領域55は、第1及び第2のシール材52及び54によって連続的に塞がれた状態となる。そして、第2のシール材54において、素子基板10及び封止基板20間に充填された部分は、素子基板10の基板面に対して垂直方向の厚さを、第1のシール材52と概ね同等として形成することができる。
【0070】
その後、図10(a)の工程では、マザー基板M1及びM2を、一対の素子基板10及び封止基板20毎に、ダイシング或いはスクライビングにより分断する。このように、分断された個々の有機EL装置では、素子基板10上の外部回路接続端子102は、図11(a)に示すように、封止基板20の下側に配置されて覆われた状態にある。
【0071】
その後、図10(b)の工程では、封止基板20のみに対して、更にダイシング或いはスクライビングを施して、封止基板20の一部を分断して、同図又は図11(b)に示すように、外部回路接続端子102を封止基板20の一辺より露出させる。
【0072】
ここで、図12又は図13には、本実施形態に係る有機EL装置の比較例の構成について示してある。図12は、比較例に係る有機EL装置の平面図であり、図13は、比較例について、図2に対応する断面部分の構成を示す断面図である。以下では、比較例の構成について、本実施形態と異なる点についてのみ詳細に説明する。
【0073】
図12又は図13において、素子基板10及び封止基板20は、素子基板10及び封止基板20間において、シール領域55に形成されたシール材52bによって、相互に接着されている。そして、封止基板20において、平面的に見て凹部204と重畳的に配置された穴部202が、封止基板20を貫通して開孔される。この穴部202に対しては、穴部202の外周に沿って形成された別のシール材56によって、蓋202aが接着されることにより、穴部202の開口が塞がれる。
【0074】
このような比較例の構成によれば、有機EL装置の製造時、蓋202aを接着する際に、蓋202aを封止基板20に貼り合せるシール材56に対して、蓋202aを介して圧力を加えると、封止基板20の表面において局所的に圧力が加わることにより、封止基板20が破損する等の不具合が生じる可能性がある。よって、このシール材56については、素子基板10及び封止基板20を貼り合せるシール材52bと同等の圧力を加えて、蓋202aを圧着させることが、現実的に不可能である。これにより、蓋202a及び封止基板20を貼り合せるシール材56の厚さd2は、素子基板10及び封止基板20を貼り合せるシール材52bの厚さd1と比較して、厚くなる。
【0075】
また、本実施形態と同様に、複数の素子基板10を含む同一のマザー基板上で、複数の有機EL装置を製造する場合には、有機EL装置毎に、蓋202aを貼り合せて穴部202の開口を塞ぐ必要があるために、その手間が煩雑となり、有機EL装置の生産性が劣化するおそれがある。
【0076】
これに対して、本実施形態では、上述したように、第2のシール材54において、素子基板10及び封止基板20間に充填された部分は、素子基板10の基板面に対して垂直方向の厚さを、第1のシール材52と概ね同等として形成することができる。よって、第2のシール材54において、素子基板10及び封止基板20間に充填された部分では、素子基板10の基板面に対して垂直方向をなす断面の断面積が不要に大きくなるのを防止することができる。従って、シール領域55に対する外気からの湿気等の浸入の程度が、第1のシール材52と、第2のシール材54とで極端に異なる、より詳細には、第2のシール材54を介しての浸入の程度が著しく大きくなるのを防止することが可能となる。これにより、第2のシール材54において封止性能が劣化するのを防止することができる。
【0077】
よって、本実施形態の有機EL装置では、封止性能を向上させることが可能となり、有機EL素子72を長寿命化させて、例えば、素子領域110において高品質な画像表示を行うことが可能となる。
【0078】
また、本実施形態の有機EL装置では、比較例における蓋202aは不要であるため、缶封止による封止構造の、素子基板10に対して垂直方向の厚さが大きくなるのを防止して、有機EL装置を薄型化することが可能となる。
【0079】
また、複数の有機EL装置を、同一のマザー基板上で製造する場合に、個々の有機EL装置に対して、別々に蓋202aを設けることなく、缶封止を容易に行うことができる。よって、有機EL装置の製造プロセスにおける生産性を向上させることが可能となる。
【0080】
加えて、図10(b)を参照して説明したように、封止基板20の一部を分断する際に、突出領域60において、突出部分52aの一部や穴部202と共に、穴部202内に形成された第2のシール材54材の一部が分断されたとしても、素子基板10及び封止基板20間において、シール領域55が、第1及び第2のシール材52及び54によって連続的に塞がれる状態が維持されれば、封止性能には特に影響は無い、或いは影響を少なく抑えることができる。よって、突出領域60が配置されている分、封止基板20の分断に係るマージンをより大きく確保することが可能となる。
【0081】
<3;電子機器>
次に、上述した有機EL装置が各種の電子機器に適用される場合について説明する。
【0082】
<3−1:モバイル型コンピュータ>
先ず、この有機EL装置を、モバイル型のパーソナルコンピュータに適用した例について説明する。図14は、このパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。図において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、有機EL装置を用いて構成された表示ユニット1206とを備えている。
【0083】
<3−2;携帯電話>
さらに、この有機EL装置を、携帯電話に適用した例について説明する。図15は、この携帯電話の構成を示す斜視図である。図において、携帯電話1300は、複数の操作ボタン1302とともに有機EL装置を備えるものである。
【0084】
この他にも、有機EL装置は、ノート型のパーソナルコンピュータ、PDA、テレビ、ビューファインダ、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、POS端末、タッチパネルなど、更には有機EL装置を露光用ヘッドとして用いたプリンタ、コピー、ファクシミリ等の画像形成装置などの装置等に適用することができる。
【0085】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う発光装置用の封止構造及び封止方法、該封止構造を有する発光装置、更には該発光装置を備えた各種電子機器もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】有機EL装置の平面図である。
