皮膚を脱色するためのフェオダクチルム科藻類抽出物の使用
本発明は、藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムの抽出物の、特に皮膚の色素沈着斑の低減若しくは除去、又は肌色若しくは体毛若しくは頭髪の明色化を目的とした脱色活性剤としての、化粧用組成物における使用に関する。
該抽出物は、脂質抽出物であることが好ましい。
本発明は、皮膚の色素沈着斑の低減若しくは除去、又は肌色若しくは体毛若しくは頭髪の明色化のための美容ケア法において、この抽出物を含有する化粧用組成物の、皮膚の少なくとも1つの関心領域への適用を含むことを特徴とする美容ケア法にも関する。
該抽出物は、脂質抽出物であることが好ましい。
本発明は、皮膚の色素沈着斑の低減若しくは除去、又は肌色若しくは体毛若しくは頭髪の明色化のための美容ケア法において、この抽出物を含有する化粧用組成物の、皮膚の少なくとも1つの関心領域への適用を含むことを特徴とする美容ケア法にも関する。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツム(Phaeodactylum tricornutum)抽出物の、化粧用脱色剤としての使用、及び色素沈着斑の低減若しくは除去、又は肌色、体毛若しくは頭髪の明色化のための美容スキンケア法にも関する。
【0002】
当技術分野では、多くの脱色剤が知られている。
【0003】
プロテアソームは、損傷タンパク質の除去を特に担っているため、細胞維持に非常に重要な細胞内のタンパク質分解多酵素複合体である(Friguet B.ら、Protein degradation by the proteasome and its implication in ageing、Ann. NY Acad. Sci. (2000) 908: 143〜154)。プロテアソーム系は、触媒複合体、プロテアソーム20S、並びにその活性及び特異性に影響を及ぼす複数のレギュレーターから形成される。レギュレーター19Sのプロテアソーム20Sとの会合は、ユビキチンタンパク質の分解を実施するプロテアソーム26Sを形成する。該プロテアソームは、哺乳類細胞中、細胞質ゾル及び核の両方に位置し、小胞体及び細胞膜との相互作用が存在する。プロテアソーム20Sは、700kDaの分子量を有し、α型又はβ型の遺伝子によってコードされた14個の異なるサブユニットからなる。14個の該サブユニットは、7個のサブユニットの4つの環の円柱状の積重ねとして配置され、頂端の環はαサブユニットから形成され、中央の環はβサブユニットから形成されている。このタンパク分解複合体は、塩基性残基(「トリプシン様」活性)、疎水性残基(「キモトリプシン様」活性)及び酸性残基(「ペプチジルグルタミルペプチド加水分解酵素」活性)のC末端部で、タンパク質を優先的に切断する。これらのペプチダーゼ活性は、3個の異なるβサブユニットが担い、その構造内に位置しており、したがって、細胞タンパク質の時機を失した分解を回避するが、活性部位がその潜在的基質へ接近し難いという問題を生じる。最後に、細胞老化の過程において、プロテアソーム活性の減少によって少なくとも部分的に説明される、酸化によるアミノ酸の修飾のサインである、カルボニル基を保有する損傷タンパク質の蓄積が生じる(Petropoulos, I.ら、Increase of oxidatively modified protein is associated with a decrease of proteasome activity and content in aging epidermal cells.J.Gerontol.A.Biol.Sci.(2000)55A:B220〜227及びFriguet B.、Oxidized protein degradation and repair in ageing and oxidative stress、FEBS Letters(2006)580:2910〜2916)。
【0004】
さらに、Ando H.ら、in Fatty acids regulate pigmentation via proteasomal degradation of tyrosinase: a new aspect of ubiquitin−proteasome function.J.Biol.Chem、(2004).279:15427〜33は、B16F10細胞(安定にメラニンを発現し、生成するマウスメラノサイト株)中で、プロテアソーム依存性タンパク質分解を介してチロシナーゼが分解され、この分解が、リノール酸を用いた処理後に刺激され得るか、又は反対に、パルミチン酸を用いた処理を介して減少され得ることを実証した。
【0005】
藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムは、植物プランクトンの一部を構成し、温帯気候由来の珪藻類の単細胞藻類である。
【0006】
本出願人名の国際特許出願の国際公開第02/080876号パンフレットは、この藻類抽出物の、UVへの曝露の有害な影響から皮膚を積極的に保護するため、又は皮膚の老化の影響を予防若しくは抑制するための化粧剤としての使用について開示している。
【0007】
前記国際特許出願によると、この化粧剤の特性は、この抽出物が、皮膚細胞、特にケラチノサイトのプロテアソームの活性化を促進し、したがって酸化タンパク質の分解促進につながるという事実によって説明される。
【0008】
少なくとも1種の光合成海洋及び/又は淡水微生物の清澄化培養培地の調製プロセス、並びに、特に化粧品の分野におけるこの清澄化培養培地の使用は、国際特許出願の国際公開第2006/008401号パンフレットにも記載されている。
【0009】
前記文献は、該清澄化培養培地の可能な用途の中で、着色剤又は脱色剤としての用途について述べているが、バイオマス自体又はその抽出物の使用については全く触れていない。その上、前記文献は、藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムの清澄化物質が、脱色特性を全く有していないことを示している。
【0010】
皮膚色素沈着の形成機構が、メラノサイトにおけるメラニンの合成を伴うことが想起される。この機構は、以下の主要ステップを概略的に伴う。
チロシン→ドーパ→ドーパキノン→ドーパクロム→メラニン
【0011】
チロシナーゼは、この一連の反応において重要な役割を果たす酵素である。チロシナーゼは、メラニン色素の形成につながる、チロシンをドーパ(ジヒドロキシフェニルアラニン)へ変換するための反応、及びドーパをドーパキノンへ変換するための反応を特に触媒する。
【0012】
ある物質は、メラノサイトに、これらの細胞の活性を抑制することにより直接作用する場合、又はメラニン生合成のステップの1つをブロックする場合、脱色剤として認められる。検討中の物質が、メラニン形成に関与する酵素のうちの1種を抑制する場合が特にそうである。
【0013】
驚くべきことに、本発明者らは、藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムの抽出物が、注目すべき皮膚脱色特性を有することを証明したが、それに対し、上述した科学的刊行物(Andoら、J.Biol.Chem.(2004)279、15427〜33)によれば、チロシナーゼ分解に対するその阻害活性が知られているこの同一の藻類は、相当量のパルミチン酸を含有すると考えられている。
【0014】
したがって、第1の態様によると、本発明は、藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムの抽出物の、特に色素沈着斑の低減若しくは除去、又は肌色、体毛若しくは頭髪の明色化を目的とした脱色活性剤としての、化粧用組成物における使用に関する。
【0015】
この第1の態様によると、本発明は、より具体的には、該活性剤が、皮膚の脱色又は退色を目的とした使用に関する。
【0016】
第2の態様によると、本発明は、この抽出物を含有する化粧用組成物の、皮膚の少なくとも1つの関心領域への適用を含むことを特徴とする、皮膚の色素沈着斑の低減若しくは除去、又は肌色、体毛若しくは頭髪の明色化のための美容ケア法に関する。
【0017】
この第2の態様によると、該抽出物は、所望の効果を得るのに効果的な量、特に、皮膚におけるチロシナーゼ分解の刺激を誘発するのに効果的な量で使用される。
【0018】
上記2つの態様では、該藻類抽出物は、好ましくは0.001重量%と5重量%の間、より好ましくは0.001重量%と1重量%の間の濃度で、該組成物において使用される。
【0019】
本発明の発明者らによって実施された試験は、該抽出物が、その脂肪酸含量が高くなるにつれてより活性であることを示した。
【0020】
このことが、可能な限り脂肪酸が豊富なフェオダクチルム・トリコルヌーツムの抽出物が、好ましくは少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも60重量%の脂肪酸を含有する抽出物が、本発明の2つの各態様に従って使用されると見込まれる理由である。
【0021】
高脂肪抽出物を得るためのプロセスは、そのような抽出物を得るのに使用され得る。
【0022】
第1の変法によると、高脂肪抽出物を得るために、脂肪酸を抽出するのに十分に無極性である溶媒又は溶媒媒体を用いた抽出の少なくとも1つのステップを含むプロセスが使用されるであろう。
【0023】
そのような溶媒又は溶媒媒体は、以下で無極性溶媒と呼ぶ。
【0024】
以下に述べるそのような無極性溶媒の例としては、イソプロパノール、ヘキサン、シクロヘキサン及びヘプタンが挙げられる。
【0025】
しかし、無極性溶媒を用いた該藻類のそのような処理ステップに限定せずに、多くの場合に、無極性溶媒を用いた抽出ステップの他に、極性溶媒を用いた少なくとも1つの抽出ステップを含む、一連の抽出ステップを使用することが有利である。
【0026】
極性溶媒を用いたそのような抽出ステップの結果は、エステル化脂肪酸、特にグリセリドの加水分解を引き起こし、それらを塩形態で抽出することである。
【0027】
有利には、無極性溶媒を用いた抽出の少なくとも1つのステップを含むそのようなプロセスは、C1〜C6アルコール、水−アルコール又はこれらのアルコールの混合物、エチレングリコールなどのC2〜C6多価アルコール、クロロホルム及びジクロロメタンなどの塩素系溶媒、酢酸エチルなどのC3〜C6有機酸エステル、ヘプタン、ヘキサン又はシクロヘキサンなどのC6〜C10アルカン、並びにジイソプロピルエーテルなどのC5〜C8エーテルから選択された抽出溶媒を用いた抽出の少なくとも1つのステップを特に含み、前記溶媒は、場合によって塩基性化されている。
【0028】
本発明の抽出物の調製に使用されるプロセスの特に有利な一変法によると、該藻類は、塩基性化された水−アルコール混合物を用いた抽出の第1のステップへ付され、前記水−アルコール混合物のアルコールは、イソプロパノール、エタノール及びメタノールから選択されることが好ましく、前記ステップは、脂肪酸が、水−アルコール相において塩化形態で回収されることを可能にする。
【0029】
それに従って該藻類が第1のステップで塩基性化された水−アルコール混合物を用いて処理される、上記プロセスの特に有利な一変法によると、こうして回収された画分は、無極性相中で、特に脂肪酸が豊富な抽出物を回収することを目的とした様々な操作に付される。
【0030】
具体的には、塩基性化された水−アルコール混合物は、無極性溶媒を使用した液液抽出ステップへそれをかける前に酸性化される。
【0031】
そのようなプロセスは、前記無極性溶媒の除去により、前記抽出物を含有する油を回収するステップも含む。
【0032】
この無極性溶媒は、ヘプタン、ヘキサン又はシクロヘキサンであることが有利であろう。
【0033】
一般に、任意の抽出操作の前に、該藻類が凍結されることが有利である。好ましくは、凍結は、約−40℃と−20℃の間の温度で、好ましくは約1日と7日の間実施される。この先行ステップは、シリカ(藻類細胞の骨格から得られた)のデカンテーションを促進するように、後に抽出溶媒との接触によって熱ショックを与えるために、有利に使用される。次いで、該藻類は、その抽出溶液と接触される。
【0034】
有利な一変形実施形態によると、凍結された藻類は、加熱抽出溶媒中に直接浸漬される。
【0035】
藻類の抽出溶媒における室温での浸軟も、有利に実施される。
【0036】
有利な一変形実施形態によると、該藻類の浸軟は、室温で、好ましくは約5分と80分の間、より好ましくは約20分と40分の間実施される。
【0037】
さらに別の有利な変形実施形態によると、該抽出は、還流させながら実施される。
【0038】
さらに別の有利な変形実施形態によると、該抽出は、不活性雰囲気下、好ましくは窒素飽和雰囲気下で実施され得る。このことは、活性分子の顕著な酸化分解を特に回避することを可能にする。
【0039】
この抽出物は、窒素などの不活性ガス下で、場合により、活性分子を保護するために抗酸化剤も添加して、調節することが有利である。
【0040】
有利な一変形実施形態によると、使用される抽出溶媒の量は、藻類の乾量として表現される該藻類の量100gについて、約0.1リットルと20リットルの間、好ましくは約2リットルと10リットルの間である。
【0041】
無極性溶媒を用いた抽出ステップの前に、塩基性化された水−アルコール混合物を用いた抽出が行われるプロセスの別の有利な変法によると、上述の藻類抽出物は、そのいくつかを以上に記載した、以下の一連のステップの後に得られる。
a)該藻類が、前述の通り凍結され、次いで、抽出溶媒中に浸漬される、
b)該藻類の浸軟が実施される、
c)抽出溶媒が、例えば、水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液を用いて、pH10〜14、好ましくはpH13に塩基性化される、
d)不溶性物質が、水−アルコール相から除去される、
e)蒸留水が、水−アルコール相へ添加される、
f)こうして得られた水−アルコール溶液は、水−アルコール相と混和しない無極性溶媒、例えば、ヘプタン、ヘキサン又はシクロヘキサンを用いた液液プロセスを介して洗浄される、
g)無極性溶媒を含有する層が除去される、
h)無極性溶媒を含有する層の除去後に回収された水−アルコール相が、例えば、硫酸水溶液又は塩酸水溶液を用いて、pH1〜3、好ましくはpH2に酸性化される、
i)酸性化後に得られた溶液は、アルコール相又は水−アルコール相と混和しない無極性溶媒、例えば、ヘプタン、ヘキサン又はシクロヘキサンを用いた液液抽出を受ける、
j)次いで、水−アルコール相が除去される、
k)水−アルコール相の除去後に回収された無極性溶媒を含有する層は、本発明によって所望される抽出物である、無極性溶媒を含まない油を得るために、蒸発を受ける。
【0042】
塩基性化され、次いで酸性化されたアルコールの使用は、化粧用組成物において許容可能な視覚及び嗅覚の特性(黄色、及び許容可能な臭気)を有する抽出物を得ることを可能にする。
【0043】
本発明の次に有利な実施形態によると、上述の藻類抽出物は、超臨界CO2を用いて該藻類を抽出することによって得られる。この特定の溶媒の使用は、該藻類が、前もって凍結乾燥されていたことを前提とする。
【0044】
本発明の他の特徴、目的及び利点は、本発明の範囲を全く制限しないものである実例として単に示す、本発明の複数の実施例、及び比較活性試験、及び化粧用組成物の配合例への参照と共に示す、以下の説明的記載の観点から明白に現れるであろう。
【0045】
実施例では、別段の定めのない限り、示す割合は、重量パーセントとして表現する。温度は、摂氏であり、圧力は、大気圧である。
【0046】
各図は、実施例のセクションIIで示す試験を参照しながら示す。それらは、それぞれ、比較すると、以下のものを例示する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1A】キモトリプシン様活性を示す図である。
【図1B】ポストグルタミン酸様加水分解酵素活性を示す図である。
【図1C】トリプシン様活性を示す図である。
【図2A】24時間での溶解に関して得られた、抗プロテアソームウェスタンブロットの結果を示す図である。
【図2B】72時間での溶解に関して得られた、抗プロテアソームウェスタンブロットの結果を示す図である。
【図3A】24時間での溶解に関して得られた、抗ユビキチンウェスタンブロットの結果を示す図である。
【図3B】72時間での溶解に関して得られた、抗ユビキチンウェスタンブロットの結果を示す図である。
【図4A】24時間での溶解に関する、抗チロシナーゼウェスタンブロットの結果を示す図である。
【図4B】72時間での溶解に関する、抗チロシナーゼウェスタンブロットの結果を示す図である。
【図5】チロシナーゼ活性の測定値を示す図である。
【図6】免疫沈降試験の結果を示す図である。
【実施例】
【0048】
[I.本発明による抽出物の調製]
[実施例1:第1のプロセスに従った、イソプロパノール(IPA)などの極性溶媒を用いた抽出]
該プロセスの好ましい様式によると、該抽出全体は、活性分子の顕著な分解を回避するために、不活性雰囲気下(窒素による飽和)で実施する。
【0049】
この実施例では、250kgのバイオマス(フェオダクチルム・トリコルヌーツム)を使用する。
【0050】
次いで、−20℃で凍結したこのバイオマスを、撹拌しながら、80〜83℃で還流させたイソプロパノール(IPA)中に浸漬する。熱ショックは、シリカ(該藻類細胞の骨格から得られた)のデカンテーションを促進する。
【0051】
使用する溶媒の量は、バイオマス中に含有される水1リットル当たりIPA10リットルである。したがって、固形物の割合が30%の場合、上述の250kgのバイオマスは、次のように75kgの固形物量と175kgの水に区分される。この場合、使用するIPAの量は、1750kgである。
