説明

皮膚及び/又は毛髪手入れ活性物質を使用した哺乳類ケラチン組織の調整

こうした組成物は、そのような処置を必要とする哺乳類のケラチン組織の状態を調整するのに有用である。代表的な組成物は、安全且つ有効な量のグリシルリチン酸及び/又はグリシルレチン酸、N−アシルアミノ酸化合物、ヘキサミジン、塩化セチルピリジニウム、エルゴチオネイン、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される安全且つ有効な量の活性物質、並びに皮膚科学的に許容可能なキャリアを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚及び毛髪手入れ活性物質を含有するパーソナルケア組成物に関する。前記組成物は、そのような処置を必要とする哺乳類ケラチン組織の状態、特に美白を調整するのに有用である。
【背景技術】
【0002】
現在、消費者にとって入手可能な、皮膚、毛髪、及び爪等の健康並びに肉体的外観を改善することを目的とする多数のパーソナルケア組成物がある。これらの製品の大部分は、典型的に皮膚の老化又は人間の皮膚に対する環境被害に関連付けられる皮膚のしわ及び組織構造の変化を遅らせ、最少化し、又は更に取り除くことを目的とする。しかしながら、又、美白又は色素沈着減少化粧品として作用することによって一様でない皮膚色合いを予防、抑制及び/又は処置するための化粧品に対する要求がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
哺乳類ケラチン組織、特に人間の皮膚と毛髪は、外部要因及び内部要因の両方によりさまざまな損傷を受ける。このような外部要因としては、紫外線、環境汚染、風、熱、赤外線、低湿度、強力な界面活性剤、研磨剤などが挙げられる。一方、内部要因としては、経年的老化及び皮膚内部からの他の生化学的変化が挙げられる。外部にせよ内部にせよ、これらの要因が、目に見える皮膚損傷の徴候をもたらす。典型的な皮膚の損傷には、加齢にしたがって自然に生じる皮膚の薄化が含まれる。前記薄化の場合、皮膚を供給する細胞及び血管の減少、並びにこの接合点のより弱い機械抵抗をもたらす真皮−表皮接合点の平坦化がある。例えば、オイカリネン(Oikarinen)の「皮膚の老化:経年的老化対光老化(The Aging of Skin:Chronoaging Versus Photoaging)」、光皮膚科学・光免疫学・光医学(Photodermatol.Photoimmunol.Photomed.)、第7巻、3〜4頁、1990年を参照のこと。老化又は損傷した皮膚で見られる他の損傷又は変化としては、小じわ、しわ、過度の色素沈着、血色の悪さ、たるみ、目の下のクマ、腫れぼったい目、毛穴の広がり、代謝回転の速度の低下、及び異常な落屑若しくは剥離が挙げられる。外部要因及び内部要因の両方に起因して生じる他の損傷には、可視の死んだ皮膚(すなわち、粉状の剥がれ、鱗屑、乾燥、荒れ)が挙げられる。毛髪の場合、これらの外部要因及び内部要因は、とりわけ毛髪漂白、割れ末端部、脆さ、荒れ、脱毛、育毛速度の減少等の一因となるおそれがある。したがって、これらケラチン組織の状態の処置を図る製品及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、特定の皮膚及び/又は皮膚手入れ活性物質を含有する局所適用組成物を目的とし、ケラチン組織状態の予防的、並びに治療的処置を行うために使用されてよい。
【0005】
本発明の1つの代表的な実施形態によると、安全且つ有効な量のグリシルリチン酸及び/又はグリシルレチン酸を含み、それは安全且つ有効な量の第1活性物質であるN−アシルアミノ酸化合物類、ヘキサミジン、塩化セチルピリジニウム、エルゴチオネイン、及びこれらの組み合わせ、及び皮膚科学的に許容可能なキャリアからなる群から選択される、パーソナルケア組成物が提供されている。
【0006】
本発明の他の代表的な実施形態によると、皮膚科学的に許容可能なキャリア、並びに安全且つ有効な量の下記活性物質の各々、すなわち、グリシルリチン酸及び/又はグリシルレチン酸、ナイアシンアミド、ビタミンE又はその誘導体、パンテノール、及び日焼け止め剤を含むパーソナルケア組成物が提供されている。
【0007】
又、本発明は、哺乳類ケラチン組織の状態を調整する方法を目的とする。1つの代表的な実施形態によると、a)第1パーソナルケア組成物又は組成物部分を第2パーソナルケア組成物又は組成物部分と混合する工程、及びb)組合された組成物又は組成物部分を哺乳類ケラチン組織に適用する工程を含み、工程a)は、工程b)の直前及び/又は工程b)の間に実施される方法が提供されている。本明細書で使用するとき、成語「直前」は、この成語で制限された事象又は工程の前の20秒以内を意味する。第1パーソナルケア組成物又は組成物部分は、グリシルリチン酸、グリシルレチン酸、N−アシルアミノ酸化合物類、エルゴチオネイン、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される第1活性物質を含む。第2パーソナルケア組成物又は組成物部分は、ヘキサミジン、塩化セチルピリジニウム、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される第2活性物質を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本明細書で使用する百分率及び比率は全て総組成物の重量によるものであり、測定は全て、特に指示がない限り、25℃で行われる。
