説明

皮膚外用剤

【課題】化粧料(但し、医薬部外品を含む)等に好適な皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)に表される化合物及び下記一般式(2)に表される化合物を含有する皮膚外用剤。


(1)


(2)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料(但し、医薬部外品を含む)に好適な皮膚外用剤に関し、詳しくは、1)下記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と、2)下記一般式(2)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩とを含有する皮膚外用剤に関する。
【0002】
【化1】

(1)
[式中、R1は、水素原子、炭素数1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R2は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基、無置換又は置換基を有する芳香族基、無置換又は置換基を有する芳香族基により置換された炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R3は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、mは、0〜3の整数、nは、1又は2の整数を表す。]
【0003】
【化2】

(2)
[式中、R4は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、R5は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル鎖を有するアシル基を表し、R6は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。]
【背景技術】
【0004】
紫外線暴露をはじめとする多様な皮膚への刺激により生じる色素沈着症状としては、日焼け等の一時的な色素沈着症状のほか、シミ、くすみ、肝斑、老人性色素斑等の慢性的な色素沈着症状が存在する。特に、慢性的な色素沈着症状は、他人の見た目の印象に大きな影響を与えるため、肌に関する調査を実施した場合には、肌トラブルとして必ず上位に位置付けられる皮膚症状である。
【0005】
色素沈着症状は、様々な情報伝達物質、サイトカイン等が複雑に絡み合うことにより調節され、最終的には色素細胞(メラノサイト)のメラニン産生が亢進されることにより生じる。また、色素沈着が生じる作用機序に関する研究成果を基に、数多くの美白剤が開発され化粧料等に利用されている。前記の美白剤としては、アスコルビン酸類、過酸化水素、コロイド硫黄、グルタチオン、ハイドロキノン、カテコ−ル、エラグ酸、コウジ酸等の美白剤がよく知られている(例えば、非特許文献1及び非特許文献2を参照)。さらに近年では、新たな作用機序を有する美白剤として、α−MSH(MSH:Melanocyte stimulating hormone)阻害剤のマメ科クララ(苦参)より得られる植物抽出物(例えば、特許文献1を参照)、メラノサイトのデンドライト伸長抑制剤のスイカズラ科スイカズラより得られる植物抽出物(例えば、特許文献2を参照)、エンドセリン−1産生抑制剤のハヤトウリ果実抽出物(例えば、特許文献3を参照)等の美白剤が見い出されてる。しかしながら、これらの美白剤には、一定の美白効果(色素沈着予防又は改善効果)が認められるものの、使用者が望む様な高い美白効果及び持続性が十分に得られているとは言い難い。一方、現在に至る広範な美白素材探索研究により、新規美白剤の創出が難しい状況となっているため、従来の美白剤を複数組み合わせたり、美白剤の効果を増強させる成分を美白剤と組み合わせたり、製剤化技術を改良することなどにより、高い美白効果を得るための試みが盛んに行われている。しかしながら、この様な試みにおいても、十分に満足のいく美白効果が得られているとは言い難い。
【0006】
アミノ基及びカルボキシル基を有するアミノ酸、取り分け、生体機能分子の蛋白質を構成する約20種類のα−アミノ酸には、様々な生物活性が報告されている。さらに、前記アミノ酸の化学構造を変換した多様なアミノ酸及びペプチド誘導体が合成され、その生物活性及び安全性に関する研究も盛んに行われている。前記α−アミノ酸の内、特にセリンに関しては、肌荒れ改善作用(例えば特許文献4を参照)、美白作用(例えば、特許文献5を参照)等が報告されている。さらに、セリン誘導体には、例えば、N−メチル−L−セリンに、真皮ヒアルロン酸産生促進作用(例えば、特許文献6を参照)、O−アシルセリンに消臭作用(例えば、特許文献7を参照)、N−(ベンゾイル)セリンに抗老化作用(例えば、特許文献8を参照)が存することが知られている。
【0007】
一方、システイン酸及びホモシステイン酸は、システインの硫黄原子が酸化されることにより生じるα−アミノ酸である。システイン、ホモシステイン及びその誘導体は、硫黄原子をその化学構造中に含むため、他のα−アミノ酸とは異なる毛髪のはり・こし改善作用(例えば、特許文献9を参照)などの物理化学的性質、生物活性等を示すことが期待されている。さらに、システイン酸及びその窒素原子上に脂肪族アシル基を有するシステイン酸誘導体は、油溶性基材(例えば、特許文献10を参照)、粘液溶解性を有することが報告されている。加えて、本発明者によれば、前記一般式(1)に表されるシステイン酸誘導体に、シワ形成に対する予防又は改善作用(例えば、特許文献11を参照)などの抗老化作用が存することが知られている。
【0008】
本発明の前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩、並びに、前記一般式(2)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩には、発明者の知る限り、色素沈着予防又は改善作用は知られていない。本発明者は、かかる両成分を共に皮膚外用剤に含有することにより、優れた色素沈着予防又は改善効果が得られることを見出した。また、前記の両成分を含有する本願発明の皮膚外用剤には、新たな作用機序による色素沈着予防又は改善作用も期待される。、
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−067804号公報
【特許文献2】特開2003−081747号公報
【特許文献3】特開2008−094737号公報
【特許文献4】特開平11−060435号公報
【特許文献5】特開平11−049630号公報
【特許文献6】特開平06−189780号公報
【特許文献7】特表平09−502442号公報
【特許文献8】再表2007−013662号公報
【特許文献9】特開2006−143649号公報
【特許文献10】特開平05−117295号公報
【特許文献11】WO2010/058730号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】武田克之ら監修、「化粧品の有用性、評価技術と将来展望」、薬事日報社刊(2001年)
【非特許文献2】大森敬之、FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊、No.14、1995、 118−126
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、この様な状況下に為されたものであり、色素沈着予防又は改善作用に好適な皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この様な状況に鑑みて、本発明者は、色素沈着予防又は改善用に好適な皮膚外用剤を求め鋭意努力を重ねた結果、1)前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と、2)前記一般式(2)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩とを含有する皮膚外用剤に、優れた色素沈着予防又は改善作用が存することを見出し、本発明を完成させるに至った。本発明は、以下に示す通りである。
<1> 1)下記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と、2)下記一般式(2)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩とを含有することを特徴とする皮膚外用剤。
【0013】
【化1】

(1)
[式中、R1は、水素原子、炭素数1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R2は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基、無置換又は置換基を有する芳香族基、無置換又は置換基を有する芳香族基により置換された炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R3は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、mは、0〜3の整数、nは、1又は2の整数を表す。]
【0014】
【化2】


(2)
[式中、R4は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、R5は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル鎖を有するアシル基を表し、R6は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。]
【0015】
<2> 前記一般式(1)に表される化合物が、下記一般式(3)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、<1>に記載の皮膚外用剤。
【0016】
【化3】

(3)
[式中、R7は、水素原子、炭素数1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R8は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、mは、0〜3の整数、nは、1又は2の整数を表す。]
【0017】
<3> 前記一般式(3)に表される化合物が、下記一般式(4)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、<1>又は<2>に記載の皮膚外用剤。
【0018】
【化4】

(4)
[式中、R9は、水素原子、炭素数1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R10は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、nは、1又は2の整数を表す。]
【0019】
<4> 前記一般式(4)に表される化合物が、下記一般式(5)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、<1>〜<3>の何れかに記載の皮膚外用剤。
【0020】
【化5】

(5)
[式中、R11は、水素原子、炭素数1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R12は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表す。]
【0021】
<5> 前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が、N−(p−トルイル)システイン酸(化合物1)、N−(m−トルイル)システイン酸(化合物2)、N−(o−トルイル)システイン酸(化合物3)、N−(p−メトキシベンゾイル)システイン酸(化合物4)、N−(4−フェニルベンゾイル)システイン酸(化合物5)、N−(ベンゾイル)システイン酸(化合物6)、N−(p−トルイル)ホモシステイン酸(化合物7)、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、<1>〜<4>の何れかに記載の皮膚外用剤。
【0022】
【化6】

N−(p−トルイル)システイン酸(化合物1)
【0023】
【化7】

N−(m−トルイル)システイン酸(化合物2)
【0024】
【化8】

N−(o−トルイル)システイン酸(化合物3)
【0025】
【化9】

N−(p−メトキシベンゾイル)システイン酸(化合物4)
【0026】
【化10】

N−(4−フェニルベンゾイル)システイン酸(化合物5)
【0027】
【化11】

N−(ベンゾイル)システイン酸(化合物6)
【0028】
【化12】

N−(p−トルイル)ホモシステイン酸(化合物7)
【0029】
<6> 前記一般式(2)に表される化合物が、下記一般式(6)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、<1>〜<5>の何れかに記載の皮膚外用剤。
【0030】
【化13】

(6)
[式中、R13は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、R14は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル鎖を有するアシル基を表す。]
【0031】
<7> 前記一般式(2)に表される化合物が、下記一般式(7)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、<1>〜<5>の何れかに記載の皮膚外用剤。
【0032】
【化14】

(7)
[式中、R15は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、R16は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。]
【0033】
<8> 前記一般式(2)に表される化合物が、下記一般式(8)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、<1>〜<7>の何れかに記載の皮膚外用剤。
【0034】
【化15】

(8)
[式中、R17は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表す。]
【0035】
<9> 前記一般式(2)に表される化合物が、N−(p−メチルベンゾイル)セリン(化合物8)、N−(p−エチルベンゾイル)セリン(化合物9)、N−(p−メトキシベンゾイル)セリン(化合物10)、N−(p−フルオロベンゾイル)セリン(化合物11)、N−(p−トリフルオロメチルベンゾイル)セリン(化合物12)、N−(2−ナフトイル)セリン(化合物13)、N−(4−フェニルベンゾイル)セリン(化合物14)、N−(ベンゾイル)セリン(化合物15)、N−(p−メチルベンゾイル)セリン メチルエステル(化合物16)、N−(2−ナフトイル)セリン メチルエステル(化合物17)、N−ベンゾイル−O−メチルセリン(化合物18)、N−(p−メチルベンゾイル)−O−メチルセリン(化合物19)、N−(p−メチルベンゾイル)−O−アセチルセリン(化合物20)、N−(2−ナフトイル)−O−メチルセリン(化合物21)、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、<1>〜<8>の何れかに記載の皮膚外用剤。
【0036】
【化16】

