説明

発電プラント及びその運転方法

【課題】蓄熱容量や熱媒体温度の制限を越える余剰太陽熱が存在する場合において、このような余剰太陽熱を回収することが可能な発電プラントを提供する。
【解決手段】実施形態によれば、発電プラントは、太陽熱を集熱して熱媒体流体を加熱する集熱器と、前記熱媒体流体と水との間で熱交換を行い蒸気を発生させる蒸気発生器と、前記蒸気発生器からの蒸気により発電機を駆動させる蒸気タービンとを備える。さらに、前記プラントは、前記蒸気タービンを経由して排気された蒸気を復水する復水器と、前記復水器で発生した復水、又はいずれかの前記蒸気タービンから排気された蒸気から分離されたドレン、を搬送するためのポンプとを備える。さらに、前記プラントは、前記集熱器により加熱された前記熱媒体流体の温度を測定し、前記温度の測定値を保持する信号を出力する測定器と、前記測定器からの前記信号に基づいて、前記ポンプの流量を制御する制御器とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、発電プラント及びその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽熱発電は、太陽光をレンズや反射板を用いた太陽炉で集光することで、汽力発電の熱源として利用する発電方法である。太陽熱発電は、燃料を用いないため二酸化炭素などの温室効果ガスを排出せず、燃料費が不要であるため運転にかかる費用を低く抑えられ、有毒ガスの発生や燃料費高騰によるコスト上昇のリスクもない。
【0003】
しかし一方で、太陽熱発電は、熱源が太陽熱であることから、日中/昼夜の日照量変動や気候変動など、熱源の変動に適切に対応するための技術が必要となる。
【0004】
このような熱源の変動を補償して安定的に電力を発生するため、従来技術として、蓄熱システムを備える発電システムや、日照量が少ないときにバーナーなどの助燃装置を使用する発電システムなどが考案されている。さらには、太陽熱発電システムと、他の発電システム(例えば、ガスタービン発電システム)とを組み合わせた発電システムなども考案されている。
【0005】
図8は、従来の発電プラントの構成を示す概略的な系統図である。図8の発電プラントは、トラフ式太陽熱発電システムに相当する。
【0006】
図8の発電プラントでは、集熱鏡1により太陽熱が集熱され、その熱で熱媒体油2が加熱される。加熱された熱媒体油2は、蒸気発生器3に送られ、蒸気発生のための熱源として使用される。蒸気発生器3内で発生した蒸気は、蒸気タービン6に流入し、発電機7を回転させる。こうして、発電機7で発電が行われる。図8の発電プラントはさらに、加熱された熱媒体油2の温度を測定する熱媒体油温度計11や、熱媒体油2の熱を蓄えるための蓄熱槽12を備える。
【0007】
従来の発電プラントは、図8に示すように、ユニット出力指令に応じて給水ポンプ4の給水量を制御する給水流量制御回路31を備える。さらには、主蒸気ライン21を流れる蒸気に関する蒸気温度要求と、熱媒体油2に関する熱媒体温度要求を満たすよう、集熱鏡1の角度制御を行う鏡面角度制御回路41を備える。
【0008】
鏡面角度制御回路41は、熱媒体温度が制限値を超えそうな場合には、蒸気温度要求が蒸気温度の上昇を指示しても、集熱鏡1の角度を制御して太陽熱の集熱効率を低下させ、太陽熱の熱量回収を制限する。
【0009】
なお、説明の複雑化を避けるために、図8には示していないが、主蒸気ライン21には過熱器注水スプレーが配置されており、蒸気温度の補正用に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−132330号公報
【特許文献2】特開2000−110515号公報
【特許文献3】特開2008−39367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
トラフ式太陽熱発電は、曲面鏡(集熱鏡)を用いて、鏡の前に設置されたパイプに太陽光を集中させ、パイプ内を流れる液体(熱媒体)を加熱し、その熱で発電を行う発電方式である。蓄熱システムを備える発電システムであれば、好天候時に十分な日照量があるときに余剰熱量を蓄熱槽に蓄えることができ、熱源の変動を平準化することができる。
