説明

発熱法の触媒用担体および該担体から製造された触媒

本発明は石油化学、ガス化学に関するものであり、発熱法、特にフィッシャー−トロプシュ法、メタノール合成、水素化、排気ガスの精製のための触媒用担体を開示する。該触媒用担体は、薄片状および球状アルミニウム分散粉体の混合物形態の金属アルミニウムを含有するものであり、該担体は、押出、ペレット化、タブレット化、球状化または液状成形により得られたペレット、好ましくは円柱体、タブレット、球状体である。該担体で製造された触媒は、Co,Fe,Ni,Ru,Rh,Pt,Pd,Cuおよび/またはそれらの混合物の群から選択された活性金属を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は石油化学、ガス化学に関するものであり、発熱法、特にフィッシャー−トロプシュ法、メタノール合成、水素化、排気ガスの精製のための触媒用担体を開示する。しかも本発明は、当該担体に担持されてなる触媒を開示する。
【背景技術】
【0002】
流動床反応器、スラリー相反応器および固定床反応器において不均質な発熱法を技術的に実施できることは知られている。触媒技術の分野においては、固定床反応器が最も一般的な接触系(encountered system)である。このような反応器は不均質系であり、少なくとも2種の相からなっている:触媒の固形粒子および反応混合物が気体および/または液体の形態で流れるそれらの間の空隙。当該反応器中では、触媒表面での化学的転化と以下の物理的プロセスとが同時に起こる;床での反応成分および生成物の移動、熱伝導およびガス流等。
【0003】
チューブ状反応器においては、反応混合物と冷却媒体との間の熱伝導は反応器の壁を介して達成される。触媒は小径(2〜8cm)のチューブに詰められる;冷却媒体(例えば、高圧蒸気)はチューブ間スペースを循環する。チューブ状反応器の重要な利点は、触媒体積に対する冷却表面の比率が他の装置よりもかなり大きいため、触媒から熱を除去するための有利な関係にある。
【0004】
触媒床において最適な温度範囲を形成することは、専門家が触媒式チューブ状反応器の開発中に直面する主要な問題のひとつである。各触媒ペレットにおける熱伝導および物質移動の改善により、最適な温度範囲の形成が促進される。熱伝導は、熱伝導性の高い物質に基づく触媒用担体を用いることにより改善することができ、物質移動は、等方特性のある担体を用いることにより高めることができる。
【0005】
特許文献1は、周期表における第VIII族の遷移金属を少なくとも1種および構造化または一体式担体(monolithic support)を含有する、単環式または多環式芳香族炭化水素の水素化用触媒に関するものである。構造化担体は規則的な二次元的または三次元的構造を有し、このように、固定床反応器で一般的に使用される粒状触媒と区別される。構造化担体または単一体(monoliths)は金属材料、無機材料、有機材料または合成材料またはこのような材料の組み合わせを含有することができる。金属材料の具体例としては、鉄、銅、ニッケル、銀、アルミニウムおよびチタンなどの純金属、または鋼、例えばニッケル鋼、クロム鋼およびモリブデン鋼、黄銅、燐青銅、モネル(Monell)およびニッケル銀などの合金が挙げられる。触媒本体は、例えば、金属、構造化担体またはステンレス鋼を含有する単一体から製造することができ、空気中、400〜1100℃で1〜20時間加熱し、その後、室温まで冷却したとき、表面の粗面化を示すことが好ましい。さらに当該表面は合金成分(例えば、対応するAlまたはCrの表面層が形成されるアルミニウムまたはクロム)が豊富になる。熱的粗面化の代わりに、またはそれに加えて、粗面化を機械的に行うこともできる。構造化担体は、金網織物または金属繊維織物、金網編物または金属繊維編物または金属フェルト、炭素繊維織物または炭素繊維フェルト、またはポリマー繊維または網の織編物の形態で使用されることが好ましい。
【0006】
無機材料の具体例としては、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、コーディエライトおよびステアタイトなどのセラミック材料が挙げられる。カーボンを使用することもできる。合成担体材料の具体例としては、例えば、ポリマーまたはガラス繊維が挙げられる。
【0007】
触媒は、助触媒、例えば、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウム);ケイ素、炭素、チタン、ジルコニウム、タングステンおよびランタニド類およびアクチニド類;貨幣金属、例えば、銅、銀および/または金、亜鉛、錫、ビスマス、アンチモン、モリブデン、タングステンおよび/または他の助触媒、例えば、硫黄および/またはセレンをさらに含有してもよい。
【0008】
構造化担体または単一体は、活性成分を適用する前にスパッタリングすることにより、1種、2種またはそれ以上の酸化物を被覆することができる。活性金属は、当該活性成分を含有する水溶液または有機溶液または懸濁液を含浸させることにより、担体に適用される。
【0009】
水素化は約50〜200℃および50bar未満の圧力で行うことが好ましい。その結果、n−パラフィン類などの望ましくない副生成物は実際には形成されないので、精製は不必要になる;このことは当該処理を非常に経済的にする。当該処理を連続的に行う場合、水素化される化合物の量は1時間あたり約0.05〜約3kg/l触媒が好ましい。さらにベンゼンの転化率およびシクロヘキサンの収率は99.99%である。空時収率(space-time yield)は0.928kg/(l・時)であった。