【0009】
本発明の組成物は、本明細書に記載の必須構成成分並びに任意成分を含み、それらから本質的に構成され、又はそれらから構成されることができる。本明細書で使用するとき、「から本質的に成る」とは、組成物又は成分が追加成分を包含してよいが、それら追加成分が特許請求される組成物又は方法の基本的及び新規な特徴を大きく変化させない場合に限ることを意味する。
【0010】
本明細書で使用するとき、用語「ケラチン組織」は、皮膚、毛髪、足指の爪、手指の爪、表皮、蹄などが挙げられるがこれらに限定されない、哺乳類の最も外側の保護被覆として配置されるケラチン含有層のことを指す。
【0011】
本明細書で使用するとき、用語「局所適用」は、本発明の組成物をケラチン組織の表面に適用又は塗布することを意味する。
【0012】
本明細書で使用するとき、用語「皮膚科学的に許容可能な」は、記載される組成物又は構成成分が、過度の毒性、不適応性、不安定性、アレルギー反応などがなく、ヒトのケラチン組織と接触して使用するのに好適であることを意味する。
【0013】
本明細書で使用するとき、成語「安全且つ有効な量」は、確実な効果、好ましくは確実なケラチン組織外観又は感触効果を促進するのに十分な化合物又は組成物の量を意味し、本明細書で開示された効果とは別個に又は効果を組合わせるが、深刻な副作用を避けるのに十分低いことを含む(すなわち、当事者の妥当な判断の範囲内でリスク割合に対する正当な効果を提供する)。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「炎症後過度の色素沈着」は、炎症現象(例えば、にきび、かき傷、昆虫の刺傷又はかみ傷、日焼け等)に対する反応としての特に浅黒い皮膚患者のメラニン含有量の変化を指す。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「過度の色素沈着」は、色素沈着が、皮膚の隣接領域のそれより大きい皮膚の領域を指す(例えば、色素しみ、加齢しみ等)。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「落屑、剥離及び/又は代謝回転」は、角質層(角層を含む)の上部層の除去を意味する。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「脂ぎる及び/又はてかてかする外観」は、それぞれの原腺からの油、皮脂及び/又は汗の排出と同時に表れる傾向があるつややかに見える哺乳類の皮膚を意味する。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「たるみ」は、皮膚エラスチンの減少、損傷、変化、及び/又は異常の結果として生じる皮膚の緩み、たるみ等の状態を意味する。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「平滑化」及び「軟化」は、その触覚の感触が改善されるようにケラチン組織の表面を変えることを意味する。
【0020】
本明細書で使用するとき、用語「血色の悪さ」は、典型的に皮膚の加齢にともなうタンパク質グリケーション及びリポフスチンの蓄積又は末梢血流の減少等の方法により変色するような(例えば、色が黄色い)皮膚構成成分の衰え、損傷、変質及び/又は異常の結果として生じる皮膚の青白い色、黄色い色等の状態を意味する。
【0021】
本発明の組成物は、局所適用及びケラチン組織の状態を調整するのに有用である。身体への内部及び/又は外部要因によって誘発される若しくは引き起こされることのある状態が原因で、ケラチン組織の状態、特にヒトの皮膚の状態の調整を必要とすることが頻繁にある。例えば、「皮膚状態の調整」としては、予防的及び/又は治療的皮膚状態の調整が挙げられ、一つ以上の以下の効果であり、それは萎縮(例えば、皮膚の)を減少させるための肥厚(すなわち、脂肪と筋肉等の皮膚及び/又は皮下層の表皮及び/又は真皮層、並びに該当する場合、爪と毛幹のケラチン層を生成する)、真皮表皮へりの回旋の増加、目の周りの下等の非メラニン皮膚変色、しみ(例えば酒さによる、例えば、一様でない赤い彩色)(以下「赤いしみ」と呼ぶ)血色の悪さ(青白い又は黄色い色)、末梢血管拡張又はクモ状血管に起因する変色の減少、皮膚内(例えば、脂肪褐色素、グリケーションにより生ずるもの等のタンパク質架橋等)のメラニン(例えば、生体色素斑点、加齢斑点、一様でない色素形成)及びその他の発色団による変色の減少が包含されてよい。本明細書で使用する時、皮膚状態の予防的調整には、可視及び/又は触知できる皮膚の不連続性(例えば、視覚的又は感触によって検出できる、皮膚のきめの凹凸、小じわ、しわ、たるみ、妊娠線、セルライト、腫れぼったい目など)を遅らせ、最小限に抑え、及び/又は予防することが含まれる。本明細書で使用するとき、処置的調整皮膚状態は、皮膚の回復による中断(例えば、減少する、最少にする及び/又は消滅する)を含む。皮膚の状態の調整は、皮膚の外観及び/又は感触を改善するものである。
【0022】
構成成分
I.グリシルリチン酸及び/又はグリシルレチン酸
本発明の組成物は、安全且つ有効な量のグリシルリチン酸及び/又はグリシルレチン酸を含む。前記組成物は、好ましくは組成物の約0.01重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.05重量%〜約5重量%、更により好ましくは約0.1重量%〜約3重量%の量のこれらの酸化合物を含有する。
【0023】
グリシルリチン酸は、カンゾウ抽出物の構成成分であり、抗炎症剤である。炎症媒介物質又はサイトカインは、色素細胞(メラノサイト)を刺激し、メラニンを生産できる。従って、UV損傷、にきび、内に伸びた毛髪、昆虫のかみ傷、かき傷等の炎症状態は、いわゆる炎症後の異常な色素沈着を刺激することになる。UVは、全ての種類の皮膚の一次色素沈着誘導物質であるが、他の炎症性刺激(にきび等)からの色素は、特により黒い皮膚の個々人(例えば、ラテンアメリカ人、アジア人)の皮膚色素沈着の一因となる。抗炎症剤による炎症の抑制で色素沈着は減ることになっている。又、グリシルリチン酸は、酸化窒素のスカベンジャーであると思われる。酸化窒素(NO)は、色素形成の刺激物である。酸化窒素スカベンジャー(酸化窒素と反応し色素細胞を刺激するのを防止する物質)の使用で、色素沈着は、減少することになる。又、グリシルリチン酸は、グリチルリチン、グリシルリチン酸、又はグリシルレチン酸グリコシドとして既知である。
【0024】
グリシルレチン酸は、抗炎症剤である。構造的に、グリシルレチン酸は、グリシルレチン酸が結合糖残基(グリコシド)を有さない点でグリシルリチン酸と異なる。又、グリシルレチン酸は、エノキソロン(enoxolone)、グリチルレチン酸、又はウラレン酸(uralenic acid)として既知である。
【0025】
II.追加的な活性物質
パーソナルケア組成物は、更にN−アシルアミノ酸化合物類、ヘキサミジン、塩化セチルピリジニウム、エルゴチオネイン、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される安全且つ有効な量の活性物質を含む。
【0026】
1.N−アシルアミノ酸化合物
本発明の組成物は、N−アシルアミノ酸化合物を含んでよい。本発明のN−アシルアミノ酸化合物は、式
【0027】
【化1】

式中、Rは水素、アルキル(置換又は非置換、分枝状又は直鎖状)、又はアルキル基及び芳香族基の組み合わせであることができる。当該技術分野において既知のアミノ酸の考えられる側鎖の一覧は、ストライヤー(Stryer)による「生化学(Biochemistry)」(1981年、W.H.フリーマン・アンド・カンパニー(W.H.Freeman and Comany)発行)に記載されている。R1は、C1〜C30、飽和又は不飽和、直鎖状又は分枝状、置換又は非置換のアルキル;置換又は非置換の芳香族基;又はそれらの混合物であることができる。
【0028】
好ましくは、N−アシルアミノ酸化合物は、N−アシルフェニルアラニン、N−アシルチロシン、それらの異性体、それらの塩、及びそれらの誘導体からなる群から選択される。アミノ酸は、D異性体又はL異性体、あるいはそれらの混合物であることができる。N−アシルフェニルアラニンは、次式に相当する:
【0029】
【化2】

式中、R1は、C1〜C30、飽和又は不飽和、直鎖状又は分枝状、置換又は非置換のアルキル;置換又は非置換の芳香族基;又はそれらの混合物であることができる。
【0030】
N−アシルチロシンは、次式に相当する:
【0031】
【化3】

式中、R1は、C1〜C30、飽和又は不飽和、直鎖状又は分枝状、置換又は非置換のアルキル;置換又は非置換の芳香族基;又はそれらの混合物であることができる。
【0032】
N−ウンデシレノイル−L−フェニルアラニンは、局部的な皮膚の色合いを均一にする(美白又は色素沈着の減少)化粧品として特に有用である。この剤は、広い分類のN−アシルフェニルアラニン誘導体に属し、そのアシル基はC11モノ不飽和脂肪酸部分、及びアミノ酸はフェニルアラニンのL異性体である。N−ウンデシレノイル−L−フェニルアラニンは、次式に相当する:
【0033】
【化4】

【0034】
本明細書で使用する時、N−ウンデシレノイル−L−フェニルアラニンは、セピック(SEPPIC)からセピホワイト(Sepiwhite)(登録商標)の名称で市販されているものである。
【0035】
存在する場合、N−アシルアミノ酸は、好ましくは組成物の約0.0001〜25重量%、より好ましくは約0.001〜10重量%、より好ましくは約0.01〜5重量%、更により好ましくは約0.02〜2.5重量%を備える。
【0036】
2.ヘキサミジン
本発明の組成物は、ヘキサミジン化合物を含んでよい。本発明に有用なヘキサミジン化合物は、次の化学構造のものに相当する。
【0037】
【化5】

式中、R1及びR2は、有機酸(例えば、スルホン酸など)を含む。
【0038】
又、ヘキサミジンの塩類及び誘導体類は、本発明に有用であり得る。本明細書で使用する時、ヘキサミジン誘導体には、有機酸及び鉱酸(例えば、スルホン酸、カルボン酸など)を包含するがこれらに限定されないヘキサミジン化合物のいずれかの異性体及び互変異性体が含まれる。好ましくは、ヘキサミジン化合物は、ラボラトワール・セロバイオロジーク(Laboratoires Serobiologiques)からエレアスタブ(Eleastab)(登録商標)HP100として市販されている、ヘキサミジンジイセチオネートを包含する。
【0039】
存在する場合、ヘキサミジン化合物は、好ましくは組成物の約0.0001〜約25重量%、より好ましくは約0.001〜約10重量%、より好ましくは約0.01〜約5重量%、更により好ましくは約0.02〜2.5重量%を備える。
【0040】
3.塩化セチルピリジニウム
