説明

発電機

【課題】 航空機の二重反転ターボプロップ構成に関する場合等の幾つかの場合では、ブレードのピッチを変化させること及び/又は氷結防止設備を提供することが望ましい。有利には、これらのブレードピッチ設備及び氷結防止設備は、電気的アクチュエータにより提供できる。残念なことに、従来、このような回転構成要素に電力を提供するには、磨耗が加わるスリップリングを使用することが必要とされていた。
【解決手段】 発電機部分を夫々備えた第1ハブ及び第2ハブを含む自蔵式発電機を提供することによって、相対的移動を発生するため永久磁石と向き合ったコイルに電力を発生するために二重反転の性質を使用できる。電気的接続部の摺動接触が回避されると同時に、ハブが形成する回転基準系内で電力を発生できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発電機に関し、更に詳細には航空機用二重反転オープンロータ推進システムに関して使用される発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
オープンロータエンジン及びターボプロップガスタービンエンジンを含む航空機用の多くの推進システムが周知である。このようなシステムでは、ブレードがハブに設けられており、回転及び従って推進力を発生するため、駆動力が適当なシャフトを介して与えられる。代表的には、ブレードにはピッチ変化機構が設けられており、これによって推進効果を最大にするようにブレードの角度を変化させることができる。更に、形成される氷を除去し、これによってブレードの推進性を変化するため、各ブレードに氷結防止設備を設けることが周知である。
【0003】
一般的には、各ブレードのピッチ変化機構を作動させ且つ変更させる力を提供するため、機械式カップリングを使用する。このような場合には、一般的には、スラストプレートを回転し、ロッド及び他の機械的構成要素を作動する複雑な構成を使用し、力をエンジンナセルのアクチュエータから回転基準系を提供するブレードシステムに伝達する。
【0004】
ピッチ調節機構を駆動するため、並びに氷結防止設備に電力を提供するため、電気的アクチュエータを使用する場合には電力を発生することが必要とされる。更に最近になって、二重反転多ブレードプロペラを提供することが知られている。このような場合には、夫々のハブ部分に逆方向に回転する二組のブレードが設けられている。発電を行うための機械的設計をエンジン設計に一体化するのは困難である。
【0005】
ブレードアッセンブリと同じ回転基準系に電動式ピッチ作動機構を取り付けることにより、設置が比較的容易であり且つ融通性が大きいコンパクトで制御可能な構成を使用して制御を行うことができるということは理解されよう。ピッチアクチュエータは、ハブそれ自体に設けられていてもよいし、エンジン内深くに埋設されていてもよい。このような電動式アクチュエータを指示されたように可能にするため、回転基準系内に、即ち、ブレードアッセンブリに電力を提供するのが望ましい。このような発電は、航空機の主電気システムによるような固定基準系で行ってもよいし、回転基準系それ自体で行ってもよい。発電が固定基準系で行われる場合には、電力を固定基準系から回転基準系(ブレードハブ)に伝達する必要がある。このような伝達それ自体が、スリップリング及びブラシシステムの使用を必要とすることに関し更なる問題点を生じる。電気的接続が、回転する金属製リングに当接する固定カーボンブラシ又は同様なベアリングで行われる場合、又はその逆の構成で行われる場合、機械的磨耗が作用する。この機械的磨耗は、回転速度及び作動の持続時間と比例する。このように磨耗するため、頻繁な保守を必要とし、そのため、スケジュールが定められた保守手順間の間隔を所望の通りにできない。更に、スリップリング接続部へのアクセスは困難であり、保守を可能にするためにエンジン全体を部分的に取り外す必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の特徴によれば、発電機構成を組み込んだ二重反転ロータを含むガスタービンエンジンが提供される。ロータは、使用時に第1発電機部分を第2発電機部分に対して移動するように構成されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発電機のロータは、使用時に逆方向に回転するように構成された第1ハブ及び第2ハブを含み、これらのハブは所定の隙間を置いて離間されており、第1ハブには第1発電機部分が設けられており、第2ハブには第2発電機部分が設けられており、第1ハブの第1発電機部分及び第2ハブの第2発電機部分は、隙間を挟んで向き合っている、ことを特徴とする。
