発振回路及び霧化装置
【課題】 少ない部品点数で電源電圧の2倍以上の振幅を得ることができ、かつ、回路を構成する電子部品の定数ばらつきに起因する発振周波数変動を低減することが可能な発振回路を提供する。
【解決手段】 発振回路1は、入力される信号を増幅する増幅部10と、一次側コイルL1と二次側コイルL2とを有し、増幅部10の出力端に一次側コイルL1が接続されたトランス20と、トランス20の二次側コイルL2に一端が接続されるとともに、他端が圧電振動子40を介して増幅部10の入力端に接続される帰還部30とを備える。増幅部10及び前記トランス20は特定の共振周波数を持たず、帰還部30は、トランス20の二次側コイルL2から出力される信号の内、圧電振動子40を共振させる周波数の発振信号を選択して増幅部10へ帰還させる。
【解決手段】 発振回路1は、入力される信号を増幅する増幅部10と、一次側コイルL1と二次側コイルL2とを有し、増幅部10の出力端に一次側コイルL1が接続されたトランス20と、トランス20の二次側コイルL2に一端が接続されるとともに、他端が圧電振動子40を介して増幅部10の入力端に接続される帰還部30とを備える。増幅部10及び前記トランス20は特定の共振周波数を持たず、帰還部30は、トランス20の二次側コイルL2から出力される信号の内、圧電振動子40を共振させる周波数の発振信号を選択して増幅部10へ帰還させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発振回路、及び該発振回路を用いた霧化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、発振回路は、さまざまな電子機器において広く利用されている。例えば、特許文献1には、発振回路を利用して超音波振動子を振動させて液体の噴霧を行う噴霧装置が開示されている。このような噴霧装置では、液体の霧化を促進するため、より高い電圧で超音波振動子を駆動することが好ましい。そこで、特許文献1に記載の回路では、電源電圧を昇圧する昇圧回路(DC−DCコンバータ)を設け、電源電圧を該昇圧回路で噴霧に必要な電圧まで昇圧して発振回路に印加している。そのため、この発振回路によれば、電源電圧よりも高い電圧振幅で超音波振動子を駆動することができる。
【0003】
また、特許文献2には、発振回路を構成する増幅回路と帰還回路との間に、トランジスタと昇圧コイルとからなる昇圧回路が設けられた発振回路が開示されている。このトランジスタのベースは増幅回路の出力端に接続され、エミッタは接地され、コレクタは昇圧コイルと接続されている。この発振回路によれば、昇圧コイルによって昇圧された信号で圧電振動子を励振駆動することができる。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の回路では、発振回路の前段に、電源電圧を昇圧するための昇圧電源回路(DC−DCコンバータ)を設ける必要があるため、部品点数が増加し、ひいてはコストの増大や実装面積の増大といった問題が生じる。また、特許文献2に開示されている発振回路では、受動素子で等価的に表される圧電振動子や水晶振動子等を用いた場合には、振動子が安定して自励振を続ける際に、その振動中心に相当する電位、すなわち電源電圧を中心として上下に等しい電圧幅だけ電圧振幅が得られる。そのため、この発振回路で得られる昇圧発振出力の振幅は、電源電圧の2倍までが限界となる。
【0005】
一方、特許文献3には、増幅部にトランス(変圧器)を導入した発振回路が開示されている。この発振回路では、増幅部を構成するトランジスタのコレクタにトランスの一次側コイルが接続されている。また、該トランスの二次側コイルとコンデンサとが並列に接続されて並列共振回路が形成されるとともに、トランスで昇圧された電圧が圧電トランス(圧電振動子)に印加される構成となっている。この発振回路によれば、より少ない部品点数で電源電圧の2倍以上の振幅を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭58−76157号公報
【特許文献2】特許第2952815号公報
【特許文献3】特公昭60−5346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3に開示されている発振回路では、二次側コイルL2とコンデンサC1とで形成された並列共振回路により、圧電振動子の共振周波数成分のみを取り出す構成とされているため、図12に示されるように、ゲインが大きく取れる反面、並列共振周波数1/{2π√(L2・C1)}付近で位相、ゲインが急変する。そのため、回路定数L2、C1のばらつきに対する発振周波数の変動が大きくなる。すなわち、部品ばらつきによって、発振周波数が大きくずれる。この発振回路を例えば超音波霧化器に適用した場合には、部品ばらつきによって圧電振動子の発振周波数がずれることにより、霧化の効率が低下するおそれがある。
【0008】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、少ない部品点数で電源電圧の2倍以上の振幅を得ることができ、かつ、回路を構成する電子部品の定数ばらつきに起因する発振周波数変動を低減することが可能な発振回路、及び該発振回路を用いた霧化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る発振回路は、入力される信号を増幅する増幅部と、一次側コイルと二次側コイルとを有し、増幅部の出力端に一次側コイルが接続されたトランスと、トランスの二次側コイルに一端が接続されるとともに、他端が振動子を介して増幅部の入力端に接続される帰還部とを備え、増幅部及びトランスが特定の共振周波数を持たず、帰還部が、トランスの二次側コイルから出力される信号の内、振動子を共振させる周波数の信号を選択して増幅部へ帰還させることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る発振回路によれば、増幅部と帰還部との間にトランスが挿入されている。そのため、高圧電源を設けることなく、トランスの巻数比に応じて、電源電圧の2倍以上の振幅を持った発振信号を生成して、振動子に印加することができる。ここで、増幅部は共振周波数を持たず、専ら帰還部で振動子の共振周波数の信号を選択するように構成されている。このように、増幅部及びトランスは共振周波数(共振回路)を有しないため、ゲインは小さいが、振動子の共振周波数付近においてゲイン、位相回転量が略一定(フラット)になるように設計することができる。よって、増幅部を構成する部品の定数ばらつきによる発振周波数への影響を低減することができる。その結果、少ない部品点数で電源電圧の2倍以上の振幅を得ることができ、かつ、回路を構成する電子部品の定数ばらつきに起因する発振周波数変動を低減することが可能となる。
【0011】
本発明に係る発振回路では、増幅部が、トランジスタを有し、該トランジスタのコレクタにトランスの一次側コイルが接続されたエミッタ接地型増幅回路であり、ベースとトランスの二次側コイルとの間に帰還部が接続されていることが好ましい。
【0012】
この場合、トランジスタのコレクタにトランスの一次側コイルが接続されているため、コレクタ端では、電源電圧を中心として該電源電圧の2倍の振幅を持った発振信号が生成される。そして、この発振信号がトランスによってさらに昇圧される。よって、電源電圧をVcc、トランスの一次側コイルの巻数をL1、二次側コイルの巻数をL2とすると、2Vcc√(L2/L1)の振幅を持った発振信号を振動子に印加することが可能となる。
【0013】
本発明に係る発振回路では、帰還部が、コルピッツ型又はハートレー型の帰還回路により構成されていることが好ましい。このようにすれば、増幅部が共振回路を有していなくても、すなわち、増幅部が共振周波数を選択する機能を有していなくても、帰還部で発振周波数を決定することができる。
