発振器試験方法・発振器試験装置
【課題】周波数掃引する発振器が周波数掃引期間中正常に動作するか否かを安価に試験する。
【解決手段】磁気共鳴素子に磁界を印加し、その磁界の変化により発振周波数を掃引させる周波数掃引型発振器において、発振用トランジスタのエミッタ電流を測定するエミッタ電流測定手段30を設け、周波数掃引期間中、このエミッタ電流測定手段でエミッタ電流の値を監視し、周波数掃引期間中エミッタ電流が大きく減少した場合は、この発振器を不良と判定する発振器の試験方法を提案する。
【解決手段】磁気共鳴素子に磁界を印加し、その磁界の変化により発振周波数を掃引させる周波数掃引型発振器において、発振用トランジスタのエミッタ電流を測定するエミッタ電流測定手段30を設け、周波数掃引期間中、このエミッタ電流測定手段でエミッタ電流の値を監視し、周波数掃引期間中エミッタ電流が大きく減少した場合は、この発振器を不良と判定する発振器の試験方法を提案する。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は周波数掃引型発振器の動作を試験する発振器試験方法及び発振器試験装置に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気共鳴素子を共振器として用いると共に、この磁気共鳴素子に磁界を印加し、この磁界の強度を変化させることにより磁気共鳴素子の共振周波数を変化させ、発振周波数を周波数掃引させる形式の周波数掃引型発振器が各種実用されている。この形式の発振器はマイクロ波乃至はミリ波周波数帯域の周波数を発振し、例えばスペクトラムアナライザの局部発振器等として利用されている。
【0003】図6にこの種の発振器の一般的な回路構成を示す。図中1は発振用トランジスタを示す。発振用トランジスタ1のエミッタがカップリングループ2の一端に接続され、カップリングループ2の他端はバイパスコンデンサ3を通じて共通電位点に接続される。カップリングループ2は磁気共鳴素子4と磁気的に結合される。カップリングループ2とバイパスコンデンサ3との接続点にはチョークコイル5を通じてエミッタ電源端子6が導出される。このエミッタ電源端子6にエミッタ電源22が接続される。
【0004】発振用トランジスタ1のベースは帰還インダクタ7を通じて共通電位点に接続される。発振用トランジスタ1のコレクタはカップリングコンデンサ8を通じてアンプ9の入力端子に接続され、アンプ9を通じて出力端子10に発振信号を出力する。また発振用トランジスタ1のコレクタにはチョークコイル12を通じてコレクタ電源端子11が導出され、このコレクタ電源端子11にコレクタ電源21からコレクタ電圧が印加される。
【0005】磁気共鳴素子4は球状のものと膜状のものとがある。この例では図7及び図8に示すように球状の磁気共鳴素子を用いた場合を示す。球状の磁気共鳴素子4は支持棒13の一端に取り付けられ、支持棒13によって空中に支持される。磁気共鳴素子4の周面に沿ってカップリングループ2を円弧状に配置し、カップリングループ2と磁気共鳴素子4とを磁気結合させる。尚、図7R>7及び図8において、14は板状磁気コア、15は集積回路基板を示す。集積回路基板15に電極16A、16Bが形成され、この電極16Aと16Bにカップリングループ2の両端を接続し、カップリングループ2を支持する。尚、電極16B側では電極16Bの上にバイパスコンデンサ3を構成するチップコンデンサを搭載し、チップコンデンサを介してカップリングループ2の一端を固定する。
【0006】板状磁気コア14は図8に示すように盤形状とされ、図9に示す壷型磁気コア17の蓋とされる。壷型磁気コア17は中央に中心コア17Aを有し、この中心コア17Aを軸心として励磁コイル18を配置する。励磁コイル18の両端のリード線は壷型磁気コア17の胴部に設けた電源端子18Aを接続し、この電源端子18Aに直流電圧を印加することにより励磁コイル18に所望の磁界を発生させる。
【0007】中心コア17Aの軸芯位置に磁気共鳴素子4を配置し、励磁コイル18が発生する磁界を磁気共鳴素子4に印加する。図6に示したエミッタ電源端子6と、コレクタ電源端子11は板状磁気コア14に形成した貫通型絶縁端子を通じて壷型磁気コア17の外側に導出される。10は発振器の発振信号を取り出す出力端子を示す。この例ではこの出力端子10を同軸コネクタとした場合を示す。この構造の発振器によればエミッタ電源端子6とコレクタ電源端子11の間に例えば3〜5V程度の直流電圧を印加すると共に励磁コイル18の電源端子18Aに励磁電流源23(図6参照)を接続し、この励磁電流源23から例えばランプ波形状の励磁電流を印加することにより、発振器の発振周波数が周波数掃引される。
【0008】つまり、磁気共鳴素子4は磁界が与えられることにより、その共鳴周波数が変化し、その共鳴周波数の変化に応じて発振回路の発振周波数が周波数掃引される。ここで、発振回路が正常に発振し、周波数掃引しているか否かを試験する必要がある。つまり、所定の周波数掃引範囲を周波数掃引させる場合、磁気共鳴素子4の不具合、或いは発振用トランジスタ1の不具合等によって周波数掃引の途中で発振強度が低下したり、或いは発振を停止してしまう現象が発生する恐れがある。このため、従来は図10に示す例と、図11に示す構成で試験を行っている。