N−(p−メチルベンゾイル)セリン(化合物8)
【0037】
【化17】

N−(p−エチルベンゾイル)セリン(化合物9)
【0038】
【化18】

N−(p−メトキシベンゾイル)セリン(化合物10)
【0039】
【化19】

N−(p−フルオロベンゾイル)セリン(化合物11)
【0040】
【化20】

N−(p−トリフルオロメチルベンゾイル)セリン(化合物12)
【0041】
【化21】

N−(2−ナフトイル)セリン(化合物13)
【0042】
【化22】

N−(4−フェニルベンゾイル)セリン(化合物14)
【0043】
【化23】

N−(ベンゾイル)セリン(化合物15)
【0044】
【化24】

N−(p−メチルベンゾイル)セリン メチルエステル(化合物16)
【0045】
【化25】

N−(2−ナフトイル)セリン メチルエステル(化合物17)
【0046】
【化26】

N−ベンゾイル−O−メチルセリン(化合物18)
【0047】
【化27】

N−(p−メチルベンゾイル)−O−メチルセリン(化合物19)
【0048】
【化28】

N−(p−メチルベンゾイル)−O−アセチルセリン(化合物20)
【0049】
【化29】

N−(2−ナフトイル)−O−メチルセリン(化合物21)
【0050】
<10> 前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩を、皮膚外用剤全量に対し、0.0001質量%〜20質量%含有することを特徴とする、<1>〜<9>の何れかに記載の皮膚外用剤。
<11> 前記一般式(2)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩を、皮膚外用剤全量に対し、0.0001質量%〜20質量%含有することを特徴とする、<1>〜<10>の何れかに記載の皮膚外用剤。
<12> 化粧料(但し、医薬部外品を含む)であることを特徴とする、<1>〜<11>の何れかに記載の皮膚外用剤。
<13> 色素沈着予防又は改善用であることを特徴とする、<1>〜<12>の何れかに記載の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0051】
本発明によれば、色素沈着予防又は改善用に好適な皮膚外用剤を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
本発明の皮膚外用剤は、1)前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と、2)前記一般式(2)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩とを含有することを特徴とする。本発明の皮膚外用剤は、優れた色素沈着予防又は改善作用を有する。かかる作用は、前記一般式(1)に表される化合物、及び、前記一般式(2)に表される化合物を皮膚外用剤に含有させることにより発揮される。発明者の知る限り、前記一般式(1)に表される化合物、並びに、前記一般式(2)に表される化合物に関し、色素沈着予防又は改善作用は知られていない。このため、本発明の皮膚外用剤により得られる色素沈着予防又は改善効果は、前記一般式(1)に表される化合物、若しくは、前記一般式(2)に表される化合物が有する色素沈着予防又は改善作用、前記作用の増強効果などの作用により発揮されると推察される。
本発明の皮膚外用剤が有する色素沈着予防又は改善効果とは、既に形成された色素沈着を薄くする又は元の状態に戻す作用に加え、色素沈着を予防する作用も包含される。本発明における色素沈着予防又は改善作用は、色素沈着予防又は改善作用であれば特段の限定なく適用することが出来る。かかる作用の内、特に好ましいものとしては、後述する実施例2の「本発明の皮膚外用剤のヒトにおける色素沈着抑制効果1」における色素沈着予防又は改善作用が好適に例示出来る。実施例2の「本発明の皮膚外用剤のヒトにおける色素沈着抑制効果1」において、色素沈着抑制作用を有する成分としては、コントロ−ル群(評価物質無配合製剤群)と比較して、評価物質配合製剤群に色素沈着予防又は改善効果が認められる成分(コントロ−ル群に比較し、評価物質配合製剤群の△L*値が小さい成分)が好適に例示出来、さらに好ましくは、色素沈着予防又は改善効果に統計的な有意差が認められる成分が好適に例示出来る。
【0053】
<本発明の前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩>
本発明の皮膚外用剤は、1)前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と、2)前記一般式(2)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩とを含有することを特徴とする。本発明の前記一般式(1)に表される化合物は、前記一般式(2)に表される化合物と共に皮膚外用剤に含有させることにより、優れた色素沈着予防又は改善効果を発揮する。前記一般式(1)に表される化合物の内、好ましいものとしては、前記一般式(3)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来、より好ましくは、前記一般式(4)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が、さらに好ましくは、前記一般式(5)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。また、前記一般式(1)に表される化合物に付いては、その化学構造中に不斉炭素を有するため、(L)体、(D)体又はラセミ体、更には、(L)体及び(D)体が任意の混合比率であるラセミ混合物等の様々な存在形態が考えられる。本発明の前記一般式(1)に表される化合物は、(D)体、(L)体、ラセミ体、ラセミ混合物等の存在可能な形態を全て包含する。また、前記一般式(1)に表される化合物及びその光学異性体の内、特に好ましいものとしては、(L)体が好適に例示出来る。これは、色素沈着予防又は改善作用の薬効面、安全性面などの性質に優れるためである。また、本発明の前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩の1種又は2種以上を選択し、本発明の皮膚外用剤に含有させることが出来る。
【0054】
ここで前記一般式(1)に表される化合物に付いて述べれば、式中、R1は、水素原子、炭素数1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R2は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基、無置換又は置換基を有する芳香族基、無置換又は置換基を有する芳香族基により置換された炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R3は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、mは、0〜3の整数、nは、1又は2の整数を表す。
前記R1は、水素原子、炭素数1〜8、より好ましくは、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、前記R1に関し具体例を挙げれば、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が好適に例示出来、より好ましいものとしては、水素原子、メチル基、エチル基が好適に例示出来、さらに好ましくは、水素原子が好適に例示出来る。前記一般式(1)に表される化合物の内、前記R1が水素原子である化合物は、特に、色素沈着予防又は改善効果に優れる。前記R2は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基、無置換又は置換基を有する芳香族基、無置換又は置換基を有する芳香族基により置換された炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、前記R2に関し具体例を挙げれば、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロピルオキシフェニル基、ブチルオキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、アミノフェニル基、N−メチルアミノフェニル基、N−エチルアミノフェニル基、N,N−ジメチルアミノフェニル基、N,N−ジエチルアミノフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ピリジル基、メチルピリジル基、エチルピリジル基、メトキシピリジル基、エトキシピリジル基、ナフチル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基、ビフェニル基、メチルビフェニル基、エチルビフェニル基、メトキシビフェニル基、エトキシビフェニル基、ベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシベンジル基、エトキシベンジル基、ヒドロキシベンジル基、アミノベンジル基、N−メチルアミノベンジル基、N−エチルアミノベンジル基、N,N−ジメチルアミノベンジル基、N,N−ジエチルアミノベンジル基、クロロベンジル基、フルオロベンジル基、トリフルオロメチルベンジル基、ピリジルメチル基、ナフチルメチル基、ビフェニルメチル基、フェニルエチル基、ピリジルエチル基、ナフチルエチル基、ビフェニルエチル基、フェニルプロピル基、ピリジルプロピル基、ナフチルプロピル基、ビフェニルプロピル基、フェニルブチル基、ピリジルブチル基、ナフチルブチル基、ビフェニルブチル基等が好適に例示出来、より好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基が好適に例示出来、さらに好ましくは、水素原子が好適に例示出来る。前記一般式(1)に表される化合物の内、前記R2が水素原子である化合物は、特に、色素沈着予防又は改善効果に優れる。前記R3は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、具体例を挙げれば、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロピルオキシフェニル基、ブチルオキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、アミノフェニル基、N−メチルアミノフェニル基、N−エチルアミノフェニル基、N,N−ジメチルアミノフェニル基、N,N−ジエチルアミノフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ピリジル基、メチルピリジル基、エチルピリジル基、メトキシピリジル基、エトキシピリジル基、ナフチル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基、ビフェニル基、メチルビフェニル基、エチルビフェニル基、メトキシビフェニル基、エトキシビフェニル基等が好適に例示出来、より好ましくは、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、フェニル基、ビフェニル基が好適に例示出来、さらに好ましくは、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、フェニル基、4−ビフェニル基が好適に例示出来る。前記一般式(1)に表される化合物の内、前記R3が、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、フェニル基、4−ビフェニル基である化合物は、特に、色素沈着予防又は改善効果に優れる。また、前記の芳香族環上の置換基の数は、0〜3が好適に例示出来、より好ましくは、0又は1であり、芳香族環上の置換基は、それぞれ独立に存在することが出来る。また、前記の芳香族環上の置換基の置換位置としては、特段の限定はないが、芳香族環上においてシステイン酸構造が結合したアミド結合に対しパラ位が好ましい。前記mは、0〜3の整数を表し、特に、m=0の場合が好ましい。前記nは、1又は2の整数を表し、より好ましくは、n=1が好適に例示出来る。
前記一般式(1)に表される化合物の内、特に好ましい化合物を具体的に例示すれば、N−(トルイル)システイン酸、N−(メトキシベンゾイル)システイン酸、N−(フェニルベンゾイル)システイン酸、N−(ベンゾイル)システイン酸、N−(トルイル)ホモシステイン酸、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来、さらに好ましくは、N−(p−トルイル)システイン酸(化合物1)、N−(m−トルイル)システイン酸(化合物2)、N−(o−トルイル)システイン酸(化合物3)、N−(p−メトキシベンゾイル)システイン酸(化合物4)、N−(4−フェニルベンゾイル)システイン酸(化合物5)、N−(ベンゾイル)システイン酸(化合物6)、N−(p−トルイル)ホモシステイン酸(化合物7)、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、後述する前記一般式(2)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と共に皮膚外用剤に含有させることにより、優れた色素沈着予防又は改善作用を発揮する。また、本発明の皮膚外用剤により得られる色素沈着予防又は改善効果は、前記一般式(1)に表される化合物、若しくは、前記一般式(2)に表される化合物が有する色素沈着予防又は改善作用、前記作用の増強効果などの作用により発揮されると推察される。本発明の前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、皮膚外用剤等に汎用される親水性又は親油性媒体に対する溶解性に優れ、皮膚外用剤への製剤化が容易であり、多様な形態の皮膚外用剤を製造することが出来る。さらに、皮膚外用剤に含有させて使用した場合には、高い皮膚透過性を有し、優れた色素沈着の予防又は改善効果を発揮する。また、前記一般式(1)に表される化合物は、化合物自身及び製剤中の安定性に優れる。加えて、本発明の前記一般式(1)に表される化合物は、天然のアミノ酸の誘導体であり、化合物自身が高い安全性を有する。特に、皮膚外用剤に含有させた場合にも、皮膚感作性及び刺激性等において高い安全性を有する。
【0055】
ここで前記一般式(3)に表される化合物に付いて述べれば、式中、R7は、水素原子、炭素数1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R8は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、mは、0〜3の整数、nは、1又は2の整数を表す。前記R7は、水素原子、炭素数1〜8、より好ましくは、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、具体例を挙げれば、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が好適に例示出来、より好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基が、さらに好ましくは、水素原子が好適に例示出来る。前記一般式(3)に表される化合物の内、前記R7が水素原子である化合物は、特に、色素沈着予防又は改善効果に優れる。前記R8は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、具体例を挙げれば、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロピルオキシフェニル基、ブチルオキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、アミノフェニル基、N−メチルアミノフェニル基、N−エチルアミノフェニル基、N,N−ジメチルアミノフェニル基、N,N−ジエチルアミノフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ピリジル基、メチルピリジル基、エチルピリジル基、メトキシピリジル基、エトキシピリジル基、ナフチル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基、ビフェニル基、メチルビフェニル基、エチルビフェニル基、メトキシビフェニル基、エトキシビフェニル基等が好適に例示出来、より好ましくは、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、フェニル基、ビフェニル基が好適に例示出来、さらに好ましくは、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、フェニル基、4−ビフェニル基が好適に例示出来る。前記一般式(3)に表される化合物の内、前記R8が、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、フェニル基、4−ビフェニル基である化合物は、特に、色素沈着予防又は改善効果に優れる。また、前記の芳香族環上の置換基の数は、0〜3が好適に例示出来、より好ましくは、0又は1であり、芳香族環上の置換基は、それぞれ独立に存在することが出来る。また、前記の芳香族環上の置換基の置換位置としては、特段の限定はないが、芳香族環上においてシステイン酸構造が結合したアミド結合に対しパラ位が好ましい。前記mは、0〜3の整数を表し、m=0の場合が、特に好ましい。前記nは、1又は2の整数を表し、n=1の場合が、特に好ましい。
前記一般式(3)に表される化合物の内、前記一般式(4)又は(5)に表される化合物に含まれない化合物の内、好ましいものを具体的に例示すれば、N−(ベンジルカルボニル)システイン酸、N−(メチルベンジルカルボニル)システイン酸、N−(エチルベンジルカルボニル)システイン酸、N−(プロピルベンジルカルボニル)システイン酸、N−(ブチルベンジルカルボニル)システイン酸、N−(メトキシベンジルカルボニル)システイン酸、N−(エトキシベンジルカルボニル)システイン酸、N−(プロピルオキシベジルカルボニル)システイン酸、N−(ブチルオキシベンジルカルボニル)システイン酸、N−(ヒドロキシベンジルカルボニル)システイン酸、N−(アミノベンジルカルボニル)システイン酸、N−(N’−メチルアミノベンジルカルボニル)システイン酸、N−(N’−エチルアミノベンジルカルボニル)システイン酸、N−(N’,N’−ジメチルアミノベンジルカルボニル)システイン酸、N−(N’,N’−ジエチルアミノベンジルカルボニル)システイン酸、N−(クロロベンジルカルボニル)システイン酸、N−(フルオロベンジルカルボニル)システイン酸、N−(ジフルオロベンジルカルボニル)システイン酸、N−(トリフルオロメチルベンジルカルボニル)システイン酸、[N−(ベンジルカルボニル)システイン酸]メチルエステル、[N−(メチルベンジルカルボニル)システイン酸]メチルエステル、[N−(エチルベンジルカルボニル)システイン酸]メチルエステル、[N−(プロピルベンジルカルボニル)システイン酸]メチルエステル、[N−(ブチルベンジルカルボニル)システイン酸]メチルエステル、[N−(メトキシベンジルカルボニル)システイン酸]メチルエステル、[N−(エトキシベンジルカルボニル)システイン酸]メチルエステル、[N−(プロピルオキシベジルカルボニル)システイン酸]メチルエステル、[N−(ブチルオキシベンジルカルボニル)システイン酸]メチルエステル、[N−(ヒドロキシベンジルカルボニル)システイン酸]メチルエステル、[N−(アミノベンジルカルボニル)システイン酸]メチルエステル、[N−(N’−メチルアミノベンジルカルボニル)システイン酸]メチルエステル、[N−(N’−エチルアミノベンジルカルボニル)システイン酸]メチルエステル、[N−(N’,N’−ジメチルアミノベンジルカルボニル)システイン酸]メチルエスエル、[N−(N’,N’−ジエチルアミノベンジルカルボニル)システイン酸]メチルエステル、[N−(クロロベンジルカルボニル)システイン酸]メチルエステル、[N−(フルオロベンジルカルボニル)システイン酸]メチルエステル、[N−(ジフルオロベンジルカルボニル)システイン酸]メチルエステル、[N−(トリフルオロメチルベンジルカルボニル)システイン酸]メチルエステル、[N−(ベンジルカルボニル)システイン酸]エチルエステル、[N−(メチルベンジルカルボニル)システイン酸]エチルエステル、[N−(エチルベンジルカルボニル)システイン酸]エチルエステル、[N−(プロピルベンジルカルボニル)システイン酸]エチルエステル、[N−(ブチルベンジルカルボニル)システイン酸]エチルエステル、[N−(メトキシベンジルカルボニル)システイン酸]エチルエステル、[N−(エトキシベンジルカルボニル)システイン酸]エチルエステル、[N−(プロピルオキシベジルカルボニル)システイン酸]エチルエステル、[N−(ブチルオキシベンジルカルボニル)システイン酸]エチルエステル、[N−(ヒドロキシベンジルカルボニル)システイン酸]エチルエステル、[N−(アミノベンジルカルボニル)システイン酸]エチルエステル、[N−(N’−メチルアミノベンジルカルボニル)システイン酸]エチルエステル、[N−(N’−エチルアミノベンジルカルボニル)システイン酸]エチルエステル、[N−(N’,N’−ジメチルアミノベンジルカルボニル)システイン酸]エチルエスエル、[N−(N’,N’−ジエチルアミノベンジルカルボニル)システイン酸]エチルエステル、[N−(クロロベンジルカルボニル)システイン酸]エチルエステル、[N−(フルオロベンジルカルボニル)システイン酸]エチルエステル、[N−(ジフルオロベンジルカルボニル)システイン酸]エチルエステル、[N−(トリフルオロメチルベンジルカルボニル)システイン酸]エチルエステル、N−(フェニルエチルカルボニル)システイン酸、N−(メチルフェニルエチルカルボニル)システイン酸、N−(エチルフェニルエチルカルボニル)システイン酸、N−(プロピルフェニルエチルカルボニル)システイン酸、N−(ブチルフェニルエチルカルボニル)システイン酸、N−(メトキシフェニルエチルカルボニル)システイン酸、N−(エトキシフェニルエチルカルボニル)システイン酸、N−(プロピルオキシフェニルエチルカルボニル)システイン酸、N−(ブチルオキシフェニルエチルカルボニル)システイン酸、N−(ヒドロキシフェニルエチルカルボニル)システイン酸、N−(アミノフェニルエチルカルボニル)システイン酸、N−(N’−メチルアミノフェニルエチルカルボニル)システイン酸、N−(N’−エチルアミノフェニルエチルカルボニル)システイン酸、N−(N’,N’−ジメチルアミノフェニルエチルカルボニル)システイン酸、N−(N’,N’−ジエチルアミノフェニルエチルカルボニル)システイン酸、N−(クロロフェニルエチルカルボニル)システイン酸、N−(フルオロフェニルエチルカルボニル)システイン酸、N−(ジフルオロフェニルエチルカルボニル)システイン酸、N−(トリフルオロメチルフェニルエチルカルボニル)システイン酸、N−(フェニルプロピルカルボニル)システイン酸、N−(メチルフェニルプロピルカルボニル)システイン酸、N−(エチルフェニルプロピルカルボニル)システイン酸、N−(プロピルフェニルプロピルカルボニル)システイン酸、N−(ブチルフェニルプロピルカルボニル)システイン酸、N−(メトキシフェニルプロピルカルボニル)システイン酸、N−(エトキシフェニルプロピルカルボニル)システイン酸、N−(プロピルオキシフェニルプロピルカルボニル)システイン酸、N−(ブチルオキシフェニルプロピルカルボニル)システイン酸、N−(ヒドロキシフェニルプロピルカルボニル)システイン酸、N−(アミノフェニルプロピルカルボニル)システイン酸、N−(N’−メチルアミノフェニルプロピルカルボニル)システイン酸、N−(N’−エチルアミノフェニルプロピルカルボニル)システイン酸、N−(N’,N’−ジメチルアミノフェニルプロピルカルボニル)システイン酸、N−(N’,N’−ジエチルアミノフェニルプロピルカルボニル)システイン酸、N−(クロロフェニルプロピルカルボニル)システイン酸、N−(フルオロフェニルプロピルカルボニル)システイン酸、N−(ジフルオロフェニルプロピルカルボニル)システイン酸、N−(トリフルオロメチルフェニルプロピルカルボニル)システイン酸、N−(2−ピリジルメチルカルボニル)システイン酸、N−(3−ピリジルメチルカルボニル)システイン酸、N−(4−ピリジルメチルカルボニル)システイン酸、N−(1−ナフチルメチルカルボニル)システイン酸、N−(2−ナフチルメチルカルボニル)システイン酸、N−(2−フェニルベンジルカルボニル)システイン酸、N−(3−フェニルベンジルカルボニル)システイン酸、N−(4−フェニルベンジルカルボニル)システイン酸、N−(2−ピリジルメチルカルボニル)システイン酸メチルエステル、N−(3−ピリジルメチルカルボニル)システイン酸メチルエステル、N−(4−ピリジルメチルカルボニル)システイン酸メチルエステル、N−(1−ナフチルメチルカルボニル)システイン酸メチルエステル、N−(2−ナフチルメチルカルボニル)システイン酸メチルエステル、N−(2−フェニルベンジルカルボニル)システイン酸メチルエステル、N−(3−フェニルベンジルカルボニル)システイン酸メチルエステル、N−(4−フェニルベンジルカルボニル)システイン酸メチルエステル、N−(2−ピリジルメチルカルボニル)システイン酸エチルエステル、N−(3−ピリジルメチルカルボニル)システイン酸エチルエステル、N−(4−ピリジルメチルカルボニル)システイン酸エチルエステル、N−(1−ナフチルメチルカルボニル)システイン酸エチルエステル、N−(2−ナフチルメチルカルボニル)システイン酸エチルエステル、N−(2−フェニルベンジルカルボニル)システイン酸エチルエステル、N−(3−フェニルベンジルカルボニル)システイン酸エチルエステル、N−(4−フェニルベンジルカルボニル)システイン酸エチルエステル、
N−(ベンジルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(メチルベンジルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(エチルベンジルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(プロピルベンジルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(ブチルベンジルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(メトキシベンジルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(エトキシベンジルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(プロピルオキシベジルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(ブチルオキシベンジルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(ヒドロキシベンジルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(アミノベンジルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(N’−メチルアミノベンジルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(N’−エチルアミノベンジルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(N’,N’−ジメチルアミノベンジルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(N’,N’−ジエチルアミノベンジルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(クロロベンジルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(フルオロベンジルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(ジフルオロベンジルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(トリフルオロメチルベンジルカルボニル)ホモシステイン酸、[N−(ベンジルカルボニル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(メチルベンジルカルボニル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(エチルベンジルカルボニル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(プロピルベンジルカルボニル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(ブチルベンジルカルボニル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(メトキシベンジルカルボニル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(エトキシベンジルカルボニル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(プロピルオキシベジルカルボニル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(ブチルオキシベンジルカルボニル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(ヒドロキシベンジルカルボニル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(アミノベンジルカルボニル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(N’−メチルアミノベンジルカルボニル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(N’−エチルアミノベンジルカルボニル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(N’,N’−ジメチルアミノベンジルカルボニル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(N’,N’−ジエチルアミノベンジルカルボニル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(クロロベンジルカルボニル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(フルオロベンジルカルボニル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(ジフルオロベンジルカルボニル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(トリフルオロメチルベンジルカルボニル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(ベンジルカルボニル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(メチルベンジルカルボニル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(エチルベンジルカルボニル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(プロピルベンジルカルボニル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(ブチルベンジルカルボニル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(メトキシベンジルカルボニル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(エトキシベンジルカルボニル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(プロピルオキシベジルカルボニル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(ブチルオキシベンジルカルボニル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(ヒドロキシベンジルカルボニル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(アミノベンジルカルボニル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(N’−メチルアミノベンジルカルボニル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(N’−エチルアミノベンジルカルボニル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(N’,N’−ジメチルアミノベンジルカルボニル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(N’,N’−ジエチルアミノベンジルカルボニル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(クロロベンジルカルボニル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(フルオロベンジルカルボニル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(ジフルオロベンジルカルボニル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(トリフルオロメチルベンジルカルボニル)ホモシステイン酸]エチルエステル、N−(2−ピリジルメチルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(3−ピリジルメチルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(4−ピリジルメチルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(1−ナフチルメチルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(2−ナフチルメチルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(2−フェニルベンジルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(3−フェニルベンジルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(4−フェニルベンジルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(2−ピリジルメチルカルボニル)ホモシステイン酸メチルエステル、N−(3−ピリジルメチルカルボニル)ホモシステイン酸メチルエステル、N−(4−ピリジルメチルカルボニル)ホモシステイン酸メチルエステル、N−(1−ナフチルメチルカルボニル)ホモシステイン酸メチルエステル、N−(2−ナフチルメチルカルボニル)ホモシステイン酸メチルエステル、N−(2−フェニルベンジルカルボニル)ホモシステイン酸メチルエステル、N−(3−フェニルベンジルカルボニル)ホモシステイン酸メチルエステル、N−(4−フェニルベンジルカルボニル)ホモシステイン酸メチルエステル、N−(2−ピリジルメチルカルボニル)ホモシステイン酸エチルエステル、N−(3−ピリジルメチルカルボニル)ホモシステイン酸エチルエステル、N−(4−ピリジルメチルカルボニル)ホモシステイン酸エチルエステル、N−(1−ナフチルメチルカルボニル)ホモシステイン酸エチルエステル、N−(2−ナフチルメチルカルボニル)ホモシステイン酸エチルエステル、N−(2−フェニルベンジルカルボニル)ホモシステイン酸エチルエステル、N−(3−フェニルベンジルカルボニル)ホモシステイン酸エチルエステル、N−(4−フェニルベンジルカルボニル)ホモシステイン酸エチルエステル、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。