【0008】
一般的には、第2発電機部分は磁石であり、第1発電機部分は電気コイルである。一般的には、第2発電機部分は複数の永久磁石である。
【0009】
一般的には、回転ハブの各ハブ半部は、複数の発電機部分を含む。発電機部分は、各第1発電機部分及び各第2発電機部分を含み、各第1発電機部分及び各第2発電機部分は隙間を挟んで向き合っており、全ての第1発電機部分が第1ハブに設けられ、全ての第2発電機部分をが第1ハブに設けることができる。別の態様では、発電機部分は、複数対の発電機部分を備え、複数対の発電機部分は、第1発電機部分と第2発電機部分とを隙間を挟んで向き合って配置することによって構成することができ、第1ハブの第1発電機部分又は第2発電機部分のいずれかが、第2ハブの第1発電機部分又は第2発電機部分の夫々と向き合わせることができる。
【0010】
一般的には、同じハブの変圧器部分は互いに同心であり、ロータの第1ハブ及び第2ハブの夫々において、第1発電機部分及び第2発電機部分の夫々が互いに向き合っている。
【0011】
代表的には、発電機部分は、第1ハブ及び第2ハブの全周に亘って又はその一部に亘って設けられている。
【0012】
使用時に隙間を変化させることができる隙間アジャスタを設けることもできる。
【0013】
各ハブは、発電機部分に関して同じとすることができる。
【0014】
前記発電機の構成は、複数の電気的負荷と関連している。負荷は、ガスタービンエンジン用のブレードピッチ用アクチュエータ又はガスタービンエンジン用の氷結防止機構に関連づけることができる。代表的には、電気的負荷間の切り換えを行うため、スイッチが設けられている。
【0015】
前記発電機の構成は、電力調整器機構と関連づけることもできる。代表的には、電力調整器機構には、整流器及び/又は電力安定化手段が設けられている。
【0016】
ハブは、駆動機構によって別々に駆動することができる。別の態様では、ハブは、被駆動部材と関連しており、この被駆動部材は、ハブの夫々の変圧器部分と向き合った変圧器部材の一方又は両方を含む。
【0017】
ハブの一方は、シャフト又はロータを備えることができ、他方のハブは、シャフト又はロータを中心として回転するように構成することもできる。
【0018】
本発明の特徴は、更に、上文中に説明した発電機を含むエンジン又は航空機に関する。
【0019】
次に、本発明の特徴の実施例を例として、添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、ツインスプールド二重反転プロペラガスタービンエンジンの概略断面図である。
【図2】図2は、本発明の特徴による発電機の第1実施例の概略図である。
【図3】図3は、図1に示す本発明の特徴の実施例によるハブ半部の発電機部分を示す概略部分断面図である。
【図4】図4は、本発明の特徴による発電機の第2実施例の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の特徴は、ハブの形態の回転基準系で電力を発生するための手段を提供する。このような場合には、電力を固定発電機から回転基準系に伝送する必要がない。こうしたアプローチにより、スリップリングの必要をなくし、従って、保守性、信頼性、及び作動持続性を大幅に改善する。
【0022】
本発明の特徴は、所定の隙間を間に置いて密接して配置したハブ半部の形態の二重反転エレメントが発生する比較的高い速度差を使用する。これらの二重反転エレメントは、夫々、代表的には、オープンロータ即ち航空機用ターボプロップ推進システムに関して使用される第1ハブ半分及び第2ハブ半分である。
【0023】
