説明

発振装置及び電子機器

【課題】パラメトリックスピーカにおいて、大型化することなく、指向性を変更することができるようにする。
【解決手段】圧電振動子20は、振動部材10に設けられている。支持体40は、振動部材10の縁を支持している。制御部50は、圧電振動子20にパラメトリックスピーカ用の発振信号を入力する。そして振動体は、互いに独立して振動する複数の振動領域を備えている。制御部50は、複数の振動領域の少なくとも1つに、同一の原信号から生成された発振信号を入力する。この発振装置は、電子機器、例えば携帯通信端末などの携帯型の電子装置に内蔵されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発振装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
他人に音声が聴かれないようにする技術として、超音波を搬送波として利用したパラメトリックスピーカが開発されている。超音波は志向性が高いため、パラメトリックスピーカを用いると、ユーザ近傍など、特定の方向にのみ音場を形成することができる。
【0003】
なお、パラメトリックスピーカではないが、圧電素子を通常のスピーカとして利用する技術として、特許文献1〜4に記載のものがある。特許文献1、2には、一つの振動板上に複数の圧電薄膜を互いに独立して設け、これら圧電薄膜に並列に音源信号を供給することが記載されている。特許文献3には、一つの圧電フィルム上に互いに独立した複数の電極を設け、これら複数の電極に並列に信号を供給することが記載されている。特許文献4には、互いに独立した複数の振動板それぞれに、互いに独立した圧電素子を形成し、これらを用いてステレオ再生を行うことが記載されている。
【0004】
また特許文献5には、変異特性が異なる圧電セラミックス層を交互に積層することにより圧電アクチュエータを形成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−221742号公報
【特許文献2】特開2000−134697号公報
【特許文献3】特開2003−143694号公報
【特許文献4】国際公開2006/087866号パンフレット
【特許文献5】特開平6−232465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
パラメトリックスピーカを携帯型の電子機器に搭載することを考えた場合、パラメトリックスピーカの指向性を、利用場面によって変更できるようにすることが好ましい。一方、携帯型の電子機器に搭載する電子部品には、小型化が要求される。
【0007】
本発明の目的は、パラメトリックスピーカとして使用することができ、大型化することなく、指向性を変更することができる発振装置及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、振動部材、及び前記振動部材に設けられた複数の圧電振動子を有する振動体と、
前記振動部材の縁を支持する支持体と、
前記複数の圧電振動子にパラメトリックスピーカ用の発振信号を互いに独立して入力する制御部と、
を備え、
前記複数の圧電振動子は、互いに異なる材料から形成されており、かつ機械品質係数Qが互いに異なる発振装置が提供される。
【0009】
本発明によれば、振動部材、及び前記振動部材に設けられた複数の圧電振動子を有する振動体と、
前記振動部材の縁を支持する支持体と、
前記複数の圧電振動子にパラメトリックスピーカ用の発振信号を互いに独立して入力する制御部と、
を備え、
前記複数の圧電振動子は、互いに異なる材料から形成されており、かつ機械品質係数Qが互いに異なる発振装置が提供される。
【0010】
本発明によれば、上記した発振装置を有する電子機器が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、パラメトリックスピーカとして使用することができ、大型化することなく、指向性を変更することができる発振装置及び電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態に係る発振装置の構成を示す図である。
【図2】圧電振動子に設けられた電極のレイアウトを示す平面図である。
【図3】図2に示した圧電振動子の全面を1つの発振領域として駆動させる場合を示している。
【図4】図2に示した圧電振動子を2つの発振領域に分割して駆動させる場合を示している。
【図5】図2に示した圧電振動子を3つの発振領域に分割して駆動させる場合を示している。
【図6】第2の実施形態に係る発振装置の構成を示す図である。
【図7】第3の実施形態に係る発振装置の構成を示す図である。
【図8】振動部材及び圧電振動子のレイアウトを示す平面図である。
【図9】第4の実施形態に係る発振装置に用いられる圧電振動子のレイアウトを示す図である。
【図10】図9に示した圧電振動子に対する信号の入力例を示す図である。
【図11】第5の実施形態に係る発振装置の構成を示す図である。
