説明

発泡成形体及びその製造方法

【課題】圧縮弾性率に優れた発泡成形体を提供することを課題とする。
【解決手段】ポリスチレン系樹脂成分(A)と、分子中にエステル基と3〜10個のビニル基を有する単量体とスチレン系単量体の共重合体成分(B)とを含む複数の発泡樹脂粒子の融着体からなる発泡成形体であり、ATR法赤外分光分析により測定された前記発泡樹脂粒子の融着界面付近の赤外線吸収スペクトルから得られる1735cm-1及び1600cm-1での吸光度比(D1735/D1600)が0.06〜0.25の範囲であり、前記発泡樹脂粒子の表面のz平均分子量が、90万〜200万であり、密度が、0.010〜0.100g/cm3であり、且つ圧縮弾性率が1000KPa以上であることを特徴とする発泡成形体により課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡成形体及びその製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、圧縮弾性率に優れた発泡成形体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築用の断熱構造体として、発泡成形体を使用することが知られている。
例えば、木造建築物の断熱構造体として、床断熱構造体や、壁断熱構造体等が使用されている。具体的には、特開2004−36089号公報に、従来の床断熱構造体として、発泡樹脂製ボード等の平板状の発泡成形体からなる断熱材を根太間に使用できることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−36089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記床断熱構造体のように、根太間に使用された発泡成形体は、折れ曲がりやすい等の問題があった。この問題を解決するため、強度の高い、発泡成形体が求められている。
【0005】
また、床断熱材を構成する発泡成形体としては、強度の他に作業性をより向上するための軽量化も求められている。この軽量化は、発泡成形体を高発泡倍率化することで実現できるが、高発泡倍率化すると強度が低下することになる
強度の低下を抑えるために、発泡成形体を非発泡の構造体間に挿入する方法がある。この場合、断熱材上を歩行した時の断熱材の凹み等を防止する為に、圧縮特性、主に圧縮弾性率の高い発泡成形体が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発明者等は、発泡成形体の圧縮弾性率を向上するために、発泡成形体を構成する互いに融着した複数の発泡樹脂粒子中の樹脂成分の存在状態について見直した。その結果、発泡樹脂粒子中のスチレン系単量体と分子中にエステル基と3〜10個のビニル基を有する単量体の共重合成分の含有割合が0.1〜50質量%であって、且つ発泡樹脂粒子の融着界面付近の吸光度比(D1735/D1600)が0.06〜0.25の範囲(言い換えると、共重合体成分が発泡樹脂粒子の界面付近に偏在している)である発泡樹脂粒子から構成される発泡成形体であれば、優れた圧縮弾性率が得られることを見い出し、本発明に至った。
【0007】
かくして本発明によれば、ポリスチレン系樹脂成分(A)と、分子中にエステル基と3〜10個のビニル基を有する単量体とスチレン系単量体の共重合体成分(B)とを含む複数の発泡樹脂粒子の融着体からなる発泡成形体であり、
ATR法赤外分光分析により測定された前記発泡樹脂粒子の融着界面付近の赤外線吸収スペクトルから得られる1735cm-1及び1600cm-1での吸光度比(D1735/D1600)が0.06〜0.25の範囲であり、
前記発泡樹脂粒子の表面のz平均分子量が、90万〜200万であり、
密度が、0.010〜0.100g/cm3であり、且つ
圧縮弾性率が、1000KPa以上であることを特徴とする発泡成形体が提供される。
【0008】
また、本発明によれば、上記発泡成形体の製造方法であり、
ポリスチレン系樹脂を含む種粒子に、分子中にエステル基と3〜10個のビニル基を有する単量体とスチレン系単量体を吸収させる工程と、
吸収時又は吸収後に、前記分子中にエステル基と3〜10個のビニル基を有する単量体とスチレン系単量体を共重合させることで樹脂粒子を得る工程と、
樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性樹脂粒子を得る工程と、
発泡性樹脂粒子を予備発泡させ、次いで発泡成形させることで発泡成形体を得る工程とを含み、