【0052】
全体(バイオマス+IPA)を、約80℃で撹拌しながら30分還流させ、次いで、約50℃に冷却する。バイオマス及びIPAを約50℃に冷却した後、消耗したバイオマス/IPA中に溶解した藻類抽出物の分離を実施するために、その全体を、Guedu型の濾過装置へ移す。
【0053】
該抽出物を、バッチ式反応期中で濃縮する(濃縮係数=71.5)。濃縮抽出物は、油状の外観を有する。
【0054】
次いで、この油性抽出物を、油1kg当たり溶媒10kgの割合で、冷IPA中に溶解する。撹拌を20分継続する。次いで、その液体を濾過する(それが残留粘着性スラッジの除去を可能にする)。
【0055】
脱色及び脱臭処理を、80リットルSchott反応器中の2つのバッチで実施し、ゼオライト及び活性炭の添加により、室温で30分継続する。添加したゼオライト(Absent2000、供給業者UOP)の量は0.94kgであり、活性炭(CXV、供給業者CECA)の量は1.6kgである。炭対ゼオライト比率は、1.7である。
【0056】
次いで、ゼオライト及び炭を、紙による濾過により除去する。
【0057】
抗酸化剤(最終重量濃度0.05%のDL−α−トコフェロール及び最終重量濃度0.05%のパルミチン酸アスコルビル)を、原液を介してIPAに組み込む。
【0058】
次いで、抗酸化剤を含有する濾液を、窒素などの不活性ガス下で、茶色の油が得られるまで、バッチ式に濃縮する。
【0059】
この油は、以下で、藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムの本発明による抽出物E1と呼ぶ。
【0060】
[実施例2:二段階の第2のプロセスに従った抽出]
該抽出は、250kgのバイオマス(フェオダクチルム・トリコルヌーツム)から得られた49.8kgの凍結乾燥質量、すなわち、約20%の乾燥質量を、9kgの30.5%水酸化ナトリウム水溶液を用いて塩基性化した96%無水エタノール539kgに分散させることによって開始する。エタノールの還流温度及び窒素雰囲気下での30分の浸軟後、その全体を18℃に冷却する。
【0061】
次いで、不溶性物質を、窒素下での吸引濾過によって分離し、棄却する。
【0062】
151kgの蒸留水を、573.9kgの濾液へ添加する。この水−アルコール相を、ゆっくりと10分撹拌し、次いで、162kgのヘプタンを用いた液液プロセスによって洗浄する。液液分配のヘプタン上相を除去する。該抽出の開始時に実施した塩基性化の結果として、塩形態の脂肪酸を含有するので、下相を回収する。ヘプタン洗浄操作を、さらに2回繰り返し、下相を系統的に回収する。
【0063】
こうして得た720kgの下相を、pHを2.2にし、したがって酸の形態の脂肪酸を得るために、2.8kgの硫酸を添加することにより酸性化する。その溶液全体を、窒素下で10分撹拌し、次いで、この場合は158kgのヘプタンの画分によって形成されている無極性溶媒を用いた液液抽出にかける。遊離脂肪酸を含有する5つの画分から得た、合計で697kgのヘプタン相を回収するために、該ヘプタン洗浄操作を、さらに5回繰り返す。回転蒸発器上で、次いで分子蒸留によって蒸発乾固したこの相は、本発明による活性抽出物、すなわち、0.65kgの油量を生じる。
【0064】
生成した油は、均一な液体であり、暗黄色である。
【0065】
この油は、以下で、藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムの本発明による抽出物E2と呼ぶ。
【0066】
上述のプロセスに従って得た抽出物E2は、以下の脂肪酸組成を有する(重量パーセント)。
− ミリスチン酸 4.16%
− パルミチン酸 13.82%
− パルミトオレイン酸 16.48%
− エイコサペンタエン酸 24.75%
− ドコサヘキサエン酸 1.75%
【0067】
[II.メラノサイトプロテアソーム及びこれらのメラノサイトのチロシナーゼ活性に対する、本発明の抽出物の活性を証明するための試験]
[1.試験の原理]
以下で記載する試験は、本発明の抽出物の、メラノサイトプロテアソームの様々な活性に対する影響を、このプロテアソームの様々な活性を測定することにより特徴づけることを目的としている。
【0068】
各試験は、本発明の抽出物の、ユビキチンタンパク質の量に対する影響を特徴づけることも目的としている。
【0069】
各試験は、本発明の抽出物の、チロシナーゼの量及びその活性に対する影響を特徴づけることも目的としている。
【0070】
このセクションで記載する全ての試験は、上記実施例2に従って調製した抽出物E2を使用して実施した。
【0071】
[2.材料及び方法]
[2.1 プロテアソーム活性及びチロシナーゼ活性を分析するためのMNT1細胞(ヒトメラノサイト細胞株)の処理]
【0072】
[2.1A:細胞培養]
[使用する試薬を、以下で本文中に規定する。]
a)従う手順
[D0での接種]
・MNT1、106細胞/直径35mmのシャーレ、3点
・MNT1培地、2mL/シャーレ(以下の構成を参照)
[D1での処理]
− リノール酸 25μM
− パルミチン酸 25μM
− フェオダクチルム 5μg/mL
MNT1培地中
+1%BSA+ビタミンE 50μM+ビタミンC 1mM
− リノール酸 25μM
− パルミチン酸 25μM
− フェオダクチルム 5μg/mL
MNT1培地中
+1%BSA(ウシ血性アルブミン)+ビタミンE 50μM+ビタミンC 1mM
37℃で1時間、磁気撹拌子で撹拌する
[− D4での第2の処理]
+シクロへキシミド 1μg/mL(タンパク合成阻害剤)
+チロシナーゼ活性を分析するための120nM Mg132。
− 4時間後の溶解物の調製
PBS(リン酸緩衝生理食塩水)を用いた2回のすすぎ洗い
氷のベッド上、掻取りによる150μLの溶解緩衝液での回収。
−20℃で凍結
− ブラッドフォード法を介したタンパク質分析
− プロテアソーム活性分析
【0073】
[b)培地及び試薬]
[− MNT1培地]
DMEM 4.5g/mLのグルコース(Gibco:61965−026)
+20%FCS
+10%追加AIMV(Gibco:12055−091)
+1%ピルビン酸ナトリウム 100mM(Gibco:12360−039)
+1%非必須アミノ酸、NEAA(Gibco:11140−035)
【0074】
[− 原液]
− リノール酸(Sigma;L1012)
EtOH中2.8mg/mL(培地中0.25%)
− パルミチン酸(Sigma;P5585)
EtOH中2.56mg/mL(培地中0.25%)
− フェオダクチルム
EtOH中2mg/mL(培地中0.25%)
− ビタミンC
PBS中25.6mg/mL(培地中1%)
− ビタミンE
EtOH中21.55mg/mL(培地中0.1%)
− Mg132(Sigma;C2211)
DMSO中120μM(培地中0.1%)
− シクロへキシミド(Sigma;C7698)
【0075】
[− 溶解緩衝液]
トリス−HCl 1.5M、pH7.5
45.375gのトリス塩基(Sigma;T1503)を、200mLの蒸留水中に溶解する、
12N HClを用いて、pHを7.5に調整し、次いで250mLにする
1Mスクロース溶液(Merck;ref.7654)
8.55gを20mLの蒸留水中に溶解し、次いで25mLに調整する。
2mM MgSO4溶液(Sigma;ref.M7506)
6mgを25mLの蒸留水中に溶解する。
又は、MgSO4.7H2O(Sigma;ref.M5921)12.4mgを25mLの蒸留水中に溶解する;
4℃で保存する。
4%トリトンX100溶液(Sigma;ref.X100)
0.8gを20mLの蒸留水中に溶解する(非常にゆっくりと)
0.5mL分量を採取し、−20℃で保存する
40mM PMSF溶液(Sigma;ref.P7626)
14mgを2mLの無水エタノール中に溶解する。
50mL分量を採取し、4℃で9カ月保存する
0.5mg/mLロイペプチン溶液(Sigma;ref.L2884;−20℃で保存)
水溶性。50μL分量を採取し、−20℃で1カ月保存する。
1M DL−ジチオスレイトール溶液(Sigma;ref.D0632;4℃で保存)
0.154gを1mLの蒸留水中に溶解する。
10μL分量を採取し、−20℃で保存する。
500mMEDTA四ナトリウム溶液(Sigma;ref.ED4S)
3.8gを20mLの蒸留水中に溶解する;4℃で保存する。
【0076】
[− 溶解緩衝液の調製(100mL当たり)]
そこから4.39mL分量を採取する、−20℃で保存する不完全な溶液の調製:
【表1】
【0077】
完全な溶液を、
4.39mLの不完全溶液
+500μLの4%トリトンX100
+10μLのDTT(ジチオスレイトール)、1M
+50μLの0.5mg/mLロイペプチン
+50μLの40mM PMSF(硫化フェニルメタンスルホニル)
を用いて即時調製する。
酵素活性分析については、ロイペプチンは、プロテアソームの活性を抑制するため、添加しない。
【0078】
[2.1B:ブラッドフォード法を介したタンパク質分析]
(刊行物「A Rapid and Sensitive Method for the Quantitation of Microgram Quantities of Protein Utilizing the Principle of Protein−Dye Binding」、Bradford M.Anal.Biochem.(1976)72:248〜254を参照)
【0079】
[a)校正範囲量の調製:]
BSA原液:50μg/mL(BIORAD;タンパク質標準試料:ref.500−0006)
【表2】
【0080】
各チューブ中:200μLのクーマシーブルーG250を添加。
クーマシーブルーは、その原液の5倍希釈によって即時調製する。
【0081】
[b)試料の調製:]
そのプロセスを、以下の通り実施する。
− 溶解緩衝液中の細胞の回収、次いで、超音波処理、次に、タンパク質濃度の分析
タンパク質濃度>3mg/mLである場合、10倍希釈を実施し、次いで、
100μLの希釈細胞抽出物
+700μLのMilliQ水
+200μLのブルー
を、又は、濃度が低い場合は、
10μLの細胞抽出物
+790μLのMilliQ水
+200μLのブルー
を入れる。
− ボルテックスにより撹拌し、5分待ち、次いで、595nmで読み取る
【0082】
[2.1C:プロテアソーム活性分析]
該細胞を、PBSを用いて2回すすぎ洗いし、次いで、特定のプロテアソーム阻害剤MG132(Leu−Leu−ロイシナール)の存在下及び非存在下で、各活性に特異的な蛍光原ペプチド基質を使用して、プロテアソームの各ペプチダーゼ活性を測定する。ペプチド基質生成物は、以下のものである。キモトリプシン様活性についてはLeu−Leu−Val−Tyr−amc(LLVY−amc)、ポストグルタミン酸加水分解酵素活性についてはLeu−Leu−Glu−na(LLE−na)及びトリプシン様活性についてはLeu−Ser−Thr−Arg−amc(LSTR−amc)。分析の原理は、蛍光原ペプチドからの蛍光体アミノメチルクマリン又はβ−ナフチルアミンの放出が原因の、蛍光の増加を経時的に監視することにある。
【0083】
[a)LLVY活性(キモトリプシン様)]
[a.1−原理]
プロテアソーム
(LLVY活性
(キモトリプシン様))
N−サクシニル−LLVY−MCA−−−−−→N−サクシニル−LLVY+蛍光MCA
350nmの励起波長及び440nmの発光波長での、分光蛍光計を用いた読み取り。
【0084】
[a.2−試薬]
− TRIS25mM緩衝液pH7.5
− 7−アミノ−4−メチルクマリン(MCA)(Sigma:A9891)
20mM原液(3.5mg/1mL DMSO)
− 蛍光原基質:N−サクシニル−Leu−Leu−Val−Tyr−7−アミド−4−メチルクマリン(Sigma:S6510)
DMSO中の10mM原液
【0085】
[a.3−MCA(7−アミノ−4−メチルクマリン)校正範囲量]
そのプロセスを、以下の通り実施する。
− MCA原液を、TRIS緩衝液中で4μMに希釈する。
− 96ウェルプレート中で、各量を2点分配する。
【表3】
− ブランク液の調製:200μLのTRIS緩衝液。
− 350nmの励起波長及び440nmの発光波長で、分光蛍光計上で読み取る。355nm及び460nm、利得40で、FLUOstar(BMG)を用いる。
【0086】
[a.4−LLVY活性(キモトリプシン様)の分析]
そのプロセスを、以下の通り実施する。
− 96ウェルプレート中に、一定容積の細胞溶解物(20μgのタンパク質に相当すべき、各試料の最低タンパク質濃度から求める)を2点導入し、TRIS緩衝液を用いて100μLにする。
− TRIS緩衝液中で25μMに予め希釈した100μLのLLVY−MCA基質(最終12.5μM)を添加する。
− 355nmの励起波長及び460nmの発光波長、利得40で、2分毎に30分、分光蛍光計を読み取る。
【0087】
[a.5−結果]
未加工の結果を、F.U./分で表現し、F.U.は、蛍光単位で表現される、その装置によって与えられた値を示す。
該分析を、溶解物のタンパク質濃度の関数として設定した容積Vの細胞溶解物を含有する、200μLの反応物容積について実施する。
即時分析したタンパク質を、μg/μLで表す。
【0088】
校正範囲量から、該活性は、以下の通り、放出されたMCAのpmol/分/タンパク質のmgで表現し得る。
【数1】
【0089】
[b−LLE活性(ポストグルタミン酸加水分解酵素))]
[b.1−原理]
以下の切断反応を研究した。
プロテアソーム
(LLE活性
(ポストグルタミン酸加水分解酵素)
N−CBZ−LLE−NA−−−−−−−−−−−→N−CBZ−LLE−+NA蛍光
333nmの励起波長及び410nmの発光波長で、分光蛍光計を読み取る。
【0090】
[b.2−試薬]
− 25mM TRIS緩衝液pH7.5
− β−ナフチルアミド(NA)(Sigma:N8381)
20mM原液(5.73mg/2mL DMSO)
− 蛍光原基質N−CBZ−Leu−Leu−Glu−β−ナフチルアミド(Sigma:C0788)
DMSO中の10mM原液
【0091】
[b.3−NA(β−ナフチルアミド)校正範囲量]
校正を、以下の通り実施する。
− NA原液を、TRIS緩衝液中で4μMに希釈する。
− 96ウェルプレート中で、各量を2点分配する。
以下の表に示す通りである。
【表4】
− ブランク液の調製:200μLのTRIS緩衝液。
− 333nmの励起波長及び410nmの発光波長で、分光蛍光計上で読み取る。340nm及び410nm、利得83で、FLUOstar(BMG)を用いる。
【0092】
[b.4−LLE活性(ポストグルタミン酸加水分解酵素)の分析]
そのプロセスを、以下の通り実施する。
− 96ウェルプレート中に、一定容積の細胞溶解物(20μgのタンパク質に相当すべき、各試料の最低タンパク質濃度から求める)を2点導入し、TRIS緩衝液を用いて100μLにする。
− TRIS緩衝液中で300μMに予め希釈した100μLのLLE−NA基質(最終150μM)を添加する。
− 340nmの励起波長及び410nmの発光波長、利得83で、2分毎に35分、分光蛍光計を読み取る。
【0093】
[b.5−結果]
未加工の結果を、F.U./分で表現する。
該分析を、溶解物のタンパク質濃度の関数として設定した容積Vの細胞溶解物を含有する、200μLの反応物容積について実施する。
即時分析したタンパク質を、μg/μLで表す。
校正範囲量から、該活性は、以下の通り、放出されたMCAのpmol/分/タンパク質のmgで表現し得る。
【数2】
【0094】
[c)LSTR活性(トリプシン様)]
[c.1−原理]
プロテアソーム
(LSTR活性
(トリプシン様))
Nt Boc LSTR−MCA−−−−−−−→Nt Boc LSTR+蛍光MCA
350nmの励起波長及び440nmの発光波長で分光蛍光計を読み取る。
【0095】
[c.2−試薬]
− 25mM TRIS緩衝液pH7.5
− 7−アミノ−4−メチルクマリン(MCA)(Sigma:A9891)
20mM原液(3.5mg/1mL DMSO)
− 蛍光原基質:N−t−BOC−Leu−Ser−Thr−Arg7−7−アミド−4−メチルクマリン(Sigma:B4636)
DMSO中の10mM原液
プロテアソーム阻害剤:Mg132(Z−Leu−Leu−Leu−CHO)(Affinity、ZW8440)
DMSO中の20mM原液
【0096】
[c.3−MCA校正範囲量]
校正曲線を、以下の通りプロットする(以下の表参照)。
− MCA原液を、TRIS緩衝液中で4μMに希釈する。
− 96ウェルプレート中で、各量を2点分配する。
【表5】
− ブランク液の調製:200μLのTRIS緩衝液。
− 350nmの励起波長及び440nmの発光波長で、分光蛍光計上で読み取る。355nm及び460nm、利得30で、FLUOstar(BMG)を用いる。
【0097】
[c.4−LSTR活性の分析]
− 96ウェルプレート中に、一定容積の細胞溶解物(50μgのタンパク質に相当すべき、各試料の最低タンパク質濃度から求める)を2点導入し、TRIS緩衝液を用いて100μLにする。
− TRIS緩衝液中で80μMに予め希釈した100μLのLSTR−MCA基質(最終40μM)を添加する。
− 並行して、阻害剤Mg132を試験することにより、それが実際にプロテアソーム活性であることを確認する。
− 50μgのタンパク質に、TRIS緩衝液中で400μMに予め希釈した10μLのMg132の溶液(最終20μM)を添加し、TRIS緩衝液を用いて100μLにする。次に、TRIS緩衝液中で80μMに予め希釈した100μLのLSTR基質(最終40μM)を添加する。
− 355nmの励起波長及び460nmの発光波長、利得30で、2分毎に30分、分光蛍光計を読み取る。