【0014】
本発明に係る発振回路では、振動子が、圧電振動子であることが好ましい。この場合、振動子として周波数安定性が高い圧電振動子を用いることにより、安定した発振信号を得ることが可能となる。
【0015】
本発明に係る霧化装置は、上記発振回路と、圧電振動子に液体を供給する供給手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る霧化装置によれば、上述した発振回路を備えているため、電源電圧の2倍以上の振幅を持ち、かつ発振周波数変動が小さい発振信号により圧電振動子を駆動することができる。よって、霧化に好適な振幅・周波数を持った発振信号を圧電振動子に印加することができる。その結果、好ましい粒子径の霧を大量に発生させることが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、少ない部品点数で電源電圧の2倍以上の振幅を得ることができ、かつ、回路を構成する電子部品の定数ばらつきに起因する発振周波数変動を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態に係る発振回路の構成を示す回路図である。
【図2】第1実施形態に係る発振回路の増幅部(トランスを含む)のシミュレーションモデルを示す図である。
【図3】第1実施形態に係る発振回路の増幅部(トランスを含む)のゲイン・位相特性を示す図である。
【図4】圧電振動子の等価回路を示す回路図である。
【図5】第1実施形態に係る発振回路の動作を説明するための図である。
【図6】第1実施形態に係る発振回路における回路定数ばらつきと発振周波数との関係を示す図である。
【図7】第1実施形態に係る発振回路の変形例を示す回路図である。
【図8】第2実施形態に係る発振回路の構成を示す回路図である。
【図9】第2実施形態に係る発振回路の動作を説明するための図である。
【図10】第3実施形態に係る発振回路の構成を示す回路図である。
【図11】実施形態に係る超音波霧化装置の霧化粒子噴射部を示す模式図である。
【図12】従来の発振回路の増幅部のゲイン、位相特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0020】
[第1実施形態]
まず、図1を用いて、第1実施形態に係る発振回路1の構成について説明する。図1は、発振回路1の構成を示す回路図である。
【0021】
発振回路1は、直流電源電圧Vccに制限されることなく、圧電振動子40に適切な電圧を印加して、発振させることができるコルピッツ型の発振回路である。そのため、発振回路1は、入力(又は帰還)される発振信号を増幅する増幅部10と、一次側コイル(インダクタ)L1と二次側コイル(インダクタ)L2とを有し、増幅部10から出力される発振信号を昇圧するトランス20と、トランス20によって昇圧された発振信号を圧電振動子40を介して増幅部10に帰還させる帰還部30とを備えている。なお、増幅部10及びトランス20の(ゲイン、位相回転量)を(Av、θv)とし、帰還部30の(ゲイン、位相回転量)を(Aβ、θβ)とした場合に、発振回路1は、次式(1)(2)の発振条件(振幅条件及び位相条件)を満たしている。
振幅条件: Av・Aβ≧1 ・・・(1)
位相条件: θv+θβ=360・n (n=0,1,2,・・) ・・・(2)
続いて、発振回路1の各構成要素をより具体的に説明する。
【0022】
増幅部10は、励振用のNPNトランジスタQ1と、そのバイアス抵抗R1,R2,R3、によって構成されたエミッタ接地型の増幅回路である。より詳細には、電源Vcc−GND間に挿入された抵抗R1と抵抗R2との接続部に、トランジスタQ1のベースが接続されており、該ベースには帰還部30を介して帰還される発振信号が入力される。一方、トランジスタQ1のエミッタは、抵抗R3を介して接地されている。また、コレクタには、トランス20の一次側コイルL1が接続されており、増幅部10で増幅された信号は、このトランス20に出力される。
【0023】
トランス20は、一次側コイル(インダクタ)L1と二次側コイル(インダクタ)L2とを有して構成された信号昇圧用のトランスである。ここで、一次側コイルL1の一端及び二次側コイルL2の一端は電源Vccに接続され、一次側コイルL1の他端は、トランジスタQ1のコレクタに接続されている。トランス20は、増幅部10から出力される発振信号を一次側コイルL1と二次側コイルL2との巻数比L2/L1に応じて昇圧して出力する。そして、トランス20によって昇圧された発振信号は、二次側コイルL2の他端から出力され、帰還部30を構成する圧電振動子40に印加されるとともに、該圧電振動子40(帰還部30)を介して上述した増幅部10を構成するトランジスタQ1のベースに戻される。なお、トランス20によって昇圧された発振信号は、Vosc点から取り出すこともできる。
【0024】
ここで、図2に示される増幅部10(トランス20を含む)のシミュレーションモデルを用いて演算した増幅部10(トランス20を含む)のゲイン、位相特性を図3に示す。図2に示されるように、このシミュレーションモデルでは、トランジスタQ1としてQC1815(2SC1815)を用い、抵抗R1,R2=10kΩ、抵抗R3=4.7Ω、トランス20の一次側コイルL1=30μH、二次側コイルL2=180μH、コンデンサC3=1μFと設定した。また、電源電圧Vcc=3V、入力信号源V1をAC10Vとしてシミュレーションを行った。
【0025】
シミュレーションの結果を図3に示す。図3の横軸は周波数(kHz)、縦軸はゲイン(dB:左目盛)及び位相(deg:右目盛)である。また、ゲインを実線で、位相を破線で示した。増幅部10(トランス20を含む)は並列共振回路を含んでいないため、ゲインは低いが、図3に示されるように、ゲイン及び位相回転量は圧電振動子40の共振周波数(115kHz)付近において略一定となっている。そのため、回路定数ばらつきの発振周波数に及ぼす影響が非常に小さい。
【0026】
帰還部30は、圧電振動子40と帰還コンデンサC1,C2とからなる所謂コルピッツ型の帰還回路として構成されている。具体的には、圧電振動子40の入力端子がトランス20の二次側コイルL2に接続されるとともに、圧電振動子40の出力端子が増幅部10のトランジスタQ1のベースに接続されている。また、圧電振動子40の入力端子がコンデンサC1を介して接地されるとともに、圧電振動子40の出力端子がコンデンサC2を介して接地されている。帰還部30は、上述した位相条件を満たすように位相回転量を調整する。また、帰還部30は、発振回路1の発振周波数を決定する周波数選択機能を有している。すなわち、帰還部30は、トランス20の二次側コイルL2から出力される信号の内、圧電振動子40を共振させる周波数の発振信号を選択して増幅部10へ戻す働きをする。
【0027】
圧電振動子40は、例えば、PZTやチタン酸バリウム等の圧電セラミックスから形成されている。圧電振動子40は、図4に示されるように、コイルLs、コンデンサCs、及び抵抗器Rsの直列回路と、コンデンサCpとが並列接続された等価回路で表される。圧電振動子40は、特定の周波数で共振特性を示し、電圧が印加されると逆圧電効果によって強い機械的振動を起こし、その機械的振動に見合った電圧を圧電効果によって出力する。なお、この機械的振動が、例えば、液体の霧化等に利用される。
【0028】
次に、図1及び図5を併せて参照しつつ、発振回路1の動作について説明する。ここで、図5は、発振回路1の動作を説明するための図であり、発振回路1各部の動作波形を(a)〜(d)に示す。具体的には、図5(a)はトランジスタQ1のベース電位Vb(V)を示し、(b)は一次側コイルL1の誘導起電流ILの変化割合dIL/dt(mA)を示す。また、(c)はトランジスタQ1のコレクタ電位Vc(図1のVc点の電位)(Vpp)を示し、(d)は、発振回路1の出力Vosc(図1のVosc点の電位)(Vpp)を示す。ここでは、上記各動作波形を(1)第1過程〜(4)第4過程(図5において破線で区切られた(1)〜(4)に対応)に分けて説明する。