図1を参照すると、ツインスプールド二重反転プロペラガスタービンエンジンの全体に参照番号10が付してあり、このエンジンは、主軸線即ち回転軸線9を持つ。エンジン10はコアエンジン11を含み、このコアエンジンは、軸流方向で、空気取入口12、中圧コンプレッサ14(IPC)、高圧コンプレッサ15(HPC)、燃焼器16、高圧タービン17(HPT)、低圧タービン18(IPT)、出力タービン19(LPT)、及びコア排気ノズル20を直列に備えている。ナセル21がコアエンジン11全体を取り囲んでおり、空気取入口12、ノズル20、及びコア排気ダクト22を形成する。エンジン10は、更に、出力タービン19に取り付けられており且つこの出力タービンによって駆動される二つの二重反転プロペラ23、24を含む。これらのプロペラは、二重反転ブレーキアレイ25、26を含み、これらのアレイは夫々のハブ27、28に取り付けられている。
【0024】
ガスタービンエンジン10は、従来の方法で作動し、空気取入口12に進入した空気がIPC14によって加速され且つ圧縮され、HPC15に差し向けられ、ここで更に圧縮される。HPC15から排出された圧縮空気は、燃焼器16に差し向けられ、ここで燃料と混合され、混合物を燃焼する。次いで、結果的に発生した高温の燃焼生成物が膨張し、これによって、ノズル20を通して排出される前に、高圧タービン17、低圧タービン18、及び出力タービン19を駆動し、推力を提供する。高圧タービン17、低圧タービン18、及び出力タービン19は、夫々、高圧コンプレッサ15、中圧コンプレッサ14、及びプロペラ23、24を適当な相互連結シャフトによって駆動する。プロペラ23、24は、通常は、推力の大部分を提供する。
【0025】
図2は、本発明の第1実施例による発電機100の概略図である。発電機100は、第1ハブ33及び第2ハブ34を持つロータハブ32を含む。使用では、夫々の半部33、34は、矢印36、37で示すように逆方向に回転する。これらのハブ33、34の回転は、適当な駆動機構によって行われ、代表的には、共通のシャフト又は軸線9を中心として回転する。これらの半部33、34の間には隙間8が設けられており、これにより、矢印36、37で示す方向に別々に回転できる。
【0026】
この実施例では、発電機100は、図1の二重反転プロペラガスタービンエンジン10に組み込んである。ロータハブ32は、二重反転タービン19の部分として形成されており、二重反転ハブ27、28は、発電機100の第1ハブ33及び第2ハブ34を備えている。
【0027】
夫々の半部33、34の向き合った表面には、第1発電機コイル部分110及び第2発電機磁石部分111が設けられている。以下に説明するように、第1発電機部分及び第2発電機部分の夫々は、電力を発生するための磁石及びコイルを含む発電機部分対を形成する。しかしながら、本発明の特徴による基本的形態として、第1発電機部分110及び第2発電機部分111を含む単一の発電機対が設けられていてもよいということは理解されよう。図示のように、部分110、111は、各ハブ33、34に実質的に同心に配置されている。それによって、使用時に、これらのハブ33、34が互いに対して二重反転するとき、これらのハブ33、34の向き合った第1部分110及び第2部分111の夫々の間に相互作用があるようになされる。ターボプロップ推進機構に関して使用されるブレードピッチ変更アクチュエータ及び/又は氷結防止器(防氷または除氷装置)機能等の負荷に関して使用するための電力を発生するのは、この二重反転及び従って電磁的相互作用である。
【0028】
部分110、111間を適当に電磁的に結合し、相互作用し、電力を上文中に説明したように発生するため、ハブ33、34間に隙間8が設定される。隙間8は、使用時に変圧器部分110、111間の電磁的相互作用の程度を減少することによって、発生する電力を変化するため、場合によっては可変であってもよい。
【0029】