【0010】
このような触媒および担体の不利益は以下の通りである;担体の性質により、反応体積中での活性成分の濃度が高い触媒を得ることができない;このことは、プロセスの生産性を低下させ、反応器の寸法を増大させる。
【0011】
特許文献2は、微小孔を有する陽極酸化層(骨格形成金属(carcass-forming memtal)を陽極酸化処理に供することにより形成される)、および該微小孔中の触媒活性のある金属を含有する、排気ガスの精製用触媒に関するものである。骨格形成金属の表面は、陽極酸化処理中、酸化物フィルムにより被覆されるようになる;このような金属として、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマスおよびアンチモンが挙げられ、好ましくはアルミニウム、純粋アルミニウムと合金との両方である。K,Ba,La,Ca,Li,Ce,Zr,Pr,Nd,Te,SmおよびGdからなる群から選択される少なくとも1種の元素の酸化物(NOを吸着できる)を少なくとも0.01g/m/μmの量で、かつPd,Pt,Rh,Ru,Ir,AgおよびGaからなる群から選択される少なくとも1種の元素を少なくとも0.15g/m/μmの量で触媒活性金属として使用される。当該触媒はアンモニア吸着能を有する多孔質材料をさらに含有する;当該材料は陽極酸化層上に適用される。陽極酸化層は以下の通りに得られる;まず、担体を、ざらざらした表面を形成するための処理に供し、陽極酸化処理が起こる。多孔質材料は、少なくとも1種のリン酸および/またはコロイドシリカおよび/またはベーマイトゾルと組み合わせてゼオライトを含有する混合物として、陽極酸化されたアルミニウム層の上に適用される。多孔質材料の量は陽極酸化層の必要厚みおよびその多孔度に基づいて規定される。触媒本体表面は50〜10000個/μmの微小孔密度を有し、微小孔は表面積の20〜80%を占有することが好ましい。
【0012】
このような触媒は少量の貴金属を含有し、比較的低温(150〜250℃)であっても、窒素酸化物(NO)からディーゼルエンジンの排気ガスを精製するのに効果的である。
【0013】
当該触媒および担体の不利益は、得る方法が非常に困難なことである。当該方法は以下の工程を含む;
1)骨格形成金属の熱処理;
2)ざらざらした表面の形成;
3)陽極酸化処理;
4)陽極酸化層の酸またはアルカリ処理;
5)水和処理;
6)NOを吸着できる酸化物の適用;
7)活性金属の適用;
8)アンモニアを吸着できる多孔質材料の適用。
【0014】
このような多段階法は工業規模での触媒の製造を困難にする。
【0015】
特許文献3は担体および触媒成分を含有する触媒を提供する。担体はアルミニウム含有表面を有する金属基体である;当該金属基体は処理されて、その表面に粗面層が形成される。金属基体は金属繊維、金属箔、金網または金属板である。当該基体の粗面はアルミニウムを含有し、当該アルミニウム表面は鱗片状(薄片状)である。金属基体は、親水性アルコールまたは炭化水素の溶液中に浸漬することにより、超音波またはマイクロ波に供され、その後、当該基体は300〜500℃で0.5〜1.0時間か焼される。超音波またはマイクロ波の処理時間は、鉄またはクロムの沈殿量がアルミニウムよりも少ない範囲内で設定されることが好ましい。白金、パラジウムおよびロジウムなどの貴金属は触媒成分として使用される;酸化物は担体として使用することができる。担体は、セリウム、セリウム、ジルコニウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属および酸化物、例えば、アルミナを含有する。当該触媒は、排気ガスの精製処理において使用することができる。CO転化率は83〜99%であり、当該率は触媒層厚みに依存する。
【0016】
引用された全ての触媒は構造化担体または一体式担体を有するものであり、触媒材料を適用するためのそれらの製造方法はかなり困難である。この事実により、このような触媒は実際上の使用が制限される。
【0017】
担体成分として、アルミニウム粉体(薄片状または鱗片状の粒子からなるもの)を有する触媒または薄片状のアルミニウムを含有するペレットは上記のような不利益は有さない。さらに金属アルミニウムは熱伝導性が高く、反応領域からの熱伝導を改善する。この事実により、触媒機能の安定性が増大する。
【0018】
特許文献4は、活性成分としてのメンデレーエフの元素周期表のVIII族の金属、酸化物成分および薄片状の金属アルミニウムを含有する担体を含む、フィッシャー−トロプシュ合成用触媒を提供する。活性成分の含量は触媒の総重量に対して5〜40重量%である。酸化物成分は、酸化アルミニウムおよび/または酸化ケイ素および/または酸化チタンおよび/または酸化ジルコニウムを含む。薄片状アルミニウムの含量は触媒の総重量に対して1〜25%である。メンデレーエフの元素の周期表のVII〜VIII族の金属および/または酸化物は助触媒として使用することができる。
【0019】
当該担体は、ペーストを押出した後、加熱処理し、所望寸法の破砕物になるまで砕解することにより得られる。ペーストは酸化物成分、薄片状の金属アルミニウム、ジエチルエーテル、水およびバインダーを含有する。バインダーとしては、ベーマイトを触媒の総重量に対して5〜15重量%使用することができる。活性成分および助触媒は、含浸させた後、乾燥し、空気流でか焼することにより適用される。
【0020】