【0029】
(1)第1過程
第1過程は、ベース電位Vbが、トランジスタQ1の閾値Vth(0.6V)よりも大きく、かつベース電位Vbが増加する過程である。この過程では、まず、ベース電位Vbが増加し始めることに伴い、トランジスタQ1のコレクタ−エミッタ間が導通し始め、トランジスタQ1が次第にON状態となる。それにより、図1に示す矢印の向き(以下「+」方向という)に一次側コイルL1に流れる電流Icが増加し始める。一方、電流Icが増加するに従って、一次側コイルL1に流れる電流Icの増加を妨げる方向(「−」方向)に、誘導起電流ILが流れる。その結果、コイルL1には誘導起電圧−L1・dIL/dtが発生する。第1過程では、dIL/dt<0であるため、コレクタ電位Vcは、Vcc+L1・dIL/dtと昇圧される。なお、コイルL1で位相遅れが90°生じるため、ベース電位Vbに対してコレクタ電位Vcは常に90°遅れる。
【0030】
(2)第2過程
第2過程は、ベース電位Vbが、トランジスタQ1の閾値Vthよりも大きく、かつベース電位Vbが減少する過程である。この過程では、ベース電位Vbが減少し始めることに伴って、一次側コイルL1に流れる電流Icが減少し始める。そのため、その変化を妨げる向き(「+」方向)に誘導起電流ILが流れるように、Vc点(図1参照)に誘導起電圧が発生する。第2過程では、dIL/dt>0であるため、コレクタ電位Vcは、Vcc−L1・dIL/dtとなり、減少を始める。ただし、トランジスタQ1のコレクタ電位VcはGND以下にはならないため、コレクタ電位Vc=GNDとなったところで減少は止まる。
【0031】
(3)第3過程
第3過程は、ベース電位Vbが、トランジスタQ1の閾値Vthよりも小さく、かつベース電位Vbがさらに減少する過程である。この過程において、ベース電位Vbが減少すると、一次側コイルL1に流れる電流Icがさらに減少する。ただし、その減少割合は次第に低下する。それに伴い、その変化を妨げる向き(「+」方向)に誘導起電流ILが流れるようにVc点に発生する誘導起電圧も徐々に低下する。よって、第3過程では、dIL/dt>0であるため、コレクタ電位VcはVcc−L1・dIL/dtとなるが、ここで、−L1・dIL/dtの値が次第に減少するため、Vc点の電位は徐々に増加する。
【0032】
(4)第4過程
第4過程は、ベース電位VbがトランジスタQ1の閾値Vthよりも小さく、かつベース電位Vbが増加する過程である。この過程において、ベース電位Vbが増加に転じると、それに合わせて、一次側コイルL1に流れる電流Icが増加に転じる。よって、その変化を妨げる向き(「−」方向)に誘導起電流ILが流れるように、Vc点に誘導起電圧が発生する。第4過程では、dIL/dt<0であるため、コレクタ電位Vcは、Vcc+L1・dIL/dtとなり、さらに増加する。ただし、その増加割合は徐々に低下する。
【0033】
このように、コレクタ電位Vc(Vc点)には、電源電圧Vccを基準として、±L1・dIL/dtだけ昇圧された信号が出力される。ただし、上述したようにコレクタ電位Vc<GNDとはならないので、得られる振幅の下限はGNDである。また、圧電振動子40は機械的共振子であり、基準バイアス電圧に対して正負方向に等しく振動することから、Vc点で得られる発振振幅は最大で2×Vcc(Vpp)となる。
【0034】
そして、次に、得られた発振信号Vcは、トランス20の二次側コイルL2に伝達されることで、電源電圧範囲(Vcc−GND)に制限されることなく、√(L2/L1)倍に昇圧されて出力される(図5(d)参照)。従って、Vosc点(図1参照)で得られる振動振幅Voscは、2×Vcc×√(L2/L1)となる。
【0035】
本実施形態によれば、トランジスタQ1のコレクタにトランス20の一次側コイルL1が接続されているため、コレクタ端では、電源電圧Vccを中心として該電源電圧Vccの2倍の振幅を持った発振信号が生成される。そして、この発振信号がトランス20によってさらに昇圧されるため、電源電圧Vcc×2×√(L2/L1)の発振振幅Voscを得ることができる。よって、トランス20の巻数比L2/L1を適切に設定することで、圧電振動子40を、電源電圧Vccの2倍以上の発振振幅Voscで駆動することができる。また、増幅部10及びトランス20は共振周波数を持たず、専ら帰還部30で圧電振動子40の共振周波数の発振信号を選択するように構成されている。このように、増幅部10及びトランス20は共振周波数(共振回路)を持たないため、ゲインは小さいが、圧電振動子40の共振周波数付近においてゲイン、位相回転量が略一定になるように設計することができる。よって、増幅部10を構成する部品の定数ばらつきによる発振周波数への影響を低減することができる。その結果、少ない部品点数で電源電圧の2倍以上の振幅を得ることができ、かつ、回路を構成する電子部品の定数ばらつきに起因する発振周波数変動を低減することが可能となる。
【0036】
ここで、発振回路1における回路定数ばらつきと発振周波数との関係を図6に示す。また、図6には、増幅部に並列共振回路を含む上記特許文献3記載の従来技術における回路定数ばらつきと発振周波数との関係も併せて示した。図6の実線は、発振回路1を構成するトランス20の二次側コイルL2、及び帰還部30のコンデンサC1,C2の定数を±10%変化させたときの発振周波数変動量をシミュレーションにより求めた結果である。また、図6の破線は、従来技術の増幅部の並列共振回路の二次側コイルL2、コンデンサC1の定数を±10%変化させたときの発振周波数変動量をシミュレーションにより求めた結果である。図6に示されるように、発振回路1では、部品の定数が±10%変化したとしても、発振周波数変動量は略ゼロである。このように、発振回路1は、部品の定数ばらつきに対する発振周波数の安定性に優れていることがシミュレーションによっても確認された
【0037】
さらに、本実施形態によれば、振動子として周波数安定性が高い圧電振動子40を用いることにより、より安定した発振信号を得ることができる。
【0038】
[第1実施形態の変形例]
上述した発振回路1では、一次側コイルL1の一端及び二次側コイルL2の一端は共に電源Vccに接続されていたが、一次側コイルL1の一端を電源Vccに接続するとともに、二次側コイルL2の一端をGNDに接続する構成としてもよい。ここで、このように構成した発振回路1Aを図7に示す。発振回路1Aによれば、上述した発振回路1と同様の効果を奏することができる。さらに、この発振回路1Aによれば、GND電位を基準に±L1・dIL/dtだけ昇圧された信号がVc点に出力されるため、直流電圧が印加されない形で圧電振動子40を駆動することが可能となる。
【0039】
[第2実施形態]
次に、図8を用いて、第2実施形態に係る発振回路2の構成について説明する。図8は、発振回路2の構成を示す回路図である。なお、図8において第1実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号が付されている。
【0040】
発振回路2は、トランジスタを用いた増幅部10に代えて、オペアンプを用いた増幅部12が用いられている点で上述した発振回路1と異なっている。また、それに合わせて、トランス20の接続形態が発振回路1と異なっている。なお、その他の構成は、発振回路1と同一または同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0041】