【図12】第5の実施形態の作用及び効果を説明するための図である。
【図13】第6の実施形態に係る発振装置の構成を示す図である。
【図14】図13に示した圧電振動子及び圧電振動子の平面レイアウトを示す図である。
【図15】図14の変形例を示す図である。
【図16】第7の実施形態に係る電子機器の構成を示す図である。
【図17】第8の実施形態に係る電子機器の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る発振装置の構成を示す図である。この発振装置は、振動体、支持体40、及び制御部50を備えている。振動体は、振動部材10及び圧電振動子20を有している。圧電振動子20は、振動部材10に設けられている。支持体40は、振動部材10の縁を支持している。制御部50は、圧電振動子20にパラメトリックスピーカ用の発振信号を入力する。そして振動体は、互いに独立して振動する複数の振動領域を備えている。制御部50は、複数の振動領域の少なくとも1つに、同一の原信号から生成された発振信号を入力する。この発振装置は、電子機器、例えば携帯通信端末などの携帯型の電子装置に内蔵されている。以下、詳細に説明する。
【0015】
振動部材10はシート状であり、圧電振動子20から発生した振動によって振動する。また振動部材10は、圧電振動子20の基本共振周波数を調整する。機械振動子の基本共振周波数は、負荷重量と、コンプラインスに依存する。コンプラインスは振動子の機械剛性であるため、振動部材10の剛性を制御することで、圧電振動子20の基本共振周波数を制御できる。なお、振動部材10の厚みは5μm以上500μm以下であることが好ましい。また、振動部材10は、剛性を示す指標である縦弾性係数が1Gpa以上500GPa以下であることが好ましい。振動部材10の剛性が低すぎる場合や、高すぎる場合は、機械振動子として特性や信頼性を損なう可能性が出てくる。なお、振動部材10を構成する材料は、金属や樹脂など、脆性材料である圧電振動子20に対して高い弾性率を持つ材料であれば特に限定されないが、加工性やコストの観点からリン青銅やステンレスなどが好ましい。
【0016】
圧電振動子20は、例えばPZTなどの圧電セラミックスにより形成されている。圧電振動子20の外縁は、振動部材10のうち支持体40に支持されている部分より内側に位置している。
【0017】
制御部50は、外部から入力された音声データ(原信号)を変調してパラメトリックスピーカ用の変調データを生成し、このデータに基づいて発振信号を生成して圧電振動子20に入力する。
【0018】
図2は、圧電振動子20に設けられた電極のレイアウトを示す平面図である。本実施形態において、圧電振動子20の少なくとも一面には、複数の電極22が2次元的に設けられている。本実施形態において、圧電振動子20の一面の全面に、複数の電極22が均等に設けられている。電極22は、マトリクスを形成するように配置されていても良いし、部分的に千鳥配置されていても良い。電極22の大きさ及び形状は全て等しく、また等間隔で配置されている。
【0019】
なお、圧電振動子20の他面には、接地電極が全面に設けられていても良いし、平面視で電極22と重なる部分のみに、接地電極が島状に設けられていても良い。
【0020】
図1に示した制御部50は、これら複数の電極22に入力する発振信号を、互いに独立して制御することができる。そして制御部50は、複数の電極22を複数のグループに分割する。このとき、同一のグループに属している電極22の間に、他のグループに属する電極22が存在しないようにする。そして制御部50は、同一のグループに属する電極22に対しては同一の発振信号を入力する。また制御部50は、必要に応じて、互いに異なるグループに属する電極22には、互いに異なる発振信号(例えば一つの発振信号の位相を互いにずらした信号)を入力する。すなわち圧電振動子20のうち、同一のグループに属する複数の電極22が設けられている領域が、一つの発振領域になる。このため、本実施形態では、一つの圧電振動子20に複数の発振領域が設けられることになる。
【0021】
図3は、図2に示した圧電振動子20の全面を1つの発振領域として駆動させる場合を示している。この場合、図3(a)に示すように、複数の電極22には、互いに同一の発振信号が同位相で入力される。発振信号の周波数は、例えば基本共振周波数である。すると図3(b)に示すように、振動部材10は、縁のみを節として振動する。この振動は、振動部材10の基本共振周波数になる。この場合、パラメトリックスピーカの変調信号の周波数は、振動部材10の基本共振周波数となる。
【0022】