【0009】図10に示す例では被試験発振器20の発振信号をカップラ31でパワーメータ32に分岐し、パワーメータ32で被試験発振器20の発振信号の発振電力を監視すると共に、周波数カウンタ33で発振周波数を測定し、周波数掃引動作が正しく行われているか否かを試験する方法と、図11の例では被試験発振器20の発振出力をスペクトラムアナライザ34に入力し、スペクトラムアナライザ34で発振信号の強度と、発振周波数をスペクトラムSP(図12参照)で表示させ、スペクトラムSPの高さが、所定の周波数範囲で極度に低くなる現象が発生することなく移動するかを確認して試験を行っている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従来の試験方法では図1010に示す例ではカップラ31、パワーメータ32、周波数カウンタ33を用いなければならないため、高価な測定器を必要とし、試験に要するコストが高くなる欠点がある。また、図11に示す例でもスペクトラムアナライザ34を用いなければならないため、このスペクトラムアナライザ34も高価な測定器であるため、試験に要するコストが高くなる欠点がある。
【0011】この発明の目的は安価な手段でこの種の発振器の試験を行うことができる発振器試験方法と発振器試験装置を提案しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明の請求項1では、発振用トランジスタのエミッタが磁気共鳴素子と磁気結合して発振回路を構成すると共に、磁気共鳴素子に磁界を印加し、磁界の強度を変化させて磁気共鳴素子の共鳴周波数を変化させ、発振周波数を周波数掃引する発振器が正常に周波数掃引動作するか否かを試験する場合において、発振用トランジスタのエミッタ電流を測定するエミッタ電流測定手段を設け、周波数掃引動作の期間中にエミッタ電流測定手段がエミッタ電流の急減現象を検出するか否かにより発振器の周波数掃引動作が正常に実行されているか否かを試験する発振器試験方法を提案する。
【0013】この発明の請求項2では、発振用トランジスタのエミッタが磁気共鳴素子と磁気結合して発振回路を構成すると共に、励磁コイルにより磁気共鳴素子に磁界を印加し、磁界の強度を変化させて磁気共鳴素子の共鳴周波数を変化させ、発振周波数を周波数掃引する発振器が正常に周波数掃引動作するか否かを試験する発振器試験装置において、発振トランジスタのエミッタ電流を測定するエミッタ電流測定手段と、磁界の強度を変化させる磁界調整手段とを設け、磁界調整手段により、磁気共鳴素子に与える磁界の変化に従ってエミッタ電流測定手段で測定するエミッタ電流が所定の電流値以上を維持するか否かにより被試験発振器が正常に周波数掃引しているか否かを判定する発振器試験装置を提案する。
【0014】この発明の請求項3では、請求項2記載の発振器試験装置において、エミッタ電流測定手段は発振用トランジスタのエミッタにエミッタ電源を印加するエミッタ電源端子に直列に接続した電流計で構成し、磁場調整手段は励磁コイルに流れる励磁電流を手動で変化させる手動調整手段で構成した発振器試験装置を提案する。この発明の請求項4では、請求項2記載の発振器試験装置において、エミッタ電流測定手段は発振用トランジスタのエミッタにエミッタ電源を接続するためのエミッタ電源端子に直列接続した抵抗器で構成すると共に、励磁コイルにはランプ波形電流を所定の繰返し周期で印加し、抵抗器に発生する電圧をオシロスコープのY軸入力端子に入力し、ランプ電流に対応したランプ電圧をオシロスコープのX軸入力端子に入力してエミッタ電流の変化を表示器に表示させ、ランプ電圧の掃引区間中にエミッタ電流が急減する現象が発生するか否かにより発振器が正常に周波数掃引しているか否かを判定する発振器試験装置を提案する。
【0015】この発明の請求項5では、請求項2記載の発振器試験装置において、エミッタ電流測定手段は発振用トランジスタのエミッタにエミッタ電源を接続するためのエミッタ電源端子に直列接続した抵抗器で構成すると共に、励磁コイルにはランプ波形電流を所定の繰返し周期で印加し、抵抗器に発生する電圧をAD変換器でAD変換し、このAD変換した電圧データをコンピュータに入力し、コンピュータの演算処理により電圧データに急減現象が発生したか否かを判定させる発振器試験装置を提案する。
【0016】
【作用】この発明の発振器試験方法によれば、発振用トランジスタのエミッタ電流を測定するエミッタ電流測定手段を設けたから、このエミッタ電流測定手段により発振用トランジスタのエミッタ電流が周波数掃引期間中に急減する現象を検出することができる。従って発振器が周波数掃引動作している状態で発振器が正常に周波数掃引しているか否かを判定することができる。
【0017】発振用トランジスタのエミッタ電流を測定する手段としては電流計或いは電流の変化を電圧の変化に変換する抵抗器で構成することができる。この結果、従来の技術で用いられている測定器と比較して極めて安価な測定器で測定することができる。この結果、発振器の試験を安価なコストで済ませることができる利点が得られる。
【0018】