前記分子中にエステル基と3〜10個のビニル基を有する単量体とスチレン系単量体の吸収が、70〜85%のスチレン系単量体の重合転化率の下で行われることを特徴とする発泡成形体の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、圧縮弾性率に優れた発泡成形体及びその製造方法を提供できる。本発明の発泡成形体は、床断熱材用の発泡成形体として特に有用である。この効果は、共重合体成分が発泡成形体を構成する融着体中の発泡樹脂粒子の融着界面付近に偏在していることにより奏されると発明者等は考えている。
更に、発泡樹脂粒子の表面をGPC/MALLS法により測定したlog(R.M.S半径)をy軸とし、log(Mw)をx軸とする相関式の傾きが、0.55以下である場合、より圧縮弾性率、成形性に優れた発泡成形体を提供できる。
【0010】
また、(メタ)アクリレート系単量体から選択される単量体とスチレン系単量体の共重合成分である場合、より圧縮弾性率に優れた発泡成形体を提供できる。
更に、(メタ)アクリレート系単量体が、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートから選択される単量体である場合、より圧縮弾性率に優れた発泡成形体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】発泡成形体を構成する発泡樹脂粒子の融着界面の吸光度比を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(発泡成形体)
本発明の発泡成形体は、ポリスチレン系樹脂成分(A)と、分子中にエステル基と3〜10個のビニル基を有する単量体とスチレン系単量体の共重合体成分(B)とを基材樹脂として含む複数の発泡樹脂粒子の融着体からなっている。
(1)ポリスチレン系樹脂成分(A)
ポリスチレン系樹脂成分としては、特に限定されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン等のスチレン系単量体の単独重合体又はこれらの共重合体等に由来する成分が挙げられる。
また、ポリスチレン系樹脂成分としては、上記スチレン系単量体と、このスチレン系単量体と共重合可能なビニル単量体との共重合体に由来する成分であってもよい。このようなビニル単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、エチルフマレート等の単官能単量体、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタクリレート等の二官能単量体等が挙げられる。
上記ポリスチレン系樹脂成分の内、ポリスチレン樹脂成分であることがより好ましい。
【0013】
(2)分子中にエステル基と3〜10個のビニル基を有する単量体とスチレン系単量体の共重合体成分(B)
分子中にエステル基と3〜10個のビニル基を有する単量体としては、発泡成形体に優れた圧縮弾性率を与えうる単量体であれば、特に限定されない。例えば、(メタ)アクリレート系単量体から選択される単量体が挙げられる。
(メタ)アクリレート系単量体としては、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
スチレン系単量体は、上記項目(1)で挙げた単量体をいずれも使用できる。
【0014】
(3)分子中にエステル基と3〜10個のビニル基を有する単量体とスチレン系単量体の共重合体成分の存在状態
存在状態は、ATR法赤外分光分析により測定された発泡樹脂粒子の赤外線吸収スペクトルから得られる1735cm-1及び1600cm-1での吸光度比(D1735/D1600)から類推できる。ここで、1735cm-1の吸収は分子中に3〜10個のビニル基を有する単量体に含まれるエステル基に由来するピークを示しており、共重合体成分の存在を示している。1600cm-1の吸収はポリスチレン系樹脂に含まれるベンゼン環の面内振動に由来するピークの存在を示している。
【0015】
本発明の発泡成形体では、それを構成する発泡樹脂粒子の融着界面付近の吸光度比が0.06〜0.25の範囲である。この範囲の吸光度比は、共重合体成分が、発泡樹脂粒子表面付近に60質量%以上存在していることを意味している。吸光度比が0.06未満の場合、共重合体成分が非常に少ない為、圧縮弾性率向上の効果が見られない。0.25より多い場合、共重合体成分が多くなり、発泡成形体の発泡成形性が低下することがある。より好ましい吸光度比の範囲は、0.07〜0.23である。本明細書において、界面とは互いに融着した隣接する2つの発泡樹脂粒子の接触面を意味し、界面付近とは、粒子中心に向かって界面から100μmまでの領域を意味する。
【0016】
