説明

白光LED光源に用いられる発光ナノ微結晶ガラス及びその製造方法

本発明は、白光LED光源に用いられる発光ナノ微結晶ガラス及びその製造方法を提供することを目的とする。該ガラスは、発光ナノ微結晶が分散された無孔且つ緻密なSiOガラスであり、前記発光ナノ微結晶の化学式はYGd3−xAl12:Ce(0≦x≦3)である。該ガラスは、安定性がよく、発光が均一である。該製造方法は、化合物原料を溶媒に溶解して混合溶液を調製し、SiOナノ微小孔ガラスを混合溶液中に浸漬し、取り出して乾かした後、温度を徐々に1100〜1300℃に昇温し1〜5時間焼成して製品を得る工程を含む。該方法は、その製造プロセスが簡単で、作業が便利であり、コストが低い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明、ディスプレイ、及び光電子の技術分野に属し、発光ガラス及びその製造方法に関し、特に、白光LED光源に用いられる発光ナノ微結晶ガラス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)は、長寿命・省エネルギー、起動が速いなどの利点を持っているため、LEDディバイスは、信号灯、自動車用ランプ、大画面ディスプレイ、及び照明などの技術分野に幅広く用いられている。現在、よく用いられている白光LEDは、青光LEDチップと蛍光粉との組合により白光を得ている。その原理としては、青光チップで蛍光粉を励起して黄色発光を生じ、青光と黄光の相互補完により、人間の目に感じできる白光を生じることである。現在、白光LEDに用いられる蛍光粉としては、主に、セリウムをドープしたイットリウムアルミニウムガーネット(YAG:Ce)蛍光粉、珪酸塩蛍光粉、及び窒化物蛍光粉などが挙げられるが、その中で、YAG:Ce蛍光粉が最もよく用いられている。しかしながら、蛍光粉粒子の形状、及び粒度を制御することが困難であるため、上記の白光LEDに用いられる高品質蛍光粉の製造コストが高くなってしまい、且つパッケージする過程において、蛍光粉とゴムとを混合しなければならないが、この場合、蛍光粉とゴムとの混合物において、二者の相容性に劣り、蛍光粉が沈殿しやすく、ゴムの分布が不均一になって、LEDディバイスの発光の均一性に劣り、色相一致性を確保し難くなるため、白光LEDの分光・分色の高コストを招来してしまう。製造コストが高く、品質を確保し難いため、現在、中国国内の多くのパッケージ工場で使用する白光LED発光材料は、やはり海外からの輸入に依頼している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術に存在する上記欠陥に鑑み、本発明が解决しようとする技術的課題は、安定性が良く、コストが低く、且つ発光が均一である白光LED光源に用いられる発光ナノ微結晶ガラスを提供することにある。
【0004】
さらに、本発明が解决しようとする技術的課題は、製造プロセスが簡単で、作業が便利・確実であり、且つ製品の品質が安定である白光LED光源に用いられる発光ナノ微結晶ガラスの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明がその技術課題を解决するために採用する技術案としての発光ナノ微結晶ガラスは、白光LED光源に用いられる発光ナノ微結晶ガラスであって、YGd3−xAl12:Ceのナノ発光微結晶が分散された無孔且つ緻密なSiOガラスであり、ここで、0≦x≦3である。
【0006】
白光LED光源に用いられる発光ナノ微結晶ガラスにおいて、前記の発光ナノ微結晶ガラスは、SiOナノ微小孔ガラスを基材とし、該SiOナノ微小孔ガラスの微小孔内には化学式がYGd3−xAl12:Ceであるナノ発光微結晶が分布され、該ナノ発光微結晶を含むSiOナノ微小孔ガラスを焼成して微小孔が収縮されることで、YGd3−xAl12:Ceのナノ発光微結晶が被覆された無孔且つ緻密なSiOガラスを形成することができる。
【0007】
白光LED光源に用いられる発光ナノ微結晶ガラスにおいて、SiOナノ微小孔ガラスにおける微小孔の体積は、SiOナノ微小孔ガラスの総体積の25〜40%を占める。
【0008】
白光LED光源に用いられる発光ナノ微結晶ガラスにおいて、前記のSiOナノ微小孔ガラスは、重量部で、主に以下の組成分からなる。
SiO 94.0〜98.0、
1.0〜3.0、
AlO 1.0〜3.0。
【0009】
白光LED光源に用いられる発光ナノ微結晶ガラスの製造方法は、
(1) Y3+、Gd3+の酸化物、硝酸塩、塩化物、硫酸塩、酢酸塩から選ばれる少なくとも1種、Al3+の酸化物、硝酸塩、塩化物、硫酸塩、酢酸塩から選ばれる少なくとも1種、及びCe3+の酸化物、硝酸塩、塩化物、硫酸塩、酢酸塩から選ばれる少なくとも1種を原料とし、上記の原料を溶媒に溶解させて発光化合物イオンの混合溶液を調製し、ここで、前記混合溶液のAl3+濃度は0.5〜2mol/Lであり、Y3+及びGd3+の合計濃度は0.3〜1.2mol/Lであり、Ce3+の濃度は0.001〜0.2mol/Lである工程と、
(2) 連通微小孔を有するSiOナノ微小孔ガラスを選択して基材とし、その中で、SiOナノ微小孔ガラスの微小孔体積が、SiOナノ微小孔ガラスの総体積の25〜40%を占め、該SiOナノ微小孔ガラスを工程(1)で調製した混合溶液に10分間以上浸漬する工程と、
(3) 浸漬した後のSiOナノ微小孔ガラスの温度を、徐々に1100〜1300℃に昇温し、1〜5時間焼成して、白光LED光源に用いられる発光ナノ微結晶ガラスを得る工程と、
を含むことを特徴とする。
【0010】
白光LED光源に用いられる発光ナノ微結晶ガラスの製造方法において、原料として各イオンの酸化物を選択した場合、溶媒としては、硝酸、塩酸、硫酸、又は酢酸を選択して溶解し、また原料として各イオンの硝酸塩、塩化物、硫酸塩、又は酢酸塩を選択した場合、溶媒として水を用いて溶解する。
【0011】
白光LED光源に用いられる発光ナノ微結晶ガラスの製造方法において、前記の工程(2)で、SiOナノ微小孔ガラスを工程(1)により調製された混合溶液中に30分間〜5時間浸漬する。
【0012】
白光LED光源に用いられる発光ナノ微結晶ガラスの製造方法において、前記工程(3)で、先ず、浸漬した後のSiOナノ微小孔ガラスを、室温下で表面が乾燥になるまで乾かした後、高温炉に入れて温度を徐々に1150〜1250℃まで昇温し、該温度の下で浸漬した後のSiOナノ微小孔ガラスを2〜4時間焼成した後、炉に入れた状態で室温まで冷却し、取り出しで白光LED光源に用いられる発光ナノ微結晶ガラスとする。ここで、400℃以下及び900℃以上の温度区域における昇温速度は、15℃/min以下である。
【0013】
白光LED光源に用いられる発光ナノ微結晶ガラスの製造方法において、前記SiOナノ微小孔ガラスは、重量部で、主に、SiO:94.0〜98.0、B:1.0〜3.0、Al:1.0〜3.0の成分からなる。
【0014】