【0012】
しかし一般に、経済性を考慮して設計された太陽熱発電システムでは、蓄熱容量に制限があることから、蓄熱制限を越えると熱媒体温度が上昇する。この場合、熱媒体には物性上の理由から温度制限があるため、通常は集熱鏡を傾けることにより、回収する太陽熱量を制限して、熱媒体温度が制限値を越えないよう対処している。
【0013】
しかしながら、この間は、太陽熱の回収量を最大化せず、熱媒体の温度制限を越えない回収量に制限しているため、回収しない分の太陽熱が無駄になるという問題がある。この太陽熱を回収して、その熱量でより多くの発電を行えば、発電プラント効率を高めることができると考えられる。
【0014】
そこで、本発明は、蓄熱容量や熱媒体温度の制限を越える余剰太陽熱が存在する場合において、このような余剰太陽熱を回収することが可能な発電プラント及びその運転方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
一の実施形態によれば、発電プラントは、太陽熱を集熱して熱媒体流体を加熱する集熱器と、前記熱媒体流体と水との間で熱交換を行い蒸気を発生させる蒸気発生器と、前記蒸気発生器からの蒸気により発電機を駆動させる蒸気タービンとを備える。さらに、前記プラントは、前記蒸気タービンを経由して排気された蒸気を復水する復水器と、前記復水器で発生した復水、又はいずれかの前記蒸気タービンから排気された蒸気から分離されたドレン、を搬送するためのポンプとを備える。さらに、前記プラントは、前記集熱器により加熱された前記熱媒体流体の温度を測定し、前記温度の測定値を保持する信号を出力する測定器と、前記測定器からの前記信号に基づいて、前記ポンプの流量を制御する制御器とを備える。
【0016】
また、別の実施形態である発電プラントの運転方法では、太陽熱を集熱して熱媒体流体を加熱する集熱器を構成する集熱鏡の角度を、最大熱量が回収される角度に制御する。さらに、前記方法では、前記集熱鏡の角度を、前記最大熱量が回収される角度に維持しつつ、前記集熱器により加熱された前記熱媒体流体の温度を測定する。さらに、前記方法では、前記温度の測定値を保持する信号を出力する測定器からの前記信号に基づいて、前記ポンプの流量を制御する制御器により、前記ポンプの流量を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態の発電プラントの構成を示す概略的な系統図である。
【図2】第2実施形態の発電プラントの構成を示す概略的な系統図である。
【図3】第3実施形態の発電プラントの構成を示す概略的な系統図である。
【図4】第4実施形態の発電プラントの構成を示す概略的な系統図である。
【図5】第5実施形態の発電プラントの構成を示す概略的な系統図である。
【図6】第6実施形態の発電プラントの構成を示す概略的な系統図である。
【図7】第7実施形態の発電プラントの構成を示す概略的な系統図である。
【図8】従来の発電プラントの構成を示す概略的な系統図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の発電プラントの構成を示す概略的な系統図である。図1の発電プラントは、図8の発電プラントと同様、トラフ式太陽熱発電システムに相当する。
【0020】
図1の発電プラントでは、集熱器を構成する集熱鏡1により太陽熱が集熱され、その熱で熱媒体油2が加熱される。熱媒体油2は、本発明の熱媒体流体の例である。加熱された熱媒体油2は、蒸気発生器3に送られ、蒸気発生のための熱源として使用される。蒸気発生器3は、熱媒体油2と水との間での熱交換により、水を気化させて蒸気を発生させる。
【0021】
蒸気発生器3内で発生した蒸気は、主蒸気ライン21を経由して、蒸気タービン6に流入する。蒸気タービン6は、この蒸気により発電機7を駆動させる。こうして、発電機7で発電が行われる。なお、主蒸気ライン21上には、主蒸気止弁8と、主蒸気加減弁9が設けられている。
【0022】