増幅部12は、オペアンプU1と、抵抗R21,R22とで構成された反転増幅器を有している。より具体的には、両電源タイプのオペアンプU1と、帰還部30とオペアンプU1の反転入力端子(−)とを接続する抵抗R21と、オペアンプU1の出力端子と反転入力端子(−)とを接続する帰還(フィードバック)抵抗R22とで反転増幅器が構成されている。オペアンプU1の非反転入力端子(+)は、接地されている。また、オペアンプU1の出力端子とトランス20のコイルL1とはコンデンサC23を介して接続されている。このコンデンサC23は、オペアンプU1の出力端子とトランス20の一次側コイルL1とが直流的に短絡されることを防ぐための直流成分カット用コンデンサである。
【0042】
上述したように、トランス20の一次側コイルL1の一端はコンデンサC23を介してオペアンプU1の出力端子に接続されており、該一次側コイルL1の他端は接地されている。一方、トランス20の二次側コイルL2の一端は帰還部30に接続されており、該二次側コイルL2の他端は接地されている。トランス20によって昇圧された発振信号は、二次側コイルL2の一端から出力され、帰還部30を構成する圧電振動子40に印加されるとともに、該圧電振動子40(帰還部30)及び抵抗R21を介してオペアンプU1の反転入力端子(−)にフィードバックされる。なお、帰還部30の構成は、上述した第1実施形態のものと同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0043】
次に、図8及び図9を併せて参照しつつ、発振回路2の動作について説明する。ここで、図9は、発振回路2の動作を説明するための図であり、発振回路2各部の動作波形を(a)〜(c)に示す。具体的には、図9(a)はオペアンプU1の入力電圧AMP_IN(Vpp)を示し、(b)はオペアンプU1の出力電圧AMP_OUT(Vpp)を示し、(c)は発振回路2の出力OSC_OUT(Vpp)を示す。
【0044】
まず、図9(a)に示される発振信号がオペアンプU1の反転入力端子(−)に入力された場合、この入力信号に対して位相が180°変化(反転)した出力信号(増幅信号)がオペアンプU1の出力端子から出力される(図9(b)参照)。なお、増幅部12では、増幅素子であるオペアンプU1に供給される電源電圧範囲(Vcc−Vee)の振幅を持った出力信号が得られる。
【0045】
オペアンプU1から出力された発振信号は、トランス20の一次側コイルL1に入力される。ここで、トランス20は受動素子であるため、オペアンプU1に供給される電源電圧幅に制限を受けることが無く、一次側コイルL1に入力された信号を√(L2/L1)倍に昇圧して二次側コイルL2から出力する。その結果、発振回路2の出力Voscは、Vcc×√(L2/L1)となる。
【0046】
本実施形態によれば、電源電圧Vcc×√(L2/L1)の発振振幅Voscを得ることができる。よって、トランス20の巻数比L2/L1を適切に設定することで、圧電振動子40を、電源電圧Vccの2倍以上の発振振幅Voscで駆動することができる。
【0047】
[第3実施形態]
次に、図10を用いて、第3実施形態に係る発振回路3の構成について説明する。図10は、発振回路3の構成を示す回路図である。なお、図10において第2実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号が付されている。
【0048】
発振回路3は、オペアンプU1の反転増幅器を用いた増幅部12に代えて、CMOSインバータを用いた増幅部13が用いられている点で上述した発振回路2と異なっている。なお、その他の構成は、発振回路2と同一または同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。本実施形態によっても、上述した第2実施形態と同様の作用・効果を奏することができる。
【0049】
続いて、図11を参照しつつ、発振回路1を用いた超音波霧化装置100について説明する。図11は、超音波霧化装置100の霧化粒子噴射部を示す模式図である。
【0050】
超音波霧化装置100の霧化粒子噴射部は、フレーム101に支持された円盤状の圧電振動子(圧電セラミック)40と、圧電振動子40の中心部に形成され、該圧電振動子40の振動面に液体を供給するオリフィス(供給手段)102とを備えている。圧電振動子40には、該圧電振動子40を超音波振動させる発振回路1が接続されている。また、オリフィス102には、図示省略した貯留タンクから配管を通して、例えば芳香剤を含む液体などが供給される。
【0051】
このような超音波霧化装置100において、発振回路1の電源がONされた場合、発振回路1から出力される発振信号によって圧電振動子40が駆動されて超音波振動を開始するとともに、オリフィス102から例えば芳香剤を含む液体などが圧電振動子40の振動面に供給される。ここで、圧電振動子40から機械的エネルギーを得て液体の霧化に利用する場合は、圧電振動子40に高電圧を印加することが好ましい。そのため、超音波霧化装置100では、発振回路1の電源電圧Vccを3Vとし、発振回路1を構成する増幅部10及びトランス20によって発振信号を増幅・昇圧し、電源電圧Vcc以上の自励振振幅を得ている。より具体的には、安定して霧化を得るために、圧電振動子40の共振周波数において、10Vppにて自励振させている。その結果、圧電振動子40が超音波振動することによって、圧電振動子40の表面に供給される例えば芳香剤を含む液体が霧化され、霧化粒子噴射部から外部へ放出される。
【0052】
本実施形態によれば、圧電振動子40を駆動する発振回路に上述した発振回路1を適用しているため、電源電圧Vcc×2×√(L2/L1)倍の振幅を持ち、かつ発振周波数変動が小さい発振信号を圧電振動子40に供給することができる。よって、霧化に好適な振幅・周波数を持った発振信号で圧電振動子40を駆動することができる。その結果、用途に適した好ましい粒子径の霧を大量に発生させることが可能となる。
【0053】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、帰還部30をコルピッツ型の帰還回路で構成したが、これに代えて、例えばハートレー型の帰還回路等で構成することもできる。
【0054】
また、上記実施形態では、振動子として圧電振動子を用いたが、これに代えて、例えば水晶振動子等を用いてもよい。また、上記実施形態では、発振回路1を超音波霧化装置100に適用したが、他の発振回路1A,2,3を用いてもよい。なお、発振回路1〜3の適用対象は超音波霧化装置には限られない。
【符号の説明】
【0055】
1,1A,2,3 発振回路
10,12,13 増幅部
Q1 トランジスタ
U1 オペアンプ
N1 インバータ
20 トランス
L1 一次側コイル
L2 二次側コイル
30 帰還部
40 圧電振動子
100 超音波霧化装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、発振回路、及び該発振回路を用いた霧化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、発振回路は、さまざまな電子機器において広く利用されている。例えば、特許文献1には、発振回路を利用して超音波振動子を振動させて液体の噴霧を行う噴霧装置が開示されている。このような噴霧装置では、液体の霧化を促進するため、より高い電圧で超音波振動子を駆動することが好ましい。そこで、特許文献1に記載の回路では、電源電圧を昇圧する昇圧回路(DC−DCコンバータ)を設け、電源電圧を該昇圧回路で噴霧に必要な電圧まで昇圧して発振回路に印加している。そのため、この発振回路によれば、電源電圧よりも高い電圧振幅で超音波振動子を駆動することができる。
【0003】
