説明

発振回路、圧電発振器、圧電発振器の製造方法

【課題】圧電発振器の低背化の妨げを防止する。
【解決手段】水晶発振器1を制御するINH端子31と、水晶振動片2への入出力端子であるXT端子32,33と、アースされたGND端子34と、集積回路素子3に電源供給を行うVDD端子35と、水晶発振器1の出力端子であるOUT端子36とを含む発振回路6の配線パターンを集積回路素子3に形成し、各端子31〜36に保護ダイオードD1〜D6を接続する。この工程においてGND端子34をGND端子として用いVDD端子35をVDD端子として用いるか、または、GND端子34とVDD端子35とを変更してGND端子34をVDD端子35として用いVDD端子35をGND端子34として用いるかを選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発振回路、圧電発振器、圧電発振器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、電子機器の小型化が急速に進められている。そのため、この小型化にともなって電子機器に用いられる電子部品にも更なる小型化が求められている。ここでいう電子部品として、例えば、圧電発振器などが挙げられる。
【0003】
圧電発振器は、セラミック多層基板からなるベースと、ベース内に搭載する集積回路素子および水晶振動片と、ベースに搭載した集積回路素子および水晶振動片を気密封止する金属蓋体とを備えている。この圧電発振器の製造方法のうち、集積回路素子および水晶振動片をベースに搭載する方法として以下に示す方法がある。
【0004】
水晶振動片(具体的に引出電極)をベース(具体的に電極パッド)に導電性接合材により直接接合し、集積回路素子(具体的に接続電極端子)をベース(具体的に電極パッド)にワイヤボンディングにより間接的に接合する方法がある(例えば、特許文献1参照)。この方法によれば、ベースへの集積回路素子の接合にワイヤボンディング接合を用いるので、ワイヤを用いてベースの電極パッドに間接的に集積回路素子の端子が接合される。そのため、集積回路素子のベースへのワイヤボンディングが行い易いように、集積回路素子の接続電極端子が集積回路素子の表面に配されるように集積回路素子がベースに搭載される。
【0005】
また、別の方法として、水晶振動片をベースに導電性接合材により直接接合し、集積回路素子をベースにFCB(Flip Chip Bonding)法により直接接合する方法がある(例えば、特許文献2参照)。この方法によれば、ベースへの集積回路素子の接合にFCB法を用いるので、ベースの電極パッドに直接導電性接合材により集積回路素子の接続電極端子が接合される。そのため、集積回路素子の端子が集積回路素子の裏面に配されるように集積回路素子がベースに設けられる。
【特許文献1】特開2006−157513号公報
【特許文献2】特開2005−318436号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記した2つの接合方法(ワイヤボンディングによる接合とFCB法による接合)によれば、ベースに搭載した際に集積回路素子の表裏面の配置が異なる。そのため、これら2つの接合方法によれば、ベースに集積回路素子を搭載した時のベース上における集積回路素子の接続電極端子の位置が異なる。
【0007】
上記した相違により次に示す不具合が生じる。2つの接合方法に関係なく集積回路素子を用いる場合、ベースに設けた集積回路素子の接続電極端子の位置が異なるので、いずれかの接続方法にあわせて設定したベースの配線パターンを用いて他の接続方法による接合を行った場合、相違する各接続電極端子の位置に基づいてベースの配線パターンの設計変更を行う必要がある。例えば、ワイヤボンディングによる接合に対応させたベース及び集積回路素子をFCB法による接合に適用した場合、当該ベースの配線パターンではFCB法による接合に対応させることができない。そのため、FCB法による接合に対応させるために、例えば、べースの層を増やしてこの増加させた層に新たに配線パターンを形成するなどの対策がとられる。しかしながら、この対策の場合、ベースの層を増やすために圧電発振器の低背化(小型化)の妨げとなる。
