説明

皮膚化粧料

【課題】肌なじみが良く、肌すべり感がなくて、使用性に極めて優れた皮膚化粧料を提供すること。
【解決手段】(A)下記一般式(1)で表される高分子シリコーンを一種または二種以上と、


(1)
(R1はメチル基またはその一部がフェニル基を表し、R2は水酸基を表し、R3は水酸基またはその一部がメチル基を表し、mおよびnは、m+nが3,000以上20,000以下であり、かつn/mが0以上1/500以下という条件を満たす整数を表す)
(B)炭素数8〜16のイソパラフィンと、
(C)アクリル酸Na・アクリロイルジメチルタウリンNaコポリマーとを含有することを特徴とする皮膚化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は皮膚化粧料に関する。より詳細には、安定性及び耐水性に優れ、肌なじみが良く、肌すべり感がなくて、使用性に極めて優れる皮膚化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
水仕事から効果的に皮膚を保護し、かつさっぱりとした使用感を有している皮膚化粧料として、高分子量のジメチルポリシロキサンや高分子量のメチルフェニルポリシロキサンを用いる技術が知られている(特許文献1)。
【0003】
また、接触物への付着防止効果を高めたアミノ変性またはアンモニウム変性高分子シリコーンを用いる技術も知られている(特許文献2)。
これらの技術は、海水やプールの水に対し耐水性を示す日焼け止め化粧料にも活用されてきている。
【0004】
【特許文献1】特許第2525194号公報
【特許文献2】特許第3130969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの技術を応用した皮膚化粧料のハンドクリームは、肌なじみの点で十分に満足できるものではない。そして、肌になじみきれずに残った撥水性皮膜が、硝子製やセラミック製の食器などに触れた際、滑りやすくさせてしまい、手作業による水仕事の効率を極端に低下させてしまうという大きな問題点があった。
【0006】
また、これらの技術を応用した皮膚化粧料の日焼け止め化粧料でもビニル加工されたビーチサンダルが滑って履きにくくなったり、海上でのサーフィンに用いるサーフボードに対し滑って乗りにくくなったりする問題点があった。
【0007】
本発明者らは、上記課題の解決を目的として鋭意研究を重ねた結果、肌なじみの良好な特定の高分子シリコーンと、その高分子シリコーンを溶解するのに必要な量の特定のイソパラフィン、及び、特定の水溶性増粘剤を配合することにより、耐水性が良好で肌なじみ感と肌すべり感のなさに優れる、安定性の良好な皮膚化粧料を提供し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、(A)下記一般式(1)で表される高分子シリコーンを一種または二種以上と、
【化1】

(1)
(R1はメチル基またはその一部がフェニル基を表し、R2は水酸基を表し、R3は水酸基またはその一部がメチル基を表し、mおよびnは、m+nが3,000以上20,000以下であり、かつn/mが0以上1/500以下という条件を満たす整数を表す)
(B)炭素数8〜16のイソパラフィンと、
(C)アクリル酸Na・アクリロイルジメチルタウリンNaコポリマーとを含有することを特徴とする皮膚化粧料を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、前記(B)のイソパラフィンが、炭素数12〜16のイソドデカン又はイソヘキサデカンであることを特徴とする上記の皮膚化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の皮膚化粧料は、肌なじみが良く、肌すべり感がなくて、使用性に極めて優れている。したがって、ハンドクリームが肌になじみきれずに残った撥水性皮膜が、硝子製やセラミック製の食器などに触れた際、滑りやすくさせてしまい、手作業による水仕事の効率を極端に低下させることがない。また、日焼け止め化粧料により、ビーチサンダルが滑って履きにくくなったり、サーフボードに滑って乗りにくくなったりする問題点を回避可能である。さらに、本発明の皮膚化粧料は、安定性及び耐水性にも優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明で使用する高分子シリコーンは上記の一般式(1)で表される高分子量のシリコーンであって、式中のnの値は3,000以上20,000以下である。性状は常温で軟質ゴム状を呈している。
