説明

発光装置

【課題】基板全面の反射率を高めることが可能な発光装置を提供する。
【解決手段】配線が形成された基板に発光素子がフリップチップ実装された発光装置であって、前記配線上に形成された絶縁層と、前記絶縁層上に形成され、前記配線間を覆うように配置された導電性光反射層と、前記配線と前記発光素子のp電極とを接続する第1接続部材と、前記配線と前記発光素子のn電極とを接続する第2接続部材と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子がフリップチップ実装された発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発光素子がフリップチップ実装された発光装置において、発光素子を実装する基板上に銀やアルミニウムなどの導体ペーストを設ける発明が提案された(特許文献1参照)。これによれば、基板の反射率を高めて、発光装置をより明るくすることができるとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−184425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の発光装置では、配線パターンと導体ペーストとが繋がって発光素子が短絡してしまわないよう、配線パターンと導体ペーストとの間に間隙を設ける必要があり、基板上に反射率が低い領域(間隙がある領域)が存在してしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、基板全面の反射率を高めることが可能な発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、上記課題は、次の手段により解決される。
【0007】
本発明は、配線が形成された基板に発光素子がフリップチップ実装された発光装置であって、前記配線上に形成された絶縁層と、前記絶縁層上に形成され、前記配線間を覆うように配置された導電性光反射層と、前記配線と前記発光素子のp電極とを接続する第1接続部材と、前記配線と前記発光素子のn電極とを接続する第2接続部材と、を備えることを特徴とする発光装置である。
【0008】
また、本発明は、前記導電性光反射層は、前記配線間と前記発光素子のp電極下の領域とを覆うように配置され、前記第1接続部材は、前記導電性光反射層と前記絶縁層とを貫通して前記配線に達することを特徴とする上記の発光装置である。
【0009】
また、本発明は、前記導電性光反射層は、前記配線間と前記発光素子のp電極下の領域とを覆うように配置された第1導電性光反射層と、前記発光素子のn電極下の領域を覆うように配置された第2導電性光反射層と、を有し、前記第1接続部材は、前記第1導電性光反射層と前記絶縁層とを貫通して前記配線に達し、前記第2接続部材は、前記第2導電性光反射層と前記絶縁層とを貫通して前記配線に達することを特徴とする上記の発光装置である。
【0010】
また、本発明は、前記絶縁層は、透光性の材料からなることを特徴とする上記の発光装置である。
【0011】
また、本発明は、前記配線は、表面に銀が設けられていることを特徴とする上記の発光装置である。
【0012】
また、本発明は、前記配線は、アルミニウムであることを特徴とする上記の発光装置である。
【0013】
また、本発明は、前記導電性光反射層は、銀又はアルミニウムであることを特徴とする上記の発光装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、基板全面の反射率を高めることが可能な発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係る発光装置の構成を示す図であり、図1(a)は本発明の第1実施形態に係る発光装置の平面図であり、図1(b)は本発明の第1実施形態に係る発光装置の断面図(X−X断面)である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る発光装置の構成を示す図であり、図2(a)は本発明の第2実施形態に係る発光装置の平面図であり、図2(b)は本発明の第2実施形態に係る発光装置の断面図(Y−Y断面)である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る発光装置の構成を示す図であり、図3(a)は本発明の第3実施形態に係る発光装置の平面図であり、図3(b)は本発明の第3実施形態に係る発光装置の断面図(Z−Z断面)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、添付した図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態について説明する。
【0017】
[本発明の第1実施形態に係る発光装置]
図1は、本発明の第1実施形態に係る発光装置の構成を示す図であり、図1(a)は本発明の第1実施形態に係る発光装置の平面図であり、図1(b)は本発明の第1実施形態に係る発光装置の断面図(X−X断面)である。