【発明の実施の形態】図1にこの発明による発振器試験方法を実現することが出来る発振器試験装置の一実施例を示す。この実施例ではエミッタ電源端子6とエミッタ電源22との間にエミッタ電流測定手段30を接続する。図1に示す実施例ではエミッタ電流測定手段30として電流計を用いた場合を示す。更に、励磁コイル18に励磁電流を供給する励磁電流源23には手動調整手段24を設け、この手動調整手段24によって励磁コイル18に供給する励磁電流を例えば手動調整手段24を時計廻り方向及び反時計廻り方向に回転させたとき、励磁電流が徐々に増加する方向及び徐々に減少する方向に制御する構成とし、この励磁電流の増加及び減少に伴って、被試験発振器20の発振周波数が徐々に上昇する方向及び低下する方向に周波数掃引される。
【0019】手動調整手段24の回転位置が例えば図2に示すように回転各範囲θ1〜θ2の間に存在している状態で被試験発振器20が正常に発振している場合には、その発振周波数が上昇方向及び低下方向に周波数掃引される。手動調整手段24の回転角範囲θ1〜θ2の間では発振用トランジスタ1のエミッタには適度のエミッタ電流Ieが流れる。従って、電流計30の指針は所定値Imin(図2参照)以上の電流値を指示する。
【0020】手動調整手段24を適当な速度で時計廻り方向及び反時計廻り方向に回転操作すると、被試験発振器20の発振周波数が徐々に周波数が高くなる方向及び低くなる方向に発振周波数を周波数掃引させることができる。回転各範囲θ1〜θ2の間で例えば磁気共鳴素子4の不具合或いは磁気共鳴素子4とカップリングループ2との間の磁気結合等が適正な状態に結合していない場合、或いは発振用トランジスタ1の不具合等においては被試験発振器20の発振強度が急減する現象が発生する。
【0021】この様子は手動調整手段24を徐々に回転させながらエミッタ電流測定手段30が指示するエミッタ電流の値を監視すれば検出することができる。図2に示すディップD1は軽い発振強度の低下を示す。また、ディップD2は発振停止を示す。このような発振停止を示す発振器は不良と判定し、再調整を行う。図3はこの発明の他の実施例を示す。この実施例ではエミッタ電流測定手段30としてエミッタ電流Ieを電圧に変換する抵抗器を用いた場合を示す。抵抗器に発生する電圧をオシロスコープ40のY軸入力端子40Yに入力し、オシロスコープ40のX軸入力端子40Xにはランプ電圧発生器25で発生するランプ電圧波形を入力する。つまり、励磁電流源23にはランプ電圧発生器25からランプ電圧波形を入力し、このランプ電圧波形に従って、ランプ波形状の励磁電流を発生させ、この励磁電流を励磁コイル18に印加する。
【0022】これにより被試験発振器20はランプ波形の繰返し周期に従って周波数掃引動作を実行する。この周波数掃引動作に同期してエミッタ電流測定手段30として接続した抵抗器に発生する電圧をオシロスコープ40のY軸方向に表示させることにより、正常な発振器であれば表示される輝点の軌跡は図4に曲線Aで示すように上向に凸の曲線が描かれる。また、軽度の欠陥が存在する発振器ではディップD1が発生し、発振が停止するような重度の欠陥が存在する発振器はエミッタの電流値がほぼ0の近くまで達するディップD2が発生する。このようなディップD2が検出された場合はその被試験発振器20は不良と判定する。
【0023】図5はこの発明の更に他の実施例を示す。この実施例ではコンピュータ42により被試験発振器20を構成する発振用トランジスタ1のエミッタ電流が周波数掃引期間中に急減するか否かを判定させる構成とした場合を示す。従って、この場合も図3と同様にエミッタ電流測定手段30としてエミッタ電流通路に接続した抵抗器で構成し、励磁電流源23にはコンピュータ42から印加される同期信号に同期してランプ電圧を発生するランプ電圧発生器25から所定の繰返し周期のランプ電圧LVを印加し、このランプ電圧LVに同期してランプ波状励磁電流を発生させ被試験発振器20の発振周波数を周波数掃引させる。
【0024】エミッタ電流測定手段30に発生する電圧波形をAD変換器41でAD変換し、そのデジタルデータをコンピュータ42に入力する。コンピュータ42ではAD変換された発振信号のレベルを監視し、発振信号のレベルが急減する現象が発生するか否かによるコンピュータ42自身に良否の判定を行わせ、その判定結果を表示器43に表示する構造とした場合を示す。この場合、コンピュータ42からランプ電圧発生器25に同期パルスを出力させ、この同期パルスにより励磁電流の立ち上がりの開始点を規定する。従って同期パルスの印加タイミングから励磁電流が徐々に上昇している状態をとらえて被試験発振器20が周波数掃印している状態を検出させ、その周波数掃引期間中にAD変換して入力される発振信号のレベルが急減(ディップ現象)する現象が発生するか否かにより、発振器の良否を判定させることができる。また、AD変換されて入力される発振信号のレベルを表わすデータをコンピュータのモニタ(表示器)に表示させることにより、図4と同等の表示を行わせることができる。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば図1に示した実施例ではエミッタ電流測定手段30として電流計を用い、更に励磁電流源23に手動調整手段24を設けるだけで発振器の良否を試験することができるから極めて安価に試験を実行することができる。然も発振用トランジスタのエミッタ電流Ieの急減を監視して発振器の良否を判定したから、エミッタ電流Ieの増加減少は発振用トランジスタ1の動作状態を忠実に再現しているから、信頼性の高い試験を行うことができる。