蒸気タービン6から排気された蒸気は、復水器10に流入し復水される。復水器10で発生した復水は、給水ポンプ4により、給水ライン5を経由して再び蒸気発生器3に搬送される。
【0023】
図1の発電プラントはさらに、集熱器の出口にて、加熱された熱媒体油2の温度を測定し、温度の測定値を保持する信号を出力する熱媒体油温度計11を備えている。熱媒体油温度計11は、本発明の測定器の例である。
【0024】
図1の発電プラントはさらに、熱媒体油2の熱を蓄えることが可能な蓄熱槽12を備えている。蓄熱槽12は、高温の熱媒体油2を収容するための高温槽12aと、低温の熱媒体油2を収容するための低温槽12bと、高温槽12a内の熱媒体油2の熱で、熱媒体油ライン上を流れる熱媒体油2を加熱する熱交換器12cとを有している。
【0025】
(1)発電プラントの運転方法の詳細
次に、引き続き図1を参照し、第1実施形態の発電プラントの運転方法について、詳細に説明する。
【0026】
本実施形態の発電プラントは、図1に示すように、給水流量制御回路31と、給水流量補正回路32とを備えている。
【0027】
給水流量制御回路31は、ユニット出力指令に応じて、給水ポンプ4の給水量(流量)を制御する回路である。給水流量制御回路31は、例えば、給水量を増加させる旨のユニット出力指令を受信した場合、給水ポンプ4を制御して、蒸気発生器3に搬送する復水の給水量を増加させる。
【0028】
また、給水流量補正回路32は、熱媒体油温度計11からの信号に基づいて、給水ポンプ4の給水量を制御(補正)する回路である。給水流量補正回路32は、該信号が保持する熱媒体温度が規定値を超えた場合、給水ポンプ4の給水量を増加させる。これにより、蒸気発生器3内での単位時間あたりの熱交換量が増加するため、熱媒体油2の温度を低下させることができる。給水流量補正回路32は、本発明の制御器の例である。
【0029】
ここで、従来の発電プラントと、本実施形態の発電プラントとを比較する。
【0030】
従来の発電プラントでは、蓄熱容量や熱媒体温度の制限を越える余剰太陽熱が存在する場合、集熱鏡を傾けることにより、回収する太陽熱量を制限して、熱媒体温度が制限値を越えないよう対処する。しかしながら、この方法には、回収しない分の太陽熱が無駄になるという問題がある。
【0031】
一方、本実施形態の発電プラントでは、熱媒体温度が規定値を超えた場合、給水ポンプ4の給水量を増加させる。これにより、単位時間あたりに水が熱媒体油2から回収できる熱量が増加し、より多くの太陽熱を回収することが可能となる。よって、本実施形態によれば、蓄熱容量や熱媒体温度の制限を越える余剰太陽熱が存在する場合に、給水ポンプ4の給水量を増加させることで、このような余剰太陽熱を無駄にせず、回収することが可能となる。
【0032】
なお、本実施形態では、給水ポンプ4の給水量を増加させて、太陽熱の回収量を増加させると、蒸気の発生量が増加する。これにより、本実施形態では、発電機7の発電量が増加することとなる。このように、本実施形態では、余剰太陽熱を回収し、その熱量でより多くの発電を行うことで、発電プラント効率を高めることが可能となる。
【0033】
また、本実施形態には、集熱鏡1の角度を、最大熱量が回収される角度に常時維持できるという利点がある。理由は、余剰太陽熱が存在する場合に、従来の発電プラントでは、集熱鏡を傾けて熱媒体温度を下げる必要があるのに対し、本実施形態では、給水ポンプ4の給水量を増加させることで熱媒体温度を下げることができるため、集熱鏡1を傾ける必要がないからである。
【0034】
よって、本実施形態では、集熱鏡1の角度は、余剰太陽熱の有無にかかわらず、常に、最大熱量が回収される角度に維持される。本実施形態では、余剰太陽熱が存在する場合には、集熱鏡1の角度を、最大熱量が回収される角度に維持しつつ、給水ポンプ4の給水量を増加させる。
【0035】
(2)第1実施形態の効果
最後に、第1実施形態の効果について説明する。
【0036】
以上のように、本実施形態の発電プラントは、加熱された熱媒体油2の温度を測定し、温度の測定値を保持する信号を出力する熱媒体油温度計11と、該信号に基づいて、給水ポンプ4の給水量を制御する給水流量補正回路32とを備える。