具体的な構造としては、水酸基含有末端水酸基ジメチルポリシロキサン(m=20,000 n=4)、水酸基含有末端水酸基メチルフェニルポリシロキサン(m=3,000 n=3)、水酸基含有末端水酸基及びメチル基ジメチルポリシロキサン(m=5,000 n=10)、末端水酸基ジメチルポリシロキサン(m=3,000 n=0)などが挙げられる。
【0013】
高分子シリコーンの配合量は、皮膚化粧料全量に対して、0.01質量%以上20.0質量%以下、好ましくは0.1質量%以上10.0質量%以下である。0.01質量%未満では十分な効果が得られず20.0質量%を超えると、本発明の皮膚化粧料に溶解しにくくなる。
【0014】
本発明においては、高分子シリコーンを皮膚化粧料に配合する場合、低沸点油の(B)炭素数8〜16のイソパラフィンに、溶解して配合することが好ましい。もちろん、皮膚化粧料中に別々に配合して系中で溶解させても構わない。好ましくは、(B)炭素数12〜16のイソパラフィンであり、特に好ましくは、イソドデカン又はイソヘキサデカンである。市販品としては、例えば、Presperse, Inc.のPermethyl 99A(イソドデカン)やPermethyl 101A(イソヘキサデカン)などを挙げることができる。
【0015】
本発明においては、低沸点環状シリコーン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラデカメチルシクロヘキサシロキサンなど)や、低沸点鎖状シリコーン(例えば、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ヘキサデカメチルヘプタシロキサンなど)を適宜配合してもよい。
【0016】
(B)炭素数8〜16のイソパラフィンの配合量は、皮膚化粧料全量に対して0.01質量%以上99.99質量%以下で、高分子シリコーンに対し1倍以上5000倍以下の重量比率で配合されることが好ましい。
【0017】
本発明に必須成分として用いる(C)アクリル酸Na・アクリロイルジメチルタウリンNaコポリマーはミクロゲル系増粘剤であり、公知の共重合体である。市販品では、Simulgel EG(SEPPIC社)を用いることが可能である。好ましい配合量は、皮膚化粧料全量中、0.1質量%以上10.0質量%以下、さらに好ましくは、0.5質量%以上5.0質量%以下である。
【0018】
本発明の皮膚化粧料の剤型は任意であり、可溶化系、乳化系、粉末分散系、油−水の2層系、油−水−粉末の3層系など、いずれでも構わないが、乳化系が好ましい。好ましい製品は、特にハンドクリームや日焼け止め化粧料である。
【0019】
本発明の皮膚化粧料が乳化化粧料である場合には、乳化形式として油中水型または水中油型のいずれでもとりえるが、本発明の効果である耐水性を失わないように調製することが望ましい。また、乳化化粧料の場合には、高分子シリコーンを含む油相をノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤あるいはそれらの混合物で乳化して用いるのが一般的であるが、その際に、あらかじめ界面活性剤と水溶性多価アルコールとの混合物を調製し、ついで油相と混合して乳化剤組成物を得る方法が好ましい。
【0020】
水溶性多価アルコールは、分子内に2個以上の水酸基を有する多価アルコールであり、具体例を挙げれば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等の2価のアルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール等の3価のアルコール、ペンタエリスリトール等の4価のアルコール、キシリトール等の5価のアルコール、ソルビトール、マンニトール等の6価のアルコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等の多価アルコール重合体、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2−メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等の2価のアルコールアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等の2価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジベート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアステート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等の2価アルコールエーテルエステル、キシルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等のグリセリンモノアルキルエーテル、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリスリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトース、デンプン分解糖還元アルコール等の糖アルコール、グリソリッド、テトラハイドロフルフリルアルコール、POEテトラハイドロフルフリルアルコール、POPブチルエーテル、POP