説明

皮膚洗浄料組成物

【課題】 洗浄時の泡質に優れ、且つ洗浄後のしっとり感及びふっくら感に優れた皮膚洗浄料を提供する。
【解決手段】 アニオン性モノマー/カチオン性モノマーの質量比が0.2〜0.3である両性コポリマー(A)と、
アニオン性モノマー/カチオン性モノマーの質量比が0.35〜2.0である両性コポリマー(B)と
を含有することを特徴とする皮膚洗浄料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は皮膚洗浄料組成物、特に洗浄時の泡質及び洗浄後の肌のしっとり感、ふっくら感の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚洗浄料においては、本来の機能である洗浄力に加えて、洗浄時に生じる泡の性質も使用感における重要なポイントとされ、特に気泡の細かいクリーミーな泡質が消費者に好まれる傾向にある。また、洗浄力の高い界面活性剤を配合した皮膚洗浄料は、これにより肌を過度にかさつかせてしまう場合があり、洗浄後の肌にしっとりした、あるいはふっくらした好ましい感触を与えることも望まれている。このような問題点に対して、従来、皮膚洗浄料基剤中に各種の油分や高分子等を配合することによって、その泡質や使用感触を好適に調整することが広く行なわれている。
【0003】
皮膚洗浄料基剤に高分子を配合する技術としては、従来、カチオン性ポリマーを配合した皮膚洗浄料(例えば、特許文献1参照)が知られているものの、カチオン性ポリマーを配合することにより肌への感触が向上する一方で、泡質が良好でないという欠点があった。これに対して、近年、泡質向上機能を有することが知られている両性ポリマーをカチオン性ポリマーと組み合わせて配合した皮膚洗浄料(例えば、特許文献2,3参照)が提案されている。しかしながら、これらの皮膚洗浄料では、カチオン性ポリマーによる使用感触向上、両性ポリマーによる泡質向上の両者の機能が互いに打ち消しあってしまい、十分な効果が得られていないのが現状であった。以上のように、従来、優れた泡質と、優れた使用感触の両者を兼ね備えた皮膚洗浄料を開発することは、当業者において非常に困難な課題であった。
【0004】
【特許文献1】特開昭62−4799号公報
【特許文献2】特開2001−64678号公報
【特許文献3】特開2003−73257号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前述した従来技術の課題に鑑みて行なわれたものであり、その目的は、洗浄時の泡質に優れ、且つ洗浄後のしっとり感及びふっくら感に優れた皮膚洗浄料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、アニオン性モノマー/カチオン性モノマーの質量比が0.2〜0.3である両性コポリマーと、アニオン性モノマー/カチオン性モノマーの質量比が0.35〜2.0である両性コポリマーとの2種類を組み合わせて皮膚洗浄料基剤に配合した場合に、洗浄時の泡質に極めて優れ、且つ洗浄後の肌のしっとり感、ふっくら感が著しく改善された皮膚洗浄料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明にかかる皮膚洗浄料組成物は、アニオン性モノマー/カチオン性モノマーの質量比が0.2〜0.3である両性コポリマー(A)と、アニオン性モノマー/カチオン性モノマーの質量比が0.35〜2.0である両性コポリマー(B)と、を含有することを特徴とするものである。
【0008】
また、前記皮膚洗浄料組成物において、前記両性コポリマー(A)及び(B)が、下記一般式(1)で表されるアニオン性モノマーと、下記一般式(2)で表されるカチオン性モノマーとを構成モノマーとして含有する両性コポリマーであることが好適である。
【化1】


(上記式中、Rは水素又はメチル基、Rは水素又は1価の無機又は有機カチオンを表す。)
【化2】


(上記式中、R及びRは水素又は炭素数1〜4のアルキル基であり、Yは1価の無機又は有機アニオンを表す。)
【0009】
また、前記皮膚洗浄料組成物において、前記両性コポリマー(A)及び(B)における前記アニオン性モノマーがアクリル酸、前記カチオン性モノマーが塩化ジメチルジアリルアンモニウムであることが好適である。
また、前記皮膚洗浄料組成物において、前記両性コポリマー(A)/両性コポリマー(B)の配合量比(質量比)が0.1〜10であることが好適である。
また、前記皮膚洗浄料組成物において、前記両性コポリマー(A)と前記両性コポリマー(B)との配合量が合計で0.01〜5質量%であることが好適である。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる皮膚洗浄料組成物においては、アニオン性モノマー/カチオン性モノマーの質量比が0.2〜0.3である両性コポリマーと、アニオン性モノマー/カチオン性モノマーの質量比が0.35〜2.0である両性コポリマーとの2種類を組み合わせて配合することによって、洗浄時の泡質が著しく改善され、さらに洗浄後のしっとり感及びふっくら感に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳述する。