【0026】また、図3または図5に示した実施例によれば、従来用いていたパワーメータと周波数カウンタ或いはスペクトラムアナライザより充分安価なオシロスコープ又はパーソナルコンピュータを用いて発振器の良否を判定できるから、従来より安価なコストで発振器を試験することができる利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を説明するためのブロック図。
【図2】図1の動作を説明するためのグラフ。
【図3】この発明の変形実施例を示すブロック図。
【図4】図3の動作を説明するための表示の一例を示す正面図。
【図5】この発明の更に他の実施例を示すブロック図。
【図6】この発明で試験対象とする発振器の回路構造を説明するための接続図。
【図7】図6に示した発振器に用いられている磁気共鳴素子の支持構造を説明するための正面図。
【図8】図7の平面図。
【図9】図6に示した発振器の全体の構造を説明するための断面図。
【図10】従来の試験方法を説明するためのブロック図。
【図11】従来の試験方法の他の例を説明するためのブロック図。
【図12】図11に示した試験方法で測定器の表示器に表示される表示の一例を説明するための正面図。
【符号の説明】
1 発振用トランジスタ
2 カップリングループ
3 バイパスコンデンサ
4 磁気共鳴素子
5、12 チョークコイル
7 帰還インダクタ
8 カップリングコンデンサ
9 アンプ
10 出力端子
10A 同軸コネクタ
11 コレクタ電源端子
18 励磁コイル
21 コレクタ電源
22 エミッタ電源
23 励磁電流源
24 手動調整手段
30 エミッタ電流測定手段
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は周波数掃引型発振器の動作を試験する発振器試験方法及び発振器試験装置に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気共鳴素子を共振器として用いると共に、この磁気共鳴素子に磁界を印加し、この磁界の強度を変化させることにより磁気共鳴素子の共振周波数を変化させ、発振周波数を周波数掃引させる形式の周波数掃引型発振器が各種実用されている。この形式の発振器はマイクロ波乃至はミリ波周波数帯域の周波数を発振し、例えばスペクトラムアナライザの局部発振器等として利用されている。
【0003】図6にこの種の発振器の一般的な回路構成を示す。図中1は発振用トランジスタを示す。発振用トランジスタ1のエミッタがカップリングループ2の一端に接続され、カップリングループ2の他端はバイパスコンデンサ3を通じて共通電位点に接続される。カップリングループ2は磁気共鳴素子4と磁気的に結合される。カップリングループ2とバイパスコンデンサ3との接続点にはチョークコイル5を通じてエミッタ電源端子6が導出される。このエミッタ電源端子6にエミッタ電源22が接続される。
【0004】発振用トランジスタ1のベースは帰還インダクタ7を通じて共通電位点に接続される。発振用トランジスタ1のコレクタはカップリングコンデンサ8を通じてアンプ9の入力端子に接続され、アンプ9を通じて出力端子10に発振信号を出力する。また発振用トランジスタ1のコレクタにはチョークコイル12を通じてコレクタ電源端子11が導出され、このコレクタ電源端子11にコレクタ電源21からコレクタ電圧が印加される。
【0005】磁気共鳴素子4は球状のものと膜状のものとがある。この例では図7及び図8に示すように球状の磁気共鳴素子を用いた場合を示す。球状の磁気共鳴素子4は支持棒13の一端に取り付けられ、支持棒13によって空中に支持される。磁気共鳴素子4の周面に沿ってカップリングループ2を円弧状に配置し、カップリングループ2と磁気共鳴素子4とを磁気結合させる。尚、図7R>7及び図8において、14は板状磁気コア、15は集積回路基板を示す。集積回路基板15に電極16A、16Bが形成され、この電極16Aと16Bにカップリングループ2の両端を接続し、カップリングループ2を支持する。尚、電極16B側では電極16Bの上にバイパスコンデンサ3を構成するチップコンデンサを搭載し、チップコンデンサを介してカップリングループ2の一端を固定する。
【0006】板状磁気コア14は図8に示すように盤形状とされ、図9に示す壷型磁気コア17の蓋とされる。壷型磁気コア17は中央に中心コア17Aを有し、この中心コア17Aを軸心として励磁コイル18を配置する。励磁コイル18の両端のリード線は壷型磁気コア17の胴部に設けた電源端子18Aを接続し、この電源端子18Aに直流電圧を印加することにより励磁コイル18に所望の磁界を発生させる。