【0008】
そこで、上記課題を解決するために、本発明は、圧電発振器の低背化の妨げを防止する発振回路、圧電発振器、圧電発振器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明にかかる圧電発振器に用いる発振回路の製造方法は、アースされたグランド端子と、当該圧電発振器に電源供給を行う電源端子と、発振部である圧電振動片と接続する圧電振動片端子とを含む前記発振回路の配線パターンを発振用電子部品に形成する配線パターン形成工程と、前記各端子に保護ダイオードを接続する接続工程と、前記配線パターン形成工程において前記グランド端子をグランド端子として用い前記電源端子を電源端子として用いるか、または、前記グランド端子と前記電源端子とを変更して前記グランド端子を電源端子として用い前記電源端子をグランド端子として用いるかを選択する選択工程と、を有していることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、前記配線パターン形成工程と前記接続工程と選択工程とを有するので、新たに製造工程を追加せずに当該発振回路を形成する発振用電子部品の各端子位置を実質的に変更することが可能となる。その結果、追加の製造工程が無い分、製造コストを削減するとともに製造時間を抑えた状態で圧電発振器の量産を行うことが可能となる。また、本発明によれば、例えば、ワイヤボンディングによる接合とFCB法による接合とを限定せずに圧電発振器(具体的には発振回路を形成する発振用電子部品)を製造することが可能となる。その結果、べースの層を増やしてこの増加させた層に新たに配線パターンを形成するなどの対策をとらずに圧電発振器の低背化の妨げを防止することが可能となる。また、本来保護ダイオードを必要としない前記グランド端子に前記保護ダイオードを接続するので、他の端子への保護ダイオードを設けるための配線パターンと比較して、容易な配線パターンの設計変更によって当該発振回路を形成することが可能となる。
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明にかかる発振回路は、圧電発振器に用いる発振回路であって、アースされたグランド端子と、当該圧電発振器に電源供給を行う電源端子と、発振部である圧電振動片と接続する圧電振動片端子とを含み、前記各端子にそれぞれ保護ダイオードが接続され、前記グランド端子をグランド端子として用い前記電源端子を電源端子として用いるか、または、前記グランド端子と前記電源端子とを変更して前記グランド端子を電源端子として用い前記電源端子をグランド端子として用いるかを選択する選択手段が設けられたことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、前記グランド端子と前記電源端子と前記圧電振動片端子とを含み、前記各端子にそれぞれ保護ダイオードが接続され、選択手段が設けられるので、当該発振回路が形成される部品である発振用電子部品の各端子位置を実質的に変更することが可能となる。そのため、例えば、ワイヤボンディングによる接合とFCB法による接合に問わずに発振用電子部品を用いることが可能となる。その結果、発振用電子部品の接合方法に関係なく圧電発振器の低背化の妨げを防止することが可能となる。また、本発明によれば、様々な接合方法によって製造する圧電発振器に適用することが可能であるので、製造コストを削減するとともに製造時間を抑えた状態で圧電発振器の量産を行うことが可能となる。また、本来保護ダイオードを必要としない前記グランド端子に前記保護ダイオードを接続するので、他の端子への保護ダイオードを設けるための配線パターンと比較して、容易な配線パターンの設計変更によって当該発振回路を形成することが可能となる。
【0013】
