説明

発光装置

【課題】透光性の封止樹脂層や蛍光体含有層を平坦性及び制御性良く形成し、発光装置の色むらや個体間のばらつきの無い発光装置を提供する。
【解決手段】前面側に形成された凹部12及びハウジング11の前面11Aがなす縁部12Eに沿って当該縁部を取り囲むように形成された環状突起部22が設けられている。環状突起部は、縁部の一部において突起が形成されていない間隙を有する。透光性プレート24が環状突起部上に配され、封止樹脂17が凹部、環状突起部及び透光性プレートによって画定される空間内に充填されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関し、特に、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を樹脂により封止した発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、実装部材上に青色発光ダイオード(LED)などの発光素子をマウントし、その上に蛍光体材料を含む樹脂を塗布することによって白色光などの所望色の放出光を得る発光装置が知られている。また、発光素子を透光性樹脂で封止し、その上に蛍光体樹脂層を形成する、あるいは蛍光体シートを貼り付けることが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、実装部材の上に埋め込まれた発光素子上に複数の蛍光体を塗布する構造の半導体発光装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−031532号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したような発光装置では、発光素子からの放出光の強度と蛍光体からの放出光の強度との混合バランスによって色度が変化するが、封止樹脂層や蛍光体層を均一性良く形成することが困難であるという問題があった。従って、発光装置の発光面の中央部と端部又は周辺部とで発光色が異なる、また、発光装置間で色度のバラツキが生じるなどの問題があった。また、樹脂を平坦に封止することが困難であるという問題があった。
【0006】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、その目的は、透光性の封止樹脂層や蛍光体含有層を平坦性及び制御性良く形成し、発光装置の色むらや個体間のばらつきの無い発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発光装置は、前面側に凹部が形成され、前記凹部の底部に発光素子が搭載されたハウジングを有する発光装置であって、凹部の側面及びハウジングの前記前面がなす縁部に沿って当該縁部を取り囲むように形成されるとともに、少なくとも1の間隙を有する環状のハウジング突起部と、ハウジング突起部上に配された透光性の封止プレートと、凹部、ハウジング突起部及び封止プレートによって画定される空間内に充填された封止樹脂と、を有している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、従来の発光装置を模式的に示す断面図である。
【図2】図2は、第1の実施例の発光装置を模式的に示す図であり、図3(c)の線W−Wに沿った断面図である。
【図3】(a)、(b)、(c)は第1の実施例の発光装置の平面図である。
【図4】凹部の構成、ハウジング上面の環状突起部及び透光性プレート上面の環状突起部の配置構成等を説明するための模式的な断面図である。
【図5】(a)は第2の実施例の発光装置の断面図であり、(b)は図5(a)の第1の透光性プレートの上面を模式的に示す平面図である。
【図6】本発明の1の改変例である発光装置を模式的に示す断面図である。
【図7】本発明の他の改変例である発光装置における凹部、ハウジング上面の環状突起部及び透光性プレート上面の環状突起部の配置構成等を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の発光装置は、前面側に凹部が形成され、当該凹部の底部に発光素子が搭載されたハウジングを有する発光装置であって、当該凹部の側面及びハウジングの前面がなす縁部に沿って当該縁部を取り囲むように形成された環状突起部が設けられている。環状突起部は、縁部の一部において突起が形成されていない間隙を有する。透光性プレートが環状突起部上に配され、封止樹脂が凹部、環状突起部及び透光性プレートによって画定される空間内に充填され、発光素子を包埋している。