【0007】中心コア17Aの軸芯位置に磁気共鳴素子4を配置し、励磁コイル18が発生する磁界を磁気共鳴素子4に印加する。図6に示したエミッタ電源端子6と、コレクタ電源端子11は板状磁気コア14に形成した貫通型絶縁端子を通じて壷型磁気コア17の外側に導出される。10は発振器の発振信号を取り出す出力端子を示す。この例ではこの出力端子10を同軸コネクタとした場合を示す。この構造の発振器によればエミッタ電源端子6とコレクタ電源端子11の間に例えば3〜5V程度の直流電圧を印加すると共に励磁コイル18の電源端子18Aに励磁電流源23(図6参照)を接続し、この励磁電流源23から例えばランプ波形状の励磁電流を印加することにより、発振器の発振周波数が周波数掃引される。
【0008】つまり、磁気共鳴素子4は磁界が与えられることにより、その共鳴周波数が変化し、その共鳴周波数の変化に応じて発振回路の発振周波数が周波数掃引される。ここで、発振回路が正常に発振し、周波数掃引しているか否かを試験する必要がある。つまり、所定の周波数掃引範囲を周波数掃引させる場合、磁気共鳴素子4の不具合、或いは発振用トランジスタ1の不具合等によって周波数掃引の途中で発振強度が低下したり、或いは発振を停止してしまう現象が発生する恐れがある。このため、従来は図10に示す例と、図11に示す構成で試験を行っている。
【0009】図10に示す例では被試験発振器20の発振信号をカップラ31でパワーメータ32に分岐し、パワーメータ32で被試験発振器20の発振信号の発振電力を監視すると共に、周波数カウンタ33で発振周波数を測定し、周波数掃引動作が正しく行われているか否かを試験する方法と、図11の例では被試験発振器20の発振出力をスペクトラムアナライザ34に入力し、スペクトラムアナライザ34で発振信号の強度と、発振周波数をスペクトラムSP(図12参照)で表示させ、スペクトラムSPの高さが、所定の周波数範囲で極度に低くなる現象が発生することなく移動するかを確認して試験を行っている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従来の試験方法では図1010に示す例ではカップラ31、パワーメータ32、周波数カウンタ33を用いなければならないため、高価な測定器を必要とし、試験に要するコストが高くなる欠点がある。また、図11に示す例でもスペクトラムアナライザ34を用いなければならないため、このスペクトラムアナライザ34も高価な測定器であるため、試験に要するコストが高くなる欠点がある。
【0011】この発明の目的は安価な手段でこの種の発振器の試験を行うことができる発振器試験方法と発振器試験装置を提案しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明の請求項1では、発振用トランジスタのエミッタが磁気共鳴素子と磁気結合して発振回路を構成すると共に、磁気共鳴素子に磁界を印加し、磁界の強度を変化させて磁気共鳴素子の共鳴周波数を変化させ、発振周波数を周波数掃引する発振器が正常に周波数掃引動作するか否かを試験する場合において、発振用トランジスタのエミッタ電流を測定するエミッタ電流測定手段を設け、周波数掃引動作の期間中にエミッタ電流測定手段がエミッタ電流の急減現象を検出するか否かにより発振器の周波数掃引動作が正常に実行されているか否かを試験する発振器試験方法を提案する。
【0013】この発明の請求項2では、発振用トランジスタのエミッタが磁気共鳴素子と磁気結合して発振回路を構成すると共に、励磁コイルにより磁気共鳴素子に磁界を印加し、磁界の強度を変化させて磁気共鳴素子の共鳴周波数を変化させ、発振周波数を周波数掃引する発振器が正常に周波数掃引動作するか否かを試験する発振器試験装置において、発振トランジスタのエミッタ電流を測定するエミッタ電流測定手段と、磁界の強度を変化させる磁界調整手段とを設け、磁界調整手段により、磁気共鳴素子に与える磁界の変化に従ってエミッタ電流測定手段で測定するエミッタ電流が所定の電流値以上を維持するか否かにより被試験発振器が正常に周波数掃引しているか否かを判定する発振器試験装置を提案する。
【0014】この発明の請求項3では、請求項2記載の発振器試験装置において、エミッタ電流測定手段は発振用トランジスタのエミッタにエミッタ電源を印加するエミッタ電源端子に直列に接続した電流計で構成し、磁場調整手段は励磁コイルに流れる励磁電流を手動で変化させる手動調整手段で構成した発振器試験装置を提案する。この発明の請求項4では、請求項2記載の発振器試験装置において、エミッタ電流測定手段は発振用トランジスタのエミッタにエミッタ電源を接続するためのエミッタ電源端子に直列接続した抵抗器で構成すると共に、励磁コイルにはランプ波形電流を所定の繰返し周期で印加し、抵抗器に発生する電圧をオシロスコープのY軸入力端子に入力し、ランプ電流に対応したランプ電圧をオシロスコープのX軸入力端子に入力してエミッタ電流の変化を表示器に表示させ、ランプ電圧の掃引区間中にエミッタ電流が急減する現象が発生するか否かにより発振器が正常に周波数掃引しているか否かを判定する発振器試験装置を提案する。
【0015】この発明の請求項5では、請求項2記載の発振器試験装置において、エミッタ電流測定手段は発振用トランジスタのエミッタにエミッタ電源を接続するためのエミッタ電源端子に直列接続した抵抗器で構成すると共に、励磁コイルにはランプ波形電流を所定の繰返し周期で印加し、抵抗器に発生する電圧をAD変換器でAD変換し、このAD変換した電圧データをコンピュータに入力し、コンピュータの演算処理により電圧データに急減現象が発生したか否かを判定させる発振器試験装置を提案する。