本発明の組成物は、安全且つ有効な量の塩化セチルピリジニウム(CPC)を含んでよい。塩化セチルピリジニウムの別の形態としては、四級窒素上の置換基のうちの1つ又は2つが炭素原子約8〜約20個、典型的には約10〜約18個の炭素鎖長(典型的にはアルキル基)を有する一方、残りの置換基(典型的にはアルキル基又はベンジル基)は、炭素原子約1〜約7個のような、より少ない炭素原子数、典型的にはメチル基又はエチル基を有するものが挙げられる。臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化テトラデシルピリジニウム、臭化ドミフェン、N−テトラデシル−4−塩化エチルピリジニウム、臭化ドデシルジメチル(2−フェノキシエチル)アンモニウム、塩化ベンジルジメチルステアリル塩化アンモニウム、四級化された5−アミノ−1,3−ビス(2−エチルヘキシル)−5−メチルヘキサヒドロピリミジン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム及び塩化メチルベンゼトニウムは、典型的な第四アンモニウム試剤の好例である。その他の化合物は、米国特許第4,206,215号に開示されたようなビス−4−(R−アミノ)−1−ピリジニウムアルカン類である。
【0041】
存在する場合,塩化セチルピリジニウムは、組成物の約0.005重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.01重量%〜約5重量%、より好ましくは約0.05重量%〜約2重量%を備える。
【0042】
4.エルゴチオネイン
本発明の組成物は、安全且つ有効な量のエルゴチオネインを含んでよい。存在する場合、エルゴチオネインは、組成物の約0.01重量%〜約20重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約15重量%、更に好ましくは約1重量%〜約10重量%の量で包含される。好ましいエルゴチオネインは、チオタイン(Thiotaine)(登録商標)で、バーネットプロダクツ(Barnet Products)から市販の化学薬品エルゴチオネインの市販溶液である。
【0043】
III.皮膚科学的に許容可能なキャリア
本発明の組成物は、皮膚科学的に許容可能なキャリアも含んでよい。キャリアは、組成物の約50重量%〜約99.99重量%、好ましくは約60重量%〜約99.9重量%、より好ましくは約70重量%〜約98重量%、更により好ましくは約80重量%〜約95重量%の量で存在するのが好ましい。
【0044】
キャリアは、多種多様な形態をとることができる。例えば、水中油型、油中水型、水中シリコーン型、シリコーン中水型、水中油中水型及びシリコーン中水中油型エマルションが挙げられ、これらに限定されないエマルションキャリアは、本明細書で有用である。
【0045】
好ましいキャリアは、水中油型エマルション及び油中水型エマルションのようなエマルション、例えば、水中シリコーン型又はシリコーン中水型エマルションを含む。当業者には理解されるように、所与の構成成分は、組成物中の構成成分の水溶解度/非必須性に応じて、主として水相又は油相のいずれかに分配される。水中油型エマルションが特に好ましい。
【0046】
本発明に基づいたエマルションは一般に、前述の溶液及び脂質又は油を含有する。脂質及び油は、動物、植物、又は石油に由来してもよく、天然又は合成(即ち、人工)でもよい。好ましいエマルションは、グリセリンなどの湿潤剤も含有する。エマルションは、好ましくは更に、当該組成物の約0.1重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約5重量%の乳化剤を含有する。乳化剤類は、非イオン性、アニオン性、又はカチオン性であってよい。好適な乳化剤は、例えば、米国特許第3,755,560号、同第4,421,769号、及びマカッチャン(McCutcheon)の「洗剤及び乳化剤(Detergents and Emulsifiers)」(北米版、317〜324頁、1986年)に開示されている。
【0047】
好適なエマルション類は、所望の製品形態に応じて、幅広い粘度を有してもよい。好ましい代表的な低粘度エマルションは、約5E−5m2/s(50センチストークス)もしくはそれ以下、より好ましくは約1E−52/s(10センチストークス)もしくはそれ以下、更により好ましくは約5E−6m2/s(5センチストークス)もしくはそれ以下の粘度を有する。
【0048】
又、本発明の組成物は、その他の局所キャリア、及び経口キャリアを含んでよい。例えば、他の局所キャリアは、界面活性剤含有洗剤(例えば、バー、シャンプー、フォーム洗剤、液体洗剤、ボディーウォッシュ、及びクレンジング布等)であってよい。前記キャリアにおいて、界面活性剤は、陰イオン性、陽イオン性、双性イオン性、非イオン性又はそれらの混合物であってよい。他の局所キャリアの例は、着色化粧品(例えば、口紅、ほお紅、アイライナー、マスカラ、ファンデーション、及びネールポリッシュ等)である。経口のキャリアは、飲料、食料品、丸薬、カプセル、粒子、及びカプレ等であってよい。
【0049】
IV.任意構成成分