【0010】
封止樹脂は、透光性プレートを環状突起部上に載置する際に、環状突起部の間隙(突起非形成部)を通じて環状突起部の外側周囲に流れることにより、封止樹脂及び透光性プレート間に気泡、空隙等のボイドを生じることなく、透光性プレートに封止樹脂が密着した形態で封止樹脂を充填し得る。透光性プレート下面が平坦面であっても透光性プレートに封止樹脂が密着し得るので、均一な厚さで封止樹脂体を形成し得る。
【0011】
凹部は逆錐台形状を有し、例えば円錐台(切頭円錐)形状、長円錐台形状などの形状、あるいはコーン形状を有する。すなわち、凹部は、側面が稜線を有しない曲面であることが好ましい。
【0012】
以下においては、本発明の好適な実施例について説明するが、これらを適宜改変し、組合せてもよい。また、以下に説明する図において、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符を付して説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、従来の発光装置110の断面を模式的に示す断面図である。発光装置110においては、ハウジング111には、例えば円錐台(切頭円錐)形状の凹部112が設けられている。凹部112の底面上には発光素子114がマウントされ、凹部112の底部に設けられた電極(図示しない)に電気的に接続されている。
【0014】
凹部112に封止樹脂117を注入した場合、表面張力により樹脂表面は平坦面にはならない。図1に示すように、樹脂の表面張力により樹脂表面117Sが凹面(バスタブ状)となり、凹部112の側壁とハウジング111の表面との縁部119を樹脂117が這い上がり平坦にはならない。従って、封止樹脂117が蛍光体を含む場合、あるいは封止樹脂117上に蛍光体を含む層を形成する場合に、封止樹脂117及び封止樹脂117上の蛍光体層の厚さが均一とならず、光放出面における色度の不均一が生じる。また、製造上の狙いの色度に対する個体間のばらつきも大きくなり、製造歩留まりも大きく低下する原因となる。なお、封止樹脂117に透明樹脂を用い、その上に蛍光体シートを貼り合わせる方法もあるが、コスト増の原因となる、また、封止樹脂とは別材料のシートを貼り合わせることによる品質の安定性には難がある。
【0015】
図2は、本発明の第1の実施例による発光装置10を模式的に示す断面図であり、図3(a)、(b)、(c)は発光装置10の平面図である。なお、図2は、発光装置10の上面図である図3(c)の線W−Wに沿った断面図である。また、図面の見易さ及び理解の容易さのため、ハウジングにはハッチングを施さずに示している。
【0016】
発光装置10は、円柱形状のランプハウジング(以下、単にハウジングという。)11に発光素子(例えば、LED:発光ダイオード)14をマウントして構成されている。より詳細には、ハウジング11には、ハウジング11の第1の前面11Aからハウジング11の裏面11Rに向かって窪んだ円錐台(切頭円錐)形状の凹部(又は第1の凹部)12が形成され、ハウジング11の最前面である第2の前面11Bからハウジング11の裏面11Rに向かって窪んだ円柱形状の凹部(第2の凹部)13が形成されている。換言すれば、ハウジング11の前面11Bに円柱形状の凹部13が形成され、凹部13の平坦な底面に円錐台形状の凹部12が形成されている。そして、ハウジング11には、凹部13によって円柱形状の側壁部13Sが形成されている。また、円錐台形状の凹部12は、図2に示すように、光放射方向(図中、矢印)に向かって開口面が広がるように(すなわち逆錐台形状であるように)形成されている。第1の前面11A、第2の前面11Bは、ハウジング11の凹部12の外側に形成され、凹部12の底面と平行な面である。ハウジング11の第1の前面11Aおよび第2の前面11Bは、いずれも凹部12の底面と平行に形成され、第2の前面11Bは、第1の前面11Aよりも光出射面側に位置しており、第1の前面11Aと第2の前面11Bとで段差が形成されている。
【0017】
