説明

発毛促進用飲食物、医薬部外品、医薬組成物ならびに発毛促進方法

【課題】効果的かつ安全な発毛促進用飲食物および発毛促進用医薬組成物を提供する。
【解決手段】パルテノライドを含む発毛促進用飲食物および発毛促進用医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キク科植物の抽出物またはその成分を含有する、発毛を促進するための飲食物、発毛促進用医薬部外品および発毛促進用医薬組成物に関する。詳細には、ナツシロギク抽出物またはセスキテルペンラクトン、詳細にはパルテノライドを含む発毛促進用飲食物、発毛促進用医薬部外品および発毛促進用医薬組成物に関する。さらに本発明は、キク科植物の抽出物またはその成分、とりわけナツシロギク抽出物またはセスキテルペンラクトン、詳細にはパルテノライドを用いる発毛促進方法などを提供する。
【背景技術】
【0002】
脱毛症に悩んでいる人は多い。例えば、事故などによる脱毛、ストレスなどが原因の円形脱毛症、老化による脱毛、若ハゲなど、脱毛症の症状は多種多様である。脱毛を抑制あるいは育毛、養毛または増毛を目的として様々な医薬品、医薬部外品あるいは化粧品が開発されている。
【0003】
医薬品の中に用いられる発毛促進成分としては、ビタミンE誘導体、ミノキシジル、トウガラシエキスなどの血行促進剤や血管拡張剤が知られている。しかし、これらの物質は安全性や副作用の観点から投与量が限られているので、十分な作用効果を得られないことが多い。
【0004】
最近では、安全性を重視して、天然物由来の抽出物や成分を含む発毛促進用の医薬品、医薬部外品あるいは化粧品が多く開発されている。これらにはセンブリエキス、ニンジンエキス、冬虫夏草エキス、ウンシュウミカンの成分などが用いられている(特許文献1等参照)。これらの医薬部外品や化粧品には効果が不明なもの、安全性に疑問が持たれるものも多く、一般的に高価である。
【0005】
上記のような事情に鑑みると、安全性が高く、安価で、しかも効果が確実で優れた発毛を促進するための飲食物、医薬部外品ならびに発毛促進用医薬組成物に対する必要性が高いといえる。
【特許文献1】特開2000−290146号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
安全性が高く、効果が確実で優れた発毛を促進するための飲食物、医薬部外品ならびに発毛促進用医薬組成物を提供することが本発明の解決課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決せんと鋭意研究を重ねた結果、キク科植物の抽出物、特にナツシロギク抽出物およびその成分であるセスキテルペンラクトン、詳細には、パルテノライドが発毛促進効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は:
(1)キク科植物の抽出物を含有する、発毛を促進するための飲食物;
(2)キク科植物がナツシロギクである、(1)記載の飲食物;
(3)パルテノライドを含有する、発毛を促進するための飲食物;
(4)サプリメントである(1)〜(3)のいずれかに記載の飲食物;
(5)キク科植物の抽出物を含有する、発毛を促進するための医薬部外品;
(6)キク科植物がナツシロギクである、(5)記載の医薬部外品;
(7)パルテノライドを含有する、発毛を促進するための医薬部外品;
(8)ローションまたは軟膏の形態である(5)〜(7)のいずれかに記載の医薬部外品;
(9)キク科植物の抽出物を含有する、発毛促進用医薬組成物;
(10)キク科植物がナツシロギクである、(9)記載の発毛促進用医薬組成物;
(11)パルテノライドを含有する、発毛促進用医薬組成物;
(12)ローションまたは軟膏の形態である(9)〜(11)のいずれかに記載の医薬組成物;
(13)キク科植物の抽出物を含有する、発毛を促進するための動物用飼料または獣医用医薬組成物;
(14)キク科植物がナツシロギクである(13)記載の飼料または獣医用医薬組成物;
(15)パルテノライドを含有する、発毛を促進するための動物用飼料または獣医用医薬組成物;
(16)キク科植物抽出物を投与または摂食することを特徴とする発毛促進方法;
(17)キク科植物がナツシロギクである(16)記載の発毛促進方法;
(18)パルテノライドを投与または摂食することを特徴とする発毛促進方法;
(19)発毛を促進するための飲食物、サプリメント、医薬部外品または医薬組成物の製造のためのキク科植物抽出物の使用;
(20)キク科植物がナツシロギクである(19)記載の使用;
(21)発毛を促進するための飲食物、サプリメント、医薬部外品または医薬組成物の製造のためのパルテノライドの使用
を提供する。
【0009】
とりわけ、本発明は:
(I)パルテノライドを含有する、発毛を促進するための飲食物;
(II)サプリメントである(I)記載の飲食物;
(III)パルテノライドを含有する、発毛を促進するための医薬部外品;
(IV)ローションまたは軟膏の形態である(III)記載の医薬部外品;
(V)パルテノライドを含有する、発毛促進用医薬組成物;
(VI)ローションまたは軟膏の形態である(V)記載の医薬組成物;
(VII)パルテノライドを含有する、発毛を促進するための動物用飼料または獣医用医薬組成物;
(VIII)発毛を促進するための飲食物、サプリメント、医薬部外品または医薬組成物の製造のためのパルテノライドの使用
を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、安全性が高く、効果が確実で優れた発毛を促進するための飲食物、医薬部外品ならびに発毛促進用医薬組成物が得られる。さらに本発明によれば、安全性が高く、効果が確実で優れた発毛促進方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、1の態様において、キク科植物の抽出物を含有する、発毛を促進するための飲食物に関するものである。本発明の飲食物に使用される植物抽出物は、セスキテルペンラクトン類を含む植物の抽出物であれば、植物の種類は特に制限はない。セスキテルペンラクトンを多く含む植物の例としては、キク科植物が挙げられ、例えばヨモギ属の植物やタンポポなどが挙げられる。セスキテルペンラクトン類はキク科植物に豊富に存在し、なかでもパルテノライドが豊富である。これまで、ヨモギやナツシロギクなどのキク科植物の抽出物や、その成分であるパルテノライドが抗炎症作用などの様々な生理作用を有することが報告されている。しかしながら、キク科植物、詳細にはナツシロギクの抽出物およびセスキテルペンラクトン、詳細にはパルテノライドが発毛促進作用を示すことはこれまで報告されていない。
【0012】
本明細書において、「発毛促進」という語は、脱毛症、抜け毛などの状態、その他の発毛、育毛、養毛、増毛または毛再生、あるいは脱毛防止などを必要とする状態における発毛作用、育毛作用、養毛作用、増毛作用、脱毛防止作用および脱毛処置などを意味する。
【0013】
本発明の飲食物に使用するキク科植物としては、セスキテルペンラクトン、特にパルテノライド含有量の高い植物を用いることが好ましい。そのような植物としてはヨモギ属の植物、特に好ましくはナツシロギク(Tanacetum parthenium)(フィーバーフュ−ともいう)が挙げられる。したがって、本発明に使用される特に好ましいキク科植物抽出物はナツシロギクの抽出物である。ナツシロギクの植物体、特に葉には通常0.2〜0.9%程度のパルテノライドが含まれている。驚くべきことに、本発明において、キク科植物の抽出物、特にナツシロギク抽出物およびその成分であるセスキテルペンラクトン、詳細にはパルテノライドを患部に適用するのみならず、経口摂取した場合にも優れた発毛促進作用が確認された。
【0014】
キク科植物の抽出物は公知の方法により得ることができる。抽出部位は植物の地上部であればいずれの部位でもよいが、好ましい抽出部位は葉である。植物をそのまま溶媒に浸漬して抽出物を得てもよいが、破砕してから内容物を抽出するほうが抽出効率が高い。植物は生のままでも、乾燥したものであってもよい。乾燥には、温風乾燥、風乾などの公知の乾燥方法を用いることができる。植物の破砕手段は各種のものが使用可能である。例えば、手もみ、ポッター-エルベージェムホモジナイザーなどのホモジナイザー、ワーリングブレンダーなどのブレンダー、ダイノーミルなどの破砕器、フレンチプレス、乳鉢および乳棒、らいかい器、液体窒素による凍結および破砕、超音波処理などの手段により植物を破砕することができる。植物の破砕物を適当な媒体に懸濁し、内容物の抽出を行う。所望により、抽出時に撹拌してもよい。懸濁・抽出媒体としては、水、エーテル、メタノール、エタノール、あるいはエタノールと水の混合物などが挙げられる。懸濁媒体は、毒性の低いもの、あるいは無毒であるものが好ましい。かかる観点から、水、エタノール、あるいはエタノールと水の混合物が特に好ましい懸濁・抽出媒体として挙げられる。懸濁・抽出時の温度、圧力、時間などの抽出条件は植物の種類、量などに応じて選択することができる。また、植物の地上部、例えば、葉や茎などをそのまま、温風乾燥、風乾などの公知の乾燥方法により乾燥させ、粉砕することにより粉末化したものを、本発明の飲食物や医薬組成物に使用してもよい。
【0015】
必要ならば、得られた抽出物を、デカンテーション、ろ過、または遠心分離などに付して固形分および粒子状物質を除去することができる。得られた抽出物を、公知方法、例えばエバポレーションなどにより濃縮してもよい。また、得られた抽出物を、公知方法、例えば各種クロマトグラフィーや沈殿法などにより、さらに精製して用いてもよい。
【0016】
本発明の飲食物に使用する植物抽出物は上記のようにして得ることができるが、ナツシロギク抽出物は市販もされており、これを使用してもかまわない。これらの抽出物は、使用形態や目的等に応じて種々の形態とすることができ、液体、半固体、粉末(例えば凍結乾燥粉末等)などに調製することができる。
【0017】
キク科植物抽出物、特にナツシロギク抽出物を種々の飲食物に配合して、本発明の飲食物を得ることができる。これらのキク科植物抽出物は天然物由来のため毒性が低く、あるいは無毒であり、あらゆる飲食物に配合することができる。例えば、抽出物をジュースやハーブ系調味料などに配合してもよい。本発明の飲食物は、健康食品、栄養機能食品、あるいは特定保健用食品(いわゆる「トクホ」)などにすることができる。
【0018】
とりわけ、本発明の飲食物の好ましい形態として、サプリメントが挙げられる。サプリメントの形状は、経口摂取可能な形状であればいずれの形状であってもよく、例えば、一般の食品の形状であってもよく、錠剤、カプセル剤、顆粒、粉末(例えば凍結乾燥粉末等)、懸濁液、ドリンク剤、エリキシル、ドロップ、チュアブル形態、ゼリー状などの形状であってもよい。これらのサプリメントは、食品分野や製薬分野で用いられているプロセスに準じて製造することができる。例えば、錠剤形状のサプリメントを製造する場合には、製薬分野で用いられている混合、乾燥、打錠等の一般的なプロセスを用いることができる。また例えば、カプセル剤の形状の場合には、混合、カプセル封入等の一般的なプロセスを用いることができる。ソフトカプセル、ハードカプセルも目的に応じて適宜選択することができる。液体のサプリメントを製造するには水、エタノール等の毒性の低い媒体に抽出物を溶解ないし懸濁することができる。粉末や顆粒のサプリメントを製造するには、やはり通常の混合、乾燥、粉砕、ふるい分けなどのプロセスを用いることができる。サプリメントの製造に担体や賦形剤を用いる場合には、その種類や量は製薬分野の慣習に準じて選択することができる。固体の担体または賦形剤としては、例えばタルク、カルボキシメチルセルロース、ショ糖、小麦粉などがある。液体の担体としては、例えば水、エタノール、食用油脂などがある。
【0019】
本発明の飲食物またはサプリメントには、上記のキク科植物抽出物に代えて、あるいはこれに加えて、セスキテルペンラクトン、好ましくはパルテノライドを配合してもよい。パルテノライド粗精製品であってもよく、精製品であってもよい。パルテノライドは、例えば、上記抽出物から精製または単離したものであってもよい。パルテノライドは化学合成品であってもよい。
【0020】
本発明の飲食物またはサプリメントは、若ハゲ、円形脱毛症などのあらゆる種類の脱毛症、抜け毛、その他の発毛促進、育毛、養毛、増毛または毛再生、あるいは脱毛防止を必要とする状態に対して効果がある。また、本発明の飲食物およびサプリメントは男女を問わず効果がある。
【0021】
1日あたりのキク科植物抽出物(パルテノライド含量0.9%(w/w)の場合)の摂取量は、抽出物に含有されるセスキテルペンラクトン類、特にパルテノライド量に依存する。ナツシロギク抽出物であれば、成人(体重70kg)の場合1日あたり、0.05g〜50g程度を摂取するのが一般的であり、0.15g〜15g程度を摂取するのが適当であり、0.5g〜3.0g程度を摂取するのがさらに適当である。また、パルテノライドを本発明の飲食物またはサプリメントに用いる場合には、パルテノライド摂取量は、成人(体重70kg)の場合1日あたり、0.45mg〜450mg程度を摂取するのが一般的であり、1.35mg〜135mg程度を摂取するのが適当であり、4.5mg〜27mg程度を摂取するのがさらに適当である。これらの摂取量は目的とする発毛促進効果や該効果が所望される部位などの条件に応じて増減されうる。また、これらの摂取量を1日に1回ないし複数回に分けて摂取することもできる。
【0022】
本発明の飲食物やサプリメント中には、キク科植物抽出物やパルテノライドのみならず1種またはそれ以上の他の有効成分が混合されていてもよい。例えば、ビタミンEやその誘導体、ビタミンB群やその誘導体、γ−オリザノール、β−カロチン、ナイアシン、大豆サポニン、ナットウキナーゼ、フラボノイド、ジンゲロール、硫化アリル、カプサイシン、スコルジン、ルチン、α−リノレン酸、ケイヒ、塩化カルプロニウム、酢酸トコフェロールなどの血行促進物質、あるいはパントテン酸、ビオチン、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、カルシウム、ローヤルゼリー、イノシトール、コエンザイムA、コエンザイムQ10、亜鉛、硫黄、セレン、コラーゲン、ゼラチン、メチオニン、EPA、コンドロイチン硫酸、イラクサ属、オリーブ、海草エキス、ベニバナ、ローズマリー、スギナ、ノコギリヤシ、食物繊維、高麗人参、カテキンなどが本発明の飲食物やサプリメントに含まれていてもよい。経口的にさらにこれらの有効成分の摂取と本発明の飲食物の摂取を併用してもよい。すでに脱毛症、抜け毛、その他の発毛促進、育毛、養毛、増毛または毛再生、あるいは脱毛防止を必要とする状態に対する治療を受けている人が、本発明の飲食物やサプリメントを摂取することにより、治療効果を促進することも可能である。
【0023】
本発明は、もう1つの態様において、キク科植物の抽出物を含有する、発毛を促進するための医薬部外品を提供する。本発明の医薬部外品に用いるキク科植物の抽出物に関しては上で説明したとおりである。医薬部外品の形態としては、化粧品の形態が一般的である。具体的には、ローション、クリーム、リニメント、軟膏、スプレー、バーム、シャンプー、トニック、ジェル、ワックス、トリートメント、パック、ヘアフォームなどの形態とすることができる。かかる医薬部外品を、頭皮などの発毛促進が所望される部位に適用する。本発明の医薬部外品には、キク科植物の抽出物またはパルテノライドなどの有効成分の浸透を促進する成分、例えば、エタノール、グリセリン、キトフィルマー、パントテニールエチルエーテル、プロピレングリコール、グリチルリチン酸などのほか、慣用的な香料や着色料などを含んでいてもよい。
【0024】
本発明の医薬部外品には、上記のキク科植物抽出物に代えて、あるいはこれに加えて、セスキテルペンラクトン、好ましくはパルテノライドを配合してもよい。パルテノライド粗精製品であってもよく、精製品であってもよい。パルテノライドは、例えば、上記抽出物から精製または単離したものであってもよい。パルテノライドは化学合成品であってもよい。
【0025】
本発明の医薬部外品は、若ハゲ、円形脱毛症などのあらゆる種類の脱毛症、抜け毛、その他の発毛促進、育毛、養毛、増毛または毛再生、あるいは脱毛防止を必要とする状態に対して効果がある。本発明の医薬部外品は皮膚のあらゆる部位に適用することができる。また、本発明の医薬部外品は男女を問わず効果がある。
【0026】
本発明の医薬部外品にキク科植物の抽出物(パルテノライド含量0.9%(w/w)の場合)を用いる場合、1日あたりのキク科植物抽出物の適用量は、抽出物に含有されるセスキテルペンラクトン類、特にパルテノライド量に依存する。ナツシロギク抽出物であれば、成人(体重70kg)の場合1日あたり、0.05g〜50g程度を適用するのが一般的であり、0.15g〜15g程度を適用するのが適当であり、0.5g〜3.0g程度を適用するのがさらに適当である。また、本発明の医薬部外品にパルテノライドを用いる場合には、パルテノライド適用量は、成人(体重70kg)の場合1日あたり、0.45mg〜450mg程度を適用するのが一般的であり、1.35mg〜135mg程度を適用するのが適当であり、4.5mg〜27mg程度を適用するのがさらに適当である。これらの適用量は目的とする発毛促進効果や適用部位などの条件に応じて増減されうる。また、これらの適用量を1日に1回ないし複数回に分けて必要部位に適用することもできる。
【0027】
本発明の医薬部外品中には、キク科植物抽出物やパルテノライドのみならず1種またはそれ以上の他の有効成分が混合されていてもよい。例えば、センブリエキス、ニンジンエキス、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンB6、EPA、イノシトール、コエンザイムA、コエンザイムQ10、亜鉛、硫黄、セレン、コラーゲン、ゼラチン、メチオニン、コンドロイチン硫酸、植物ステロール、イラクサ属、シラカンバ、スギナ、ノコギリヤシ、ベニバナ、ユッカ、ラベンダー、ローズマリー、核酸、卵黄油、ローヤルゼリー、ペンタデカン酸グリセリド、ミノキシジルなどの発毛促進物質、あるいはビタミンEおよびその誘導体、トウガラシエキス、ビタミンB群やその誘導体、γ−オリザノール、β−カロチン、ナイアシン、大豆サポニン、ナットウキナーゼ、フラボノイド、ジンゲロール、硫化アリル、カプサイシン、スコルジン、ルチン、α−リノレン酸、ケイヒ、塩化カルプロニウム、酢酸トコフェロールなどの血行促進物質、あるいは殺菌剤や保湿剤などが本発明の医薬部外品に含まれていてもよい。さらにこれらの有効成分の適用と本発明の医薬部外品の適用を併用してもよい。すでに脱毛症、抜け毛、その他の発毛促進、育毛、養毛、増毛または毛再生、あるいは脱毛防止を必要とする状態に対する治療を受けている人が、本発明の医薬部外品を適用することにより、治療効果を促進することも可能である。
【0028】
さらに本発明の医薬部外品は、例えばドリンク剤形態のような口から摂取可能な形態であってもよい。
【0029】
本発明は、もう1つの態様において、キク科植物の抽出物を含有する、発毛を促進するための医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物に用いるキク科植物の抽出物に関しては上で説明したとおりである。本発明の医薬組成物を種々の剤形に処方することができる。上述のように、キク科植物の抽出物、特にナツシロギク抽出物またはパルテノライドは、皮膚に適用する場合のみならず、経口投与した場合にも発毛促進作用を有する。本発明の医薬組成物を皮膚に適用する場合はあらゆる部位に適用可能である。
【0030】
経口投与される本発明の医薬組成物は公知の手段・方法を用いて製造することができる。本発明の医薬組成物に使用する担体および賦形剤なども公知のものを使用することができる。経口投与される本発明の医薬組成物の剤形は、錠剤、カプセル剤、顆粒、粉末(例えば凍結乾燥粉末等)、懸濁液、ドリンク剤、エリキシル、ドロップ、舌下錠、チュアブル形態、ゼリー状などの形状であってもよい。例えば、錠剤を製造する場合には、製薬分野で用いられている混合、乾燥、打錠等の一般的なプロセスを用いることができる。また例えば、カプセル剤を製造する場合には、混合、カプセル封入等の一般的なプロセスを用いることができる。ソフトカプセル、ハードカプセルも目的に応じて適宜選択することができる。経口液体剤形を製造するには水、グリセロール、エタノール、食用油脂などの毒性の低い、あるいは無毒の媒体にキク科植物の抽出物またはパルテノライドを溶解ないし懸濁することができる。粉末や顆粒の経口剤形を製造するには、やはり通常の混合、乾燥、粉砕、ふるい分けなどのプロセスを用いることができる。経口医薬組成物の製造には通常、担体や賦形剤を用いる。それらの種類や量は製薬分野の慣習に準じて選択することができる。固体の担体または賦形剤としては、例えばタルク、カルボキシメチルセルロース、ショ糖、小麦粉、デンプンなどがある。液体の担体としては、例えば水、グリセロール、エタノール、食用油脂、水あめなどがある。これらの経口医薬組成物は、香料や着色料などの慣用的な成分を含んでいてもよい。
【0031】
本発明の医薬組成物を、塗布、噴霧などにより皮膚に適用する剤形とすることもでき、例えば、ローション、クリーム、軟膏、リニメント、スプレー、バーム、シャンプー、トニック、ジェル、ワックス、トリートメント、パック、ヘアフォームなどの剤形とすることができる。かかる皮膚適用剤形は公知の手段・方法により製造することができる。ローション剤は、水またはエタノール等の水性担体にキク科植物抽出物またはパルテノライドを溶解または懸濁させることにより製造することができる。スプレー剤は、キク科植物抽出物またはパルテノライドを溶解または懸濁した液体を公知の噴霧装置に充填することにより得ることができる。クリームおよび軟膏は、ワセリン、パラフィン、ラノリン、ロウ、その他の油脂などを基材として製造することができる。その他の皮膚適用剤形も公知であり、公知方法にて製造することができる。これらの皮膚適用医薬組成物は、香料や着色料などの慣用的な成分を含んでいてもよい。さらに、これらの皮膚適用医薬組成物には、キク科植物抽出物またはパルテノライドのような有効成分の皮膚内部への浸透を促進する物質、例えば、エタノール、グリセリン、キトフィルマー、パントテニールエチルエーテルなどを含んでいてもよい。さらに、本発明の医薬組成物は注射あるいは輸液により投与することもできる。注射用製剤、輸液用製剤の製造方法は公知であり、例えば、生理食塩水や蒸留水などの注射用の担体に有効成分を溶解することにより、これらの製剤を得ることができる。
【0032】
本発明の医薬組成物には、上記のキク科植物抽出物に代えて、あるいはこれに加えて、セスキテルペンラクトン、好ましくはパルテノライドを配合してもよい。パルテノライドは粗精製品であってもよく、精製品であってもよいが、高度に精製されたパルテノライドが特に好ましい。パルテノライドは、例えば、上記抽出物から精製または単離したものであってもよい。パルテノライドは化学合成品であってもよい。
【0033】
本発明の医薬組成物は、あらゆる種類の脱毛症、抜け毛、その他の発毛促進、育毛、養毛、増毛または毛再生、あるいは脱毛防止を必要とする状態に対して効果がある。また、本発明の医薬組成物は男女を問わず効果がある。
【0034】
本発明の医薬組成物にキク科植物の抽出物(パルテノライド含量0.9%(w/w)の場合)を用いる場合、1日あたりのキク科植物抽出物の投与量は、抽出物に含有されるセスキテルペンラクトン類、特にパルテノライド量に依存する。本発明の医薬組成物として投与されるナツシロギク抽出物の量は、成人(体重70kg)の場合1日あたり、経口投与の場合には、0.05g〜50g程度を投与するのが一般的であり、0.15g〜15g程度を投与するのが適当であり、0.5g〜3.0g程度を投与するのがさらに適当である。本発明の医薬組成物として投与されるナツシロギク抽出物(パルテノライド含量0.9%(w/w)の場合)の量は、成人(体重70kg)の場合1日あたり、皮膚適用の場合には、0.05g〜50g程度を適用するのが一般的であり、0.15g〜15g程度を適用するのが適当であり、0.5g〜3.0g程度を適用するのがさらに適当である。また、本発明の医薬組成物にパルテノライドを用いる場合には、経口投与の場合には、パルテノライド投与量は、成人(体重70kg)の場合1日あたり、0.45mg〜450mg程度を投与するのが一般的であり、1.35mg〜135mg程度を投与するのが適当であり、4.5mg〜27mg程度を投与するのがさらに適当である。本発明の医薬組成物にパルテノライドを用いる場合には、皮膚適用の場合には、パルテノライド適用量は、成人(体重70kg)の場合1日あたり、0.45mg〜450mg程度を適用するのが一般的であり、1.35mg〜135mg程度を適用するのが適当であり、4.5mg〜27mg程度を適用するのがさらに適当である。これらの投与量または適用量は目的とする発毛促進効果や適用部位などの条件に応じて増減されうる。また、これらの適用量を1日に1回ないし複数回に分けて投与または適用することもできる。
【0035】
本発明の医薬組成物中には、キク科植物抽出物やパルテノライドのみならず1種またはそれ以上の他の有効成分が混合されていてもよい。経口投与医薬組成物の場合には、例えば、ビタミンEやその誘導体、ビタミンB群やその誘導体、γ−オリザノール、β−カロチン、ナイアシン、大豆サポニン、ナットウキナーゼ、フラボノイド、ジンゲロール、硫化アリル、カプサイシン、スコルジン、ルチン、α−リノレン酸、ケイヒ、塩化カルプロニウム、酢酸トコフェロールなどの血行促進物質、あるいはセンブリエキス、ニンジンエキス、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンB6、イノシトール、コエンザイムA、コエンザイムQ10、亜鉛、硫黄、セレン、コラーゲン、ゼラチン、メチオニン、コンドロイチン硫酸、植物ステロール、イラクサ属、シラカンバ、スギナ、ノコギリヤシ、ベニバナ、ユッカ、ラベンダー、ローズマリー、核酸、卵黄油、ローヤルゼリー、ビタミンC、ビタミンD、カルシウム、EPA、オリーブなどが含まれていてもよい。皮膚適用医薬組成物の場合には、例えば、センブリエキス、ニンジンエキス、パントテニールエチルエーテル、塩化カルプロニウム、ペンタデカン酸グリセリド、ミノキシジルなどの発毛促進物質、あるいはビタミンEおよびその誘導体、トウガラシエキス、センブリエキス、セージエキス、アルニカエキス、ハマメリスエキスなどの血行促進物質、あるいは殺菌剤や保湿剤などが含まれていてもよい。さらにこれらの有効成分の投与または適用と本発明の医薬組成物の適用を併用してもよい。すでに脱毛症、抜け毛、その他の発毛促進、育毛、養毛、増毛または毛再生、あるいは脱毛防止を必要とする状態に対する治療を受けている人が、本発明の医薬組成物を適用することにより、治療効果を促進することも可能である。
【0036】
本発明は、さらなる態様において、キク科植物抽出物、好ましくはナツシロギク抽出物、あるいはセスキテルペンラクトン、好ましくはパルテノライドを投与または摂食することを特徴とする、発毛促進方法を提供する。該方法において、例えば、ナツシロギク抽出物やパルテノライドは飲食物やサプリメントとして摂食されてもよく、医薬部外品として適用されてもよく、あるいは医薬組成物として投与または適用されてもよい。該方法におけるキク科植物抽出物、好ましくはナツシロギク抽出物、あるいはパルテノライドの用量は上記のとおりである。該方法におけるキク科植物抽出物、好ましくはナツシロギク抽出物、あるいはパルテノライドの典型的な投与方法は経口投与および皮膚への塗布等であるが、これらの投与方法に限定されない。本発明の発毛促進方法は、男女を問わず有効であり、ヒト以外の動物に対しても有効である。本発明の発毛促進方法を、他の発毛促進方法と併用してもよい。
【0037】
本発明は、さらにもう1つの態様において、発毛を促進するための飲食物、サプリメント、医薬部外品または医薬組成物の製造のためのキク科植物抽出物、好ましくはナツシロギク抽出物、あるいはセスキテルペンラクトン、好ましくはパルテノライドの使用を提供する。該使用におけるキク科植物抽出物、好ましくはナツシロギク抽出物、あるいはパルテノライドの量は上記のとおりである。かかる使用において、他の発毛促進物質を組み合わせて使用してもよい。
【0038】
さらに、本発明のキク科植物抽出物、好ましくはナツシロギク抽出物、あるいはセスキテルペンラクトン、好ましくはパルテノライドを含む飲食物、医薬部外品および医薬組成物、ならびに上記方法および使用は、ヒトのみならず、ヒト以外の動物にも適用することができる。例えば、イヌ、ネコのようなペット用、家畜用、獣医用としても使用することができる。したがって、本発明は、さらなる態様において、キク科植物の抽出物を含有する、発毛を促進するための動物(ヒト以外)用飼料または獣医用医薬組成物;キク科植物がナツシロギクである上記飼料または獣医用医薬組成物;ならびにパルテノライドを含有する、発毛を促進するための動物(ヒト以外)用飼料または獣医用医薬組成物を提供する。
【0039】
以下に実施例を示して本発明をさらに詳細かつ具体的に説明するが、実施例は本発明を限定するものと解してはならない。
【実施例1】
【0040】
経口投与試験
本試験では、マウスに経口投与した場合のパルテノライドおよびナツシロギク抽出物の発毛促進作用を調べた。
【0041】
1.実験方法
7週齢、体重20〜30gオスのC3H/He Slcマウスを馴化させ、8週齢で試験に用いた。試験群は、パルテノライド投与群、ナツシロギク抽出物投与群、対照群とし、各試験群に6匹のマウスを用いた。8週齢のマウスにエーテルで軽麻酔を施し、背部を電気バリカン(THRIVE 6000AD、夏目製作所)で毛刈りし、その後電気シェーバー(5494、BRAUN)で皮膚表面を傷つけないように除毛した。除毛した翌日より、パルテノライド、ナツシロギク抽出物および対照を経口投与した。パルテノライド投与群のマウスには、パルテノライド(Sigma社製(純度90%以上)、ロット番号:066K1385)を0.5%メチルセルロース(400cP、和光純薬製)水溶液に40mg/10mlとなるよう懸濁し、体重1kgあたり10mlを1日1回経口ゾンデ(マウス用、フチガミ器械店製)および注射筒(1mL容量、テルモ製)にて経口投与した。ナツシロギク抽出物投与群のマウスには、ナツシロギク抽出物(HAND FINE CHEMICALS社製、バッチ番号609M907−235、パルテノライド含有量約0.8%(w/w))を0.5%メチルセルロース(400cP、和光純薬製)水溶液に888mg/10mlとなるよう懸濁し、体重1kgあたり10mlを1日1回経口ゾンデ(マウス用、フチガミ器械店製)および注射筒(1mL容量、テルモ製)にて経口投与した。対照群のマウスには、0.5%メチルセルロース(400cP、和光純薬製)水溶液を、体重1kgあたり10mlを1日1回経口ゾンデ(マウス用、フチガミ器械店製)および注射筒(1mL容量、テルモ製)にて経口投与した。投与期間は19日とし、その間、マウスに固形飼料MF(オリエンタル酵母工業株式会社製)およびフィルター濾過した水道水を自由に与えた。再生毛面積の測定のため、マウスをエーテル軽麻酔下で不動化した後、デジタルカメラ(COOLPIX885、Nikon)を用いて被験物質投与より2日毎に全例の写真を撮り、画像解析ソフト(Image Tool ver.3.00、UTHSCSA)を用いて剃毛面積および再生毛面積を求め、剃毛面積に対する再生毛面積の割合(%)を算出した。剃毛面積に対する再生毛面積の割合(%)は1群あたり6匹の平均値である。
【0042】
2.結果
結果を図1−図4に示す。パルテノライド投与群およびナツシロギク抽出物投与群のすべてのマウスにおいて、対照を上回る毛の再生が見られた。これらの群において、再生毛面積の増加パターンは類似しており、投与15日目から顕著な毛の再生が見られた。投与19日目には、大部分の毛が再生した。19日間の投与により、赤変、腫れ、体重低下、肝機能の異常あるいは異常行動などの副作用は認められなかった。
【実施例2】
【0043】
皮膚への塗布試験
本試験では、マウスの皮膚に塗布した場合のパルテノライドおよびナツシロギク抽出物の発毛促進作用を調べた。
【0044】
1.実験方法
7週齢、体重20〜30gオスのC3H/He Slcマウスを馴化させ、8週齢で試験に用いた。試験群は、パルテノライド塗布群、ナツシロギク抽出物塗布群、対照群とし、各試験群に6匹のマウスを用いた。8週齢のマウスにエーテルで軽麻酔を施し、背部を電気バリカン(THRIVE 6000AD、夏目製作所)で毛刈りし、その後電気シェーバー(5494、BRAUN)で皮膚表面を傷つけないように除毛した。除毛した翌日より、パルテノライド、ナツシロギク抽出物および対照を剃毛した皮膚に直接塗布した。パルテノライド塗布群のマウスには、パルテノライド(Sigma社製(純度90%以上)、ロット番号:066K1385)を30%エタノール水溶液に4mg/mlとなるよう懸濁し、注射筒(1ml容量、テルモ)を用いて1匹あたり0.1mlを1日1回塗布した。ナツシロギク抽出物投与群のマウスには、ナツシロギク抽出物(HAND FINE CHEMICALS社製、バッチ番号609M907−235、パルテノライド含有量約0.8%(w/w))を30%エタノール水溶液に1200mg/mlとなるよう懸濁し、注射筒(1ml容量、テルモ)を用いて1匹あたり0.1mlを1日1回塗布した。対照群のマウスには、30%エタノール水溶液を、注射筒(1ml容量、テルモ)を用いて1匹あたり0.1mlを1日1回塗布した。塗布期間は17日とし、その間、マウスに固形飼料MF(オリエンタル酵母工業株式会社製)およびフィルター濾過した水道水を自由に与えた。再生毛面積の測定のため、マウスをエーテル軽麻酔下で不動化した後、デジタルカメラ(COOLPIX885、Nikon)を用いて被験物質投与より2日毎に全例の写真を撮り、画像解析ソフト(Image Tool ver.3.00、UTHSCSA)を用いて剃毛面積および再生毛面積を求め、剃毛面積に対する再生毛面積の割合(%)を算出した。剃毛面積に対する再生毛面積の割合(%)は1群あたり6匹の平均値である。
【0045】
2.結果
結果を図5−図8に示す。パルテノライド塗布群およびナツシロギク抽出物塗布群のすべてのマウスにおいて、対照を上回る毛の再生が見られた。これらの群において、ナツシロギク抽出物塗布群の再生毛面積の増加は11日目から認められ、パルテノライド塗布群(15日目から効果が現れた)よりも早く効果が現れた。この結果は、ナツシロギク抽出物投与群ではパルテノライド換算でパルテノライド投与群の約2.7倍のパルテノライドが投与されていたためと考えられる。いずれの群においても塗布17日目には、大部分の毛が再生し、ナツシロギク抽出物塗布群ではほぼ完全に毛が再生した。17日間の投与により、赤変、腫れ、熱感、発疹、体重低下、肝機能の異常あるいは異常行動などの副作用は認められなかった。
【実施例3】
【0046】
経口投与によるヒト頭部毛髪の再生
ナツシロギク抽出物粉末(HAND FINE CHEMICALS社製、バッチ番号609M907−235、パルテノライド含有量約0.8%(w/w))をオブラートにくるみ、24日間にわたり、1日3回、1回につき2gを64歳男性被験者に毎食後に服用させた。毛再生の様子をデジタルカメラにて経時的に撮影した。図9に示すように、被験者頭部において経時的な毛再生あるいは発毛促進が確認された。この試験において、ナツシロギク抽出物服用による不快感、腫れ、体重低下、肝機能の異常その他の副作用は確認されなかった。