更に、発泡樹脂粒子中心付近の吸光度比(D1735/D1600)は、0.05以下であることが好ましい。発泡樹脂粒子が、界面付近より低い吸光度比の中心付近を有することで、共重合体成分が発泡樹脂粒子の界面付近に偏在していることが理解できる。より好ましい中心付近の吸光度比は、0.04以下である。本明細書において中心付近とは、発泡樹脂粒子の中心から100μmまでの領域を意味する。
【0017】
また、発泡樹脂粒子の表面のz平均分子量(Mz1)が90万〜200万となるように、発泡樹脂粒子中に共重合体成分が存在している。
上記数値範囲から理解されるように、発泡樹脂粒子は表面において、共重合体成分が偏在しており、且つ特定範囲のz平均分子量であることが好ましい。
発泡樹脂粒子の界面のz平均分子量が90万未満の場合、十分な圧縮弾性率が得られないことがある。また、200万より大きい場合、成形性、特に予備発泡粒子同士の熱融着が低下することがある。より好ましいz平均分子量は、90万〜170万である。
ここで、発泡成形体全体のz平均分子量(Mz2)も特定の範囲であることが好ましい。例えば、50万〜110万の範囲とできる。更に、Mz1/Mz2を特定の範囲、具体的には、1.5〜2.0の範囲とすることが好ましい。z平均分子量を調整することで、圧縮弾性率に優れた発泡成形体を得ることができる。
【0018】
また、共重合体成分は、発泡樹脂粒子の表面のGPC/MALLS法により測定したlog(R.M.S半径)をy軸とし、log(Mw)をx軸とする相関式の傾きが0.55以下であるように存在することが好ましい。0.55を超えると、成形性、特に発泡樹脂粒子同士の熱融着が低下し、十分な圧縮弾性率が得られない。好ましい範囲としては、0.53以下である。なお、傾きの下限は、0.40であることが好ましい。
【0019】
(4)他の樹脂
発泡成形体には、必要に応じ且つ本願の効果を阻害しない範囲で他の樹脂が含まれていてもよい。
他の樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル等が挙げられる。
【0020】
(5)添加剤
発泡成形体には、物性を損なわない範囲内において、難燃剤、難燃助剤、可塑剤、滑剤、結合防止剤、融着促進剤、帯電防止剤、展着剤、気泡調整剤、架橋剤、充填剤、着色剤、赤外線遮蔽剤等の添加剤が含まれていてもよい。
難燃剤としては、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、トリスジブロモプロピルホスフェート、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)等の難燃剤が挙げられる。
難燃助剤としては、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、ジクミルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイドの有機過酸化物が挙げられる。
【0021】
可塑剤としては、フタル酸エステル、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリントリステアレート、ジアセチル化グリセリンモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル、ジイソブチルアジペートのようなアジピン酸エステル等が挙げられる。
滑剤としては、パラフィンワックス、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
結合防止剤としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、ステアリン酸亜鉛、水酸化アルミニウム、エチレンビスステアリン酸アミド、第三リン酸カルシウム、ジメチルシリコン等が挙げられる。
融着促進剤としては、例えばステアリン酸、ステアリン酸トリグリセリド、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸ソルビタンエステル、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
【0022】
帯電防止剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ステアリン酸モノグリセリド等が挙げられる。
展着剤としては、ポリブテン、ポリエチレングリコール、シリコンオイル等が挙げられる。
気泡調整剤としては、メタクリル酸エステル系共重合ポリマー、エチレンビスステアリン酸アミド、ポリエチレンワックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
【0023】
(6)発泡成形体の形状
発泡成形体の形状は、特に限定されず、用途に応じて適宜決定できる。例えば、床断熱材の用途では、板状、直方体が挙げられる。