合成を行う前には、水素流(GHSV100〜5000 l/時)中、300〜600℃の温度範囲で0.5〜5時間還元させることにより、触媒を活性化させる。CO:Hからの炭化水素の合成は、触媒の固定床を備えたチューブ状反応器中、0.1〜4MPaの圧力下、150〜300℃の温度で行う。合成ガス中のCO:Hのモル比は1:1〜1:3の範囲内である。合成ガスは窒素を25%以下で含有することができる。
【0021】
当該触媒は48〜83%のCO転化率、6〜12%のメタン選択性、75〜90%のC5+選択性および85〜112kgC5+//時の生産性を達成する。
【0022】
当該触媒および担体の不利益は、ペレットの半径方向における物質移動がかなり阻害されることである;この事実の理由は、押出中に容易に整列する薄片状のアルミニウムが含有されるペーストから担体を得ることにある。このため、担体は著しく異方性のある特性を有し、すなわち押出体の押出方向に対して垂直方向と平行方向とで異なる特性を示す。
【0023】
薄片状のアルミニウムの使用により、当該薄片の自然発火性による危険も増えるので、担体および触媒を得ることが困難になる。さらには、触媒床における合成ガスGHSVが3000 l/時を超える場合、活性中心からの所望の熱除去を達成するには、アルミニウム含量が不十分である。このことは、活性成分の大部分がアルミニウムの表面に付着することによるものである;この事実は活性成分の使用効率を低下させる。
【0024】
特許文献5は、コバルトに基づく、COおよびHからの炭化水素合成用触媒および担体に関するものである。当該触媒は、担体として、金属アルミニウム粉体を含有する。当該触媒は金属酸化物、例えば、ZrO、LaまたはKO、または金属、例えば、Re,Ru,PdまたはPtの群から選択される助触媒を含有することができる。
【0025】
当該触媒は以下の通りに製造される;アルミニウム粉体(GOST(国家基準、ロシア連邦)5494−95によれば、鱗片状または薄片状の粒子からなる粉体)を硝酸コバルトの水溶液で含浸させる。その後、含浸された粉体を水浴で乾燥させ、450℃で1時間、空気流で焼成する。触媒を水素流(GHSV100〜3000 l/時)中、400〜600℃の温度での1〜5時間の還元により活性化する。66〜68モル%Hおよび32〜34モル%COの混合物からの炭化水素の合成は、大気圧下、160〜230℃の温度で合成ガスをGHSV 100 l/時で用いて行う。
【0026】
通常のペレットと比較して改善された拡散物質移動にかかわらず、触媒床における合成ガスのGHSVが低く、高くすることはできないため、当該触媒の不利益は、合成の活性および生産性が低いことである。
【0027】
担体および当該担体上の触媒は粉体(微粉砕)形態であるため、工業的固定床反応器で当該触媒を使用することもできない。この事実は、プロセス性能にとって許容できない値への反応器中の圧力降下を著しく増大させる。
【0028】
従って、公知の担体および触媒中の金属アルミニウムは薄片に基づく粉体の形態で使用されるか、または当該粒子の形態学は開示されていない。
【0029】
しかしながら、薄片状アルミニウムの使用は、半径方向での物質移動の問題を引き起こし、著しく異方性のある特性により明らかにされる。
薄片状アルミニウム粉体の使用は、広大な空地のために、増大された危険によって特徴付けられることに注意するべきであり、この事実は担体の製造に困難をもたらす。
【0030】
GOST5494−95によれば、薄片状アルミニウム粉体または「アルミニウム粉体」は薄片(鱗片)形状の粒子からなる。当該粉体は、GOST11069によれば、等級が少なくともA5の一次アルミニウム(primary aluminium)を粉砕することにより製造されるか、またはアルミニウム廃棄物(廃棄物の化学的組成は等級A5のアルミニウムと同じである)から製造される。特に、最大の生産業者ルーサル(RUSAL)は以下の5種の等級の粉体を製造する;PAP−1、PAP−2、PAG−1、PAG−2、PAG−3。鱗片状アルミニウム粉体は「銀色」ペイントの製造および防衛産業で使用される。
【0031】
球形粒子である「球状」アルミニウム粉体は、花火製造術、鉄冶金学、化学工業、溶接工学においてよく知られている。当該粉体は、溶融アルミニウムを、溶融温度まで加熱された不活性ガス中、微粉砕すると同時に、噴霧領域へ冷却不活性ガスを供給することにより製造される(特許文献6参照)。
【0032】
特に、最大の生産業者ルーサルは等級ASDの「球状」アルミニウムの粉体を基準48−5−226−87に従って製造する。当該粉体は、より小さな特有の開放表面(open surface)により定義されるので、当該粉体の使用は危険がより小さい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】米国第20040024274号明細書
【特許文献2】欧州第1994982号明細書
【特許文献3】欧州第2033709号明細書
【特許文献4】露国第2326732号明細書
【特許文献5】露国第2256501号明細書
【特許文献6】露国第2081733号明細書
【発明の概要】
【0034】
本発明によれば、発熱法のための触媒用担体が提供される。当該担体は、薄片状および球状アルミニウム分散粉体の混合物形態の金属アルミニウムおよびバインダーを以下の割合で含有する;
金属アルミニウム−25〜95重量%;
バインダー−残余。
【0035】
本発明の好ましい一実施態様においては、球状アルミニウム粉体の重量比率は、薄片状および球状アルミニウム粉体の混合物の総重量に対して20〜50重量%である。
【0036】
本発明の好ましい一実施態様においては、バインダーはベーマイト、酸化ケイ素またはグラファイトを含む。