上記の目的を達成するため、本発明にかかる圧電発振器は、ベース上に搭載された、振動部である圧電振動片と、上記した本発明にかかる発振回路が形成された発振用電子部品と、が蓋により気密封止されたことを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、前記圧電振動片と、上記した本発明にかかる発振回路が形成された発振用電子部品と、が前記蓋により気密封止されるので、前記発振回路が形成された発振用電子部品の各端子位置を実質的に変更することが可能となり、ワイヤボンディングによる接合とFCB法による接合に問わずに前記発振用電子部品を用いることが可能となる。その結果、前記発振用電子部品の接合方法に関係なく当該圧電発振器の低背化の妨げを防止することが可能となる。また、本発明によれば、様々な接合方法によって製造する当該圧電発振器に用いることができるので、製造コストを削減するとともに製造時間を抑えた状態で当該圧電発振器の量産を行うことが可能となる。
【0015】
前記構成において、前記ベースは複数のベース層が積層されてなり、前記発振用電子部品を搭載したベース層は最下層であってもよい。
【0016】
この場合、前記発振用電子部品を搭載したベース層が最下層であるので、新たに配線パターンを形成するためにベース層を設けなくても良く、圧電発振器の低背化の妨げを防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、圧電発振器の低背化の妨げを防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施例では、圧電発振器として水晶発振器に本発明を適用した場合を示す。
【0019】
本実施例にかかる水晶発振器1は、図1に示すように、水晶振動片2(本発明でいう圧電振動片)と、集積回路素子3(本発明でいう発振用電子部品)と、これら水晶振動片2および集積回路素子3を搭載するベース4と、ベース4に搭載した水晶振動片2および集積回路素子3を気密封止するための蓋5と、からなる。
【0020】
この水晶発振器1では、ベース4と蓋5とが接合されて筐体が構成され、筐体の内部(以下、内部空間11という)のベース4上に水晶振動片2および集積回路素子3が搭載されるとともに、筐体の内部が気密封止される。なお、本実施例でいう内部空間11とは、蓋5とベース4により気密封止された領域のことをいう。次に、この水晶発振器1の各構成について説明する。
【0021】
水晶振動片2は、図1に示すように、ATカットの水晶片(図示省略)からなり、平面視矩形上の一枚板の直方体に成形されている。この水晶振動片2の両主面21、22には、それぞれ励振電極23,24と、これらの励振電極23,24を外部電極(本実施例では、下記するベース4の電極パッド48a,48b)と電気的に接続するために励振電極23,24から引き出された引出電極25,26とが形成されている。これらの励振電極23,24及び引出電極25,26は、例えば、水晶振動板側からクロム、金の順に、あるいはクロム、金、クロムの順に、あるいはクロム、銀、クロムの順に積層して形成されている。なお、これら励振電極23,24と引出電極25,26との電極は、これら電極に対応した開口パターン形状を有する成膜マスクにより水晶振動片2の基板を被覆し、真空蒸着法あるいはスパッタリング法等により電極膜形成を行うことにより形成する。また、水晶振動片2はベース4に導電性接合材(図示省略)を介して接合されている。ここでいう導電性接合材として、銀フィラなどの導電材料を含有したシリコーン系樹脂の導電性接着剤が用いられ、この導電性接着剤を硬化させることで、複数の銀フィラが結合して導電性物質となる。なお、導電性接着剤はシリコーン系樹脂の導電性接着剤だけでなく、ウレタン系あるいはエポキシ系の導電接着剤であってもよい。また、導電性接合材の材料として金などの金属バンプを用いてFCB法により水晶振動片2をベース4に接合してもよい。
【0022】
集積回路素子3(本発明でいう発振用電子部品)は、上記した水晶振動片2とともに発振回路を構成する回路構成が集積形成された1チップ集積回路素子(例えば、C−MOS、Bi−MOS等)であり、必要に応じて温度補償回路あるいは電圧制御回路あるいはPLL出力回路等の回路が組み込まれている。この集積回路素子3は、図2に示すように、全体として直方体形状であり、集積回路素子3の下面(図1では上面)には6つの接続電極端子31,32,33,34,35,36が長手方向に2列等間隔(2×3行列)に形成されている。