【0018】
図1(a)においては、導電性光反射層14と他の要素との位置関係を容易に理解できるように、発光装置を構成する各要素を透過的に示すとともに、導電性光反射層14についてはこれを実線で示し、他の要素についてはこれを破線で示している。
【0019】
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る発光装置1は、発光素子10と、配線12が形成された基板11と、絶縁層13と、導電性光反射層14と、第1接続部材15と、第2接続部材16と、金メッキ17と、封止材18と、を備えている。以下、順に説明する。
【0020】
(発光素子10)
発光素子10としては、p電極10aとn電極10bとが同一面側に形成されたLEDチップなどを用いる。発光素子10は、配線12が形成された基板11にフリップチップ実装される。
【0021】
(基板11)
基板11としては、樹脂やセラミック等を用いることができる。例えば、樹脂の場合は、FR−4、CEM−3等のリジット基板や、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド、液晶ポリマー、ナイロン等のフレキシブル基板を用いることができる。セラミックの場合は、窒化アルミニウム、アルミナ、ガラス等を用いることができる。
【0022】
基板11には、配線12が形成されている。配線12としては、絶縁層13が透光性の材料からなる場合は、基板11よりも反射率が高い金属(銀メッキされた銅やアルミニウムなど)を用いることが好ましい。なお、アルミニウムは、銀メッキをしなくても、LEDチップから放出された光に対する反射率が高いため、低コストで基板全面の反射率を高めるに当たり、特に好ましく用いることができる。
【0023】
(絶縁層13)
絶縁層13は、配線12上に形成される。絶縁層13としては、透光性の材料からなる透明樹脂などを用いることができる。なお、シリコーンや脂環式エポキシなどの樹脂を絶縁層13として用いれば、光劣化を防ぐことができる。また、絶縁層は、酸化チタン等の粉末を混合して、LEDチップからの光を反射させる機能を持たせてもよい。
【0024】
配線12上における絶縁層13の厚みは、3μm〜20μmとすることが好ましい。これにより、配線12との絶縁性を保ちつつ、第1接続部材15及び第2接続部材16と配線12との接続を行うことができる。なお、絶縁層13の厚みは配線間Aで部分的に厚くなるが、前述の厚み範囲は配線間A以外の厚みに関するものとする。
【0025】
なお、本発明の実施形態では、絶縁層13が配線12上の略全面に形成される形態について説明するが、絶縁層13は、導電性光反射層14と配線12とを短絡させないようにする位置に形成されていればよい。
【0026】
したがって、絶縁層13は、配線12上のうち導電性光反射層14が形成される領域に形成されればよく、例えば、本発明の第1実施形態のように導電性光反射層14が配線12上のうち配線間Aに隣接する領域にのみ形成される場合には、絶縁層13は、配線12上のうち配線間Aに隣接する領域にのみ形成されればよい。
【0027】
このようにした場合、絶縁層13は、「配線上」の一部に形成されることとなるため、「配線上」の略全面に形成される本発明の第1実施形態と同様、「配線上」に形成されることになる。
【0028】
なお、絶縁層13は、本発明の第1実施形態のように、「配線上」の上記領域に加えて、さらに、導電性光反射層14が形成されていない配線12上の領域や配線間Aに形成されてもよい。
【0029】
(導電性光反射層14)
導電性光反射層14は、絶縁層13上に形成され、配線間Aを覆うように配置される。すなわち、基板11上には、発光素子10のp電極10aに接続される配線と発光素子10のn電極10bに接続される配線とが存在するが、これらの配線間Aが、導電性光反射層14により覆われる。導電性光反射層14としては、基板11及び基板11上に形成された配線12よりも反射率が高い金属(銀やアルミニウムなど)を用いる。
【0030】
導電性光反射層14の厚みは、0.5μm〜2μmとすることが好ましい。これにより、高い反射率を保ちつつ、第1接続部材15及び第2接続部材16と配線12との接続を行うことができる。
【0031】
基板11上の配線間Aは、配線12(銀メッキされた銅やアルミニウムなど)が形成された領域よりも反射率が低くなる。しかしながら、本発明の第1実施形態に係る発光装置1によれば、導電性光反射層14により、配線間Aの全部又は一部が覆われるため、基板全面の反射率を高めることができる。
【0032】
また、本発明の第1実施形態に係る発光装置1によれば、絶縁層13が形成されているため、導電性光反射層14によって配線間Aの全部を覆っても(図1参照)、発光素子10を短絡させてしまうということがない。
【0033】
