説明

発泡性洗浄剤

【構成】(イ)酸性化合物よりなり酸化剤を含有しない第一剤と(ロ)H発生剤とアルカリ性化合物とニトリロトリ酢酸或いはその中和塩、エチレンジアミンテトラ酢酸或いはその中和塩又はメチルグリシン三酢酸或いはその中和塩からなるキレ−ト剤とよりなる第二剤と(ハ)Hと反応して酸素を生成するH分解剤よりなる第三剤とを備えてなる発泡性洗浄剤及びその配管の洗浄方法。
【解決手段】循環式浴槽における配管系において、生物膜(バイオフィルム)による有機質スケ−ルの他に、無機質のスケ−ルをも良好に除去することができる。塩素剤を使用しないので、有害な塩素ガスの発生を防止できる。塩素系の清浄剤によらないので、有害な塩素ガスの発生を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡性洗浄剤に関し、特に、循環式浴槽における無機質スケ−ル及び有機質スケ−ルが付着した当該配管を効率良く洗浄することができる発泡性洗浄剤及びそれを用いた当該配管の洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
循環式浴槽とは、浴槽の湯の使用量を少なくする目的で、浴槽の湯をろ過器を通して循環させる構造の浴槽をいい、当該循環式浴槽は、ス−パ−銭湯や公衆浴場や温泉地の旅館等に設置され、又、高齢者福祉施設や会社の社員寮や家庭用のいわゆる24時間風呂等としても使用されている。
普通の浴槽がろ過器を設けず湯を毎日交換して使用するのに対し、循環式浴槽では、湯を配管系内に循環させているため、消毒や洗浄が十分でないと、微生物が入浴者のアカなどの有機物を栄養源として増殖し、配管系や浴槽等の内壁に「ぬめり」と称される有機質の生物膜(バイオフィルム)を形成し、この生物膜の中でレジオネラ(Legionella)属菌が増殖することがある。当該レジオネラ属菌は、自然界の土壌や淡水など、我々を取りまく生活環境や水中に広く生息する好気性グラム陰性桿菌で、細菌、藻類、原生動物等の微生物と共生しており、特に、アメ−バなどの細菌捕食性の原生動物に餌として取り込まれたレジオネラ属菌は、消化されずに増殖を続ける。当該菌種の幾つかはヒトに対し病原性を有し、レジオネラ属菌を含む微細な水滴を直接肺に吸入したり、菌を含んだ水を誤飲して気管に入ったりすると、感染し発症する。その症状には急性肺炎に似たレジオネラ肺炎とインフルエンザに似たポンティアック熱とがある。
当該生物膜(バイオフィルム)による有機質スケ−ルの除去(洗浄)の為に、ス−パ−銭湯等では、適宜時期に湯の配管系や浴槽等の内部を洗浄・殺菌することが行われている。
当該殺菌・洗浄方法には、主に、塩素剤、オゾン、紫外線、電気分解、抗菌剤・清浄剤(塩素系、過酸化水素系)、光(酸化)触媒、高温殺菌・熱洗浄、抗菌フィルタ−・抗菌セラミックによる各種方法及び組み合わせが採用されている。
しかし、当該各方法の特徴には一長一短があり、更なる改良・開発が求められている。
又、当該配管系では、生物膜(バイオフィルム)による有機質スケ−ルの他に、カルシウム、鉄、マンガンなどの金属を取り込んだ無機質のスケ−ルの付着もある。
図1に示すように、当該配管系1では、雑菌類2が生物膜(バイオフィルム)による有機質スケ−ル3を生成し、当該生物膜(バイオフィルム)による有機質スケ−ル3についての殺菌が不十分であると、当該生物膜3中のアメ−バ−4にレジオネラ属菌5が寄生し、異常繁殖すると、当該アメ−バ−4をレジオネラ属菌5が食い殺し、配管系や浴槽内等に放出される。図示のように、当該生物膜(バイオフィルム)による有機質スケ−ル3の他に、カルシウム、鉄、マンガンなどの金属を取り込んだ無機質のスケ−ル6の生成付着もあり、当該無機質のスケ−ル6は、配管等の内部を汚染し、又、湯を汚したする。又、当該無機質のスケ−ル6が配管等に付着すると、その表面は微細なザラザラになり、上記の生物膜3を作り易い環境になる。