【0016】
【作用】この発明の発振器試験方法によれば、発振用トランジスタのエミッタ電流を測定するエミッタ電流測定手段を設けたから、このエミッタ電流測定手段により発振用トランジスタのエミッタ電流が周波数掃引期間中に急減する現象を検出することができる。従って発振器が周波数掃引動作している状態で発振器が正常に周波数掃引しているか否かを判定することができる。
【0017】発振用トランジスタのエミッタ電流を測定する手段としては電流計或いは電流の変化を電圧の変化に変換する抵抗器で構成することができる。この結果、従来の技術で用いられている測定器と比較して極めて安価な測定器で測定することができる。この結果、発振器の試験を安価なコストで済ませることができる利点が得られる。
【0018】
【発明の実施の形態】図1にこの発明による発振器試験方法を実現することが出来る発振器試験装置の一実施例を示す。この実施例ではエミッタ電源端子6とエミッタ電源22との間にエミッタ電流測定手段30を接続する。図1に示す実施例ではエミッタ電流測定手段30として電流計を用いた場合を示す。更に、励磁コイル18に励磁電流を供給する励磁電流源23には手動調整手段24を設け、この手動調整手段24によって励磁コイル18に供給する励磁電流を例えば手動調整手段24を時計廻り方向及び反時計廻り方向に回転させたとき、励磁電流が徐々に増加する方向及び徐々に減少する方向に制御する構成とし、この励磁電流の増加及び減少に伴って、被試験発振器20の発振周波数が徐々に上昇する方向及び低下する方向に周波数掃引される。
【0019】手動調整手段24の回転位置が例えば図2に示すように回転各範囲θ1〜θ2の間に存在している状態で被試験発振器20が正常に発振している場合には、その発振周波数が上昇方向及び低下方向に周波数掃引される。手動調整手段24の回転角範囲θ1〜θ2の間では発振用トランジスタ1のエミッタには適度のエミッタ電流Ieが流れる。従って、電流計30の指針は所定値Imin(図2参照)以上の電流値を指示する。
【0020】手動調整手段24を適当な速度で時計廻り方向及び反時計廻り方向に回転操作すると、被試験発振器20の発振周波数が徐々に周波数が高くなる方向及び低くなる方向に発振周波数を周波数掃引させることができる。回転各範囲θ1〜θ2の間で例えば磁気共鳴素子4の不具合或いは磁気共鳴素子4とカップリングループ2との間の磁気結合等が適正な状態に結合していない場合、或いは発振用トランジスタ1の不具合等においては被試験発振器20の発振強度が急減する現象が発生する。
【0021】この様子は手動調整手段24を徐々に回転させながらエミッタ電流測定手段30が指示するエミッタ電流の値を監視すれば検出することができる。図2に示すディップD1は軽い発振強度の低下を示す。また、ディップD2は発振停止を示す。このような発振停止を示す発振器は不良と判定し、再調整を行う。図3はこの発明の他の実施例を示す。この実施例ではエミッタ電流測定手段30としてエミッタ電流Ieを電圧に変換する抵抗器を用いた場合を示す。抵抗器に発生する電圧をオシロスコープ40のY軸入力端子40Yに入力し、オシロスコープ40のX軸入力端子40Xにはランプ電圧発生器25で発生するランプ電圧波形を入力する。つまり、励磁電流源23にはランプ電圧発生器25からランプ電圧波形を入力し、このランプ電圧波形に従って、ランプ波形状の励磁電流を発生させ、この励磁電流を励磁コイル18に印加する。
【0022】これにより被試験発振器20はランプ波形の繰返し周期に従って周波数掃引動作を実行する。この周波数掃引動作に同期してエミッタ電流測定手段30として接続した抵抗器に発生する電圧をオシロスコープ40のY軸方向に表示させることにより、正常な発振器であれば表示される輝点の軌跡は図4に曲線Aで示すように上向に凸の曲線が描かれる。また、軽度の欠陥が存在する発振器ではディップD1が発生し、発振が停止するような重度の欠陥が存在する発振器はエミッタの電流値がほぼ0の近くまで達するディップD2が発生する。このようなディップD2が検出された場合はその被試験発振器20は不良と判定する。
【0023】図5はこの発明の更に他の実施例を示す。この実施例ではコンピュータ42により被試験発振器20を構成する発振用トランジスタ1のエミッタ電流が周波数掃引期間中に急減するか否かを判定させる構成とした場合を示す。従って、この場合も図3と同様にエミッタ電流測定手段30としてエミッタ電流通路に接続した抵抗器で構成し、励磁電流源23にはコンピュータ42から印加される同期信号に同期してランプ電圧を発生するランプ電圧発生器25から所定の繰返し周期のランプ電圧LVを印加し、このランプ電圧LVに同期してランプ波状励磁電流を発生させ被試験発振器20の発振周波数を周波数掃引させる。