一般的には、第1発電機部分110は、図示のように、ハブ33、34の周囲(又は周縁部)に亘って適当な位置に設けられた電気コイルを備えている。第2発電機部分111は磁石を備え、使用時に電磁石で使用するための電力結合(power coupling)をなくすため、最も代表的には、永久磁石を備えている。しかしながら、このような電力結合が可能である場合には、磁石4は電磁石であってもよく、又は使用時に電磁石111に電力を提供するため、発電機100内にバッテリーを設けてもよい。これらのバッテリーは、ハブが静止しているときに充電できる。しかしながら、このような方法は、スリップリング等の電気的カップリングを必要とせずに、ロータ32が形成する回転基準系内に自給式の(又は自蔵式の)発電機を提供するという目的に全体として反している。別の方法は、電磁石を使用し、永久磁石が発生する磁界を強化(積極的に又は消極的に)し、発生する電圧に対して追加の制御を提供することである。この構成では、電磁石の初期賦勢を永久磁石の発電力を使用して行ってもよい。その結果、電圧が発生し、電磁界が発生できる。
【0030】
電力を発生するのは、第1発電機部分と第2発電機部分との間の相互作用である。図3は、図2に示す構成1の概略部分断面図を提供する。発電機部分110、111は、適当なファスナ(締付け具)120、121によって頑丈に固定されており、これによって、使用時に、ハブ33、34が高速回転するにも拘らず、これらの発電機部分110、111は、間に隙間8を置いて互いに向き合って適切に配置されている。このような場合には、ハブ33、34の相対的回転により、破線122、123の夫々が示す電磁的相互作用が発生される。このような場合には、第1発電機部分110が形成するコイルに起電力が誘導される。これらのコイルは、電線によって、ブレードピッチアクチュエータや氷結防止機構等の電気的負荷に接続されている。
【0031】
隙間8の幅は、発生する電力に関して重要であるということは理解されよう。おそらくは、隙間は10mm程度である。隙間8が小さければ小さいほど、電磁的相互作用が大きいが、関連したブレードによりハブ33、34に及ぼされる負荷によるハブ33、34の回転偏心を考慮するため、適正な大きさの隙間8が必要とされるということは明らかである。場合によっては、適当な隙間アジャスタ(図示せず)によって隙間8の幅を変化させてもよい。このような方法により、電磁的相互作用122、123を変化させることができ、及び従って、変圧器部分110が形成するコイル内での電力発生効率を変化させることができる。
【0032】
一般的には、ハブ33、34には、図示のように、夫々の発電機部分対が組み込んであり、各ハブ33、34に第1部分110が、及び各ハブ33、34に第2部分111が設けられている。
【0033】
一般的には、各ハブ33、34は第1発電機部分110及び第2発電機部分111が設けられていることに関して実質的に同じである。夫々の発電機部分110、111を横切る回転により電力を発生するので、これらの発電機部分110、111の数及び分布が、発生される電力を決定するということは理解されよう。代表的には、図示のように、夫々のハブ33、34の各々は、ハブ33、34の周囲(又は周縁部)に亘ってリング状に又は部分的にリング状に配置された複数の第1発電機部分110及び第2発電機部分111を含む。一般的には、コイルの形態の第1発電機部分及び磁石の形態の第2発電機部分は、磁石(第2発電機部分111)が夫々のハブ33、34の各々のコイル(第1発電機部分110)と係合した状態に保持されるように密接して連結されるように、又はその逆も同様に、配置されることが重要である。このように密接して関連することにより、ハブ33、34の回転差により各回転ハブのコイルに起電力が誘導される。これは、磁石が夫々のコイルを横切って移動するためである。
【0034】
発電機100を上文中に説明したように形成することによって、ロータ32が形成する回転基準系内に実質的に自給式の又は自蔵式の発電機が形成される。このような場合には、定置の即ち静止した発電機からスリップリングを通して電気的接続を提供する必要がない。
【0035】
明らかに、本発明の特徴による発電機の受け入れに関し、空間が重要なファクタである。適切な分析によれば、代表的なターボプロップ構成又は二重反転構成内で500Kw程度の発電機能力を二つのハブ33、34間に設けることができる。しかしながら、代表的には、ピッチ変化駆動機構又はアクチュエータ及び/又は電気式ブレード氷結防止システムを提供するためには、50Kw乃至60Kw程度の電力を発生することしか必要とされない。このように要求が低いため、必要なコイルの数を制限でき、従って、本発明による発電機の質量及び/又は容積を制限できる。