【0098】
[c.5−結果]
未加工の結果を、F.U./分で表現する。
該分析を、溶解物のタンパク質濃度の関数として設定した容積Vの細胞溶解物を含有する、200μLの反応物容積について実施する。
即時分析したタンパク質を、μg/μLで表す。
校正範囲量から、該活性は、以下の通り、放出されたMCAのpmol/分/タンパク質のmgで表現し得る。
【数3】
【0099】
[2.1D:チロシナーゼ活性の測定]
分析の原理
該分析は、チロシナーゼのドーパ−オキシダーゼ活性の測定に基づく。該分析の原理は、FLUOstar(BMG)上で475nmで吸収する、ドーパクロムの検出に基づく。
【0100】
材料:
− 溶解緩衝液
− 基質:L−ドーパの自動酸化が原因で即時調製する、PBS中の10mMでのL−DOPA(Sigma、D−9628、MW197.2)。
【0101】
培地中のヒトメラノサイトを、25μMのリノール酸(±120nM Mg132)又は25μMのパルミチン酸(±120nM Mg132)又は5μg/mLのフェオダクチルム(±120nM Mg132)を用いて、1%BSA、50μMビタミンE及び1mMビタミンCを含有するMNT1培地中で処理した。メラノサイトを、処理の72時間後に回収し、溶解した。次いで、50μgの抽出物を、1mMのL−ドーパミンを用いて、37℃で1時間インキュベートする。チロシナーゼ活性の測定を、サーモスタットで37℃に維持したマイクロプレートリーダーを使用して、475nmで2分毎に実施する。
【0102】
ドーパ−オキシダーゼ活性を、タンパク質のOD/分/mgとして得る。ブランク液を、L−DOPAの存在下で、溶解緩衝液を用いて調製する。
【0103】
[2.2 プロテアソーム、ユビキチンタンパク質及びチロシナーゼをウェスタンブロット法によって分析するための、MNT1の処理]
【0104】
[2.2A:細胞培養]
[a)手順:]
[D0での接種]
106個のMNT1細胞/直径35mmのシャーレ、4点
MNT1培地中、2mL/シャーレ
[D1での処理]
− リノール酸 25μM
− パルミチン酸 25μM
− フェオダクチルム 5μg/mL
MNT1培地中
+1%ウシ血性アルブミン(BSA)+ビタミンE(ビタミンE)50μM+ビタミンC(ビタミンC)1mM
− リノール酸 25μM
− パルミチン酸 25μM
− フェオダクチルム 5μg/mL
MNT1培地中
+1%BSA+ビタミンE 50μM+ビタミンC 1mM
+120nM Mg132
37℃で1時間、磁気撹拌子で撹拌する
[D2、D3及びD4での溶解物の調製]
PBSを用いた2回のすすぎ洗い
掻取りによる、150μLのLaemmli2×緩衝液+1%DTT(10mM)中の細胞叢の回収。
2つのシャーレ/Eppendorfチューブ
−20℃で凍結
[タンパク質分析(ブラッドフォード)及びウェスタンブロット法]
該タンパク質分析法は、以前使用したものと同じであり、ウェスタンブロット法である。
Eppendorfチューブでタンパク質を分析した後、1μg/μLのタンパク質を得るために、各試料を、Laemmli2×緩衝液で希釈する。これらの試料溶液に、10×ブロモフェノールブルーを添加する。各試料は、−20℃で凍結し得る。
【0105】
[b)培地及び試薬]
[− MNT−1培地]
DMEM 4.5g/mLのグルコース(Gibco:61965−026)
+20%FCS
+10%追加AIMV(Gibco:12055−091)
+1%ピルビン酸ナトリウム 100mM(Gibco:12360−039)
+1%NEAA(Gibco:11140−035)
【0106】
[− 原液]
− リノール酸(Sigma;L1012)
EtOH中2.8mg/mL(培地中0.25%)
− パルミチン酸(Sigma;P5585)
EtOH中2.56mg/mL(培地中0.25%)
− フェオダクチルム
EtOH中2mg/mL(培地中0.25%)
− ビタミンC
PBS中25.6mg/mL(培地中1%)
− ビタミンE
EtOH中21.55mg/mL(培地中0.1%)
− Mg132(Sigma;C2211)
DMSO中120μM(培地中0.1%)
【0107】
[− 溶解緩衝液]
1M DL−ジチオスレイトール溶液(4℃で保存したSigma:ref.D0632)
0.154gを、1mLの蒸留水中に溶解する。
10μL分量を採取し、−20℃で保存する。
[− Laemmli2×試料還元緩衝液(変性剤)]
トリス−HCl0.06M pH6.8;SDS2.3%;グリセロール10%
−濃縮ゲル緩衝液 トリス0.5M pH6.8 6.25mL
−SDS 10% 11.50mL
−グリセロール 5mL
−50mLにするための蒸留水
【0108】
[2.2B:ウェスタンブロット]
[a)試料の調製及び電気泳動]
タンパク質の電気泳動を、Laemmli法(1970)に従って、変性及び還元条件下で、バッチ緩衝液において、厚さ1mm〜1.5mmのポリアクリルアミドミニゲル中で実施する。12%T、2.7%Cを含有するゲルは、20〜120kDaの範囲の低分子量タンパク質の分離を可能にする。8%T;2.7%Cを含有するゲルは、35〜250kDaの高分子量タンパク質の分離を可能にする。
【0109】
該ゲルを生成するのに必要な全ての溶液は、以下の付属書Aに提示する。
【0110】
[− 分離ゲル]
このゲルは、前日又は当日、ただしいずれの場合も、移動の1〜2時間前に注入し得る。
【0111】
該ゲルの注入を、ピペットを使用して、濃縮ゲルのために用意したコームの底から最大で約0.5mmまで実施する。
【0112】
均一な基線(±1mL/ゲル)を得るために、無水エタノールを、表面へ穏やかに添加する。
【0113】
[− 濃縮ゲル(スタッキングゲル)]
該エタノールを除去する。
ポリエチレンのパスツールホールピペット(Biorad、ref.223−9528)を使用して、2.5mLのゲルを注入し、次いで、コームを挿入する。1時間後、該ゲルは重合する。
【0114】
[試料の調製]
シャーレから細胞を回収する前に、該細胞を、PBSを用いて2回すすぎ洗いする。最後のすすぎ洗い後、PBSを可能な限り除去する。掻取りにより、該細胞を、Laemmli2×緩衝液+10mM DTT(以下の付属書Aを参照)に回収する(5×106細胞/溶解緩衝液の最小mL)。1.5mL Eppendorfチューブに回収した溶解物を、−20℃で凍結する。
【0115】
電気泳動を実施する前に、解凍した溶解物を、95℃で10分加熱し、タンパク質を分析する。
【0116】
タンパク質分析を、分離ゲルの重合の間、又は前日に実施する(付属書Cを参照)。
【0117】
タンパク質≦1μg/μLの同一の溶液を得るために、Eppendorfチューブにおいて、各試料をLaemmli2×緩衝液で希釈する。これらの試料溶液に、10×ブロモフェノールブルーを添加する。
【0118】
[適用]
各試料を、95℃で5分加熱する。
【0119】
適用する容積は、タンパク質の所望の量(最大容積=1mmのゲルについて25μL、1.5mmのゲルについて40μL)に応じて異なる。10μgのタンパク質、すなわち10μLは、基準量であり、次いで、標的タンパク質の発現に応じて、それを適用する。
【0120】
コームを除去する。200mLの1×移動緩衝液を、耐漏えい性を確実にするように注意しながら、該ゲル上、2つのゲルの間の中央区画へ、次いで、石英セルへ注入する。
【0121】
マイクロピペット上の適合させたテーパーチップ、及び10μLの染色済み分子量対照(Biorad、Prestained SDS−PAGE standards Low Range;ref.161−0305)又は(Amersham、Full Range Rainbow;ref.RPN800W)も使用して、各試料を適用する。
【0122】
[移動]
電気泳動を、室温で200Vで実施する。移動前端がゲルを離れたときに(約40分の移動)、電気泳動を停止する。
【0123】
[b)膜上へのタンパク質のセミドライ転写]
濾紙の2枚の厚手シート(Biorad、ref.17033960)及びセルロース膜(Biorad、ref.162−0115)を、この方法の原点である、Towbinら(1979)の転写緩衝液中へ浸漬する(付属書Bを参照)。
【0124】
セミドライ転写装置(Biorad)において、濾紙の湿らせた厚手シートを陽極上に置く。
【0125】
移動が完了すると、濃縮ゲルを除去し、分離ゲルをセルロース膜へ適用する。該膜及びゲルを、濾紙の該シート上に置く。濾紙の2枚目のシートを、ゲルへ適用する。
【0126】
「サンドイッチ」の製造の間、転写を引き起こすものであるため、全ての気泡を、ガラスステムを使用して除去しなければならない。該装置を、陰極を形成する蓋で閉じる。
【0127】
該タンパク質転写を、10Vで1時間30分実施する。
【0128】
[c)ポンソーレッドを用いたマーキング]
転写の質を確認するために、ポンソーレッド(Sigma;P7170)を用いてタンパク質を染色する。
【0129】
セルロース膜を、MilliQ水を用いてすすぎ洗いし、次いで1×ポンソーレッド浴中に、撹拌しながら10分浸漬する。次いで、染色剤がタンパク質バンド上にのみ残るようになるまで、該膜を、複数のMilliQ水浴中で洗浄する。
【0130】
該膜を、プラスチック中へ挿入し、走査する。
【0131】
タンパク質バンドは、転写されたタンパク質の合計量を求めるために、定量化し得る。
【0132】
[d)非特異的結合部位の遮断]
以下の付属書Bで調製するPBS−T緩衝液(20mL/膜)中の5%脱脂乳(Regilait)から形成される非特異的結合部位を遮断するための溶液において、該膜を、4℃で終夜、又は室温で1時間30分撹拌する。
【0133】
[e)免疫検出]
抗体の基準品及び最適な希釈度は、以下の付属書Dに示す。
【0134】
非特異的部位を遮断した後、該膜を、PBS−T中で急速にすすぎ洗いする。
【0135】
次に、この膜を、PBS−T中で最適な濃度に希釈した一次抗体と、該抗体に応じて5%乳(m/v)あり又はなしで、撹拌しながら室温で1時間、又は4℃で終夜接触させる。
【0136】
次いで、過剰な遊離非結合抗体を除去するために、該膜を、PBS−T中で急速に3回、10分すすぎ洗いする。
【0137】
次に、該膜を、PBS−T又は5%ミルク(5mL)で希釈した適切なペルオキシダーゼ結合二次抗体と、室温で撹拌しながら接触させる。
【0138】
45分インキュベートした後、該膜を急速に2回すすぎ洗いし、次いで、PBS−T緩衝液を用いて5回、5分、最後には1×PBS中で洗浄する。
【0139】
排出後、該膜を、「タンパク質」側を上にして、キッチンフィルム(SARAN)上に置く。
【0140】
ルミノールをペルオキシダーゼ基質として用いながら高感度化学発光検出キット(Amersham;ECL Western blotting ref.RPN2209)を使用して、該膜を明らかにする。ペルオキシダーゼ及び増幅剤の作用下で、ルミノールは酸化し、一時的な励起状態となる。基底状態への回復は、該膜上にあるオートラジオグラフィーフィルムに当たる、光子の放出により生じる。
【0141】
該検出キットの2つの溶液各1mLを混合する(2mL、該膜を被覆するのに必要な最低容積)。
【0142】
直ちに、その混合物を、該膜上へ均一に注入し、室温で正確に1分接触させる。
【0143】
排出した膜を、Saranキッチンフィルムの下で密封し、光から保護したカセットへ置き、次いで、プレフラッシュしたオートラジオグラフィーフィルム(Amersham、Hyperfilm ECL ref.RPN2103K)を用いて被覆する。
【0144】
5分の曝露後、該オートラジオグラフィーフィルムを現像する。所望の信号を最適化するために、必要であれば、新しいフィルムを再曝露する(最大で1時間)。
【0145】
該バンドを、Gels Analysts3.01ソフトウェアによって定量化する。
【0146】
[2.3 チロシナーゼの免疫沈降を実施するためのMNT−1タンパク質抽出物の調製]
[2.3A:細胞培養]
[a)手順]
【0147】
[D0での接種]
106個のMNT1細胞/直径35mmのシャーレ、3点
MNT1培地中2mL/シャーレ
【0148】
[D1での処理]
− リノール酸 25μM
− パルミチン酸 25μM
− フェオダクチルム 2.5及び5μg/mL
MNT1培地中
+1%BSA+ビタミンE 50μM+ビタミンC 1mM
− リノール酸 25μM
− パルミチン酸 25μM
− フェオダクチルム 2.5及び5μg/mL
MNT1培地中
+1%BSA+ビタミンE 50μM+ビタミンC1mM
+120nM Mg132
【0149】
[37℃で1時間、磁気撹拌子で撹拌する]
溶解物の調製及びD2での計数
PBSを用いた2回のすすぎ洗い
氷のベッド上、
150μLの溶解緩衝液での回収
掻取りによる。
−20℃で凍結
PBSを用いたすすぎ洗い
+0.5mL トリプシン/EDTA
+0.5mL PBS+10%FCS
【0150】
[Z2計数機上での計数]
0.5mLの懸濁液+10mL Isoton上
【0151】
[b)培地及び試薬]
[− MNT1培地]
DMEM 4.5g/mLのグルコース(Gibco:61965−026)
+20%FCS
+10%追加AIMV(Gibco:12055−091)
+1%ピルビン酸ナトリウム 100mM(Gibco:12360−039)
+1%NEAA(Gibco:11140−035)
【0152】
[− 原液]
− リノール酸(Sigma;L1012)
EtOH中2.8mg/mL(培地中0.25%)
− パルミチン酸(Sigma;P5585)
EtOH中2.56mg/mL(培地中0.25%)
− フェオダクチルム
EtOH中2mg/mL(培地中0.25%)
− ビタミンC
PBS中25.6mg/mL(培地中1%)
− ビタミンE
EtOH中21.55mg/mL(培地中0.1%)
− Mg132(Sigma;C2211)
DMSO中120μM(培地中0.1%)
【0153】
[− 溶解緩衝液]
トリス−HCl 1.5M、pH7.5
45.375gのトリス塩基(Sigma;T1503)を、200mLの蒸留水中に溶解する、
12N HClを用いて、pHを7.5に調整し、次いで250mLにする
1Mスクロース溶液(Merck;ref.7654)
8.55gを20mLの蒸留水中に溶解し、次いで25mLに調整する。
2mM MgSO4溶液(Sigma;ref.M7506)
6mgを25mLの蒸留水中に溶解する。
又は、MgSO4.7H2O(Sigma;ref.M5921)12.4mgを、25mLの蒸留水中に溶解する;
4℃で保存する。
4%トリトンX100溶液(Sigma;ref.X100)
0.8gを20mLの蒸留水中に溶解する(非常にゆっくりと)
0.5mL分量を採取し、−20℃で保存する
40mM PMSF溶液(Sigma;ref.P7626)
14mgを2mLの無水エタノール中に溶解する。
50mL分量を採取し、4℃で9カ月保存する
0.5mg/mLロイペプチン溶液(Sigma;ref.L2884;−20℃で保存)
水溶性。50μL分量を採取し、−20℃で1カ月保存する。
1M DL−ジチオスレイトール溶液(4℃で保存したSigma;ref.D0632)
0.154gを1mLの蒸留水中に溶解する。
10μL分量を採取し、−20℃で保存する。
500mMのEDTA四ナトリウム溶液(Sigma;ref.ED4S)
3.8gを20mLの蒸留水中に溶解する;4℃で保存する。
【0154】
[− 溶解緩衝液の調製(100mL当たり)]
そこから4.39mL分量を採取する、−20℃で保存する不完全な溶液の調製:
【表6】
【0155】
完全な溶液を、
4.39mLの不完全溶液
+500μLの4%トリトンX100
+10μLの1M DTT
+50μLの0.5mg/mLロイペプチン
+50μLの40mMでのPMSF
を用いて即時調製する。
【0156】
酵素活性分析については、ロイペプチンは、プロテアソームの活性を抑制するため、添加しない。
【0157】
[2.3B:免疫沈降の手順]
培地中のヒトメラノサイトを、25μMのリノール酸(±120nM Mg132)又は25μMのパルミチン酸(±120nM Mg132)又は5μg/mLのフェオダクチルム(±120nM Mg132)を用いて、1%BSA、50μMビタミンE及び1mMビタミンCを含有するMNT1培地中で処理した。該メラノサイトを、処理の24又は72時間後に回収し、溶解する。
【0158】
溶解物(500μgのタンパク質)を、10μLの抗チロシナーゼ抗体(チロシナーゼAb−1モノクローナル抗体(クローンT311)Lab vision corporation)又は抗ユビキチンモノクローナル抗体(抗モノユビキチンモノクローナル(SC−8017、Santa Cruz))を用いて、4℃で1時間インキュベートした。次いで、この混合物を、50μLのA−セファロースタンパク質(Amersham Pharmacia Biotech、17−5280−01)を用いて処理し、4℃で16時間インキュベートした。次いで、該混合物を、1000×gで5分遠心分離する。そのペレットを洗浄し、200μLのPBS、1%NP40((Amersham Pharmacia Biotech、US19628)を用いて再懸濁し、1000×gで5分遠心分離した。3回の連続洗浄後、そのペレットを、SDS−PAGEゲル上に置き、次いで、ニトロセルロース膜上へ転写させた。次いで、該膜を、抗チロシナーゼモノクローナル抗体を用いて、1時間インキュベートした(チロシナーゼAb−1モノクローナル抗体(クローンT311)Lab vision corporation)(1/2000)。ウェスタンブロット法を、ペルオキシダーゼ結合抗マウス免疫グロブリン抗体(1/5000)、及びECLキット(Amersham Pharmacia Biotech、NA9310)によって展開した。