凹部12の底面(素子実装面)上には発光素子としての発光素子14がマウントされ、金(Au)などのボンディングワイヤ15によって凹部12の底部に設けられた電極(図示しない)に電気的に接続されている。
【0018】
なお、本明細書において、発光素子14を収容する凹部12が形成され、発光素子14からの光が放出される側の面をハウジング11等の前面といい、その反対側の面を裏面という。また、後述するプレート等については、光が放出される側の面を上面といい、その反対側、すなわち発光素子14側(凹部12の底部側)の面を下面という。
【0019】
ハウジング11の前面11A上には、円錐台形状の凹部12の側面(側壁面)及びハウジング11の前面11Aとの交線がなす縁部12Eに沿って縁部12Eを取り囲むように円環状の第1の環状突起部(ハウジング突起部ともいう)22が形成されている。なお、環状突起部22はハウジング11と一体として形成されている。すなわち、ハウジング11と同一材料であって、その表面は反射性である。すなわち、発光素子14の発する光、及び発光素子14の発する光により励起された蛍光体粒子が発する蛍光を反射する。なお、環状突起部22は、ハウジング11を形成後にハウジング11上に同一材料又は別材料で形成してもよい。環状突起部22は、一定の高さで形成されている。
【0020】
第1の環状突起部22上には、透光性材料からなる平行平板形状で円形の第1の透光性プレート(封止プレートともいう)24が配され、凹部12、第1の環状突起部22及び第1の透光性プレート24によって画定される空間内に透光性材料からなる封止樹脂17が充填されている。すなわち、発光素子14は封止樹脂17により包埋されている。そして、封止樹脂17の上面は、第1の環状突起部22に囲まれた領域において、第1の透光性プレート24の下面と接触することにより、平坦に形成されている。凹部12の内面、すなわち円錐形状の側壁及び底面は、発光素子14からの放出光の反射面を形成している。なお、後に詳述するように、封止樹脂17は環状突起部22の間隙(突起非形成部)22Dの外側まで延在している。
【0021】
また、第1の透光性プレート(封止プレート)24上には、ハウジング11上の第1の環状突起部(ハウジング突起部)22と同心円の第2の環状突起部(プレート突起部ともいう)26が設けられている。第2の環状突起部26は、環状突起部22と同心円で半径が第1の環状突起部22より大なる円環形状を有している。環状突起部26は、一定の高さで形成されている。環状突起部26は透光性プレート24と一体として形成されている。従って、環状突起部26は透光性である。透光性プレート24の環状突起部26上には、透光性材料からなる平行平板形状で円形の第2の透光性プレート(付加プレートともいう)30が配され、第1の透光性プレート24、環状突起部26及び第2の透光性プレート30によって画定される空間内に蛍光体粒子を含む蛍光体樹脂が充填され、蛍光体層28を構成している。すなわち、第1の透光性プレート24の環状突起部26は、透光性プレート30との間に蛍光体層28を挿入し、透光性プレート24と透光性プレート30との間との間隔を規定するためのスペーサ機能を有する。そして、蛍光体層28は、発光素子14からの光の一部を蛍光体で異なる波長の光(例えば、黄色光)に変換する波長変換層として機能する。なお、後に詳述するように、蛍光体層28は環状突起部26の間隙(突起非形成部)26Dの外側まで延在している。環状突起部26で囲まれた範囲内において、蛍光体層28の下面は、第1の透光性プレート24の上面と接触して平坦に形成され、蛍光体層28の上面は、第2の透光性プレート30の下面と接触して平坦に形成されているため、蛍光体層28は、一定の厚さで形成されている。
【0022】
図3(a)は、透光性プレート24から凹部12の方向を見た場合(図2のV1−V1)の模式的な平面図である。環状突起部22は円環形状を有し、その底部の内周側端部が円錐台形状の凹部12の縁部12Eに接し、円形の縁部12Eを取り囲むように形成されている。そして、環状突起部22はその一部において突起が形成されていない、すなわち突起が欠落し、ハウジング11の前面11Aが露出している少なくとも1の突起非形成部(以下、間隙ともいう)22Dが設けられている。環状突起部22の間隙22Dは、図3(a)に示すように、例えば4箇所で、環状突起部22のなす円環の中心に関して、例えば90度毎の角度位置に配されている。換言すれば、環状突起部22の間隙22Dは、凹部12のなす円錐台の中心軸(又は、円錐面12Sのなす円錐の頂点から当該円錐台の底面に下ろした垂線の延長線)に関して、例えば90度毎の角度位置に配されている。