本発明の組成物は、幅広いその他の構成成分を含有してよい。組成物中に組み込まれる場合、任意の構成成分は、正常な判断の範囲内で、過度の毒性、不適応性、不安定性、アレルギー反応などを示すことなく、ヒトのケラチン組織に接触させて用いるのに好適でなければならない。組成物は、ヘスペリジン、からし抽出液、カルノシン、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)及びブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、テトラヒドロクルクミン、メンチルアントラニレート、バニリン又はその誘導体類、ジエチルヘキシルシリニイリデン(syrinylidene)マロネート、メラノスタチン(melanostatine)、ステロールエステル類、糖アミン類、ビタミンB3、レチノイド類、ペプチド類、ジアルカノイルヒドロキシプロリン、サリチル酸、フィトステロール、日焼け止め活性物質、水溶性ビタミン類、並びに油溶性ビタミン類を含むがこれらに限定されない追加の活性物質を備えてよい。
【0050】
本発明の組成物は、従来から所定の製品の種類に使用される様々なその他の成分を含有してよい。「CTFA化粧品成分ハンドブック(CTFA Cosmetic Ingredient Handbook)」、第2版(1992年)には、ビューティケア業界で通常使用される代表的な化粧品及び医薬品の成分が記載されており、それらは本発明の組成物に使用されて好適である。それらの成分の部類としては:研磨剤;吸着剤;芳香剤、顔料、色素/着色剤、精油、皮膚感覚剤、収れん剤などの審美的構成成分(例えば、丁子油、メントール、カンファー、ユーカリ油、オイゲノール、メンチルラクテート、ウィッチヘーゼル留出物);抗ニキビ剤;固化防止剤;消泡剤;抗菌剤(例えば、ヨードプロピルブチルカーバメート);酸化防止剤;結合剤;生物学的添加物;緩衝剤;充填剤;キレート化剤;化学添加物;着色剤;化粧用収れん剤;化粧用殺生剤;変性剤;薬用収れん剤;外用鎮痛剤;例えば、組成物の被膜形成特性及び実体性を補助するためのポリマーなどの被膜形成剤又は物質(例えば、エイコセンのコポリマー及びビニルピロリドン);不透明化剤;pH調整剤;推進剤;還元剤;封鎖剤;皮膚漂白及び美白剤;皮膚コンディショニング剤;皮膚鎮静剤及び/又は皮膚回復剤及び誘導体;皮膚処置剤;増粘剤;ビタミン;及びそれらの誘導体が挙げられる。
【0051】
本発明の組成物に有用なその他の任意成分としては、米国特許出願第2004−0175347A1に記載されたものが挙げられ、サリチル酸及び双極性界面活性剤等の落屑活性物質、レゾルシノール、イオウ、エリスロマイシン、亜鉛、デヒドロ酢酸等のような抗ニキビ活性物質、抗しわ剤/抗皮膚萎縮剤、トコフェロール等の酸化防止剤/ラジカルスカベンジャー、フリルジオキシム及びその誘導体等のキレート剤、フラボノイド、抗炎症剤、抗セルライト剤、ジヒドロキシアセトン等のなめし活性物質、美白剤、抗菌及び抗真菌活性物質、日焼け止活性物質類、グリセリン、尿素、ワセリン、ショ糖ポリエステル及びそれらの組合せ等のコンディショニング剤、カルボン酸ポリマー、架橋ポリアクリレートポリマー、ポリアクリルアミドポリマー、多糖類、ガム等の増粘剤、並びに微粒子物質を含む。
【0052】
集合を最小にするため、特定な種類の増粘剤(レオロジー変性剤としても知られる)が、特殊な活性物質又は活性物質の組合せを含有する組成物に使用されてよい。例えば、グリシルリチン酸及び/又はグリシルレチン酸、並びにN−アシルアミノ酸化合物を含む組成物は、好ましくはアニオン性又は非イオン性増粘剤を用いる。グリシルリチン酸及び/又はグリシルレチン酸、並びにヘキサミジン化合物を含む組成物は、好ましくはカチオン性又は非イオン性増粘剤を用いる。グリシルリチン酸及び/又はグリシルレチン酸、並びに塩化セチルピリジニウムを含む組成物は、好ましくはカチオン性又は非イオン性増粘剤を用いる。グリシルリチン酸及び/又はグリシルレチン酸、並びにエルゴチオネインを含む組成物は、好ましくはアニオン性又は非イオン性増粘剤を用いる。
【0053】
組成物の形態
これらに限定するものではないが、ローション、ミルク、ムース、セラム、スプレー、エアゾール、フォーム、スティック、ペンシル、ゲル、クリーム、及び軟膏を含めた本発明の局所適用組成物は、皮膚科学的に許容可能な皮膚軟化剤を含んでよい。このような組成物は、好ましくは約2%〜約50%の皮膚軟化剤を含有する。本明細書で使用する時、「皮膚軟化剤」とは、乾燥の予防又は緩和並びに皮膚の保護に有用な物質を指す。多種多様の好適な皮膚軟化剤が既知であり、本明細書で使用されてもよい。サガリン(Sagarin)著「化粧品、科学、及び技術(Cosmetics,Science and Technology)」、第2版、第1巻、32〜43頁(1972年)には、皮膚軟化剤として好適な物質の多数の例が挙げられている。好ましい皮膚軟化剤は、グリセリンである。グリセリンは、好ましくは組成物の約0.001重量%〜約20重量%、より好ましくは約0.01重量%〜約15重量%、更に好ましくは約0.1重量%〜約10重量%の量で使用される。
【0054】
洗浄に有用な本発明の組成物(「洗浄剤」)は、好適なキャリア(例えば、前述のもの、及び組成物の約1重量%〜約90重量%の皮膚科学的に許容可能な界面活性剤)と配合される。
【0055】
洗浄組成物の物理的形態は、さほど重要ではない。組成物は、例えば、化粧石鹸、液体、シャンプー、浴用ジェル、ヘアコンディショナー、ヘアトニック、ペースト、又はムースとして配合することができる。化粧石鹸は、皮膚を洗うのに最も一般的に使用される洗浄剤の形態であるため、これが好ましい。シャンプーのようなリンスオフ洗浄組成物は、皮膚及び頭皮に活性物質を十分な濃度で付着させるのに適したデリバリーシステムを必要とする。好ましいデリバリーシステムは、不溶性錯体を使用するものである。前記デリバリーシステムのより完全な開示については、例えば米国特許第4,835,148号を参照のこと。