POEブチルエーテル、トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル、POPグリセリンエーテル、POPグリセリンエーテルリン酸、POP POEペンタンエリスリトールエーテル等であり、これらのうちから一種または二種以上が任意に選択され用いられる。
【0021】
本発明の皮膚化粧料の油相を構成する油としては、上記(A)高分子シリコーンや(B)炭素数8〜16のイソパラフィンの他に、次のような油を挙げることができる。
例えば、アボカド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン等の液体油脂、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、パーム核油、豚脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等の固体油脂、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等のロウ類、流動パラフィン、オゾケライト、スクワレン、プリスタン、セレシン、スクワラン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素、脂肪酸油、アルコール類、オクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピルなどのエステル油など、化粧料で一般的に用いられる油分である。
【0022】
本発明の皮膚化粧料には上記の必須構成成分に加えて、目的に応じて本発明の効果を損なわない量的、質的範囲で、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、消炎剤、ビタミン、ホルモンなどの薬剤、香料など通常の化粧品に配合される他の成分を配合することも可能である。
【実施例】
【0023】
次に、本発明を実施例により、さらに具体的に説明する。ただし、これにより、本発明の技術的範囲が限定解釈されるべきものではない。なお、以下に重量%とあるのは、全て皮膚化粧料全量に対する質量%を意味する。まず、後述する実施例の評価方法について説明する。
【0024】
<安定性試験>
皮膚化粧料を、−10℃、0℃、5℃、30℃、45℃の恒温室に1ヶ月間放置し、色調、匂い、外観性状について評価した。
<安全性判定基準>
○:全く変化なし
△:若干変化あり
×:変化あり
<耐水性試験>
皮膚化粧料を、健常人女性パネル25名の前腕部に塗布して、1分間水洗いをした後、下記の基準に従って洗浄時の耐水性について評価し、皮膚化粧料の耐水性の判定を行なった。
<耐水性判定基準>
◎:25名中20名以上が耐水性を認めた
○:25名中15名以上20名未満が耐水性を認めた
△:25名中10名以上15名未満が耐水性を認めた
×:25名中10名未満が耐水性を認めた
<使用感触試験>
皮膚化粧料を、健常人女性25人の前腕部に塗布して、塗布に伴う使用感触(肌なじみのよさおよび硝子製食器の掴み易さ)、下記の基準に従って評価し、皮膚化粧料の使用感触の判定を行なった。
<使用感触判定基準>
肌なじみのよさ
◎:25名中20名以上が肌なじみのよさを認めた
○:25名中15名以上20名未満が肌なじみのよさを認めた
△:25名中10名以上15名未満が肌なじみのよさを認めた
×:25名中10名未満が肌なじみのよさを認めた
肌すべりのなさ
◎:25名中20名以上が硝子製食器を掴み易いと判定し、肌すべりのなさを認めた
○:25名中15名以上20名未満が硝子製食器を掴み易いと判定し、肌すべりのなさを認めた
△:25名中10名以上15名未満が硝子製食器を掴み易いと判定し、肌すべりのなさを認めた
×:25名中10名未満が硝子製食器を掴み易いと判定し、肌すべりのなさを認めた
【0025】
実施例1〜9および比較例1〜4記載のO/W型乳化化粧料を、前記基準に基づいて評価した結果を、以下の表に示す。表中、水溶性増粘剤(C)は、アクリル酸Na・アクリロイルジメチルタウリンNaコポリマーである。
【0026】
[表1]
実施例1 実施例2 実施例3 実施例4 実施例5
グリセリルモノミリステート 1.0 1.0 1.0 2.0 2.0
