説明

白色光LEDおよび連続的に色調整可能なLEDの製作方法

蛍光ミクロスフェア被覆を含む発光ダイオードが提案される。被覆は、短波長LEDにより励起されて緑色および赤色の波長で蛍光発光する蛍光ミクロスフェアからなる。スフェアのミクロンスケールの寸法により、これらは人間の眼に解像不能であり、光出力全体では混合された色として見える。緑色蛍光ミクロスフェアと赤色蛍光ミクロスフェアの比率、および励起源の波長を変えることによって、光出力の色を調整することができる。光出力が正しい比率で青、緑および赤の成分を有する場合には、白色の放射を得ることができる。発光ダイオードは、複数の個々にアドレス指定可能な領域に分けることができる。各部分は、コーティングされた蛍光ミクロスフェアの種類に応じて異なる波長で発光することができる。電圧バイアスを変えて青色、緑色および赤色の領域の輝度を変化させることで、出力波長(色)を連続的に調整(変更)することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光ダイオード(LED)デバイスに関する。詳細には、本発明は、波長(色)変換のために蛍光ミクロスフィアを使用すること、および色調整可能なLEDの実施を含む。
【背景技術】
【0002】
(関連出願の相互参照)
本願は、2006年7月28日出願の米国仮特許出願第60/820679号に基づく優先権を主張する。同出願の内容全体を参照により本願に組み込む。
【0003】
発光ダイオードは、注入された電子とホールを発光するように再結合させることによって光を放射する光電子デバイスである。デバイス内の活性物質のバンドギャップに応じて、LEDは、紫外線から赤外線までの広い範囲の波長で発光することができる。しかし、主要な関心の的である光の波長は可視領域内にある。可視スペクトル内(一般に約400nm(紫)〜約700nm(赤))のLED発光は人間の眼に見え、したがって照明の目的に有用である。可視波長で光を放射するために一般に使用されるIII族およびV族の元素は、ガリウム(Ga)、インジウム(In)および窒素(N)である。これらの材料に周期律表の他の列からの不純物をドープして電気的活性を与えると、導電状態から充満状態への電子の再結合によって順番に光が発生する。
【0004】
上記のデバイスは、(In、Ga)N材料群のものである。この材料系から製造されるLEDについては説明されてきた。LEDは、単一のスペクトルピークおよび狭い線幅(約30nm)で発光する単色光源である。(In、Ga)N材料系を使用して製造されたLEDは、材料系中のインジウムの組成を変えることによって、約380nm(近紫外線)から約540nm(緑)までの範囲の単色光を放射するように製作することができる。LEDは、その単色性によって光表示器などの用途に有用である。
【0005】
一方、白色光は、1つのLEDを用いては直接に発生させることができない広帯域の多色光である。しかし、離散的または連続的ないくつかの波長で光を発生するようにLEDを製作できれば、結果として生じるスペクトルは多色になり、そのようなLEDからの放射光は白く見えるようになる。このことは、白色光が照明の目的に理想的であるので、特に有用である。照明光源としてのLEDは、白熱灯および蛍光管などの他の技術よりも効率、寿命、およびスペクトル等質性において優れている。
【0006】
広帯域LED光源を製作するには2つの主要な方法がある。第1のものでは、色のダウンコンバージョンに蛍光体を使用する。これらのシステムでは、460nm(青)で発光するInGaNのLEDなど、短波長の単色LEDが励起光源として使用される。このような光が、緑および赤などの長波長で発光する蛍光体中でルミネセンスを励起するために用いられる。結果として生じた光は、可視スペクトルのうちのそれぞれ異なる部分からの成分を含み、広帯域光とみなされる。蛍光体粒子が小さく(ナノメートルスケール)眼では識別不可能であるので、個別の色の比率が正しい場合には、放射光は白に見える。この白色光発生の形式は、蛍光管に使用されるものと同様である。
【0007】
色のダウンコンバージョンに蛍光体を使用する白色光LED技術が開発されてきたが、その出力には、出力スペクトル中にスパイクが存在することが必然的に伴う。このようなスペクトル特性は、人間の眼に刺激があり不快なことがある。
【0008】