【0024】
(発泡成形体の製造方法)
発泡成形体は、発泡性樹脂粒子を予備発泡させて予備発泡粒子を得、次いで予備発泡粒子を発泡成形させることで得ることができる。また、発泡性樹脂粒子は、例えば、シード重合により得られた樹脂粒子に発泡剤を含浸させることにより得ることができる。
(1)樹脂粒子の製造方法
樹脂粒子は、特に限定されないが、例えば、ポリスチレン系樹脂を含む種粒子に、スチレン系単量体と分子中にエステル基と3〜10個のビニル基を有する単量体を吸収させ重合させる、いわゆるシード重合により、得ることができる。
(i)種粒子
種粒子は、公知の方法で製造されたものを用いることができ、例えば、(1)ポリスチレン系樹脂を押出機で溶融混練し、ストランド状に押し出し、ストランドをカットすることにより種粒子を得る押出方法、(2)水性媒体、スチレン系単量体及び重合開始剤をオートクレーブ内に供給し、オートクレーブ内において加熱、攪拌しながらスチレン系単量体を懸濁重合させて種粒子を製造する懸濁重合法、(3)水性媒体及びポリスチレン系樹脂粒子をオートクレーブ内に供給し、ポリスチレン系樹脂粒子を水性媒体中に分散させた後、オートクレーブ内を加熱、攪拌しながらスチレン系単量体を連続的にあるいは断続的に供給して、ポリスチレン系樹脂粒子にスチレン系単量体を吸収させつつ重合開始剤の存在下にて重合させて種粒子を製造するシード重合法等が挙げられる。
また、種粒子は一部、又は全部に樹脂回収品を用いることができる。回収品を使用する場合は、押出方法による種粒子の製造が向いている。
【0025】
種粒子の平均粒子径は、樹脂粒子の平均粒子径に応じて適宜調整できる。例えば平均粒子径が1.0mmの樹脂粒子を得ようとする場合には、平均粒子径が0.7mm〜0.9mm程度の種粒子を用いることが好ましい。更に、種粒子の重量平均分子量は特に限定されないが10万〜70万が好ましく、更に好ましくは15万〜50万である。
【0026】
(ii)含浸工程
種粒子を水性媒体中に分散させてなる分散液中に、スチレン系単量体と分子中にエステル基と3〜10個のビニル基を有する単量体を供給することで、各単量体を種粒子に吸収させる。供給される分子中にエステル基と3〜10個のビニル基を有する単量体は、樹脂粒子中に含まれる分子中にエステル基と3〜10個のビニル基を有する単量体にほぼ対応している。
ここで、分子中にエステル基と3〜10個のビニル基を有する単量体および、スチレン系単量体の吸収は、70〜85%のスチレン系単量体の重合転化率の下で行われる。この範囲内で行うことで、上記共重合体成分が偏在した発泡成形体を得ることができる。
水性媒体としては、水、水と水溶性溶媒(例えば、アルコール)との混合媒体が挙げられる。
【0027】
使用する各単量体には、重合開始剤を含ませてもよい。重合開始剤としては、従来から単量体の重合に用いられているものであれば、特に限定されない。例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ラウリルパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−t−ブチルパーオキシブタン、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。これら開始剤の内、残存単量体を低減させるために、10時間の半減期を得るための分解温度が80〜120℃にある異なった二種以上の重合開始剤を併用することが好ましい。なお、重合開始剤は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0028】
水性媒体中には、共重合体成分を与える単量体の小滴及び種粒子の分散を安定させるために懸濁安定剤が含まれていてもよい。懸濁安定剤としては、従来から単量体の懸濁重合に用いられているものであれば、特に限定されない。例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム等の難溶性無機化合物等が挙げられる。そして、前記懸濁安定剤として難溶性無機化合物を用いる場合には、アニオン界面活性剤を併用するのが好ましく、このようなアニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、N−アシルアミノ酸又はその塩、アルキルエーテルカルボン酸塩等のカルボン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルフォン酸塩等のスルフォン酸塩;高級アルコール硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等の硫酸エステル塩;アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩等が挙げられる。