【0159】
[3.結果]
[3.1 藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムの抽出物をMNT−1メラノサイト株へ添加することにより誘発される、プロテアソーム活性の調節]
藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムの抽出物のメラニン合成に対する影響を特徴づけるために、MNT−1株のメラノサイト細胞の様々な培地を調製した(藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムの抽出物、脂肪酸、又はプロテアソーム依存性タンパク質分解阻害剤Mg132を追加、又は別の方法で有する培地)。
【0160】
先に概要を述べたように、以前の研究は、プロテアソームによるチロシナーゼの分解を促進することにより、リノール酸の存在下でのメラノサイト培養が、メラニンの量の減少につながったこと、及び、パルミチン酸の存在下で調製した同じ培養が、逆の効果をもたらしたことを明らかにした。皮膚色素沈着を制御する、メラニン合成の制限酵素であるチロシナーゼの活性に対する藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムの抽出物の影響を特徴づけるために、これらの2つの化合物(リノール酸及びパルミチン酸)を、それぞれ、正及び負の対照として使用した。MNT−1メラノサイト株のこれらの同一の細胞抽出物から、プロテアソーム活性の研究を実施した。プロテアソーム20Sの3つの触媒部位に特異的な蛍光原性の合成基質ペプチドを使用して、プロテアソーム活性を測定した。
【0161】
並行して、特異的抗体を使用して、ウェスタンブロット法により、プロテアソームの20S及び26Sの形態を定量化した。
【0162】
プロテアソーム活性の分析のために、該細胞を、細胞処理の72時間後に溶解し、タンパク質濃度を求めた。
【0163】
図1A、1B及び1Cに示した結果は、藻類抽出物(Ph)又はリノール酸の添加72時間後に、蛍光原ペプチドを使用して測定したプロテアソームの3つのペプチダーゼ活性が増加、及び著しく増加したことを示す(キモトリプシン様、ポストグルタミン酸加水分解酵素及びトリプシン様活性)。
【0164】
さらに、パルミチン酸を用いて72時間処理したメラノサイトでは、2つのペプチダーゼ活性(キモトリプシン様及びポストグルタミン酸加水分解酵素活性)が低減している。プロテアソーム依存性タンパク質分解阻害剤Mg132の存在下で培養したMNT−1株の細胞抽出物を使用して測定したプロテアソーム活性は、正の対照としての役割を果たす。これらの全ての結果を、付属書の表1にまとめる。
【0165】
プロテアソームのペプチダーゼ活性のこの活性化の原因を求めるために、本発明者らは、ウェスタンブロット技法を介して、MNT−1の溶解物から、藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムの抽出物、脂肪酸、又はプロテアソーム依存性タンパク質分解阻害剤Mg132を用いたそれらの処理の24時間及び72時間後に得たホモジネート中のプロテアソームの量を評価した。
【0166】
図2A及び2Bに示した結果は、これらの処理が、細胞抽出物中のプロテアソームの量を変えないことを示す。
【0167】
これらの結果は、藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムの抽出物又はリノール酸を用いたプロテアソーム活性の刺激が、MNT−1メラノサイト株の細胞におけるプロテアソームの20S又は26Sの形態の発現又は分布を変えないことを示す。
【0168】
[3.2 藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムの抽出物のMNT−1メラノサイト株への添加後の、ユビキチン修飾タンパク質の状態]
本発明者らは、脂肪酸又は該藻類抽出物を用いた処理の24時間又は72時間後に、ユビキチンタンパク質のレベル(図3A、3B)が、プロテアソーム阻害剤Mg132の存在下で細胞を培養した場合を除いて、変わらなかったことを示した。
【0169】
これらの観察は、ユビキチン化機構が、該藻類又はリノール酸を用いた処理によって影響されなかったことを証明する。
【0170】
[3.3 藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムの抽出物のMNT−1メラノサイト株への添加によって誘発される、チロシナーゼの発現及び活性の調節]
これらの様々な条件下で培養したMNT−1メラノサイトの細胞抽出物を用いて、「材料及び方法」セクションで規定した手順によって開始し、チロシナーゼの量及びその活性に対する、藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムの抽出物の影響を特徴づけた。
【0171】
本発明者らは、フェオダクチルム・トリコルヌーツム又はリノール酸を用いたMNT−1メラノサイトの処理の24時間又は72時間後に、チロシナーゼにおける有意な減少が観察されたこと(図4A及び4B)、及び該細胞を、プロテアソーム阻害剤であるMg132を用いて処理すると、この減少が逆転され得ることを示した。
【0172】
本発明者らは、Image master 1Dソフトウェア(Amersham Pharmacia)を使用してこの減少を定量化し、その結果を、表2及び3に示している。
【0173】
これらの予備的観察は、チロシナーゼがプロテアソームの生理学的基質であり、その分解が、藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムの抽出物によって活性化され得ることを証明する。
【0174】
第1段階では、MNT−1株の細胞抽出物に適用可能な、チロシナーゼ活性の分析のための特異的技法の展開に着手した。本発明者らは、フェオダクチルム・トリコルヌーツム又はリノール酸を用いたMNT−1メラノサイトの処理の72時間後の細胞におけるチロシナーゼ活性を測定し、本発明者らは、この活性における有意な減少を観察した(図5及び表4)。
【表7】
【0175】
表2:24時間でのチロシナーゼの定量化
【表8】
【0176】
表3:72時間でのチロシナーゼの定量化
【表9】
【0177】
表4:72時間でのチロシナーゼ活性
プロテアソーム基質チロシナーゼが、藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムの抽出物を用いて処理したMNT−1株のメラノサイト細胞の抽出物においてより良好に分解したことを確認するために、72時間での免疫化学的検出及び免疫沈降によって、チロシナーゼ及びユビキチン結合形態のチロシナーゼの定性的及び定量的研究を実施した(図6)。これらの結果は、藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムの抽出物を用いて処理した細胞においては、チロシナーゼが、急速に分解するため、ユビキチン化形態で蓄積しないことを示す。
【0178】
[III.化粧用組成物の例]
濃度を重量パーセントで表す。
以下の例で使用する抽出物は、抽出物E2である。
【0179】
[1.エマルジョンゲル形態の脱色用美容デイクリーム]
【表10】
上記エマルジョンゲルの使用は、程度の差はあっても強烈な日光の放射、又は直射日光にさえ曝されている人々が、色白の状態を維持し、色素沈着斑の出現を回避することを可能にする。
【0180】
[2.日焼け止め液体化粧用組成物(SPF30)]
【表11】
【0181】
この組成物は、強烈な日光へ曝されている間に色素沈着斑の出現を生じる傾向がある個人の場合、その現象を予防する。高濃度の日焼け止めの存在が、メラニンのレベルの減少の結果である、天然の保護の減少を補うことに注意されたい。
【0182】
[3.肌色を明るくするための美容フェイスローション]
【表12】
この美白ローションは、化粧を落として皮膚を洗浄した後で使用する。
【0183】
[4.顔用の美容液]
【表13】
この高濃度液組成物1滴を、一般に、フェイスクリームの適用前に、顔へ適用する。この液は、肌色の明るさを得る又は維持するために、通常、1〜2週間の治療で使用する。
【0184】
[5.体毛を明色化するための美容ローション]
【表14】
このローションは、明色化する有毛領域、特に腕へ、毛が徐々に明色化するようにするのに十分な時間適用する。
【0185】
[6.斑点予防美容ハンドクリームゲル]
【表15】
このクリームは、手の上の斑点(日光性及び/又は老人性色素斑)へ、その色を薄めるために直接適用すべきである。
【0186】
[付属書A]
I−バッチ緩衝液において、変性及び還元条件下での電気泳動ゲルに使用する緩衝液及び溶液
【0187】
[モノマー溶液:]
アクリルアミド/ビス−アクリルアミド、30%T、2.67%C(Biorad;ref.161−0158)
【0188】
分離ゲル緩衝液:トリス−HCl 1.5M pH8.8。
− 蒸留水100mL当たり18.15gのトリス塩基(Sigma;T1503)
− 12N HClを用いてpHを8.8に調整する
【0189】
濃縮ゲル緩衝液:トリス−HCl 0.5M pH6.8。
− 蒸留水100mL当たり6gのトリス塩基
− 12N HClを用いてpHを6.8に調整する
10×移動緩衝液:トリス0.25M pH8.3、グリシン1.92M;SDS1%
− トリス塩基 12g
− グリシン 57.6g
(Research Organics Inc.;5037G)
− SDS10%(Sigma;L5750) 40mL
− 400mLにするための蒸留水
これらの溶液を4℃で保存する。
【0190】
10%、すなわち100mg/mLでの過硫酸アンモニウム(NH4)2S2O8:(Sigma;A1433)
一定分量に分けて、−20℃で保存する
【0191】
Laemmli2×還元試料緩衝液:トリス−HCl0.06M pH6.8;SDS2.3%;グリセロール10%;ブロモフェノールブルー0.02%
− 濃縮ゲル緩衝液 トリス0.5M pH6.8 6.25mL
− SDS10% 11.50mL
− グリセロール 5mL
− 50mLにするための蒸留水
【0192】
10×ブロモフェノールブルー(飽和溶液):
スパーテルチップ一杯(spatula tipful)のブロモフェノールブルーを、5mLのLaemmli2×緩衝液中に入れ、撹拌し、超音波処理し、遠心分離し、その上澄みのみを回収する。
これらの溶液を室温で保存する。
【0193】
着色済み標準試料−
− 低分子量(Biorad;ref.161−0305)
それらは、
− ホスホリラーゼB 104kDa
− ウシ血性アルブミン 82kDa
− 卵アルブミン 48.3kDa
− 炭酸脱水酵素 33.4kDa
− 大豆トリプシン阻害剤 28.3kDa
− リソシーム 19.4kDa
からなる。
− 10〜250kDaの高分子量(Amersham;ref.RPN800)
【0194】
II−ゲル電気泳動
− 12%Tでの分離ゲルの調製
【表16】
【0195】
− 12%Tでの濃縮ゲルの調製
【表17】
【0196】
[付属書B]
転写及び免疫検出用の溶液
[Towbin転写緩衝液。]
トリス−HCl25mM、pH8.3;グリシン192mM;20%メタノール
− トリス塩基 3.03g
− 100mLの蒸留水中に溶解すべきグリシン(Research Organics Inc.;5037G) 14.4g
− メタノール 200mL
− 1000mLにするための蒸留水
【0197】
[PBS−T緩衝液]
10×PBS(Invitrogen;14200−067)の10倍希釈液
そこへ0.1%ツイーン20(Sigma;P1379)を添加する
これらの溶液を4℃で保存する
【0198】
[ポンソーレッド(Sigma;P7170)]
5%酢酸溶液中の0.1%での溶液(w/v)
【0199】
[付属書C]
[タンパク質分析]
(Bioradキット;タンパク質標準試料;ref.500−0006)
ブラッドフォード法
電気泳動を実施する前に、解凍した溶解物を、95℃で10分加熱する。
【0200】
[変性溶解緩衝液(2×Laemmli緩衝液+DTT10mM)中の溶解物について]
Laemmli緩衝液は、該キットの試薬と適合性がないため、この方法を介して分析を実施するために、それを除去することが必須である。
Eppendorfチューブにおいて、500μLのアセトンを、5μLの溶解物(タンパク質濃度の関数として適合させる容積)へ添加する。
該チューブを、−20℃に少なくとも10分置く。
次いで、それらを4℃で10分、17000×gで遠心分離する。
その上澄みを、反転により除去し、アセトンの蒸発後に、ペレットを50μLの0.1M NaOH中に溶解し、ブラッドフォード法を介してタンパク質を分析する(該試料の10倍希釈液)。
【0201】
[非変性溶解緩衝液中の溶解物について]
この溶解緩衝液の成分は、この濃度(10μLの試料/ウェル)で、Bioradキットの試薬を妨害しない。その範囲内に入り、優先的にはその上位となるように、該試料のみを希釈すべき、又はすべきではない。
【0202】
[校正範囲量の調製:]
BSA原液:2mg/mL(Sigma;A2153;4℃)
【0203】
該範囲は、Eppendorfチューブで調製し、凍結又は4℃で保存し得る。
【表18】
【0204】
該試薬(クーマシーブルーG250)を、5倍に即時希釈する(1時間維持する)。96ウェルプレートへ、
− 該範囲について10μLの原液
− 該対照について10μLの水
− 該試料対照について10μLの0.1M NaOH
− 分析する10μLの試料(3点又は4点)
を用いて希釈した200μLの試薬を添加する。
該プレートを振盪し、10分発色させる。
595nmで吸収度を測定する。発色は、最大で40分安定である。
【0205】
[付属書D]
[一次及び二次抗体のリスト]
【表19】
【0206】
【表20】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツム(Phaeodactylum tricornutum)抽出物の、化粧用脱色剤としての使用、及び色素沈着斑の低減若しくは除去、又は肌色、体毛若しくは頭髪の明色化のための美容スキンケア法にも関する。
【0002】
当技術分野では、多くの脱色剤が知られている。
【0003】
プロテアソームは、損傷タンパク質の除去を特に担っているため、細胞維持に非常に重要な細胞内のタンパク質分解多酵素複合体である(Friguet B.ら、Protein degradation by the proteasome and its implication in ageing、Ann. NY Acad. Sci. (2000) 908: 143〜154)。プロテアソーム系は、触媒複合体、プロテアソーム20S、並びにその活性及び特異性に影響を及ぼす複数のレギュレーターから形成される。レギュレーター19Sのプロテアソーム20Sとの会合は、ユビキチンタンパク質の分解を実施するプロテアソーム26Sを形成する。該プロテアソームは、哺乳類細胞中、細胞質ゾル及び核の両方に位置し、小胞体及び細胞膜との相互作用が存在する。プロテアソーム20Sは、700kDaの分子量を有し、α型又はβ型の遺伝子によってコードされた14個の異なるサブユニットからなる。14個の該サブユニットは、7個のサブユニットの4つの環の円柱状の積重ねとして配置され、頂端の環はαサブユニットから形成され、中央の環はβサブユニットから形成されている。このタンパク分解複合体は、塩基性残基(「トリプシン様」活性)、疎水性残基(「キモトリプシン様」活性)及び酸性残基(「ペプチジルグルタミルペプチド加水分解酵素」活性)のC末端部で、タンパク質を優先的に切断する。これらのペプチダーゼ活性は、3個の異なるβサブユニットが担い、その構造内に位置しており、したがって、細胞タンパク質の時機を失した分解を回避するが、活性部位がその潜在的基質へ接近し難いという問題を生じる。最後に、細胞老化の過程において、プロテアソーム活性の減少によって少なくとも部分的に説明される、酸化によるアミノ酸の修飾のサインである、カルボニル基を保有する損傷タンパク質の蓄積が生じる(Petropoulos, I.ら、Increase of oxidatively modified protein is associated with a decrease of proteasome activity and content in aging epidermal cells.J.Gerontol.A.Biol.Sci.(2000)55A:B220〜227及びFriguet B.、Oxidized protein degradation and repair in ageing and oxidative stress、FEBS Letters(2006)580:2910〜2916)。
【0004】
さらに、Ando H.ら、in Fatty acids regulate pigmentation via proteasomal degradation of tyrosinase: a new aspect of ubiquitin−proteasome function.J.Biol.Chem、(2004).279:15427〜33は、B16F10細胞(安定にメラニンを発現し、生成するマウスメラノサイト株)中で、プロテアソーム依存性タンパク質分解を介してチロシナーゼが分解され、この分解が、リノール酸を用いた処理後に刺激され得るか、又は反対に、パルミチン酸を用いた処理を介して減少され得ることを実証した。
【0005】
藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムは、植物プランクトンの一部を構成し、温帯気候由来の珪藻類の単細胞藻類である。