本発明の発光ナノ微結晶ガラスには、YGd3−xAl12:Ce発光ナノ微結晶が分散されており、該発光ナノ微結晶ガラスは、青光の励起により黄色の発光を生じることができるため、白光LED光源に用いられることができる。且つ、YGd3−xAl12:Ce発光ナノ微結晶は、ガラス中に良好に分散されることができるため、ガラス中における発光イオンの非放射遷移を効果的に低下させて、クラスターに起因する濃度消光を避けることができる。なお、微小孔の体積がSiOナノ微小孔ガラスの総体積の25〜40%を占めることにより、微小孔内に十分な量の発光粒子が存在することを確保でき、本発明のガラスに良好な発光性能を持たせる。また、このようなナノ微小孔ガラス基材は、紫外線に対し良好な透過性能を持っているため、発光イオンの励起波長に対する吸収に非常に有利であり、発光効率を向上することができる。
【0015】
本発明はSiOナノ微小孔ガラスを基材として用い、多孔質SiOナノ微小孔ガラス材料は、ナノ材料の製造に非常に適しており、特に、SiOナノ微小孔ガラスは、可視光領域において透明であるため、光機能性ナノ粒子のマトリックス材料として適用することができる。SiOナノ微小孔ガラスが特有の細孔構造を持っているため、微小孔によりナノサイズの発光粒子を製造することができる。また、SiOナノ微小孔ガラスは、焼成を経てその微小孔が収縮され、これにより発光粒子を閉鎖して、緻密・無孔・透明で、より高い機械強度を有する微結晶ガラスを形成でき、且つ発光粒子がガラスに密封されているため、製品としての化学的安定性を長く維持することができる。
【0016】
本発明の発光ナノ微結晶ガラスは、SiO含有量が高く、その成分は石英ガラスに類似し、石英ガラスに類似する優れた物理・化学的性能、例えば、優れた化学的安定性、高機械強度、低熱膨張係数、耐熱衝撃性などを持っている。これらの優れた性能に基づき、本発明に係るガラスは、多くの特殊の技術分野に用いられることができ、特に、高温、高圧、高振動、及び多湿などの苛酷環境における照明とディスプレイ技術分野、高出力・高繰返し周波数の固体レーザー技術分野、及び長期間屋外で使用する太陽エネルギー材料技術分野などに用いることができる。
【0017】
伝統的な高温熔融により発光ガラスを製造する過程において、ガラス形成体化合物の化学的活性は非常に高く、ガラス形成体化合物とナノ粒子との反応を引き起こし易いため、単分散したナノ粒子である発光ナノ粒子を製造することは困難であった。これに対し、本発明は、SiOナノ微小孔ガラスを活性イオン溶液に浸漬して発光イオンを導入し、さらに1100〜1300℃の高温で固相焼結を行うことで、石英ガラスにおいて単分散発光ナノ粒子を製造する難題を克服して、均一に単分散された発光ナノ微結晶ガラスが得られ、ナノ材料を製造する新規ルートを提供することができ、特に、発光ナノ微結晶の透明ガラス材料を製造する新規方法を提供することができた。
【0018】
本発明のYGd3−xAl12:Ce発光ナノ微結晶ガラスの製造方法は、製造プロセスが簡単で、製品性能が確実であり、且つコストが低い。このような新規発光材料を用いて白光LEDのパッケージを行うことで、現在の蛍光粉及びゴムを混合してパッケージするにあたって存在する多くの問題を解決することができるため、巨大な投資・開発の価値があり、且つ幅広い応用が期待されている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、YGd3−xAl12:Ce発光ナノ微結晶ガラスを製造するフローチャートである。
【図2】図2は、460nm青光の励起による実施例1で製造されたYAl12:Ceナノ微結晶ガラスの発光スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施例1: YAl12:Ceナノ微結晶ガラスとは、化学式がYAl12:Ceのナノ発光微結晶が分散された無孔且つ緻密なSiOガラスである。
【0021】
図1に示す製造フローチャートにより、YAl12:Ceナノ微結晶ガラスを製造した。その製造工程は、下記の通りである:分析用天秤を用いて、分析用純度のY(NO・6HO(硝酸イットリウム六水和物)1.149g、分析用純度のAl(NO・6HO(硝酸アルミニウム六水和物)1.875g、及び分析用純度のCe(NO・6HO(硝酸セリウム六水和物)0.0043gを秤量し、蒸留水10mlに溶解して、0.3mol/LのY3+、0.5mol/LのAl3+、及び0.001mol/LのCe3+を含む混合溶液を配合した。SiOナノ微小孔ガラスを、混合溶液中に1時間浸漬してから取り出し、室温で表面が乾燥になるまで乾かしてから高温炉に入れ、高温炉を、先ず10℃/minの昇温速度で400℃に昇温し、次に15℃/minの昇温速度で900℃に昇温し、その後、5℃/minの昇温速度で1200℃に昇温し、1200℃に保温して2時間焼成を行い、焼成後のガラスを、炉に入れたまま室温まで冷却して取り出した。ダイシング及びバフ研磨を行って、YAl12:Ceナノ微結晶ガラスを得た。図2は、460nmの青光の励起による該製造されたYAl12:Ceナノ微結晶ガラスのスペクトルであり、図2によれば、該ガラスが青光の励起により黄色発光を生じることが確認された。
【0022】
実施例2: YAl12:Ceナノ微結晶ガラスとは、化学式がYAl12:Ceのナノ発光微結晶が分散された無孔且つ緻密なSiOガラスである。
【0023】
その製造工程は、下記の通りである:分析用天秤を用いて、分析用純度のY(NO・6HO(硝酸イットリウム六水和物)4.596g、分析用純度のAl(NO・6HO(硝酸アルミニウム六水和物)7.500g、及び分析用純度のCe(NO・6HO (硝酸セリウム六水和物)0.868gを秤量し、蒸留水10mlに溶解して、1.2mol/LのY3+、2mol/LのAl3+、及び0.2mol/LのCe3+を含む混合溶液を配合した。SiOナノ微小孔ガラスを、混合溶液中に1時間浸漬してから取り出し、室温で表面が乾燥になるまで乾かしてから高温炉に入れ、高温炉を、先ず10℃/minの昇温速度で400℃に昇温し、次に15℃/minの昇温速度で900℃に昇温し、その後、5℃/minの昇温速度で1200℃に昇温し、1200℃に保温して2時間焼成を行い、焼成後のガラスを、炉に入れたまま室温まで冷却して取り出した。ダイシング及びバフ研磨を行って、YAl12:Ceナノ微結晶ガラスを得た。該ガラスは、青光の励起により黄色発光を生じた。
【0024】
実施例3: YAl12:Ceナノ微結晶ガラスとは、化学式がYAl12:Ceのナノ発光微結晶が分散された無孔且つ緻密なSiOガラスである。
【0025】
その製造工程は、下記の通りである:分析用天秤を用いて、分析用純度のY(SO・8HO(硫酸イットリウム八水和物)2.746g、分析用純度のAl(SO・18HO(硫酸アルミニウム十八水和物)4.998g、及び分析用純度のCe(SO・4HO (硫酸セリウム四水和物)0.202gを秤量し、蒸留水10mlに溶解して、0.9mol/LのY3+、1.5mol/LのAl3+、及び0.05mol/LのCe3+を含む混合溶液を配合した。SiOナノ微小孔ガラスを、混合溶液中に8時間浸漬してから取り出し、室温で表面が乾燥になるまで乾かしてから高温炉に入れ、高温炉を、先ず10℃/minの昇温速度で400℃に昇温し、次に15℃/minの昇温速度で900℃に昇温し、その後、5℃/minの昇温速度で1100℃に昇温し、1100℃に保温して4時間焼成を行い、焼成後のガラスを、炉に入れたまま室温まで冷却して取り出した。ダイシング及びバフ研磨を行って、YAl12:Ceナノ微結晶ガラスを得た。該ガラスは、青光の励起により黄色発光を生じた。
【0026】