配線間Aの幅方向における導電性光反射層14の幅は、配線間Aの幅よりも大きいことが好ましい。例えば、導電性光反射層14の幅は、「配線間Aの幅+絶縁層13の厚み×2」以上とすることが好ましい。これにより、配線間Aを導電性光反射層14で充分に覆うことができ、配線間Aへの光の進行を防ぐことができる。
【0034】
(第1接続部材15)
第1接続部材15は、絶縁層13を貫通して配線12に達し、配線12と発光素子10のp電極10aとを接続する。第1接続部材15は、圧接接合や超音波接合などの接合方法により、絶縁層13を突き破って絶縁層13を貫通し、配線12に達し、配線12に接続される。
【0035】
(第2接続部材16)
第2接続部材16は、絶縁層13を貫通して配線12に達し、配線12と発光素子10のn電極10bとを接続する。第2接続部材16も、第1接続部材15の場合と同様に、圧接接合や超音波接合などの接合方法により、絶縁層13を突き破って絶縁層13を貫通し、配線12に達し、配線12に接続される。
【0036】
なお、超音波接合により接合すれば、第1接続部材15と配線12との接着強度及び第2接続部材16と配線12との接着強度が増す。
【0037】
第1接続部材15及び第2接続部材16は、金ワイヤを使ったワイヤバンプや、金、銅等の金属材料からなるめっきバンプ、を用いることができる。特に、合金処理等を用いた硬い材料が好ましい。第1接続部材15及び第2接続部材16は、例えば直径20μm以上100μm以下、高さ5μm以上50μm以下の略円柱形状あるいは略円錐形状が好ましい。
【0038】
(金メッキ17)
金メッキ17は、配線12上に形成される。金メッキ17は、配線12と外部電極(図示せず)との接続(ハンダ付けなど)を容易にする。
【0039】
(封止材18)
封止材18は、基板11にフリップチップ実装された発光素子10を封止する。封止材18としては、蛍光体粒子を含有する透明樹脂などを用いることができる。なお、シリコーンや脂環式エポキシなどの透明樹脂を封止材18として用いれば、光劣化を防ぐことができる。また、封止材18は導電性光反射層14を覆うことが好ましい。これにより、酸化や硫化を防止することができる。
【0040】
以上説明したように、本発明の第1実施形態に係る発光装置1によれば、基板11よりも反射率が高い金属を用いて配線12が構成され、導電性光反射層14により配線間Aが覆われるため、基板のほぼ全面が基板11よりも反射率の高い部材により覆われることとなる。したがって、本発明の第1実施形態に係る発光装置1によれば、基板全面の反射率を高めることが可能となる。
【0041】
[本発明の第2実施形態に係る発光装置]
図2は、本発明の第2実施形態に係る発光装置の構成を示す図であり、図2(a)は本発明の第2実施形態に係る発光装置の平面図であり、図2(b)は本発明の第2実施形態に係る発光装置の断面図(Y−Y断面)である。
【0042】
図2(a)においては、導電性光反射層19と他の要素との位置関係を容易に理解できるように、発光装置を構成する各要素を透過的に示すとともに、導電性光反射層19についてはこれを実線で示し、他の要素についてはこれを破線で示している。
【0043】
図2に示すように、本発明の第2実施形態に係る発光装置2は、導電性光反射層19が配線間Aと発光素子のp電極下の領域Bの全部又は一部とを覆うように配置され、第1接続部材15が導電性光反射層19と絶縁層13とを貫通して配線12に達している点で、本発明の第1実施形態に係る発光装置1と相違する。
【0044】
導電性光反射層19は封止材18の端まで延伸(延在)するように形成することができる。また、導電性光反射層19は、発光素子のn電極下の領域の一部も覆うように配置されてもよい。
【0045】
発光素子10は、p電極10a側に活性層(発光層)を有している。したがって、配線間Aのみならず発光素子のp電極下の領域Bの全部又は一部も覆うように導電性光反射層19を配置する本発明の第2実施形態によれば、本発明の第1実施形態よりも、発光素子10から基板11へ向けて放出された光を発光装置の光出射面側へより一層反射させることができ、発光装置をより一層明るくすることが可能となる。
【0046】
[本発明の第3実施形態に係る発光装置]
図3は、本発明の第3実施形態に係る発光装置を示す図であり、図3(a)は本発明の第3実施形態に係る発光装置の平面図であり、図3(b)は本発明の第3実施形態に係る発光装置の断面図(Z−Z断面)である。
【0047】
図3(a)においては、第1導電性光反射層20a及び第2導電性光反射層20bと他の要素との位置関係を容易に理解できるように、発光装置を構成する各要素を透過的に示すとともに、第1導電性光反射層20a及び第2導電性光反射層20bについてはこれを実線で示し、他の要素についてはこれを破線で示している。
【0048】
図3に示すように、本発明の第3実施形態に係る発光装置3は、導電性光反射層20が配線間Aと発光素子のp電極下の領域Bの全部又は一部とを覆うように配置される第1導電性光反射層20aと、発光素子のn電極下の領域Cの全部又は一部を覆うように配置される第2導電性光反射層20bとを有しており、第1接続部材15が第1導電性光反射層20aと絶縁層13とを貫通して配線12に達しており、第2接続部材16が第2導電性光反射層20bと絶縁層13とを貫通して配線12に達している点で、本発明の第1実施形態に係る発光装置1と相違する。