前記一般式(3)に表される化合物の内、好ましいものとしては、N−(トルイル)システイン酸、N−(メトキシベンゾイル)システイン酸、N−(フェニルベンゾイル)システイン酸、N−(ベンゾイル)システイン酸、N−(トルイル)ホモシステイン酸、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来、さらに好ましくは、N−(p−トルイル)システイン酸(化合物1)、N−(m−トルイル)システイン酸(化合物2)、N−(o−トルイル)システイン酸(化合物3)、N−(p−メトキシベンゾイル)システイン酸(化合物4)、N−(4−フェニルベンゾイル)システイン酸(化合物5)、N−(ベンゾイル)システイン酸(化合物6)、N−(p−トルイル)ホモシステイン酸(化合物7)、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。かかる化合物は、前記一般式(2)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と共に皮膚外用剤に含有させることにより、特に優れた色素沈着予防又は改善効果を発揮する。
前記一般式(3)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、後述する前記一般式(2)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と共に皮膚外用剤に含有させることにより、優れた色素沈着予防又は改善作用を発揮する。また、本発明の皮膚外用剤により得られる色素沈着予防又は改善効果は、前記一般式(3)に表される化合物、若しくは、前記一般式(2)に表される化合物が有する色素沈着予防又は改善作用、前記作用の増強効果などの作用により発揮されると推察される。本発明の前記一般式(3)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、皮膚外用剤等に汎用される親水性又は親油性媒体に対する溶解性に優れ、皮膚外用剤への製剤化が容易であり、多様な形態の皮膚外用剤を製造することが出来る。さらに、皮膚外用剤に含有させて使用した場合には、高い皮膚透過性を有し、優れた色素沈着の予防又は改善効果を発揮する。また、前記一般式(3)に表される化合物は、化合物自身及び製剤中の安定性に優れる。加えて、本発明の前記一般式(3)に表される化合物は、天然のアミノ酸の誘導体であり、化合物自身が高い安全性を有する。特に、皮膚外用剤に含有させた場合にも、皮膚感作性及び刺激性等において高い安全性を有する。
【0056】
ここで前記一般式(4)に表される化合物に付いて述べれば、式中、R9は、水素原子、炭素数1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R10は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、nは、1又は2の整数を表す。前記R9は、水素原子、炭素数1〜8、より好ましくは、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、具体例を挙げれば、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が好適に例示出来、より好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基が、さらに好ましくは、水素原子が好適に例示出来る。前記一般式(4)に表される化合物の内、前記R9が水素原子である化合物は、特に、色素沈着予防又は改善効果に優れる。前記R10は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、具体例を挙げれば、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロピルオキシフェニル基、ブチルオキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、アミノフェニル基、N−メチルアミノフェニル基、N−エチルアミノフェニル基、N,N−ジメチルアミノフェニル基、N,N−ジエチルアミノフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ピリジル基、メチルピリジル基、エチルピリジル基、メトキシピリジル基、エトキシピリジル基、ナフチル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基、ビフェニル基、メチルビフェニル基、エチルビフェニル基、メトキシビフェニル基、エトキシビフェニル基等が好適に例示出来、より好ましくは、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、フェニル基、ビフェニル基が好適に例示出来、さらに好ましくは、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、フェニル基、4−ビフェニル基が好適に例示出来る。前記一般式(4)に表される化合物の内、前記R10が、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、フェニル基、4−ビフェニル基である化合物は、特に、色素沈着予防又は改善効果に優れる。また、前記の芳香族環上の置換基の数は、0〜3が好適に例示出来、より好ましくは、0又は1であり、芳香族環上の置換基は、それぞれ独立に存在することが出来る。また、前記の芳香族環上の置換基の置換位置としては、特段の限定はないが、芳香族環上においてシステイン酸構造が結合したアミド結合に対しパラ位が好ましい。前記nは、1又は2の整数を表し、より好ましくは、n=1が好適に例示出来る。
前記一般式(4)に表される化合物の内、前記一般式(5)に表される化合物に含まれない化合物に関し具体例を挙げれば、N−(ベンゾイル)ホモシステイン酸、N−(メチルベンゾイル)ホモシステイン酸、N−(エチルベンゾイル)ホモシステイン酸、N−(プロピルベンゾイル)ホモシステイン酸、N−(ブチルベンゾイル)ホモシステイン酸、N−(メトキシベンゾイル)ホモシステイン酸、N−(エトキシベンゾイル)ホモシステイン酸、N−(プロピルオキシベンゾイル)ホモシステイン酸、N−(ブチルオキシベンゾイル)ホモシステイン酸、N−(ヒドロキシベンゾイル)ホモシステイン酸、N−(アミノベンゾイル)ホモシステイン酸、N−(N’−メチルアミノベンゾイル)ホモシステイン酸、N−(N’−エチルアミノベンゾイル)ホモシステイン酸、N−(N’,N’−ジメチルアミノベンゾイル)ホモシステイン酸、N−(N’,N’−ジエチルアミノベンゾイル)ホモシステイン酸、N−(クロロベンゾイル)ホモシステイン酸、N−(フルオロベンゾイル)ホモシステイン酸、N−(ジフルオロベゾイル)ホモシステイン酸、N−(トリフルオロメチルベンゾイル)ホモシステイン酸、N−(ピリジルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(ナフチルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(フェニルベンゾイル)ホモシステイン酸、[N−(ベンゾイル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(メチルベンゾイル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(エチルベンゾイル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(プロピルベンゾイル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(ブチルベンゾイル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(メトキシベンゾイル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(エトキシベンゾイル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(プロピルオキシベンゾイル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(ブチルオキシベンゾイル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(ヒドロキシベンゾイル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(アミノベンゾイル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(N’−メチルアミノベンゾイル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(N’−エチルアミノベンゾイル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(N’,N’−ジメチルアミノベンゾイル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(N’,N’−ジエチルアミノベンゾイル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(クロロベンゾイル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(フルオロベンゾイル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(ジフルオロベゾイル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(トリフルオロメチルベンゾイル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(ピリジルカルボニル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(ナフチルカルボニル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(フェニルベンゾイル)ホモシステイン酸]メチルエステル、[N−(ベンゾイル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(メチルベンゾイル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(エチルベンゾイル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(プロピルベンゾイル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(ブチルベンゾイル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(メトキシベンゾイル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(エトキシベンゾイル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(プロピルオキシベンゾイル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(ブチルオキシベンゾイル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(ヒドロキシベンゾイル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(アミノベンゾイル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(N’−メチルアミノベンゾイル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(N’−エチルアミノベンゾイル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(N’,N’−ジメチルアミノベンゾイル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(N’,N’−ジエチルアミノベンゾイル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(クロロベンゾイル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(フルオロベンゾイル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(ジフルオロベゾイル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(トリフルオロメチルベンゾイル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(ピリジルカルボニル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(ナフチルカルボニル)ホモシステイン酸]エチルエステル、[N−(フェニルベンゾイル)ホモシステイン酸]エチルエステル、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。前記一般式(4)に表される化合物の内、好ましいものとしては、N−(トルイル)システイン酸、N−(メトキシベンゾイル)システイン酸、N−(フェニルベンゾイル)システイン酸、N−(ベンゾイル)システイン酸、N−(トルイル)ホモシステイン酸、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来、さらに好ましいものとしては、N−(p−トルイル)システイン酸(化合物1)、N−(m−トルイル)システイン酸(化合物2)、N−(o−トルイル)システイン酸(化合物3)、N−(p−メトキシベンゾイル)システイン酸(化合物4)、N−(4−フェニルベンゾイル)システイン酸(化合物5)、N−(ベンゾイル)システイン酸(化合物6)、N−(p−トルイル)ホモシステイン酸(化合物7)、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。前記一般式(4)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、後述する前記一般式(2)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と共に皮膚外用剤に含有させることにより、優れた色素沈着予防又は改善作用を発揮する。また、本発明の皮膚外用剤により得られる色素沈着予防又は改善効果は、前記一般式(4)に表される化合物、若しくは、前記一般式(2)に表される化合物が有する色素沈着予防又は改善作用、前記作用の増強効果などの作用により発揮されると推察される。本発明の前記一般式(4)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、皮膚外用剤等に汎用される親水性又は親油性媒体に対する溶解性に優れ、皮膚外用剤への製剤化が容易であり、多様な形態の皮膚外用剤を製造することが出来る。さらに、皮膚外用剤に含有させて使用した場合には、高い皮膚透過性を有し、優れた色素沈着の予防又は改善効果を発揮する。また、前記一般式(4)に表される化合物は、化合物自身及び製剤中の安定性に優れる。加えて、本発明の前記一般式(4)に表される化合物は、天然のアミノ酸の誘導体であり、化合物自身が高い安全性を有する。特に、皮膚外用剤に含有させた場合にも、皮膚感作性及び刺激性等において高い安全性を有する。
【0057】
ここで前記一般式(5)に表される化合物に付いて述べれば、式中、R11は、水素原子、炭素数1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R12は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表す。前記R11は、水素原子、炭素数1〜8、より好ましくは、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、具体例を挙げれば、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が好適に例示出来、より好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基が、さらに好ましくは、水素原子が好適に例示出来る。。前記一般式(5)に表される化合物の内、前記R11が水素原子である化合物は、特に、色素沈着予防又は改善効果に優れる。前記R12は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、具体例を挙げれば、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロピルオキシフェニル基、ブチルオキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、アミノフェニル基、N−メチルフェニル基、N−エチルフェニル基、N,N−ジメチルアミノフェニル基、N,N−ジエチルアミノフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ピリジル基、メチルピリジル基、エチルピリジル基、メトキシピリジル基、エトキシピリジル基、ナフチル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基、ビフェニル基、メチルビフェニル基、エチルビフェニル基、メトキシビフェニル基、エトキシビフェニル基等が好適に例示出来、より好ましくは、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、フェニル基、ビフェニル基が、さらに好ましくは、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、フェニル基、4−ビフェニル基が好適に例示出来る。前記一般式(5)に表される化合物の内、前記R12が、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、フェニル基、4−ビフェニル基である化合物は、特に、色素沈着予防又は改善効果に優れる。また、前記の芳香族環上の置換基の数は、0〜3が好適に例示出来、より好ましくは、0又は1であり、芳香族環上の置換基は、それぞれ独立に存在することが出来る。また、前記の芳香族環上の置換基の置換位置としては、特段の限定はないが、芳香族環上においてシステイン酸構造が結合したアミド結合に対しパラ位が好ましい。
前記一般式(5)に表される化合物の内、好ましいものを具体的に例示すれば、N−(ベンゾイル)システイン酸、N−(メチルベンゾイル)システイン酸、N−(エチルベンゾイル)システイン酸、N−(プロピルベンゾイル)システイン酸、N−(ブチルベンゾイル)システイン酸、N−(メトキシベンゾイル)システイン酸、N−(エトキシベンゾイル)システイン酸、N−(プロピルオキシベンゾイル)システイン酸、N−(ブチルオキシベンゾイル)システイン酸、N−(ヒドロキシベンゾイル)システイン酸、N−(アミノベンゾイル)システイン酸、N−(N’−メチルアミノベンゾイル)システイン酸、N−(N’−エチルアミノベンゾイル)システイン酸、N−(N’,N’−ジメチルアミノベンゾイル)システイン酸、N−(N’,N’−ジエチルアミノベンゾイル)システイン酸、N−(クロロベンゾイル)システイン酸、N−(フルオロベンゾイル)システイン酸、N−(ジフルオロベゾイル)システイン酸、N−(トリフルオロメチルベンゾイル)システイン酸、N−(ピリジルカルボニル)システイン酸、N−(ナフチルカルボニル)システイン酸、N−(ビフェニルカルボニル)システイン酸、[N−(ベンゾイル)システイン酸]メチルエステル、[N−(メチルベンゾイル)システイン酸]メチルエステル、[N−(エチルベンゾイル)システイン酸]メチルエステル、[N−(プロピルベンゾイル)システイン酸]メチルエステル、[N−(ブチルベンゾイル)システイン酸]メチルエステル、[N−(メトキシベンゾイル)システイン酸]メチルエステル、[N−(エトキシベンゾイル)システイン酸]メチルエステル、[N−(プロピルオキシベンゾイル)システイン酸]メチルエステル、[N−(ブチルオキシベンゾイル)システイン酸]メチルエステル、[N−(ヒドロキシベンゾイル)システイン酸]メチルエステル、[N−(アミノベンゾイル)システイン酸]メチルエステル、[N−(N’−メチルアミノベンゾイル)システイン酸]メチルエステル、[N−(N’−エチルアミノベンゾイル)システイン酸]メチルエステル、[N−(N’,N’−ジメチルアミノベンゾイル)システイン酸]メチルエステル、[N−(N’,N’−ジエチルアミノベンゾイル)システイン酸]メチルエステル、[N−(クロロベンゾイル)システイン酸]メチルエステル、[N−(フルオロベンゾイル)システイン酸]メチルエステル、[N−(ジフルオロベゾイル)システイン酸]メチルエステル、[N−(トリフルオロメチルベンゾイル)システイン酸]メチルエステル、[N−(ピリジルカルボニル)システイン酸]メチルエステル、[N−(ナフチルカルボニル)システイン酸]メチルエステル、[N−(フェニルベンゾイル)システイン酸]メチルエステル、[N−(ベンゾイル)システイン酸]エチルエステル、[N−(メチルベンゾイル)システイン酸]エチルエステル、[N−(エチルベンゾイル)システイン酸]エチルエステル、[N−(プロピルベンゾイル)システイン酸]エチルエステル、[N−(ブチルベンゾイル)システイン酸]エチルエステル、[N−(メトキシベンゾイル)システイン酸]エチルエステル、[N−(エトキシベンゾイル)システイン酸]エチルエステル、[N−(プロピルオキシベンゾイル)システイン酸]エチルエステル、[N−(ブチルオキシベンゾイル)システイン酸]エチルエステル、[N−(ヒドロキシベンゾイル)システイン酸]エチルエステル、[N−(アミノベンゾイル)システイン酸]エチルエステル、[N−(N’−メチルアミノベンゾイル)システイン酸]エチルエステル、[N−(N’−エチルアミノベンゾイル)システイン酸]エチルエステル、[N−(N’,N’−ジメチルアミノベンゾイル)システイン酸]エチルエステル、[N−(N’,N’−ジエチルアミノベンゾイル)システイン酸]エチルエステル、[N−(クロロベンゾイル)システイン酸]エチルエステル、[N−(フルオロベンゾイル)システイン酸]エチルエステル、[N−(ジフルオロベゾイル)システイン酸]エチルエステル、[N−(トリフルオロメチルベンゾイル)システイン酸]エチルエステル、[N−(ピリジルカルボニル)システイン酸]メチルエステル、[N−(ナフチルカルボニル)システイン酸]エチルエステル、[N−(フェニルベンゾイル)システイン酸]エチルエステル、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。前記一般式(5)に表される化合物の内、好ましいものとしては、N−(トルイル)システイン酸、N−(メトキシベンゾイル)システイン酸、N−(フェニルベンゾイル)システイン酸、N−(ベンゾイル)システイン酸、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来、さらに好ましくは、N−(p−トルイル)システイン酸(化合物1)、N−(m−トルイル)システイン酸(化合物2)、N−(o−トルイル)システイン酸(化合物3)、N−(p−メトキシベンゾイル)システイン酸(化合物4)、N−(4−フェニルベンゾイル)システイン酸(化合物5)、N−(ベンゾイル)システイン酸(化合物6)、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。前記一般式(5)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、後述する前記一般式(2)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と共に皮膚外用剤に含有させることにより、優れた色素沈着予防又は改善作用を発揮する。また、本発明の皮膚外用剤により得られる色素沈着予防又は改善効果は、前記一般式(4)に表される化合物、若しくは、前記一般式(2)に表される化合物が有する色素沈着予防又は改善作用、前記作用の増強効果などの作用により発揮されると推察される。本発明の前記一般式(5)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、皮膚外用剤等に汎用される親水性又は親油性媒体に対する溶解性に優れ、皮膚外用剤への製剤化が容易であり、多様な形態の皮膚外用剤を製造することが出来る。さらに、皮膚外用剤に含有させて使用した場合には、高い皮膚透過性を有し、優れた色素沈着の予防又は改善効果を発揮する。また、前記一般式(5)に表される化合物は、化合物自身及び製剤中の安定性に優れる。加えて、本発明の前記一般式(5)に表される化合物は、天然のアミノ酸の誘導体であり、化合物自身が高い安全性を有する。特に、皮膚外用剤に含有させた場合にも、皮膚感作性及び刺激性等において高い安全性を有する。
【0058】
前記一般式(1)、前記一般式(3)〜(5)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、試薬メ−カ−等により市販されているシステイン酸、ホモシステイン酸、並びに、それらの誘導体を出発原料とし、例えば、前記の特許文献11(WO2010058730号)に記載の製造方法に従い合成することも出来るし、「ペプチド合成の基礎と実験(丸善)」等に記載の方法に従い、脱保護、カップリング及び保護基の導入反応を行うことにより製造することも出来る。かかる化合物は、そのまま本発明の皮膚外用剤に含有させ使用することも出来るし、薬理学的に許容される酸又は塩基と共に処理し塩の形に変換し、塩として使用することも可能である。例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩などの鉱酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩などの有機酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、トリエチルアミン塩、トリエタノ−ルアミン塩、アンモニウム塩、モノエタノ−ルアミン塩、ピペリジン塩等の有機アミン塩、リジン塩、アルギン酸塩等の塩基性アミノ酸塩などが好適に例示出来る。
【0059】
斯くして得られた前記一般式(1)、前記一般式(3)〜(5)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、後述する前記一般式(2)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と共に皮膚外用剤に含有させることにより、優れた色素沈着予防又は改善作用を発揮する。また、本発明の皮膚外用剤は、前記一般式(1)に表される化合物、前記一般式(3)〜(5)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩から選択される1種又は2種以上を皮膚外用剤に含有させることが出来る。本発明の皮膚外用剤が、前記の作用を奏するには、前記一般式(1)、前記一般式(3)〜(5)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩から選択される1種乃至は2種以上を、皮膚外用剤全量に対し総量で0.0001質量%〜20質量%、より好ましくは、0.001質量%〜10質量%、さらに好ましくは、0.05質量%〜3質量%含有することが好ましい。これは、皮膚外用剤全量に対する前記一般式(1)、前記一般式(3)〜(5)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩の含有量が0.0001質量%より少ないと色素沈着予防又は改善作用が低下する傾向にあり、また20質量%を超える量を配合しても、効果が頭打ちになる傾向があるため、処方の自由度が低下する恐れがあり、前記の皮膚外用剤全量に対する前記の含有量が好ましい。
【0060】
【化30】