【0047】
上記ナツシロギク抽出物を4週間にわたり、1日1回、1回につき2gを食後に服用した60歳男性および36歳男性においても、毛再生あるいは発毛促進効果が認められた。
【実施例4】
【0048】
ローション調製例(1)

パルテノライド 250mg
(Sigma社製(純度90%以上)、ロット番号:066K1385)
30%エタノール水溶液 62.5ml

パルテノライドを乳鉢と乳棒ですりつぶし、すりつぶしたパルテノライドに30%エタノール水溶液を徐々に添加して均一な溶液を得ることによりローションとした。これに慣用的な香料等を添加してもよい。
【実施例5】
【0049】
ローション調製例(2)

ナツシロギク抽出物粉末 84g
(HAND FINE CHEMICALS社製、バッチ番号609M907−235)
30%エタノール水溶液 70ml

ナツシロギク抽出物粉末を乳鉢と乳棒ですりつぶし、すりつぶしたナツシロギク抽出物粉末に30%エタノール水溶液を徐々に添加して均一な溶液を得ることによりローションとした。これに慣用的な香料等を添加してもよい。
【実施例6】
【0050】
軟膏調製例(1)

パルテノライド 250mg
(Sigma社製(純度90%以上)、ロット番号:066K1385)
ワセリン 250mg

パルテノライドを乳鉢と乳棒ですりつぶし、すりつぶしたパルテノライドにワセリンを少しずつ添加して均一な軟膏を得た。これに慣用的な香料等を添加してもよい。
【実施例7】
【0051】
軟膏調製例(2)

ナツシロギク抽出物粉末 10g
(HAND FINE CHEMICALS社製、バッチ番号609M907−235)
ワセリン 10g

ナツシロギク抽出物粉末を乳鉢と乳棒ですりつぶし、すりつぶしたナツシロギク抽出物粉末にワセリンを少しずつ添加して均一な軟膏を得た。これに慣用的な香料等を添加してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、医薬品、医薬部外品、飲食物、特定保健用食品(いわゆる「トクホ」)およびサプリメントなどの分野、特に、健康食品の分野において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1はパルテノライドを経口投与したマウスの経時的な毛の再生を示す写真である。
【図2】図2はナツシロギク抽出物を経口投与したマウスの経時的な毛の再生を示す写真である。
【図3】図3は0.5%メチルセルロース水溶液(対照)を経口投与したマウスの経時的な毛の再生を示す写真である。
【図4】図4はパルテノライド、ナツシロギク、対照を経口投与したマウスの剃毛面積に対する再生毛面積の割合の経時変化を示すグラフである。
【図5】図5はパルテノライドを塗布したマウスの経時的な毛の再生を示す写真である。
【図6】図6はナツシロギク抽出物を塗布したマウスの経時的な毛の再生を示す写真である。
【図7】図7は0.5%メチルセルロース水溶液(対照)を塗布したマウスの経時的な毛の再生を示す写真である。
【図8】図8はパルテノライド、ナツシロギク、対照を塗布したマウスの剃毛面積に対する再生毛面積の割合の経時変化を示すグラフである。
【図9】図9はナツシロギク抽出物を経口投与した被験者における毛再生を示す写真である。左上パネルは試験開始時(0日目)、右上パネルは試験開始から16日目、左下パネルは試験開始から21日目、右下パネルは試験開始から24日目の様子を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルテノライドを含有する、発毛を促進するための飲食物。
【請求項2】
サプリメントである請求項1記載の飲食物。
【請求項3】
パルテノライドを含有する、発毛を促進するための医薬部外品。
【請求項4】
ローションまたは軟膏の形態である請求項3記載の医薬部外品。
【請求項5】
パルテノライドを含有する、発毛促進用医薬組成物。
【請求項6】
ローションまたは軟膏の形態である請求項5記載の医薬組成物。
【請求項7】
パルテノライドを含有する、発毛を促進するための動物用飼料または獣医用医薬組成物。
【請求項8】
発毛を促進するための飲食物、サプリメント、医薬部外品または医薬組成物の製造のためのパルテノライドの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−174536(P2008−174536A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−148990(P2007−148990)
【出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【分割の表示】特願2007−505900(P2007−505900)の分割
【原出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【出願人】(500097119)株式会社エム・エム・ティー (7)
【出願人】(598135072)
【Fターム(参考)】