具体的に、6つの接続電極端子31〜36は、図1,2に示すように、それぞれ水晶発振器1を制御するINH端子31と、水晶振動片2への入出力端子であるXT端子32,33と、アース接続(グランド)されたGND端子34と、水晶発振器1(発振回路を含む集積回路素子3)に電源供給を行うVDD端子35(本発明でいう電源端子)と、水晶発振器1の出力端子であるOUT端子36から構成される。これら接続電極端子31〜36はその表面が金層および金バンプが形成されてなる。また、集積回路素子3の上面には導電層37(図2参照)が形成されている。導電層37はGND端子34に引き出され、アース接続(グランド)されている。また、この導電層37は、下面外周縁まで延出して形成されている。なお、集積回路素子3のベース4への接合は、ベース4への水晶振動片2の接合前にFCB法により金バンプなどの導電性バンプ(図示省略)を用いて、例えば加熱条件下で超音波振動エネルギを引加することにより電気機械的な接合が行なわれる。なお、ここでいう接合は、図1に示す集積回路素子3を矢印A方向に反転させて行う(すなわち、ベース4に搭載された集積回路素子3の上下面は図1に示す上下面と反転する)。また、ここでいう加熱はベース4を所定温度に加熱すること等により行う。また、必要に応じて集積回路素子3と下記する内部空間11の底面間に絶縁性樹脂材によるアンダーフィルが形成されてもよい。このアンダーフィルの形成により集積回路素子3の機械的接合強度を向上させることができる。
【0023】
蓋5は、金属材料からなり、図1に示すように、平面視矩形状の一枚板に成形されている。この蓋5を用いて、不活性ガス雰囲気中あるいは真空雰囲気中においてベース4の開口部を閉塞して気密封止を行ない、内部空間11を形成する。この蓋5の下面にはろう材(図示省略)が形成され、シーム溶接やビーム溶接等の手法によりベース4(下記するメタライズ層)に接合されて、蓋5とベース4とによる水晶発振器1のパッケージが構成される。パッケージが構成されることで、蓋5はベース4を介してベース4下面に形成された外部接続電極端子(図示せず)に引き出されてアース接続(グランド)されている。なお、蓋5をセラミック材料とし、ガラス材料を介して気密封止してもよい。
【0024】
ベース4は、アルミナ等のセラミック材料からなるセラミックパッケージであり、底部41と、この底部41から上方に延出した壁部42とから構成される箱状体に形成されている。このベース4は、上面から3層のベース層43a,43b,43cが積層してなり、平面視矩形状の一枚板上にセラミック材料の中空を有した直方体が2層積層して凹状に一体的に焼成されている。また、壁部42は、底部41の表面外周に沿って成形されている。この壁部42の上面は、蓋5との接合領域であり、この接合領域には、蓋5と接合するためのメタライズ層44が設けられ、メタライズ層44がベース4下面に設けられた外部接続電極端子(図示せず)に接続される。また、このベース1の平面視四隅にキャスタレーション45a,45b,45c,45dが形成されている。なお、図1に示すように、底部41はベース層43cから構成され、壁部42はベース層43a,43bとから構成され、水晶振動片2と集積回路素子3とは、最下層のベース層43c上に搭載されている。
【0025】
また、セラミック材料が積層して凹状に一体的に焼成されたベース4の内部空間11における側壁46には、図1に示すように段部47が形成され、この段部47上に水晶振動片2の励振電極23,24と電気的に接続する電極パッド48a,48bが形成されている。これら電極パッド48a,48bは、内部空間11における底部41上に形成される集積回路素子3と電気的に接続する電極パッド49a,49bと、引回電極(図示省略)を介して繋がっている。そして、内部空間11における底部41上に集積回路素子3と電気的に接続する電極パッド49a,49b,49c,49d,49e,49fが形成されている。
【0026】
これら電極パッド49a〜49fのうち電極パッド49c〜49fは、それぞれに対応した引回電極(図示省略)を介して、ベース4下面に設けられた外部接続電極端子にそれぞれ接続され、これら外部接続電極端子が外部部品や外部機器の外部電極に接続される。なお、これらの電極パッド49a〜49f、引回し電極、外部接続電極端子は、タングステン、モリブデン等のメタライズ材料を印刷した後にベース4と一体的に焼成して形成される。そして、これらの電極パッド49a〜49f、引回し電極、外部接続電極端子のうち一部のものについては、メタライズ上部にニッケルメッキが形成され、その上部に金メッキが形成されて構成される。
【0027】
次に、上記した集積回路素子3の発振回路6について図面を用いて説明する。なお、図3に示す発振回路6は、FCB法による接合に対応させた集積回路素子3の発振回路6である。
【0028】
水晶発振器1の発振回路6は、図3に示すように、水晶振動片2とこれを動作させるためのインバータIや抵抗Rが並列接続され、これらインバータIや抵抗Rの両端と各グランド間にコンデンサC1,C2が配置された回路構成を有している。ここでいうコンデンサC1,C2は周波数決定パラメータの一つであり、この静電容量値を所定値に抑えて静電容量値が変動することによる水晶発振器1の特性の悪影響を抑えるものである。そして、この発振回路6は、図3に示すように、水晶振動片2の入出力端子であるXT端子32,33、VDD端子35、およびGND端子34に対してそれぞれ保護ダイオードD1,D2,D3,D4,D5,D6が接続され、VDD端子35がインバータIと接続されている。なお、保護ダイオードD1〜D6は、集積回路素子3がCMOSで構成されているために各端子への過電圧を逃がす目的で各端子に接続されている。
【0029】
ところで、上記した水晶発振器1では、FCB法によりベース4に集積回路素子3を接合している。しかしながら、集積回路素子3の接合方法は上記した水晶発振器1に限らず、図4に示す集積回路素子3の接合方法であってもよい。この図4に示す集積回路素子3の接合方法を次に図面を用いて説明する。ここでいう図4に示す集積回路素子3の接合方法とは、集積回路素子3のベース4への接合が、図1に示すFCB法ではなく図4に示すようなワイヤYを用いたワイヤボンディングによる接合である。なお、上記した図1に示す水晶発振器1と同一の部材についてはその説明を省略する。
【0030】
この図4に示すワイヤYを用いたワイヤボンディングによる接合によれば、集積回路素子3のベース4への接合向きが図1に示す集積回路素子3のベースへの接合向きと異なり、集積回路素子3の上下面を反転させずにそのまま搭載する。また、ベース4の最下層(ベース層43c)には、集積回路素子3を配するための凹状のスペース部411が形成されている。
【0031】
上記したように、FCB法とワイヤボンディングとによる集積回路素子3の接合方法は、図1,4に示すように、集積回路素子3のベース4への接合向きが異なるため、接合方法によって集積回路素子の各端子の位置が異なる。すなわち、それぞれに対応した集積回路素子3を用いなければならない。
【0032】
そこで、本実施例では、XT端子32,33とGND端子34とVDD端子35とにそれぞれ保護ダイオードD1〜D6が接続され、GND端子34をGND端子として用いVDD端子35をVDD端子として用いるか、または、GND端子34とVDD端子35とを変更してGND端子34をVDD端子35として用いVDD端子35をGND端子34として用いるかを選択する選択手段が設けられている。この選択手段により、図2,3,5に示すように、図3に示すようにGND端子34をGND端子として用いVDD端子35をVDD端子として用いたり、図5に示すようにGND端子34とVDD端子35とを変更してGND端子34をVDD端子35として用いVDD端子35をGND端子34として用いることができる。そのため、図1,4に示すように集積回路素子3のベース4への接合向きが異なる場合であっても、同一の集積回路素子3を用いることができる。
【0033】
この選択手段は、集積回路素子3の製造工程において適用される。具体的に、集積回路素子3の接続電極端子(INH端子31とXT端子32,33とGND端子34とVDD端子35とOUT端子36)を含む発振回路6の配線パターンを形成する(配線パターン形成工程)際に行う。この配線パターン形成工程では、これら接続電極端子31〜36、およびこれら接続電極端子31〜36の電極パターンに対応した開口パターン形状を有する成膜マスクにより水晶振動片2の基板を被覆し、真空蒸着法あるいはスパッタリング法等により電極膜形成を行うことにより配線パターンを形成する。そして、集積回路素子3のINH端子31とXT端子32,33とGND端子34とVDD端子35とOUT端子36に、それぞれ保護ダイオードD1〜D6を接続する(接続工程)。