N−(p−トルイル)−L−システイン酸(化合物1のL光学異性体)
【0061】
<製造例1: 化合物1のL光学異性体の合成>
L−システイン酸1水和物 5(g)(26.7mmol)(シグマ アルドリッチ社)、1,4−ジオキサン 20(mL)(和光純薬工業株式会社)、および、水 10(mL)を100(mL)ナス型フラスコに入れた後、氷浴にて冷却した。十分に冷却した後8(N)水酸化ナトリウム水溶液 10.7(mL)、p−トルオイルクロリド 3.36(mL)(シグマ アルドリッチ社)を液温が上昇しないように順次滴下した。滴下終了後、氷浴を外し室温にて攪拌した。薄層クロマトグラフィ−で反応の進行を確認した後、1,4−ジオキサン(和光純薬工業株式会社)を減圧留去した。得られた残渣を酢酸エチル(和光純薬工業株式会社)にて洗浄した後、塩酸にてpHを2以下に調整した。得られた水溶液を凍結乾燥し、メタノ−ル(和光純薬工業株式会社)で目的物を抽出した。メタノ−ルを減圧留去した後、結晶化し、ろ過した。濾取した結晶を乾燥し、上記構造を有する化合物3のL光学異性体 5.79(g)(20.2mmol)を得た。
【0062】
<化合物1のL光学異性体の物理恒数>
H−NMR(DMSO−d):δ 2.36(3H、s)、2.94(2H、m)、4.41(1H、m)、7.36(2H、d)、7.58(2H、t)、8.84(1H、d)、12.5(1H、brs).
FAB−MS(negatove ion mode):M/z=286([M−H]
【0063】
【化31】

N−(m−トルイル)−L−システイン酸(化合物2のL光学異性体)
【0064】
<製造例2 : 化合物2のL光学異性体の製造方法>
L−システイン酸 3.0(g)(17.7mmol)(東京化成工業株式会社)、テトラヒドロフラン 18(mL)(和光純薬工業株式会社)、および、水18(mL)を100(mL)ナス型フラスコに入れた後、氷浴にて冷却した。十分に冷却した後、炭酸カリウム 4.40(g)(31.6mmol)(和光純薬工業株式会社)、m−トルオイルクロリド 2.19(g)(東京化成工業株式会社)を液温が上昇しないように順次添加した。氷浴下1時間反応させた後、m−トルオイルクロリド 1.09(g)(東京化成工業株式会社)を再度添加した。添加後、氷浴を外し室温にて攪拌した。薄層クロマトグラフィ−で反応の進行を確認した後、テトラヒドロフランを減圧留去した。得られた残渣を酢酸エチルにて洗浄した後、塩酸にてpHを2以下に調整した。濾液を濃縮し、水(18ml)を添加した。4℃にて熟成した後、析出した結晶を濾別した。得られた結晶をアセトンで懸洗し、濾取した。濾取した結晶を60℃にて乾燥し、上記構造を有する化合物2 1.65(g)(5.74 mmol)を得た。
【0065】
<化合物2のL光学異性体の物理恒数>
H−NMR(DMSO−d):δ 2.36(3H、s)、2.94(2H、m)、4.41(1H、m)、7.36(2H、d)、7.58(2H、t)、8.84(1H、d)、12.5(1H、brs).
FAB−MS(negative ion mode):M/z=286([M−H]
【0066】
【化32】

N−(o−トルイル)−L−システイン酸(化合物3のL光学異性体)
【0067】
<製造例3: 化合物3のL光学異性体の合成>
L−システイン酸 3(g)(17.7mmol)(東京化成工業株式会社)、テトラヒドロフラン 18(mL)(和光純薬工業株式会社)、水 18(mL)を100(mL)ナス型フラスコに入れた後、氷浴にて冷却した。十分に冷却した後、炭酸カリウム 4.40(g)(31.6mmol)(和光純薬工業株式会社)を添加した。o−トルオイルクロリド 3.28(g)(東京化成工業株式会社)を液温が上昇しないように順次添加した。添加後、氷浴を外し室温にて攪拌した。薄層クロマトグラフィ−で反応の進行を確認した後、テトラヒドロフラン(和光純薬工業株式会社)を減圧留去した。得られた残渣を酢酸エチル(和光純薬工業株式会社)にて洗浄した後、塩酸にてpHを2以下に調整した。濾液を濃縮し、水 20(mL)を添加した。析出した結晶を濾取し、結晶をアセトン(和光純薬工業株式会社)で懸洗した。濾取した結晶を60℃にて乾燥し、上記構造を有する化合物1のL光学異性体 0.78(g)(2.72mmol)を得た。
【0068】
<化合物3のL光学異性体の物理恒数>
H−NMR(DO):δ 2.31(3H、s)、3.42(2H、m)、4.86(1H、m)、7.24(2H、m)、7.35(2H、m).
FAB−MS(negative ion mode):M/z=286([M−H]
【0069】
【化33】

N−(p−メトキシベンゾイル)−L−システイン酸(化合物4のL光学異性体)
【0070】
<製造例4: 化合物4のL光学異性体の合成>
L−システイン酸 2(g)(11.8mmol)(東京化成工業株式会社)、テトラヒドロフラン 12(mL)(和光純薬工業株式会社)、および、水 12(mL)を100(mL)ナス型フラスコに入れた後、氷浴にて冷却した。十分に冷却した後、炭酸カリウム 2.94(g)(21.3mmol)(和光純薬工業株式会社)、4−メトキシベンゾイルクロリド 1.61(g)(東京化成工業株式会社)を液温が上昇しないように順次添加した。氷浴下1時間反応させた後、4−メトキシベンゾイルクロリド 0.81(g)(東京化成工業株式会社)を再度添加した。添加後、氷浴を外し室温にて攪拌した。薄層クロマトグラフィ−で反応の進行を確認した後、テトラヒドロフラン(和光純薬工業株式会社)を減圧留去した。得られた残渣を酢酸エチル(和光純薬工業株式会社)にて洗浄した後、塩酸にてpHを2以下に調整した。析出した結晶をろ過し、水で洗浄した。濾液を濃縮し、再度析出した結晶をろ過した。得られた結晶をあわせた後、アセトン(和光純薬工業株式会社)で懸洗した。結晶をろ過した後、濾取した結晶を60℃にて乾燥し、上記構造を有する化合物4のL光学異性体 2.47(g)(8.14mmol)を得た。
【0071】
<化合物4のL光学異性体の物理恒数>
H−NMR(DO):δ 3.45(2H、m)、3.81(3H、s)、4.85(1H、m)、7.00(2H、d)、7.72(2H、d).
FAB−MS(negative ion mode):M/z=302([M−H]).
【0072】
【化34】

(N−4−フェニルベンゾイルカルボニル)−L−システイン酸(化合物5のL光学異性体)
【0073】
<製造例5: 化合物5のL光学異性体の合成>
L−システイン酸 2(g)(11.8mmol)(東京化成工業株式会社)、テトラヒドロフラン 12(mL)(和光純薬工業株式会社)、および、水 12(mL)を100(mL)ナス型フラスコに入れた後、氷浴にて冷却した。十分に冷却した後、炭酸カリウム 2.94(g)(21.3mmol)(和光純薬工業株式会社)、4−フェニルベンゾイルクロリド 2.05(g)(東京化成工業株式会社)を液温が上昇しないように順次添加した。氷浴下1.5時間反応させた後、4−フェニルベンゾイルクロリド 1.02(g)(東京化成工業株式会社)を再度添加した。添加後、氷浴を外し室温にて攪拌した。薄層クロマトグラフィ−で反応の進行を確認した後、テトラヒドロフランを減圧留去した。得られた残渣を酢酸エチルにて洗浄した後、塩酸(和光純薬工業株式会社)にてpHを2以下に調整した。析出した結晶をろ過し、水で洗浄した。得られた結晶をアセトン(和光純薬工業株式会社)で懸洗した後、ろ過した。濾取した結晶を60℃にて乾燥し、上記構造を有する化合物5のL光学異性体 2.37(g)(6.78 mmol)を得た。
【0074】
<化合物5のL光学異性体の物理恒数>
H−NMR(DMSO−d):δ 2.96(2H、m)、4.54(1H、q)、7.42(1H、m)、7.51(2H、m)、7.74(2H、d)、7.80(2H、d)、7.90(2H、d)、8.94(1H、d).
FAB−MS(negative ion mode):M/z=348([M−H]).
【0075】
【化35】

N−(ベンゾイル)システイン酸(化合物6)
【0076】
<製造例6: 化合物6の合成>
DL−システイン酸(和光純薬工業株式会社)及びベンゾイルクロリド(和光純薬工業株式会社)を用い、製造例1に記載の方法に従い化合物6を合成した。
【0077】
【化36】