また、特許文献2には、発振回路を構成する増幅回路と帰還回路との間に、トランジスタと昇圧コイルとからなる昇圧回路が設けられた発振回路が開示されている。このトランジスタのベースは増幅回路の出力端に接続され、エミッタは接地され、コレクタは昇圧コイルと接続されている。この発振回路によれば、昇圧コイルによって昇圧された信号で圧電振動子を励振駆動することができる。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の回路では、発振回路の前段に、電源電圧を昇圧するための昇圧電源回路(DC−DCコンバータ)を設ける必要があるため、部品点数が増加し、ひいてはコストの増大や実装面積の増大といった問題が生じる。また、特許文献2に開示されている発振回路では、受動素子で等価的に表される圧電振動子や水晶振動子等を用いた場合には、振動子が安定して自励振を続ける際に、その振動中心に相当する電位、すなわち電源電圧を中心として上下に等しい電圧幅だけ電圧振幅が得られる。そのため、この発振回路で得られる昇圧発振出力の振幅は、電源電圧の2倍までが限界となる。
【0005】
一方、特許文献3には、増幅部にトランス(変圧器)を導入した発振回路が開示されている。この発振回路では、増幅部を構成するトランジスタのコレクタにトランスの一次側コイルが接続されている。また、該トランスの二次側コイルとコンデンサとが並列に接続されて並列共振回路が形成されるとともに、トランスで昇圧された電圧が圧電トランス(圧電振動子)に印加される構成となっている。この発振回路によれば、より少ない部品点数で電源電圧の2倍以上の振幅を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭58−76157号公報
【特許文献2】特許第2952815号公報
【特許文献3】特公昭60−5346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3に開示されている発振回路では、二次側コイルL2とコンデンサC1とで形成された並列共振回路により、圧電振動子の共振周波数成分のみを取り出す構成とされているため、図12に示されるように、ゲインが大きく取れる反面、並列共振周波数1/{2π√(L2・C1)}付近で位相、ゲインが急変する。そのため、回路定数L2、C1のばらつきに対する発振周波数の変動が大きくなる。すなわち、部品ばらつきによって、発振周波数が大きくずれる。この発振回路を例えば超音波霧化器に適用した場合には、部品ばらつきによって圧電振動子の発振周波数がずれることにより、霧化の効率が低下するおそれがある。
【0008】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、少ない部品点数で電源電圧の2倍以上の振幅を得ることができ、かつ、回路を構成する電子部品の定数ばらつきに起因する発振周波数変動を低減することが可能な発振回路、及び該発振回路を用いた霧化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る発振回路は、入力される信号を増幅する増幅部と、一次側コイルと二次側コイルとを有し、増幅部の出力端に一次側コイルが接続されたトランスと、トランスの二次側コイルに一端が接続されるとともに、他端が振動子を介して増幅部の入力端に接続される帰還部とを備え、増幅部及びトランスが特定の共振周波数を持たず、帰還部が、トランスの二次側コイルから出力される信号の内、振動子を共振させる周波数の信号を選択して増幅部へ帰還させることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る発振回路によれば、増幅部と帰還部との間にトランスが挿入されている。そのため、高圧電源を設けることなく、トランスの巻数比に応じて、電源電圧の2倍以上の振幅を持った発振信号を生成して、振動子に印加することができる。ここで、増幅部は共振周波数を持たず、専ら帰還部で振動子の共振周波数の信号を選択するように構成されている。このように、増幅部及びトランスは共振周波数(共振回路)を有しないため、ゲインは小さいが、振動子の共振周波数付近においてゲイン、位相回転量が略一定(フラット)になるように設計することができる。よって、増幅部を構成する部品の定数ばらつきによる発振周波数への影響を低減することができる。その結果、少ない部品点数で電源電圧の2倍以上の振幅を得ることができ、かつ、回路を構成する電子部品の定数ばらつきに起因する発振周波数変動を低減することが可能となる。
【0011】
本発明に係る発振回路では、増幅部が、トランジスタを有し、該トランジスタのコレクタにトランスの一次側コイルが接続されたエミッタ接地型増幅回路であり、ベースとトランスの二次側コイルとの間に帰還部が接続されていることが好ましい。
【0012】
この場合、トランジスタのコレクタにトランスの一次側コイルが接続されているため、コレクタ端では、電源電圧を中心として該電源電圧の2倍の振幅を持った発振信号が生成される。そして、この発振信号がトランスによってさらに昇圧される。よって、電源電圧をVcc、トランスの一次側コイルの巻数をL1、二次側コイルの巻数をL2とすると、2Vcc√(L2/L1)の振幅を持った発振信号を振動子に印加することが可能となる。
【0013】
本発明に係る発振回路では、帰還部が、コルピッツ型又はハートレー型の帰還回路により構成されていることが好ましい。このようにすれば、増幅部が共振回路を有していなくても、すなわち、増幅部が共振周波数を選択する機能を有していなくても、帰還部で発振周波数を決定することができる。
【0014】
本発明に係る発振回路では、振動子が、圧電振動子であることが好ましい。この場合、振動子として周波数安定性が高い圧電振動子を用いることにより、安定した発振信号を得ることが可能となる。
【0015】
本発明に係る霧化装置は、上記発振回路と、圧電振動子に液体を供給する供給手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る霧化装置によれば、上述した発振回路を備えているため、電源電圧の2倍以上の振幅を持ち、かつ発振周波数変動が小さい発振信号により圧電振動子を駆動することができる。よって、霧化に好適な振幅・周波数を持った発振信号を圧電振動子に印加することができる。その結果、好ましい粒子径の霧を大量に発生させることが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、少ない部品点数で電源電圧の2倍以上の振幅を得ることができ、かつ、回路を構成する電子部品の定数ばらつきに起因する発振周波数変動を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態に係る発振回路の構成を示す回路図である。
【図2】第1実施形態に係る発振回路の増幅部(トランスを含む)のシミュレーションモデルを示す図である。
【図3】第1実施形態に係る発振回路の増幅部(トランスを含む)のゲイン・位相特性を示す図である。
【図4】圧電振動子の等価回路を示す回路図である。
【図5】第1実施形態に係る発振回路の動作を説明するための図である。
【図6】第1実施形態に係る発振回路における回路定数ばらつきと発振周波数との関係を示す図である。
【図7】第1実施形態に係る発振回路の変形例を示す回路図である。
【図8】第2実施形態に係る発振回路の構成を示す回路図である。
【図9】第2実施形態に係る発振回路の動作を説明するための図である。
【図10】第3実施形態に係る発振回路の構成を示す回路図である。
【図11】実施形態に係る超音波霧化装置の霧化粒子噴射部を示す模式図である。
【図12】従来の発振回路の増幅部のゲイン、位相特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0020】
[第1実施形態]
まず、図1を用いて、第1実施形態に係る発振回路1の構成について説明する。図1は、発振回路1の構成を示す回路図である。
【0021】