従って、有機スケ−ルの除去に加えて、当該無機質のスケ−ルの除去も必要となるが、当該無機質のスケ−ルは、一般的に、配管内部にこびり付いていたりして、有機スケ−ルの除去に比してその除去が難しい面もある。
しかも、ス−パ−銭湯等では大型の循環式浴槽が設置されており、「長い浴槽水の循環路」は、浴槽水を運ぶ配管が長く、それだけ洗浄・殺菌による有機質スケ−ルや無機質のスケ−ルの除去(洗浄)を難しくしている。
尚、配管の汚れなどを除去する方法として、特開昭52−152406号公報、特開昭53−50208号公報、特公平2−29118号公報、特開平7−292396号公報、特開平2005−154561号公報等がある。
【特許文献1】特開昭52−152406号公報、特開昭53−50208号公報、特公平2−29118号公報、特開平7−292396号公報、特開平2005−154561号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記従来技術の有する問題点を解消することのできる技術を提供することを目的としたものである。
本発明の他の目的や新規な特徴については本件明細書及び図面の記載からも明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の特許請求の範囲は、次の通りである。
(請求項1)
(イ)酸性化合物よりなり酸化剤を含有しない第一剤と、
(ロ)H発生剤とアルカリ性化合物とニトリロトリ酢酸或いはその中和塩、エチレンジアミンテトラ酢酸或いはその中和塩又はメチルグリシン三酢酸或いはその中和塩からなるキレ−ト剤とよりなる第二剤と、
(ハ)Hと反応して酸素を生成するH分解剤よりなる第三剤と
を備えてなることを特徴とする発泡性洗浄剤。
(請求項2) 酸性化合物が、スルファミン酸であることを特徴とする、請求項1に記載の発泡性洗浄剤。
(請求項3) キレ−ト剤が、ニトリロトリ酢酸或いはその中和塩であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の発泡性洗浄剤。
(請求項4)次の(イ)、(ロ)及び(ハ)の剤を順次配管中に投入して特に循環式浴槽における無機質スケ−ル及び有機質スケ−ルが付着した当該配管を洗浄することを特徴とする配管の洗浄方法。
(イ)酸性化合物よりなる酸化剤を含有しない第一剤
(ロ)H発生剤とアルカリ性化合物とニトリロトリ酢酸或いはその中和塩、エチレンジアミンテトラ酢酸或いはその中和塩又はメチルグリシン三酢酸或いはその中和塩からなるキレ−ト剤とよりなる第二剤 及び
(ハ)Hと反応して酸素を生成するH分解剤よりなる第三剤
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、循環式浴槽における配管系において、生物膜(バイオフィルム)による有機質スケ−ルの他に、無機質のスケ−ルをも良好に除去することができる。
塩素剤を使用しないので、有害な塩素ガスの発生を防止できる。塩素系の清浄剤によらないので、有害な塩素ガスの発生を防止できる。
オゾン、清浄剤(塩素系、過酸化水素系)では、有機質スケ−ルの除去には有効でも、無機質のスケ−ルをも良好に除去することができないが、本発明では、当該有機質スケ−ルの除去に有効なだけでなく、配管にこびり付いたような無機質のスケ−ルをも良好に除去することができる。特公平2−29118号公報、特開平7−292396号公報に記載の過酸化水素系洗浄剤に比して、本発明では、当該有機質スケ−ルの除去に有効なだけでなく、配管にこびり付いたような無機質のスケ−ルをも良好に除去することができる。
本発明では、特に、循環式浴槽における配管系に有効であり、ス−パ−銭湯等では大型の循環式浴槽が設置されており、「長い浴槽水の循環路」は、浴槽水を運ぶ配管が長く、それだけ洗浄・殺菌による有機質スケ−ルや無機質のスケ−ルの除去(洗浄)を難しくしているが、本発明では、当該長い浴槽水の循環路であって内視鏡での観察が必要なような奥深い配管系においても、その有機質スケ−ルや無機質のスケ−ルの除去(洗浄)を有効に行える。