【0056】
本発明の組成物はまた、化粧品の形態であってもよい。好適な化粧品形態としては、ファンデーション、リップスティック、ルージュ、マスカラなどが挙げられるが、これらに限定されない。そのような化粧品製品には、油、着色剤、顔料、皮膚軟化剤、芳香剤、ワックス、安定剤などのような従来成分を含めてよい。本明細書で使用するのに好適な代表的なキャリアならびにそのような他の成分は、例えば、米国特許第6,060,547号に記載されている。
【0057】
組成物の調製
本発明の組成物は、一般に、局所適用組成物を製造する技術分野において知られているような従来の方法により調製される。このような方法は、通常、加熱、冷却、真空の適用などを用いて又は用いずに、成分を1つ以上の工程で混合して比較的均一な状態にするものである。組成物は、好ましくは、安定性(物理的安定性、化学的安定性、光安定性)、及び/又は活性物質の放出を最適化するように調製される。この最適化には、適切なpH(例えば、7未満)、活性剤と錯体になり、ひいては安定性又は分配にマイナスの影響を与え得る物質の排除(例えば、汚染鉄の排除)、錯体形成を防止する手法(例えば、適切な分散剤又は二重区画包装)の使用、適切な光安定性の手法(例えば、日焼け止め剤/日焼け防止剤の組み込み、不透明包装の使用)の使用などが含まれてもよい。
【0058】
上記したように、2区画包装が使用されてよく、そこでは第1パーソナルケア組成物又は組成物部分が1つの区画内に包含され、第2パーソナルケア組成物又は組成物部分が他方の区画に包含される。それから、組成物又は組成物部分は、ケラチン組織に分与及び適用されるときに組合される。別々の組成物又は組成物部分は、単一室包装内に包含され、順次又は同時にケラチン組織の部分に適用されてよい、そしてそこで組成物又は組成物部分が組合わされる。本発明は、互いに錯体となる傾向のある構成成分を含む1つ以上のパーソナルケア組成物を放出するためのこれらの概念を利用した方法を意図する。
【0059】
ケラチン組織状態の調整方法
本発明の組成物は、多数の哺乳類ケラチン組織の状態を調整するのに有用であるケラチン組織状態のそのような調整には、予防的及び処置的な調整が包含される。本発明の代表的な調整法は、ケラチン組織の肥厚(すなわち、皮膚の表皮及び/又は真皮及び/又は皮下層、並びに該当する場合、爪と毛幹のケラチン層を生成する)、美白又は色素沈着減少化粧剤として作用することによる一様でない皮膚色合いの防止、遅延及び/又は処置、哺乳類皮膚萎縮の防止、遅延及び/又は処置、哺乳類の唇、毛髪及び爪の軟化及び/又は平滑化、哺乳類皮膚かゆみの防止、遅延及び/又は処置、目の下のクマ及び/又は腫れぼったい目の外観の防止、遅延及び/又は処置、哺乳類皮膚血色の悪さの防止、遅延及び/又は処置、哺乳類皮膚たるみ(すなわち、グリケーション)の防止、遅延及び/又は処置、哺乳類皮膚黒硬化の防止、遅延及び/又は処置、哺乳類皮膚回転率の落屑、剥離及び/又は増加、哺乳類皮膚毛穴大きさの減少、哺乳類皮膚の油性/光沢外観の調整、炎症後過度の色素沈着等の過度の色素沈着の防止、遅延及び/又は処置、哺乳類皮膚クモ状血管及び/又は赤いしみ外観の防止、遅延及び/又は処置、哺乳類皮膚小じわとしわの防止、遅延及び/又は処置、皮膚乾燥(すなわち、荒れ、鱗屑、粉状の剥がれ)の防止、遅延及び/又は処置、並びに哺乳類皮膚セルライト外観の防止、遅延及び/又は処置を目的とするが、これらに限定されない。
【0060】
ケラチン組織の調整としては、更に哺乳類育毛の調整、好ましくは育毛の抑制及び/又は遅延及び/又はシェービング頻度の減少が挙げられる。又、調整として、哺乳類の皮膚毛髪の外観及び感触における触覚及び視覚の両方でのより顕著な改善が挙げられてよい。例えば、このような調節方法は、毛髪をより柔軟、より繊細、及び/又はより目立ちにくく見えるようにすることを意図する。又、前記方法は、哺乳類シェービングの容易さ、頻度、及び効果を提供できる。
【0061】
ケラチン組織状態の調整は、安全且つ有効な量の本発明の組成物をケラチン組織に局所適用することを包含する。適用される組成物の量、適用頻度及び使用期間は、所定の組成物の活性物質及び/又はその他の構成成分のレベル並びに所望の調整レベルにより大きく変わることになる。
【0062】
好ましい実施形態では、組成物は皮膚に長期間適用される。「長期の局所適用」とは、被験者の生存中長期間にわたって、好ましくは少なくとも約1週間、より好ましくは少なくとも約1か月間、更により好ましくは少なくとも約3か月間、更により一層好ましくは少なくとも約6か月間、なおより好ましくは少なくとも約1年間にわたって、組成物を連続的に局所に適用することを意味する。効果は、様々な最大使用期間(例えば、5年、10年、又は20年)の後に得ることができるが、被験体の生涯を通じて長期的に適用を継続することが好ましい。典型的には、適用はこのような長期間にわたって1日当たり約1回程度であり得るが、適用の度合いは1週間当たり約1回から1日当たり約3回又はそれ以上まで変動させることができる。
【0063】
本発明の組成物は、皮膚の外観及び/又は感触に関する効果を提供するために広範囲の量を使用することができる。1回の適用当たりに通常適用される本組成物の量は、皮膚1cm2当たりの組成物(mg)で表すと、約0.1mg/cm2〜約20mg/cm2である。特に有用な適用量は、約0.5mg/cm2〜約10mg/cm2である。
【0064】