イソプロピルイソステアレート 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0
イソドデカン 8.0 20.0 10.0 30.0 30.0
(Presperse, Inc. Permethyl 99A)
イソヘキサデカン − − − 20.0 20.0
(Presperse, Inc. Permethyl 101A)
高分子シリコーン(A) 0.5 20.0 10.0 0.1 0.01
(R1はメチル基、R2及びR3
水酸基、m=20,000でn=4)
PEG−11
メチルエーテルジメチコン 0.5 3.0 3.0 3.0 3.0
(信越化学工業KF−6011)
α−ヒドロキシカプリン酸 2.0 2.0 2.0 2.0 2.0
水溶性増粘剤(C) 2.0 2.0 2.0 2.0 2.0
グリセリン 10.0 10.0 10.0 10.0 10.0
中和剤 適量 適量 適量 適量 適量
香料 適量 適量 適量 適量 適量
イオン交換水 残余 残余 残余 残余 残余
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
安定性評価 ○ ○ ○ ○ ○
耐水性評価 ○ ◎ ◎ ○ ○
使用感触評価 肌なじみのよさ ◎ ○ ◎ ◎ ○
肌すべりのなさ ◎ ○ ◎ ◎ ○
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0027】
[表2]
実施例6 実施例7 実施例8 実施例9
グリセリルモノミリステート 1.0 1.0 1.0 1.0
イソプロピルイソステアレート 1.0 1.0 1.0 1.0
イソドデカン 1.0 1.0 1.0 1.0
(Presperse, Inc. Permethyl 99A)
高分子シリコーン(A) 0.1 0.1 0.1 0.1
(R1はメチル基、R2及びR3
水酸基、m=20,000でn=4)
PEG−11
メチルエーテルジメチコン 1.0 1.0 1.0 1.0
(信越化学工業KF−6011)
α−ヒドロキシカプリン酸 2.0 2.0 2.0 2.0
水溶性増粘剤(C) 0.1 0.5 5.0 10.0
グリセリン 10.0 10.0 10.0 10.0
中和剤 適量 適量 適量 適量
香料 適量 適量 適量 適量
イオン交換水 残余 残余 残余 残余
――――――――――――――――――――――――――――――――――
安定性評価 ○ ○ ○ ○
耐水性評価 ○ ○ ○ ○
使用感触評価 肌なじみのよさ ○ ◎ ◎ ○
肌すべりのなさ ○ ◎ ◎ ○
――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0028】
[表3]
比較例1 比較例2 比較例3 比較例4
グリセリルモノミリステート 1.0 1.0 1.0 1.0
イソプロピルイソステアレート 1.0 1.0 1.0 1.0
イソドデカン 8.0 8.0 0.4 8.0
(Presperse, Inc. Permethyl 99A)
高分子シリコーン(A) 0.5 − 0.5 −
(R1はメチル基、R2及びR3
水酸基、m=20,000でn=4)
アミノ変性高分子シリコーン − − − 0.5
(R1およびR3はメチル基、
R2は-(CH2)3N(CH3)2
m=5,000でn=5)
PEG−11
メチルエーテルジメチコン 0.5 0.5 0.5 0.5
(信越化学工業KF−6011)
流動パラフィン − − 7.6 −
α−ヒドロキシカプリン酸 2.0 2.0 2.0 2.0
水溶性増粘剤(C) − 2.0 2.0 2.0
カルボキシビニルポリマー 0.5 − − −
(Noveon, Inc. Carbopol 940)
グリセリン 10.0 10.0 10.0 10.0
中和剤 適量 適量 適量 適量
香料 適量 適量 適量 適量
イオン交換水 残余 残余 残余 残余
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
安定性評価 △ ○ × ○
耐水性評価 ○ × − ○
使用感触評価 肌なじみのよさ △ ○ − △
肌すべりのなさ ○ ○ − △
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0029】
<高分子シリコーン(A)の溶解方法>
ゴム状の高分子シリコーンを溶媒となるイソドデカンに加温しながら攪拌分散・混合する。溶媒中にゴム状の残分が全く観察されないことが確認できた時点で、溶解工程を完了させた。
【0030】
<水溶性増粘剤(C):アクリル酸Na・アクリロイルジメチルタウリンNaコポリマーの製造方法>