【0023】
図3(b)は、透光性プレート30から凹部12の方向を見た場合(図2のV2−V2)の模式的な平面図である。環状突起部26は円環形状を有し、その一部において突起が形成されていない、すなわち突起が欠落し、透光性プレート24の表面(前面)が露出している少なくとも1の突起非形成部(以下、間隙ともいう)26Dが設けられている。環状突起部26の間隙26Dは、図3(b)に示すように、例えば4箇所で、環状突起部26のなす円環の中心に関して、例えば90度毎の角度位置に配されている。さらに、環状突起部26の間隙26Dは、当該円錐台の中心軸に関して、環状突起部22の間隙22Dとは異なる角度位置に配されている。換言すれば、環状突起部22及び環状突起部26のなす円環を環状突起部22又は環状突起部26が形成された面に平行な平面(例えば当該円錐台の底面)に投影したときに、間隙26D及び間隙22Dは、当該投影された円環の中心に関して、互いに異なる角度位置に配されている。
【0024】
図4は、凹部12の構成、ハウジング11上面の環状突起部22及び透光性プレート24上面に形成された環状突起部26の配置構成を説明するための模式的な断面図である。なお、理解及び説明の簡便さ、容易さのため、蛍光体層28及び透光性プレート30については示していない。
【0025】
図4において、凹部12の内側面(側壁)である円錐面12Sを延長した延長円錐面12Xを破線で示している。ハウジング11上面の環状突起部22は、凹部12の縁部12Eに接することなく、延長円錐面12Xの外側に配されていてもよい。また、透光性プレート24上面の環状突起部26は延長円錐面12Xの外側に配されている。環状突起部26は延長円錐面12Xの外側に、あるいは、その内周側端部が延長円錐面12Xに接するように配されていることが好ましい。
【0026】
図3(c)は、透光性プレート30の表面(前面)から凹部12の方向を見た場合(図2のV3−V3)の模式的な平面図である。透光性プレート30は、円柱形状の凹部13内に、その上面(前面)が例えばハウジング11の前面11Bと同一面内であるように配されている(図2)。発光素子14からの放出光及び蛍光体層28からの放出光は透光性プレート30の上面(光取り出し面)を経て外部(図2、光放射方向)に放射される。
【0027】
[発光装置の形成方法]
図2、図3(a)−(c)を参照して、発光装置10の形成方法について説明する。まず、凹部12の底部に発光素子14をマウントし、ワイヤボンディングする。その後、凹部12内に封止樹脂17を充填し(1次封止)、その上から透光性プレート24によってプレス(押圧)する。封止樹脂17の充填の際、押圧工程後に環状突起部22で囲まれた範囲内に樹脂が充填される量を注入し、環状突起部22を超える高さまで盛り上がるように充填する。透光性プレート24による押圧の際、封止樹脂17の樹脂はその一部が環状突起部22の間隙22Dを通じて環状突起部22の外側周囲に流出する(図3(a)、破線及びハッチングで示す領域17A)。すなわち、凹部12、第1の環状突起部22及び第1の透光性プレート24によって画定される空間を充填するに要する量を超える余剰分が間隙22Dを通じて流出する。これにより、封止樹脂17及び透光性プレート24間に気泡、空隙等のボイドを生じることなく、透光性プレート24に封止樹脂が密着した形態で封止樹脂17を充填し得る。透光性プレート24の下面(封止樹脂17との接触面)が平坦面であって、透光性プレート24に封止樹脂が密着し得るので、透光性プレート24の下面形状と一致した平坦な封止樹脂体を形成し得る。
【0028】
次に、透光性プレート24上に蛍光体を含む蛍光体樹脂をポッティングし、その上から透光性プレート30によって押圧する。蛍光体樹脂28を供給する際、押圧工程後に環状突起部26で囲まれた範囲内に樹脂が充填される量を注入し、環状突起部26を超える高さまで盛り上がるように供給する。透光性プレート30による押圧の際、蛍光体樹脂はその一部(余剰分)が環状突起部26の間隙26Dを通じて環状突起部26の外側周囲に流出することにより(図3(b)、破線及びハッチングで示す領域28A)、蛍光体樹脂及び透光性プレート30間に気泡、空隙等のボイドを生じることなく、透光性プレート30に封止樹脂が密着した形態で蛍光体樹脂を充填することができ、透光性プレート30に密着した、厚さが均一な蛍光体樹脂層28を形成し得る。その後、熱や紫外線などにより封止樹脂17及び蛍光体樹脂の硬化処理を行い、発光装置10が形成される。