【図2】図1のA−A’断面図である。
【図3】有機EL装置の電気的な構成について示すブロック図である。
【図4】有機EL装置が、マザー基板上で製造される際の製造プロセスの各工程における、図1に関する構成を順を追って示す工程図(その1)である。
【図5】有機EL装置の構成を、図2の断面図に関して、順を追って示す工程図(その1)である。
【図6】有機EL装置が、マザー基板上で製造される際の製造プロセスの各工程における、図1に関する構成を順を追って示す工程図(その2)である。
【図7】有機EL装置の構成を、図2の断面図に関して、順を追って示す工程図(その2)である。
【図8】有機EL装置が、マザー基板上で製造される際の製造プロセスの各工程における、図1に関する構成を順を追って示す工程図(その3)である。
【図9】有機EL装置の構成を、図2の断面図に関して、順を追って示す工程図(その3)である。
【図10】図10(a)及び図10(b)は、マザー基板を分断して有機EL装置を製造する際、各工程における図1に関する構成を順を追って示す工程図である。
【図11】図11(a)及び図11(b)は、マザー基板を分断して有機EL装置を製造する際、各工程における図2に関する構成を順を追って示す工程図である。
【図12】比較例に係る有機EL装置の平面図である。
【図13】比較例について、図2に対応する断面部分の構成を示す断面図である。
【図14】有機EL装置を適用した電子機器の一例たるパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
【図15】有機EL装置を適用した電子機器の一例たる携帯電話の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0087】
10…素子基板、20…封止基板、52…第1のシール材、52a…突出部分、54…第2のシール材、55…シール領域、60…突出領域、72…有機EL素子、110…素子領域、204…凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子基板と該素子基板上における素子領域に配置された発光素子とを備える発光装置を封止するための発光装置用の封止構造であって、
前記素子基板上における前記素子領域と前記素子領域に隣接する隣接領域とをまとめて包囲するシール領域に配置された第1のシール材と、
前記第1のシール材によって前記素子基板に対向する状態で前記素子基板に貼り合わせられており、前記素子基板と対向する側に、前記発光素子を収容するように掘り込まれた凹部を有する封止基板と、
前記素子基板及び前記封止基板間の間隙における前記前記隣接領域の少なくとも一部内に充填された第2のシール材と
を備えることを特徴とする発光装置用の封止構造。
【請求項2】
前記封止基板には、前記素子基板上で平面的に見て前記隣接領域内に貫通口が開けられており、
前記第2のシール材は、前記貫通口から前記隣接領域の少なくとも一部内に充填されている
ことを特徴とする請求項1に記載の発光装置用の封止構造。
【請求項3】
前記隣接領域は、前記シール領域の少なくとも一辺において前記素子領域から離れる側に突出する突出領域を含み、
前記第1のシール材は、前記素子基板上で平面的に見て前記突出領域を側方から囲む突出部分を有し、
前記貫通口は、前記突出領域内に開けられており、
前記第2のシール材は、前記貫通口から前記突出領域内へ充填されている
ことを特徴とする請求項2に記載の発光装置用の封止構造。
【請求項4】
前記突出部分は、前記素子基板上で平面的に見て前記貫通口の外周に沿って形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の発光装置用の封止構造。
【請求項5】
前記第1のシール材と、前記第2のシール材とは、異なる粘性の材料により形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の発光装置用の封止構造。
【請求項6】
前記第2のシール材は、前記第1のシール材よりも粘性の低い材料により形成されていることを特徴とする請求項5に記載の発光装置用の封止構造。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の発光装置用の封止構造と、
前記素子基板と、
前記発光素子と
を備えることを特徴とする発光装置。
【請求項8】
前記素子基板上における前記シール領域の周辺に位置する周辺領域に配置され、前記発光素子を駆動するための周辺回路部を更に備えており、
前記周辺回路部の少なくとも一部は、前記素子基板上で平面的に見て前記隣接領域が位置する側において前記封止基板の一辺から露出するように配置されている
ことを特徴とする請求項7に記載の発光装置。
【請求項9】
前記素子基板上における前記周辺回路部が配置された側の前記素子基板の一辺に沿って配列され、前記発光素子を駆動するための駆動信号が外部回路より供給される複数の外部回路接続端子を更に備えることを特徴とする請求項8に記載の発光装置。
【請求項10】
前記発光素子は、有機EL素子として形成されていることを特徴とする請求項7から9のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項11】
請求項7から10のいずれか一項に記載の発光装置を具備することを特徴とする電子機器。
【請求項12】
素子基板と該素子基板上における素子領域に配置された発光素子とを備える発光装置を封止するための発光装置用の封止方法であって、
前記素子基板上における前記素子領域と前記素子領域に隣接する隣接領域とをまとめて包囲するシール領域に第1のシール材を配置する工程と、
前記第1のシール材によって、前記素子基板と対向する側に前記発光素子を収容するように掘り込まれた凹部を有すると共に前記素子基板上で平面的に見て前記隣接領域内に貫通口が開けられた封止基板を、前記素子基板に対向する状態で前記素子基板に貼り合わせる工程と、
前記貫通口から、前記素子基板及び前記封止基板間の間隙における前記隣接領域の少なくとも一部内に第2のシール材を充填する工程と
を備えることを特徴とする発光装置用の封止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−250354(P2007−250354A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−72300(P2006−72300)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】