【0037】
本発明の好ましい一実施態様においては、バインダーは、Mg,Ca,Zn,Ba,Al,Si,Zr,Ti,Cr,Ceおよび/またはそれらの混合物の酸化物または混合酸化物の群から選択される助触媒(promoter)を含有し、該助触媒の含量がバインダー重量に対して50重量%以下である。
【0038】
本発明の好ましい一実施態様においては、担体は、押出、ペレット化、タブレット化、球状化または液状成形(liquid molding)により得られたペレット、円柱体、タブレット、球状体である。
【0039】
発熱法のための触媒が提供される。当該触媒は、Co,Fe,Ni,Ru,Rh,Pt,Pd,Cuおよび/またはそれらの混合物の群から選択された活性金属および担体を含有し、該担体は薄片状および球状アルミニウム分散粉体の混合物形態の金属アルミニウムおよびバインダーを含有し、該活性金属の含量は触媒の総重量に対して0.1〜40%である。
【0040】
本発明の好ましい一実施態様においては、触媒は、メンデレーエフの元素の周期表のII〜IVおよび/またはVI〜VIII族の元素から選択された活性金属の助触媒を、触媒の総重量に対して0.1〜5%の量でさらに含有する。
【0041】
本発明の触媒は、発熱法、特にフィッシャー−トロプシュ法、メタノール合成、水素化、排気ガスの精製に好適である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の発明者等の多くの研究により、驚くべきことに、薄片状および球状アルミニウム分散粉体の混合物形態の金属アルミニウムを発熱法の触媒の担体に使用すると、当該触媒において異方性のない一定の領域(local area)が形成されることが明らかになった。この事実の理由は、明らかに、担体構造の秩序化によるものであり、しかも、不足のない金属アルミニウムの利点、すなわち高い熱伝導性を利用するオプションが与えられる。これにより、反応領域からの熱の除去が改善される;当該担体は等方特性(isotropic properties)が高くなり、触媒内で熱伝導および物質移動が増大する。このことから、より激しい化学反応が提供され、投入試薬の処理量増大によりプロセス生産性が高まる。
【0043】
触媒はペレットで使用することができる。ペレット化された触媒および担体の利点はよく知られており、ペレット化触媒が反応器中、液圧耐性(hydraulic resistance)の低い固定床を形成できるということである。このような床は、触媒の活性中心への原料の効果的な供給および生成物の除去を可能にする。ペレット化触媒を備えた反応器は単純で、信頼性があり、安価である;当該反応器は、特別な混合装置および分散粒子または粉体の形態の触媒を備えた反応器に必須の他の複雑なものを必要としない。
【0044】
従って、本発明の担体および触媒は、得られた等方性に起因して、ペレットの触媒表面の利用を高め、より激しい化学反応を提供する。ペレット内部での物質移動の改善をもたらす担体および触媒の等方性は、薄片状および球状アルミニウムの分散粉体を組み合わせて使用することにより提供される。薄片状アルミニウム含量の低減および薄片状アルミニウムの球状アルミニウム粉体との組み合わせにより、取り扱いの危険は劇的に減少し、担体の製造は簡略化される。
【0045】
本発明によれば、発熱法のための触媒用担体が提供される。当該担体は、薄片状および球状アルミニウム分散粉体の混合物形態の金属アルミニウムおよびバインダーを以下の割合で含有する;
金属アルミニウム−25〜95重量%;
バインダー−残余。
【0046】
金属アルミニウムの含量が担体の総重量に対して25重量%未満であると、開示した特性が触媒に提供されない;当該含量が95%超であると、製造された触媒の活性が低いので、得策ではない。
【0047】
分散アルミニウム粉体は粒径が100μm以下の粉体である。
【0048】
本発明の好ましい一実施態様においては、球状アルミニウム粉体の重量比率は、薄片状および球状アルミニウム粉体の混合物の総重量に対して20〜50重量%である。
【0049】
担体における球状アルミニウムの重量比が20%未満に低減されると、担体が等方特性を得られず、50%を超えると、担体および該担体で製造された触媒の機械的強度の低下がもたらされる。
【0050】
本発明の好ましい一実施態様においては、バインダーはベーマイトまたは酸化ケイ素またはグラファイトを含む。
【0051】
本発明の好ましい一実施態様においては、バインダーは、Mg,Ca,Zn,Ba,Al,Si,Zr,Ti,Cr,Ceおよび/またはそれらの混合物の酸化物または混合酸化物の群から選択される助触媒を含有し、さらに該助触媒の含量がバインダー重量に対して50重量%以下である。
【0052】
助触媒の含有量が50%超であると、触媒特性は高まらないので、合理的ではない。
【0053】
担体をペレットの状態で製造できることが重要であり、当該担体は、押出、ペレット化、タブレット化、球状化または液状成形により得られたペレット、円柱体、タブレット、球状体である。
【0054】
発熱法のための触媒が提供される。当該触媒は、Co,Fe,Ni,Ru,Rh,Pt,Pd,Cuおよび/またはそれらの混合物の群から選択された活性金属および担体を含有し、該担体は薄片状および球状アルミニウム分散粉体の混合物形態の金属アルミニウムおよびバインダーを含有し、該活性金属の含量は触媒の総重量に対して0.1〜40%である。活性金属は、金属塩の水溶液または有機溶液による含浸により導入される。活性金属の含量が0.1%未満であると、開示した特性を有する触媒を得ることができない。当該含量が40%超であると、触媒コストが、活性の増大と比較して、非常に高くなるので、得策ではない。