【0006】
本出願人名の国際特許出願の国際公開第02/080876号パンフレットは、この藻類抽出物の、UVへの曝露の有害な影響から皮膚を積極的に保護するため、又は皮膚の老化の影響を予防若しくは抑制するための化粧剤としての使用について開示している。
【0007】
前記国際特許出願によると、この化粧剤の特性は、この抽出物が、皮膚細胞、特にケラチノサイトのプロテアソームの活性化を促進し、したがって酸化タンパク質の分解促進につながるという事実によって説明される。
【0008】
少なくとも1種の光合成海洋及び/又は淡水微生物の清澄化培養培地の調製プロセス、並びに、特に化粧品の分野におけるこの清澄化培養培地の使用は、国際特許出願の国際公開第2006/008401号パンフレットにも記載されている。
【0009】
前記文献は、該清澄化培養培地の可能な用途の中で、着色剤又は脱色剤としての用途について述べているが、バイオマス自体又はその抽出物の使用については全く触れていない。その上、前記文献は、藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムの清澄化物質が、脱色特性を全く有していないことを示している。
【0010】
皮膚色素沈着の形成機構が、メラノサイトにおけるメラニンの合成を伴うことが想起される。この機構は、以下の主要ステップを概略的に伴う。
チロシン→ドーパ→ドーパキノン→ドーパクロム→メラニン
【0011】
チロシナーゼは、この一連の反応において重要な役割を果たす酵素である。チロシナーゼは、メラニン色素の形成につながる、チロシンをドーパ(ジヒドロキシフェニルアラニン)へ変換するための反応、及びドーパをドーパキノンへ変換するための反応を特に触媒する。
【0012】
ある物質は、メラノサイトに、これらの細胞の活性を抑制することにより直接作用する場合、又はメラニン生合成のステップの1つをブロックする場合、脱色剤として認められる。検討中の物質が、メラニン形成に関与する酵素のうちの1種を抑制する場合が特にそうである。
【0013】
驚くべきことに、本発明者らは、藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムの抽出物が、注目すべき皮膚脱色特性を有することを証明したが、それに対し、上述した科学的刊行物(Andoら、J.Biol.Chem.(2004)279、15427〜33)によれば、チロシナーゼ分解に対するその阻害活性が知られているこの同一の藻類は、相当量のパルミチン酸を含有すると考えられている。
【0014】
したがって、第1の態様によると、本発明は、藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムの抽出物の、特に色素沈着斑の低減若しくは除去、又は肌色、体毛若しくは頭髪の明色化を目的とした脱色活性剤としての、化粧用組成物における使用に関する。
【0015】
この第1の態様によると、本発明は、より具体的には、該活性剤が、皮膚の脱色又は退色を目的とした使用に関する。
【0016】
第2の態様によると、本発明は、この抽出物を含有する化粧用組成物の、皮膚の少なくとも1つの関心領域への適用を含むことを特徴とする、皮膚の色素沈着斑の低減若しくは除去、又は肌色、体毛若しくは頭髪の明色化のための美容ケア法に関する。
【0017】
この第2の態様によると、該抽出物は、所望の効果を得るのに効果的な量、特に、皮膚におけるチロシナーゼ分解の刺激を誘発するのに効果的な量で使用される。
【0018】
上記2つの態様では、該藻類抽出物は、好ましくは0.001重量%と5重量%の間、より好ましくは0.001重量%と1重量%の間の濃度で、該組成物において使用される。
【0019】
本発明の発明者らによって実施された試験は、該抽出物が、その脂肪酸含量が高くなるにつれてより活性であることを示した。
【0020】
このことが、可能な限り脂肪酸が豊富なフェオダクチルム・トリコルヌーツムの抽出物が、好ましくは少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも60重量%の脂肪酸を含有する抽出物が、本発明の2つの各態様に従って使用されると見込まれる理由である。
【0021】
高脂肪抽出物を得るためのプロセスは、そのような抽出物を得るのに使用され得る。
【0022】
第1の変法によると、高脂肪抽出物を得るために、脂肪酸を抽出するのに十分に無極性である溶媒又は溶媒媒体を用いた抽出の少なくとも1つのステップを含むプロセスが使用されるであろう。
【0023】
そのような溶媒又は溶媒媒体は、以下で無極性溶媒と呼ぶ。
【0024】
以下に述べるそのような無極性溶媒の例としては、イソプロパノール、ヘキサン、シクロヘキサン及びヘプタンが挙げられる。
【0025】
しかし、無極性溶媒を用いた該藻類のそのような処理ステップに限定せずに、多くの場合に、無極性溶媒を用いた抽出ステップの他に、極性溶媒を用いた少なくとも1つの抽出ステップを含む、一連の抽出ステップを使用することが有利である。
【0026】
極性溶媒を用いたそのような抽出ステップの結果は、エステル化脂肪酸、特にグリセリドの加水分解を引き起こし、それらを塩形態で抽出することである。
【0027】
有利には、無極性溶媒を用いた抽出の少なくとも1つのステップを含むそのようなプロセスは、C1〜C6アルコール、水−アルコール又はこれらのアルコールの混合物、エチレングリコールなどのC2〜C6多価アルコール、クロロホルム及びジクロロメタンなどの塩素系溶媒、酢酸エチルなどのC3〜C6有機酸エステル、ヘプタン、ヘキサン又はシクロヘキサンなどのC6〜C10アルカン、並びにジイソプロピルエーテルなどのC5〜C8エーテルから選択された抽出溶媒を用いた抽出の少なくとも1つのステップを特に含み、前記溶媒は、場合によって塩基性化されている。
【0028】
本発明の抽出物の調製に使用されるプロセスの特に有利な一変法によると、該藻類は、塩基性化された水−アルコール混合物を用いた抽出の第1のステップへ付され、前記水−アルコール混合物のアルコールは、イソプロパノール、エタノール及びメタノールから選択されることが好ましく、前記ステップは、脂肪酸が、水−アルコール相において塩化形態で回収されることを可能にする。
【0029】
それに従って該藻類が第1のステップで塩基性化された水−アルコール混合物を用いて処理される、上記プロセスの特に有利な一変法によると、こうして回収された画分は、無極性相中で、特に脂肪酸が豊富な抽出物を回収することを目的とした様々な操作に付される。
【0030】
具体的には、塩基性化された水−アルコール混合物は、無極性溶媒を使用した液液抽出ステップへそれをかける前に酸性化される。
【0031】
そのようなプロセスは、前記無極性溶媒の除去により、前記抽出物を含有する油を回収するステップも含む。
【0032】
この無極性溶媒は、ヘプタン、ヘキサン又はシクロヘキサンであることが有利であろう。
【0033】
一般に、任意の抽出操作の前に、該藻類が凍結されることが有利である。好ましくは、凍結は、約−40℃と−20℃の間の温度で、好ましくは約1日と7日の間実施される。この先行ステップは、シリカ(藻類細胞の骨格から得られた)のデカンテーションを促進するように、後に抽出溶媒との接触によって熱ショックを与えるために、有利に使用される。次いで、該藻類は、その抽出溶液と接触される。
【0034】
有利な一変形実施形態によると、凍結された藻類は、加熱抽出溶媒中に直接浸漬される。
【0035】
藻類の抽出溶媒における室温での浸軟も、有利に実施される。
【0036】
有利な一変形実施形態によると、該藻類の浸軟は、室温で、好ましくは約5分と80分の間、より好ましくは約20分と40分の間実施される。
【0037】
さらに別の有利な変形実施形態によると、該抽出は、還流させながら実施される。
【0038】
さらに別の有利な変形実施形態によると、該抽出は、不活性雰囲気下、好ましくは窒素飽和雰囲気下で実施され得る。このことは、活性分子の顕著な酸化分解を特に回避することを可能にする。
【0039】
この抽出物は、窒素などの不活性ガス下で、場合により、活性分子を保護するために抗酸化剤も添加して、調節することが有利である。
【0040】
有利な一変形実施形態によると、使用される抽出溶媒の量は、藻類の乾量として表現される該藻類の量100gについて、約0.1リットルと20リットルの間、好ましくは約2リットルと10リットルの間である。
【0041】
無極性溶媒を用いた抽出ステップの前に、塩基性化された水−アルコール混合物を用いた抽出が行われるプロセスの別の有利な変法によると、上述の藻類抽出物は、そのいくつかを以上に記載した、以下の一連のステップの後に得られる。
a)該藻類が、前述の通り凍結され、次いで、抽出溶媒中に浸漬される、
b)該藻類の浸軟が実施される、
c)抽出溶媒が、例えば、水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液を用いて、pH10〜14、好ましくはpH13に塩基性化される、
d)不溶性物質が、水−アルコール相から除去される、
e)蒸留水が、水−アルコール相へ添加される、
f)こうして得られた水−アルコール溶液は、水−アルコール相と混和しない無極性溶媒、例えば、ヘプタン、ヘキサン又はシクロヘキサンを用いた液液プロセスを介して洗浄される、
g)無極性溶媒を含有する層が除去される、
h)無極性溶媒を含有する層の除去後に回収された水−アルコール相が、例えば、硫酸水溶液又は塩酸水溶液を用いて、pH1〜3、好ましくはpH2に酸性化される、
i)酸性化後に得られた溶液は、アルコール相又は水−アルコール相と混和しない無極性溶媒、例えば、ヘプタン、ヘキサン又はシクロヘキサンを用いた液液抽出を受ける、
j)次いで、水−アルコール相が除去される、
k)水−アルコール相の除去後に回収された無極性溶媒を含有する層は、本発明によって所望される抽出物である、無極性溶媒を含まない油を得るために、蒸発を受ける。
【0042】
塩基性化され、次いで酸性化されたアルコールの使用は、化粧用組成物において許容可能な視覚及び嗅覚の特性(黄色、及び許容可能な臭気)を有する抽出物を得ることを可能にする。
【0043】
本発明の次に有利な実施形態によると、上述の藻類抽出物は、超臨界CO2を用いて該藻類を抽出することによって得られる。この特定の溶媒の使用は、該藻類が、前もって凍結乾燥されていたことを前提とする。
【0044】
本発明の他の特徴、目的及び利点は、本発明の範囲を全く制限しないものである実例として単に示す、本発明の複数の実施例、及び比較活性試験、及び化粧用組成物の配合例への参照と共に示す、以下の説明的記載の観点から明白に現れるであろう。
【0045】
実施例では、別段の定めのない限り、示す割合は、重量パーセントとして表現する。温度は、摂氏であり、圧力は、大気圧である。
【0046】
各図は、実施例のセクションIIで示す試験を参照しながら示す。それらは、それぞれ、比較すると、以下のものを例示する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1A】キモトリプシン様活性を示す図である。
【図1B】ポストグルタミン酸様加水分解酵素活性を示す図である。
【図1C】トリプシン様活性を示す図である。
【図2A】24時間での溶解に関して得られた、抗プロテアソームウェスタンブロットの結果を示す図である。
【図2B】72時間での溶解に関して得られた、抗プロテアソームウェスタンブロットの結果を示す図である。
【図3A】24時間での溶解に関して得られた、抗ユビキチンウェスタンブロットの結果を示す図である。
【図3B】72時間での溶解に関して得られた、抗ユビキチンウェスタンブロットの結果を示す図である。
【図4A】24時間での溶解に関する、抗チロシナーゼウェスタンブロットの結果を示す図である。
【図4B】72時間での溶解に関する、抗チロシナーゼウェスタンブロットの結果を示す図である。
【図5】チロシナーゼ活性の測定値を示す図である。
【図6】免疫沈降試験の結果を示す図である。
【実施例】
【0048】
[I.本発明による抽出物の調製]
[実施例1:第1のプロセスに従った、イソプロパノール(IPA)などの極性溶媒を用いた抽出]
該プロセスの好ましい様式によると、該抽出全体は、活性分子の顕著な分解を回避するために、不活性雰囲気下(窒素による飽和)で実施する。
【0049】
この実施例では、250kgのバイオマス(フェオダクチルム・トリコルヌーツム)を使用する。
【0050】
次いで、−20℃で凍結したこのバイオマスを、撹拌しながら、80〜83℃で還流させたイソプロパノール(IPA)中に浸漬する。熱ショックは、シリカ(該藻類細胞の骨格から得られた)のデカンテーションを促進する。
【0051】
使用する溶媒の量は、バイオマス中に含有される水1リットル当たりIPA10リットルである。したがって、固形物の割合が30%の場合、上述の250kgのバイオマスは、次のように75kgの固形物量と175kgの水に区分される。この場合、使用するIPAの量は、1750kgである。
【0052】
全体(バイオマス+IPA)を、約80℃で撹拌しながら30分還流させ、次いで、約50℃に冷却する。バイオマス及びIPAを約50℃に冷却した後、消耗したバイオマス/IPA中に溶解した藻類抽出物の分離を実施するために、その全体を、Guedu型の濾過装置へ移す。
【0053】
該抽出物を、バッチ式反応期中で濃縮する(濃縮係数=71.5)。濃縮抽出物は、油状の外観を有する。
【0054】
次いで、この油性抽出物を、油1kg当たり溶媒10kgの割合で、冷IPA中に溶解する。撹拌を20分継続する。次いで、その液体を濾過する(それが残留粘着性スラッジの除去を可能にする)。
【0055】
脱色及び脱臭処理を、80リットルSchott反応器中の2つのバッチで実施し、ゼオライト及び活性炭の添加により、室温で30分継続する。添加したゼオライト(Absent2000、供給業者UOP)の量は0.94kgであり、活性炭(CXV、供給業者CECA)の量は1.6kgである。炭対ゼオライト比率は、1.7である。
【0056】
次いで、ゼオライト及び炭を、紙による濾過により除去する。
【0057】
抗酸化剤(最終重量濃度0.05%のDL−α−トコフェロール及び最終重量濃度0.05%のパルミチン酸アスコルビル)を、原液を介してIPAに組み込む。
【0058】
次いで、抗酸化剤を含有する濾液を、窒素などの不活性ガス下で、茶色の油が得られるまで、バッチ式に濃縮する。
【0059】
この油は、以下で、藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムの本発明による抽出物E1と呼ぶ。
【0060】
[実施例2:二段階の第2のプロセスに従った抽出]
該抽出は、250kgのバイオマス(フェオダクチルム・トリコルヌーツム)から得られた49.8kgの凍結乾燥質量、すなわち、約20%の乾燥質量を、9kgの30.5%水酸化ナトリウム水溶液を用いて塩基性化した96%無水エタノール539kgに分散させることによって開始する。エタノールの還流温度及び窒素雰囲気下での30分の浸軟後、その全体を18℃に冷却する。
【0061】
次いで、不溶性物質を、窒素下での吸引濾過によって分離し、棄却する。
【0062】
151kgの蒸留水を、573.9kgの濾液へ添加する。この水−アルコール相を、ゆっくりと10分撹拌し、次いで、162kgのヘプタンを用いた液液プロセスによって洗浄する。液液分配のヘプタン上相を除去する。該抽出の開始時に実施した塩基性化の結果として、塩形態の脂肪酸を含有するので、下相を回収する。ヘプタン洗浄操作を、さらに2回繰り返し、下相を系統的に回収する。
【0063】
こうして得た720kgの下相を、pHを2.2にし、したがって酸の形態の脂肪酸を得るために、2.8kgの硫酸を添加することにより酸性化する。その溶液全体を、窒素下で10分撹拌し、次いで、この場合は158kgのヘプタンの画分によって形成されている無極性溶媒を用いた液液抽出にかける。遊離脂肪酸を含有する5つの画分から得た、合計で697kgのヘプタン相を回収するために、該ヘプタン洗浄操作を、さらに5回繰り返す。回転蒸発器上で、次いで分子蒸留によって蒸発乾固したこの相は、本発明による活性抽出物、すなわち、0.65kgの油量を生じる。
【0064】
生成した油は、均一な液体であり、暗黄色である。
【0065】
この油は、以下で、藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムの本発明による抽出物E2と呼ぶ。
【0066】
上述のプロセスに従って得た抽出物E2は、以下の脂肪酸組成を有する(重量パーセント)。
− ミリスチン酸 4.16%
− パルミチン酸 13.82%
− パルミトオレイン酸 16.48%
− エイコサペンタエン酸 24.75%
− ドコサヘキサエン酸 1.75%
【0067】
[II.メラノサイトプロテアソーム及びこれらのメラノサイトのチロシナーゼ活性に対する、本発明の抽出物の活性を証明するための試験]
[1.試験の原理]
以下で記載する試験は、本発明の抽出物の、メラノサイトプロテアソームの様々な活性に対する影響を、このプロテアソームの様々な活性を測定することにより特徴づけることを目的としている。
【0068】
各試験は、本発明の抽出物の、ユビキチンタンパク質の量に対する影響を特徴づけることも目的としている。
【0069】
各試験は、本発明の抽出物の、チロシナーゼの量及びその活性に対する影響を特徴づけることも目的としている。
【0070】
このセクションで記載する全ての試験は、上記実施例2に従って調製した抽出物E2を使用して実施した。
【0071】
[2.材料及び方法]
[2.1 プロテアソーム活性及びチロシナーゼ活性を分析するためのMNT1細胞(ヒトメラノサイト細胞株)の処理]
【0072】
[2.1A:細胞培養]
[使用する試薬を、以下で本文中に規定する。]