【0029】
[発光装置の具体的構成例]
発光装置10の具体的構成例について、図2−4を参照しつつ以下に説明する。円柱形状のハウジング11は、アルミニウム、エンジニアリングプラスチック、銅合金などからなり、本実施例では、高さが10mm、外径が50mm(50mmφ)である。円柱形状の凹部13の内径は、10mm(10mmφ)である。発光素子14は、例えばInGaN系の青色発光ダイオード(LED)であり、厚さは100μm、大きさは1mm×1mmの矩形である。
【0030】
凹部12は、図4を参照すると、底面(素子実装面)が直径D1=10mm(10mmφ)、ハウジングの前面11Aにおける開口径(縁部12Eの径)が直径D2=15mm(15mmφ)、深さDT=4mmの円錐台形状である。また、凹部12の内側面である円錐面12Sが凹部12の底面12Bとなす角をθとすると、θ=93°である。なお、θは、発光装置10の設計に応じて適宜変更すればよいが、θ>90°である。すなわち、凹部12はその底面からハウジング前面の開口面(錐台の底面)に向かって、すなわち光放射方向に向かってその断面積が大きくなる逆錐台形状を有している。
【0031】
環状突起部22の高さは1mm、底面の幅は1mm、間隙22Dの長さ(円周方向)は1mmである。前述のように、環状突起部22はその底部の内周側端部が、縁部12Eに接するように配されている。なお、本実施例において、環状突起部22の内径は13mmであり、外径は14mmである。
【0032】
透光性プレート24は、例えばシリコン系、アクリル、ポリカーボネートなどの樹脂で形成され、例えば厚さは1mmである。透光性プレート24の環状突起部26は、高さは1mm、底面の幅は1mm、間隙26Dの長さ(円周方向)は1mmである。環状突起部26は延長円錐面12Xの外側、あるいはその内周側端部が延長円錐面12Xに接するように配されている。さらに、前述のように、環状突起部26の間隙26Dは、当該円錐台の中心軸に関して、環状突起部22の間隙22Dとは異なる角度位置に配されている。これにより間隙26Dからの光の漏れが防止される。
【0033】
蛍光体層28は、シリコン樹脂などの樹脂に蛍光体を含ませて形成されている。透光性プレート30は、例えばシリコン系、アクリル、ポリカーボネートなどの樹脂で形成され、例えば厚さは1mmである。
【0034】
上記した各構成要素の材料、大きさ等は例示に過ぎず、適宜改変して適用することが可能である。なお、更に例示すれば、ハウジング11の高さは10〜50mm、外径が6〜70mmφ、円柱形状の凹部13の内径(内側面の直径)は、5〜60mmφである。発光素子14は、例えば大きさが300〜2000μmである。また、凹部12の底面(素子実装面)は直径D1=4〜50mmφ、ハウジングの前面11Aにおける開口径(縁部12Eの径)D2=4〜65mmφ、深さDT=5〜30mmである。環状突起部22の高さは0.1〜2.0mm、間隙22Dの長さ(円周方向)は1〜10mmであり、環状突起部26の高さは0.1〜2.0mm、間隙22Dの長さ(円周方向)は1〜10mm、内径は4〜50mmである。
【実施例2】
【0035】
実施例1においては、第1の透光性プレート24が平行平板形状を有する場合について説明したがこれに限らず、その上面及び下面のうち少なくとも一方が凹面又は凸面形状を有していてもよい。例えば、図5(a),(b)に示すように、透光性プレート24は、凹面形状を有している。なお、図5(a)は本実施例の発光装置10の断面図であり、図5(b)は本実施例の第1の透光性プレート24の上面を模式的に示す平面図である。より詳細には、透光性プレート24は、その上面及び下面の中央部が部分的に凹部12に向かって窪んだ凹部領域24Rを有している。また、図5(b)に示すように、凹部領域24Rは、凹部12の開口面と同心円の円形形状を有している。本実施例の発光装置10のその他の構成は実施例1と同様である。
【0036】