【0036】
本発明の第1実施例と同様に、図4に示す第2実施例は、図1の二重反転プロペラガスタービンエンジン10に組み込んだ発電機100を備えている。ロータ32は、一例として、二重反転タービン19の部分として形成されており、この場合、二重反転ハブ27、28は、発電機100の第1ハブ43及び第2ハブ44を備えている。
【0037】
図4は、発電機31に関する本発明の第2実施例を正面から見た概略斜視図である。この発電機31では、ハブ43、44の夫々が矢印36、37で示すように逆方向に回転する。ハブ43、44間には隙間8が設けられており、ハブ43、44の夫々の向き合った表面に、第1発電機部分40及び第2発電機部分41が組み込んである。これらの発電機部分は、ハブ43、44の周囲(又は周縁部)に亘って配置されている。第2発電機部分41は環状に又はリング状に設けられているが、第1発電機部分40の形態のコイルは、ハブ43、44の周囲面又は周縁部面の一部分にしか設けられていないということに着目されたい。このような場合には、発生される電力は、上文中に説明したように、必要な程度にまで減少されるが、更に詳細には、本発明のこの特徴によれば、第1発電機部分40で不要なコイルの重量を避けることができる。上述の他の作動に関し、ハブ43、44は、代表的には、シャフト又は共通の軸線9を中心として逆方向に回転する。このような場合には、上文中に図2及び図3に関して説明したのと同様に作動する。
【0038】
上述のように、本発明の特徴による発電機の性能を、効果的な自蔵式(自給式)独立型発電機システムの潜在的負荷と適合させることにより、質量及び容積を最小にすることに関して利点が得られる。このような場合には、発電機に加わる代表的な負荷を考慮する。これらの負荷は、上文中に説明したように、特にピッチ変化機構及び氷結防止機構に関する。発電機に必要な電気的性能は、加わる可能性のある全ての潜在的負荷を合計することによって決定できる。このような方法により、明らかに、多くの作動段階及び作動期間に亘り、必要とされる性能よりもかなり大きい性能を持つ発電機を形成できる。自然不等率(natural diversity factor)、熱勾配、及び熱慣性の使用上の配慮を最適化するため、負荷の間で切り換えを行うことができる。例えば、上述のように、一つの負荷は氷結防止に関し、従って、ピッチ変化アクチュエータを作動する場合にこのような氷結防止機能を切ることができる。各ブレードについての所望のピッチが得られた後、氷結防止機能を再開する。このような方法は、機能上の目的を満たすと同時に安全が損なわれないように、このような負荷のバランスを監視する適当な制御装置を使用することを必要とする。
【0039】
本発明の特徴による発電機のコイルからの電気的出力は、交流であるということは理解されよう。しかしながら、作動中、代表的には、夫々のハブ半部の間の回転速度は、一定ではない。これは、代表的には、二重反転ターボプロップ構成に関する各飛行状態について最適化速度が異なるためである。これらの速度変化は、明らかに、交流出力の周波数を変化させ、更に、好ましい実施例では永久磁石を介して励起が行われるため、出力電圧が作動速度に関して変化する。このような場合には、一般的には、本発明の特徴によれば、関連した制御装置及びシステムと共にピッチ変化アクチュエータや氷結防止機構等の負荷に、適切な(又は十分な)安定した電力供給が提供されるように、整流や電圧安定化などのため適切な電力調整設備が、発電機には組み込まれる。
【0040】
本発明の特徴によれば、内部で電力を発生できる発電機が航空機用二重反転推進システムの回転ハブ内に自蔵式又は自給式に設けられるということは理解されよう。発電機は、全体が独立して構成でき、また、ソリッドステート構成要素から形成でき、従って可動部分がない。磨耗を生じる軟質又は柔軟なの可動部分をなくすことにより、信頼性が向上するということは理解されよう。前記部分が回転基準系内で回転するとしても、これらの部分は、発電機の他の部分に関して定置(静的又は定位)である。本発明の特徴により、摺動接触を使用しなくても済むということは理解されよう。摺動接触は、それ自体、使用中に磨耗し、定期的に保守を行う必要がある。