発振回路1は、直流電源電圧Vccに制限されることなく、圧電振動子40に適切な電圧を印加して、発振させることができるコルピッツ型の発振回路である。そのため、発振回路1は、入力(又は帰還)される発振信号を増幅する増幅部10と、一次側コイル(インダクタ)L1と二次側コイル(インダクタ)L2とを有し、増幅部10から出力される発振信号を昇圧するトランス20と、トランス20によって昇圧された発振信号を圧電振動子40を介して増幅部10に帰還させる帰還部30とを備えている。なお、増幅部10及びトランス20の(ゲイン、位相回転量)を(Av、θv)とし、帰還部30の(ゲイン、位相回転量)を(Aβ、θβ)とした場合に、発振回路1は、次式(1)(2)の発振条件(振幅条件及び位相条件)を満たしている。
振幅条件: Av・Aβ≧1 ・・・(1)
位相条件: θv+θβ=360・n (n=0,1,2,・・) ・・・(2)
続いて、発振回路1の各構成要素をより具体的に説明する。
【0022】
増幅部10は、励振用のNPNトランジスタQ1と、そのバイアス抵抗R1,R2,R3、によって構成されたエミッタ接地型の増幅回路である。より詳細には、電源Vcc−GND間に挿入された抵抗R1と抵抗R2との接続部に、トランジスタQ1のベースが接続されており、該ベースには帰還部30を介して帰還される発振信号が入力される。一方、トランジスタQ1のエミッタは、抵抗R3を介して接地されている。また、コレクタには、トランス20の一次側コイルL1が接続されており、増幅部10で増幅された信号は、このトランス20に出力される。
【0023】
トランス20は、一次側コイル(インダクタ)L1と二次側コイル(インダクタ)L2とを有して構成された信号昇圧用のトランスである。ここで、一次側コイルL1の一端及び二次側コイルL2の一端は電源Vccに接続され、一次側コイルL1の他端は、トランジスタQ1のコレクタに接続されている。トランス20は、増幅部10から出力される発振信号を一次側コイルL1と二次側コイルL2との巻数比L2/L1に応じて昇圧して出力する。そして、トランス20によって昇圧された発振信号は、二次側コイルL2の他端から出力され、帰還部30を構成する圧電振動子40に印加されるとともに、該圧電振動子40(帰還部30)を介して上述した増幅部10を構成するトランジスタQ1のベースに戻される。なお、トランス20によって昇圧された発振信号は、Vosc点から取り出すこともできる。
【0024】
ここで、図2に示される増幅部10(トランス20を含む)のシミュレーションモデルを用いて演算した増幅部10(トランス20を含む)のゲイン、位相特性を図3に示す。図2に示されるように、このシミュレーションモデルでは、トランジスタQ1としてQC1815(2SC1815)を用い、抵抗R1,R2=10kΩ、抵抗R3=4.7Ω、トランス20の一次側コイルL1=30μH、二次側コイルL2=180μH、コンデンサC3=1μFと設定した。また、電源電圧Vcc=3V、入力信号源V1をAC10Vとしてシミュレーションを行った。
【0025】
シミュレーションの結果を図3に示す。図3の横軸は周波数(kHz)、縦軸はゲイン(dB:左目盛)及び位相(deg:右目盛)である。また、ゲインを実線で、位相を破線で示した。増幅部10(トランス20を含む)は並列共振回路を含んでいないため、ゲインは低いが、図3に示されるように、ゲイン及び位相回転量は圧電振動子40の共振周波数(115kHz)付近において略一定となっている。そのため、回路定数ばらつきの発振周波数に及ぼす影響が非常に小さい。
【0026】
帰還部30は、圧電振動子40と帰還コンデンサC1,C2とからなる所謂コルピッツ型の帰還回路として構成されている。具体的には、圧電振動子40の入力端子がトランス20の二次側コイルL2に接続されるとともに、圧電振動子40の出力端子が増幅部10のトランジスタQ1のベースに接続されている。また、圧電振動子40の入力端子がコンデンサC1を介して接地されるとともに、圧電振動子40の出力端子がコンデンサC2を介して接地されている。帰還部30は、上述した位相条件を満たすように位相回転量を調整する。また、帰還部30は、発振回路1の発振周波数を決定する周波数選択機能を有している。すなわち、帰還部30は、トランス20の二次側コイルL2から出力される信号の内、圧電振動子40を共振させる周波数の発振信号を選択して増幅部10へ戻す働きをする。
【0027】
圧電振動子40は、例えば、PZTやチタン酸バリウム等の圧電セラミックスから形成されている。圧電振動子40は、図4に示されるように、コイルLs、コンデンサCs、及び抵抗器Rsの直列回路と、コンデンサCpとが並列接続された等価回路で表される。圧電振動子40は、特定の周波数で共振特性を示し、電圧が印加されると逆圧電効果によって強い機械的振動を起こし、その機械的振動に見合った電圧を圧電効果によって出力する。なお、この機械的振動が、例えば、液体の霧化等に利用される。
【0028】
次に、図1及び図5を併せて参照しつつ、発振回路1の動作について説明する。ここで、図5は、発振回路1の動作を説明するための図であり、発振回路1各部の動作波形を(a)〜(d)に示す。具体的には、図5(a)はトランジスタQ1のベース電位Vb(V)を示し、(b)は一次側コイルL1の誘導起電流ILの変化割合dIL/dt(mA)を示す。また、(c)はトランジスタQ1のコレクタ電位Vc(図1のVc点の電位)(Vpp)を示し、(d)は、発振回路1の出力Vosc(図1のVosc点の電位)(Vpp)を示す。ここでは、上記各動作波形を(1)第1過程〜(4)第4過程(図5において破線で区切られた(1)〜(4)に対応)に分けて説明する。
【0029】
(1)第1過程
第1過程は、ベース電位Vbが、トランジスタQ1の閾値Vth(0.6V)よりも大きく、かつベース電位Vbが増加する過程である。この過程では、まず、ベース電位Vbが増加し始めることに伴い、トランジスタQ1のコレクタ−エミッタ間が導通し始め、トランジスタQ1が次第にON状態となる。それにより、図1に示す矢印の向き(以下「+」方向という)に一次側コイルL1に流れる電流Icが増加し始める。一方、電流Icが増加するに従って、一次側コイルL1に流れる電流Icの増加を妨げる方向(「−」方向)に、誘導起電流ILが流れる。その結果、コイルL1には誘導起電圧−L1・dIL/dtが発生する。第1過程では、dIL/dt<0であるため、コレクタ電位Vcは、Vcc+L1・dIL/dtと昇圧される。なお、コイルL1で位相遅れが90°生じるため、ベース電位Vbに対してコレクタ電位Vcは常に90°遅れる。
【0030】
(2)第2過程
第2過程は、ベース電位Vbが、トランジスタQ1の閾値Vthよりも大きく、かつベース電位Vbが減少する過程である。この過程では、ベース電位Vbが減少し始めることに伴って、一次側コイルL1に流れる電流Icが減少し始める。そのため、その変化を妨げる向き(「+」方向)に誘導起電流ILが流れるように、Vc点(図1参照)に誘導起電圧が発生する。第2過程では、dIL/dt>0であるため、コレクタ電位Vcは、Vcc−L1・dIL/dtとなり、減少を始める。ただし、トランジスタQ1のコレクタ電位VcはGND以下にはならないため、コレクタ電位Vc=GNDとなったところで減少は止まる。
【0031】
(3)第3過程
第3過程は、ベース電位Vbが、トランジスタQ1の閾値Vthよりも小さく、かつベース電位Vbがさらに減少する過程である。この過程において、ベース電位Vbが減少すると、一次側コイルL1に流れる電流Icがさらに減少する。ただし、その減少割合は次第に低下する。それに伴い、その変化を妨げる向き(「+」方向)に誘導起電流ILが流れるようにVc点に発生する誘導起電圧も徐々に低下する。よって、第3過程では、dIL/dt>0であるため、コレクタ電位VcはVcc−L1・dIL/dtとなるが、ここで、−L1・dIL/dtの値が次第に減少するため、Vc点の電位は徐々に増加する。