【0037】
これにより、本実施形態では、蓄熱容量や熱媒体温度の制限を越える余剰太陽熱が存在する場合に、このような余剰太陽熱を回収することが可能となる。よって、本実施形態では、このような余剰太陽熱を回収し、その熱量でより多くの発電を行うことで、発電プラント効率を高めることが可能となる。
【0038】
なお、本実施形態では、余剰太陽熱が存在する場合に給水ポンプ4の給水量を増加させる関係上、余剰太陽熱が存在しない場合には、給水ポンプ4は、給水可能な最大給水量よりも少ない量の給水を行っている。この際、主蒸気流量が低下するため、主蒸気加減弁9は前圧を保持するため、絞り運用をすることとなる。この分プラント効率は低下するが、余剰太陽熱を回収して発電量を増やせるメリットの方が大きいと考えられる。なお、後述する第3実施形態の構成によれば、上記のデメリットは解消される。
【0039】
また、本実施形態の発電プラントは、1台の蒸気タービン6を備えているが、2台以上の蒸気タービン6を備えていてもよい。この場合、復水器10には、これらすべての蒸気タービン6を経由して排気された蒸気が供給される。
【0040】
以下、第1実施形態の変形例である第2から第7実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。図2〜図7において、図1と同一又は類似の構成については、図1と同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0041】
(第2実施形態)
図2は、第2実施形態の発電プラントの構成を示す概略的な系統図である。
【0042】
図2の発電プラントは、蒸気タービンとして、高圧タービン6aと、中圧タービン6bと、不図示の低圧タービンとを備えている。高圧タービン6aは、本発明における最上流蒸気タービンの例である。また、中圧タービン6bと低圧タービンは、最上流蒸気タービンよりも下流の蒸気タービンの例である。
【0043】
図2では、蒸気発生器3内で発生した蒸気が、主蒸気ライン21を経由して、高圧タービン6aに流入する。高圧タービン6aは、この蒸気により発電機7を駆動させる。
【0044】
高圧タービン6aから排気された蒸気は、湿分分離器13に流入する。そして、湿分分離器13は、この蒸気から湿分を分離してドレンを生成する。湿分が分離された蒸気は、蒸気発生器3にて再熱される。一方、湿分から得られたドレンは、ドレン加圧ポンプ16により、給水ライン5へと合流される。図2にはさらに、ドレンを復水器10に送るためのドレン弁17が示されている。
【0045】
そして、蒸気発生器3内で再熱された蒸気は、再熱蒸気ライン22を経由して、中圧タービン6bに流入する。中圧タービン6bは、この蒸気により発電機7を駆動させる。なお、再熱蒸気ライン22上には、再熱蒸気止弁14と、再熱蒸気加減弁15が設けられている。
【0046】
中圧タービン6bから排気された蒸気は、低圧タービン(不図示)等を経由した後、復水器10に流入し復水される。復水器10で発生した復水は、給水ポンプ4により、給水ライン5を経由して再び蒸気発生器3に搬送される。
【0047】
(1)発電プラントの運転方法の詳細
次に、引き続き図2を参照し、第2実施形態の発電プラントの運転方法について、詳細に説明する。
【0048】
本実施形態の発電プラントは、図2に示すように、給水流量制御回路31と、給水流量補正回路32とを備えている。
【0049】
給水流量制御回路31は、ユニット出力指令に応じて、給水ポンプ4の給水量を制御する回路である。第1実施形態と同様である。給水流量制御回路31は、例えば、給水量を増加させる旨のユニット出力指令を受信した場合、給水ポンプ4を制御して、蒸気発生器3に搬送する復水の給水量を増加させる。
【0050】