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸 7g(25.7モル%相当)を純水 7mlに溶解し、それにアクリル酸7g(73.8モル%相当)を加え、冷却後、N,N'−メチレンビスアクリルアミド 0.1g(0.5モル%相当)を溶解させた。これに水酸化ナトリウム4.5gを純水13mlに溶解した溶液を冷却下で添加した後、更に過硫酸カリウム0.05gを加え溶解させた。一方、n−ヘキサン400mlにソルビタンモノステアレート2gを添加し、窒素気流下にて35℃まで昇温して溶解させた後、攪拌下、上記の水溶液を徐添し乳化させた。60℃まで昇温し、6時間反応させた後、室温まで冷却し、デカンテーションにより油層を除去した。水層をn−ヘキサン200mlにより数回洗浄し、沈殿物を分取後、真空乾燥して、本発明に用いる水溶性増粘剤(C)の共重合体を得た。
【0031】
上記O/W型乳化化粧料の製造工程は、中和剤を除く水溶性成分をイオン交換水に攪拌溶解し75℃に加温、次に高分子シリコーンを加温しながら溶媒に完全溶解させた後、溶解確認済の75℃の油相へ添加し、乳化直前に中和剤を水相に添加してホモミキサーで乳化後、水冷で25℃まで冷却し目的のO/W型乳化化粧料を得るものであった。しかしながら、比較例3のみ冷却後に不均一な粘性状の不定形異物が多々生じた。それは、高分子シリコーンが冷却工程で油相に溶解しきれず、生じたものと考えられた。比較例3には製造直後から安定性評価を逸脱する判定をせざるを得なかった為、耐水性評価と使用感触評価は省略している。
上記表の結果から、本発明の皮膚化粧料が、安定性及び耐水性に優れ、肌なじみがよく肌すべり感がなくて使用性に優れていることが分かる。
【0032】
以下に、その他の実施例を示す。水溶性増粘剤(C)は上記と同じ共重合体である。
[表4]
実施例10 実施例11
グリセリルモノミリステート 1.0 1.0
イソプロピルイソステアレート 1.0 1.0
イソドデカン 8.0 8.0
(Presperse, Inc. Permethyl 99A)
高分子シリコーン(A) 0.5 −
(R1はメチル基/フェニル基=
100/1で構成され、R2及びR3
水酸基、m=3,000でn=3)
高分子シリコーン(A) − 0.5
(R1はメチル基、R2は水酸基、
R3は水酸基/メチル基=1/1、
m=5,000でn=10)
PEG−11
メチルエーテルジメチコン 0.5 0.5
(信越化学工業KF−6011)
α−ヒドロキシカプリン酸 2.0 2.0
水溶性増粘剤(C) 0.5 0.5
グリセリン 10.0 10.0
中和剤 適量 適量
香料 適量 適量
イオン交換水 残余 残余
【0033】
[表5]
実施例12 実施例13 実施例14
グリセリルモノミリステート 1.0 1.0 1.0
イソプロピルイソステアレート 1.0 1.0 1.0
イソドデカン 4.0 − −
(Presperse, Inc. Permethyl 99A)
イソヘキサデカン 4.0 − −
(Presperse, Inc. Permethyl 101A)
デカメチルシクロペンタシロキサン − 8.0 −
ヘキサデカメチルヘプタシロキサン − − 8.0
高分子シリコーン(A) 0.5 0.5 0.5
(R1はメチル基/フェニル基=
100/1で構成され、R2及びR3
水酸基、m=3,000でn=3)
PEG−11
メチルエーテルジメチコン 0.5 0.5 0.5
(信越化学工業KF−6011)
α−ヒドロキシカプリン酸 2.0 0.2 0.2
水溶性増粘剤(C) 0.5 0.5 0.5
グリセリン 10.0 10.0 10.0
中和剤 適量 適量 適量
香料 適量 適量 適量
イオン交換水 残余 残余 残余
【0034】
実施例1の製造方法に準じて製造された実施例10〜14のO/W型乳化化粧料は、安定性及び耐水性に優れ、肌なじみのよさや肌すべりのなさといった使用感触にも優れていた。また、以下に示す実施例も、安定性及び耐水性に優れ、肌なじみのよさや肌すべりのなさといった使用感触にも優れていた。
【0035】
[表6]
W/O型乳化化粧料
実施例15 実施例16
マイクロクリスタリンワックス 4.0 4.0
固形パラフィン 2.0 2.0
ミツロウ 3.0 3.0
ワセリン 5.0 5.0
イソヘキサデカン 10.0 10.0
(Presperse, Inc. Permethyl 101A)
ヘキサデカメチルヘプタシロキサン 15.0 15.0
イソドデカン 20.0 20.0
(Presperse, Inc. Permethyl 99A)
ヘキサデシルアジピン酸エステル 5.0 5.0
高分子シリコーン(A) 15.0 5.0
(R1はメチル基、R2及びR3