上記したように、透光性プレート24は、凹部12に向かって中央部が部分的に窪んだ凹部領域24Rを有する凹面形状を有し、凹部12、第1の環状突起部22及び透光性プレート24によって画定される空間内に透光性材料からなる封止樹脂17が充填されている。そして、透光性プレート24による押圧の際、封止樹脂17の余剰分が間隙22Dを通じて環状突起部22の外側に流出することにより封止樹脂17及び透光性プレート24間に気泡、空隙等のボイドを生じることなく、透光性プレート24に封止樹脂が密着した形態で封止樹脂17を充填し得る効果を有する点は、実施例1と同じである。つまり、第1の透光性プレート24の下面形状により封止樹脂17の上面形状を画定することができ、第1の透光性プレート24の上面形状により蛍光体層28の下面形状を画定することができる。そして、凹部領域24Rの底部において透光性プレート24の下面は平坦であり、従って、この領域において封止樹脂17の上面を平坦に形成することができる。
【0037】
また、凹部領域24Rにおいて、透光性プレート24の上面は中央部が部分的に凹部12に向かって窪んでおり、平行平板プレートである第2の透光性プレート30との間に画定される空間内に充填される蛍光体層28の層厚を凹部領域24Rにおいて厚くすることができる。すなわち、凹部領域24Rの面積、深さ等によって蛍光体層28の層厚を調整することで、発光装置10からの放出光の色度分布を調整でき、色むらを防止することができる。なお、凹部領域24Rは、凹部12の底面に向かって窪んだ曲面を有する凹面形状を有していてもよい。
【0038】
本実施例においては、第2の透光性プレート30を設けた場合を例に説明したが、本実施例の改変例として、第2の透光性プレート30を設けずに、例えば封止樹脂17に蛍光体を分散させてもよい。かかる構成の場合においても、上記したように、封止樹脂17及び透光性プレート24間に気泡、空隙等のボイドを生じることなく、透光性プレート24に封止樹脂が密着した形態で封止樹脂17を充填し得るので、色むら等の色度の不均一を生じることはない。さらに、透光性プレート24の凹部領域24Rの面積、深さ等によって蛍光体層28の層厚を調整できるので、発光装置10からの放出光の色度分布を調整することができ、色むらを防止することができる。なお、第2の透光性プレート30を設けない場合、透光性プレート24には環状突起部26を設ける必要はない。
【実施例3】
【0039】
上記した実施例は種々改変し、又は組み合わせて適用することが可能である。以下にこれらの改変例について説明する。
【0040】
実施例1においては、第2の透光性プレート30を設けた場合を例に説明した。しかしながら、実施例1の改変例として、図6に示すように、第2の透光性プレート30を設けずに、例えば封止樹脂17に蛍光体18を分散させ封止樹脂17を蛍光体層(波長変換層)として構成してもよい。
【0041】
かかる構成の場合においても、封止樹脂17及び透光性プレート24間に気泡、空隙等のボイドを生じることなく、透光性プレート24に封止樹脂が密着した形態で平坦な封止樹脂17を形成し得るので、色むら等の色度の不均一を防止できる。
【0042】
さらに、上記実施例の改変例として、蛍光体層28及び第2の透光性プレート30を設けずに、透光性プレート24が蛍光体を含有するように構成してもよい。すなわち、蛍光体を含有する透光性プレート24は発光素子14からの放出光の一部を透過し、一部が蛍光体によって所定の波長の光に変換され、発光素子14からの放出光と混合されて透光性プレート24から出射されるように構成してもよい。この場合、封止樹脂17は蛍光体を含んでいなくともよいが、含んでいてもよい。
【0043】
さらに、上記実施例においては、凹部12が円錐台(切頭円錐)形状の場合を例に説明したが、これに限らない。例えば、長円錐台又は楕円錐台形状などの形状、あるいはコーン形状を有するように構成してもよい。すなわち、凹部12は、その側面が稜線を有しない曲面であり、角錐形状又はピラミッド形状ではないことが好ましい。
【0044】
図7は、凹部12が楕円錐台形状を有する場合の、環状突起部22及び間隙22D、環状突起部26及び間隙26D、及び凹部12の開口部の縁部12Eの配置を模式的に示す上面図である。上記実施例と同様に、環状突起部22及び環状突起部26はその内周側端部が凹部12の楕円錐面12Sを延長した楕円錐面12Xに接する、又はその外側に配されるのが好ましい。さらに、環状突起部26の間隙26Dは、当該錐台の中心軸に関して環状突起部22の間隙22Dとは異なる角度位置に配されるのが好ましい点も上記実施例と同様である。