一方、給水流量補正回路32は、第1実施形態とは異なり、熱媒体油温度計11からの信号に基づいて、ドレン加圧ポンプ16の流量を制御する回路である。給水流量補正回路32は、該信号が保持する熱媒体温度が規定値を超えた場合、ドレン加圧ポンプ16の流量を増加させる。これにより、蒸気発生器3内での単位時間あたりの熱交換量が増加するため、熱媒体油2の温度を低下させることができる。即ち、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0051】
(2)第2実施形態の効果
最後に、第2実施形態の効果について説明する。
【0052】
以上のように、本実施形態の発電プラントは、加熱された熱媒体油2の温度を測定し、温度の測定値を保持する信号を出力する熱媒体油温度計11と、該信号に基づいて、ドレン加圧ポンプ16の流量を制御する給水流量補正回路32とを備える。
【0053】
これにより、本実施形態では、第1実施形態と同様、蓄熱容量や熱媒体温度の制限を越える余剰太陽熱が存在する場合に、このような余剰太陽熱を回収することが可能となる。よって、本実施形態では、第1実施形態と同様、このような余剰太陽熱を回収し、その熱量でより多くの発電を行うことで、発電プラント効率を高めることが可能となる。
【0054】
なお、本実施形態の発電プラントは、3台の蒸気タービンを備えているが、蒸気タービンの台数は、3台以外であっても構わない。例えば、本実施形態の発電プラントは、高圧タービンと低圧タービンの2台の蒸気タービンを備えていても構わない。
【0055】
(第3実施形態)
図3は、第3実施形態の発電プラントの構成を示す概略的な系統図である。
【0056】
図3の発電プラントは、図1の構成に加え、主蒸気ライン21から分岐して配置された過負荷弁18を備えている。過負荷弁18は、図3に示すように、主蒸気ライン21と、蒸気タービン6の最初段よりも後段とを接続している。過負荷弁18は、蒸気の流量を調整するための調整弁である。
【0057】
なお、主蒸気ライン21から過負荷弁18への分岐点は、主蒸気止弁8と主蒸気加減弁9との間に限るものではなく、主蒸気止弁8よりも上流又は主蒸気加減弁9よりも下流としても構わない。
【0058】
次に、給水流量補正回路32の動作について説明する。
【0059】
本実施形態の給水流量補正回路32は、熱媒体油温度計11からの信号に基づいて、給水ポンプ4の給水量と、過負荷弁18の開度を制御する。
【0060】
具体的には、給水流量補正回路32は、該信号が保持する熱媒体温度が規定値を超えた場合、給水ポンプ4の給水量を増加させる。加えて、給水流量補正回路32は、これと連動して過負荷弁18の開度を増加させ、余剰蒸気を蒸気タービン6の最初段以降に流入させる。なお、この連動とは、蒸気流量の増加分に見合うだけ、過負荷弁18の開度を増加させることを意味する。
【0061】
最後に、第3実施形態の効果について説明する。
【0062】
熱媒体温度に応じて給水ポンプ4の給水量を増加させる場合、蒸気タービン6の入口の圧力が増加することから、蒸気発生器3や蒸気タービン6を含む主蒸気ライン21の設計圧力を高める必要を生じる。主蒸気系統には一般に高級素材が用いられるため、設計圧力が高まると設備コストが大きく増加する可能性がある。
【0063】
そこで、本実施形態では、主蒸気ライン21の設計圧力の増加度合いを極力少なくするため、給水ポンプ4の給水量を増加させる場合には、適宜、過負荷弁18の開度を増加させて、給水ライン5上の余剰蒸気を蒸気タービン6の最初段以降に逃がす。これにより、本実施形態では、設備コストの増加を極力防ぎつつ、余剰太陽熱を回収し、発電プラント効率を高めることが可能となる。
【0064】
(第4実施形態)
図4は、第4実施形態の発電プラントの構成を示す概略的な系統図である。
【0065】
図4の発電プラントは、図2の構成に加え、主蒸気ライン21から分岐して配置された過負荷弁18を備えている。過負荷弁18は、図4に示すように、主蒸気ライン21と、高圧タービン6aの最初段よりも後段とを接続している。過負荷弁18は、第3実施形態と同様、蒸気の流量を調整するための調整弁である。
【0066】
次に、給水流量補正回路32の動作について説明する。
【0067】
本実施形態の給水流量補正回路32は、熱媒体油温度計11からの信号に基づいて、ドレン加圧ポンプ16の流量と、過負荷弁18の開度を制御する。