【0024】エミッタ電流測定手段30に発生する電圧波形をAD変換器41でAD変換し、そのデジタルデータをコンピュータ42に入力する。コンピュータ42ではAD変換された発振信号のレベルを監視し、発振信号のレベルが急減する現象が発生するか否かによるコンピュータ42自身に良否の判定を行わせ、その判定結果を表示器43に表示する構造とした場合を示す。この場合、コンピュータ42からランプ電圧発生器25に同期パルスを出力させ、この同期パルスにより励磁電流の立ち上がりの開始点を規定する。従って同期パルスの印加タイミングから励磁電流が徐々に上昇している状態をとらえて被試験発振器20が周波数掃印している状態を検出させ、その周波数掃引期間中にAD変換して入力される発振信号のレベルが急減(ディップ現象)する現象が発生するか否かにより、発振器の良否を判定させることができる。また、AD変換されて入力される発振信号のレベルを表わすデータをコンピュータのモニタ(表示器)に表示させることにより、図4と同等の表示を行わせることができる。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば図1に示した実施例ではエミッタ電流測定手段30として電流計を用い、更に励磁電流源23に手動調整手段24を設けるだけで発振器の良否を試験することができるから極めて安価に試験を実行することができる。然も発振用トランジスタのエミッタ電流Ieの急減を監視して発振器の良否を判定したから、エミッタ電流Ieの増加減少は発振用トランジスタ1の動作状態を忠実に再現しているから、信頼性の高い試験を行うことができる。
【0026】また、図3または図5に示した実施例によれば、従来用いていたパワーメータと周波数カウンタ或いはスペクトラムアナライザより充分安価なオシロスコープ又はパーソナルコンピュータを用いて発振器の良否を判定できるから、従来より安価なコストで発振器を試験することができる利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を説明するためのブロック図。
【図2】図1の動作を説明するためのグラフ。
【図3】この発明の変形実施例を示すブロック図。
【図4】図3の動作を説明するための表示の一例を示す正面図。
【図5】この発明の更に他の実施例を示すブロック図。
【図6】この発明で試験対象とする発振器の回路構造を説明するための接続図。
【図7】図6に示した発振器に用いられている磁気共鳴素子の支持構造を説明するための正面図。
【図8】図7の平面図。
【図9】図6に示した発振器の全体の構造を説明するための断面図。
【図10】従来の試験方法を説明するためのブロック図。
【図11】従来の試験方法の他の例を説明するためのブロック図。
【図12】図11に示した試験方法で測定器の表示器に表示される表示の一例を説明するための正面図。
【符号の説明】
1 発振用トランジスタ
2 カップリングループ
3 バイパスコンデンサ
4 磁気共鳴素子
5、12 チョークコイル
7 帰還インダクタ
8 カップリングコンデンサ
9 アンプ
10 出力端子
10A 同軸コネクタ
11 コレクタ電源端子
18 励磁コイル
21 コレクタ電源
22 エミッタ電源
23 励磁電流源
24 手動調整手段
30 エミッタ電流測定手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】発振用トランジスタのエミッタが磁気共鳴素子と磁気結合して発振回路を構成すると共に、磁気共鳴素子に磁界を印加し、磁界の強度を変化させて上記磁気共鳴素子の共鳴周波数を変化させ、発振周波数を周波数掃引する発振器が正常に周波数掃引動作するか否かを試験する場合において、上記発振トランジスタのエミッタ電流を測定するエミッタ電流測定手段を設け、周波数掃引動作の期間中にエミッタ電流測定手段がエミッタ電流の急減現象を検出するか否かにより上記発振器の周波数掃引動作が正常に実行されているか否かを試験する発振器試験方法。
【請求項2】発振用トランジスタのエミッタが磁気共鳴素子と磁気結合して発振回路を構成すると共に、励磁コイルにより磁気共鳴素子に磁界を印加し、磁界の強度を変化させて上記磁気共鳴素子の共鳴周波数を変化させ、発振周波数を周波数掃引する発振器が正常に周波数掃引動作するか否かを試験する発振器試験装置において、上記発振トランジスタのエミッタ電流を測定するエミッタ電流測定手段と、上記磁界の強度を変化させる磁界調整手段とを設け、上記磁界調整手段により、上記磁気共鳴素子に与える磁界の変化に従って上記エミッタ電流測定手段で測定するエミッタ電流が所定の電流値以上を維持するか否かにより被試験発振器が正常に周波数掃引しているか否かを判定する発振器試験装置。
【請求項3】請求項2記載の発振器試験装置において、上記エミッタ電流測定手段は上記発振用トランジスタのエミッタにエミッタ電源を印加するエミッタ電源端子に直列に接続した電流計で構成し、上記磁場調整手段は上記励磁コイルに流れる励磁電流を手動で変化させる手動調整手段で構成したことを特徴とする発振器試験装置。
【請求項4】請求項2記載の発振器試験装置において、上記エミッタ電流測定手段は上記発振用トランジスタのエミッタにエミッタ電源を接続するためのエミッタ電源端子に直列接続した抵抗器で構成すると共に、上記励磁コイルにはランプ波形電流を所定の繰返し周期で印加し、上記抵抗器に発生する電圧をオシロスコープのY軸入力端子に入力し、上記ランプ電流に対応したランプ電圧をオシロスコープのX軸入力端子に入力して上記エミッタ電流の変化を表示器に表示させ、上記ランプ電圧の掃引区間中に上記エミッタ電流が急減する現象が発生するか否かにより発振器が正常に周波数掃引しているか否かを判定する発振器試験装置。