両性コポリマー(A),(B)
本発明にかかる皮膚洗浄料組成物に用いられる2種の両性コポリマー(A)及び(B)は、アニオン性モノマーと、カチオン性モノマーとを構成モノマーとして含有し、アニオン性モノマー/カチオン性モノマーの質量比が、それぞれ0.2〜0.3,0.35〜2.0に調整されているものである。
【0012】
本発明に用いられる両性コポリマー(A)及び(B)において、構成モノマーとして含有されるアニオン性モノマーは、その構造中にアニオン部位を有するものであればよく、特に限定されるものではないが、例えば、前記一般式(1)で表されるアニオン性モノマーが挙げられる。前記一般式(1)で表されるアニオン性モノマーは、アクリル酸又はメタクリル酸、あるいはそのエステル又はその塩である。一般式(1)において、アクリル酸α炭素の置換基であるRは水素又はメチル基である。また、一般式(1)において、アクリル酸の末端置換基であるRは水素又は1価の無機又は有機カチオンである。1価の無機又は有機カチオンはカルボン酸の塩を形成し得るものであればよく、1価の無機カチオンとしては、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン等が挙げられ、また、1価の有機カチオンとしては、例えば、アンモニウムイオン、モノエタノールアンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン等が挙げられる。
【0013】
本発明の両性コポリマー(A)及び(B)において用いられるアニオン性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アクリル酸アンモニウム、メタクリル酸アンモニウム等が挙げられる。これらのアニオン性モノマーのうち、特にアクリル酸を好適に用いることができる。
【0014】
本発明に用いられる両性コポリマー(A)及び(B)において、構成モノマーとして含有されるカチオン性モノマーは、その構造中にカチオン部位を有するものであればよく、特に限定されるものではないが、例えば、前記一般式(2)で表されるカチオン性モノマーが挙げられる。前記一般式(2)で表されるカチオン性モノマーは、ジアリルアンモニウム塩である。一般式(2)において、4級アンモニウム窒素の置換基であるR及びRは、水素又は炭素数1〜4のアルキル基炭素数1〜4のアルキル基は直鎖状、分岐状いずれのものでも良く、また、水酸基あるいはフッ素原子が一部置換されていても良い。炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基等が挙げられる。また、一般式(2)において、Yは1価の無機又は有機アニオンであり、4級アンモニウムの塩を形成し得るものであればどのようなものでも構わないが、例えば、1価の無機アニオンとしては、例えば、塩化物イオン、フッ化物イオン、ヨウ化物イオン等が挙げられ、1価の有機アニオンとしては、硫酸イオン、酢酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、リン酸イオン等が挙げられる。なお、R及びRは同一であっても異なっていても良い。
【0015】
本発明の両性コポリマー(A)及び(B)において用いられるカチオン性モノマーとしては、例えば、塩化ジメチルジアリルアンモニウム、塩化ジエチルジアリルアンモニウム、塩化ジプロピルジアリルアンモニウム、硫酸ジメチルジアリルアンモニウム、硫酸ジエチルジアリルアンモニウム、硫酸ジプロピルジアリルアンモニウム等が挙げられる。これらのカチオン性モノマーのうち、特に塩化ジメチルジアリルアンモニウムを好適に用いることができる。
【0016】
また、本発明の両性コポリマー(A)及び(B)においては、前記アニオン性モノマー、前記カチオン性モノマーのほか、非イオン性モノマーを適宜含有していてもよい。非イオン性モノマーとしては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−シクロヘキシルメタクリルアミド、N,N−ジ(エチレングリコール)アクリルアミド、N,N−ジ(エチレングリコール)メタクリルアミド、N−ポリエチレングリコール(10モル)アクリルアミド、N−ポリエチレングリコール(10モル)メタクリルアミド等が挙げられる。
【0017】
本発明に用いられる両性コポリマー(A)及び(B)は、前記アニオン性モノマーと、前記カチオン性モノマーとを、それぞれ特定の割合で用いて、公知の重合方法で重合を行なうことによって調製することができる。重合方法としては、例えば、均一溶液重合法、不均一溶液重合法、乳化重合法、逆相乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法、沈殿重合法等を用いることができる。例えば、均一溶液重合法の場合には、前記各種モノマーを適切なモノマー組成にて溶媒に溶解し、窒素雰囲気下、ラジカル重合開始剤を添加して加熱撹拌することにより本発明の両性コポリマーを得ることができる。
【0018】