紫外線、電気分解、光(酸化)触媒、高温殺菌・熱洗浄による方法では、配管内部までの洗浄が行き渡らなったりするが、本発明では、当該長い浴槽水の循環路の奥深い配管系においても、その有機質スケ−ルや無機質のスケ−ルの除去(洗浄)を有効に行える。
本発明では、キレ−ト剤の使用により、界面活性剤による表面活性効果とは異なるキレ−ト作用により、特に、無機質のスケ−ルをも良好に除去することができ、前記第一剤、第二剤及び第三剤による洗浄工程にて、当該有機質スケ−ルや無機質のスケ−ルの除去(洗浄)を有効に行うことができる。その際に、キレ−ト剤の使用のない場合には、有機質スケ−ルの除去(洗浄)には有効でも、無機質のスケ−ルの除去(洗浄)をも有効に行うことができない。過酸化水素(H)の発生量を増加させ、当該過酸化水素(H)からのO2の発生を増大させた場合、有機質スケ−ルの除去(洗浄)には有効でも、無機質のスケ−ルの除去(洗浄)をも有効に行うことができない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明で使用される(イ)第一剤の酸性化合物としては、例えば、スルファミン酸、クエン酸、酒石酸、フマル酸、コハク酸、グルコン酸、乳酸、マレイン酸等が挙げられ、その他、水溶液中で酸性を示すSOH基やCOOH基を有するような酸性化合物が使用できる。
当該第一剤の酸性化合物としては、スルファミン酸が、第二剤のキレ−ト剤との関係から好ましい。
当該第一剤には、ペルオキソ硫酸塩等の酸化剤は含有しない。
【0007】
本発明で使用される(ロ)第二剤のH発生剤としては、例えば、ペルオキシ基−O−O−を有する例えばペルオキソ炭酸塩類、ペルオキソ硼酸塩類、アルカリ金属或いはアルカリ土金属の過酸化物が挙げられる。
当該ペルオキソ炭酸塩類の例としては、ペルオキソ炭酸カリウム、ペルオキソ炭酸ナトリウムが挙げられる。
当該ペルオキソ硼酸塩類は、ペルオクソ硝酸HNO の塩類に相当し、その例としては、次の一般式(1)で表されるMNO(但し、Mは金属原子、Iはその価数を示す。)が例示できる。その具体例としては、ペルオクソ硝酸カリウムが挙げられる。
当該アルカリ金属或いはアルカリ土金属の過酸化物における過酸化物とは、負2価のO基を有する酸化物の総称で、当該アルカリ金属或いはアルカリ土金属の過酸化物とは、当該負2価のO基にNa、Ka等のアルカリ金属やMg、Caなどのアルカリ土金属が結合したものである。その具体例としては、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化カルシウムなどが挙げられる。
当該H発生剤としては、水と反応(接触)してHを発生するものが使用され、上記のようなペルオキソ酸のように加水分解によりHを発生するもの等に加えて、過酸化水素ナトリウムのような過酸化水素化物を使用してもよい。
【0008】
本発明で使用される(ロ)第二剤のアルカリ性化合物としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、オルト燐酸ナトリウム、オルト珪酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられ、当該アルカリ性化合物は前記で発生したHを分解し、Oを生じさせる。
【0009】
本発明で使用される(ロ)第二剤のキレ−ト剤は、ニトリロトリ酢酸(NTA)或いはその中和塩又はエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)或いはその中和塩又はメチルグリシン三酢酸或いはその中和塩で、次のようなキレ−ト作用・機能を奏するものが使用される。
例えば、ニトリロトリ酢酸N(CHCOOH)のキレ−ト剤は、各カルボキシル基の酸素一つと窒素とにより二座配位子乃至四座配位子として、例えば、次の構造式のようなキレ−ト化合物を生成する。
【0010】
【化1】