ケラチン組織状態の調整は、好ましくは、スキンローション、クリアローション、ミルキーローション、クリーム、ゲル、フォーム、軟膏、ペースト、エマルション、スプレー、コンディショナー、トニック、化粧品、リップスティック、ファンデーション、マニキュア液、アフターシェーブなどの形態の組成物を適用することによって実施され、何らかの審美的、予防的、治療的又は他の効果を皮膚又は他のケラチン組織上に残すことを意図する(即ち、「残留型」組成物)。組成物は、ケラチン組織(例えば、皮膚)に適用された後、少なくとも約15分間、より好ましくは少なくとも約30分間、更に好ましくは少なくとも約1時間、更により好ましくは少なくとも数時間、例えば約12時間まで、残留することが好ましい。顔、毛髪、及び/又は爪の外部のいずれかの部分、例えば、顔、口唇、目の下の領域、まぶた、頭皮、首、胴体、腕、手、脚、手指の爪、足指の爪、頭毛、睫、眉毛などを処置することができる。本組成物の適用は、例えば、掌及び/又は指、用具、例えば、綿ボール、綿棒、パッドなどを用いて行われてよい。
【0065】
少なくとも最低レベルの活性物質に対してケラチン組織の連続曝露を確実にする他の手法は、例えば、顔に塗布された貼付剤の使用により化合物を適用することである。そのような手法は、より集中的な処置を必要とする問題のある皮膚領域(例えば、顔の目尻のしわの領域、額の線、目の下の領域など)に特に有用である。貼付剤は、閉塞的、半閉塞的、又は非閉塞的なものにすることができる。組成物は貼付剤内に含有されるか、又は貼付剤の適用前に皮膚に塗布されることができる。貼付剤はまた、PCT国際公開特許WO9701313に記載されているもののような、発熱反応のための化学的開始剤などの追加の活性物質を包含することができる。又、貼付剤は、例えば、スキンケア活性物質及びその他の活性剤(例えば、イオン導入)の供給を増やすため、電気エネルギー源(例えば、電池)を包含してよい。貼付剤は、好ましくは、少なくとも約5分間、より好ましくは少なくとも約15分間、より好ましくは少なくとも約30分間、更に好ましくは少なくとも約1時間、更により好ましくは夜間処置の形態で夜間に、ケラチン組織に残留する。
【0066】
活性物質の効果を向上する他のアプローチは、2、3、4又はそれ以上の製品のキット又はレジメン及び/又は処置手順(例えば、剥離、その後の本発明の1以上の活性物質を用いた局所処置、脱毛、その後の本発明の1以上の活性物質を用いた局所処置等)の使用である。レジメンの種々の構成成分は、短時間(例えば、1時間以内)、又は1日内のより長い時間枠にわたって(例えば、朝と夕方)、又は更により長い期間にわたって(例えば、レジメンの1つの工程が毎週若しくは毎月行われ、レジメンの他の工程がより定期的な基準、例えば毎日行われる)使用されてよい。又、キット又はレジメンは、上記したキャリア、例えば2つ又はそれ以上の洗剤、局所残留型処置、及び経口補助剤の組合せから構成されてよい。
【0067】
又、本発明は、機器を介して、局所適用組成物の塗布と同時に及び/又は逐次にケラチン組織へのエネルギーの供給を意図している。エネルギー供給機器は、光、熱、音(超音波を含む)の形態のエネルギー、磁気エネルギー、電磁エネルギー(高周波及びマイクロ波を含む)及びそれらの組み合わせを含むさまざまな形態でエネルギーを供給してよいが、これらに限定されない。エネルギーの供給は、連続的、パルス化され、調節され、非調節で及びそれらの組み合わせであってよい。1つの実施形態において、エネルギー供給機器は、携帯式である。あるいは、エネルギー供給機器は、コード不要である。
【0068】
エネルギーは、機器をケラチン組織の単一領域内に保持し、続いてその機器を組織の他の領域に移動し加えられてよい(又は、「押印」)。あるいは、エネルギーは、機器が組織の表面全体にわたって連続的に移動、又は走査するときに加えられてよい。機器は、レーザー装置によるように、ケラチン組織の表面と実質的に連続的に接触して保持され、又はストロボランプによるように、エネルギーが表面に向けられた状態でケラチン組織から近い距離で保持されてよい。
【0069】
温度変化が、ケラチン組織に、又は別の方法としては組織の表面に塗られた化合物に同時に誘起されてよい。この温度変化は、供給エネルギー自身により誘起される任意の温度変化だけではない。例えば、ケラチン組織は、エネルギー供給前にわずかに暖められてよく、又は、別の方法としては、ケラチン組織は、エネルギー供給後冷やされてよい。
【0070】
紫外線源に由来するするエネルギーの場合、波長は、一般に約315〜400ナノメートルのUV−A範囲に入ることになる、ここで「ナノメートル」は、1×10−9メートルを意味する。可視光線源に由来するするエネルギーの場合、波長は、一般に約400ナノメートル〜約700ナノメートルの範囲になる。赤外線(IR)光源に由来するするエネルギーの場合、波長は、一般に約700ナノメートル〜約3,000ナノメートルの範囲になる。放出されるエネルギー量、又は「出力流束量」は、約1J/cm2〜約100J/cm2の範囲であってよい、ここで「J」はジュールを意味する。パルス光源の場合、パルス幅は、約0.001秒〜約3秒の範囲にわたり、約0.001秒〜約1秒の平均パルス持続時間を有する。カバーされるケラチン組織の表面積は、アプリケーションにより変わることになる。エネルギー供給に関連するこれらの及びその他のパラメーターは、処置の種類及び処置される組織の種類により決まり、当業者により適切に選択されるであろう。
【実施例】
【0071】