【0055】
本発明の好ましい一実施態様においては、触媒は、メンデレーエフの元素の周期表のII〜IVおよび/またはVI〜VIII族の元素から選択された活性金属の助触媒を、触媒の総重量に対して0.1〜5%の量でさらに含有する。
【0056】
本発明の担体は以下の通りに製造される;
バインダー(例えば、ベーマイト)、球状アルミニウムの分散粉体、および薄片状アルミニウムの分散粉体を、硝酸HNO(64%)、蒸留水およびトリエチレングリコール(TEG)の混合物に添加する;均質な混合物が得られるまで、撹拌を継続した。その後、混合物を直径2.5mmのダイを介して押出した。押出体を空気で120℃にて6時間乾燥させ、乾燥オーブン中、空気で450℃にて5時間か焼した。その後、押出体を室温まで冷却し、2.5×2.5mmペレットに裁断した。
【0057】
触媒は、硝酸コバルト6水和物Co(NO・6HOの水溶液を用いて、担体を含浸させ、20重量%Coを達成することにより製造される。その後、ペレットを水浴で乾燥し、空気流中、400℃で3時間か焼し、空気流中、室温まで冷却する。触媒を固定床反応器に充填し、触媒を水素流中、400℃で1時間活性化する。
【0058】
触媒をフィッシャー−トロプシュ法により235℃、2MPa、合成ガスのガス時間空間速度(gas hour space velocity)(GHSV)4000 l/時およびH/CO体積比2で試験する。
【0059】
合成を行う前に、触媒の試料を、水素含有ガス流(GHSV1000〜10000 l/時)中、大気圧下、250〜450℃(好ましくは350〜450℃)の温度範囲で0.5〜10時間還元させることにより活性化させる。CO:Hからの炭化水素の合成は、触媒の固定床を備えたチューブ状反応器中、0.1〜4MPaの圧力下、150〜300℃の温度で行う。合成ガス中のCO:Hのモル比は1:1〜1:3の範囲内である。合成ガスは窒素を25%以下で含有することができる。
【0060】
以下の実施例を提供して本発明の様々な具体例をさらに詳しく説明するが、当該実施例に限定されるものではない;
【実施例】
【0061】
実施例1
担体(75%Al+25%バインダー)の試料を以下の通りに製造する。
ベーマイト2.5g、等級ASD−1の球状アルミニウム粉体1.5gおよび等級PAP−2の薄片状アルミニウム粉体6gを、HNO(64%)0.45ml、蒸留水10mlおよびトリエチレングリコール(TEG)0.6mlに添加し、均質な混合物が得られるまで撹拌を継続した。その後、混合物を直径2.5mmのダイを介して押し出した。押出体を、120℃で6時間、空気で乾燥させ、乾燥オーブン中、450℃で5時間、空気でか焼した。その後、押出体を室温まで冷却し、2.5×2.5mmペレットに裁断した。
【0062】
硝酸コバルト6水和物Co(NO・6HOの水溶液を用いて、担体(75%Al+25%バインダー)を含浸させ、20重量%Coとし、触媒20%Co/担体を製造する;ペレットを水浴で乾燥し、空気流中、400℃で3時間か焼した後、空気流中、室温まで冷却する。触媒を固定床反応器に充填し、触媒を水素流中、400℃で1時間活性化する。
当該触媒をフィッシャー−トロプシュ法により235℃、2MPa、合成ガスのガス時間空間速度4000 l/時、およびH/CO体積比2で試験したところ、以下の特性を示した;CO転化率70%、C5+選択性60%および生産性349kg/m/時。
【0063】
実施例2
担体(25%Al+75%バインダー)の試料を以下の通りに製造する。
ベーマイト3.75gおよびMgO3.75gからなるバインダー7.5g;等級ASD−1の球状アルミニウム粉体1.25gおよび等級PAP−2の薄片状アルミニウム粉体1.25gを、HNO(64%)0.675ml、蒸留水12mlおよびトリエチレングリコール(TEG)0.6mlに添加し、均質な混合物が得られるまで撹拌を継続した。その後、混合物を直径2.5mmのダイを介して押し出した。押出体を、120℃で6時間、空気で乾燥させ、乾燥オーブン中、450℃で5時間、空気でか焼した。その後、押出体を室温まで冷却し、2.5×2.5mmペレットに裁断した。
【0064】
触媒30%Co−2.5%Al/担体を以下の通りに製造する;
硝酸アルミニウムの水溶液を用いて、得られた担体(25%Al+75%バインダー)を含浸させ、2.5重量%Alとし、水浴で乾燥し、空気流中、400℃で3時間か焼する。硝酸コバルト6水和物Co(NO・6HOの水溶液を用いて、当該材料を含浸させ、30重量%Coとする;ペレットを水浴で乾燥し、空気流中、400℃で1時間か焼し、空気流中、室温まで冷却する。触媒を固定床反応器に充填し、触媒を水素流中、400℃で1時間活性化する。
当該触媒をフィッシャー−トロプシュ法により235℃、2MPa、合成ガスのGHSV4000 l/時、およびH/CO体積比2で試験したところ、以下の特性を示した;CO転化率64%、C5+選択性62%および生産性330kg/m/時。
【0065】
実施例3
担体(50%Al+50%バインダー)の試料を以下の通りに製造する。
ベーマイト2.5gおよびモジュール(module)20のゼオライト粉体HY2.5gからなるバインダー5g;等級ASD−6の球状アルミニウム粉体1.5gおよび等級PAP−2の薄片状アルミニウム粉体3.5gを、HNO(64%)0.45ml、蒸留水10mlおよびトリエチレングリコール(TEG)0.6mlに添加し、均質な混合物が得られるまで撹拌を継続した。その後、混合物を直径2.5mmのダイを介して押し出した。押出体を、120℃で6時間、空気で乾燥させ、乾燥オーブン中、450℃で5時間、空気でか焼した。その後、押出体を室温まで冷却し、2.5×2.5mmペレットに裁断した。