【0032】
(4)第4過程
第4過程は、ベース電位VbがトランジスタQ1の閾値Vthよりも小さく、かつベース電位Vbが増加する過程である。この過程において、ベース電位Vbが増加に転じると、それに合わせて、一次側コイルL1に流れる電流Icが増加に転じる。よって、その変化を妨げる向き(「−」方向)に誘導起電流ILが流れるように、Vc点に誘導起電圧が発生する。第4過程では、dIL/dt<0であるため、コレクタ電位Vcは、Vcc+L1・dIL/dtとなり、さらに増加する。ただし、その増加割合は徐々に低下する。
【0033】
このように、コレクタ電位Vc(Vc点)には、電源電圧Vccを基準として、±L1・dIL/dtだけ昇圧された信号が出力される。ただし、上述したようにコレクタ電位Vc<GNDとはならないので、得られる振幅の下限はGNDである。また、圧電振動子40は機械的共振子であり、基準バイアス電圧に対して正負方向に等しく振動することから、Vc点で得られる発振振幅は最大で2×Vcc(Vpp)となる。
【0034】
そして、次に、得られた発振信号Vcは、トランス20の二次側コイルL2に伝達されることで、電源電圧範囲(Vcc−GND)に制限されることなく、√(L2/L1)倍に昇圧されて出力される(図5(d)参照)。従って、Vosc点(図1参照)で得られる振動振幅Voscは、2×Vcc×√(L2/L1)となる。
【0035】
本実施形態によれば、トランジスタQ1のコレクタにトランス20の一次側コイルL1が接続されているため、コレクタ端では、電源電圧Vccを中心として該電源電圧Vccの2倍の振幅を持った発振信号が生成される。そして、この発振信号がトランス20によってさらに昇圧されるため、電源電圧Vcc×2×√(L2/L1)の発振振幅Voscを得ることができる。よって、トランス20の巻数比L2/L1を適切に設定することで、圧電振動子40を、電源電圧Vccの2倍以上の発振振幅Voscで駆動することができる。また、増幅部10及びトランス20は共振周波数を持たず、専ら帰還部30で圧電振動子40の共振周波数の発振信号を選択するように構成されている。このように、増幅部10及びトランス20は共振周波数(共振回路)を持たないため、ゲインは小さいが、圧電振動子40の共振周波数付近においてゲイン、位相回転量が略一定になるように設計することができる。よって、増幅部10を構成する部品の定数ばらつきによる発振周波数への影響を低減することができる。その結果、少ない部品点数で電源電圧の2倍以上の振幅を得ることができ、かつ、回路を構成する電子部品の定数ばらつきに起因する発振周波数変動を低減することが可能となる。
【0036】
ここで、発振回路1における回路定数ばらつきと発振周波数との関係を図6に示す。また、図6には、増幅部に並列共振回路を含む上記特許文献3記載の従来技術における回路定数ばらつきと発振周波数との関係も併せて示した。図6の実線は、発振回路1を構成するトランス20の二次側コイルL2、及び帰還部30のコンデンサC1,C2の定数を±10%変化させたときの発振周波数変動量をシミュレーションにより求めた結果である。また、図6の破線は、従来技術の増幅部の並列共振回路の二次側コイルL2、コンデンサC1の定数を±10%変化させたときの発振周波数変動量をシミュレーションにより求めた結果である。図6に示されるように、発振回路1では、部品の定数が±10%変化したとしても、発振周波数変動量は略ゼロである。このように、発振回路1は、部品の定数ばらつきに対する発振周波数の安定性に優れていることがシミュレーションによっても確認された
【0037】
さらに、本実施形態によれば、振動子として周波数安定性が高い圧電振動子40を用いることにより、より安定した発振信号を得ることができる。
【0038】
[第1実施形態の変形例]
上述した発振回路1では、一次側コイルL1の一端及び二次側コイルL2の一端は共に電源Vccに接続されていたが、一次側コイルL1の一端を電源Vccに接続するとともに、二次側コイルL2の一端をGNDに接続する構成としてもよい。ここで、このように構成した発振回路1Aを図7に示す。発振回路1Aによれば、上述した発振回路1と同様の効果を奏することができる。さらに、この発振回路1Aによれば、GND電位を基準に±L1・dIL/dtだけ昇圧された信号がVc点に出力されるため、直流電圧が印加されない形で圧電振動子40を駆動することが可能となる。
【0039】
[第2実施形態]
次に、図8を用いて、第2実施形態に係る発振回路2の構成について説明する。図8は、発振回路2の構成を示す回路図である。なお、図8において第1実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号が付されている。
【0040】
発振回路2は、トランジスタを用いた増幅部10に代えて、オペアンプを用いた増幅部12が用いられている点で上述した発振回路1と異なっている。また、それに合わせて、トランス20の接続形態が発振回路1と異なっている。なお、その他の構成は、発振回路1と同一または同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0041】
増幅部12は、オペアンプU1と、抵抗R21,R22とで構成された反転増幅器を有している。より具体的には、両電源タイプのオペアンプU1と、帰還部30とオペアンプU1の反転入力端子(−)とを接続する抵抗R21と、オペアンプU1の出力端子と反転入力端子(−)とを接続する帰還(フィードバック)抵抗R22とで反転増幅器が構成されている。オペアンプU1の非反転入力端子(+)は、接地されている。また、オペアンプU1の出力端子とトランス20のコイルL1とはコンデンサC23を介して接続されている。このコンデンサC23は、オペアンプU1の出力端子とトランス20の一次側コイルL1とが直流的に短絡されることを防ぐための直流成分カット用コンデンサである。
【0042】
上述したように、トランス20の一次側コイルL1の一端はコンデンサC23を介してオペアンプU1の出力端子に接続されており、該一次側コイルL1の他端は接地されている。一方、トランス20の二次側コイルL2の一端は帰還部30に接続されており、該二次側コイルL2の他端は接地されている。トランス20によって昇圧された発振信号は、二次側コイルL2の一端から出力され、帰還部30を構成する圧電振動子40に印加されるとともに、該圧電振動子40(帰還部30)及び抵抗R21を介してオペアンプU1の反転入力端子(−)にフィードバックされる。なお、帰還部30の構成は、上述した第1実施形態のものと同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0043】
次に、図8及び図9を併せて参照しつつ、発振回路2の動作について説明する。ここで、図9は、発振回路2の動作を説明するための図であり、発振回路2各部の動作波形を(a)〜(c)に示す。具体的には、図9(a)はオペアンプU1の入力電圧AMP_IN(Vpp)を示し、(b)はオペアンプU1の出力電圧AMP_OUT(Vpp)を示し、(c)は発振回路2の出力OSC_OUT(Vpp)を示す。
【0044】
まず、図9(a)に示される発振信号がオペアンプU1の反転入力端子(−)に入力された場合、この入力信号に対して位相が180°変化(反転)した出力信号(増幅信号)がオペアンプU1の出力端子から出力される(図9(b)参照)。なお、増幅部12では、増幅素子であるオペアンプU1に供給される電源電圧範囲(Vcc−Vee)の振幅を持った出力信号が得られる。
【0045】
オペアンプU1から出力された発振信号は、トランス20の一次側コイルL1に入力される。ここで、トランス20は受動素子であるため、オペアンプU1に供給される電源電圧幅に制限を受けることが無く、一次側コイルL1に入力された信号を√(L2/L1)倍に昇圧して二次側コイルL2から出力する。その結果、発振回路2の出力Voscは、Vcc×√(L2/L1)となる。