a)従う手順
[D0での接種]
・MNT1、106細胞/直径35mmのシャーレ、3点
・MNT1培地、2mL/シャーレ(以下の構成を参照)
[D1での処理]
− リノール酸 25μM
− パルミチン酸 25μM
− フェオダクチルム 5μg/mL
MNT1培地中
+1%BSA+ビタミンE 50μM+ビタミンC 1mM
− リノール酸 25μM
− パルミチン酸 25μM
− フェオダクチルム 5μg/mL
MNT1培地中
+1%BSA(ウシ血性アルブミン)+ビタミンE 50μM+ビタミンC 1mM
37℃で1時間、磁気撹拌子で撹拌する
[− D4での第2の処理]
+シクロへキシミド 1μg/mL(タンパク合成阻害剤)
+チロシナーゼ活性を分析するための120nM Mg132。
− 4時間後の溶解物の調製
PBS(リン酸緩衝生理食塩水)を用いた2回のすすぎ洗い
氷のベッド上、掻取りによる150μLの溶解緩衝液での回収。
−20℃で凍結
− ブラッドフォード法を介したタンパク質分析
− プロテアソーム活性分析
【0073】
[b)培地及び試薬]
[− MNT1培地]
DMEM 4.5g/mLのグルコース(Gibco:61965−026)
+20%FCS
+10%追加AIMV(Gibco:12055−091)
+1%ピルビン酸ナトリウム 100mM(Gibco:12360−039)
+1%非必須アミノ酸、NEAA(Gibco:11140−035)
【0074】
[− 原液]
− リノール酸(Sigma;L1012)
EtOH中2.8mg/mL(培地中0.25%)
− パルミチン酸(Sigma;P5585)
EtOH中2.56mg/mL(培地中0.25%)
− フェオダクチルム
EtOH中2mg/mL(培地中0.25%)
− ビタミンC
PBS中25.6mg/mL(培地中1%)
− ビタミンE
EtOH中21.55mg/mL(培地中0.1%)
− Mg132(Sigma;C2211)
DMSO中120μM(培地中0.1%)
− シクロへキシミド(Sigma;C7698)
【0075】
[− 溶解緩衝液]
トリス−HCl 1.5M、pH7.5
45.375gのトリス塩基(Sigma;T1503)を、200mLの蒸留水中に溶解する、
12N HClを用いて、pHを7.5に調整し、次いで250mLにする
1Mスクロース溶液(Merck;ref.7654)
8.55gを20mLの蒸留水中に溶解し、次いで25mLに調整する。
2mM MgSO4溶液(Sigma;ref.M7506)
6mgを25mLの蒸留水中に溶解する。
又は、MgSO4.7H2O(Sigma;ref.M5921)12.4mgを25mLの蒸留水中に溶解する;
4℃で保存する。
4%トリトンX100溶液(Sigma;ref.X100)
0.8gを20mLの蒸留水中に溶解する(非常にゆっくりと)
0.5mL分量を採取し、−20℃で保存する
40mM PMSF溶液(Sigma;ref.P7626)
14mgを2mLの無水エタノール中に溶解する。
50mL分量を採取し、4℃で9カ月保存する
0.5mg/mLロイペプチン溶液(Sigma;ref.L2884;−20℃で保存)
水溶性。50μL分量を採取し、−20℃で1カ月保存する。
1M DL−ジチオスレイトール溶液(Sigma;ref.D0632;4℃で保存)
0.154gを1mLの蒸留水中に溶解する。
10μL分量を採取し、−20℃で保存する。
500mMEDTA四ナトリウム溶液(Sigma;ref.ED4S)
3.8gを20mLの蒸留水中に溶解する;4℃で保存する。
【0076】
[− 溶解緩衝液の調製(100mL当たり)]
そこから4.39mL分量を採取する、−20℃で保存する不完全な溶液の調製:
【表1】
【0077】
完全な溶液を、
4.39mLの不完全溶液
+500μLの4%トリトンX100
+10μLのDTT(ジチオスレイトール)、1M
+50μLの0.5mg/mLロイペプチン
+50μLの40mM PMSF(硫化フェニルメタンスルホニル)
を用いて即時調製する。
酵素活性分析については、ロイペプチンは、プロテアソームの活性を抑制するため、添加しない。
【0078】
[2.1B:ブラッドフォード法を介したタンパク質分析]
(刊行物「A Rapid and Sensitive Method for the Quantitation of Microgram Quantities of Protein Utilizing the Principle of Protein−Dye Binding」、Bradford M.Anal.Biochem.(1976)72:248〜254を参照)
【0079】
[a)校正範囲量の調製:]
BSA原液:50μg/mL(BIORAD;タンパク質標準試料:ref.500−0006)
【表2】
【0080】
各チューブ中:200μLのクーマシーブルーG250を添加。
クーマシーブルーは、その原液の5倍希釈によって即時調製する。
【0081】
[b)試料の調製:]
そのプロセスを、以下の通り実施する。
− 溶解緩衝液中の細胞の回収、次いで、超音波処理、次に、タンパク質濃度の分析
タンパク質濃度>3mg/mLである場合、10倍希釈を実施し、次いで、
100μLの希釈細胞抽出物
+700μLのMilliQ水
+200μLのブルー
を、又は、濃度が低い場合は、
10μLの細胞抽出物
+790μLのMilliQ水
+200μLのブルー
を入れる。
− ボルテックスにより撹拌し、5分待ち、次いで、595nmで読み取る
【0082】
[2.1C:プロテアソーム活性分析]
該細胞を、PBSを用いて2回すすぎ洗いし、次いで、特定のプロテアソーム阻害剤MG132(Leu−Leu−ロイシナール)の存在下及び非存在下で、各活性に特異的な蛍光原ペプチド基質を使用して、プロテアソームの各ペプチダーゼ活性を測定する。ペプチド基質生成物は、以下のものである。キモトリプシン様活性についてはLeu−Leu−Val−Tyr−amc(LLVY−amc)、ポストグルタミン酸加水分解酵素活性についてはLeu−Leu−Glu−na(LLE−na)及びトリプシン様活性についてはLeu−Ser−Thr−Arg−amc(LSTR−amc)。分析の原理は、蛍光原ペプチドからの蛍光体アミノメチルクマリン又はβ−ナフチルアミンの放出が原因の、蛍光の増加を経時的に監視することにある。
【0083】
[a)LLVY活性(キモトリプシン様)]
[a.1−原理]
プロテアソーム
(LLVY活性
(キモトリプシン様))
N−サクシニル−LLVY−MCA−−−−−→N−サクシニル−LLVY+蛍光MCA
350nmの励起波長及び440nmの発光波長での、分光蛍光計を用いた読み取り。
【0084】
[a.2−試薬]
− TRIS25mM緩衝液pH7.5
− 7−アミノ−4−メチルクマリン(MCA)(Sigma:A9891)
20mM原液(3.5mg/1mL DMSO)
− 蛍光原基質:N−サクシニル−Leu−Leu−Val−Tyr−7−アミド−4−メチルクマリン(Sigma:S6510)
DMSO中の10mM原液
【0085】
[a.3−MCA(7−アミノ−4−メチルクマリン)校正範囲量]
そのプロセスを、以下の通り実施する。
− MCA原液を、TRIS緩衝液中で4μMに希釈する。
− 96ウェルプレート中で、各量を2点分配する。
【表3】
− ブランク液の調製:200μLのTRIS緩衝液。
− 350nmの励起波長及び440nmの発光波長で、分光蛍光計上で読み取る。355nm及び460nm、利得40で、FLUOstar(BMG)を用いる。
【0086】
[a.4−LLVY活性(キモトリプシン様)の分析]
そのプロセスを、以下の通り実施する。
− 96ウェルプレート中に、一定容積の細胞溶解物(20μgのタンパク質に相当すべき、各試料の最低タンパク質濃度から求める)を2点導入し、TRIS緩衝液を用いて100μLにする。
− TRIS緩衝液中で25μMに予め希釈した100μLのLLVY−MCA基質(最終12.5μM)を添加する。
− 355nmの励起波長及び460nmの発光波長、利得40で、2分毎に30分、分光蛍光計を読み取る。
【0087】
[a.5−結果]
未加工の結果を、F.U./分で表現し、F.U.は、蛍光単位で表現される、その装置によって与えられた値を示す。
該分析を、溶解物のタンパク質濃度の関数として設定した容積Vの細胞溶解物を含有する、200μLの反応物容積について実施する。
即時分析したタンパク質を、μg/μLで表す。
【0088】
校正範囲量から、該活性は、以下の通り、放出されたMCAのpmol/分/タンパク質のmgで表現し得る。
【数1】
【0089】
[b−LLE活性(ポストグルタミン酸加水分解酵素))]
[b.1−原理]
以下の切断反応を研究した。
プロテアソーム
(LLE活性
(ポストグルタミン酸加水分解酵素)
N−CBZ−LLE−NA−−−−−−−−−−−→N−CBZ−LLE−+NA蛍光
333nmの励起波長及び410nmの発光波長で、分光蛍光計を読み取る。
【0090】
[b.2−試薬]
− 25mM TRIS緩衝液pH7.5
− β−ナフチルアミド(NA)(Sigma:N8381)
20mM原液(5.73mg/2mL DMSO)
− 蛍光原基質N−CBZ−Leu−Leu−Glu−β−ナフチルアミド(Sigma:C0788)
DMSO中の10mM原液
【0091】
[b.3−NA(β−ナフチルアミド)校正範囲量]
校正を、以下の通り実施する。
− NA原液を、TRIS緩衝液中で4μMに希釈する。
− 96ウェルプレート中で、各量を2点分配する。
以下の表に示す通りである。
【表4】
− ブランク液の調製:200μLのTRIS緩衝液。
− 333nmの励起波長及び410nmの発光波長で、分光蛍光計上で読み取る。340nm及び410nm、利得83で、FLUOstar(BMG)を用いる。
【0092】
[b.4−LLE活性(ポストグルタミン酸加水分解酵素)の分析]
そのプロセスを、以下の通り実施する。
− 96ウェルプレート中に、一定容積の細胞溶解物(20μgのタンパク質に相当すべき、各試料の最低タンパク質濃度から求める)を2点導入し、TRIS緩衝液を用いて100μLにする。
− TRIS緩衝液中で300μMに予め希釈した100μLのLLE−NA基質(最終150μM)を添加する。
− 340nmの励起波長及び410nmの発光波長、利得83で、2分毎に35分、分光蛍光計を読み取る。
【0093】
[b.5−結果]
未加工の結果を、F.U./分で表現する。
該分析を、溶解物のタンパク質濃度の関数として設定した容積Vの細胞溶解物を含有する、200μLの反応物容積について実施する。
即時分析したタンパク質を、μg/μLで表す。
校正範囲量から、該活性は、以下の通り、放出されたMCAのpmol/分/タンパク質のmgで表現し得る。
【数2】
【0094】
[c)LSTR活性(トリプシン様)]
[c.1−原理]
プロテアソーム
(LSTR活性
(トリプシン様))
Nt Boc LSTR−MCA−−−−−−−→Nt Boc LSTR+蛍光MCA
350nmの励起波長及び440nmの発光波長で分光蛍光計を読み取る。
【0095】
[c.2−試薬]
− 25mM TRIS緩衝液pH7.5
− 7−アミノ−4−メチルクマリン(MCA)(Sigma:A9891)
20mM原液(3.5mg/1mL DMSO)
− 蛍光原基質:N−t−BOC−Leu−Ser−Thr−Arg7−7−アミド−4−メチルクマリン(Sigma:B4636)
DMSO中の10mM原液
プロテアソーム阻害剤:Mg132(Z−Leu−Leu−Leu−CHO)(Affinity、ZW8440)
DMSO中の20mM原液
【0096】
[c.3−MCA校正範囲量]
校正曲線を、以下の通りプロットする(以下の表参照)。
− MCA原液を、TRIS緩衝液中で4μMに希釈する。
− 96ウェルプレート中で、各量を2点分配する。
【表5】
− ブランク液の調製:200μLのTRIS緩衝液。
− 350nmの励起波長及び440nmの発光波長で、分光蛍光計上で読み取る。355nm及び460nm、利得30で、FLUOstar(BMG)を用いる。
【0097】
[c.4−LSTR活性の分析]
− 96ウェルプレート中に、一定容積の細胞溶解物(50μgのタンパク質に相当すべき、各試料の最低タンパク質濃度から求める)を2点導入し、TRIS緩衝液を用いて100μLにする。
− TRIS緩衝液中で80μMに予め希釈した100μLのLSTR−MCA基質(最終40μM)を添加する。
− 並行して、阻害剤Mg132を試験することにより、それが実際にプロテアソーム活性であることを確認する。
− 50μgのタンパク質に、TRIS緩衝液中で400μMに予め希釈した10μLのMg132の溶液(最終20μM)を添加し、TRIS緩衝液を用いて100μLにする。次に、TRIS緩衝液中で80μMに予め希釈した100μLのLSTR基質(最終40μM)を添加する。
− 355nmの励起波長及び460nmの発光波長、利得30で、2分毎に30分、分光蛍光計を読み取る。
【0098】
[c.5−結果]
未加工の結果を、F.U./分で表現する。
該分析を、溶解物のタンパク質濃度の関数として設定した容積Vの細胞溶解物を含有する、200μLの反応物容積について実施する。
即時分析したタンパク質を、μg/μLで表す。
校正範囲量から、該活性は、以下の通り、放出されたMCAのpmol/分/タンパク質のmgで表現し得る。
【数3】
【0099】
[2.1D:チロシナーゼ活性の測定]
分析の原理
該分析は、チロシナーゼのドーパ−オキシダーゼ活性の測定に基づく。該分析の原理は、FLUOstar(BMG)上で475nmで吸収する、ドーパクロムの検出に基づく。
【0100】
材料:
− 溶解緩衝液
− 基質:L−ドーパの自動酸化が原因で即時調製する、PBS中の10mMでのL−DOPA(Sigma、D−9628、MW197.2)。
【0101】
培地中のヒトメラノサイトを、25μMのリノール酸(±120nM Mg132)又は25μMのパルミチン酸(±120nM Mg132)又は5μg/mLのフェオダクチルム(±120nM Mg132)を用いて、1%BSA、50μMビタミンE及び1mMビタミンCを含有するMNT1培地中で処理した。メラノサイトを、処理の72時間後に回収し、溶解した。次いで、50μgの抽出物を、1mMのL−ドーパミンを用いて、37℃で1時間インキュベートする。チロシナーゼ活性の測定を、サーモスタットで37℃に維持したマイクロプレートリーダーを使用して、475nmで2分毎に実施する。
【0102】
ドーパ−オキシダーゼ活性を、タンパク質のOD/分/mgとして得る。ブランク液を、L−DOPAの存在下で、溶解緩衝液を用いて調製する。
【0103】
[2.2 プロテアソーム、ユビキチンタンパク質及びチロシナーゼをウェスタンブロット法によって分析するための、MNT1の処理]
【0104】
[2.2A:細胞培養]
[a)手順:]
[D0での接種]
106個のMNT1細胞/直径35mmのシャーレ、4点
MNT1培地中、2mL/シャーレ
[D1での処理]
− リノール酸 25μM
− パルミチン酸 25μM
− フェオダクチルム 5μg/mL
MNT1培地中
+1%ウシ血性アルブミン(BSA)+ビタミンE(ビタミンE)50μM+ビタミンC(ビタミンC)1mM
− リノール酸 25μM
− パルミチン酸 25μM
− フェオダクチルム 5μg/mL
MNT1培地中
+1%BSA+ビタミンE 50μM+ビタミンC 1mM
+120nM Mg132
37℃で1時間、磁気撹拌子で撹拌する
[D2、D3及びD4での溶解物の調製]
PBSを用いた2回のすすぎ洗い
掻取りによる、150μLのLaemmli2×緩衝液+1%DTT(10mM)中の細胞叢の回収。
2つのシャーレ/Eppendorfチューブ
−20℃で凍結
[タンパク質分析(ブラッドフォード)及びウェスタンブロット法]
該タンパク質分析法は、以前使用したものと同じであり、ウェスタンブロット法である。
Eppendorfチューブでタンパク質を分析した後、1μg/μLのタンパク質を得るために、各試料を、Laemmli2×緩衝液で希釈する。これらの試料溶液に、10×ブロモフェノールブルーを添加する。各試料は、−20℃で凍結し得る。
【0105】
[b)培地及び試薬]
[− MNT−1培地]
DMEM 4.5g/mLのグルコース(Gibco:61965−026)
+20%FCS
+10%追加AIMV(Gibco:12055−091)
+1%ピルビン酸ナトリウム 100mM(Gibco:12360−039)
+1%NEAA(Gibco:11140−035)
【0106】
[− 原液]
− リノール酸(Sigma;L1012)
EtOH中2.8mg/mL(培地中0.25%)
− パルミチン酸(Sigma;P5585)
EtOH中2.56mg/mL(培地中0.25%)
− フェオダクチルム
EtOH中2mg/mL(培地中0.25%)
− ビタミンC
PBS中25.6mg/mL(培地中1%)
− ビタミンE
EtOH中21.55mg/mL(培地中0.1%)
− Mg132(Sigma;C2211)
DMSO中120μM(培地中0.1%)
【0107】
[− 溶解緩衝液]
1M DL−ジチオスレイトール溶液(4℃で保存したSigma:ref.D0632)
0.154gを、1mLの蒸留水中に溶解する。
10μL分量を採取し、−20℃で保存する。
[− Laemmli2×試料還元緩衝液(変性剤)]
トリス−HCl0.06M pH6.8;SDS2.3%;グリセロール10%
−濃縮ゲル緩衝液 トリス0.5M pH6.8 6.25mL
−SDS 10% 11.50mL
−グリセロール 5mL
−50mLにするための蒸留水
【0108】
[2.2B:ウェスタンブロット]
[a)試料の調製及び電気泳動]