【0045】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、封止樹脂及び封止樹脂上の透光性プレート間に気泡、空隙等のボイドを生じることなく、封止樹脂を充填し得る。透光性プレートの下面が平坦面であっても透光性プレートに封止樹脂が密着し得るので、所望の厚さ(深さ)や平坦度で封止樹脂体を形成し得る。従って、透光性の封止樹脂層や蛍光体含有層を平坦性及び制御性良く形成し、発光装置の色むら等の色度の不均一や個体間のばらつきの無い発光装置を提供することができる。
【0046】
また、透光性プレート24の下面及び上面を、所望の封止樹脂17の上面及び蛍光体層28の下面の形状、平坦度に応じて設計することにより、封止樹脂17の上面及び蛍光体層28の下面を所望の形状や平坦度として、発光装置の面内色度分布を所望のものに形成し、個体間のばらつきの無い発光装置を提供することができる。
【0047】
なお、上記した実施例は適宜組み合わせ、又は改変して適用することができる。また、上記した材料、数値等は例示に過ぎない。
【符号の説明】
【0048】
11 ハウジング
12 凹部
12E 縁部
12X 延長錐面
14 発光素子
17 封止樹脂
22 第1の環状突起部
22D 第1の環状突起部の間隙
24 第1の透光性プレート
26 第2の環状突起部
26D 第2の環状突起部の間隙
28 蛍光体層
30 透光性プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に凹部が形成され、前記凹部の底部に発光素子が搭載されたハウジングを有する発光装置であって、
前記凹部の側面及び前記ハウジングの前記前面がなす縁部に沿って前記縁部を取り囲むように形成されるとともに、少なくとも1の間隙を有する環状のハウジング突起部と、
前記ハウジング突起部上に配された透光性の封止プレートと、
前記凹部、前記ハウジング突起部及び前記封止プレートによって画定される空間内に充填された封止樹脂と、
を有することを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記封止プレートはその上面に、少なくとも1の間隙を有する環状のプレート突起部を有し、前記発光装置はさらに、
前記プレート突起部上に配された透光性の付加プレートと、
前記封止プレート、前記プレート突起部及び前記付加プレートによって画定される空間内に充填された蛍光体含有樹脂と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記凹部は逆錐台形状を有し、前記ハウジング突起部及び前記プレート突起部は、前記凹部の側面である錐面を延長した延長錐面の外側、あるいはその内周側端部が前記延長錐面に接するように配されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記プレート突起部の前記間隙は、前記凹部のなす錐台の中心軸に関して、前記ハウジング突起部の前記間隙とは異なる角度位置に配されていることを特徴とする請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記封止樹脂の上面は、前記ハウジング突起部に囲まれた領域において、前記封止プレートの下面と接触していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記封止樹脂は、前記前面上において、前記間隙及び前記ハウジング突起部の外側まで延在していることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記封止プレートは、その中央部が部分的に前記凹部に向かって窪んだ凹部領域を有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−26549(P2013−26549A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161953(P2011−161953)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】