【0066】
触媒20%Co/担体を以下の通りに製造する;
硝酸コバルト6水和物Co(NO・6HOの水溶液を用いて、得られた担体(50%Al+50%バインダー)を含浸させ、20重量%Coとする;ペレットを水浴で乾燥し、空気流中、250℃で1時間か焼し、空気流中、室温まで冷却する。触媒を固定床反応器に充填し、触媒を水素流中、400℃で1時間活性化する。
当該触媒をフィッシャー−トロプシュ法により235℃、2MPa、合成ガスのGHSV4000 l/時、およびH/CO体積比2で試験したところ、以下の特性を示した;CO転化率70%、C5+選択性68%および生産性396kg/m/時。
【0067】
実施例4
担体(50%Al+50%バインダー)の試料を以下の通りに製造する。
ベーマイト3gおよびシリカゲル2gからなるバインダー5g;等級ASD−6の球状アルミニウム粉体1.5gおよび等級PAP−1の薄片状アルミニウム粉体3.5gを、HNO(64%)0.54ml、蒸留水10mlおよびトリエチレングリコール(TEG)0.6mlに添加し、均質な混合物が得られるまで撹拌を継続した。その後、混合物を直径2.5mmのダイを介して押し出した。押出体を、120℃で6時間、空気で乾燥させ、乾燥オーブン中、450℃で5時間、空気でか焼した。その後、押出体を室温まで冷却し、2.5×2.5mmペレットに裁断した。
【0068】
触媒10%Co−5%Zr/担体を以下の通りに製造する;
硝酸ジルコニルの水溶液を用いて、得られた担体(50%Al+50%バインダー)を含浸させ、5重量%Zrとし、水浴で乾燥し、空気流中、400℃で3時間か焼する。硝酸コバルト6水和物Co(NO・6HOの水溶液を用いて、当該材料を含浸させ、10重量%Coとする;ペレットを水浴で乾燥し、空気流中、250℃で1時間か焼し、空気流中、室温まで冷却する。触媒を固定床反応器に充填し、触媒を水素流中、400℃で1時間活性化する。
当該触媒をフィッシャー−トロプシュ法により235℃、2MPa、合成ガスのGHSV4000 l/時、およびH/CO体積比2で試験したところ、以下の特性を示した;CO転化率65%、C5+選択性61%および生産性330kg/m/時。
【0069】
実施例5
担体(50%Al+50%バインダー)の試料を以下の通りに製造する。
ベーマイト4gおよびTiO 1gからなるバインダー5g;等級PAG−1の球状アルミニウム粉体1.5gおよび等級PAP−1の薄片状アルミニウム粉体3.5gを、HNO(64%)0.72ml、蒸留水11mlおよびトリエチレングリコール(TEG)0.6mlに添加し、均質な混合物が得られるまで撹拌を継続した。その後、混合物を直径2.5mmのダイを介して押し出した。押出体を、120℃で6時間、空気で乾燥させ、乾燥オーブン中、450℃で5時間、空気でか焼した。その後、押出体を室温まで冷却し、2.5×2.5mmペレットに裁断した。
【0070】
触媒20%Fe−2%Mg/担体を以下の通りに製造する;
硝酸マグネシウムの水溶液を用いて、得られた担体(50%Al+50%バインダー)を含浸させ、2重量%Mgとし、水浴で乾燥し、空気流中、400℃で1時間か焼する。Fe(NO・9HOの水溶液を用いて、当該材料を含浸させ、20重量%Feとする;ペレットを水浴で乾燥し、空気流中、250℃で1時間か焼し、空気流中、室温まで冷却する。触媒を固定床反応器に充填し、触媒を水素流中、350℃で1時間活性化する。
当該触媒をフィッシャー−トロプシュ法により240℃、2MPa、合成ガスのGHSV4000 l/時、およびH/CO体積比2で試験したところ、以下の特性を示した;CO転化率63%、C5+選択性60%および生産性314kg/m/時。
【0071】
実施例6
担体(50%Al+50%バインダー)の試料を以下の通りに製造する。
ベーマイト2gおよびAl 2gおよびCaO 1gからなるバインダー5g;等級ASP−0−63の球状アルミニウム粉体2gおよび等級PAP−2の薄片状アルミニウム粉体3gを、HNO(64%)0.45ml、蒸留水10mlおよびトリエチレングリコール(TEG)0.6mlに添加し、均質な混合物が得られるまで撹拌を継続した。その後、混合物を直径2.5mmのダイを介して押し出した。押出体を、120℃で6時間、空気で乾燥させ、乾燥オーブン中、450℃で5時間、空気でか焼した。その後、押出体を室温まで冷却し、2.5×2.5mmペレットに裁断した。
【0072】
触媒15%Ru−1%Cr/担体を以下の通りに製造する;
硝酸クロムの水溶液を用いて、得られた担体(50%Al+50%バインダー)を含浸させ、1重量%Crとし、水浴で乾燥し、空気流中、400℃で1時間か焼する。RuClのエタノール溶液を用いて、当該材料を含浸させ、15重量%Ruとする;ペレットを水浴で乾燥し、空気流中、400℃で1時間か焼し、空気流中、室温まで冷却する。触媒を固定床反応器に充填し、触媒を水素流中、400℃で1時間活性化する。
当該触媒をフィッシャー−トロプシュ法により245℃、2MPa、合成ガスのGHSV4000 l/時、およびH/CO体積比2で試験したところ、以下の特性を示した;CO転化率66%、C5+選択性59%および生産性324kg/m/時。
【0073】
実施例7
担体(40%Al+60%バインダー)の試料を以下の通りに製造する。