【0029】
(iii)重合工程
重合工程は、使用する単量体種、重合開始剤種、重合雰囲気種等により異なるが、通常、70〜130℃の加熱を、3〜10時間維持することにより行われる。重合工程は、単量体を含浸させつつ行ってもよい。
重合工程は、使用する単量体全量を1段階で重合させてもよく、2段階以上に分けて重合させてもよい。2段階以上に分けて重合させる場合、通常、含浸工程も2段階以上に分けて行われる。2段階以上に分けた重合工程の重合温度及び時間は、同一であっても、異なっていてもよい。
【0030】
(2)発泡性樹脂粒子の製造方法
発泡性樹脂粒子は、上記樹脂粒子に発泡剤を含浸させることにより得ることができる。
発泡剤としては、特に限定されず、公知のものをいずれも使用できる。特に、沸点がポリスチレン系樹脂の軟化点以下であり、常圧でガス状又は液状の有機化合物が適している。例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、シクロペンタジエン、n−ヘキサン、石油エーテル等の炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルエチルエーテル等の低沸点のエーテル化合物、トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン等のハロゲン含有炭化水素、炭酸ガス、窒素、アンモニア等の無機ガス等が挙げられる。これらの発泡剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。この内、炭化水素を使用するのが、オゾン層の破壊を防止する観点、及び空気と速く置換し、発泡成形体の経時変化を抑制する観点で好ましい。炭化水素の内、沸点が−45〜40℃の炭化水素がより好ましく、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン等が更に好ましい。
【0031】
更に、発泡剤の含有量は、2〜12質量%の範囲であることが好ましい。2質量%より少ないと、発泡性樹脂粒子から所望の密度の発泡成形体を得られないことがある。加えて、型内発泡成形時の二次発泡力を高める効果が小さくなるために、発泡成形体の外観が良好とならないことがある。12質量%より多いと、発泡成形体の製造工程における冷却工程に要する時間が長くなって生産性が低下することがある。より好ましい発泡剤の含有量は、3〜10質量%である。
【0032】
発泡剤の含浸は、重合と同時に湿式で行ってもよく、重合後に湿式又は乾式で行ってもよい。湿式で行う場合は、上記重合工程で例示した、懸濁安定剤及び界面活性剤の存在下で行ってもよい。
発泡剤の含浸温度は、60〜120℃が好ましい。60℃より低いと、樹脂粒子に発泡剤を含浸させるのに要する時間が長くなって生産効率が低下することがある。また、120℃より高いと、樹脂粒子同士が融着して結合粒が発生することがある。より好ましい含浸温度は、70〜110℃である。
発泡助剤を、発泡剤と併用してもよい。発泡助剤としては、アジピン酸イソブチル、トルエン、シクロヘキサン、エチルベンゼン等が挙げられる。
【0033】
(3)予備発泡粒子の製造方法
予備発泡粒子は、水蒸気等を用いて所望の嵩密度に発泡性樹脂粒子を発泡させることで得られる。
予備発泡粒子の嵩密度は、0.01〜0.100g/cm3の範囲であることが好ましい。予備発泡粒子の嵩密度が0.01g/cm3より小さい場合、次に得られる発泡成形体に収縮が発生して外観性が低下することがある。加えて発泡成形体の断熱性能及び機械的強度が低下することがある。一方、嵩密度が0.100g/cm3より大きい場合、発泡成形体の軽量性が低下することがある。
なお、発泡前に、発泡性樹脂粒子の表面に、ステアリン酸亜鉛のような粉末状金属石鹸類を塗布しておくことが好ましい。塗布しておくことで、発泡性樹脂粒子の発泡工程において発泡粒子同士の結合を減少できる。
【0034】
(4)発泡成形方法
発泡成形方法は、予備発泡粒子を多数の小孔を有する閉鎖金型内に充填し、再び加圧水蒸気等で加熱発泡させ、予備発泡粒子間の空隙を埋めると共に、予備発泡粒子を相互に融着させることにより一体化させる方法である。その際、発泡成形体の密度は、例えば、金型内への予備発泡粒子の充填量を調製する等して調整できる。
予備発泡粒子は、発泡成形体の成形前に、例えば常圧で、熟成させてもよい。予備発泡粒子の熟成温度は、20〜60℃が好ましい。熟成温度が低いと、予備発泡粒子の熟成時間が長くなることがある。一方、高いと、予備発泡粒子中の発泡剤が散逸して成形性が低下することがある。
【実施例】
【0035】