タンパク質の電気泳動を、Laemmli法(1970)に従って、変性及び還元条件下で、バッチ緩衝液において、厚さ1mm〜1.5mmのポリアクリルアミドミニゲル中で実施する。12%T、2.7%Cを含有するゲルは、20〜120kDaの範囲の低分子量タンパク質の分離を可能にする。8%T;2.7%Cを含有するゲルは、35〜250kDaの高分子量タンパク質の分離を可能にする。
【0109】
該ゲルを生成するのに必要な全ての溶液は、以下の付属書Aに提示する。
【0110】
[− 分離ゲル]
このゲルは、前日又は当日、ただしいずれの場合も、移動の1〜2時間前に注入し得る。
【0111】
該ゲルの注入を、ピペットを使用して、濃縮ゲルのために用意したコームの底から最大で約0.5mmまで実施する。
【0112】
均一な基線(±1mL/ゲル)を得るために、無水エタノールを、表面へ穏やかに添加する。
【0113】
[− 濃縮ゲル(スタッキングゲル)]
該エタノールを除去する。
ポリエチレンのパスツールホールピペット(Biorad、ref.223−9528)を使用して、2.5mLのゲルを注入し、次いで、コームを挿入する。1時間後、該ゲルは重合する。
【0114】
[試料の調製]
シャーレから細胞を回収する前に、該細胞を、PBSを用いて2回すすぎ洗いする。最後のすすぎ洗い後、PBSを可能な限り除去する。掻取りにより、該細胞を、Laemmli2×緩衝液+10mM DTT(以下の付属書Aを参照)に回収する(5×106細胞/溶解緩衝液の最小mL)。1.5mL Eppendorfチューブに回収した溶解物を、−20℃で凍結する。
【0115】
電気泳動を実施する前に、解凍した溶解物を、95℃で10分加熱し、タンパク質を分析する。
【0116】
タンパク質分析を、分離ゲルの重合の間、又は前日に実施する(付属書Cを参照)。
【0117】
タンパク質≦1μg/μLの同一の溶液を得るために、Eppendorfチューブにおいて、各試料をLaemmli2×緩衝液で希釈する。これらの試料溶液に、10×ブロモフェノールブルーを添加する。
【0118】
[適用]
各試料を、95℃で5分加熱する。
【0119】
適用する容積は、タンパク質の所望の量(最大容積=1mmのゲルについて25μL、1.5mmのゲルについて40μL)に応じて異なる。10μgのタンパク質、すなわち10μLは、基準量であり、次いで、標的タンパク質の発現に応じて、それを適用する。
【0120】
コームを除去する。200mLの1×移動緩衝液を、耐漏えい性を確実にするように注意しながら、該ゲル上、2つのゲルの間の中央区画へ、次いで、石英セルへ注入する。
【0121】
マイクロピペット上の適合させたテーパーチップ、及び10μLの染色済み分子量対照(Biorad、Prestained SDS−PAGE standards Low Range;ref.161−0305)又は(Amersham、Full Range Rainbow;ref.RPN800W)も使用して、各試料を適用する。
【0122】
[移動]
電気泳動を、室温で200Vで実施する。移動前端がゲルを離れたときに(約40分の移動)、電気泳動を停止する。
【0123】
[b)膜上へのタンパク質のセミドライ転写]
濾紙の2枚の厚手シート(Biorad、ref.17033960)及びセルロース膜(Biorad、ref.162−0115)を、この方法の原点である、Towbinら(1979)の転写緩衝液中へ浸漬する(付属書Bを参照)。
【0124】
セミドライ転写装置(Biorad)において、濾紙の湿らせた厚手シートを陽極上に置く。
【0125】
移動が完了すると、濃縮ゲルを除去し、分離ゲルをセルロース膜へ適用する。該膜及びゲルを、濾紙の該シート上に置く。濾紙の2枚目のシートを、ゲルへ適用する。
【0126】
「サンドイッチ」の製造の間、転写を引き起こすものであるため、全ての気泡を、ガラスステムを使用して除去しなければならない。該装置を、陰極を形成する蓋で閉じる。
【0127】
該タンパク質転写を、10Vで1時間30分実施する。
【0128】
[c)ポンソーレッドを用いたマーキング]
転写の質を確認するために、ポンソーレッド(Sigma;P7170)を用いてタンパク質を染色する。
【0129】
セルロース膜を、MilliQ水を用いてすすぎ洗いし、次いで1×ポンソーレッド浴中に、撹拌しながら10分浸漬する。次いで、染色剤がタンパク質バンド上にのみ残るようになるまで、該膜を、複数のMilliQ水浴中で洗浄する。
【0130】
該膜を、プラスチック中へ挿入し、走査する。
【0131】
タンパク質バンドは、転写されたタンパク質の合計量を求めるために、定量化し得る。
【0132】
[d)非特異的結合部位の遮断]
以下の付属書Bで調製するPBS−T緩衝液(20mL/膜)中の5%脱脂乳(Regilait)から形成される非特異的結合部位を遮断するための溶液において、該膜を、4℃で終夜、又は室温で1時間30分撹拌する。
【0133】
[e)免疫検出]
抗体の基準品及び最適な希釈度は、以下の付属書Dに示す。
【0134】
非特異的部位を遮断した後、該膜を、PBS−T中で急速にすすぎ洗いする。
【0135】
次に、この膜を、PBS−T中で最適な濃度に希釈した一次抗体と、該抗体に応じて5%乳(m/v)あり又はなしで、撹拌しながら室温で1時間、又は4℃で終夜接触させる。
【0136】
次いで、過剰な遊離非結合抗体を除去するために、該膜を、PBS−T中で急速に3回、10分すすぎ洗いする。
【0137】
次に、該膜を、PBS−T又は5%ミルク(5mL)で希釈した適切なペルオキシダーゼ結合二次抗体と、室温で撹拌しながら接触させる。
【0138】
45分インキュベートした後、該膜を急速に2回すすぎ洗いし、次いで、PBS−T緩衝液を用いて5回、5分、最後には1×PBS中で洗浄する。
【0139】
排出後、該膜を、「タンパク質」側を上にして、キッチンフィルム(SARAN)上に置く。
【0140】
ルミノールをペルオキシダーゼ基質として用いながら高感度化学発光検出キット(Amersham;ECL Western blotting ref.RPN2209)を使用して、該膜を明らかにする。ペルオキシダーゼ及び増幅剤の作用下で、ルミノールは酸化し、一時的な励起状態となる。基底状態への回復は、該膜上にあるオートラジオグラフィーフィルムに当たる、光子の放出により生じる。
【0141】
該検出キットの2つの溶液各1mLを混合する(2mL、該膜を被覆するのに必要な最低容積)。
【0142】
直ちに、その混合物を、該膜上へ均一に注入し、室温で正確に1分接触させる。
【0143】
排出した膜を、Saranキッチンフィルムの下で密封し、光から保護したカセットへ置き、次いで、プレフラッシュしたオートラジオグラフィーフィルム(Amersham、Hyperfilm ECL ref.RPN2103K)を用いて被覆する。
【0144】
5分の曝露後、該オートラジオグラフィーフィルムを現像する。所望の信号を最適化するために、必要であれば、新しいフィルムを再曝露する(最大で1時間)。
【0145】
該バンドを、Gels Analysts3.01ソフトウェアによって定量化する。
【0146】
[2.3 チロシナーゼの免疫沈降を実施するためのMNT−1タンパク質抽出物の調製]
[2.3A:細胞培養]
[a)手順]
【0147】
[D0での接種]
106個のMNT1細胞/直径35mmのシャーレ、3点
MNT1培地中2mL/シャーレ
【0148】
[D1での処理]
− リノール酸 25μM
− パルミチン酸 25μM
− フェオダクチルム 2.5及び5μg/mL
MNT1培地中
+1%BSA+ビタミンE 50μM+ビタミンC 1mM
− リノール酸 25μM
− パルミチン酸 25μM
− フェオダクチルム 2.5及び5μg/mL
MNT1培地中
+1%BSA+ビタミンE 50μM+ビタミンC1mM
+120nM Mg132
【0149】
[37℃で1時間、磁気撹拌子で撹拌する]
溶解物の調製及びD2での計数
PBSを用いた2回のすすぎ洗い
氷のベッド上、
150μLの溶解緩衝液での回収
掻取りによる。
−20℃で凍結
PBSを用いたすすぎ洗い
+0.5mL トリプシン/EDTA
+0.5mL PBS+10%FCS
【0150】
[Z2計数機上での計数]
0.5mLの懸濁液+10mL Isoton上
【0151】
[b)培地及び試薬]
[− MNT1培地]
DMEM 4.5g/mLのグルコース(Gibco:61965−026)
+20%FCS
+10%追加AIMV(Gibco:12055−091)
+1%ピルビン酸ナトリウム 100mM(Gibco:12360−039)
+1%NEAA(Gibco:11140−035)
【0152】
[− 原液]
− リノール酸(Sigma;L1012)
EtOH中2.8mg/mL(培地中0.25%)
− パルミチン酸(Sigma;P5585)
EtOH中2.56mg/mL(培地中0.25%)
− フェオダクチルム
EtOH中2mg/mL(培地中0.25%)
− ビタミンC
PBS中25.6mg/mL(培地中1%)
− ビタミンE
EtOH中21.55mg/mL(培地中0.1%)
− Mg132(Sigma;C2211)
DMSO中120μM(培地中0.1%)
【0153】
[− 溶解緩衝液]
トリス−HCl 1.5M、pH7.5
45.375gのトリス塩基(Sigma;T1503)を、200mLの蒸留水中に溶解する、
12N HClを用いて、pHを7.5に調整し、次いで250mLにする
1Mスクロース溶液(Merck;ref.7654)
8.55gを20mLの蒸留水中に溶解し、次いで25mLに調整する。
2mM MgSO4溶液(Sigma;ref.M7506)
6mgを25mLの蒸留水中に溶解する。
又は、MgSO4.7H2O(Sigma;ref.M5921)12.4mgを、25mLの蒸留水中に溶解する;
4℃で保存する。
4%トリトンX100溶液(Sigma;ref.X100)
0.8gを20mLの蒸留水中に溶解する(非常にゆっくりと)
0.5mL分量を採取し、−20℃で保存する
40mM PMSF溶液(Sigma;ref.P7626)
14mgを2mLの無水エタノール中に溶解する。
50mL分量を採取し、4℃で9カ月保存する
0.5mg/mLロイペプチン溶液(Sigma;ref.L2884;−20℃で保存)
水溶性。50μL分量を採取し、−20℃で1カ月保存する。
1M DL−ジチオスレイトール溶液(4℃で保存したSigma;ref.D0632)
0.154gを1mLの蒸留水中に溶解する。
10μL分量を採取し、−20℃で保存する。
500mMのEDTA四ナトリウム溶液(Sigma;ref.ED4S)
3.8gを20mLの蒸留水中に溶解する;4℃で保存する。
【0154】
[− 溶解緩衝液の調製(100mL当たり)]
そこから4.39mL分量を採取する、−20℃で保存する不完全な溶液の調製:
【表6】
【0155】
完全な溶液を、
4.39mLの不完全溶液
+500μLの4%トリトンX100
+10μLの1M DTT
+50μLの0.5mg/mLロイペプチン
+50μLの40mMでのPMSF
を用いて即時調製する。
【0156】
酵素活性分析については、ロイペプチンは、プロテアソームの活性を抑制するため、添加しない。
【0157】
[2.3B:免疫沈降の手順]
培地中のヒトメラノサイトを、25μMのリノール酸(±120nM Mg132)又は25μMのパルミチン酸(±120nM Mg132)又は5μg/mLのフェオダクチルム(±120nM Mg132)を用いて、1%BSA、50μMビタミンE及び1mMビタミンCを含有するMNT1培地中で処理した。該メラノサイトを、処理の24又は72時間後に回収し、溶解する。
【0158】
溶解物(500μgのタンパク質)を、10μLの抗チロシナーゼ抗体(チロシナーゼAb−1モノクローナル抗体(クローンT311)Lab vision corporation)又は抗ユビキチンモノクローナル抗体(抗モノユビキチンモノクローナル(SC−8017、Santa Cruz))を用いて、4℃で1時間インキュベートした。次いで、この混合物を、50μLのA−セファロースタンパク質(Amersham Pharmacia Biotech、17−5280−01)を用いて処理し、4℃で16時間インキュベートした。次いで、該混合物を、1000×gで5分遠心分離する。そのペレットを洗浄し、200μLのPBS、1%NP40((Amersham Pharmacia Biotech、US19628)を用いて再懸濁し、1000×gで5分遠心分離した。3回の連続洗浄後、そのペレットを、SDS−PAGEゲル上に置き、次いで、ニトロセルロース膜上へ転写させた。次いで、該膜を、抗チロシナーゼモノクローナル抗体を用いて、1時間インキュベートした(チロシナーゼAb−1モノクローナル抗体(クローンT311)Lab vision corporation)(1/2000)。ウェスタンブロット法を、ペルオキシダーゼ結合抗マウス免疫グロブリン抗体(1/5000)、及びECLキット(Amersham Pharmacia Biotech、NA9310)によって展開した。
【0159】
[3.結果]
[3.1 藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムの抽出物をMNT−1メラノサイト株へ添加することにより誘発される、プロテアソーム活性の調節]
藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムの抽出物のメラニン合成に対する影響を特徴づけるために、MNT−1株のメラノサイト細胞の様々な培地を調製した(藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムの抽出物、脂肪酸、又はプロテアソーム依存性タンパク質分解阻害剤Mg132を追加、又は別の方法で有する培地)。
【0160】
先に概要を述べたように、以前の研究は、プロテアソームによるチロシナーゼの分解を促進することにより、リノール酸の存在下でのメラノサイト培養が、メラニンの量の減少につながったこと、及び、パルミチン酸の存在下で調製した同じ培養が、逆の効果をもたらしたことを明らかにした。皮膚色素沈着を制御する、メラニン合成の制限酵素であるチロシナーゼの活性に対する藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムの抽出物の影響を特徴づけるために、これらの2つの化合物(リノール酸及びパルミチン酸)を、それぞれ、正及び負の対照として使用した。MNT−1メラノサイト株のこれらの同一の細胞抽出物から、プロテアソーム活性の研究を実施した。プロテアソーム20Sの3つの触媒部位に特異的な蛍光原性の合成基質ペプチドを使用して、プロテアソーム活性を測定した。
【0161】
並行して、特異的抗体を使用して、ウェスタンブロット法により、プロテアソームの20S及び26Sの形態を定量化した。
【0162】
プロテアソーム活性の分析のために、該細胞を、細胞処理の72時間後に溶解し、タンパク質濃度を求めた。
【0163】
図1A、1B及び1Cに示した結果は、藻類抽出物(Ph)又はリノール酸の添加72時間後に、蛍光原ペプチドを使用して測定したプロテアソームの3つのペプチダーゼ活性が増加、及び著しく増加したことを示す(キモトリプシン様、ポストグルタミン酸加水分解酵素及びトリプシン様活性)。
【0164】
さらに、パルミチン酸を用いて72時間処理したメラノサイトでは、2つのペプチダーゼ活性(キモトリプシン様及びポストグルタミン酸加水分解酵素活性)が低減している。プロテアソーム依存性タンパク質分解阻害剤Mg132の存在下で培養したMNT−1株の細胞抽出物を使用して測定したプロテアソーム活性は、正の対照としての役割を果たす。これらの全ての結果を、付属書の表1にまとめる。
【0165】
プロテアソームのペプチダーゼ活性のこの活性化の原因を求めるために、本発明者らは、ウェスタンブロット技法を介して、MNT−1の溶解物から、藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムの抽出物、脂肪酸、又はプロテアソーム依存性タンパク質分解阻害剤Mg132を用いたそれらの処理の24時間及び72時間後に得たホモジネート中のプロテアソームの量を評価した。
【0166】
図2A及び2Bに示した結果は、これらの処理が、細胞抽出物中のプロテアソームの量を変えないことを示す。
【0167】
これらの結果は、藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムの抽出物又はリノール酸を用いたプロテアソーム活性の刺激が、MNT−1メラノサイト株の細胞におけるプロテアソームの20S又は26Sの形態の発現又は分布を変えないことを示す。
【0168】
[3.2 藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムの抽出物のMNT−1メラノサイト株への添加後の、ユビキチン修飾タンパク質の状態]
本発明者らは、脂肪酸又は該藻類抽出物を用いた処理の24時間又は72時間後に、ユビキチンタンパク質のレベル(図3A、3B)が、プロテアソーム阻害剤Mg132の存在下で細胞を培養した場合を除いて、変わらなかったことを示した。
【0169】
これらの観察は、ユビキチン化機構が、該藻類又はリノール酸を用いた処理によって影響されなかったことを証明する。
【0170】
[3.3 藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムの抽出物のMNT−1メラノサイト株への添加によって誘発される、チロシナーゼの発現及び活性の調節]
これらの様々な条件下で培養したMNT−1メラノサイトの細胞抽出物を用いて、「材料及び方法」セクションで規定した手順によって開始し、チロシナーゼの量及びその活性に対する、藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムの抽出物の影響を特徴づけた。