図4は、図2に示した圧電振動子20を2つの発振領域に分割して駆動させる場合を示している。この場合、図4(a)に示すように、複数の電極22の少なくとも一部は、第1振動領域22aに属し、他の少なくとも一部は第2振動領域22bに属することになる。そして第1振動領域22aに属する電極22と、第2振動領域22bに属する電極22には、同一の発振信号が逆位相で入力される。発振信号の周波数は、例えば2次共振周波数であるが、基本共振周波数であってもよい。すると、図4(b)に示すように、振動部材10は、縁に加え、縁以外の部分も節として振動する。この振動は、振動部材10の高次共振周波数、例えば二次共振周波数となる。この場合、パラメトリックスピーカの変調信号の周波数は、振動部材10の高次共振周波数、例えば二次共振周波数となる。なお、いずれの振動領域に属さない電極22があってもよい。この電極22には、発振信号は入力されない。
【0023】
図5は、図2に示した圧電振動子20を3つの発振領域に分割して駆動させる場合を示している。この場合、図5(a)に示すように、複数の電極22の少なくとも一部は、第1振動領域22aに属し、他の少なくとも一部は第2振動領域22bに属し、さらに他の一部は、第3振動領域22cに属することになる。そして第1振動領域22aに属する電極22、第2振動領域22bに属する電極22、及び第3振動領域22cに属する電極22には、同一の発振信号が同位相で入力される。発振信号の周波数は、例えば3次共振周波数であるが、基本共振周波数であってもよい。すると、図5(b)に示すように、振動部材10は、縁に加え、縁以外の2つの部分も節として振動する。この振動は、振動部材10の三次共振周波数となる。この場合、パラメトリックスピーカの変調信号の周波数は、振動部材10の三次共振周波数となる。なお、いずれの振動領域に属さない電極22があってもよい。この電極22には、発振信号は入力されない。
【0024】
なお、図4及び図5に示した例において、互いに隣り合う振動領域の間に、発振信号が入力されない電極22を、少なくとも一列設けても良い。このようにすると、互いに隣り合う振動領域で発生する振動が互いに干渉することを抑制できる。
【0025】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。本実施形態では、一つの圧電振動子20に複数の電極22を互いに独立して設けている。そして制御部50は、複数の電極22を、複数のグループに分割する。そして各グループ別に、電極22に入力する発振信号の位相を制御することにより、振動部材10に生じる振動を、振動部材10の基本共振周波数から、2次以上の高次共振周波数に変更することができる。超音波の指向性は、周波数が高いほど良くなる。このため、パラメトリックスピーカの搬送波の周波数を高くすると、パラメトリックスピーカの指向性は高くなる。従って本実施形態によれば、パラメトリックスピーカの指向性を、利用場面によって変更できる。
【0026】
一方、本実施形態では、一つの圧電振動子20を複数の振動領域に分割している。このため、発振装置が大型化することを抑制できる。
【0027】
また本実施形態では、一つの圧電振動子20を複数の振動領域に分割しているため、複数の振動領域それぞれが発振する音波の方向は略平行になる。このため、振動部材10の近傍で複数の発振領域それぞれから発振された超音波が互いに打ち消しあうことを抑制できる。従って、発振装置の音の出力効率は高くなる。
【0028】
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態に係る発振装置の構成を示す図である。この発振装置は、圧電振動子20を振動部材10の両面に有している点を除いて、第1の実施形態にかかる発振装置と同様の構成である。
【0029】
本実施形態は、所謂バイモルフ型の発振装置であり、平面視で、第1の圧電振動子20における複数の第1の発振領域それぞれは、第2の圧電振動子20のうち互いに異なる第2の発振領域と重なっている。そして制御部50は、発振信号を制御することにより、第1の発振領域と、その第1の発振領域と重なっている第2の発振領域とが、互いの振動を強め合うようにする。
【0030】
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、発振装置をバイモルフ型にすることができるため、発振装置の出力を大きくすることができる。
【0031】
(第3の実施形態)
図7は、第3の実施形態に係る発振装置の構成を示す図である。この発振装置は、以下の点を除いて、第1の実施形態に係る発振装置と同様である。
【0032】
まず、一つの圧電振動子20には、一つの発振領域のみが設けられている。そして振動部材10には、複数の圧電振動子20が平面視で重ならないように設けられている。すなわち本実施形態では、複数の発振領域別に、圧電振動子20が設けられている。そして各圧電振動子20は、材料及び形状が互いに同一である。ただし圧電振動子20は、平面形状が互いに異なっていても良い。制御部50は、複数の圧電振動子20を互いに独立して制御することができる。
【0033】
図8は、振動部材10及び圧電振動子20のレイアウトを示す平面図である。本実施形態において、振動部材10上には、平面形状が互いに同一の2つの圧電振動子20が、振動部材10の中心を中心軸として点対称に設けられている。本実施形態では、圧電振動子20は、三日月形の平面形状を有している。圧電振動子20は、内側に凹になっている辺が、互いに対向している。