【請求項5】請求項2記載の発振器試験装置において、上記エミッタ電流測定手段は上記発振用トランジスタのエミッタにエミッタ電源を接続するためのエミッタ電源端子に直列接続した抵抗器で構成すると共に、上記励磁コイルにはランプ波形電流を所定の繰返し周期で印加し、上記抵抗器に発生する電圧をAD変換器でAD変換し、このAD変換した電圧データをコンピュータに入力し、コンピュータの演算処理により上記電圧データに急減現象が発生したか否かを判定させる構造としたことを特徴とする発振器試験装置。
【請求項1】発振用トランジスタのエミッタが磁気共鳴素子と磁気結合して発振回路を構成すると共に、磁気共鳴素子に磁界を印加し、磁界の強度を変化させて上記磁気共鳴素子の共鳴周波数を変化させ、発振周波数を周波数掃引する発振器が正常に周波数掃引動作するか否かを試験する場合において、上記発振トランジスタのエミッタ電流を測定するエミッタ電流測定手段を設け、周波数掃引動作の期間中にエミッタ電流測定手段がエミッタ電流の急減現象を検出するか否かにより上記発振器の周波数掃引動作が正常に実行されているか否かを試験する発振器試験方法。
【請求項2】発振用トランジスタのエミッタが磁気共鳴素子と磁気結合して発振回路を構成すると共に、励磁コイルにより磁気共鳴素子に磁界を印加し、磁界の強度を変化させて上記磁気共鳴素子の共鳴周波数を変化させ、発振周波数を周波数掃引する発振器が正常に周波数掃引動作するか否かを試験する発振器試験装置において、上記発振トランジスタのエミッタ電流を測定するエミッタ電流測定手段と、上記磁界の強度を変化させる磁界調整手段とを設け、上記磁界調整手段により、上記磁気共鳴素子に与える磁界の変化に従って上記エミッタ電流測定手段で測定するエミッタ電流が所定の電流値以上を維持するか否かにより被試験発振器が正常に周波数掃引しているか否かを判定する発振器試験装置。
【請求項3】請求項2記載の発振器試験装置において、上記エミッタ電流測定手段は上記発振用トランジスタのエミッタにエミッタ電源を印加するエミッタ電源端子に直列に接続した電流計で構成し、上記磁場調整手段は上記励磁コイルに流れる励磁電流を手動で変化させる手動調整手段で構成したことを特徴とする発振器試験装置。
【請求項4】請求項2記載の発振器試験装置において、上記エミッタ電流測定手段は上記発振用トランジスタのエミッタにエミッタ電源を接続するためのエミッタ電源端子に直列接続した抵抗器で構成すると共に、上記励磁コイルにはランプ波形電流を所定の繰返し周期で印加し、上記抵抗器に発生する電圧をオシロスコープのY軸入力端子に入力し、上記ランプ電流に対応したランプ電圧をオシロスコープのX軸入力端子に入力して上記エミッタ電流の変化を表示器に表示させ、上記ランプ電圧の掃引区間中に上記エミッタ電流が急減する現象が発生するか否かにより発振器が正常に周波数掃引しているか否かを判定する発振器試験装置。
【請求項5】請求項2記載の発振器試験装置において、上記エミッタ電流測定手段は上記発振用トランジスタのエミッタにエミッタ電源を接続するためのエミッタ電源端子に直列接続した抵抗器で構成すると共に、上記励磁コイルにはランプ波形電流を所定の繰返し周期で印加し、上記抵抗器に発生する電圧をAD変換器でAD変換し、このAD変換した電圧データをコンピュータに入力し、コンピュータの演算処理により上記電圧データに急減現象が発生したか否かを判定させる構造としたことを特徴とする発振器試験装置。
【図7】
【図1】
【図2】
【図4】
【図8】
【図12】
【図3】
【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1】
【図2】
【図4】
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【図12】
【図3】
【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2002−55139(P2002−55139A)
【公開日】平成14年2月20日(2002.2.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−243964(P2000−243964)
【出願日】平成12年8月11日(2000.8.11)
【出願人】(390005175)株式会社アドバンテスト (1,005)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成14年2月20日(2002.2.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成12年8月11日(2000.8.11)
【出願人】(390005175)株式会社アドバンテスト (1,005)
【Fターム(参考)】
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