メチルグリシン三酢酸或いはその中和塩例えばメチルグリシン三酢酸Na塩(NaMGDA)は、電子を供与する4つの官能基を持ち、それによりキレ−ト反応を起こす。
【0011】
本発明で使用される第三剤の(ハ)Hと反応して酸素を生成するH分解剤としては、例えば、亜硫酸Na等の亜硫酸塩、重亜硫酸Na等の重亜硫酸塩、一般式M(但し、Mは金属原子)で表されるチオ硫酸塩が挙げられる。
水と反応して塩素を生じるような次亜ハロゲン酸塩類、ハロゲン化イソシアヌル酸類或いはその塩類、ハロゲン化アルキルヒダントイン類等は使用しない。
【0012】
本発明では、上記で例示した次の(イ)、(ロ)及び(ハ)よりなる第一剤、第二剤及び第三剤を順次配管中に投入して当該配管を洗浄する。
(イ)酸性化合物よりなる酸化剤を含有しない第一剤、
(ロ)H発生剤とアルカリ性化合物とニトリロトリ酢酸或いはその中和塩又はエチレンジアミンテトラ酢酸或いはその中和塩又はメチルグリシン三酢酸或いはその中和塩からなるキレ−ト剤とよりなる第二剤、
及び
(ハ)Hと反応して酸素を生成するH分解剤よりなる第三剤。
洗浄に際しては、当該剤を洗浄水に添加して行うことができる。
第一剤のスルファミン酸等の酸性化合物を洗浄水に添加して、循環式浴槽における配管系の内部に循環させる。
次いで、第二剤のH発生剤とアルカリ性化合物とニトリロトリ酢酸或いはその中和塩又はエチレンジアミンテトラ酢酸或いはその中和塩又はメチルグリシン三酢酸或いはその中和塩からなるキレ−ト剤を、循環式浴槽における配管系の内部に循環させる。洗浄水に投入する形態で実施できる。
更に、第三剤のHと反応して酸素(O)を生成するH分解剤を循環式浴槽における配管系の内部に循環させる。洗浄水に投入する形態で実施できる。
当該循環洗浄により、配管系内での特に循環式浴槽における配管系内での無機質スケ−ル及び有機質スケ−ルの両者を良好に除去することができる。
【0013】
次に、本発明を実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0014】
実施例1.
ス−パ−銭湯の循環式浴槽の配管系に、貝殻(10cmX15cmX5cm)を一週間
放置し、当該貝殻の表面における汚れを見て、光沢がありいわゆる「ぬめり」のある有機質スケ−ル部分及び前記部分に比して比較的に光沢がなく当該貝殻にこびり付き爪で容易には剥がれないような無機質のスケ−ル部分を大凡分離し、当該各部分の面積を算出しておき、次いで、次の洗浄工程にて、当該配管系の洗浄を行った。
(イ)第一剤:酸性化合物のスルファミン酸1000g
当該第一剤を洗浄水に添加して、循環式浴槽における配管系の内部を10分間循環させた。
(ロ)第二剤:H発生剤としてペルオキソ炭酸カリウム300g、
アルカリ性化合物として水酸化ナトリウム50g、
キレ−ト剤として、ニトリロトリ酢酸(NTA)100g、
当該第二剤を上記洗浄水に投入して、循環式浴槽における配管系の内部を30分間循環させた。
(ハ)第三剤:Hと反応して酸素を生成するH分解剤として亜硫酸Na100g、
当該第三剤を上記洗浄水に投入して、循環式浴槽における配管系の内部を20分間循環させた。
当該洗浄後の上記貝殻を取り出し、前記当該各部分の面積を100として各部分の除去率を算出して、次の基準にて、有機質スケ−ル部分及び無機質のスケ−ル部分の除去を評価した。
◎;90%以上除去されている。
○;85〜90%除去されている。
△;85%以下
結果を表1に示す。
【0015】
実施例2.
第二剤:キレ−ト剤をニトリロトリ酢酸(NTA)のナトリウム塩120gに代えた以外は、実施例1と同様にして有機質スケ−ル部分及び無機質のスケ−ル部分の除去を評価した。
結果を表1に示す。
【0016】
実施例3.
第二剤のキレ−ト剤をメチルグリシン三酢酸Na塩(NaMGDA)に代えた以外は、実施例1と同様にして有機質スケ−ル部分及び無機質のスケ−ル部分の除去を評価した。
結果を表1に示す。
【0017】
比較例1.