【0034】
上記した配線パターン形成工程においてGND端子34をGND端子として用いVDD端子35をVDD端子として用いるか、または、GND端子34とVDD端子35とを変更してGND端子34をVDD端子35として用いVDD端子35をGND端子34として用いるかを選択する(選択工程)。具体的に、FCB法による接合方法を採用する場合、選択工程においてGND端子34をGND端子として用いVDD端子35をVDD端子として用いて、図3に示す発振回路の配線パターンを形成する。また、ワイヤYを用いたワイヤボンディングによる接合方法を採用する場合、GND端子34とVDD端子35とを変更してGND端子34をVDD端子35として用いVDD端子35をGND端子34として用いて、図5に示す発振回路の配線パターンを形成する。
【0035】
上記した本実施例にかかる水晶発振器1に用いる発振回路の製造方法によれば、配線パターン形成工程と接続工程と選択工程とを有するので、接合方法がFCB法とワイヤボンディングとのいずれの接合方法によるものかによって図3に示す発振回路6と図5に示す発振回路6とのいずれかを選択することができ、その結果、本実施例は、接合方法に関係なく任意の水晶発振器1を製造することができ、その結果、水晶発振器1の量産を行うのに好ましい。また、本実施例によれば、新たに製造工程を追加せずに発振回路6を形成する集積回路素子3の接続電極端子(GND端子34とVDD端子35)の位置を実質的に変更することができる。その結果、追加の製造工程が無い分、製造コストを削減するとともに製造時間を抑えた状態で水晶発振器1の量産を行うことができる。また、本実施例にかかる製造方法により製造された水晶発振器1は、例えば、ワイヤボンディングによる接合とFCB法による接合に問わずに集積回路素子3を用いることができる。その結果、べース4の層を増やしてこの増加させた層に新たに配線パターンを形成するなどの対策をとらずに水晶発振器の低背化の妨げを防止することができる。また、本来保護ダイオードを必要としないGND端子34に保護ダイオードD6を接続するので、他の端子への保護ダイオードを設けるための配線パターンと比較して、容易な配線パターンの設計変更によって発振回路6を形成することができる。
【0036】
また、上記した実施例にかかる発振回路6および水晶発振器1によれば、発振回路6が形成された集積回路素子3の接続電極端子(GND端子34とVDD端子35)の位置を実質的に変更することができる。そのため、例えば、ワイヤボンディングによる接合とFCB法による接合に問わずに集積回路素子3を用いることができる。その結果、集積回路素子3の接合方法に関係なく水晶発振器1の低背化の妨げを防止することができる。また、実施例によれば、様々な接合方法によって製造する水晶発振器1に用いることができるので、製造コストを削減するとともに製造時間を抑えた状態で水晶発振器1の量産を行うことができる。また、本来保護ダイオードを必要としないGND端子34に保護ダイオードD6を接続するので、他の端子への保護ダイオードを設けるための配線パターンと比較して、容易な配線パターンの設計変更によって発振回路6を形成することができる。
【0037】
また、ベース4は3つのベース層43a〜43cが積層されてなり、集積回路素子3を搭載したベース層43cは最下層であるので、新たに配線パターンを形成するためにベース層を設けずに水晶発振器1の低背化の妨げを防止することができる。特に、図1に示すようにベース4の層を3層(ベース層43a,43b,43c)にすることができ、ベース4の低背化を図ることができる。
【0038】
また、集積回路素子3は、ベース4にFCB法により接合されることで、ワイヤボンディングによる集積回路素子3のベース4への接合に比べて内部空間11内にワイヤYのためのスペースを設けなくてもよく、水晶発振器1の低背化の妨げを防止することができる。
【0039】
なお、本実施例では、圧電振動片として、ATカットの水晶振動片を用いているが、これに限定されるものでなく、例えば、音叉型水晶振動片であってもよい。