【0034】
振動部材10は、2つの圧電振動子20に同位相の発振信号が入力された場合、第1の実施形態における図3と同様の原理で発振する。また振動部材10は、2つの圧電振動子20に互いに逆位相の発振信号が入力された場合、第1の実施形態における図4と同様の原理で発振する。
【0035】
本実施形態でも、制御部50が、複数の発振領域別に、圧電振動子20に入力信号を第1の実施形態と同様に制御する。このため、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0036】
(第4の実施形態)
図9は、第4の実施形態に係る発振装置に用いられる圧電振動子20のレイアウトを示す図である。本実施形態に係る発振装置は、圧電振動子20のレイアウトを除いて第3の実施形態に係る発振装置と同様の構成である。
【0037】
本実施形態において、複数の圧電振動子20は、一つの振動部材10に2次元、例えばマトリクスを構成するように配置されている。本図に示す例では、4つの圧電振動子20が、2行2列のマトリクスを構成するように、振動部材10上に設けられている。
【0038】
図10は、図9に示した圧電振動子20に対する信号の入力例を示す図である。図10(a)に示すように、4つの圧電振動子20の全てに同位相の発振信号を入力した場合、第1の実施形態における図3と同様の原理で発振する。また図10(b)に示すように4つの圧電振動子20に互い違いに逆相の発振信号を入力した場合、第1の実施形態における図4と同様の原理で発振する。また図10(c)に示すように、4つの圧電振動子20のうち対角線上に位置する2つにのみ同一の発振信号を入力した場合も、第1の実施形態における図4と同様の原理で発振する。
【0039】
本実施形態によっても、第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0040】
(第5の実施形態)
図11は、第5の実施形態に係る発振装置の構成を示す図である。本実施形態に係る発振装置は、以下の点を除いて、第3の実施形態に係る発振装置と同様の構成である。
【0041】
まず、振動部材10には、圧電振動子20及び圧電振動子30が設けられている。圧電振動子30は、圧電振動子20とは異なる圧電材料(例えば圧電セラミックス)により形成されており、かつ圧電振動子20とは機械品質係数Qが異なる。本実施形態において、圧電振動子20は振動部材10の第1面に設けられており、圧電振動子20は振動部材10の第2面に設けられている。制御部50は、圧電振動子20及び圧電振動子30を、互いに独立して制御することができる。
【0042】
図12は、本実施形態の作用及び効果を説明するための図である。上記したように、圧電振動子20と圧電振動子30は、機械品質係数Qが異なる。このため、圧電振動子20を単独で駆動させた場合、圧電振動子30を単独で駆動させた場合、並びに圧電振動子20及び圧電振動子30に対して同一の発振信号を入力した場合それぞれで、振動部材10の共振周波数を異ならせることができる。従って、第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0043】
また本実施形態では、圧電振動子20と圧電振動子30とで機械品質係数Qを異ならせるために、圧電振動子20と圧電振動子30とで圧電材料を異ならせている。このため、圧電振動子20と圧電振動子30の平面形状を大きく変更しなくても、機械品質係数Qを大きく異ならせることができる。従って、圧電振動子20及び圧電振動子30の一方を大きくする必要がなくなるため、発振装置が大型化することを抑制できる。
【0044】
また、圧電振動子20と圧電振動子30を同時に駆動させた場合、発振装置の出力を大きくすることができ、また帯域を拡張することができる。
【0045】
(第6の実施形態)
図13は、第6の実施形態に係る発振装置の構成を示す図である。図14は、図13に示した圧電振動子20及び圧電振動子30の平面レイアウトを示す図である。本実施形態に係る発振装置は、以下の点を除いて、第5の実施形態に係る発振装置と同様の構成である。
【0046】
まず、圧電振動子20は平面視で中空部を有している。具体的には、圧電振動子20は環状である。そして圧電振動子30は、振動部材10のうち圧電振動子20と同一の面に取り付けられている。具体的には、圧電振動子30は、平面視で圧電振動子20の中空部内に位置している。
【0047】
図15は、図14の変形例を示す図である。本実施形態において、圧電振動子20は十字形状を有している。そして圧電振動子30は、圧電振動子20と振動部材10の縁の間に複数設けられている。本実施形態では、4つの圧電振動子30が、振動部材10の中心を中心軸として90度間隔で配置されている。複数の圧電振動子30は、いずれも直角三角形であり、かつ、直角を形成する2辺が、いずれも圧電振動子20の外周と平行になっている。
【0048】