第二剤のキレ−ト剤を用いなかった以外は、実施例1と同様にして有機質スケ−ル部分及び無機質のスケ−ル部分の除去を評価した。
結果を表1に示す。
【0018】
【表1】


【0019】
本発明によれば、上記実施例及び比較例に示すように、図1に示すような循環式浴槽における配管系1において、生物膜(バイオフィルム)による有機質スケ−ル3の他に、無機質のスケ−ル6をも良好に除去することができることが判る。
塩素剤を使用しないので、有害な塩素ガスの発生を防止できる。塩素系の清浄剤によらないので、有害な塩素ガスの発生を防止できる。
オゾン、清浄剤(塩素系、過酸化水素系)では、有機質スケ−ルの除去には有効でも、無機質のスケ−ルをも良好に除去することができないが、本発明では、当該有機質スケ−ル3の除去に有効なだけでなく、配管にこびり付いたような無機質のスケ−ル6をも良好に除去することができる。特公平2−29118号公報、特開平7−292396号公報に記載の過酸化水素系洗浄剤に比して、本発明では、当該有機質スケ−ルの除去に有効なだけでなく、配管にこびり付いたような無機質のスケ−ルをも良好に除去することができる。
本発明では、特に、循環式浴槽における配管系に有効であり、ス−パ−銭湯等では大型の循環式浴槽が設置されており、「長い浴槽水の循環路」は、浴槽水を運ぶ配管が長く、それだけ洗浄・殺菌による有機質スケ−ルや無機質のスケ−ルの除去(洗浄)を難しくしているが、本発明では、当該長い浴槽水の循環路であって、内視鏡での観察が必要なような奥深い配管系においても、その有機質スケ−ルや無機質のスケ−ルの除去(洗浄)を有効に行える。
紫外線、電気分解、光(酸化)触媒、高温殺菌・熱洗浄による方法では、配管内部までの洗浄が行き渡らなったりするが、本発明では、当該長い浴槽水の循環路の奥深い配管系においても、その有機質スケ−ルや無機質のスケ−ルの除去(洗浄)を有効に行える。
本発明では、キレ−ト剤の使用により、界面活性剤による表面活性効果とは異なるキレ−ト作用により、特に、無機質のスケ−ルをも良好に除去することができ、前記第一剤、第二剤及び第三剤による洗浄工程にて、当該有機質スケ−ルや無機質のスケ−ルの除去(洗浄)を有効に行うことができる。比較例に示すように、キレ−ト剤の使用のない場合には、有機質スケ−ルの除去(洗浄)には有効でも、無機質のスケ−ルの除去(洗浄)をも有効に行うことができない。過酸化水素(H)の発生量を増加させ、当該過酸化水素(H)からのO2の発生を増大させても、有機質スケ−ルの除去(洗浄)には有効でも、無機質のスケ−ルの除去(洗浄)をも有効に行うことができない。
【0020】
本発明は上記実施例に限定されず、適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、特に循環式浴槽における無機質スケ−ル及び有機質スケ−ルが付着した当該配管の洗浄に有効であるが、それに限定されず、他の配管や浴槽における洗浄による無機質スケ−ル及び有機質スケ−ルの除去にも適用される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】循環式浴槽における無機質スケ−ル及び有機質スケ−ルの説明図である。
【符号の説明】
【0023】
1 配管系
2 雑菌類
3 生物膜(バイオフィルム)による有機質スケ−ル
4 アメーバ−
5 レジオネラ属菌
6 無機質のスケ−ル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ)酸性化合物よりなり酸化剤を含有しない第一剤と、
(ロ)H発生剤とアルカリ性化合物とニトリロトリ酢酸或いはその中和塩、エチレンジアミンテトラ酢酸或いはその中和塩又はメチルグリシン三酢酸或いはその中和塩からなるキレ−ト剤とよりなる第二剤と、
(ハ)Hと反応して酸素を生成するH分解剤よりなる第三剤と
を備えてなることを特徴とする発泡性洗浄剤。
【請求項2】
酸性化合物が、スルファミン酸であることを特徴とする、請求項1に記載の発泡性洗浄剤。
【請求項3】
キレ−ト剤が、ニトリロトリ酢酸或いはその中和塩であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の発泡性洗浄剤。
【請求項4】
次の(イ)、(ロ)及び(ハ)の剤を順次配管中に投入して特に循環式浴槽における無機質スケ−ル及び有機質スケ−ルが付着した当該配管を洗浄することを特徴とする配管の洗浄方法。
(イ)酸性化合物よりなる酸化剤を含有しない第一剤
(ロ)H発生剤とアルカリ性化合物とニトリロトリ酢酸或いはその中和塩、エチレンジアミンテトラ酢酸或いはその中和塩又はメチルグリシン三酢酸或いはその中和塩からなるキレ−ト剤とよりなる第二剤 及び
(ハ)Hと反応して酸素を生成するH分解剤よりなる第三剤

【図1】
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【公開番号】特開2008−184516(P2008−184516A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−18155(P2007−18155)
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【出願人】(507030922)大松産業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】