ベーマイト3gおよびSiO 2gおよびZrO 1gからなるバインダー6g;等級ASP−0−63の球状アルミニウム粉体1gおよび等級PAP−2の薄片状アルミニウム粉体3gを、HNO(64%)0.54ml、蒸留水10mlおよびトリエチレングリコール(TEG)0.6mlに添加し、均質な混合物が得られるまで撹拌を継続した。その後、混合物を直径2.5mmのダイを介して押し出した。押出体を、120℃で6時間、空気で乾燥させ、乾燥オーブン中、450℃で5時間、空気でか焼した。その後、押出体を室温まで冷却し、2.5×2.5mmペレットに裁断した。
【0074】
触媒20%Co−0.1%Re/担体を以下の通りに製造する;
過レニウム酸アンモニウム(ammonium perrheniate)の水溶液を用いて、得られた担体(40%Al+60%バインダー)を含浸させ、0.1重量%Reとし、水浴で乾燥し、空気流中、400℃で1時間か焼する。硝酸コバルト6水和物Co(NO・6HOの水溶液を用いて、当該材料を含浸させ、20重量%Coとする;ペレットを水浴で乾燥し、空気流中、400℃で1時間か焼し、空気流中、室温まで冷却する。触媒を固定床反応器に充填し、触媒を水素流中、400℃で1時間活性化する。
当該触媒をフィッシャー−トロプシュ法により235℃、2MPa、合成ガスのGHSV4000 l/時、およびH/CO体積比2で試験したところ、以下の特性を示した;CO転化率66%、C5+選択性72%および生産性389kg/m/時。
【0075】
実施例8
担体(60%Al+40%バインダー)の試料を以下の通りに製造する。
エアロジル(aerosil)2gおよびモジュール20のゼオライト粉体HMor2gからなるバインダー4g;等級PAG−1の球状アルミニウム粉体1.2gおよび等級PAP−2の薄片状アルミニウム粉体4.8gを、NHOH(30%)1.5ml、蒸留水9.5mlおよびトリエチレングリコール(TEG)0.6mlに添加し、均質な混合物が得られるまで撹拌を継続した。その後、混合物を直径2.5mmのダイを介して押し出した。押出体を、120℃で6時間、空気で乾燥させ、乾燥オーブン中、450℃で5時間、空気でか焼した。その後、押出体を室温まで冷却し、2.5×2.5mmペレットに裁断した。
【0076】
触媒20%Co−3%Fe/担体を以下の通りに製造する;
硝酸第一鉄(ferrous nitrate)(III)の水溶液を用いて、得られた担体(60%Al+40%バインダー)を含浸させ、3重量%Feとし、水浴で乾燥し、空気流中、400℃で1時間か焼する。硝酸コバルト6水和物Co(NO・6HOの水溶液を用いて、当該材料を含浸させ、20重量%Coとする;ペレットを水浴で乾燥し、空気流中、250℃で1時間か焼し、空気流中、室温まで冷却する。触媒を固定床反応器に充填し、触媒を水素流中、400℃で1時間活性化する。
当該触媒をフィッシャー−トロプシュ法により235℃、2MPa、合成ガスのGHSV4000 l/時、およびH/CO体積比2で試験したところ、以下の特性を示した;CO転化率67%、C5+選択性71%および生産性396kg/m/時。
【0077】
実施例9
担体(80%Al+20%バインダー)の試料を以下の通りに製造する。
ベーマイト1gおよびCr粉体1gからなるバインダー2g、等級ASP−0−63の球状アルミニウム粉体1.6gおよび等級PAP−2の薄片状アルミニウム粉体6.4gを、HNO(64%)0.2ml、蒸留水9mlおよびトリエチレングリコール(TEG)0.6mlに添加し、均質な混合物が得られるまで撹拌を継続した。その後、混合物を直径1.5mmのダイを介して押し出した。押出体を、120℃で6時間、空気で乾燥させ、乾燥オーブン中、400℃で5時間、空気でか焼した。その後、押出体を室温まで冷却し、1.5×3.5mmペレットに裁断した。
【0078】
触媒5%Ni/担体を以下の通りに製造する;
硝酸ニッケルの水溶液を用いて、得られた担体(80%Al+20%バインダー)を含浸させ、5重量%Niとする;ペレットを水浴で乾燥し、空気流中、400℃で1時間か焼した後、空気流中、室温まで冷却する。触媒を固定床反応器に充填し、触媒を水素流中、400℃で1時間活性化する。
当該触媒をベンゼンの水素化により110℃、1MPa、ベンゼン流量900kg/dm/時で試験したところ、以下の特性を示した;ベンゼン転化率98%、シクロヘキサン選択性90%および生産性940kg/dm/時。
【0079】
実施例10
担体(40%Al+60%バインダー)の試料を以下の通りに製造する。
ベーマイト3gおよびZnO 2.5gおよびBaO 0.5gからなるバインダー6g;等級ASP−0−63の球状アルミニウム粉体1gおよび等級PAP−2の薄片状アルミニウム粉体3gを、HNO(64%)0.5ml、蒸留水15mlおよびトリエチレングリコール(TEG)0.6mlに添加し、均質な混合物が得られるまで撹拌を継続した。その後、液状成形により当該混合物から直径3mmの球状ペレットダイを得た。ペレットを、120℃で3時間、空気で乾燥させ、乾燥オーブン中、400℃で5時間、空気でか焼し、室温まで冷却した。
【0080】
触媒40%Cu/担体を以下の通りに製造する;
硝酸銅の水溶液を用いて、得られた担体(40%Al+60%バインダー)を含浸させ、40重量%Cuとし、水浴で乾燥し、空気流中、400℃で1時間か焼し、空気流中、室温まで冷却する。触媒を固定床反応器に充填し、触媒を水素流中、220℃で6時間活性化する。
当該触媒をCOおよびHからのメタノール合成により180℃、5MPa、合成ガスのGHSV10000 l/時、およびH/CO体積比2で試験したところ、以下の特性を示した;CO転化率77%、メタノール選択性81%および生産性2.96kg/m/時。