【0041】
本発明の特徴による発電機は、多数の永久磁石を使用して独立した電気コイルを励起するため、非常に故障し難く、及び従って信頼性が高い電源であるということは理解されよう。
【0042】
上文中に説明した例において航空機用推進システムに関して説明したが、本発明の特徴は、発電機の作動速度を効果的に二倍にするため、逆方向に回転するエレメント間で速度差が発生する他の装置や設備に関して使用してもよいということもまた理解されよう。
【0043】
本発明の特徴による発電機部分間で必要とされる相対的移動及び相互作用を提供するため、二つの別々のエレメントと共通の第3エレメント例えばシャフトとの間に存在する移動の差を使用してもよいということは理解されよう。例えば、シャフトが5000rpm程度の高速で回転する場合、シャフトが永久磁石を支持し、回転ハブが電力を発生するためのコイルを支持するようにしてもよい。これらのハブは、電力変換デバイスが組み込んであってもよく、低速で互いに対して逆方向に駆動されてもよい。このようにして、比較的低速で回転する一方のハブ半部としてのハブと、比較的高速で回転する他方のハブ半部としての駆動シャフトとの間の相対速度により、こうした構成を他の機械装置に埋設することが必要とされる場合でも、所与の発電要求について更にコンパクトな設計が可能になる。
【0044】
本発明の特徴に対する変形及び変更は、当業者には明らかになるであろう。このような場合には、上文中に説明したように、本発明の特徴による第1発電機部分として使用されるコイルは、ハブ半部の周囲の一部だけで作動するように配置されていてもよい。それにも関わらず、本発明の特徴による発電機が発生した電力値を変化させるため、コイルセグメントを電気的に切り換えて作動状態にするように、幾つかのセグメントを適当な対をなして形成してもよい。更に、相互作用を調節するため、また、電力の発生を調節するため、発電機部分具体的には磁石により形成される第2発電機部分を、第1発電機部分に対して横方向に変位するための手段を設けてもよい。作動するセグメントの数は、ハブの回転速度と関連した遠心スイッチで決まる。
【0045】
図1に示すように、本発明は、特に、二重反転ロータを持つガスタービンエンジン、この例示の場合にはオープンロータ又はプロペラエンジンに適用できる。それにも関わらず、ガスタービン(航空機用、産業用、車輛用、又は船舶用)の他の二重反転コンプレッサ及びタービンが、本発明の発電機100を備えることもできる。
【符号の説明】
【0046】
8 隙間
9 主軸線即ち回転軸線
10 ツインスプールド二重反転プロペラガスタービンエンジン
11 コアエンジン
12 空気取入口
14 中圧コンプレッサ
15 高圧コンプレッサ
16 燃焼器
17 高圧タービン
18 低圧タービン
19 出力タービン
20 コア排気ノズル
21 ナセル
22 コア排気ダクト
23、24 二重反転プロペラ
25、26 二重反転ブレーキアレイ
27、28 ハブ
32 ロータハブ
33 第1ハブ
34 第2ハブ
100 発電機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンエンジンであって、
前記ガスタービンエンジンは、発電機を組み込んだ二重反転ロータを備え、
前記二重反転ロータは、使用時に、第1発電機部分を第2発電機部分に対して移動するように構成されており、
前記二重反転ロータは、使用時に逆方向に回転するように構成された第1ハブ及び第2ハブを備え、これらのハブの間には隙間があり、
前記第1発電機部分は前記第1ハブに設けられており、
前記第2発電機部分は前記第2ハブに設けられており、前記第2発電機部分は、前記隙間を挟んで前記第1発電機部分と向き合うように配置されている、ガスタービンエンジン。
【請求項2】
請求項1に記載のガスタービンエンジンにおいて、
前記第2発電機部分は磁石であり、前記第1発電機部分は電気コイルである、ガスタービンエンジン。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のガスタービンエンジンにおいて、