以下、実施例によって本発明の具体例を示すが、以下の実施例は本発明の例示にすぎず、本発明は以下の実施例のみに限定されない。なお、以下において、特記しない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
<重合転化率>
核重合途中における種粒子(以下、成長途上粒子という)に含まれる単量体量の測定方法は、下記要領で測定されたものをいう。
即ち、成長途上粒子を分散液中から取り出し、表面に付着した水分をガーゼにより拭き取り除去する。成長途上粒子を0.08g採取し、この採取した成長途上粒子をトルエン24ミリリットル中に溶解させてトルエン溶液を作製する。次に、このトルエン溶液中に、ウイス試薬10ミリリットル、5質量%のヨウ化カリウム水溶液30ミリリットル及び1質量%のでんぷん水溶液30ミリリットルを加える。得られた溶液を、N/40チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定した結果を試料の滴定数(ミリリットル)とする。なお、ウイス試薬は、氷酢酸2リットルにヨウ素8.7g及び三塩化ヨウ素7.9gを溶解してなるものである。
一方、成長途上粒子を溶解させることなく、トルエン24ミリリットル中に、ウイス試薬10ミリリットル、5質量%のヨウ化カリウム水溶液30ミリリットル及び1質量%のでんぷん水溶液30ミリリットルを加える。得られた溶液を、N/40チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定した結果をブランクの滴定数(ミリリットル)とする。
得られた滴定数から、成長途上粒子中における未反応の単量体量を下記式に基づいて算出する。
成長途上粒子中の単量体量(質量%)=0.1322×(ブランクの滴定数−試料の滴定数)/試料の滴定数
更に、重合転化率は下記の式で算出される。
重合転化率(%)=100×(試料質量−成長途上粒子の単量体量)/試料質量
【0036】
<吸光度比>
発泡成形体を厚さ0.1〜0.15mmでスライスしてスライス試料を得、得られたスライス試料中の互いに融着した2つの発泡樹脂粒子を任意に10組選択する。2つの発泡樹脂粒子の一方の中心と他方の中心とを結ぶ直線に沿って、顕微IRイメージングマッピング法にて分析する。その結果から、各組のポリスチレン系樹脂成分と、分子中に3〜10個のビニル基を有する単量体とスチレン系単量体の共重合体成分の吸光比(1730cm-1/1600cm-1)を算出する。得られた10組の吸光度比の平均値を、本明細書での吸光度比とする。
測定装置:フーリエ変換赤外分光光度計Spectrum One(Perkin Elmer社製)
高速IRイメージングシステム Spectrum Spotlight 300
測定モード:Imaging 透過法
測定条件:分解能=8cm-1 スキャン回数2、8 ピクセルサイズ6.25×6.25μm
前処理方法:スライス試料をフッ化Ba板に挟み、透過法に測定後、吸光度の強度比マッピングを実施。
スライス試料作製:ウルトラミクロトーム ULTRACUT−UCT(ライカ社製)
スライス使用ナイフ:ダイヤモンドナイフ 切削厚み10μm
【0037】
<z平均分子量>
発泡成形体表面のz平均分子量(Mz1)と発泡成形体全体のz平均分子量(Mz2)は以下のようにして測定する。
即ち、密度0.02g/cm3の発泡成形体を作製し、表面部を0.1〜0.15mmでスライスし、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)にてz平均分子量を測定する。表面部は、発泡樹脂粒子の集合体であるから、発泡成形体の界面と同じz平均分子量を有している。
一方、発泡成形体全体のz平均分子量は、そのものを試料とし、同様にGPC法にて測定する。
【0038】
<GPC/MALLS法>
密度0.02g/cm3の発泡成形体を作製し、表面部を0.1〜0.15mmでスライスし、試料とする。
(THF系GPC−MALLSの測定条件)
・GPC装置:HLC−8120GPC(東ソー社製)
・MALLS:DAWN HELEOS(Wayyat Technology社製)
・濃度検出器:示差屈折率計(RI検出器)
・MALLSレーザー波長:658nm
・カラム:TSKgelGMHHR−H(7.8mmID×30cm)×2本(東ソー社製)
・溶離液:THF(キシダ化学社製1級)
・流速:1.0ml/min
・試料濃度:1mg/ml
・注入量:100μl
・カラム温度:40℃
・検出器温度:RI検出器:40℃、MALLS:室温
・試料前処理:試料を秤量し、所定量の溶離液を加えて一晩、静置溶解させる。測定直前に緩やかに振り混ぜ、0.5μmのテフロン(登録商標)カートリッジフィルターでろ過する。
【0039】
<嵩密度>