【0068】
具体的には、給水流量補正回路32は、該信号が保持する熱媒体温度が規定値を超えた場合、ドレン加圧ポンプ16の流量を増加させる。加えて、給水流量補正回路32は、これと連動して過負荷弁18の開度を増加させ、余剰蒸気を高圧タービン6aの最初段以降に流入させる。
【0069】
最後に、第4実施形態の効果について説明する。
【0070】
熱媒体温度に応じてドレン加圧ポンプ16の流量を増加させる場合、高圧タービン6aの入口圧力が増加することから、蒸気発生器3や高圧タービン6aを含む主蒸気ライン21の設計圧力を高める必要を生じる。主蒸気ライン21には一般に高級素材が用いられるため、設計圧力が高まると設備コストが大きく増加する可能性がある。
【0071】
そこで、本実施形態では、主蒸気ライン21の設計圧力の増加度合いを極力少なくするため、ドレン加圧ポンプ16の流量を増加させる場合には、適宜、過負荷弁18の開度を増加させて、給水ライン5上の余剰蒸気を高圧タービン6aの最初段以降に逃がす。これにより、本実施形態では、設備コストの増加を極力防ぎつつ、余剰太陽熱を回収し、発電プラント効率を高めることが可能となる。
【0072】
(第5実施形態)
図5は、第5実施形態の発電プラントの構成を示す概略的な系統図である。
【0073】
図5の発電プラントは、図2の構成に加え、主蒸気ライン21から分岐して配置された過負荷弁18を備えている。過負荷弁18は、図5に示すように、主蒸気ライン21と、中圧タービン6bの入口とを接続している。過負荷弁18は、第3、第4実施形態と同様、蒸気の流量を調整するための調整弁である。なお、給水流量補正回路32の動作は、第4実施形態と同様である。
【0074】
最後に、第5実施形態の効果について説明する。
【0075】
熱媒体温度に応じてドレン加圧ポンプ16の流量を増加させる場合、高圧タービン6aの入口圧力が増加することから、蒸気発生器3や高圧タービン6aを含む主蒸気ライン21の設計圧力を高める必要を生じる。主蒸気ライン21には一般に高級素材が用いられるため、設計圧力が高まると設備コストが大きく増加する可能性がある。
【0076】
そこで、本実施形態では、ドレン加圧ポンプ16の流量を増加させる場合には、適宜、過負荷弁18の開度を増加させて、給水ライン5上の余剰蒸気を中圧タービン6bに逃がす。これにより、本実施形態では、第2、第3実施形態に比べ主蒸気ライン21の設計圧力の増加度合いをさらに抑えつつ、余剰太陽熱を回収し、発電プラント効率を高めることが可能となる。
【0077】
また、第4実施形態では、給水ライン5上の余剰蒸気を高圧タービン6aの最初段以降に逃がすのに対し、第5実施形態では、これを再熱蒸気ライン22に逃がす。このため、高圧タービン6aに余剰蒸気を注入するための注入口を設ける必要がなく、製造工程の複雑化の防止も期待できる。
【0078】
なお、第5実施形態では、給水ライン5上の余剰蒸気を、低圧タービンの入口に逃がすようにしても構わない。
【0079】
(第6実施形態)
図6は、第6実施形態の発電プラントの構成を示す概略的な系統図である。
【0080】
図6の発電プラントは、図1の構成に加え、蒸気タービン6から抽気された蒸気により復水を加熱する給水加熱器20を備えている。これにより、本実施形態では、蒸気タービンサイクル効率を高めることが可能となる。給水加熱器20は、図6に示すように、給水ライン5上に設置されている。
【0081】
また、図6の発電プラントは、主蒸気ライン21から分岐して配置された主蒸気バイパス弁19を備えている。主蒸気バイパス弁19は、図6に示すように、主蒸気ライン21と、抽気蒸気を流入させるための給水加熱器20の入口とを接続している。主蒸気バイパス弁19は、蒸気の流量を調整するための調整弁である。
【0082】
なお、主蒸気ライン21から主蒸気バイパス弁19への分岐点は、主蒸気止弁8と主蒸気加減弁9との間に限るものではなく、主蒸気止弁8よりも上流又は主蒸気加減弁9よりも下流としても構わない。
【0083】