N−(p−トルイル)ホモシステイン酸(化合物7)
【0078】
<製造例7: 化合物7の合成>
DL−ホモシステイン酸 2(g)(10.9mmol)(シグマ アルドリッチ社)、テトラヒドロフラン 12(mL)(和光純薬工業株式会社)、および、水 12(mL)を100(mL)ナス型フラスコに入れた後、氷浴にて冷却した。十分に冷却した後、炭酸カリウム 2.71(g)(19.6mmol)(和光純薬工業株式会社)を添加した。p−トルオイルクロリド 1.49(g)(シグマ アルドリッチ社)を液温が上昇しないように順次添加した。氷浴下1時間反応させた後、p−トルオイルクロリド 0.76(g)(シグマ アルドリッチ社)を再度添加した。添加後、氷浴を外し室温にて攪拌した。薄層クロマトグラフィ−で反応の進行を確認した後、テトラヒドロフラン(和光純薬工業株式会社)を減圧留去した。得られた残渣を酢酸エチル(和光純薬工業株式会社)にて洗浄した後、塩酸にてpHを2以下に調整した。溶液をろ過後、濾液を濃縮し、メタノ−ル(和光純薬工業株式会社)を添加した。析出した結晶を濾別後、水で懸洗した。結晶をろ過し、濾取した結晶を60℃にて乾燥し、上記構造を有する化合物7 1.95(g)(6.47mmol)を得た。
【0079】
<化合物7の物理恒数>
H−NMR(DMSO−d):δ 2.12(2H、m)、2.35(3H、s)、2.57(2H、t)、4.37(1H、m)、7.26(2H、d)、7.79(2H、d)、9.02(1H、d).
FAB−MS(negative ion mode):M/z=300([M−H]
【0080】
<本発明の前記一般式(2)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩>
本発明の皮膚外用剤は、1)前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と、2)前記一般式(2)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩とを含有することを特徴とする。本発明の前記一般式(2)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と共に皮膚外用剤に含有させることにより、優れた色素沈着予防又は改善効果を発揮する。また、前記一般式(2)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩の内、好ましいものとしては、前記一般式(6)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩、並びに、前記一般式(7)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来、さらに好ましいものとしては、前記一般式(8)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。また、前記一般式(2)に表される化合物に付いては、その化学構造中に不斉炭素を有するため、(L)体、(D)体又はラセミ体、更には、(L)体及び(D)体が任意の混合比率であるラセミ混合物等の様々な存在形態が考えられる。本発明の前記一般式(2)に表される化合物は、(D)体、(L)体、ラセミ体、ラセミ混合物等の存在可能な形態を全て包含する。また、前記一般式(2)に表される化合物及びその光学異性体の内、特に好ましいものとしては、(L)体が好適に例示出来る。これは、色素沈着予防又は改善作用の薬効面、安全性面などの性質に優れるためである。また、本発明の前記一般式(2)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩の1種又は2種以上を選択し、本発明の皮膚外用剤に含有させることが出来る。
【0081】
ここで前記一般式(2)に表される化合物に付いて述べれば、式中、R4は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、R5は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル鎖を有するアシル基を表し、R6は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。
前記R4は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、具体例を挙げれば、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロピルオキシフェニル基、ブチルオキシフェニル基、N−メチルアミノフェニル基、N−エチルアミノフェニル基、N−プロピルアミノフェニル基、N−ブチルアミノフェニル基、N,N−ジメチルアミノフェニル基、N,N−ジエチルアミノフェニル基、N,N−ジプロピルアミノフェニル基、N,N−ジブチルアミノフェニル基、アセチルフェニル基、プロピオニルフェニル基、ブチリルフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、プロピルオキシカルボニルフェニル基、ブチルオキシカルボニルフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、アミノフェニル基、ピリジル基、メチルピリジル基、エチルピリジル基、プロピルピリジル基、ブチルピリジル基、メトキシピリジル基、エトキシピリジル基、プロピルオキシピリジル基、ブチルオキシピリジル基、N−メチルアミノピリジル基、N−エチルアミノピリジル基、N−プロピルアミノピリジル基、N−ブチルアミノピリジル基、N,N−ジメチルアミノピリジル基、N,N−ジエチルアミノピリジル基、N,N−ジプロピルアミノピリジル基、N,N−ジブチルアミノピリジル基、アセチルピリジル基、プロピオニルピリジル基、ブチリルピリジル基、メトキシカルボニルピリジル基、エトキシカルボニルピリジル基、プロピルオキシカルボニルピリジル基、ブチルオキシカルボニルピリジル基、フルオロピリジル基、クロロピリジル基、ブロモピリジル基、トリフルオロメチルピリジル基、ヒドロキシピリジル基、アミノピリジル基、ナフチル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基、プロピルナフチル基、ブチルナフチル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基、プロピルオキシナフチル基、ブチルオキシナフチル基、N−メチルアミノナフチル基、N−エチルアミノナフチル基、N−プロピルアミノナフチル基、N−ブチルアミノナフチル基、N,N−ジメチルアミノナフチル基、N,N−ジエチルアミノナフチル基、N,N−ジプロピルアミノナフチル基、N,N−ジブチルアミノナフチル基、アセチルナフチル基、プロピオニルナフチル基、ブチリルナフチル基、メトキシカルボニルナフチル基、エトキシカルボニルナフチル基、プロピルオキシカルボニルナフチル基、ブチルオキシカルボニルナフチル基、フルオロナフチル基、クロロナフチル基、ブロモナフチル基、トリフルオロメチルナフチル基、ヒドロキシナフチル基、アミノナフチル基、ビフェニル基、メチルビフェニル基、エチルビフェニル基、プロピルビフェニル基、ブチルビフェニル基、メトキシビフェニル基、エトキシビフェニル基、プロピルオキシビフェニル基、ブチルオキシビフェニル基、N−メチルアミノビフェニル基、N−エチルアミノビフェニル基、N−プロピルアミノビフェニル基、Nブチルアミノビフェニル基、N,N−ジメチルアミノビフェニル基、N,N−ジエチルアミノビフェニル基、N,N−ジプロピルアミノビフェニル基、N,N−ジブチルアミノビフェニル基、アセチルビフェニル基、プロピオニルビフェニル基、ブチリルビフェニル基、メトキシカルボニルビフェニル基、エトキシカルボニルビフェニル基、プロピルオキシカルボニルビフェニル基、ブチルオキシカルボニルビフェニル基、フルオロビフェニル基、クロロビフェニル基、ブロモビフェニル基、トリフルオロメチルビフェニル基、ヒドロキシビフェニル基、アミノビフェニル基等が好適に例示出来、これらの内、好ましいものとしては、メチルフェニル基、エチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基が好適に例示出来、さらに好ましくは、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、フェニル基、2−ナフチル基、4−ビフェニル基が好適に例示出来る。前記一般式(2)に表される化合物の内、前記R4が、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、フェニル基、2−ナフチル基、4−ビフェニル基である化合物は、特に、色素沈着予防又は改善効果に優れる。前記の芳香族環上の置換基の数は、0〜3が好適に例示出来、より好ましくは、0又は1であり、芳香族環上の置換基は、それぞれ独立に存在することが出来る。また、前記の芳香族環上の置換基の置換位置としては、特段の限定はないが、より好ましくは、芳香族環上のセリン構造が結合したアミド結合に対しパラ位が好ましい。前記R5は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル鎖を有するアシル基を表し、具体例を挙げれば、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等が好適に例示出来、より好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、アセチル基が好適に例示出来る。前記一般式(2)に表される化合物の内、前記R5が水素原子、メチル基、エチル基、アセチル基である化合物は、特に、色素沈着予防又は改善効果に優れる。前記R6は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、具体例を挙げれば、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソブチル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が好適に例示出来、より好ましくは、水素原子、メチル基が好適に例示出来る。前記一般式(2)に表される化合物の内、前記R6が水素原子、メチル基である化合物は、特に、色素沈着予防又は改善効果に優れる。
前記一般式(2)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩の内、好ましいものとしては、前記一般式(6)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩、並びに、前記一般式(7)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来、さらに好ましくは、前記一般式(8)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。前記一般式(2)に表される化合物に関し、好ましい化合物を具体的に例示すれば、N−(メチルベンゾイル)セリン、N−(エチルベンゾイル)セリン、N−(メトキシベンゾイル)セリン、N−(フルオロベンゾイル)セリン、N−(トリフルオロメチルベンゾイル)セリン、N−(ナフトイル)セリン、N−(フェニルベンゾイル)セリン、N−(ベンゾイル)セリン、N−(メチルベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(ナフトイル)セリン メチルエステル、N−ベンゾイル−O−メチルセリン、N−(メチルベンゾイル)−O−メチルセリン、N−(メチルベンゾイル)−O−アセチルセリン、N−(ナフトイル)−O−メチルセリン、N−ベンゾイル−DL−O−メチルセリン、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来、さらに好ましくは、N−(p−メチルベンゾイル)セリン(化合物8)、N−(p−エチルベンゾイル)セリン(化合物9)、N−(p−メトキシベンゾイル)セリン(化合物10)、N−(p−フルオロベンゾイル)セリン(化合物11)、N−(p−トリフルオロメチルベンゾイル)セリン(化合物12)、N−(2−ナフトイル)セリン(化合物13)、N−(4−フェニルベンゾイル)セリン(化合物14)、N−(ベンゾイル)セリン(化合物15)、N−(p−メチルベンゾイル)セリン メチルエステル(化合物16)、N−(2−ナフトイル)セリン メチルエステル(化合物17)、N−ベンゾイル−O−メチルセリン(化合物18)、N−(p−メチルベンゾイル)−O−メチルセリン(化合物19)、N−(p−メチルベンゾイル)−O−アセチルセリン(化合物20)、N−(2−ナフトイル)−O−メチルセリン(化合物21)、その光学異性体及び/又はそれの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。前記一般式(2)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と共に皮膚外用剤に含有させることにより、優れた色素沈着予防又は改善効果を発揮する。また、前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩、並びに、前記一般式(2)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩を含有する皮膚外用剤が有する色素沈着予防又は改善作用は、両成分を皮膚外用剤に含有させたことによる薬理学的な効果、更には、かかる薬学的な効果の増強作用によるものと考えられる。さらに、前記一般式(2)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、天然のアミノ酸の誘導体であり、化合物自身が高い安全性を有する。加えて、皮膚外用剤に含有させた場合にも、皮膚感作性及び刺激性等において高い安全性を有する。また、前記一般式(2)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、皮膚外用剤の製造に使用される汎用的な極性又は非極性媒体への溶解性が高く、多様な形態の皮膚外用剤の製造が可能であり、その製造も容易である。
【0082】
ここで前記一般式(6)に表される化合物に付いて述べれば、式中、R13は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、R14は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル鎖を有するアシル基を表す。前記R13は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、前記一般式(2)に表される化合物の置換基R4と同様の置換基が好適に例示出来、好ましいものとしては、メチルフェニル基、エチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基が好適に例示出来、さらに好ましくは、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、フェニル基、2−ナフチル基、4−ビフェニル基が好適に例示出来る。前記一般式(6)に表される化合物の内、前記R13が、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、フェニル基、2−ナフチル基、4−ビフェニル基である化合物は、特に、色素沈着予防又は改善効果に優れる。前記の芳香族環上の置換基の数は、0〜3が好適に例示出来、より好ましくは、0又は1であり、芳香族環上の置換基は、それぞれ独立に存在することが出来る。また、前記の芳香族環上の置換基の置換位置としては、特段の限定はないが、より好ましくは、パラ位が好ましい。また、前記R14は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル鎖を有するアシル基を表し、具体例を挙げれば、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等が好適に例示出来、より好ましくは、水素原子、メチル基、アセチル基が好適に例示出来る。前記一般式(6)に表される化合物の内、前記R14が、水素原子、メチル基、アセチル基である化合物は、特に、色素沈着予防又は改善効果に優れる。
前記一般式(6)に表される化合物の内、前記一般式(8)に表される化合物に含まれない化合物を具体的に例示すれば、N−ベンゾイル−O−メチルセリン、N−(メチルベンゾイル)−O−メチルセリン、N−(エチルベンゾイル)−O−メチルセリン、N−(プロピルベンゾイル)−O−メチルセリン、N−(メトキシベンゾイル)−O−メチルセリン、N−(エトキシベンゾイル)−O−メチルセリン、N−(プロピルオキシベンゾイル)−O−メチルセリン、N−(ヒドロキシベンゾイル)−O−メチルセリン、N−(アミノベンゾイル)−O−メチルセリン、N−(ブロモベンゾイル)−O−メチルセリン、N−(クロロベンゾイル)−O−メチルセリン、N−(フルオロベンゾイル)−O−メチルセリン、N−(トリフルオロメチルベンゾイル)−O−メチルセリン、N−(ピリジンカルボニル)−O−メチルセリン、N−(メチルピリジンカルボニル)−O−メチルセリン、N−(エチルピリジンカルボニル)−O−メチルセリン、N−(メトキシピリジンカルボニル)−O−メチルセリン、N−(エトキシピリジンカルボニル)−O−メチルセリン、N−(ナフトイル)−O−メチルセリン、N−(メチルナフトイル)−O−メチルセリン、N−(エチルナフトイル)−O−メチルセリン、N−(メトキシナフトイル)−O−メチルセリン、N−(エトキシナフトイル)−O−メチルセリン、N−(ビフェニルカルボニル)−O−メチルセリン、N−(メチルビフェニルカルボニル)−O−メチルセリン、N−(エチルビフェニルカルボニル)−O−メチルセリン、N−(メトキシビフェニルカルボニル)−O−メチルセリン、N−(エトキシビフェニルカルボニル)−O−メチルセリン、N−ベンゾイル−O−エチルセリン、N−(メチルベンゾイル)−O−エチルセリン、N−(エチルベンゾイル)−O−エチルセリン、N−(プロピルベンゾイル)−O−エチルセリン、N−(メトキシベンゾイル)−O−エチルセリン、N−(エトキシベンゾイル)−O−エチルセリン、N−(プロピルオキシベンゾイル)−O−エチルセリン、N−(ヒドロキシベンゾイル)−O−エチルセリン、N−(アミノベンゾイル)−O−エチルセリン、N−(ブロモベンゾイル)−O−エチルセリン、N−(クロロベンゾイル)−O−エチルセリン、N−(フルオロベンゾイル)−O−エチルセリン、N−(トリフルオロメチルベンゾイル)−O−エチルセリン、N−(ピリジンカルボニル)−O−エチルセリン、N−(メチルピリジンカルボニル)−O−エチルセリン、N−(エチルピリジンカルボニル)−O−エチルセリン、N−(メトキシピリジンカルボニル)−O−エチルセリン、N−(エトキシピリジンカルボニル)−O−エチルセリン、N−(ナフトイル)−O−エチルセリン、N−(メチルナフトイル)−O−エチルセリン、N−(エチルナフトイル)−O−エチルセリン、N−(メトキシナフトイル)−O−エチルセリン、N−(エトキシナフトイル)−O−エチルセリン、N−(ビフェニルカルボニル)−O−エチルセリン、N−(メチルビフェニルカルボニル)−O−エチルセリン、N−(エチルビフェニルカルボニル)−O−エチルセリン、N−(メトキシビフェニルカルボニル)−O−エチルセリン、N−(エトキシビフェニルカルボニル)−O−エチルセリン、N−ベンゾイル−O−アセチルセリン、N−(メチルベンゾイル)−O−アセチルセリン、N−(エチルベンゾイル)−O−アセチルセリン、N−(プロピルベンゾイル)−O−アセチルセリン、N−(メトキシベンゾイル)−O−アセチルセリン、N−(エトキシベンゾイル)−O−アセチルセリン、N−(プロピルオキシベンゾイル)−O−アセチルセリン、N−(ヒドロキシベンゾイル)−O−アセチルセリン、N−(アミノベンゾイル)−O−アセチルセリン、N−(ブロモベンゾイル)−O−アセチルセリン、N−(クロロベンゾイル)−O−アセチルセリン、N−(フルオロベンゾイル)−O−アセチルセリン、N−(トリフルオロメチルベンゾイル)−O−アセチルセリン、N−(ピリジンカルボニル)−O−アセチルセリン、N−(メチルピリジンカルボニル)−O−アセチルセリン、N−(エチルピリジンカルボニル)−O−アセチルセリン、N−(メトキシピリジンカルボニル)−O−アセチルセリン、N−(エトキシピリジンカルボニル)−O−アセチルセリン、N−(ナフトイル)−O−アセチルセリン、N−(メチルナフトイル)−O−アセチルセリン、N−(エチルナフトイル)−O−アセチルセリン、N−(メトキシナフトイル)−O−アセチルセリン、N−(エトキシナフトイル)−O−アセチルセリン、N−(ビフェニルカルボニル)−O−アセチルセリン、N−(メチルビフェニルカルボニル)−O−アセチルセリン、N−(エチルビフェニルカルボニル)−O−アセチルセリン、N−(メトキシビフェニルカルボニル)−O−アセチルセリン、N−(エトキシビフェニルカルボニル)−O−アセチルセリン、N−ベンゾイル−O−プロピオニルセリン、N−(メチルベンゾイル)−O−プロピオニルセリン、N−(エチルベンゾイル)−O−プロピオニルセリン、N−(プロピルベンゾイル)−O−プロピオニルセリン、N−(メトキシベンゾイル)−O−プロピオニルセリン、N−(エトキシベンゾイル)−O−プロピオニルセリン、N−(プロピルオキシベンゾイル)−O−プロピオニルセリン、N−(ヒドロキシベンゾイル)−O−プロピオニルセリン、N−(アミノベンゾイル)−O−プロピオニルセリン、N−(ブロモベンゾイル)−O−プロピオニルセリン、N−(クロロベンゾイル)−O−プロピオニルセリン、N−(フルオロベンゾイル)−O−プロピオニルセリン、N−(トリフルオロメチルベンゾイル)−O−プロピオニルセリン、N−(ピリジンカルボニル)−O−プロピオニルセリン、N−(メチルピリジンカルボニル)−O−プロピオニルセリン、N−(エチルピリジンカルボニル)−O−プロピオニルセリン、N−(メトキシピリジンカルボニル)−O−プロピオニルセリン、N−(エトキシピリジンカルボニル)−O−プロピオニルセリン、N−(ナフトイル)−O−プロピオニルセリン、N−(メチルナフトイル)−O−プロピオニルセリン、N−(エチルナフトイル)−O−プロピオニルセリン、N−(メトキシナフトイル)−O−プロピオニルセリン、N−(エトキシナフトイル)−O−プロピオニルセリン、N−(ビフェニルカルボニル)−O−プロピオニルセリン、N−(メチルビフェニルカルボニル)−O−プロピオニルセリン、N−(エチルビフェニルカルボニル)−O−プロピオニルセリン、N−(メトキシビフェニルカルボニル)−O−プロピオニルセリン、N−(エトキシビフェニルカルボニル)−O−プロピオニルセリン、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。前記一般式(6)に表される化合物の内、より好ましい化合物を挙げれば、N−(メチルベンゾイル)セリン、N−(エチルベンゾイル)セリン、N−(メトキシベンゾイル)セリン、N−(フルオロベンゾイル)セリン、N−(トリフルオロメチルベンゾイル)セリン、N−(ナフトイル)セリン、N−(フェニルベンゾイル)セリン、N−(ベンゾイル)セリン、N−ベンゾイル−O−メチルセリン、N−(メチルベンゾイル)−O−メチルセリン、N−(メチルベンゾイル)−O−アセチルセリン、N−(ナフトイル)−O−メチルセリン、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来、さらに好ましくは、N−(p−メチルベンゾイル)セリン(化合物8)、N−(p−エチルベンゾイル)セリン(化合物9)、N−(p−メトキシベンゾイル)セリン(化合物10)、N−(p−フルオロベンゾイル)セリン(化合物11)、N−(p−トリフルオロメチルベンゾイル)セリン(化合物12)、N−(2−ナフトイル)セリン(化合物13)、N−(4−フェニルベンゾイル)セリン(化合物14)、N−(ベンゾイル)セリン(化合物15)、N−ベンゾイル−O−メチルセリン(化合物18)、N−(p−メチルベンゾイル)−O−メチルセリン(化合物19)、N−(p−メチルベンゾイル)−O−アセチルセリン(化合物20)、N−(2−ナフトイル)−O−メチルセリン(化合物21)、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。前記一般式(6)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と共に皮膚外用剤に含有させることにより、優れた色素沈着予防又は改善効果を発揮する。また、前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩、並びに、前記一般式(6)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩を含有する皮膚外用剤が有する色素沈着予防又は改善作用は、両成分を皮膚外用剤に含有させたことによる薬理学的な効果、更には、かかる薬学的な効果の増強作用によるものと考えられる。さらに、前記一般式(6)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、天然のアミノ酸の誘導体であり、化合物自身が高い安全性を有する。加えて、皮膚外用剤に含有させた場合にも、皮膚感作性及び刺激性等において高い安全性を有する。また、前記一般式(6)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、皮膚外用剤の製造に使用される汎用的な極性又は非極性媒体への溶解性が高く、多様な形態の皮膚外用剤の製造が可能であり、その製造も容易である。
【0083】
ここで前記一般式(7)に表される化合物に付いて述べれば、式中、R15は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、R16は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。前記R15は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、前記一般式(2)に表される化合物の置換基R4と同様の置換基が好適に例示出来、好ましいものとしては、メチルフェニル基、エチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基が好適に例示出来、さらに好ましくは、さらに好ましくは、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、フェニル基、2−ナフチル基、4−ビフェニル基が好適に例示出来る。前記一般式(7)に表される化合物の内、前記R15が、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、フェニル基、2−ナフチル基、4−ビフェニル基である化合物は、特に、色素沈着予防又は改善効果に優れる。前記の芳香族環上の置換基の数は、0〜3が好適に例示出来、より好ましくは、0又は1であり、芳香族環上の置換基は、それぞれ独立に存在することが出来る。また、前記の芳香族環上の置換基の置換位置としては、特段の限定はないが、より好ましくは、パラ位が好ましい。
また、前記R16は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、具体例を挙げれば、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が好適に例示出来、より好ましくは、水素原子、メチル基が好適に例示出来る。前記一般式(7)に表される化合物の内、前記R16が、水素原子、メチル基である化合物は、特に、色素沈着予防又は改善効果に優れる。
【0084】
前記一般式(7)に表される化合物の内、前記一般式(8)に表される化合物に含まれない化合物を具体的に例示すれば、N−(ベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(メチルベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(エチルベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(プロピルベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(メトキシベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(エトキシベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(プロピルオキシベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(ヒドロキシベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(アミノベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(クロロベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(フルオロベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(トリフルオロメチルベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(ピリジンカルボニル)セリン メチルエステル、N−(メチルピリジンカルボニル)セリン メチルエステル、N−(エチルピリジンカルボニル)セリン メチルエステル、N−(メトキシピリジンカルボニル)セリン メチルエステル、N-(エトキシピリジンカルボニル)セリン メチルエステル、N−(ナフトイル)セリン メチルエステル、N−(メチルナフトイル)セリン メチルエステル、N−(エチルナフトイル)セリン メチルエステル、N−(メトキシナフトイル)セリン メチルエステル、N−(エトキシナフトイル)セリン メチルエステル、N−(フェニルベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(メチルフェニルベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(エチルフェニルベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(メトキシフェニルベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(エトキシフェニルベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(ベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(メチルベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(エチルベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(プロピルベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(メトキシベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(エトキシベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(プロピルオキシベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(ヒドロキシベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(アミノベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(クロロベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(フルオロベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(トリフルオロメチルベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(ピリジンカルボニル)セリン エチルエステル、N−(メチルピリジンカルボニル)セリン エチルエステル、N−(エチルピリジンカルボニル)セリン エチルエステル、N−(メトキシピリジンカルボニル)セリン エチルエステル、N-(エトキシピリジンカルボニル)セリン エチルエステル、N−(ナフトイル)セリン エチルエステル、N−(メチルナフトイル)セリン エチルエステル、N−(エチルナフトイル)セリン エチルエステル、N−(メトキシナフトイル)セリン エチルエステル、N−(エトキシナフトイル)セリン エチルエステル、N−(フェニルベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(メチルフェニルベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(エチルフェニルベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(メトキシフェニルベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(エトキシフェニルベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(ベンゾイル)セリン プロピルエステル、N−(メチルベンゾイル)セリン プロピルエステル、N−(エチルベンゾイル)セリン プロピルエステル、N−(プロピルベンゾイル)セリン プロピルエステル、N−(メトキシベンゾイル)セリン プロピルエステル、N−(エトキシベンゾイル)セリン プロピルエステル、N−(プロピルオキシベンゾイル)セリン プロピルエステル、N−(ヒドロキシベンゾイル)セリン プロピルエステル、N−(アミノベンゾイル)セリン プロピルエステル、N−(クロロベンゾイル)セリン プロピルエステル、N−(フルオロベンゾイル)セリン プロピルエステル、N−(トリフルオロメチルベンゾイル)セリン プロピルエステル、N−(ピリジンカルボニル)セリン プロピルエステル、N−(メチルピリジンカルボニル)セリン プロピルエステル、N−(エチルピリジンカルボニル)セリン プロピルエステル、N−(メトキシピリジンカルボニル)セリン プロピルエステル、N-(エトキシピリジンカルボニル)セリン プロピルエステル、N−(ナフトイル)セリン プロピルエステル、N−(メチルナフトイル)セリン プロピルエステル、N−(エチルナフトイル)セリン プロピルエステル、N−(メトキシナフトイル)セリン プロピルエステル、N−(エトキシナフトイル)セリン プロピルエステル、N−(フェニルベンゾイル)セリン プロピルエステル、N−(メチルフェニルベンゾイル)セリン プロピルエステル、N−(エチルフェニルベンゾイル)セリン プロピルエステル、N−(メトキシフェニルベンゾイル)セリン プロピルエステル、N−(エトキシフェニルベンゾイル)セリン プロピルエステル、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。前記一般式(7)に表される化合物の内、このましい化合物を挙げれば、N−(メチルベンゾイル)セリン、N−(エチルベンゾイル)セリン、N−(メトキシベンゾイル)セリン、N−(フルオロベンゾイル)セリン、N−(トリフルオロメチルベンゾイル)セリン、N−(ナフトイル)セリン、N−(フェニルベンゾイル)セリン、N−(ベンゾイル)セリン、N−(メチルベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(ナフトイル)セリン メチルエステル、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来、さらに好ましくは、N−(p−メチルベンゾイル)セリン(化合物8)、N−(p−エチルベンゾイル)セリン(化合物9)、N−(p−メトキシベンゾイル)セリン(化合物10)、N−(p−フルオロベンゾイル)セリン(化合物11)、N−(p−トリフルオロメチルベンゾイル)セリン(化合物12)、N−(2−ナフトイル)セリン(化合物13)、N−(4−フェニルベンゾイル)セリン(化合物14)、N−(ベンゾイル)セリン(化合物15)、N−(p−メチルベンゾイル)セリン メチルエステル(化合物16)、N−(2−ナフトイル)セリン メチルエステル(化合物17)、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。前記一般式(7)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と共に皮膚外用剤に含有させることにより、優れた色素沈着予防又は改善効果を発揮する。また、前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩、並びに、前記一般式(7)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩を含有する皮膚外用剤が有する色素沈着予防又は改善作用は、両成分を皮膚外用剤に含有させたことによる薬理学的な効果、更には、かかる薬学的な効果の増強作用によるものと考えられる。さらに、前記一般式(7)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、天然のアミノ酸の誘導体であり、化合物自身が高い安全性を有する。加えて、皮膚外用剤に含有させた場合にも、皮膚感作性及び刺激性等において高い安全性を有する。また、前記一般式(7)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、皮膚外用剤の製造に使用される汎用的な極性又は非極性媒体への溶解性が高く、多様な形態の皮膚外用剤の製造が可能であり、その製造も容易である。
【0085】
ここで前記一般式(8)に表される化合物に付いて述べれば、式中、R17は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表す。前記R17は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、前記一般式(2)に表される化合物の置換基R4と同様の置換基が好適に例示出来、好ましいものとしては、メチルフェニル基、エチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基が好適に例示出来、さらに好ましくは、さらに好ましくは、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、フェニル基、2−ナフチル基、4−ビフェニル基が好適に例示出来る。前記の芳香族環上の置換基の数は、0〜3が好適に例示出来、より好ましくは、0又は1であり、芳香族環上の置換基は、それぞれ独立に存在することが出来る。また、前記の芳香族環上の置換基の置換位置としては、特段の限定はないが、より好ましくは、パラ位が好ましい。
【0086】
前記一般式(8)に表される化合物の内、好ましい化合物を具体的に例示すれば、N−(ベンゾイル)セリン、N−(メチルベンゾイル)セリン、N−(エチルベンゾイル)セリン、N−(プロピルベンゾイル)セリン、N−(ブチルベンゾイル)セリン、N−(メトキシベンゾイル)セリン、N−(エトキシベンゾイル)セリン、N−(プロピルオキシベンゾイル)セリン、N−(ブチルオキシベンゾイル)セリン、N−(ヒドロキシベンゾイル)セリン、N−(アミノベンゾイル)セリン、N−(N’−メチルアミノベンゾイル)セリン、N−(N’−エチルアミノベンゾイル)セリン、N−(N’,N’−ジメチルアミノベンゾイル)セリン、N−(N’,N’−ジエチルアミノベンゾイル)セリン、N−(クロロベンゾイル)セリン、N−(フルオロベンゾイル)セリン、N−(トリフルオロメチルベンゾイル)セリン、N−(ピリジンカルボニル)セリン、N−(メチルピリジンカルボニル)セリン、N−(エチルピリジンカルボニル)セリン、N−(プロピルピリジンカルボニル)セリン、N−(メトキシピリジンカルボニル)セリン、N−(エトキシピリジンカルボニル)セリン、N−(プロピルオキシピリジンカルボニル)セリン、N−(ヒドロキシピリジンカルボニル)セリン、N−(アミノピリジンカルボニル)セリン、N−(クロロピリジンカルボニル)セリン、N−(フルオロピリジンカルボニル)セリン、N−(トリフルオロメチルピリジンカルボニル)セリン、N−(ナフトイル)セリン、N−(メチルナフトイル)セリン、N−(エチルナフトイル)セリン、N−(プロピルナフトイル)セリン、N−(メトキシナフトイル)セリン、N−(エトキシナフトイル)セリン、N−(プロピルオキシナフトイル)セリン、N−(ヒドロキシナフトイル)セリン、N−(アミノナフトイル)セリン、N−(クロロナフトイル)セリン、N−(フルオロナフトイル)セリン、N−(トリフルオロメチルナフトイル)セリン、N−(フェニルベンゾイル)セリン、N−(メチルフェニルベンゾイル)セリン、N−(エチルフェニルベンゾイル)セリン、N−(プロピルフェニルベンゾイル)セリン、N−(メトキシフェニルベンゾイル)セリン、N−(エトキシフェニルベンゾイル)セリン、N−(プロピルオキシフェニルベンゾイル)セリン、N−(ヒドロキシフェニルベンゾイル)セリン、N−(アミノフェニルベンゾイル)セリン、N−(クロロフェニルベンゾイル)セリン、N−(フルオロフェニルベンゾイル)セリン、N−(トリフルオロメチルフェニルベンゾイル)セリン、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来、より好ましくは、N−(メチルベンゾイル)セリン、N−(エチルベンゾイル)セリン、N−(メトキシベンゾイル)セリン、N−(フルオロベンゾイル)セリン、N−(トリフルオロメチルベンゾイル)セリン、N−(ナフトイル)セリン、N−(フェニルベンゾイル)セリン、N−(ベンゾイル)セリン、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来、さらに好ましくは、N−(p−メチルベンゾイル)セリン(化合物8)、N−(p−エチルベンゾイル)セリン(化合物9)、N−(p−メトキシベンゾイル)セリン(化合物10)、N−(p−フルオロベンゾイル)セリン(化合物11)、N−(p−トリフルオロメチルベンゾイル)セリン(化合物12)、N−(2−ナフトイル)セリン(化合物13)、N−(4−フェニルベンゾイル)セリン(化合物14)、N−(ベンゾイル)セリン(化合物15)、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。前記一般式(8)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と共に皮膚外用剤に含有させることにより、優れた色素沈着予防又は改善効果を発揮する。また、前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩、並びに、前記一般式(8)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩を含有する皮膚外用剤が有する色素沈着予防又は改善作用は、両成分を皮膚外用剤に含有させたことによる薬理学的な効果、更には、かかる薬学的な効果の増強作用によるものと考えられる。さらに、前記一般式(8)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、天然のアミノ酸の誘導体であり、化合物自身が高い安全性を有する。加えて、皮膚外用剤に含有させた場合にも、皮膚感作性及び刺激性等において高い安全性を有する。また、前記一般式(8)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、皮膚外用剤の製造に使用される汎用的な極性又は非極性媒体への溶解性が高く、多様な形態の皮膚外用剤の製造が可能であり、その製造も容易である。
【0087】
前記一般式(2)、前記一般式(6)〜(8)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、市販されているセリン又はセリン誘導体を出発原料とし、下記の製造方法に従い合成することも出来るし、「ペプチド合成の基礎と実験(丸善)」等に記載の方法に従い、製造することも出来る。かかる化合物は、そのまま本発明の皮膚外用剤に含有させ使用することも出来るが、薬理学的に許容される酸又は塩基と共に処理し塩の形に変換し、塩として使用することも可能である。例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩などの鉱酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩などの有機酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、トリエチルアミン塩、トリエタノ−ルアミン塩、アンモニウム塩、モノエタノ−ルアミン塩、ピペリジン塩等の有機アミン塩、リジン塩、アルギン酸塩等の塩基性アミノ酸塩などが好適に例示出来る。
【0088】
斯くして得られた一般式(2)、前記一般式(6)〜(8)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、前述した前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と共に皮膚外用剤に含有させることにより、優れた色素沈着予防又は改善効果を発揮する。また、本発明の皮膚外用剤は、前記一般式(2)に表される化合物、前記一般式(6)〜(8)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩から選択される1種又は2種以上を皮膚外用剤に含有させることが出来る。本発明の皮膚外用剤が、前記の作用を奏するには、前記一般式(2)、前記一般式(6)〜(8)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩から選択される1種又は2種以上を、皮膚外用剤全量に対して、総量で0.0001質量%〜20質量%、より好ましくは、0.001質量%〜10質量%、さらに好ましくは、0.005〜5質量%含有することが好ましい。これは、皮膚外用剤全量に対する前記一般式(2)、前記一般式(6)〜(8)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩の含有量が0.0001質量%より少ないと色素沈着予防又は改善作用が低下する傾向にあり、また20質量%を超える量を配合しても、効果が頭打ちになる傾向にあるため、処方の自由度が低下する恐れがあり、前記の皮膚外用剤全量に対する前記の含有量が好ましい。
【0089】
【化37】