このように、圧電振動子20及び圧電振動子30の平面形状及びレイアウトは様々に変更することができる。
【0049】
本実施形態によっても、第5の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0050】
(第7の実施形態)
図16は、第7の実施形態に係る電子機器の構成を示す図である。この電子機器は、筐体60の内側に、第1〜第6の実施形態のいずれかに示した発振装置を設けたものである。この発振装置は、支持体40が筐体60の内壁に取り付けられることにより、筐体60に固定されている。筐体60のうち振動部材10に対向する部分には、少なくとも一つの音孔62が形成されている。振動部材10が発振した超音波は、音孔62を介して外部に伝達する。
【0051】
本実施形態によっても、第1〜第6の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0052】
(第8の実施形態)
図17は、第8の実施形態に係る電子機器の構成を示す図である。本実施形態に係る電子機器は、振動部材10が樹脂膜70を介して支持体40に取り付けられている点を除いて、第7の実施形態に係る電子機器と同様の構成である。
【0053】
樹脂膜70は、振動部材10よりも剛性が低い。このため、樹脂膜70を設けることにより、振動部材10の縁は、大きく振動できるようになる。従って、本実施形態によれば、第7の実施形態と同様の効果が得られるほか、発振装置の出力を大きくすることができる。
【0054】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0055】
10 振動部材
20 圧電振動子
22 電極
22a 第1振動領域
22b 第2振動領域
22c 第3振動領域
30 圧電振動子
40 支持体
50 制御部
60 筐体
62 音孔
70 樹脂膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動部材、及び前記振動部材に設けられた圧電振動子を有する振動体と、
前記振動部材の縁を支持する支持体と、
前記圧電振動子にパラメトリックスピーカ用の発振信号を入力する制御部と、
を備え、
前記振動体は、互いに独立して振動する複数の振動領域を備え、
前記制御部は、前記複数の振動領域の少なくとも1つに、同一の原信号から生成された前記発振信号を入力する発振装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発振装置において、
前記複数の振動領域は、一つの前記圧電振動子に設けられ、
前記圧電振動子は、前記複数の振動領域に互いに独立して設けられた複数の電極を有する発振装置。
【請求項3】
請求項2に記載の発振装置において、
前記複数の振動領域は、2次元に配置されている発振装置。
【請求項4】
請求項1に記載の発振装置において、
前記振動部材上には、前記複数の振動領域別に複数の前記圧電振動子が設けられている発振装置。
【請求項5】
請求項4に記載の発振装置において、
前記振動部材上には、2つの前記圧電振動子が点対称に設けられている発振装置。
【請求項6】
請求項4に記載の発振装置において、
前記複数の圧電振動子は、前記振動部材上に2次元に配置されている発振装置。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか一項に記載の発振装置において、
前記複数の圧電振動子は、材料及び形状が互いに同一である発振装置。
【請求項8】
振動部材、及び前記振動部材に設けられた複数の圧電振動子を有する振動体と、
前記振動部材の縁を支持する支持体と、
前記複数の圧電振動子にパラメトリックスピーカ用の発振信号を互いに独立して入力する制御部と、
を備え、
前記複数の圧電振動子は、互いに異なる材料から形成されており、かつ機械品質係数Qが互いに異なる発振装置。
【請求項9】
請求項8に記載の発振装置において、
第1の前記圧電振動子は前記振動部材の第1面に設けられており、
第2の前記圧電振動子は前記振動部材の第2面に設けられている発振装置。
【請求項10】
請求項8に記載の発振装置において、
第1の前記圧電振動子は前記振動部材の第1面に設けられており、かつ平面視で中空部を有しており、
第2の前記圧電振動子は、前記振動部材の前記第1面に設けられ、かつ平面視で前記中空部内に位置している発振装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一つに記載の発振装置を有する電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−216903(P2012−216903A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79014(P2011−79014)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】