また、主蒸気バイパス弁19からの蒸気と、蒸気タービン6からの抽気蒸気との合流地点は、給水加熱器20の入口よりも上流の抽気蒸気ライン上に限るものではなく、給水加熱器18の入口にあってもよい。即ち、主蒸気バイパス弁19からの蒸気は、給水加熱器20に直接流入させてもよい。
【0084】
次に、給水流量補正回路32の動作について説明する。
【0085】
本実施形態の給水流量補正回路32は、熱媒体油温度計11からの信号に基づいて、給水ポンプ4の給水量と、主蒸気バイパス弁19の開度を制御する。
【0086】
具体的には、給水流量補正回路32は、該信号が保持する熱媒体温度が規定値を超えた場合、給水ポンプ4の給水量を増加させる。加えて、給水流量補正回路32は、これと連動して主蒸気バイパス弁19の開度を増加させ、余剰蒸気を給水加熱器20内に流入させる。なお、この連動とは、蒸気流量の増加分に見合うだけ、主蒸気バイパス弁19の開度を増加させることを意味する。
【0087】
最後に、第6実施形態の効果について説明する。
【0088】
熱媒体温度に応じて給水ポンプ4の給水量を増加させる場合、蒸気発生器3や蒸気タービン6を含む主蒸気ライン21の設計圧力を高める必要を生じ、設備コストが増加する。第3〜第5実施形態と同様である。
【0089】
そこで、本実施形態では、主蒸気ライン21の設計圧力の増加を防止するため、給水ポンプ4の給水量を増加させる場合には、適宜、主蒸気バイパス弁19の開度を増加させて、給水ライン5上の余剰蒸気を給水加熱器20に逃がす。これにより、本実施形態では、設備コストの増加を防ぎつつ、余剰太陽熱を回収し、発電プラント効率を高めることが可能となる。
【0090】
また、本実施形態では、余剰蒸気の熱を、給水加熱器20にて復水の加熱用に使用するため、第1実施形態に比べ、蒸気タービンサイクル効率を高めることが可能となる。
【0091】
(第7実施形態)
図7は、第7実施形態の発電プラントの構成を示す概略的な系統図である。
【0092】
図7の発電プラントは、図2の構成に加え、高圧タービン6aから抽気された蒸気により復水を加熱する給水加熱器20を備えている。これにより、本実施形態では、第6実施形態と同様、蒸気タービンサイクル効率を高めることが可能となる。給水加熱器20は、図7に示すように、給水ライン5上に設置されている。
【0093】
また、図7の発電プラントは、第6実施形態と同様、主蒸気ライン21から分岐して配置された主蒸気バイパス弁19を備えている。主蒸気バイパス弁19は、図7に示すように、主蒸気ライン21と、抽気蒸気を流入させるための給水加熱器20の入口とを接続している。主蒸気バイパス弁19は、蒸気の流量を調整するための調整弁である。
【0094】
次に、給水流量補正回路32の動作について説明する。
【0095】
本実施形態の給水流量補正回路32は、熱媒体油温度計11からの信号に基づいて、ドレン加圧ポンプ16の流量と、主蒸気バイパス弁19の開度を制御する。
【0096】
具体的には、給水流量補正回路32は、該信号が保持する熱媒体温度が規定値を超えた場合、ドレン加圧ポンプ16の流量を増加させる。加えて、給水流量補正回路32は、これと連動して主蒸気バイパス弁19の開度を増加させ、余剰蒸気を給水加熱器20内に流入させる。
【0097】
最後に、第7実施形態の効果について説明する。
【0098】
熱媒体温度に応じてドレン加圧ポンプ16の流量を増加させる場合、蒸気発生器3や高圧タービン6aを含む主蒸気ライン21の設計圧力を高める必要を生じ、設備コストが増加する。第3〜第6実施形態と同様である。
【0099】
そこで、本実施形態では、主蒸気ライン21の設計圧力の増加を防止するため、ドレン加圧ポンプ16の流量を増加させる場合には、適宜、主蒸気バイパス弁19の開度を増加させて、給水ライン5上の余剰蒸気を給水加熱器20に逃がす。これにより、本実施形態では、設備コストの増加を防ぎつつ、余剰太陽熱を回収し、発電プラント効率を高めることが可能となる。
【0100】
また、本実施形態では、余剰蒸気の熱を、給水加熱器20にて復水の加熱用に使用するため、第2実施形態に比べ、蒸気タービンサイクル効率を高めることが可能となる。
【0101】