広帯域LED光源を製作するもう1つの方法は、単一のパッケージ内に個別のLEDチップを実装することである。これらは一般にマルチチップLEDと呼ばれ、原色(青、緑および赤)で発光する各LEDが単一のパッケージ内に実装される。しかし、白色光放射は、この技法を用いて実現することはできない。各LEDチップは一般に直径が100ミクロンを超え、LEDチップの離隔距離も同じ程度である。その結果、色が均質化されず、遠く離して配置されない限り眼には別々の色に見え、遠く離した場合にはLED輝度が大きく低下してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国仮特許出願第60/820679号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上の段落で述べたデバイス内の個別のRGB LEDは、個々に駆動することができ、様々な色成分の強度を変えることができるが、色は混合されず、したがって色調整可能なデバイスを構成しない。真の色調整可能なLEDは、今のところまだ市場に現れていない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、白色光放射発光ダイオード(LED)を製作する方法を提供する。この方法は、波長が約400nm〜約480nmの光を放射する発光面を有するLEDベースポンプを設ける段階と、LEDベースポンプの発光面に赤色および緑色の蛍光ミクロスフェアを堆積させ塗り拡げて蛍光ミクロスフェア層を生成する段階と、蛍光ミクロスフェア層を誘電体層または誘電体被覆を用いて定着させる段階とを含む。
【0012】
本発明はさらに白色発光ダイオード(LED)を提供し、これは、白色発光LEDのポンプ源として短波長領域(約400nm〜約480nm)で光を放射するLEDベースポンプと、LEDベースに付着した少なくとも1層の赤色および緑色の蛍光ミクロスフェアとを含み、この蛍光ミクロスフェアは、LEDベースポンプから放射された光によって励起されたときに赤色光および緑色光をマイクロスケールの領域内で放射するので、マイクロスケールの各領域が人間の肉眼で解像不能であり、したがって白色光を放射するように見える
【0013】
本発明はまた、混合色の調整可能な発光ダイオード(LED)を製作する方法も提供し、この方法は、約400nm〜約480nmの波長の光を放射する発光面を有するLEDベースポンプ光源を提供する段階と、LEDベースポンプのある領域上に、緑色蛍光ミクロスフェアでその領域をコーティングすることによって、複数の緑色ピクセルを形成する段階と、LEDベースポンプのある領域上に、赤色蛍光ミクロスフェアでその領域をコーティングすることによって、複数の赤色ピクセルを形成する段階と、金の薄い金属層を使用して、複数の緑色ピクセルを互いに接続し、また複数の赤色ピクセルを互いに接続する段階と、発光面のある領域をコーティングされないままにしておいて青色ピクセルを生成する段階と、ベースLEDポンプ上のp−n接合部の短絡を防止するために、二酸化シリコンの薄い層を不活性領域上に堆積させる段階と、ピクセル上に二酸化シリコンの薄い層を堆積させて、混合色の調整可能な発光ダイオード上に保護被覆を形成する段階とを含む。
【0014】
本発明はさらに、色混合され色調整可能な発光ダイオード(LED)を提供し、これは、約400nm〜約480nmの波長の光を放射する発光面を有するLEDベースポンプ光源と、LEDベースポンプのある領域上の、緑色蛍光ミクロスフェアをその領域上にコーティングすることによって設けられた複数の緑色ピクセルと、LEDベースポンプのある領域上の、赤色蛍光ミクロスフェアをその領域上にコーティングすることによって設けられた複数の赤色ピクセルと、LEDベースポンプのコーティングされていない領域上の複数の青色ピクセルとを含み、金の薄い金属層を使用して前記緑色ピクセルが互いに接続され、また前記赤色ピクセルが互いに接続されており、発光ダイオード(LED)はさらに、ベースLEDポンプ上のp−n接合部の短絡を防止するための、金の金属層の不活性領域上にある二酸化シリコンの薄い層と、色調整可能な発光ダイオード上に保護被覆を形成するための、ピクセル上にある二酸化シリコンの薄い層とを含む。
【0015】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の発明を実施するための最良の形態を添付の図と併せて検討すれば明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による蛍光ミクロスフェアを含むLED内の色発光を示す図である。
【図2】六角形アレイに順序よく配置されたミクロスフェアの詰め込みを示す、(a)平面図および(b)斜視図である。
【図3】本発明における色混合効果を示す図である。
【図4】本発明で提案された製造方法を用いる白色光LEDを示す図である。
【図5】本発明による製造方法を用いて製造された白色光LEDからの光スペクトルを示す図である。