N−(p−メチルベンゾイル)−L−セリン (化合物8のL体)
【0090】
<製造例8: N−(p−メチルベンゾイル)−L−セリン(化合物8のL体)の製造方法>
[工程1] p−メチルベンゾイルクロリドの合成
十分に乾燥させたナスフラスコにp−トルイル酸(100g、0.734mol)(東京化成工業株式会社)とトルエン(500mL)(和光純薬工業株式会社)を入れ、p−トルイル酸を溶解させた。この溶液に塩化チオニル(132.4mL、 1.84mol)(和光純薬工業株式会社)を1時間掛け滴下した。滴下後、2時間加熱還流を行った。反応後、室温まで冷却した後、ロ−タリ−エバポレ−タで残存する塩化チオニル及びトルエンを留去した。濃縮液にトルエン(200mL)を添加し、濃縮を2回繰り返した。最終的に得られた残渣をテトラヒドロフラン(200mL)(和光純薬工業株式会社)に溶解し、次工程に付した。
[工程2] N−(p−メチルベンゾイル)−L−セリンの合成
ナスフラスコにL−セリン(100g、0.952mol)(和光純薬工業株式会社)、炭酸カリウム(131.5g、0.952mol)(和光純薬工業株式会社)、水(1L)を入れ、激しく撹拌した。この溶液に、工程1で調製したp−メチルベンゾイルクロリドをテトラヒドロフラン(和光純薬工業株式会社)に溶解し、30分掛けて滴下した。途中、炭酸カリウムを追添加しながら、pH8付近を維持した。滴下終了後、1時間撹拌した。反応液を別容器に準備した水(1L)に添加後、塩酸にてpH3以下にし、4℃に冷却した。析出した結晶をろ過した後、エタノ−ル(和光純薬工業株式会社)/水=6/4の混合溶媒にて再結晶し、目的物を106.0g(収率 64.7%)で得た。
【0091】
<化合物8のL体の物理恒数>
H−NMR(d−DMSO):δ 2.36(3H、s)、3.80(2H、d)、4.47(1H、q)、7.29(2H、d)、7.80(2H、d)、8.29(1H、d).
【0092】
【化38】