以上、本発明の具体的な態様の例を、第1から第7実施形態により説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0102】
1:集熱鏡、2:熱媒体油、3:蒸気発生器、4:給水ポンプ、5:給水ライン、
6:蒸気タービン、6a:高圧タービン、6b:中圧タービン、7:発電機、
8:主蒸気止弁、9:主蒸気加減弁、10:復水器、11:熱媒体油温度計、
12:蓄熱槽、12a:高温槽、12b:低温槽、12c:熱交換器、
13:湿分分離器、14:再熱蒸気止弁、15:再熱蒸気加減弁、
16:ドレン加圧ポンプ、17:ドレン弁、18:過負荷弁、
19:主蒸気バイパス弁、20:給水加熱器、
21:主蒸気ライン、22:再熱蒸気ライン、
31:給水流量制御回路、32:給水流量補正回路、41:鏡面角度制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽熱を集熱して熱媒体流体を加熱する集熱器と、
前記熱媒体流体と水との間で熱交換を行い蒸気を発生させる蒸気発生器と、
前記蒸気発生器からの蒸気により発電機を駆動させる蒸気タービンと、
前記蒸気タービンを経由して排気された蒸気を復水する復水器と、
前記復水器で発生した復水、又はいずれかの前記蒸気タービンから排気された蒸気から分離されたドレン、を搬送するためのポンプと、
前記集熱器により加熱された前記熱媒体流体の温度を測定し、前記温度の測定値を保持する信号を出力する測定器と、
前記測定器からの前記信号に基づいて、前記ポンプの流量を制御する制御器と、
を備える発電プラント。
【請求項2】
前記ポンプは、前記復水を前記蒸気発生器に搬送するための給水ポンプである、請求項1に記載の発電プラント。
【請求項3】
さらに、前記蒸気タービンから排気された蒸気から湿分を分離して、前記ドレンを生成する湿分分離器を備え、
前記ポンプは、前記ドレンを前記復水に合流させるためのドレン加圧ポンプである、請求項1に記載の発電プラント。
【請求項4】
さらに、前記蒸気発生器からの蒸気を前記蒸気タービンに搬送する蒸気流路と、前記蒸気タービンを構成する最上流蒸気タービンの最初段よりも後段と、を接続する過負荷弁を備え、
前記制御器は、前記測定器からの前記信号に基づいて、前記ポンプの流量と、前記過負荷弁とを制御する、請求項1から3のいずれか1項に記載の発電プラント。
【請求項5】
さらに、前記蒸気発生器からの蒸気を前記蒸気タービンに搬送する蒸気流路と、前記蒸気タービンを構成する最上流蒸気タービンよりも下流の蒸気タービンと、を接続する過負荷弁を備え、
前記制御器は、前記測定器からの前記信号に基づいて、前記ポンプの流量と、前記過負荷弁とを制御する、請求項1から3のいずれか1項に記載の発電プラント。
【請求項6】
さらに、
前記蒸気タービンから抽気された蒸気により前記復水を加熱する給水加熱器と、
前記蒸気発生器からの蒸気を前記蒸気タービンに搬送する蒸気流路と、前記蒸気タービンから抽気された蒸気を流入させるための前記給水加熱器の入口と、を接続するバイパス弁とを備え、
前記制御器は、前記測定器からの前記信号に基づいて、前記ポンプの流量と、前記バイパス弁とを制御する、請求項1から3のいずれか1項に記載の発電プラント。
【請求項7】
太陽熱を集熱して熱媒体流体を加熱する集熱器を構成する集熱鏡の角度を、最大熱量が回収される角度に制御し、
前記集熱鏡の角度を、前記最大熱量が回収される角度に維持しつつ、前記集熱器により加熱された前記熱媒体流体の温度を測定し、
前記温度の測定値を保持する信号を出力する測定器からの前記信号に基づいて、前記ポンプの流量を制御する制御器により、前記ポンプの流量を制御する
ことを特徴する発電プラントの運転方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−11252(P2013−11252A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145826(P2011−145826)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】