以下は、本発明の組成物類の非限定的な実施例である。これらの実施例は単に説明のために示すものであり、本発明を限定するものと解釈するべきでなく、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、種々の多くの改変が可能であり、当業者には、これらのことは理解されよう。実施例においては、すべての濃度が重量%として列挙されており、特に指定のない限り、希釈剤、充填剤などの微量物質は除外されてもよい。そのため、以下に列挙した配合には、列挙した構成成分及び該構成成分に関連するいかなる微量物質も含まれている。当業者にとって明白なように、このような微量成分の選択は、本明細書に記載したように本発明をなすために選択した特定成分の物理的及び化学的特質によって変わることになる。
【0072】
【表1】

【0073】
【表2】

【0074】
【表3】

【0075】
「本発明の発明を実施するための最良の形態」において引用したすべての文献は、その関連部分において本明細書に参考として組み込まれ、いずれの文献の引用も、それが本発明に関して先行技術であるとの承認として解釈されるべきではない。この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲については、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義を適用するものとする。
【0076】
本発明の特定の実施形態を説明し記載してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変形及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーソナルケア組成物であって、
a)安全且つ有効な量のグリシルリチン酸及び/又はグリシルレチン酸と、
b)N−アシルアミノ酸化合物類、ヘキサミジン、塩化セチルピリジニウム、エルゴチオネイン、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される安全且つ有効な量の第1活性物質と、
c)皮膚科学的に許容可能なキャリアとを含むことを特徴とするパーソナルケア組成物。
【請求項2】
前記第1活性物質が、N−アシルアミノ化合物又はエルゴチオネインを含み、前記パーソナルケア組成物が、更にアニオン性又は非イオン性増粘剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項3】
前記第1活性物質が、ヘキサミジン又は塩化セチルピリジニウムを含み、前記パーソナルケア組成物が、更に非イオン性又はカチオン性増粘剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項4】
糖アミン類、ビタミンB3、レチノイド類、ペプチド類、ジアルカニルヒドキシプロリン(dialkanyl hydoxyproline)、サリチル酸、フィトステロール、日焼け止め活性物質、水溶性ビタミン類、油溶性ビタミン類、それらの誘導体類、それらの前駆体類、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される安全且つ有効な量の第2活性物質を更に含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項5】
パーソナルケア組成物であって、
a)安全且つ有効な量のグリシルリチン酸及び/又はグリシルレチン酸と、
b)安全且つ有効な量のナイアシンアミドと、
c)安全且つ有効な量のビタミンE又はその誘導体と、
d)安全且つ有効な量のパンテノールと、
e)安全且つ有効な量の日焼け止め剤と、
f)皮膚科学的に許容可能なキャリアとを含むことを特徴とするパーソナルケア組成物。
【請求項6】
ビタミンE又はその誘導体が、トコフェリルアセテートを含むことを特徴とする請求項5に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項7】
哺乳類ケラチン組織の状態を調整する方法であって、
a)グリシルリチン酸、グリシルレチン酸、N−アシルアミノ酸化合物類、エルゴチオネイン、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される第1活性物質を含む第1パーソナルケア組成物又は組成物部分を、ヘキサミジン、塩化セチルピリジニウム、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される第2活性物質を含む第2パーソナルケア組成物又は組成物部分と混合する工程、及び
b)前記第1パーソナルケア組成物又は組成物部分、及び前記第2パーソナルケア組成物又は組成物部分を前記哺乳類ケラチン組織に適用する工程、
を含み、
工程a)は、工程b)の直前及び/又は工程b)の間に実施されることを特徴とする方法。

【公表番号】特表2008−540670(P2008−540670A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512466(P2008−512466)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【国際出願番号】PCT/US2006/019060
【国際公開番号】WO2006/124985
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】