N−(p−メチルベンゾイル)−DL−セリン (化合物8のラセミ体)
【0093】
<製造例9: N−(p−メチルベンゾイル)−DL−セリン(化合物8のラセミ体)の製造方法>
p−トルイル酸(東京化成工業株式会社)及びDL−セリン(株式会社ペプチド研究所)を用い、前記化合物8のL体と同様の方法に従い、化合物8を合成した。
【0094】
<化合物8のラセミ体の物理恒数>
H−NMR(d−DMSO):δ 2.36(3H、s)、3.68(2H、m)、4.19(1H、m)、7.26(2H、d)、7.76(2H、d)、8.07(1H、d).
【0095】
【化39】

N−(p−メチルベンゾイル)−D−セリン (化合物8のD体)
【0096】
<製造例10: N−(p−メチルベンゾイル)−D−セリン(化合物8のD体)の製造方法>
p−トルイル酸(東京化成工業株式会社)及びD−セリン(株式会社ペプチド研究所)を用い、前記化合物8のL体と同様の方法に従い、化合物8のD体を合成した。
【0097】
<化合物8のD体の物理恒数>
H−NMR(d−DMSO):δ 2.36(3H、s)、3.80(2H、d)、4.47(1H、q)、7.29(2H、d)、7.80(2H、d)、8.29(1H、d).
【0098】
【化40】

N−(4−エチルベンゾイル)−L−セリン(化合物9のL体)
【0099】
<製造例11: 化合物9のL体の製造方法>
p−エチルベンゾイルクロリド(和光純薬工業株式会社)及びL−セリン(株式会社ペプチド研究所)を用い、前記化合物8のL体と同様の方法に従い、化合物9のL体を合成した。
【0100】
<化合物9のL体の物理恒数>
H−NMR(CDOD):δ 1.27(3H、t)、2.73(3H、q)、4.02(2H、m)、4.72(1H、m)、7.34(2H、d)、7.82(2H、d).
【0101】
【化41】

N−(4−メトキシベンゾイル)−L−セリン(化合物10のL体)
【0102】
<製造例12: 化合物10のL体の製造方法>
p−メトキシベンゾイルクロリド(東京化成工業株式会社)及びL−セリン(株式会社ペプチド研究所)を用い、前記化合物8のL体と同様の方法に従い、化合物10のL体を合成した。
【0103】
<化合物10のL体の物理恒数>
H−NMR(CDOD):δ 3.87(3H、s)、4.00(2H、m)、4.71(1H、m)、7.02(2H、d)、7.88(2H、d).
【0104】
【化42】

N−(4−フルオロベンゾイル)−L−セリン(化合物11のL体)
【0105】
<製造例13: 化合物11のL体の製造方法>
p−フルオロベンゾイルクロリド(和光純薬工業株式会社)及びL−セリン(株式会社ペプチド研究所)を用い、前記化合物8のL体と同様の方法に従い、化合物11のL体を合成した。
【0106】
<化合物11のL体の物理恒数>
H−NMR(CDOD):δ 4.01(2H、m)、4.71(1H、m)、7.22(2H、m)、7.96(2H、m).
【0107】
【化43】

N−(4−トリフルオロメチルベンゾイル)−L−セリン(化合物12のL体)
【0108】
<製造例14: 化合物12のL体の製造方法>
p−(トリフルオロメチル)ベンゾイルクロリド(和光純薬工業株式会社)及びL−セリン(株式会社ペプチド研究所)を用い、前記化合物8のL体と同様の方法に従い、化合物12のL体を合成した。
【0109】
<化合物12のL体の物理恒数>
H−NMR(CDOD):δ 4.02(2H、m)、4.74(1H、m)、7.81(2H、d)、8.07(2H、d).
【0110】
【化44】

N−(2−ナフトイル)−L−セリン(化合物13のL体)
【0111】
<製造例15: 化合物13のL体の製造方法>
L−セリン(2.00g、19.0mmol)(株式会社ペプチド研究所)をテトラヒドロフラン(19mL)(和光純薬工業株式会社)に分散し、氷冷下、撹拌しながら、2N 水酸化ナトリウム水溶液(19mL)を加えた。ついで、2-ナフトイルクロリド(3.64g、19.1mmol)(東京化成工業株式会社)を加えた。水浴をはずし、室温に戻して16時間撹拌後、減圧下にてテトラヒドロフランを留去した。氷冷下、撹拌しながら、塩酸(4mL)(和光純薬工業株式会社)を加え、pH2以下にした。固体を濾取し、これを水にてよく洗浄した。tert−ブチルメチルエーテル(30mL)(東京化成工業株式会社)を加え、不溶物を濾取した。これをtert−ブチルメチルエ−テルにて徹底的に洗浄した。更に、tert−ブチルメチルエ−テル:酢酸エチル(=4:1)及びn−ヘキサンにて順次洗浄し、化合物13のL体を2.92g(収率 59.2%)で得た。
【0112】
<化合物13のL体の物理恒数>
H−NMR(CDOD):δ 4.04(2H、m)、4.77(1H、m)、7.59(2H、m)、7.94(4H、m)、8.46(1H、s).
【0113】
【化45】

N−(4−フェニルベンゾイル)−L−セリン(化合物14のL体)
【0114】
<製造例16: 化合物14のL体の製造方法>
4−フェニルベンゾイルクロリド(和光純薬工業株式会社)及びL−セリン(株式会社ペプチド研究所)を用い、前記化合物8のL体と同様の方法に従い、化合物14のL体を合成した。
【0115】
<化合物14のL体の物理恒数>
H−NMR(CDOD):δ 4.03(2H、m)、4.75(1H、m)、7.45(3H、m)、7.73(4H、m)、7.99(2H、s)、8.37(1H、d).
【0116】
【化46】

N−(ベンゾイル)セリン(化合物15)
【0117】
<製造例17: 化合物15の合成>
DL−セリン(株式会社ペプチド研究所)及びベンゾイルクロリド(和光純薬工業株式会社)を用い、化合物8のL体と同様の方法に従い化合物15を合成した。
【0118】
【化47】

N−(4−メチルベンゾイル)−L−セリン メチルエステル(化合物16のL体)
【0119】
<製造例18: 化合物16のL体の製造方法>
L−セリンメチルエステル塩酸塩(1.55g、9.96mmol)(東京化成工業株式会社)をジクロロメタン(30mL)(和光純薬工業株式会社)に分散し、トリエチルアミン(2.25g、22.2mmol)(和光純薬工業株式会社)を加え、氷冷下、撹拌しながら、p−メトキシベンゾイルクロリド(1.78g、11.5mmol)(東京化成工業株式会社)/ジクロロメタン(5mL)溶液を3分掛けて滴下した。水浴をはずし、室温にて戻して6時間撹拌後、反応液を酢酸エチル(100mL)(和光純薬工業株式会社)にて希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(30mL)、1N塩酸(50mL)及び飽和食塩水(30mL、60mL×2)にて順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社)にて乾燥後、濾過し、濾液を減圧下にて濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:2)に付し、目的物を含むフラクションを集め、減圧下にて濃縮し、化合物16のL体を1.88g(収率 79.5%)で得た。
【0120】
<化合物16のL体の物理恒数>
H−NMR(CDCl):δ 2.41(3H、s)、2.58(1H、brs)、3.83(3H、s)、4.07(2H、m)、4.88(1H、m)、7.06(1H、d)、7.25(2H、d)、7.73(2H、d).
【0121】
【化49】

N−(2−ナフトイル)−L−セリン メチルエステル(化合物17のL体)
【0122】
<製造例19: 化合物17のL体の製造方法>
2−ナフトイルクロリド(東京化成工業株式会社)及びL−セリン メチルエステル塩酸塩(東京化成工業株式会社)を用い、前記化合物16のL体と同様の方法に従い、化合物17のL体を合成した。
【0123】
<化合物17のL体の物理恒数>
H−NMR(d−DMSO):δ 3.67(3H、s)、3.84(2H、m)、4.61(1H、m)、5.12(1H、t)、7.62(2H、m)、8.02(4H、m)、8.53(1H、s)、8.75(1H、d).
【0124】
【化50】


N−ベンゾイル−DL−O−メチルセリン(化合物18のラセミ体)
【0125】
<製造例20: 化合物18のラセミ体の製造方法>
ベンゾイルクロリド(和光純薬工業株式会社)及びDL−O−メチルセリン(東京化成工業株式会社)を用い、前記化合物8のL体と同様の方法に従い、化合物18のラセミ体を合成した。
【0126】
<化合物18のラセミ体の物理恒数>
H−NMR(d−DMSO):δ 3.28(3H、s)、3.72(2H、m)、4.63(1H、m)、7.62(2H、m)、7.51(3H、m)、7.88(2H、s)、8.58(1H、d).
【0127】
【化51】


N−(4−メチルベンゾイル)−DL−O−メチルセリン(化合物19のラセミ体)
【0128】
<製造例21: 化合物19のラセミ体の製造方法>
p−メチルベンゾイルクロリド(シグマ アルドリッチ社)及びDL−O−メチルセリン(東京化成工業株式会社)を用い、前記化合物8のL体と同様の方法に従い、化合物19のラセミ体を合成した。
【0129】
<化合物19のラセミ体の物理恒数>
H−NMR(d−DMSO):δ 2.36(3H、s)、3.28(3H、s)、3.71(2H、m)、4.63(1H、m)、7.28(2H、d)、7.80(2H、d)、8.49(1H、d).
【0130】
【化52】

N−(p−メチルベンゾイル)−0−アセチル−L−セリン (化合物20のL体)
【0131】
<製造例22: 化合物20のL体の製造方法>
p−メチルベンゾイルクロリド(シグマ アルドリッチ社)及びO−アセチル−L−セリン塩酸塩(シグマ アルドリッチ社)用い、前記化合物8のL体と同様の方法に従い、化合物20のL体を合成した。
【0132】
<化合物20のL体の物理恒数>
H−NMR(d−DMSO):δ 1.91(3H、s)、2.36(3H、s)、4.28(1H、dd)、4.46(1H、dd)、4.71(1H、m)、7.29(2H、q)、7.78(2H、q)、8.68(1H、d).
【0133】
【化53】