予備発泡粒子の嵩倍数は、JIS K6911:1995年「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して測定する。具体的には、まず、予備発泡粒子を測定試料としてWg採取し、この測定試料をメスシリンダー内に自然落下させる。メスシリンダー内に落下させた測定試料の体積Vcm3をJIS K6911に準拠した見掛け密度測定器を用い
て測定する。Wg及びVcm3を下記式に代入することで、予備発泡粒子の嵩密度を算出する。
予備発泡粒子の嵩密度(g/cm3)=測定試料の質量(W)/測定試料の体積(V)
【0040】
<発泡成形体の密度>
発泡成形体(成形後、40℃で20時間以上乾燥させたもの)から切り出した試験片(例100×100×成形品厚み(mm))の質量(a)と体積(b)をそれぞれ有効数字3桁以上になるように測定し、式(a)/(b)により発泡成形体の密度(g/cm3)を求める。
【0041】
<圧縮弾性率>
発泡成形体の圧縮弾性率をJIS K9511:1999「発泡プラスチック保温材」に記載の方法に準拠して測定する。
即ち、密度0.0166g/cm3 、縦100mm×横100mm×厚さ30mmの直方形状の試験片を切り出す。この試験片をオリエンテック社製 商品名(UCT−10T)を用いて、23℃、湿度50%、圧縮速度10mm/分の条件下で圧縮試験を行い、試験片を5つの圧縮弾性率の平均値を求める。
尚、実施例、比較例においては密度0.0166g/cm3の場合で、5000KPa以上を○、5000KPa未満を×として評価を行った。
【0042】
(実施例1)
内容積25Lの撹拌機付き重合容器に、重量平均分子量が30万であるポリスチレン樹脂(平均粒子径0.75mm)の種粒子2350g、ピロリン酸マグネシウム30g及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム10gを供給して撹拌しつつ75℃に加熱して分散液を作製した。
続いて、ベンゾイルパーオキサイド32.6g、t−ブチルパーオキシベンゾエート3.0gをスチレン単量体1000gに溶解させた溶液を全て前記分散液中に撹拌しつつ供給した(第一工程)。
そして、分散液中に前記溶液を供給し終えてから30分経過後に、この分散液中に、トリメチロールプロパントリメタクリレート(3官能単量体、分子量338)20gをスチレン単量体6650gに溶解させた溶液を75℃から88℃まで、60分かけて一定の供給速度で供給し、ついで、分散液を88℃に保持しながら、90分かけて一定の供給速度で供給し、重合を行った。(第二工程)。
【0043】
第一工程から第二工程中、種粒子の重合転化率は73%から85%の間を推移していた。
続いて反応容器を密閉し、30分かけて120℃に加熱して60分放置し、その後に室温(約25℃)まで冷却した。
次に、樹脂粒子が分散した分散液を100℃に保持し、続いて、重合容器内にシクロヘキサン80g、ジイソブチルアジペート70g、ブタン800gを圧入して3時間に亘って保持することにより、樹脂粒子中にブタンを含浸させた。この後、重合容器内を25℃に冷却して発泡性樹脂粒子を得た。
【0044】
発泡性樹脂粒子の表面に、帯電防止剤としてポリエチレングリコールを塗布した。この後、更に、発泡性樹脂粒子の表面にステアリン酸亜鉛及びヒドロキシステアリン酸トリグリセリドを塗布した。塗布後、発泡性樹脂粒子を13℃の恒温室にて5日間放置した。
そして、発泡性樹脂粒子を加熱して嵩密度0.0166g/cm3に予備発泡させて予備発泡粒子を得た。予備発泡粒子を20℃で24時間熟成させた。次に、予備発泡粒子を金型内に充填して加熱発泡させて、縦400mm×横300mm×厚さ30mmの発泡成形体を得た。発泡成形体を50℃の乾燥室で6時間乾燥した後、密度を測定したところ、0.0166g/cm3(16.6kg/m3)であった。発泡成形体は、収縮もなく外観も優れていた。
発泡成形体を構成する発泡樹脂粒子の界面の中心間距離に対する吸光度比を図1に示す。図1中、吸光度比のピークの位置が界面に相当する。
【0045】
(実施例2)
実施例1において、第2工程の88℃を86℃とした以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
得られた発泡成形体は、収縮もなく外観も優れていた。
(実施例3)
実施例1において、トリメチロールプロパントリメタクリレート(3官能単量体、分子量338)16gとした以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
得られた発泡成形体は、収縮もなく外観も優れていた。
(実施例4)
実施例1において、トリメチロールプロパントリメタクリレート(3官能単量体、分子量338)24gとした以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