重合の際に用いられる溶媒としては、各種モノマーを溶解又は懸濁し得る溶媒であればいずれの溶媒を用いることも可能であり、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカン、流動パラフィンなどの炭化水素系溶媒、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等の塩化物系溶媒などの他、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン等が挙げられる。これらの溶媒は2種以上混合して用いてもよい。なお、通常、用いる重合開始剤の開始温度よりも沸点が高い溶媒を選択することが好適である。
【0019】
重合開始剤としては、ラジカル重合を開始する能力を有するものであれば特に制限はなく、例えば、過酸化ベンゾイル等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル等のアゾ系化合物の他、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸系重合開始剤が挙げられる。なお、これらの重合開始剤によらずとも、光化学反応や、放射線照射等によっても重合を行なうことができる。重合温度は各重合開始剤の重合開始温度以上とする。例えば、過酸化物系重合開始剤では、通常70℃程度とすればよい。
【0020】
重合時間は特に制限されないが、通常2〜24時間である。比較的高分子量のポリマーを得たい場合には、1日程度反応させることが望ましい。反応時間が短すぎると未反応のモノマーが残存し、分子量も比較的小さくなることがある。本発明に用いられる両性コポリマーの平均分子量は特に制限されるものではないが、特に平均分子量30万〜100万程度であることが好ましい。また、本発明に用いられる両性コポリマーにおいては、各モノマーの付加する順序は特に指定されるものではなく、ブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよいが、通常は各モノマーがランダム状に付加された両性コポリマーが得られる。
【0021】
本発明に用いられる両性コポリマー(A)及び(B)の代表例として、(アクリル酸/塩化ジメチルジアリルアンモニウム)コポリマーを下記一般式(3)に、(アクリル酸/塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド)コポリマーを下記一般式(4)に示す。
【化3】

【0022】
【化4】

【0023】
なお、上記一般式(3),(4)中、a,b,cは、それぞれ、構成モノマー全量中のアニオン性モノマー(アクリル酸)、カチオン性モノマー(塩化ジメチルジアリルアンモニウム)、非イオン性モノマー(アクリルアミド)のモル比率を表す。
ここで、本発明に用いられる両性コポリマー(A)においては、上記アニオン性モノマー/カチオン性モノマーの質量比が0.2〜0.3となるように上記a〜cが調整され、他方、両性コポリマー(B)においては、上記アニオン性モノマー/カチオン性モノマーの質量比が0.35〜2.0となるように上記a〜cが調整される。
【0024】
本発明に用いられる両性コポリマー(A)は、アニオン性モノマー/カチオン性モノマーの質量比が0.2〜0.3となるように調整されているものである。なお、両性コポリマー(A)としては、アニオン性モノマー/カチオン性モノマーの質量比が0.225〜0.275であることが特に好適である。アニオン性モノマー/カチオン性モノマーの質量比が0.2未満、あるいは0.3を超える場合には、下記両性コポリマー(B)と組み合わせても泡質や肌のしっとり感の改善効果が十分でない。
また、本発明に用いられる両性コポリマー(A)としては市販品を用いてもよく、例えば、マーコート280(アクリル酸アミド/塩化ジメチルジアリルアンモニウム=20/80(アニオン/カチオン=0.25);ナルコ社製)が挙げられる。
【0025】
他方、本発明に用いられる両性コポリマー(B)もまた、前記アニオン性モノマーと、前記カチオン性モノマーとを含有するものであるが、こちらはアニオン性モノマー/カチオン性モノマーの質量比が0.35〜2.0となるように調整されているものである。なお、両性コポリマー(B)としては、アニオン性モノマー/カチオン性モノマーの質量比が0.37〜1.9であることが特に好適である。アニオン性モノマー/カチオン性モノマーの質量比が0.35未満、あるいは2.0を超える場合には、前記両性コポリマー(A)と組み合わせても泡質や肌のしっとり感の改善効果が十分でない。
また、本発明に用いられる両性コポリマー(B)としては市販品を用いてもよく、例えば、マーコート3330(アクリル酸アミド/塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド=25/50/25(アニオン/カチオン=0.50);ナルコ社製)、マーコート3331(アクリル酸アミド/塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド=17/45/25(アニオン/カチオン=0.38);ナルコ社製)、マーコート3333(アクリル酸アミド/塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド=55.2/30/14.8(アニオン/カチオン=1.84);ナルコ社製)等が挙げられる。
【0026】
本発明にかかる皮膚洗浄料組成物は、以上のようにして製造される両性コポリマーのうち、アニオン性モノマー/カチオン性モノマーの質量比を特定の範囲に調整して製造される両性コポリマー(A),(B)の2種が配合されるものである。
通常、一般的な両性コポリマーの場合、各種構成モノマーの割合の相違によって、アニオン性に近いものからカチオン性に近いものまで様々な性質のものが得られる。このため、両性コポリマーにおける各種モノマーの割合は、その特性を決定する上で極めて重要となる。本発明においては、前記したように各種構成モノマーを特定の割合に調整した両性コポリマー(A),(B)の2種を組み合わせて皮膚洗浄料基剤中に配合することによって、洗浄時の泡質に優れ、且つ洗浄後の肌のしっとり感、ふっくら感が著しく改善されるという特有の効果が得られるのである。
【0027】
なお、本発明にかかる皮膚洗浄料組成物における両性コポリマー(A)及び(B)の配合効果は、単に皮膚洗浄料中に配合される両性コポリマーのアニオン性モノマー/カチオン性モノマーの質量比を好適に調整したという性質のものではない。例えば、任意の両性コポリマーの1種あるいは2種以上を用いて、本発明の皮膚洗浄料組成物とほぼ同一になる様にアニオン性モノマー/カチオン性モノマーの質量比(2種以上の場合は加重平均値)を調整したとしても、所望の効果は得られない。すなわち、本発明にかかる皮膚洗浄料組成物においては、両性コポリマー(A),(B)の2種を組み合わせて配合することにより、泡質、しっとり感、ふっくら感を改善するという効果が相乗的に発揮されるものと考えられる。
【0028】
本発明にかかる皮膚洗浄料組成物において、前記両性コポリマー(A)及び(B)の配合量は特に制限されるものではなく、適宜配合量を調整して用いることができるが、前記両性コポリマー(A)/両性コポリマー(B)の配合量比(質量比)が0.1〜10であることが好ましく、特に好ましくは0.3〜3である。両性コポリマー(A)/両性コポリマー(B)の配合量比が上記の範囲を逸脱すると、所望の効果が十分に得られない場合がある。
また、前記両性コポリマー(A)と前記両性コポリマー(B)との配合量が合計で0.01〜5質量%であることが好適である。両性コポリマー(A)及び(B)の合計配合量が0.01質量%より少ない場合には改善効果が十分でない場合があり、一方で5質量%より多い場合にはべたつきを生じる場合がある。
【0029】
また、本発明にかかる皮膚洗浄料においては、必須成分である前記両性コポリマーのほか、通常の場合、界面活性剤が配合される。本発明に用いられる界面活性剤の種類は、特に限定されるものではなく、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤のいずれを用いても構わない。
【0030】
なお、本発明に用いるアニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(例えば、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリン酸カリウム等);高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE−ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE−ラウリル硫酸ナトリウム等);N−アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N−ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ラウリルメチルタウリンナトリウム等);リン酸エステル塩(POE−オレイルエーテルリン酸ナトリウム、POE−ステアリルエーテルリン酸等);スルホコハク酸塩(例えば、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);N−アシルグルタミン酸塩(例えば、N−ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N−ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸モノナトリウム等);硫酸化油(例えば、ロート油等);POE−アルキルエーテルカルボン酸;POE−アルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α−オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N−パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等が挙げられる。
【0031】