N−(2−ナフトイル)−DL−O−メチルセリン (化合物21のラセミ体)
【0134】
<製造例23: 化合物21のラセミ体の製造方法>
2−ナフトイルクロリド(東京化成工業株式会社)及びDL−O−メチルセリン(東京化成工業株式会社)を用い、前記化合物8のL体と同様の方法に従い、化合物21のラセミ体を合成した。
【0135】
<化合物21のラセミ体の物理恒数>
H−NMR(d−DMSO):δ 3.31(3H、s)、3.78(2H、m)、4.72(1H、m)、7.62(2H、m)、8.01(4H、m)、8.53(1H、s)、8.78(1H、d).
【0136】
<本発明の皮膚外用剤>
本発明の皮膚外用剤は、1)前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と、2)前記一般式(2)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩とを含有することを特徴とする。本発明の皮膚外用剤は、優れた色素沈着予防又は改善作用による美白効果を有する。かかる作用は、前記一般式(1)に表される化合物、及び、前記一般式(2)に表される化合物を皮膚外用剤に含有させることにより発揮される。発明者の知る限り、前記一般式(1)に表される化合物、並びに、前記一般式(2)に表される化合物に関し、色素沈着予防又は改善作用は知られていない。このため、本発明の皮膚外用剤により得られる色素沈着予防又は改善効果は、前記一般式(1)に表される化合物、若しくは、前記一般式(2)に表される化合物が有する色素沈着予防又は改善作用、前記作用の増強効果などの作用により発揮されると推察される。本発明の皮膚外用剤が有する色素沈着予防又は改善効果とは、既に形成された色素沈着を薄くする又は元の状態に戻す作用に加え、色素沈着を予防する作用も包含される。本発明における色素沈着予防又は改善作用は、色素沈着予防又は改善作用であれば特段の限定なく適用することが出来る。かかる作用の内、特に好ましいものとしては、後述する実施例2の「本発明の皮膚外用剤のヒトにおける色素沈着抑制効果1」における色素沈着予防又は改善作用が好適に例示出来る。実施例2の「本発明の皮膚外用剤のヒトにおける色素沈着抑制効果1」において、色素沈着抑制作用を有する成分としては、コントロ−ル群(評価物質無配合製剤群)と比較して、評価物質配合製剤群に色素沈着予防又は改善効果が認められる成分(コントロ−ル群に比較し、評価物質配合製剤群の△L*値が小さい成分)が好適に例示出来、さらに好ましくは、色素沈着予防又は改善効果に統計的な有意差が認められる成分が好適に例示出来る。
【0137】
また、本発明の皮膚外用剤としては、医薬品、医薬部外品、化粧品などが好適に例示出来、日常的に摂取出来ることから、化粧品、医薬部外品などに適応することが好ましい。その投与経路としては、かかる成分が連続投与される場合、さらには安全性を考慮した場合、経皮的に投与されることが好ましい。本発明の皮膚外用剤としては、皮膚に外用で適用されるものであれば、特段の限定無く使用することができ、例えば、化粧料、皮膚外用医薬、皮膚外用雑貨などが好適に例示でき、化粧料に適用することが特に好ましい。これは本発明の皮膚外用剤が、比類無き使用感の良さを有しているため、使用感が重要な化粧料に特に好適であるためである。本発明の皮膚外用剤(化粧料)としては、皮膚外用剤の形態で使用出来るものであれば特段の限定なく適用することが出来、かかる形態としては、ロ−ション製剤、水中油乳化製剤、油中水乳化製剤、複合エマルション乳化製剤等が好適に例示できる。また、本発明の皮膚外用剤としては、例えば、化粧料などのロ−ション、乳液、エッセンス、クリ−ム、パック化粧料、洗顔化粧料、クレンジング化粧料等が好ましく例示できる。さらに、前記の油中水乳化剤形の製剤としては、例えば、エッセンス、乳液、クリ−ム等の基礎化粧料、アンダ−メ−クアップ、ファンデ−ション、チ−クカラ−、マスカラ、アイライナ−などのメ−クアップ化粧料、ヘアクリ−ムなどの毛髪化粧料などが好適に例示できる。
【0138】
本発明の皮膚外用剤においては、前記の必須成分以外に、通常皮膚外用剤で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリ−ブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワ−油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パ−ム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコ−ル、ステアリルアルコ−ル、イソステアリルアルコ−ル、ベヘニルアルコ−ル、オクチルドデカノ−ル、ミリスチルアルコ−ル、セトステアリルアルコ−ル等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコ−ル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロ−ルプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロ−ルプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエ−テル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコ−ン油等の油剤類;脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノ−ルアミンエ−テル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレ−ト、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコ−ル等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエ−テル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエ−ト、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレ−ト等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレ−ト等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコ−ルモノオレ−ト、POEジステアレ−ト等)、POEアルキルエ−テル類(POE2−オクチルドデシルエ−テル等)、POEアルキルフェニルエ−テル類(POEノニルフェニルエ−テル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエ−テル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエ−テル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、;表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパ−ル剤類;レ−キ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマ−等の有機粉体類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤;桂皮酸系紫外線吸収剤;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類、エタノ−ル、イソプロパノ−ル等の低級アルコール類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテ−ト、ビタミンB6ジオクタノエ−ト、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロ−ル、β−トコフェロ−ル、γ−トコフェロ−ル、ビタミンEアセテ−ト等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;フェノキシエタノ−ル等の抗菌剤;ヘクトライト、ジメチルジステアリルアンモニウム変性ヘクトライトなどの有機変性粘土鉱物などが好ましく例示できる。
【0139】
本発明の皮膚外用剤、即ち、1)前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と、2)本発明の前記一般式(2)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩とを含有する皮膚外用剤には、色素沈着予防又は改善作用以外の作用を奏するものも存在する。その様な作用の発現を目的として本発明の皮膚外用剤を使用する場合であっても、前記効果が発揮されている場合には、本発明の効果を利用するものであるので、本発明の技術範囲に属する。本発明の色素沈着予防又は改善作用以外の作用としては、肌荒れ予防又は改善作用、抗老化作用、シワ形成予防又は改善作用、抗炎症作用、保湿作用等の作用が好適に例示出来る。
【0140】
本発明の皮膚外用剤は、前記の任意成分や必須成分を常法に従って処理することにより製造することが出来る。
【0141】
以下に、実施例をあげて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ、限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0142】
<製造例24: 本発明の皮膚外用剤の製造方法1>
以下の表1及び表2に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤(ロ−ション剤型、化粧料1〜4)を作製した。即ち、処方成分を80℃に加熱し、攪拌し、溶解させ、攪拌冷却した後、10%(質量%)の水酸化カリウム水溶液を適量加え、pHを6.5に調整した。最後に水を追加して総重量を1000(g)とし、皮膚外用剤(ロ−ション剤型、化粧料1〜4)を得た。同様の操作により表1の、「本発明の前記一般式(1)に表される化合物」及び「前記一般式(2)に表される化合物」を共に「水」に置換した比較例1、化粧料1に含まれる「前記一般式(1)に表される化合物」を「水」に置換した比較例2、化粧料1に含まれる「前記一般式(2)に表される化合物」を「水」に置換した比較例3を作製した。
【0143】
【表1】

【0144】
【表2】

【実施例2】
【0145】
<試験例1: 本発明の皮膚外用剤のヒトにおける色素沈着抑制効果1>
実施例1に記載の方法に従い製造した皮膚外用剤(ロ−ション剤型、化粧料1〜4)、比較例1〜3の皮膚外用剤(ロ−ション剤型)を用い、色素沈着抑制効果を調べた。自由意思で参加したパネラ−の背部に、試験初日(1日目)に1.5cm×1.5cmの試験部位を設け、試験部位の皮膚明度(L*値)を色彩色差計(CR-300、コニカミノルタ株式会社)にて測定した。試験初日に皮膚明度を測定した後、試験部位に最少紅斑量の2倍量(2MED)の紫外線を1回照射した。紫外線照射終了直後より1日3回、14日連続して、各試験部位に各検体(化粧料1〜4又は比較例1〜3の化粧料)を50μL塗布した。塗布終了24時間後(15日目)に色彩色差計(CR-300、コニカミノルタ株式会社)にて各試験部位の皮膚明度(L*値)を測定し、試験初日のL*値から15日目のL*値を引いたΔL*値を算出した。L*値は大きいほど皮膚明度が高いことを示す。そのため、ΔL*値が小さいほど、試験初日のL*値と15日目のL*値との差が小さく、色素沈着が抑制されたと判断することができる。結果を表3に示す。本発明の皮膚外用剤である化粧料1〜4は、比較例1と比べてΔL*値が小さく、優れた色素沈着抑制効果を有することが分かる。また、比較例2及び比較例3も、比較例1と比べてΔL*値が小さく、色素沈着抑制作用が認められたが、その効果は化粧料1〜4に比較し弱かった。これにより、本発明の皮膚外用剤である化粧料1〜4は、優れた色素沈着に対する予防又は改善効果を示すことが分かる。
【0146】
【表3】

【実施例3】
【0147】
<製造例25: 本発明の皮膚外用剤の製造方法2>
実施例1に記載の化粧料1の処方成分中、「本発明の前記一般式(1)に表される化合物」及び「本発明の前記一般式(2)に表される化合物」を表4に記載の含有量に変更した皮膚外用剤(ロ−ション剤型、化粧料5〜6)を、化粧料1と同様の方法にて作製した。
【0148】
【表4】

【実施例4】
【0149】
<試験例2: 本発明の皮膚外用剤のヒトにおける色素沈着抑制効果2>
実施例3に記載の方法に従い製造した皮膚外用剤(化粧料5〜6)及び実施例1に記載の比較例1を用いて、実施例2に記載の方法に従いヒトにおける紫外線による色素沈着抑制効果を評価した。結果を表5に示す。本発明の皮膚外用剤である化粧料5〜6は、比較例1と比べてΔL*値が小さく、優れた色素沈着に対する予防又は改善効果を有することが分かる。
【0150】
【表5】

【実施例5】
【0151】
<製造例26: 本発明の皮膚外用剤の製造方法3>
以下の表6に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤(クリ−ム剤型、化粧料7)を作製した。即ち、ロの成分を80℃に加熱し、攪拌し、溶解させた後、10%(質量%)の水酸化カリウム水溶液を適量加え、pHを6.5に調整した。最後に水を追加し、総重量が524.5gとなるようにした(混合物Aとする)。また、イの成分を80℃に加熱し、攪拌し、溶解させた(混合物Bとする)。80℃に加熱した混合物Aを混合物Bに徐々に攪拌しながら加え、乳化し、ホモジナイザ−で粒子を均一化した後、撹拌冷却し皮膚外用剤(クリ−ム剤型、化粧料7)を作製した。同様の操作により表6の「化合物1のL光学異性体」(本発明の前記一般式(1)に表される化合物)及び「化合物8のL光学異性体」(本発明の前記一般式(2)に表される化合物)を共に「水」に置換した比較例4を作製した。
【0152】
【表6】

【実施例6】
【0153】
<製造例27: 本発明の皮膚外用剤の製造方法4>
以下の表7に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤(乳液剤型、化粧料8)を作製した。即ち、ロの成分を80℃に加熱し、攪拌し、溶解させた後、10%(質量%)の水酸化カリウム水溶液を適量加え、pHを6.5に調整した。最後に水を追加し、総重量が879gとなるようにした(混合物Cとする)。また、イの成分を80℃に加熱し、攪拌し、溶解させた(混合物Dとする)。80℃に加熱した混合物Cを混合物Dに徐々に攪拌しながら加え、乳化し、ホモジナイザ−で粒子を均一化した後、撹拌冷却し皮膚外用剤(乳液剤型、化粧料8)を作製した。同様の操作により、表7の「化合物1のL光学異性体」(本発明の前記一般式(1)に表される化合物)及び「化合物8のL光学異性体」(本発明の前記一般式(2)に表される化合物)を共に「水」に置換した比較例5を作製した。
【0154】
【表7】

【実施例7】
【0155】
<試験例3: 本発明の皮膚外用剤のヒトにおける色素沈着抑制効果3>
実施例5に記載の皮膚外用剤(化粧料7)及び比較例4、実施例6に記載の皮膚外用剤(化粧料8)及び比較例5を用いて、実施例2に記載の方法に従いヒトにおける紫外線による色素沈着抑制効果を評価した。結果を表8に示す。本発明の皮膚外用剤である化粧料7は、比較例4と比べてΔL*値が小さく、優れた色素沈着抑制効果を有することが分かる。また、本発明の皮膚外用剤である化粧料8は、比較例5と比べてΔL*値が小さく、優れた色素沈着に対する予防又は改善効果を有することが分かる。
【0156】
【表8】

【産業上の利用可能性】
【0157】
本発明は、美白用の化粧料(但し、医薬部外品を含む)等に応用出来る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)下記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と、2)下記一般式(2)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩とを含有することを特徴とする皮膚外用剤。
【化1】

(1)
[式中、R1は、水素原子、炭素数1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R2は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基、無置換又は置換基を有する芳香族基、無置換又は置換基を有する芳香族基により置換された炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R3は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、mは、0〜3の整数、nは、1又は2の整数を表す。]
【化2】

(2)
[式中、R4は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、R5は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル鎖を有するアシル基を表し、R6は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。]
【請求項2】
前記一般式(1)に表される化合物が、下記一般式(3)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【化3】

(3)
[式中、R7は、水素原子、炭素数1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R8は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、mは、0〜3の整数、nは、1又は2の整数を表す。]
【請求項3】
前記一般式(3)に表される化合物が、下記一般式(4)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
【化4】

(4)
[式中、R9は、水素原子、炭素数1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R10は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、nは、1又は2の整数を表す。]
【請求項4】
前記一般式(4)に表される化合物が、下記一般式(5)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【化5】

(5)
[式中、R11は、水素原子、炭素数1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R12は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表す。]
【請求項5】
前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が、N−(p−トルイル)システイン酸(化合物1)、N−(m−トルイル)システイン酸(化合物2)、N−(o−トルイル)システイン酸(化合物3)、N−(p−メトキシベンゾイル)システイン酸(化合物4)、N−(4−フェニルベンゾイル)システイン酸(化合物5)、N−(ベンゾイル)システイン酸(化合物6)、N−(p−トルイル)ホモシステイン酸(化合物7)、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【化6】

N−(p−トルイル)システイン酸(化合物1)
【化7】

N−(m−トルイル)システイン酸(化合物2)
【化8】

N−(o−トルイル)システイン酸(化合物3)
【化9】

N−(p−メトキシベンゾイル)システイン酸(化合物4)
【化10】

N−(4−フェニルベンゾイル)システイン酸(化合物5)
【化11】

N−(ベンゾイル)システイン酸(化合物6)
【化12】

N−(p−トルイル)ホモシステイン酸(化合物7)
【請求項6】
前記一般式(2)に表される化合物が、下記一般式(6)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【化13】

(6)
[式中、R13は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、R14は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル鎖を有するアシル基を表す。]
【請求項7】
前記一般式(2)に表される化合物が、下記一般式(7)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【化14】

(7)
[式中、R15は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、R16は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。]
【請求項8】
前記一般式(2)に表される化合物が、下記一般式(8)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、請求項1〜7の何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【化15】

(8)
[式中、R17は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表す。]
【請求項9】
前記一般式(2)に表される化合物が、N−(p−メチルベンゾイル)セリン(化合物8)、N−(p−エチルベンゾイル)セリン(化合物9)、N−(p−メトキシベンゾイル)セリン(化合物10)、N−(p−フルオロベンゾイル)セリン(化合物11)、N−(p−トリフルオロメチルベンゾイル)セリン(化合物12)、N−(2−ナフトイル)セリン(化合物13)、N−(4−フェニルベンゾイル)セリン(化合物14)、N−(ベンゾイル)セリン(化合物15)、N−(p−メチルベンゾイル)セリン メチルエステル(化合物16)、N−(2−ナフトイル)セリン メチルエステル(化合物17)、N−ベンゾイル−O−メチルセリン(化合物18)、N−(p−メチルベンゾイル)−O−メチルセリン(化合物19)、N−(p−メチルベンゾイル)−O−アセチルセリン(化合物20)、N−(2−ナフトイル)−O−メチルセリン(化合物21)、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、請求項1〜8の何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【化16】

N−(p−メチルベンゾイル)セリン(化合物8)
【化17】

N−(p−エチルベンゾイル)セリン(化合物9)
【化18】

N−(p−メトキシベンゾイル)セリン(化合物10)
【化19】

N−(p−フルオロベンゾイル)セリン(化合物11)
【化20】

N−(p−トリフルオロメチルベンゾイル)セリン(化合物12)
【化21】

N−(2−ナフトイル)セリン(化合物13)
【化22】

N−(4−フェニルベンゾイル)セリン(化合物14)
【化23】

N−(ベンゾイル)セリン(化合物15)
【化24】

N−(p−メチルベンゾイル)セリン メチルエステル(化合物16)
【化25】

N−(2−ナフトイル)セリン メチルエステル(化合物17)
【化26】

N−ベンゾイル−O−メチルセリン(化合物18)
【化27】

N−(p−メチルベンゾイル)−O−メチルセリン(化合物19)
【化28】

N−(p−メチルベンゾイル)−O−アセチルセリン(化合物20)
【化29】

N−(2−ナフトイル)−O−メチルセリン(化合物21)
【請求項10】
前記一般式(1)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩を、皮膚外用剤全量に対し、0.0001質量%〜20質量%含有することを特徴とする、請求項1〜9の何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項11】
前記一般式(2)に表される化合物、その光学異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩を、皮膚外用剤全量に対し、0.0001質量%〜20質量%含有することを特徴とする、請求項1〜10の何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項12】
化粧料(但し、医薬部外品を含む)であることを特徴とする、請求項1〜11の何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項13】
色素沈着予防又は改善用であることを特徴とする、請求項1〜12の何れか1項に記載の皮膚外用剤。

【公開番号】特開2013−1660(P2013−1660A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131868(P2011−131868)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】