得られた発泡成形体は、収縮もなく外観も優れていた。
(比較例1)
実施例1において、トリメチロールプロパントリメタクリレートを添加しない以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
得られた発泡成形体は圧縮弾性率に劣るものであった。
(比較例2)
実施例1において、第1工程の75℃を72℃、第2工程の88℃を86℃とした以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
得られた発泡成形体は、圧縮弾性率に劣るものであった。
(比較例3)
実施例1において、第1工程の75℃を77℃、第2工程の88℃を90℃とした以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
得られた発泡成形体は、発泡成形性が悪く、発泡粒間の接着が劣るものであり、圧縮弾性率も劣るものであった。
(比較例4)
実施例1において、トリメチロールプロパントリメタクリレート(3官能単量体、分子量338)10gとした以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
得られた発泡成形体は、圧縮弾性率に劣るものであった。
(比較例5)
実施例1において、トリメチロールプロパントリメタクリレート(3官能単量体、分子量338)30gとした以外は、実施例1と同様にして成形を行った。しかし、発泡粒子間の接着が非常に悪く、発泡成形体は得られなかった。
実施例1〜4及び比較例1〜5の結果を表1にまとめて示す。
【0046】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリスチレン系樹脂成分(A)と、分子中にエステル基と3〜10個のビニル基を有する単量体とスチレン系単量体の共重合体成分(B)とを含む複数の発泡樹脂粒子の融着体からなる発泡成形体であり、
ATR法赤外分光分析により測定された前記発泡樹脂粒子の融着界面付近の赤外線吸収スペクトルから得られる1735cm-1及び1600cm-1での吸光度比(D1735/D1600)が0.06〜0.25の範囲であり、
前記発泡樹脂粒子の表面のz平均分子量が、90万〜200万であり、
密度が、0.010〜0.100g/cm3であり、且つ
圧縮弾性率が、1000KPa以上であることを特徴とする発泡成形体。
【請求項2】
前記発泡樹脂粒子の表面をGPC/MALLS法により測定したlog(R.M.S半径)をy軸とし、log(Mw)をx軸とする相関式の傾きが、0.55以下である請求項1記載の発泡成形体。
【請求項3】
前記共重合体成分が、(メタ)アクリレート系単量体から選択される単量体とスチレン系単量体の共重合体である請求項1又は2に記載の発泡成形体。
【請求項4】
前記(メタ)アクリレート系単量体が、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートから選択される単量体である請求項3に記載の発泡成形体。
【請求項5】
23℃のトルエンに溶解した際に、不溶分が0.1質量%以下である請求項1〜5のいずれか1つに記載の発泡成形体。
【請求項6】
前記発泡成形体が、床断熱材用の発泡成形体である請求項1〜5のいずれか1つに記載の発泡成形体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の発泡成形体の製造方法であり、
ポリスチレン系樹脂を含む種粒子に、分子中にエステル基と3〜10個のビニル基を有する単量体とスチレン系単量体を吸収させる工程と、
吸収時又は吸収後に、前記分子中にエステル基と3〜10個のビニル基を有する単量体とスチレン系単量体を共重合させることで樹脂粒子を得る工程と、
樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性樹脂粒子を得る工程と、
発泡性樹脂粒子を予備発泡させ、次いで発泡成形させることで発泡成形体を得る工程とを含み、
前記分子中にエステル基と3〜10個のビニル基を有する単量体とスチレン系単量体の吸収が、70〜85%のスチレン系単量体の重合転化率の下で行われることを特徴とする発泡成形体の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−207097(P2012−207097A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72891(P2011−72891)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】