実施例4: YAl12:Ceナノ微結晶ガラスとは、化学式がYAl12:Ceのナノ発光微結晶が分散された無孔且つ緻密なSiOガラスである。
【0027】
その製造工程は、下記の通りである:分析用天秤を用いて、分析用純度の酸化イットリウム(Y)0.135g、分析用純度のAl(酸化アルミニウム)0.102g、及び分析用純度のCeO(酸化セリウム)0.172gを秤量し、硝酸10mlに溶解して、0.12mol/LのY3+、0.2 mol/LのAl3+、及び0.1mol/LのCe3+を含む混合溶液を配合した。SiOナノ微小孔ガラスを、混合溶液中に10時間浸漬してから取り出し、室温で表面が乾燥になるまで乾かしてから高温炉に入れ、高温炉を、先ず10℃/minの昇温速度で400℃に昇温し、次に15℃/minの昇温速度で900℃に昇温し、その後、5℃/minの昇温速度で1150℃に昇温し、1150℃に保温して2.5時間焼成を行い、焼成後のガラスを、炉に入れたまま室温まで冷却して取り出した。ダイシング及びバフ研磨を行って、YAl12:Ceナノ微結晶ガラスを製造した。該ガラスは、青光の励起により黄色発光を生じた。
【0028】
実施例5: Y1.5Gd1.5Al12:Ceナノ微結晶ガラスとは、化学式がY1.5Gd1.5Al12:Ceのナノ発光微結晶が分散された無孔且つ緻密なSiOガラスである。
【0029】
その製造工程は、下記の通りである:分析用天秤を用いて、分析用純度のYCl・6HO(塩化イットリウム六水和物)0.910g、分析用純度のGdCl・6HO(塩化ガドリニウム六水和物)1.115g、分析用純度のAlCl・6HO(塩化アルミニウム六水和物)2.414g、及び分析用純度のCeCl・7HO (塩化セリウム七水和物)0.075gを秤量し、蒸留水10mlに溶解して、0.3mol/LのY3+、0.3mol/LのGd3+、1mol/LのAl3+、及び0.02mol/LのCe3+を含む混合溶液を配合した。SiOナノ微小孔ガラスを、混合溶液中に10時間浸漬してから取り出し、室温で表面が乾燥になるまで乾かしてから高温炉に入れ、高温炉を、先ず10℃/minの昇温速度で400℃に昇温し、次に15℃/minの昇温速度で900℃に昇温し、その後、5℃/minの昇温速度で1200℃に昇温し、1200℃に保温して2時間焼成を行い、焼成後のガラスを、炉に入れたまま室温まで冷却して取り出した。ダイシング及びバフ研磨を行って、Y1.5Gd1.5Al12:Ceナノ微結晶ガラスを製造した。該ガラスは、青光の励起により黄色発光を生じた。
【0030】
実施例6: YGdAl12:Ceナノ微結晶ガラスとは、化学式がYGdAl12:Ceであるナノ発光微結晶が分散された無孔且つ緻密なSiOガラスである。
【0031】
分析用天秤を用いて、分析用純度のY(CHCOO)・4HO (酢酸イットリウム四水和物)0.676g、分析用純度のGd(NO・6HO(硝酸ガドリニウム六水和物)1.804g、分析用純度のAl(NO・6HO(硝酸アルミニウム六水和物)3.75g、及び分析用純度のCe(NO・6HO(硝酸セリウム六水和物)0.087gを秤量し、蒸留水10mlに溶解して、0.2mol/LのY3+、0.4mol/LのGd3+、1mol/LのAl3+、及び0.02mol/LのCe3+を含む混合溶液を配合した。SiOナノ微小孔ガラスを、混合溶液中に24時間浸漬してから取り出し、室温で表面が乾燥になるまで乾かしてから高温炉に入れ、高温炉を、先ず10℃/minの昇温速度で400℃に昇温し、次に15℃/minの昇温速度で900℃に昇温し、その後、5℃/minの昇温速度で1300℃に昇温し、1300℃に保温して5時間焼成を行い、焼成後のガラスを、炉に入れたまま室温まで冷却して取り出した。ダイシング及びバフ研磨を行って、YGdAl12:Ceナノ微結晶ガラスを製造した。該ガラスは、青光の励起により黄色発光を生じた。