また、カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等);アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウム等);塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩;塩化ポリ(N,N’−ジメチル−3,5−メチレンピペリジニウム);アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;POE−アルキルアミン;アルキルアミン塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミルアルコール脂肪酸誘導体;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0032】
また、両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤(例えば、2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等);ベタイン系界面活性剤(例えば、2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)等が挙げられる。
【0033】
また、親油性非イオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリンポリグリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α’−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導体;グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0034】
また、親水性非イオン性界面活性剤としては、例えば、POE−ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POE−ソルビタンモノオレエート、POE−ソルビタンモノステアレート、POE−ソルビタンモノオレエート、POE−ソルビタンテトラオレエート等);POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POE−ソルビットモノラウレート、POE−ソルビットモノオレエート、POE−ソルビットペンタオレエート、POE−ソルビットモノステアレート等);POE−グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POE−グリセリンモノステアレート、POE−グリセリンモノイソステアレート、POE−グリセリントリイソステアレート等のPOE−モノオレエート等);POE−脂肪酸エステル類(例えば、POE−ジステアレート、POE−モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POE−アルキルエーテル類(例えば、POE−ラウリルエーテル、POE−オレイルエーテル、POE−ステアリルエーテル、POE−ベヘニルエーテル、POE−2−オクチルドデシルエーテル、POE−コレスタノールエーテル等);プルロニック型類(例えば、プルロニック等);POE・POP−アルキルエーテル類(例えば、POE・POP−セチルエーテル、POE・POP−2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POP−モノブチルエーテル、POE・POP−水添ラノリン、POE・POP−グリセリンエーテル等);テトラPOE・テトラPOP−エチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等);POE−(硬化)ヒマシ油誘導体(例えば、POE−ヒマシ油、POE−硬化ヒマシ油、POE−硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE−硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE−硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE−硬化ヒマシ油マレイン酸等);POE−ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE−ソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POE−プロピレングリコール脂肪酸エステル;POE−アルキルアミン;POE−脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等が挙げられる。
【0035】
本発明にかかる皮膚洗浄料においては、上記成分のほか、通常化粧料や医薬品に用いられる成分を、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。配合可能な成分としては、例えば、保湿剤、粉末成分、液体油脂、固体油脂、ロウ類、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル油、シリコーン油、天然水溶性高分子、半合成水溶性高分子、合成水溶性高分子、増粘剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、多価アルコール、単糖、オリゴ糖、多糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調製剤、酸化防止剤、酸化防止助剤、防腐剤、消炎剤、美白剤、各種抽出物、賦活剤、血行促進剤、抗脂漏剤、抗炎症剤等が挙げられる。