【0171】
本発明者らは、フェオダクチルム・トリコルヌーツム又はリノール酸を用いたMNT−1メラノサイトの処理の24時間又は72時間後に、チロシナーゼにおける有意な減少が観察されたこと(図4A及び4B)、及び該細胞を、プロテアソーム阻害剤であるMg132を用いて処理すると、この減少が逆転され得ることを示した。
【0172】
本発明者らは、Image master 1Dソフトウェア(Amersham Pharmacia)を使用してこの減少を定量化し、その結果を、表2及び3に示している。
【0173】
これらの予備的観察は、チロシナーゼがプロテアソームの生理学的基質であり、その分解が、藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムの抽出物によって活性化され得ることを証明する。
【0174】
第1段階では、MNT−1株の細胞抽出物に適用可能な、チロシナーゼ活性の分析のための特異的技法の展開に着手した。本発明者らは、フェオダクチルム・トリコルヌーツム又はリノール酸を用いたMNT−1メラノサイトの処理の72時間後の細胞におけるチロシナーゼ活性を測定し、本発明者らは、この活性における有意な減少を観察した(図5及び表4)。
【表7】
【0175】
表2:24時間でのチロシナーゼの定量化
【表8】
【0176】
表3:72時間でのチロシナーゼの定量化
【表9】
【0177】
表4:72時間でのチロシナーゼ活性
プロテアソーム基質チロシナーゼが、藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムの抽出物を用いて処理したMNT−1株のメラノサイト細胞の抽出物においてより良好に分解したことを確認するために、72時間での免疫化学的検出及び免疫沈降によって、チロシナーゼ及びユビキチン結合形態のチロシナーゼの定性的及び定量的研究を実施した(図6)。これらの結果は、藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムの抽出物を用いて処理した細胞においては、チロシナーゼが、急速に分解するため、ユビキチン化形態で蓄積しないことを示す。
【0178】
[III.化粧用組成物の例]
濃度を重量パーセントで表す。
以下の例で使用する抽出物は、抽出物E2である。
【0179】
[1.エマルジョンゲル形態の脱色用美容デイクリーム]
【表10】
上記エマルジョンゲルの使用は、程度の差はあっても強烈な日光の放射、又は直射日光にさえ曝されている人々が、色白の状態を維持し、色素沈着斑の出現を回避することを可能にする。
【0180】
[2.日焼け止め液体化粧用組成物(SPF30)]
【表11】
【0181】
この組成物は、強烈な日光へ曝されている間に色素沈着斑の出現を生じる傾向がある個人の場合、その現象を予防する。高濃度の日焼け止めの存在が、メラニンのレベルの減少の結果である、天然の保護の減少を補うことに注意されたい。
【0182】
[3.肌色を明るくするための美容フェイスローション]
【表12】
この美白ローションは、化粧を落として皮膚を洗浄した後で使用する。
【0183】
[4.顔用の美容液]
【表13】
この高濃度液組成物1滴を、一般に、フェイスクリームの適用前に、顔へ適用する。この液は、肌色の明るさを得る又は維持するために、通常、1〜2週間の治療で使用する。
【0184】
[5.体毛を明色化するための美容ローション]
【表14】
このローションは、明色化する有毛領域、特に腕へ、毛が徐々に明色化するようにするのに十分な時間適用する。
【0185】
[6.斑点予防美容ハンドクリームゲル]
【表15】
このクリームは、手の上の斑点(日光性及び/又は老人性色素斑)へ、その色を薄めるために直接適用すべきである。
【0186】
[付属書A]
I−バッチ緩衝液において、変性及び還元条件下での電気泳動ゲルに使用する緩衝液及び溶液
【0187】
[モノマー溶液:]
アクリルアミド/ビス−アクリルアミド、30%T、2.67%C(Biorad;ref.161−0158)
【0188】
分離ゲル緩衝液:トリス−HCl 1.5M pH8.8。
− 蒸留水100mL当たり18.15gのトリス塩基(Sigma;T1503)
− 12N HClを用いてpHを8.8に調整する
【0189】
濃縮ゲル緩衝液:トリス−HCl 0.5M pH6.8。
− 蒸留水100mL当たり6gのトリス塩基
− 12N HClを用いてpHを6.8に調整する
10×移動緩衝液:トリス0.25M pH8.3、グリシン1.92M;SDS1%
− トリス塩基 12g
− グリシン 57.6g
(Research Organics Inc.;5037G)
− SDS10%(Sigma;L5750) 40mL
− 400mLにするための蒸留水
これらの溶液を4℃で保存する。
【0190】
10%、すなわち100mg/mLでの過硫酸アンモニウム(NH4)2S2O8:(Sigma;A1433)
一定分量に分けて、−20℃で保存する
【0191】
Laemmli2×還元試料緩衝液:トリス−HCl0.06M pH6.8;SDS2.3%;グリセロール10%;ブロモフェノールブルー0.02%
− 濃縮ゲル緩衝液 トリス0.5M pH6.8 6.25mL
− SDS10% 11.50mL
− グリセロール 5mL
− 50mLにするための蒸留水
【0192】
10×ブロモフェノールブルー(飽和溶液):
スパーテルチップ一杯(spatula tipful)のブロモフェノールブルーを、5mLのLaemmli2×緩衝液中に入れ、撹拌し、超音波処理し、遠心分離し、その上澄みのみを回収する。
これらの溶液を室温で保存する。
【0193】
着色済み標準試料−
− 低分子量(Biorad;ref.161−0305)
それらは、
− ホスホリラーゼB 104kDa
− ウシ血性アルブミン 82kDa
− 卵アルブミン 48.3kDa
− 炭酸脱水酵素 33.4kDa
− 大豆トリプシン阻害剤 28.3kDa
− リソシーム 19.4kDa
からなる。
− 10〜250kDaの高分子量(Amersham;ref.RPN800)
【0194】
II−ゲル電気泳動
− 12%Tでの分離ゲルの調製
【表16】
【0195】
− 12%Tでの濃縮ゲルの調製
【表17】
【0196】
[付属書B]
転写及び免疫検出用の溶液
[Towbin転写緩衝液。]
トリス−HCl25mM、pH8.3;グリシン192mM;20%メタノール
− トリス塩基 3.03g
− 100mLの蒸留水中に溶解すべきグリシン(Research Organics Inc.;5037G) 14.4g
− メタノール 200mL
− 1000mLにするための蒸留水
【0197】
[PBS−T緩衝液]
10×PBS(Invitrogen;14200−067)の10倍希釈液
そこへ0.1%ツイーン20(Sigma;P1379)を添加する
これらの溶液を4℃で保存する
【0198】
[ポンソーレッド(Sigma;P7170)]
5%酢酸溶液中の0.1%での溶液(w/v)
【0199】
[付属書C]
[タンパク質分析]
(Bioradキット;タンパク質標準試料;ref.500−0006)
ブラッドフォード法
電気泳動を実施する前に、解凍した溶解物を、95℃で10分加熱する。
【0200】
[変性溶解緩衝液(2×Laemmli緩衝液+DTT10mM)中の溶解物について]
Laemmli緩衝液は、該キットの試薬と適合性がないため、この方法を介して分析を実施するために、それを除去することが必須である。
Eppendorfチューブにおいて、500μLのアセトンを、5μLの溶解物(タンパク質濃度の関数として適合させる容積)へ添加する。
該チューブを、−20℃に少なくとも10分置く。
次いで、それらを4℃で10分、17000×gで遠心分離する。
その上澄みを、反転により除去し、アセトンの蒸発後に、ペレットを50μLの0.1M NaOH中に溶解し、ブラッドフォード法を介してタンパク質を分析する(該試料の10倍希釈液)。
【0201】
[非変性溶解緩衝液中の溶解物について]
この溶解緩衝液の成分は、この濃度(10μLの試料/ウェル)で、Bioradキットの試薬を妨害しない。その範囲内に入り、優先的にはその上位となるように、該試料のみを希釈すべき、又はすべきではない。
【0202】
[校正範囲量の調製:]
BSA原液:2mg/mL(Sigma;A2153;4℃)
【0203】
該範囲は、Eppendorfチューブで調製し、凍結又は4℃で保存し得る。
【表18】
【0204】
該試薬(クーマシーブルーG250)を、5倍に即時希釈する(1時間維持する)。96ウェルプレートへ、
− 該範囲について10μLの原液
− 該対照について10μLの水
− 該試料対照について10μLの0.1M NaOH
− 分析する10μLの試料(3点又は4点)
を用いて希釈した200μLの試薬を添加する。
該プレートを振盪し、10分発色させる。
595nmで吸収度を測定する。発色は、最大で40分安定である。
【0205】
[付属書D]
[一次及び二次抗体のリスト]
【表19】
【0206】
【表20】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムの抽出物の、特に皮膚の色素沈着斑の低減若しくは除去、又は肌色若しくは体毛若しくは頭髪の明色化を目的とした脱色活性剤としての、化粧用組成物における使用。
【請求項2】
前記藻類抽出物が、最終組成物の総重量に対して、0.001重量%と5重量%の間、好ましくは0.001重量%と1重量%の間の濃度で、前記組成物において使用されることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記抽出物が、少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも60重量%の脂肪酸を含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記抽出物が、前記藻類から、脂肪酸を抽出するのに十分に無極性である溶媒を用いた抽出の少なくとも1つのステップを含むプロセスで得られることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記溶媒が、イソプロパノール、ヘキサン、シクロヘキサン又はヘプタンであることを特徴とする、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記抽出プロセスが、C1〜C6アルコール、これらのアルコールの水−アルコール混合物、エチレングリコールなどのC2〜C6多価アルコール、クロロホルム及びジクロロメタンなどの塩素系溶媒、酢酸エチルなどのC3〜C6有機酸エステル、ヘプタン、ヘキサン又はシクロヘキサンなどのC6〜C10アルカン、並びにジイソプロピルエーテルなどのC5〜C8エーテルから選択される抽出溶媒を用いた抽出の少なくとも1つのステップを含み、前記抽出溶媒が、場合によって塩基性化されていることを特徴とする、請求項4又は5に記載の使用。
【請求項7】
前記抽出物が、塩基性化された水−アルコール混合物を用いた、藻類の抽出の第1のステップを含む抽出プロセスで得られ、前記水−アルコール混合物のアルコールが、イソプロパノール、エタノール及びメタノールの群から選択されることが好ましく、前記ステップが、水−アルコール相において塩形態で脂肪酸を回収することを可能にすることを特徴とする、請求項4〜6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
前記抽出プロセスが、前記水−アルコール混合物を酸性化し、次いで無極性溶媒を使用した液液抽出を実施し、最後に前記無極性溶媒を除去して、前記抽出物を油の形態で得ることを含む、無極性相における脂肪酸の回収ステップをさらに含むことを特徴とする、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
前記無極性溶媒が、ヘプタン、ヘキサン及びシクロヘキサンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記藻類抽出物が、超臨界CO2を使用した抽出によって得られることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
皮膚の色素沈着斑の低減若しくは除去、又は肌色若しくは体毛若しくは頭髪の明色化のための美容ケア法において、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化粧用組成物の、皮膚の少なくとも1つの関心領域への適用を含むことを特徴とする美容ケア法。
【請求項12】
前記組成物が、所望の効果を得るのに効果的な量の前記抽出物を含有することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項1】
藻類フェオダクチルム・トリコルヌーツムの抽出物の、特に皮膚の色素沈着斑の低減若しくは除去、又は肌色若しくは体毛若しくは頭髪の明色化を目的とした脱色活性剤としての、化粧用組成物における使用。
【請求項2】
前記藻類抽出物が、最終組成物の総重量に対して、0.001重量%と5重量%の間、好ましくは0.001重量%と1重量%の間の濃度で、前記組成物において使用されることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記抽出物が、少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも60重量%の脂肪酸を含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記抽出物が、前記藻類から、脂肪酸を抽出するのに十分に無極性である溶媒を用いた抽出の少なくとも1つのステップを含むプロセスで得られることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記溶媒が、イソプロパノール、ヘキサン、シクロヘキサン又はヘプタンであることを特徴とする、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記抽出プロセスが、C1〜C6アルコール、これらのアルコールの水−アルコール混合物、エチレングリコールなどのC2〜C6多価アルコール、クロロホルム及びジクロロメタンなどの塩素系溶媒、酢酸エチルなどのC3〜C6有機酸エステル、ヘプタン、ヘキサン又はシクロヘキサンなどのC6〜C10アルカン、並びにジイソプロピルエーテルなどのC5〜C8エーテルから選択される抽出溶媒を用いた抽出の少なくとも1つのステップを含み、前記抽出溶媒が、場合によって塩基性化されていることを特徴とする、請求項4又は5に記載の使用。
【請求項7】
前記抽出物が、塩基性化された水−アルコール混合物を用いた、藻類の抽出の第1のステップを含む抽出プロセスで得られ、前記水−アルコール混合物のアルコールが、イソプロパノール、エタノール及びメタノールの群から選択されることが好ましく、前記ステップが、水−アルコール相において塩形態で脂肪酸を回収することを可能にすることを特徴とする、請求項4〜6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
前記抽出プロセスが、前記水−アルコール混合物を酸性化し、次いで無極性溶媒を使用した液液抽出を実施し、最後に前記無極性溶媒を除去して、前記抽出物を油の形態で得ることを含む、無極性相における脂肪酸の回収ステップをさらに含むことを特徴とする、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
前記無極性溶媒が、ヘプタン、ヘキサン及びシクロヘキサンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記藻類抽出物が、超臨界CO2を使用した抽出によって得られることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
皮膚の色素沈着斑の低減若しくは除去、又は肌色若しくは体毛若しくは頭髪の明色化のための美容ケア法において、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化粧用組成物の、皮膚の少なくとも1つの関心領域への適用を含むことを特徴とする美容ケア法。
【請求項12】
前記組成物が、所望の効果を得るのに効果的な量の前記抽出物を含有することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【公表番号】特表2010−520267(P2010−520267A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552258(P2009−552258)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【国際出願番号】PCT/FR2008/050394
【国際公開番号】WO2008/125789
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(502189579)エルブイエムエイチ レシェルシェ (68)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【国際出願番号】PCT/FR2008/050394
【国際公開番号】WO2008/125789
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(502189579)エルブイエムエイチ レシェルシェ (68)
【Fターム(参考)】
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