【0046】
本実施形態によれば、電源電圧Vcc×√(L2/L1)の発振振幅Voscを得ることができる。よって、トランス20の巻数比L2/L1を適切に設定することで、圧電振動子40を、電源電圧Vccの2倍以上の発振振幅Voscで駆動することができる。
【0047】
[第3実施形態]
次に、図10を用いて、第3実施形態に係る発振回路3の構成について説明する。図10は、発振回路3の構成を示す回路図である。なお、図10において第2実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号が付されている。
【0048】
発振回路3は、オペアンプU1の反転増幅器を用いた増幅部12に代えて、CMOSインバータを用いた増幅部13が用いられている点で上述した発振回路2と異なっている。なお、その他の構成は、発振回路2と同一または同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。本実施形態によっても、上述した第2実施形態と同様の作用・効果を奏することができる。
【0049】
続いて、図11を参照しつつ、発振回路1を用いた超音波霧化装置100について説明する。図11は、超音波霧化装置100の霧化粒子噴射部を示す模式図である。
【0050】
超音波霧化装置100の霧化粒子噴射部は、フレーム101に支持された円盤状の圧電振動子(圧電セラミック)40と、圧電振動子40の中心部に形成され、該圧電振動子40の振動面に液体を供給するオリフィス(供給手段)102とを備えている。圧電振動子40には、該圧電振動子40を超音波振動させる発振回路1が接続されている。また、オリフィス102には、図示省略した貯留タンクから配管を通して、例えば芳香剤を含む液体などが供給される。
【0051】
このような超音波霧化装置100において、発振回路1の電源がONされた場合、発振回路1から出力される発振信号によって圧電振動子40が駆動されて超音波振動を開始するとともに、オリフィス102から例えば芳香剤を含む液体などが圧電振動子40の振動面に供給される。ここで、圧電振動子40から機械的エネルギーを得て液体の霧化に利用する場合は、圧電振動子40に高電圧を印加することが好ましい。そのため、超音波霧化装置100では、発振回路1の電源電圧Vccを3Vとし、発振回路1を構成する増幅部10及びトランス20によって発振信号を増幅・昇圧し、電源電圧Vcc以上の自励振振幅を得ている。より具体的には、安定して霧化を得るために、圧電振動子40の共振周波数において、10Vppにて自励振させている。その結果、圧電振動子40が超音波振動することによって、圧電振動子40の表面に供給される例えば芳香剤を含む液体が霧化され、霧化粒子噴射部から外部へ放出される。
【0052】
本実施形態によれば、圧電振動子40を駆動する発振回路に上述した発振回路1を適用しているため、電源電圧Vcc×2×√(L2/L1)倍の振幅を持ち、かつ発振周波数変動が小さい発振信号を圧電振動子40に供給することができる。よって、霧化に好適な振幅・周波数を持った発振信号で圧電振動子40を駆動することができる。その結果、用途に適した好ましい粒子径の霧を大量に発生させることが可能となる。
【0053】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、帰還部30をコルピッツ型の帰還回路で構成したが、これに代えて、例えばハートレー型の帰還回路等で構成することもできる。
【0054】
また、上記実施形態では、振動子として圧電振動子を用いたが、これに代えて、例えば水晶振動子等を用いてもよい。また、上記実施形態では、発振回路1を超音波霧化装置100に適用したが、他の発振回路1A,2,3を用いてもよい。なお、発振回路1〜3の適用対象は超音波霧化装置には限られない。
【符号の説明】
【0055】
1,1A,2,3 発振回路
10,12,13 増幅部
Q1 トランジスタ
U1 オペアンプ
N1 インバータ
20 トランス
L1 一次側コイル
L2 二次側コイル
30 帰還部
40 圧電振動子
100 超音波霧化装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される信号を増幅する増幅部と、
一次側コイルと二次側コイルとを有し、前記増幅部の出力端に一次側コイルが接続されたトランスと、
前記トランスの二次側コイルに一端が接続されるとともに、他端が振動子を介して前記増幅部の入力端に接続される帰還部と、を備え、
前記増幅部及び前記トランスは特定の共振周波数を持たず、
前記帰還部は、前記トランスの二次側コイルから出力される信号の内、前記振動子を共振させる周波数の信号を選択して前記増幅部へ帰還させることを特徴とする発振回路。
【請求項2】
前記増幅部は、トランジスタを有し、該トランジスタのコレクタに前記トランスの一次側コイルが接続されたエミッタ接地型増幅回路であり、ベースと前記トランスの二次側コイルとの間に前記帰還部が接続されていることを特徴とする請求項1に記載の発振回路。
【請求項3】
前記帰還部は、コルピッツ型又はハートレー型の帰還回路により構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の発振回路。
【請求項4】
前記振動子は、圧電振動子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の発振回路。
【請求項5】
請求項4に記載の発振回路と、
前記圧電振動子に液体を供給する供給手段と、を備えることを特徴とする霧化装置。
【請求項1】
入力される信号を増幅する増幅部と、
一次側コイルと二次側コイルとを有し、前記増幅部の出力端に一次側コイルが接続されたトランスと、
前記トランスの二次側コイルに一端が接続されるとともに、他端が振動子を介して前記増幅部の入力端に接続される帰還部と、を備え、
前記増幅部及び前記トランスは特定の共振周波数を持たず、
前記帰還部は、前記トランスの二次側コイルから出力される信号の内、前記振動子を共振させる周波数の信号を選択して前記増幅部へ帰還させることを特徴とする発振回路。
【請求項2】
前記増幅部は、トランジスタを有し、該トランジスタのコレクタに前記トランスの一次側コイルが接続されたエミッタ接地型増幅回路であり、ベースと前記トランスの二次側コイルとの間に前記帰還部が接続されていることを特徴とする請求項1に記載の発振回路。
【請求項3】
前記帰還部は、コルピッツ型又はハートレー型の帰還回路により構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の発振回路。
【請求項4】
前記振動子は、圧電振動子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の発振回路。
【請求項5】
請求項4に記載の発振回路と、
前記圧電振動子に液体を供給する供給手段と、を備えることを特徴とする霧化装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−101072(P2011−101072A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−252534(P2009−252534)
【出願日】平成21年11月3日(2009.11.3)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月3日(2009.11.3)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
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