【図6】金属線を使用するR、GおよびBのピクセルの相互接続手法を図示して、色調整可能なLEDのレイアウトを示す概略図である。
【図7】本発明により製造された色調整可能なLEDを示す顕微鏡写真である。
【図8】(a)は、ピクセルアレイの3分の1に相当する「青」のピクセルがオンになっている、本発明による色調整可能なLEDを示す図であり、(b)は、オンになっている「赤」のピクセルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、蛍光体などの従来の技術を使用すれば容易ではなく、または不可能なはずの、白色光LEDおよび波長可変LEDを含むいくつかの新規なデバイスを製造することが、マイクロLED技術と併せて色変換手法を用いることにより可能になるという発見から生まれている。
【0018】
本発明は2つの主要部分を含む。本発明の第1の部分では、白色光LED内の色変換用の作用物質として緑色および赤色の着色蛍光ミクロスフェアを使用することを提案し、一方、本発明の第2の部分では、色調整可能なLEDを製作するために、マイクロ発光ダイオード(マイクロLED)技術と組み合わせてミクロスフェアを使用することを提案している。
【0019】
第1の態様では、赤と緑の着色蛍光ミクロスフェアの混合物が、放射波長が一般に400nm(紫)〜480nm(青)である短波長放射LED上にコーティングされる。このようなLEDは、サファイア基板上にMOCVDによってエピタキシャル成長させたGaN材料を備えるLEDウェハを使用して製造される。所望の放射波長を実現するために、一連の多重量子井戸がLED構造内に埋め込まれる。
【0020】
LEDは、フォトリソグラフィを用いて、まずLEDのメサ領域を画定することから製造する。フォトレジスト層をLEDウェハ上にスピンコーティングし、マスクアライナにより、事前に画定されたパターンを有するフォトマスクを通して紫外光で露光する。露光した試料は、フォトレジスト現像液中で現像する。必要なパターンが試料に転写される。
【0021】
続いてメサ構造を、ClガスおよびBClガスによる誘電結合プラズマ(ICP)ドライエッチングを用いて形成する。GaN材料を500nm/分の典型的な速度でエッチング除去する。別のフォトグラフ段階では、LEDの活性領域を画定する。ウェハは、同じICP法を用いて再びドライエッチングし、それによって、後続のn接点用のn型GaN領域の部分を露出させる。
【0022】
電流拡散領域をフォトリソグラフィによって画定し、5nmのAuおよび5nmのNiを含む電流拡散層を電子ビーム蒸着によって堆積させる。次に、金属層を電流拡散領域内に金属二層が残るようにアセトン中でリフトオフする。この層は、デバイスに対するp型接点として働く。n型およびp型の接点パッド領域をフォトリソグラフィによって画定する。
【0023】
20/200nmの厚さをそれぞれ有するTi/Al金属二層を電子ビーム蒸着によって堆積させる。金属層は、金属が接点パッド領域内だけに残るようにアセトン中でリフトオフされ、それによってn型およびp型の接点パッドとして働く。
【0024】
ウェハ切出し機を使用してウェハを切り出して、個々のLEDチップが得られる。チップは、高熱伝導接着剤(Loctite 315接着剤およびLoctite Output活性剤)を使用して、TOカン、または銀でコーティングされたミラーキャビティを備えるセラミックパッケージ(京セラ株式会社)上に実装する。p型およびn型のパッドとパッケージの間の接続はワイヤボンディングによって確立され、この目的には、ウェッジ型ワイヤボンダを用いて50μmのAl線が使用された。
【0025】
蛍光ミクロスフェアは一般に、脱イオン(DI)水中に懸濁させる。その寸法は、直径が数十ナノメータから数十ミクロンの範囲にある。使用されるミクロスフェアは、Duke Scientific CorporationおよびMerck Estaporから供給される。ミクロスフェアは、励起LED光源の表面に均一にコーティングすべきものである。ミクロスフェアの懸濁液が、スポイト、シリンジまたはピペットを使用して試料上に供給される。ミクロスフェアを広い領域にわたって均一に拡げるために、試料をスピナ上に置いて低速で回転させる。このプロセスには、1〜5rpmの典型的な回転速度が用いられる。
【0026】
ミクロスフェアはまた、傾斜させることによって拡げることもできる。ミクロスフェア懸濁液をLEDチップ上に付けた後、試料を垂直に対し約45°の角度に傾斜させる。ミクロスフェア被覆は薄くなければならない。すなわち、その厚さは数単分子層を超えてはならない。これが達成された場合、ミクロスフェアは、六角形アレイを構成する。これは、ナノ粒子が自己集合し順序よく配置されたアレイになる。
【0027】
順序よく配置された蛍光ミクロスフェアのアレイを用いると、体積光散乱のために光変換効率が最適になる。蛍光ミクロスフェアは、通常SiOである誘電体層を電子ビーム蒸着を用いてコーティングすることによって、所定の場所に定着させ保護することができる。LEDを外部環境から保護するために、ミクロスフェアでコーティングされたチップの上にエポキシタイプの封止剤を塗布する。
【0028】
ミクロスフェアコーティングの別の方法は、ミクロスフェアを封止剤と事前に混合するものである。ミクロスフェア懸濁液を試験管内に入れ、加熱して水分を除去する。封止剤を試験管に加える。試験管を攪拌器上に設置して均一に混合する。次に、混合物を、パッケージングされたLEDにスポイト、シリンジまたはピペットを用いて付けることができる。
【0029】
ポンプ源として働く紫色または青色のLEDによって、ミクロスフェアはそれぞれ緑色光および赤色光を放射する。ミクロスフェアが人間の眼には解像不能であるので、各色は、個々に識別できず混合されて見える。放射される色は、(LEDポンプ源からの)青、(ミクロスフェアからの)緑および赤を含む。固有の混合効果によって、光放射全体では色が白に見える。この効果は、白色光LEDとしての用途に利用される。
【0030】
本発明の第2の部分では、色調整可能なLEDを製作するために、マイクロ発光ダイオード(マイクロLED)技術と組み合わせてミクロスフェアを使用することを提案している。前述のように、青色または紫色のLEDが、蛍光ミクロスフェアを励起するためのポンプ源として使用される。このLEDはミクロンスケールの領域に区切られ、各領域が約50×50ミクロンの面積を超えないために、人間の眼には解像不能である。これらの領域のそれぞれをピクセルと呼ぶ。このデバイスの最初のプロセスフローは、上述の白色LEDのものと同様である。
【0031】
活性領域内でのマイクロスケールのピクセルの形成は、別の一連のフォトリソグラフィ段階およびエッチング段階で行われる。マイクロスケールのパターンを、フォトレジストでコーティングされたLEDウェハ上にフォトマスクから転写し現像する。続いてこのパターンを、プロセスガスとしてClおよびBClを使用するプラズマドライエッチングによってLED材料に転写する。
【0032】
ピクセルの3分の1ずつをそれぞれ青、緑および赤のピクセルに指定する。同じ色のすべてのピクセルを相互接続する。これは、厚さが約200nmの金の金属相互接続層によって実現される。この金属層がp−n接合部を短絡しないようにするために、電子ビーム蒸着とリフトオフの組合わせを用いて20nmの薄い二酸化シリコン絶縁層を非活性領域上に堆積させてある。
【0033】
緑色および赤色の蛍光ミクロスフェアを、それらの対応するピクセル上にコーティングして、緑色および赤色の発光ピクセルを形成する。青色ピクセルは、その光源自体がこの色で発光するので、コーティングされない。
【0034】
緑色ピクセルをコーティングするには、別のマスキング段階が必要になる。緑色ピクセルの場所はフォトレジストを除いて露出するように、フォトレジストマスクを塗布し現像する。次に、スピンコーティングによって緑色蛍光ミクロスフェアを試料全体に塗布する。電子ビームリソグラフィによって二酸化シリコンの20nmの薄い層をデバイスの上面に堆積させる。この封止層は、緑色ピクセルの上面の所定の場所に緑色蛍光ミクロスフェアを定着させる。赤色ピクセルを赤色蛍光ミクロスフェアでコーティングする方法も、緑色ピクセルの場合と同様である。
【0035】
同じ色で発光するピクセルが金属相互接続部で相互接続されているので、これらは同時にアドレス指定し、(オンおよびオフさせ、または輝度を)変化させることができる。
【0036】
電圧バイアスを変えて青、緑および赤のピクセルの輝度を変化させることで混合光出力の色を連続的に変えることができ、それによって画期的で真に単一チップの、色混合され色調整可能なLEDがもたらされる。
【0037】
色調整可能なLEDを製造する目的では、使用される色変換作用物質は、蛍光ミクロスフェアの使用に限定されない。それだけには限らないが、蛍光体、ポリマーおよび量子ドットを含む他の材料を使用することができる。
【0038】
本発明による白色LEDまたは色調整可能なLEDの製造プロセスは、GaNベースのLEDの製造と同じであり、標準的なリソグラフィ、ドライエッチング、金属堆積、ダイ分割およびパッケージングの各プロセスを含み、LEDはすべて市販のIII−V族製造設備で容易に生産することができる。追加のミクロスフェアコーティングの段階は、スピナと呼ばれる装置を使用するスピンコーティングによって実施することができる。これは、クリーンルーム内で標準的な装置である。色調整可能なLEDのマイクロ切断は、追加のマスキングおよびエッチングの段階を必要とするが、これらはLED生産において標準的なプロセスである。
【0039】
本発明者らは、白色光LEDおよび色調整可能なLEDの応用例に伴う色のダウンコンバージョン用に蛍光ミクロスフェアを使用することのいくつかの利点を特定した。まず、ミクロスフェアのミクロンからサブミクロンのスケールの寸法により、それらが人間の眼に解像不能であることが保証される(われわれの眼が解像できるのは約50ミクロンまでである)。複数のミクロスフェアが蛍光発光した場合、人間の眼は、個々のミクロスフェアからの放射を識別することができない。そのように、別々に着色された様々な蛍光ミクロスフェアを混合することによって、均一な色混合が容易かつ簡単に実現される。
【0040】
次に、放射波長が異なる、別々に着色されたミクロスフェアは、様々な割合で混合して、「白さ」の程度が異なる、つまり色温度が異なる白色光を実現することができる。加えて、蛍光ミクロスフェアは高い変換効率を有する。このことは、高い発光効率を有する光電子デバイスを製作するのに重要である。
【0041】
青色および紫色の発光ダイオードチョップをベースとして含む安価で容易に入手可能な材料を用いて、白色光LEDおよび色調整可能なLEDが、製造を容易にするその製造方法とともに開示され説明されたことが当業者には明らかなはずである。
【0042】
前述の詳細な説明を検討することにより、上記の好ましい実施形態に対する様々な変更および修正が当業者には明らかになろう。そのような変更および修正は、本発明の精神または範囲から逸脱することなく加えることができ、したがって、すべてのそのような変更および修正は、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の定義の範囲内に含まれるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色光放射発光ダイオード(LED)を製作する方法であって、
約400nm〜約480nmの波長の光を放射する発光面を有するLEDベースポンプを提供する段階と、
前記LEDベースポンプの前記発光面を赤色および緑色の蛍光ミクロスフェアで被覆する段階と、
前記ミクロスフェアを前記LEDベースポンプの前記発光面に一様に塗り拡げてミクロスフェア被覆層を生成する段階と、
保護誘電体被覆を用いて適所で前記ミクロスフェア層を定着させる段階とを含む、方法。
【請求項2】
前記誘電体層または誘電体被覆が、電子ビーム蒸着によって付けられる二酸化シリコンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記LEDベース上の前記ミクロスフェア層が、自己集合し順序よく配置された六角形アレイを構成した、均一な寸法の蛍光ミクロスフェアのいくつかの単分子層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記白色発光LEDを保護するために前記白色発光LEDを封止剤で封止する段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記蛍光ミクロスフェアが、傾斜または回転を用いて、自己集合メカニズムによって均一かつ順序よい層に塗り拡げられる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記蛍光ミクロスフェアを、傾斜または回転によって前記ベースLEDの発光面に塗布する前に、脱イオン水中に懸濁させ、耐界面活性剤(anti−surfactant)に混合する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記蛍光ミクロスフェアが封止作用物質と混合され、次にLEDベースの発光面に被覆の代替方法として塗布される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記封止作用物質がエポキシベースの樹脂である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記赤色および緑色の蛍光ミクロスフェアが前記ミクロスフェア被覆中に任意に分散され、そのマイクロメートル規模に起因して人間の肉眼で解像不能であり、したがってそれらの蛍光が光学的に混合されるように見え、また、赤色ミクロスフェアと緑色ミクロスフェアの比率が、異なった色温度を有する白色光が生成されるように調整可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
光学的に混合色の調整可能な発光ダイオード(LED)を製作する方法であって、
約400nm〜約480nmの波長の光を放射する発光面を有するLEDベースポンプ光源を提供する段階と、
前記LEDベースポンプのある領域上に、緑色蛍光ミクロスフェア、または蛍光体を含む他の赤色発光材料で前記領域をコーティングすることによって、複数の緑色ピクセルを形成する段階と、
前記LEDベースポンプのある領域上に、赤色蛍光ミクロスフェア、または蛍光体を含む他の緑色発光材料で前記領域をコーティングすることによって、複数の赤色ピクセルを形成する段階と、
金の薄い金属層をベースとする相互接続配線によって、前記緑色ピクセルを互いに接続し、また前記赤色ピクセルを互いに接続する段階と、
ある領域をコーティングされないままにしておいて青色ピクセルを生成する段階と、
金の薄い金属層をベースとする相互接続配線によって、前記青色ピクセルを互いに接続する段階と、
前記ベースLEDポンプ上のp−n接合部の短絡を防止するために、二酸化シリコンの薄い層を、リフトオフプロセスによって選択的に不活性領域上に堆積させる段階と、
前記ピクセル上に二酸化シリコンの薄い層を堆積させて、前記混合色の調整可能な発光ダイオード上に保護被覆を形成する段階とを含む方法。
【請求項11】
色調整可能な発光ダイオード(LED)であって、
色変換のためのポンプ源として短波長領域(約400nm〜約480nm)で光を放射するLEDベースと、
赤色光および/または緑色光をマイクロスケールの領域内で放射する、前記LEDベース上の少なくとも1層の蛍光ミクロスフェアとを含み、前記蛍光ミクロスフェアが、前記LEDベースから放射された光によって励起されたときに、個々の成分が人間の肉眼で解像不能であり、それによって多色性の光を放射するように見える、色調整可能な発光ダイオード(LED)。
【請求項12】
青色放射光と赤色放射光と緑色放射光との比が、異なる、光学的な光混合色を生成するように変更可能である、請求項11に記載の色調整可能な発光ダイオード(LED)。
【請求項13】
前記少なくとも1層の蛍光ミクロスフェアが、青色光、赤色光または緑色光のうちの1つを放射する個々にアドレス指定可能な複数のマイクロスケールの領域を含む、請求項11に記載の色調整可能な発光ダイオード(LED)。
【請求項14】
前記LEDベースが青色光を放射し、前記蛍光ミクロスフェアが赤色光または緑色光を放射する、請求項11に記載の色調整可能な発光ダイオード(LED)。
【請求項15】
前記青色光、緑色光および赤色光それぞれが、個々に調整可能な輝度を有する、請求項13に記載の色調整可能な発光ダイオード(LED)。
【請求項16】
前記ベースLEDと前記赤色のミクロスフェアと前記緑色のミクロスフェアの光組合せ出力スペクトルと色が連続的に調整可能である、請求項11に記載の色調整可能な発光ダイオード(LED)。
【請求項17】
約400nm〜約480nmの波長の光を放射する発光面を有するLEDベースポンプ光源と、
前記LEDベースポンプのある領域上の、緑色蛍光ミクロスフェアを前記領域上にコーティングすることによる複数の緑色ピクセルと、
前記LEDベースポンプのある領域上の、赤色蛍光ミクロスフェアを前記領域上にコーティングすることによる複数の赤色ピクセルと、
前記LEDベースポンプのコーティングされていない領域上の複数の青色ピクセルとを含む、色混合され色調整可能な発光ダイオード(LED)であって、
金の薄い金属層を使用して金属相互接続配線によって、前記緑色ピクセルが互いに接続され、また前記赤色ピクセルが互いに接続され、また前記青色ピクセルが互いに接続されており、前記発光ダイオード(LED)はさらに、
前記ベースLEDポンプ上のp−n接合部の短絡を防止するための、前記金の金属層の不活性領域上にある二酸化シリコンの薄い層と、
前記色調整可能な発光ダイオード上に保護被覆を形成するための、前記ピクセル上にある二酸化シリコンの薄い層とを含む、
発光ダイオード(LED)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−545142(P2009−545142A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521092(P2009−521092)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【国際出願番号】PCT/CN2007/002208
【国際公開番号】WO2008/014675
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(509027397)ヴァーシテック・リミテッド (3)
【Fターム(参考)】