【0032】
実施例7: GdAl12:Ceナノ微結晶ガラスとは、化学式がGdAl12:Ceであるナノ発光微結晶が分散された無孔且つ緻密なSiOガラスである。
【0033】
分析用天秤を用いて、分析用純度のGd(NO・6HO(硝酸ガドリニウム六水和物)2.706g、分析用純度のAl(NO・6HO(硝酸アルミニウム六水和物)3.75g、及び分析用純度のCe(NO・6HO(硝酸セリウム六水和物)0.434gを秤量し、蒸留水10mlに溶解して、0.6mol/LのGd3+、1mol/LのAl3+、及び0.1mol/LのCe3+を含む混合溶液を配合した。SiOナノ微小孔ガラスを、混合溶液中に10時間浸漬してから取り出し、室温で表面が乾燥になるまで乾かしてから高温炉に入れ、高温炉を、先ず10℃/minの昇温速度で400℃に昇温し、次に15℃/minの昇温速度で900℃に昇温し、その後、5℃/minの昇温速度で1300℃に昇温し、1300℃に保温して2時間焼成を行い、焼成後のガラスを、炉に入れたまま室温まで冷却して取り出した。ダイシング及びバフ研磨を行って、GdAl12:Ceナノ微結晶ガラスを製造した。該ガラスは、青光の励起により黄色発光を生じた。
【0034】
実施例8: YAl12:Ceナノ微結晶ガラスとは、化学式がYAl12:Ceであるナノ発光微結晶が分散された無孔且つ緻密なSiOガラスである。
【0035】
その製造工程は、下記の通りである:分析用天秤を用いて、分析用純度のY(CHCOO)・4HO(酢酸イットリウム四水和物)1.014g、分析用純度のAl(CHCOO)(酢酸アルミニウム)1.020g、及び分析用純度のCe(CHCOO)・5HO (酢酸セリウム五水和物)0.0407gを秤量し、蒸留水10mlに溶解して、0.3mol/LのY3+、0.5mol/LのAl3+、及び0.001mol/LのCe3+を含む混合溶液を配合した。SiOナノ微小孔ガラスを、混合溶液中に24時間浸漬してから取り出し、室温で表面が乾燥になるまで乾かしてから高温炉に入れ、高温炉を、先ず10℃/minの昇温速度で400℃に昇温し、次に15℃/minの昇温速度で900℃に昇温し、その後、5℃/minの昇温速度で1200℃に昇温し、1200℃に保温して4時間焼成を行い、焼成後のガラスを、炉に入れたまま室温まで冷却して取り出す。ダイシング及びバフ研磨を行って、YAl12:Ceナノ微結晶ガラスを製造した。該ガラスは、青光の励起により黄色発光を生じた。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式がYGd3−xAl12:Ceであるナノ発光微結晶が分散された無孔且つ緻密なSiOガラスであり、且つ、前記式中、0≦x≦3であることを特徴とする、
白光LED光源に用いられる発光ナノ微結晶ガラス。
【請求項2】
前記発光ナノ微結晶ガラスは、SiOナノ微小孔ガラスを基材とし、SiOナノ微小孔ガラスの微小孔内には、化学式がYGd3−xAl12:Ceであるナノ発光微結晶が分布されており、該ナノ発光微結晶を含むSiOナノ微小孔ガラスを焼成することで微小孔が収縮されて、YGd3−xAl12:Ceのナノ発光微結晶が被覆された無孔且つ緻密なSiOガラスを形成することを特徴とする、
請求項1に記載の白光LED光源に用いられる発光ナノ微結晶ガラス。
【請求項3】
前記SiOナノ微小孔ガラスにおける微小孔の体積が、SiOナノ微小孔ガラスの総体積の25〜40%を占めることを特徴とする、
請求項2に記載の白光LED光源に用いられる発光ナノ微結晶ガラス。