【0081】
実施例11
担体(80%Al+20%バインダー)の試料を以下の通りに製造する。
グラファイト1gおよびCeO粉体1gからなるバインダー2g;等級PAG−1の球状アルミニウム粉体2gおよび等級PAP−2の薄片状アルミニウム粉体6gを撹拌し、均質な混合物を得た。2mm寸法ペレットへの加圧タブレット化により当該混合物から直径および高さが5mmの円柱体を製造した。当該ペレットを、乾燥オーブン中、400℃で5時間、不活性雰囲気でか焼した。その後、ペレットを室温まで冷却した。
【0082】
触媒0.1%Pt/担体を以下の通りに製造する;
クロロ白金酸の水溶液を用いて、得られた担体(80%Al+20%バインダー)を含浸させ、0.1重量%Ptとする;ペレットを水浴で乾燥し、窒素流中、400℃で1時間か焼した後、空気流中、室温まで冷却する。触媒を固定床反応器に充填し、触媒を水素流中、250℃で3時間活性化する。
当該触媒を、ディーゼルエンジンの排気ガスの組成を模倣したガス混合物の精製法により180℃、0.1MPa、GHSV10000 l/時で試験したところ、以下の特性を示した;COからの精製効率99%、NOからの精製効率98%。
【0083】
実施例12
担体(95%Al+5%バインダー)の試料を以下の通りに製造する。
グラファイトからなるバインダー0.5g;等級ASD−1の球状アルミニウム粉体1.9gおよび等級PAP−1の薄片状アルミニウム粉体8.1gを撹拌し、均質な混合物を得た。2mm寸法ペレットへの加圧タブレット化により当該混合物から直径および高さが3mmの円柱体を製造した。当該ペレットを、乾燥オーブン中、400℃で5時間、不活性雰囲気でか焼した。その後、ペレットを室温まで冷却した。
【0084】
触媒0.2%Pd/担体を以下の通りに製造する;
塩化パラジウムの水溶液を用いて、得られた担体(95%Al+5%バインダー)を含浸させ、0.2重量%Pdとする;ペレットを水浴で乾燥し、窒素流中、400℃で1時間か焼した後、空気流中、室温まで冷却する。触媒を固定床反応器に充填し、触媒を水素流中、250℃で3時間活性化する。
当該触媒を、ディーゼルエンジンの排気ガスの組成を模倣したガス混合物の精製法により180℃、0.1MPa、GHSV10000 l/時で試験したところ、以下の特性を示した;COおよびNOからの精製効率99%。
【0085】
実施例より、特許請求の範囲に記載の発熱法のための担体および触媒が、等方特性を有し、触媒ペレット内部での物質移動を改善することが明らかである。このことから、より激しい化学反応が提供され、投入試薬のGHSV増大によりプロセス生産性が高まる。
【0086】
特許請求の範囲に記載の担体および当該担体で製造された触媒を発熱法、特にフィッシャー−トロプシュ法、メタノール合成、水素化、排気ガスの精製に使用することにより、固定床反応器中、原料の増大された装入量で、触媒の高活性および高生産性がもたらされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属アルミニウムおよびバインダーを含有する、発熱法のための触媒用担体であって、該金属アルミニウムが薄片状および球状アルミニウム分散粉体の混合物形態にあり、アルミニウムおよびバインダーの割合が以下の通りである担体;
金属アルミニウム−25〜95重量%;
バインダー−残余。
【請求項2】
球状アルミニウム粉体の重量比率が、薄片状および球状アルミニウム粉体の混合物の総重量に対して20〜50重量%である請求項1に記載の担体。
【請求項3】
バインダーとしてベーマイト、酸化ケイ素またはグラファイトが使用される請求項1に記載の担体。
【請求項4】
バインダーが、Mg,Ca,Zn,Ba,Al,Si,Zr,Ti,Cr,Ceおよび/またはそれらの混合物の酸化物または混合酸化物の群から選択される助触媒を含有し、該助触媒の含量がバインダー重量に対して50重量%以下である請求項3に記載の担体。
【請求項5】
担体が、押出、ペレット化、タブレット化、球状化または液状成形により得られたペレット、好ましくは円柱体、タブレット、球状体である請求項1に記載の担体。
【請求項6】
Co,Fe,Ni,Ru,Rh,Pt,Pd,Cuおよび/またはそれらの混合物の群から選択された活性金属および請求項1に記載の担体を含有する発熱法のための触媒であって、該活性金属の含量が触媒の総重量に対して0.1〜40%である触媒。
【請求項7】
メンデレーエフの元素の周期表のII〜IVおよび/またはVI〜VIII族の元素から選択された活性金属の助触媒を、触媒の総重量に対して0.1〜5%の量でさらに含有する請求項6に記載の触媒。

【公表番号】特表2013−500859(P2013−500859A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523585(P2012−523585)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【国際出願番号】PCT/RU2010/000429
【国際公開番号】WO2011/016759
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(511305438)インフラ・テクノロジーズ・リミテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】INFRA TECHNOLOGIES LTD.
【Fターム(参考)】