【0049】
第1導電性光反射層20a及び第2導電性光反射層20bは封止材18の端まで延伸(延在)するように形成することができる。また、第1導電性光反射層20aは、発光素子のn電極下の領域Cの一部も覆うように配置されてもよい。
【0050】
配線間Aと発光素子のp電極下の領域Bの全部又は一部のみならず、発光素子のn電極下の領域Cの全部又は一部も覆うように導電性光反射層20を配置する本発明の第3実施形態によれば、本発明の第1実施形態よりも、絶縁層13による光の吸収をより一層少なくすることができ、発光装置をより一層明るくすることが可能となる。
【実施例1】
【0051】
本発明の実施例1に係る発光装置は、本発明の第1実施形態に係る発光装置1の一例である。本発明の実施例1に係る発光装置では、配線12としてアルミニウムを用い、絶縁層13として厚み5μmの透明樹脂を用い、導電性光反射層14として厚み1μmの銀インクを用い、導電性光反射層14により配線間Aの全部を覆う。本発明の実施例1に係る発光装置を光出射面から見た場合、基板11のほぼ全面が、基板11よりも反射率の高い部材により覆われる。
【実施例2】
【0052】
本発明の実施例1に係る発光装置は、例えば、次のように作製することができる。
(1)まず、第1接続部材15と第2接続部材16よりも厚みが薄い透明樹脂を絶縁層13として配線12が形成された基板11にスピンコートで塗布する。
(2)透明樹脂が硬化した後、銀インクを導電性光反射層14としてインクジェット塗布する。
(3)銀インクが硬化した後、複数のLEDチップを発光素子10として所定の位置に配置し、圧接接合や超音波接合などにより、LEDチップの第1接続部材15、第2接続部材16で透明樹脂を突き破り、LEDチップの第1接続部材15、第2接続部材16を透明樹脂に貫通させて配線12に接続する。
(4)そして、封止材18で発光素子10を封止する。
【0053】
以上、本発明の実施形態及び実施例について説明したが、これらの説明は、本発明の一例に関するものであり、本発明は、これらの説明によって何ら限定されるものではない。
【符号の説明】
【0054】
1 発光装置
2 発光装置
3 発光装置
10 発光素子
10a p電極
10b n電極
11 基板
12 配線
13 絶縁層
14 導電性光反射層
15 第1接続部材
16 第2接続部材
17 金メッキ
18 封止材
19 導電性光反射層
20 導電性光反射層
20a 第1導電性光反射層
20b 第2導電性光反射層
A 配線間
B 発光素子のp電極下の領域
C 発光素子のn電極下の領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線が形成された基板に発光素子がフリップチップ実装された発光装置であって、
前記配線上に形成された絶縁層と、
前記絶縁層上に形成され、前記配線間を覆うように配置された導電性光反射層と、
前記配線と前記発光素子のp電極とを接続する第1接続部材と、
前記配線と前記発光素子のn電極とを接続する第2接続部材と、
を備えることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記導電性光反射層は、前記配線間と前記発光素子のp電極下の領域とを覆うように配置され、
前記第1接続部材は、前記導電性光反射層と前記絶縁層とを貫通して前記配線に達することを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記導電性光反射層は、前記配線間と前記発光素子のp電極下の領域とを覆うように配置された第1導電性光反射層と、前記発光素子のn電極下の領域を覆うように配置された第2導電性光反射層と、を有し、
前記第1接続部材は、前記第1導電性光反射層と前記絶縁層とを貫通して前記配線に達し、
前記第2接続部材は、前記第2導電性光反射層と前記絶縁層とを貫通して前記配線に達することを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記絶縁層は、透光性の材料からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記配線は、表面に銀が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記配線は、アルミニウムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記導電性光反射層は、銀又はアルミニウムであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の発光装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate