説明

皮膚の審美的外観を改善する化粧品組成物及びそれを使用する方法

【課題】ヒトの皮膚の皮膚科学的老化の徴候、色素沈着過度を治療、予防及び/または緩和し、皮膚の審美的外観を改善する組成物及び方法の提供。
【解決手段】(a)それが適用される皮膚の領域で色素沈着または老化の種々の徴候を予防、治療及び/または緩和するのに有効な量の色素除去剤または抗老化剤、並びに(b)化粧上または製薬上許容できる媒体を含む方法及び組成物によって達成される。好適な色素除去剤は、3、3´−チオジプロピオン酸、チアゾリジン−2−カルボン酸、ケムフェロール−7−グリコシド、シソ油、及びクロフィブレート及びクロフィブレートアナログ及び/または誘導体などを含む。好適な抗老化剤は、3、3´−チオジプロピオン酸及び/またはその誘導体を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトの皮膚の色素沈着過度及び皮膚科学的老化の種々の徴候を治療するのに有用な組成物に関する。本発明は、また皮膚の審美的外観を改善する化粧品組成物及びその組成物を使用する方法に関する。さらに、本発明は、皮膚に組成物を適用して治療を行いそして特に皮膚に抗老化の利点をもたらすことによって皮膚の審美的外観を改善する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの皮膚の色は、基底表皮層の色素メラニンの含量により主として決定される。メラニンは、メラニン細胞(色素生成細胞)内のメラニン形成の過程により合成される。メラニンは、メラノソーム上に沈着し、それは基底表皮層のケラチン生成細胞に移される。これらの基底ケラチン生成細胞に存在するメラノソームは、皮膚の色の鍵となる決定因子である。ケラチン生成細胞は、基底層を離れそして分化を行い、皮膚の角質化した表層を形成する。一度ケラチン生成細胞が基底層を離れると、メラノソームはそれらの特徴的な電子の濃い構造を失い、そしてメラニンは分化するケラチン生成細胞により皮膚の表面に運ばれる。
【0003】
あまりに多いメラニンが、基底層のメラノソームの保持時間により皮膚の1つの領域または部分に濃縮されると、皮膚は色素沈着過度になる。色素沈着過度は、また日光への過度の露出または他の炎症性の刺激の結果生ずる。色素沈着過度は、日光ほくろ(老齢しみ)、そばかす、黒色症、肝斑、及び色素沈着した角化症の形をとる。
【0004】
従来技術は、皮膚の色をうすくする剤の適用により色素沈着過度を治療する方法を開示している。代表的な皮膚の色をうすくする剤は、ヒドロキノン及びビタミンCを含む。これらの剤は、典型的には、メラニン生成に含まれるチロシナーゼ酵素の発現を阻害することにより皮膚の色をうすくする。
【0005】
メラニンを維持する表皮細胞の能力を低下させる剤の適用によって色素沈着過度を治療する方法を有することが望ましい。メラニンを維持する能力の低下は、ケラチン生成細胞へのメラノソームの移動を早め、そして皮膚の現存する色素沈着過度の部分が、従来の皮膚の色をうすくする剤(新しいメラニンの形成を主として阻害するように働く)より早く、色をうすめるかまたは色素を除くことを可能にする。
【0006】
抗老化、保湿及び/または皮膚の組織化の利点をもたらす皮膚へ局所的に適用できる製品を開発する積極的な現在の関心が化粧品業界に存在する。皮膚の外観を向上させる化粧品が次第に求められている。消費者は、老化または光老化した皮膚の徴候、例えば細かいすじ、しわ、乾燥及びたるんだ皮膚を軽減または遅延することに興味がある。老化の過程中、皮膚の色つや、すなわち皮膚の色及び外観は、老化及び/または日光への露出から徐々に劣化する。美容手術が、老化した皮膚への治療として使用できる。しかし、この治療は高価であり、そして麻酔薬及び手術に通常ともなうリスクを有する。別の方法として、抗老化の利点をもたらす化粧品は、製造業者及び消費者の両者にとり非常に望ましい。
【0007】
消費者の皮膚をより若くみせそしてしわをより少なくすることを助けることを目的とする化粧品の数は、着実に増加しつつある。普通、これらの製品は、活性成分として剥離する酸を含む。これらの抗老化活性成分は、例えばα−ヒドロキシ酸(例えば乳酸、グリコール酸、クエン酸)、β−ヒドロキシ酸(例えばサルチル酸、5−n−オクタノイルサルチル酸)及びレチノイド(レチノン酸、レチノール)を含む。これらの抗老化活性成分は、それらがほてり、痛み、かゆみまたは適用後のしこりの感じを特徴とする消費者の不快さをしばしば伴うという顕著な不都合さを有することが知られている。皮膚の老化作用を遅らせるかまたは阻む製品、さらに特に望ましくない副作用なしにこれらの作用を生成する製品について化粧品業界で一般的に求められている。
【0008】
また、皮膚を治療するための市場にある種々の抗老化化粧品にもかかわらず、皮膚に局所的に適用できる有効な抗老化組成物の要求がなお存在する。さらに特に、抗老化及び皮膚の組織の利点を有する局所に適用される化粧品組成物がなお求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ヒトの皮膚の色素沈着過度を治療、予防及び/または緩和する組成物及び方法を提供するのが本発明の目的である。
ヒトの皮膚の皮膚科学的老化の徴候を治療、予防及び/または緩和する組成物及び方法を提供するのが本発明の目的である。
【0010】
皮膚の審美的外観を改善しそして皮膚を老化する作用及び皮膚への老化の徴候を治療する化粧品組成物及びこの化粧品組成物を使用する方法を提供するのが本発明のさらなる目的である。
【0011】
基底層でメラノソームの保持時間を短くする1種以上の剤を有する組成物及び方法を提供するのが本発明のなお他の目的である。これは、メラニン/メラノソームの維持または取り上げ及び/または皮膚の表面への基底ケラチン生成細胞の移動速度の増加という表皮細胞の能力を阻害することにより達成される。
【0012】
本発明のこれらの目的及び他の目的は、(a)それが適用される皮膚の領域で色素沈着または老化の種々の徴候を予防、治療及び/または緩和するのに有効な量の色素除去剤または抗老化剤、並びに(b)化粧上または製薬上許容できる媒体を含む方法及び組成物によって達成される。好適な色素除去剤は、3、3´−チオジプロピオン酸、チアゾリジン−2−カルボン酸、ケムフェロール−7−グリコシド、シソ油、及びクロフィブレート及びクロフィブレートアナログ及び/または誘導体、並びに下記のものを含む。好適な抗老化剤は、3、3´−チオジプロピオン酸及び/またはその誘導体を含む。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、ヒトの皮膚に適用されたとき、それらが適用される皮膚の領域または部分で色素沈着を予防、治療及び/または緩和する有効量の1つ以上の色素除去剤を含む色素除去組成物を提供する。組成物は、皮膚の色素沈着した領域または部分、例えば老齢しみ、そばかす、黒色症、肝斑、及び色素沈着した角化症を低下または縮小させるのに有効である。組成物は、皮膚に局所的に適用される。
【0014】
本発明は、またヒトの皮膚に適用されたとき、それらが適用される皮膚の領域または部分で老化の種々の徴候を予防、治療及び/または緩和する有効量の1つ以上の成分を含む抗老化組成物を提供する。本発明は、抗老化の利点をもたらし、そして皮膚の審美的外観を改善する。特に、本発明は、皮膚を処理して例えば暦年による老化、ホルモンによる老化及び/または光老化による皮膚科学的老化の徴候を予防、阻害、低下及び/または緩和する組成物及び方法を提供する。老化のこれらの徴候は、皮膚のもろさ、コラーゲン及び/エラスチンの損失、皮膚におけるエストロゲンの不均衡、皮膚の萎縮、すじ及び/またはしわ(細かいすじを含む)の外観及び/または深さ、皮膚の着色(眼のまわりのくまを含む)、皮膚のたわみ、皮膚の疲労及び/またはストレス例えば環境上(例えば汚染及び/または温度の変化)のストレスによる皮膚の吹き出物、皮膚の乾燥、皮膚のはがれ、細胞の老化、皮膚の色つや、はり及び/または光沢の損失、皮膚の硬さの損失、劣った皮膚の組織、皮膚の弾性及び/または弾力の回復の損失及び過敏な皮膚を含むが、これらに限定されない。
【0015】
皮膚の審美的外観への利点及び改善は、アルファまたはベータヒドロキシ酸、ケト酸または他の剥離剤に使用とともにまたはそれらなしで、以下の任意のものに現れる。毛穴のサイズの縮小、皮膚の色調、輝き、つや及び/または光沢の改善、抗オキシダント活性の促進、皮膚の硬さ、はり、しなやかさ及び/または軟らかさの改善、プロコラーゲン及び/またはコラーゲンの生成の改善、皮膚の組織の改善及び/または組織回復の促進、皮膚のバリヤの再生及び/または機能の改善、皮膚の輪郭の外観における改善、皮膚の光沢及び/または輝きの保存、老化及び/または閉経により低下した皮膚の必須栄養素及び/または成分の補給、皮膚細胞間の連絡の改善、細胞の増殖及び/または繁殖の増加、老化及び/または閉経により低下した皮膚細胞の代謝の増加、皮膚の保湿の改善、細胞のターンオーバーの促進及び/または加速、皮膚の厚さの増加、皮膚の弾性及び/または弾力の回復の増加並びに剥離化の向上。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明組成物の第一の態様は、以下の式(I)
【化4】

【0017】
に相当する化合物を有する。但し、式中、R及びRは、水素、置換または未置換かつ分枝または線状のアルキル、5つ以下の二重結合を有する置換または未置換かつ分枝または線状のアルケニル、5つ以下の三重結合を有する置換または未置換かつ分枝または線状のアルキニル、置換または未置換のアリール、置換または未置換のシクロアルキル、並びに置換または未置換のシクロアルケニルからなる置換基の基から独立して選択される。式Iの化合物は、本明細書では、「色素除去剤」または「抗老化剤」の何れかとして呼ばれる。
【0018】
好ましくは、式Iの化合物は、R及びRが水素である3、3´−チオジプロピオン酸である。
本発明組成物の第二の態様は、式II
【0019】
【化5】

に相当する色素除去剤を有する。但し、式中、R及びRは、上記の式(I)におけるR及びRと同様であり、さらにRはアシル基であってもよく、「n」は1−4、好ましくは1−3そして最も好ましくは1−2の整数である。
【0020】
好ましくは、式IIの色素除去組成物は、R及びRが水素でありそしてn=1であるチアゾリジン−2−カルボン酸である。
本発明組成物の第三の態様では、色素除去剤は、シソ油である。シソ油は、Perilla属のミントの種から由来する。
【0021】
本発明組成物の第四の態様では、色素除去剤は、クロフィブレートまたはクロフィブレートアナログまたは誘導体である。クロフィブレートは、エチル2−(p−クロロフェノキシ)イソブチレートであり、それは以下の式(IV)
【0022】
【化6】

に相当する。
【0023】
【化7】

本発明組成物の第五の態様は、以下の式(III)
(式中、R、R及びRは上記の式(I)でR及びRについて規定した通りである)
に相当する色素除去剤を有する。
【0024】
好ましくは、式IIIの色素除去剤は、R、R及びRが水素であるケムフェロール−7−グリコシドである。ケムフェロール−7−グリコシドは、チロシナーゼを阻害することにより色素沈着を低下させるものと思われるが、また別の経路によって色素沈着を低下させると考えられる。
【0025】
本発明の第六の態様では、色素除去剤は、上記の色素除去剤の1つ以上の組み合わせである。好ましくは、組み合わせは、異なる作用機構を利用する色素除去剤を含む。好ましい組み合わせは、ケムフェロール−7−グリコシドとシソ油またはクロフィブレート(またはクロフィブレートアナログまたは誘導体)とを含む。
【0026】
色素除去剤は、それが適用される皮膚の領域または部分で色素沈着を予防、治療または緩和することを行う量で組成物中に存在する。色素除去剤は、好ましくは、組成物の全重量に基づいて、約0.0001−約98重量%、さらに好ましくは約0.001−約30重量%そして最も好ましくは約0.05−約10重量%で存在する。組成物は、好ましくは、組成物が適用される皮膚の領域の色素沈着を予防、治療または緩和する期間皮膚の影響をうける領域に適用される。当業者は理解するものと思われるが、組成物が有効であるように適用されるべき1日あたりの回数及び期間は、組成物中に使用される活性成分の%、組成物中の追加の成分(例えば浸透増強剤または追加の色素除去剤が存在するかどうか)並びに当業者にとり周知の他のファクターに従って変化する。
【0027】
抗老化剤は、それが適用される皮膚の領域または部分の老化の種々の徴候を予防、治療または緩和することを行う量で組成物中に存在する。抗老化剤は、好ましくは、組成物の全重量に基づいて、約0.0001−約98重量%、さらに好ましくは約0.001−約30重量%そして最も好ましくは約0.05−約10重量%で存在する。組成物は、好ましくは、組成物が適用される皮膚の領域の審美的外観を改善する期間皮膚の影響のある領域に適用される。当業者は理解するものと思われるが、組成物が有効であるように適用されるべき1日あたりの回数及び期間は、組成物中に使用される活性成分の%、組成物中の追加の成分(例えば浸透増強剤または追加の色素除去剤が存在するかどうか)並びに当業者にとり周知の他のファクターに従って変化する。
【0028】
特に、本発明は、皮膚を処理して例えば暦年による老化、ホルモンによる老化及び/または光老化により、皮膚科学的老化の徴候を予防、阻害、低下及び/または緩和する組成物及び方法を提供する。老化のこれらの徴候は、皮膚のもろさ、コラーゲン及び/エラスチンの損失、皮膚におけるエストロゲンの不均衡、皮膚の萎縮、すじ及び/またはしわ(細かいすじを含む)の外観及び/または深さ、皮膚の着色(眼のまわりのくまを含む)、皮膚のたわみ、皮膚の疲労及び/またはストレス例えば環境上(例えば汚染及び/または温度の変化)のストレスによる皮膚の吹き出物、皮膚の乾燥、皮膚のはがれ、細胞の老化、皮膚の色つや、はり及び/または光沢の損失、皮膚の硬さの損失、劣った皮膚の組織、皮膚の弾性及び/または弾力の回復の損失及び過敏な皮膚を含むが、これらに限定されない。
【0029】
皮膚の審美的外観への利点及び改善は、アルファまたはベータヒドロキシ酸、ケト酸または他の剥離剤に使用とともにまたはそれらなしで、以下の任意のものに現れる。毛穴のサイズの縮小、皮膚の色調、輝き、つや及び/または光沢の改善、抗オキシダント活性の促進、皮膚の硬さ、はり、しなやかさ及び/または軟らかさの改善、プロコラーゲン及び/またはコラーゲンの生成の改善、皮膚の組織の改善及び/または組織回復の促進、皮膚のバリヤの再生及び/または機能の改善、皮膚の輪郭の外観における改善、皮膚の光沢及び/または輝きの保存、老化及び/または閉経により低下した皮膚の必須栄養素及び/または成分の補給、皮膚細胞間の連絡の改善、細胞の増殖及び/または繁殖の増加、老化及び/または閉経により低下した皮膚細胞の代謝の増加、皮膚の保湿の改善、細胞のターンオーバーの促進及び/または加速、皮膚の厚さの増加、皮膚の弾性及び/または弾力の回復の増加並びに剥離化の向上。
【0030】
本発明による組成物が式Iの化合物を含むとき、組成物は、好ましくは、老化皮膚の以下の徴候を改善、緩和または治療する方法で使用される。組織、つや、色素沈着(まだら及び/または不連続)、細かいしわ、粗いしわ、悪い血色、弛緩、たるみ、ふくらみ、眼の下のふくらみ及び/または全体の光損傷。好ましくは、式Iの化合物は、3、3´−チオジプロピオン酸及び/またはその誘導体である。最も好ましくは、式Iの化合物は、3、3´−チオジプロピオン酸である。
【0031】
本発明の組成物は、嵩高かつ物理的な形をもたらすために、製薬上及び/または化粧上許容できる媒体を含む。好ましくは、媒体は、アレルゲン及び他の刺激する剤が色素沈着を悪化させるので、低アレルギー性である。好適な媒体は、セチルアルコール、エタノール、グリセリン、ミリスチルパルミテート、ポリビニルアルコール、プロピレングリコール、プロパノール及び水及びこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。色素除去/抗老化剤は、任意の他の助剤または成分とともに1つ以上の媒体と混合されて局所用組成物を形成する。本発明の組成物は、またリポソームの形で活性成分を含むことができる。
【0032】
本発明の組成物は、任意の好適な形例えば溶液、クリーム、漿液、スティック、パッチ、マスク、ぬれナプキン、ローション、エマルション、軟膏またはゲルをとることができる。
【0033】
本発明は、所望により、以下の成分の1つ以上を有することができる。麻酔薬、抗アレルギー薬、抗菌薬、抗敗血症薬、キレート剤、着色剤、保護剤、エモリエント、乳化剤、剥離剤、香料、湿潤剤、潤滑剤、モイスチャライザー、保存料、皮膚浸透増強剤、安定剤、表面活性剤、濃厚化剤、粘度変性剤、ビタミン及びこれらの混合物。
【0034】
本発明は、また従来の化粧品活性剤、例えば他の従来の色素沈着低下剤(例えばヒドロキノン、アスコルビン酸(ビタミンC)及び/または甘草抽出物、レチノイド例えばレチノールまたはレチノン酸)、抗炎症薬例えばビスアブロール、抗にきび薬例えばサルチル酸、剥離薬例えばアルファ−ヒドロキシ酸、ベータ−ヒドロキシ酸、ケト酸、オキサ酸またはオキサジ酸(米国特許5847003及び5834513に開示されている)、アスコルビル−ホスホリル−コレステロール(米国特許5866147に開示されている)、日焼け止め例えばオキシベンゾン、オクチルメトキシシンナメート、オクチルサリチレート、オクトクリレン、二酸化チタン、酸化亜鉛、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、メチレンビスベンゾトリアゾイルテラメチルブチルフェノール(MBBT)、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェノールトリアジン(BEMT)、または抗老化剤、またはこれらの任意の組み合わせを含むことができる。従来の色素沈着低下剤が本発明の組成物に含まれるとき、色素沈着低下剤が、本発明の色素除去剤の作用機構を補足する作用機構を有することが好ましい。好ましいアルファ−ヒドロキシ酸は、乳酸、グリコール酸またはこれらの混合物を含む。好ましいオキサジ酸は、3、6、9−トリオキサウンデカンジオン酸である。
【0035】
式Iの化合物、好ましくは3、3´−チオジプロピオン酸は、他のスキンケア活性剤、例えば上記に開示されたもの並びに米国特許6492326の5欄9行から20欄50行
(本明細書において参考として引用する)に開示されたスキンケア活性剤の有効性を向上させるのに使用できる
(実施例)
【0036】
【表1】

【0037】
本発明の組成物が、皮膚の審美的外観を改善するかまたは老化皮膚の徴候を改善、緩和及び/または治療するのに使用されるとき、好ましい抗老化剤は3、3´−チオジプロピオン酸である。3、3´−チオジプロピオン酸に加えて、化粧品組成物は、パルマトイルテトラペプチド−3(Sederma、フランスからRIGINの商品名で入手できる)、Gymnostemma pentaphyllum及び/またはそれからの抽出物、Stenolama chusana及び/またはそれからの抽出物、Morinda citrifolia及び/またはそれからの抽出物、Butea frondosa及び/またはそれからの抽出物、Luteoline7−ベータ−グルコシド、クロロサルチル酸、Naringi crenulata及び/またはそれからの抽出物、メチルチオアデノシン、フェルチニン、Ilex purpurea及び/またはそれからの抽出物、Asmunda japonica及び/またはそれからの抽出物、ラポンチン、Uncaria gambir及び/またはそれからの抽出物、ヨパン酸、エラグ酸、2、4、6、3、4−ペンタヒドロキシカルコン、Ligusticum chianxiongまたはそれからの抽出物、Azadirachta indica(ニーム)及び/またはそれからの抽出物、Aframomum melegueata及び/またはそれからの抽出物、2´アミノ4、5−メチルチアゾール、またはこれらの任意の組み合わせからなる群から選ばれる少なくとも1つの成分を含むのがさらに好ましい。さらに好ましくは、化粧品組成物は、前記の群から選ばれる少なくとも2つの成分を含む。
【0038】
本発明は、その好ましい形に特に参照して記述されたが、請求の範囲に規定された本発明の趣旨及び範囲から離れることなく種々の変化及び改変ができることは明らかである。本明細書で使用されるとき、単数は複数も意味する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)式(1)
【化1】

(式中、R及びRは、独立して、水素、置換または未置換かつ分枝または線状のアルキル、5つ以下の二重結合を有する置換または未置換かつ分枝または線状のアルケニル、5つ以下の三重結合を有する置換または未置換かつ分枝または線状のアルキニル、置換または未置換のアリール、置換または未置換のシクロアルキル、並びに置換または未置換のシクロアルケニルからなる置換基の基から選択される)
による化合物、並びに
(b)媒体
を含む皮膚の審美的外観を改善する化粧品組成物であって、
式1の化合物は皮膚の審美的外観を改善するのに有効な量で存在し、そして
改善は、暦年による老化の皮膚科学的徴候の低下、ホルモンによる老化及び/または光老化、皮膚の脆弱性の低下、毛穴のサイズの低下、コラーゲン及び/またはエラスチンの損失の予防及び/または反転、皮膚のエストロゲンの不均衡の作用の緩和、皮膚の萎縮の予防、すじ及び/またはしわの外観及び/または深さの予防及び/または低下、皮膚の緊張性の改善、皮膚のたるみの予防、低下及び/または緩和、抗酸化剤活性の促進、皮膚の硬さ、はり、しなやかさ及び/または軟らかさの改善、プロコラーゲン及び/またはコラーゲンの生成の改善、皮膚の組織及び/または組織回復の促進の改善、皮膚のバリヤの再生及び/または機能の改善、皮膚の輪郭の外観の改善、疲労及び/またはストレスの皮膚科学的徴候の最小化、環境によるストレスへの抵抗性、老化及び/または閉経により減少した皮膚内の必須栄養素及び/または成分の補給、皮膚細胞間の連絡の改善、細胞の増殖及び/または繁殖の増加、老化及び/または閉経により低下した皮膚細胞の代謝の増加、細胞の老化の阻止、皮膚細胞の老化を促進する皮膚の酵素の阻害、皮膚の乾燥の最低化及び/または皮膚の保湿の改善、細胞のターンオーバーの促進及び/または加速、皮膚の厚さの増加、皮膚の弾性及び/または弾力の回復の増加並びに剥離の増加からなる群から選ばれた少なくとも1つの改善であることを特徴とする化粧品組成物。
【請求項2】
式1の化合物が、組成物の全重量に基づいて約0.0001−約98重量%の量で存在する請求項1の組成物。
【請求項3】
式1の化合物が、組成物の全重量に基づいて約0.001−約30重量%の量で存在する請求項1の組成物。
【請求項4】
式1の化合物が3、3´−チオジプロピオン酸である請求項1の化粧品組成物。
【請求項5】
ヒドロキノン、アスコルビン酸、甘草抽出物、レチノイド、ビスアボロール、サリチル酸、オキサ酸、オキサジ酸、アルファヒドロキシ酸、ベータヒドロキシ酸、ケト酸及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選ばれる成分をさらに含む請求項1の化粧品組成物。
【請求項6】
乳酸、グリコール酸、3、6、9−トリオキサウンデカンジオン酸及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選ばれる請求項5の化粧品組成物。
【請求項7】
パルマトイルテトラペプチド−3、Gymnostemma pentaphyllum及び/またはそれからの抽出物、Stenolama chusana及び/またはそれからの抽出物、Morinda citrifolia及び/またはそれからの抽出物、Butea frondosa及び/またはそれからの抽出物、Luteoline7−ベータ−グルコシド、クロロサルチル酸、Naringi crenulata及び/またはそれからの抽出物、メチルチオアデノシン、フェルチニン、Ilex purpurea及び/またはそれからの抽出物、Asmunda japonica及び/またはそれからの抽出物、ラポンチン、Uncaria gambir及び/またはそれからの抽出物、ヨパン酸、エラグ酸、2、4、6、3、4−ペンタヒドロキシカルコン、Ligusticum chianxiongまたはそれからの抽出物、Azadirachta indica(ニーム)及び/またはそれからの抽出物、Aframomum melegueata及び/またはそれからの抽出物、2´アミノ4、5−メチルチアゾール、またはこれらの任意の組み合わせからなる群から選ばれる成分をさらに含む請求項1の化粧品組成物。
【請求項8】
改善を必要とする皮膚に化粧上有効な量の請求項1の組成物を局所的に適用することからなる皮膚の審美的外観を改善する方法であって、改善が、暦年による老化の皮膚科学的徴候の低下、ホルモンによる老化及び/または光老化、皮膚の脆弱性の低下、毛穴のサイズの低下、コラーゲン及び/またはエラスチンの損失の予防及び/または反転、皮膚のエストロゲンの不均衡の作用の緩和、皮膚の萎縮の予防、すじ及び/またはしわの外観及び/または深さの予防及び/または低下、皮膚の緊張性の改善、皮膚のたるみの予防、低下及び/または緩和、抗酸化剤活性の促進、皮膚の硬さ、はり、しなやかさ及び/または軟らかさの改善、プロコラーゲン及び/またはコラーゲンの生成の改善、皮膚の組織及び/または組織回復の促進の改善、皮膚のバリヤの再生及び/または機能の改善、皮膚の輪郭の外観の改善、疲労及び/またはストレスの皮膚科学的徴候の最小化、環境によるストレスへの抵抗性、老化及び/または閉経により減少した皮膚内の必須栄養素及び/または成分の補給、皮膚細胞間の連絡の改善、細胞の増殖及び/または繁殖の増加、老化及び/または閉経により低下した皮膚細胞の代謝の増加、細胞の老化の阻止、皮膚細胞の老化を促進する皮膚の酵素の阻害、皮膚の乾燥の最低化及び/または皮膚の保湿の改善、細胞のターンオーバーの促進及び/または加速、皮膚の厚さの増加、皮膚の弾性及び/または弾力の回復の増加並びに剥離の増加からなる群から選ばれた少なくとも1つの改善であることを特徴とする皮膚の審美的外観を改善する方法。
【請求項9】
式1の化合物が3、3´−チオジプロピオン酸である請求項8の方法。
【請求項10】
改善が、暦年による老化の皮膚科学的徴候の低下、ホルモンによる老化及び/または光老化、すじ及び/またはしわの外観及び/または深さの予防及び/または低下、皮膚の緊張性の改善、皮膚の硬さ、はり、しなやかさ及び/または軟らかさの改善、並びに皮膚の組織及び/または組織回復の促進の改善からなる群から選ばれた少なくとも1つの改善である請求項8の方法。
【請求項11】
改善が、疲労及び/またはストレスの皮膚科学的徴候の最小化、環境によるストレスへの抵抗性、プロコラーゲン及び/またはコラーゲンの生成の改善、コラーゲン及び/またはエラスチンの損失の予防及び/または反転、皮膚の乾燥の最低化及び/または皮膚の保湿の改善、皮膚の厚さの増加、皮膚の弾性及び/または弾力の回復の増加、皮膚のエストロゲンの不均衡の作用の緩和、並びに剥離の増加からなる群から選ばれた少なくとも1つの改善である請求項8の方法。
【請求項12】
その必要のある皮膚に、皮膚科学的老化の徴候を予防、緩和、阻害及び/または低下させるのに有効な量の請求項1の組成物を局所的に適用することを特徴とする皮膚科学的老化の徴候を予防、緩和、阻害及び/または低下させる方法。
【請求項13】
式1の化合物が3、3´−チオジプロピオン酸である請求項12の方法。
【請求項14】
老化の徴候が、皮膚の脆弱性、コラーゲン及び/またはエラスチンの損失、皮膚の萎縮、すじ及びしわの外観及び/または深さ、皮膚のたるみ、皮膚の疲労及び/またはストレス、皮膚の乾燥、皮膚のはがれ、細胞の老化、皮膚の色調、つや及び/または光沢の損失、皮膚の硬さの損失、低下した皮膚の組織、皮膚の弾性及び/または弾力の回復の損失並びに過敏な皮膚である請求項12の方法。
【請求項15】
組成物が、
(i)式II
【化2】

(式中、nは1−4の整数である)
(ii)式III
【化3】

(iii)シソ油、
(iv)クロフィブレートまたはそのアナログ/誘導体、そして
(v)これらの任意の組み合わせ
からなる群から選ばれる色素除去剤をさらに含み、色素除去剤は、皮膚の色素沈着過度を予防または緩和するのに有効な量で存在する請求項8の方法。
【請求項16】
組成物が、ヒドロキノン、アスコルビン酸、甘草抽出物、レチノイド、ビスアボロール、サリチル酸、オキサ酸、オキサジ酸、アルファヒドロキシ酸、ベータヒドロキシ酸、ケト酸及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選ばれる成分をさらに含む請求項15の方法。
【請求項17】
成分が、乳酸、グリコール酸、3、6、9−トリオキサウンデカンジオン酸及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選ばれる請求項16の方法。
【請求項18】
改善を必要とする皮膚に、化粧上有効な量の請求項1の組成物を局所的に適用することからなる皮膚の審美的外観を改善する方法であって、改善が、暦年による老化の皮膚科学的徴候の低下、ホルモンによる老化及び/または光老化、皮膚の脆弱性の低下、毛穴のサイズの低下、コラーゲン及び/またはエラスチンの損失の予防及び/または反転、皮膚のエストロゲンの不均衡の作用の緩和、皮膚の萎縮の予防、すじ及び/またはしわの外観及び/または深さの予防及び/または低下、皮膚の緊張性の改善、皮膚のたるみの予防、低下及び/または緩和、抗酸化剤活性の促進、皮膚の硬さ、はり、しなやかさ及び/または軟らかさの改善、プロコラーゲン及び/またはコラーゲンの生成の改善、皮膚の組織及び/または組織回復の促進の改善、皮膚のバリヤの再生及び/または機能の改善、皮膚の輪郭の外観の改善、疲労及び/またはストレスの皮膚科学的徴候の最小化、環境によるストレスへの抵抗性、老化及び/または閉経により減少した皮膚内の必須栄養素及び/または成分の補給、皮膚細胞間の連絡の改善、細胞の増殖及び/または繁殖の増加、老化及び/または閉経により低下した皮膚細胞の代謝の増加、細胞の老化の阻止、皮膚細胞の老化を促進する皮膚の酵素の阻害、皮膚の乾燥の最低化及び/または皮膚の保湿の改善、細胞のターンオーバーの促進及び/または加速、皮膚の厚さの増加、皮膚の弾性及び/または弾力の回復の増加並びに剥離の増加であることを特徴とする皮膚の審美的外観を改善する方法。
【請求項19】
老化の徴候が、すじ及び/またはしわの外観及び/または深さの予防及び/または低下、皮膚の硬さ、はり、しなやかさ及び/または軟らかさの改善、並びに皮膚の組織及び/または組織回復の促進の改善からなる群から選ばれる請求項18の方法。

【公表番号】特表2006−514997(P2006−514997A)
【公表日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518232(P2005−518232)
【出願日】平成16年5月7日(2004.5.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/014468
【国際公開番号】WO2004/100889
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(399130393)エイボン プロダクツ インコーポレーテッド (75)
【Fターム(参考)】