【0040】
また、本実施例では、ベース4の層数を3つとしているが、少ない複数層であることが好ましい。
【0041】
また、本実施例では、圧電振動片に水晶を用いているが、これに限定されるものではなく、セラミックなどの他の圧電材料を用いてもよい。
【0042】
また、本発明にかかる選択手段は、上記した実施例に限定されるものではなく、図6に示す選択手段であってもよい。この図6に示す選択手段は、当該発振回路に2つのスイッチ部S1,S2を設けることで構成する。そして、これらスイッチ部S1,S2のスイッチング動作により、ワイヤボンディングによる接合とFCB法による接合との両方の接合に対応した発振回路を構成することができる。また、選択手段としてスイッチ部S1,S2を用いた場合、上記したように集積回路素子3の製造工程だけではなく製造後であってもVDD端子35とGND端子34との変更を可能とする。なお、図6では、2つのスイッチ部を設けているがスイッチ部の構成や数は用途に合わせて任意に設定可能である。
【0043】
なお、本発明は、その主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0044】
水晶発振器等の圧電発振器の量産に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、本実施例にかかる、集積回路素子のベースの接合にFCB法による接合方法を採用した水晶発振器の概略分解斜視図である。
【図2】図2は、本実施例にかかる、集積回路素子の概略構成図である。
【図3】図3は、図1に示す水晶発振器の発振回路の概略回路図である。
【図4】図5は、本実施例にかかる、集積回路素子のベースの接合にワイヤボンディングによる接合方法を採用した水晶発振器の概略分解斜視図である。
【図5】図5は、図4に示す水晶発振器の発振回路の概略回路図である。
【図6】図6は、本実施の他の例にかかる発振回路の概略回路図である。
【符号の説明】
【0046】
1 水晶発振器
2 水晶振動片
3 集積回路素子
32,33 XT端子
34 GND端子
35 VDD端子
4 ベース
43a〜43c ベース層
5 蓋
6 発振回路
D1〜D6 保護ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電発振器に用いる発振回路の製造方法において、
アースされたグランド端子と、当該圧電発振器に電源供給を行う電源端子と、発振部である圧電振動片と接続する圧電振動片端子とを含む前記発振回路の配線パターンを発振用電子部品に形成する配線パターン形成工程と、
前記各端子に保護ダイオードを接続する接続工程と、
前記配線パターン形成工程において前記グランド端子をグランド端子として用い前記電源端子を電源端子として用いるか、または、前記グランド端子と前記電源端子とを変更して前記グランド端子を電源端子として用い前記電源端子をグランド端子として用いるかを選択する選択工程と、を有していることを特徴とする圧電発振器に用いる発振回路の製造方法。
【請求項2】
圧電発振器に用いる発振回路であって、
アースされたグランド端子と、当該圧電発振器に電源供給を行う電源端子と、発振部である圧電振動片と接続する圧電振動片端子とを含み、
前記各端子にそれぞれ保護ダイオードが接続され、
前記グランド端子をグランド端子として用い前記電源端子を電源端子として用いるか、または、前記グランド端子と前記電源端子とを変更して前記グランド端子を電源端子として用い前記電源端子をグランド端子として用いるかを選択する選択手段が設けられたことを特徴とする発振回路。
【請求項3】
ベース上に搭載された、振動部である圧電振動片と、請求項1または2に記載の発振回路が形成された発振用電子部品と、が蓋により気密封止されたことを特徴とする圧電発振器。
【請求項4】
前記ベースは複数のベース層が積層されてなり、
前記発振用電子部品を搭載したベース層は最下層であることを特徴とする請求項3に記載の圧電発振器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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