前記第2変圧器部分は、複数の永久磁石である、ガスタービンエンジン。
【請求項4】
請求項1に記載のガスタービンエンジンにおいて、
前記回転ハブの各ハブは、複数の発電機部分を含む、ガスタービンエンジン。
【請求項5】
請求項4に記載のガスタービンエンジンにおいて、
前記発電機部分は、前記隙間を横切って配置された各第1発電機部分及び各第2発電機部分を含み、
全ての第1発電機部分が第1ハブに設けられており、全ての第2発電機部分が第2ハブに設けられている、ガスタービンエンジン。
【請求項6】
請求項4に記載のガスタービンエンジンにおいて、
前記発電機部分は、第1発電機部分と第2発電機部分とを隙間を挟んで向き合って配置した発電機部分の対を含み、
前記第1ハブの前記第1発電機部分又は前記第2発電機部分のいずれかが、前記第2ハブのうち関連する前記第1発電機部分又は前記第2発電機部分と向き合っている、ガスタービンエンジン。
【請求項7】
請求項4又は請求項4に従属する請求項に記載のガスタービンエンジンにおいて、
同じハブの前記発電機部分は互いに同心であり、
前記ロータの前記第1ハブ及び前記第2ハブの夫々において、前記第1発電機部分及び前記第2発電機部分の夫々が互いに向き合っている、ガスタービンエンジン。
【請求項8】
請求項1に記載のガスタービンエンジンにおいて、
前記発電機部分は、前記第1ハブ及び前記第2ハブの周囲の全体に亘って又はその周囲の一部に亘って設けられている、ガスタービンエンジン。
【請求項9】
請求項1に記載のガスタービンエンジンにおいて、
各ハブは、発電機部分に関し、各ハブに設けられた前記変圧器部分の形状に関することを除き同じであり、前記変圧器部分は、他のハブに設けられた対応する磁石と相互作用する、ガスタービンエンジン。
【請求項10】
請求項1に記載のガスタービンエンジンにおいて、
前記発電機は、複数の電気的負荷と関連している、ガスタービンエンジン。
【請求項11】
請求項10に記載のガスタービンエンジンにおいて、
前記負荷は、ガスタービンエンジン又は他の二重反転推進システム用の、ブレードピッチ用アクチュエータ又は氷結防止機構に関する、ガスタービンエンジン。
【請求項12】
請求項10に記載のガスタービンエンジンにおいて、
前記電気的負荷間の切り換えを行うため、スイッチが設けられている、ガスタービンエンジン。
【請求項13】
請求項1に記載のガスタービンエンジンにおいて、
前記発電機は、電力調整器機構と関連している、ガスタービンエンジン。
【請求項14】
請求項13に記載のガスタービンエンジンにおいて、
前記電力調整器機構には、整流器及び/又は電力安定化手段が設けられている、ガスタービンエンジン。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載のガスタービンエンジンにおいて、
前記ハブは駆動機構によって別々に駆動され、これにより、これらのハブ間に相対的移動を生じる、ガスタービンエンジン。
【請求項16】
請求項1に記載のガスタービンエンジンにおいて、
前記ハブは、被駆動部材と関連しており、この被駆動部材は、前記ハブの夫々の発電機部分と向き合った前記発電機部材の一方又は両方を含む、ガスタービンエンジン。
【請求項17】
請求項1に記載のガスタービンエンジンにおいて、
前記ハブ部分の一方はシャフト又はロータであり、他方のハブは前記シャフト又はロータを中心として回転するように構成されている、ガスタービンエンジン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−281385(P2009−281385A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−123239(P2009−123239)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(591005785)ロールス・ロイス・ピーエルシー (88)
【氏名又は名称原語表記】ROLLS−ROYCE PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】