水酸基、m=20,000でn=4)
PEG−10ジメチコン 1.5 1.5
(信越化学工業KF−6017)
PEG−11
メチルエーテルジメチコン 0.5 0.5
(信越化学工業KF−6011)
プロピレングリコール 5.0 5.0
モノオレイン酸グリセリン 3.5 3.5
POE(20)ソルビタンモノオレイン酸エステル 1.0 1.0
水溶性増粘剤(C)*1 7.0 3.0
防腐剤 適量 適量
酸化防止剤 適量 適量
香料 適量 適量
イオン交換水 残余 残余
*1<水溶性増粘剤(C)の製造方法>
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸 14.5g(50.2モル%相当)、アクリル酸5g(49.8モル%相当)及びN,N'−メチレンビスアクリルアミド 4.3×10-3gを純水20mlに添加し、更に過硫酸カリウム0.05gを加え溶解させた。この溶液をn−ヘキサン200ml中に窒素気流下にて滴下し、60℃で一晩反応させた。デカンテーションによりn−ヘキサンを除去した後、残った沈殿物をメタノールに膨潤させて分取し、真空乾燥して目的とする水溶性増粘剤である共重合体を得た。
【0036】
[表7]
日焼け止め化粧料
実施例17 実施例18
イソドデカン 10.0 10.0
(Presperse, Inc. Permethyl 99A)
オクタメチルシクロテトラシロキサン 10.0 10.0
高分子シリコーン(A) 8.0 −
(R1はメチル基、R3は水酸基、
m=3,000でn=0)
高分子シリコーン(A) − 4.0
(R1はメチル基、R3及びR3は水酸基、
m=10,000でn=20)
PEG−11
メチルエーテルジメチコン 5.0 5.0
(信越化学工業KF−6011)
流動パラフィン 2.0 2.0
ソルビタンジイソステアレート 3.0 3.0
グリセリン 3.0 3.0
微粒子酸化チタン 5.0 5.0
オクチルジメチルPABA 2.0 2.0
4−メトキシ−4’−t−ブチル
ジベンゾイルメタン 2.0 2.0
防腐剤 適量 適量
酸化防止剤 適量 適量
分散剤 適量 適量
香料 適量 適量
水溶性増粘剤(C)*1 5.0 1.0
イオン交換水 残余 残余
*1<水溶性増粘剤(C)の製造方法>
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸 14.5g(50.2モル%相当)、アクリル酸5g(49.8モル%相当)及びN,N'−メチレンビスアクリルアミド 4.3×10-3gを純水20mlに添加し、更に過硫酸カリウム0.05gを加え溶解させた。この溶液をn−ヘキサン200ml中に窒素気流下にて滴下し、60℃で一晩反応させた。デカンテーションによりn−ヘキサンを除去した後、残った沈殿物をメタノールに膨潤させて分取し、真空乾燥して目的とする水溶性増粘剤である共重合体を得た。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明によれば、肌なじみが良く、肌すべり感がなくて、使用性に極めて優れた皮膚化粧料を提供できる。本発明の皮膚化粧料は、肌になじみきれずに残った撥水性皮膜が、硝子製やセラミック製の食器などに触れた際、滑りやすくさせてしまい、手作業による水仕事の効率を極端に低下させることがないので、ハンドクリームとして特に好ましく利用される。また、安定性及び耐水性にも優れており、特に日焼け止め化粧料に利用することにより、ビーチサンダルが滑って履きにくくなったり、サーフボードに滑って乗りにくくなったりすることもない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)で表される高分子シリコーンを一種または二種以上と、
【化1】

(1)
(R1はメチル基またはその一部がフェニル基を表し、R2は水酸基を表し、R3は水酸基またはその一部がメチル基を表し、mおよびnは、m+nが3,000以上20,000以下であり、かつn/mが0以上1/500以下という条件を満たす整数を表す)
(B)炭素数8〜16のイソパラフィンと、
(C)アクリル酸Na・アクリロイルジメチルタウリンNaコポリマーとを含有することを特徴とする皮膚化粧料。
【請求項2】
前記(B)が炭素数12〜16のイソパラフィンであることを特徴とする請求項1記載の皮膚化粧料。

【公開番号】特開2007−169184(P2007−169184A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−366373(P2005−366373)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】