【請求項4】
前記SiOナノ微小孔ガラスが、重量部で主に、SiO:94.0〜98.0、B:1.0〜3.0、Al:1.0〜3.0の成分からなることを特徴とする、
請求項2又は3に記載の白光LED光源に用いられる発光ナノ微結晶ガラス。
【請求項5】
(1) Y3+、Gd3+の酸化物、硝酸塩、塩化物、硫酸塩、酢酸塩から選ばれる少なくとも1種、Al3+の酸化物、硝酸塩、塩化物、硫酸塩、酢酸塩から選ばれる少なくとも1種、及びCe3+の酸化物、硝酸塩、塩化物、硫酸塩、酢酸塩から選ばれる少なくとも1種を原料とし、上記原料を溶媒に溶解させて発光化合物イオンの混合溶液を調製し、且つ前記混合溶液のAl3+濃度が0.5〜2mol/Lであり、Y3+及びGd3+の合計濃度が0.3〜1.2mol/Lであり、Ce3+の濃度が0.001〜0.2mol/Lである工程と、
(2) 連通微小孔を有するSiOナノ微小孔ガラスを選択して基材とし、その中で、SiOナノ微小孔ガラスの微小孔体積が、SiOナノ微小孔ガラスの総体積の25〜40%を占め、該SiOナノ微小孔ガラスを工程(1)で調製した混合溶液に10分間以上浸漬する工程と、
(3) 浸漬した後のSiOナノ微小孔ガラスの温度を、徐々に1100〜1300℃に昇温し、1〜5時間焼成して、白光LED光源に用いられる発光ナノ微結晶ガラスを得る工程と、
を含むことを特徴とする、白光LED光源に用いられる発光ナノ微結晶ガラスの製造方法。
【請求項6】
原料として各イオンの酸化物を選択した場合、溶媒として硝酸、塩酸、硫酸、又は酢酸を選択して溶解し、原料として各イオンの硝酸塩、塩化物、硫酸塩、又は酢酸塩を選択した場合、溶媒として水を用いて溶解することを特徴とする、
請求項5に記載の白光LED光源に用いられる発光ナノ微結晶ガラスの製造方法。
【請求項7】
前記工程(2)において、SiOナノ微小孔ガラスを、工程(1)により調製された混合溶液中に30分間〜5時間浸漬することを特徴とする、
請求項5に記載の白光LED光源に用いられる発光ナノ微結晶ガラスの製造方法。
【請求項8】
前記工程(3)において、先ず、浸漬した後のSiOナノ微小孔ガラスを、室温下で表面が乾燥になるまで乾かした後、高温炉に入れて温度を徐々に1150〜1250℃まで昇温し、該温度の下で浸漬した後のSiOナノ微小孔ガラスを2〜4時間焼成した後、炉に入れた状態で室温まで冷却し、取り出しで白光LED光源に用いられる発光ナノ微結晶ガラスとし、ここで、400℃以下及び900℃以上の温度区域における昇温速度は、15℃/min以下であることを特徴とする、
請求項5に記載の白光LED光源に用いられる発光ナノ微結晶ガラスの製造方法。
【請求項9】
前記SiOナノ微小孔ガラスは、重量部で、主にSiO:94.0〜98.0、B:1.0〜3.0、Al:1.0〜3.0の成分からなることを特徴とする、
請求項5に記載の白光LED光源に用いられる発光ナノ微結晶ガラスの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−521346(P2013−521346A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555276(P2012−555276)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【国際出願番号】PCT/CN2010/070880
【国際公開番号】WO2011/106938
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(511210109)海洋王照明科技股▲ふん▼有限公司 (21)
【Fターム(参考)】