また、本発明にかかる皮膚洗浄料の剤型は任意であり、溶液系、可溶化系、乳化系、粉末分散系、水−油二層系、水−油−粉末三層系等、どのような剤型であっても構わない。
【実施例1】
【0036】
以下に本発明の実施例を挙げてさらに詳しい説明を行うが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記実施例中、アクリル酸をAA、塩化ジメチルジアリルアンモニウムクロリドをDMDAAC、アクリルアミドをAMと省略して示す場合がある。
【0037】
皮膚洗浄料への両性コポリマーの配合
本発明者らは、まず最初に、皮膚洗浄料に配合する両性コポリマーの適性について検討するため、アニオン性モノマー/カチオン性モノマーの質量比が異なる2種の両性コポリマーを配合した洗顔料を調製し、各種評価を行なった。評価基準は以下の通りである。各実施例及び比較例の配合組成と評価結果とを下記表1に併せて示す。なお、下記表中、各種ポリマーの配合量はすべて純分換算で表記する。また、各種ポリマーのモノマー組成は構成モノマー全量中の各モノマーの質量比(%)で示す。
【0038】
(1)洗浄時の泡質
各実施例及び比較例の洗顔料の洗浄時の泡質について、専門パネラー10名により実使用試験を実施した。評価基準は以下の通りである。
5点:クリーミーである。
4点:ややクリーミーである。
3点:普通。
2点:ややクリーミーでない。
1点:クリーミーでない。
【0039】
(2)洗浄後の肌のしっとり感
各実施例及び比較例の洗顔料の洗浄後の肌のしっとり感について、専門パネラー10名により実使用試験を実施した。評価基準は以下の通りである。
5点:しっとり感がある。
4点:ややしっとり感である。
3点:普通。
2点:ややしっとり感がない。
1点:しっとり感がない。
【0040】
(3)洗浄後の肌のふっくら感
各実施例及び比較例の洗顔料の洗浄後の肌のふっくら感について、専門パネラー10名により実使用試験を実施した。評価基準は以下の通りである。
5点:ふっくら感がある。
4点:ややふっくら感がある。
3点:普通。
2点:ややふっくら感がない。
1点:ふっくら感がない。
【0041】
【表1】

【0042】
上記表1に示されるように、両性コポリマーを全く配合していない比較例1の洗顔料では、洗浄時の泡質に劣っており、また、洗浄後の肌のしっとり感、ふっくら感も十分に得られていない。一方、アニオン性モノマー/カチオン性モノマーの質量比が0.25である両性コポリマーA1を単独で配合した配合した比較例2、同質量比が0.5である両性コポリマーB1を単独で配合した配合した比較例3の洗顔料では、比較例1に対して若干改善されてはいるものの、十分な効果が得られているものとは言い難い。
これに対して、アニオン性モノマー/カチオン性モノマーの質量比の異なる両性コポリマーA1及びB1の2種を組み合わせて配合した実施例1の洗顔料においては、洗浄時の泡質に優れているとともに、洗浄後の肌のしっとり感、ふっくら感も著しく改善されていることが明らかとなった。
【0043】
両性コポリマーの組み合わせ(アニオン性モノマー/カチオン性モノマー質量比)
つづいて、本発明者らは、好適な両性コポリマーの組み合わせについて検討するため、アニオン性モノマー/カチオン性モノマーの質量比の異なる各種ポリマーを配合した洗顔料についての評価を行なった。各実施例及び比較例の配合組成と評価結果とを下記表2及び表3に併せて示す。なお、評価基準は前記試験と同様である。
【0044】
【表2】

【0045】
【表3】

【0046】
上記表2に示されるように、アニオン性モノマー/カチオン性モノマー質量比が0.25である両性コポリマーA1と、同質量比が0.38〜1.84である両性コポリマーB1〜B3とをそれぞれ組み合わせて配合した実施例2〜5の洗顔料においては、いずれのものも泡質、しっとり感、ふっくら感ともに極めて優れていることが明らかとなった。
一方で、上記表3より、アニオン性モノマー/カチオン性モノマー質量比が0.38である両性コポリマーB2を単独で配合した配合した比較例4の洗顔料においては十分な改善効果が得られていない。実施例1の洗顔料に配合されている両性コポリマー2種のアニオン性モノマー/カチオン性モノマー質量比の加重平均値は0.375であることから、実施例1〜5の評価結果は単に両性コポリマー全体のアニオン/カチオン質量比が好適に調整されたというものではなく、2種の両性コポリマーの配合の組み合わせによって泡質、しっとり感、ふっくら感の改善効果が相乗的に発揮されているものと考えられる。
【0047】
また、両性コポリマーB3(アニオン性モノマー/カチオン性モノマー=1.84)と、両性コポリマーC1(アニオン性モノマー/カチオン性モノマー=0.05)とを組み合わせて配合した比較例5の洗顔料においても改善効果は十分でなく、さらに前記両性コポリマーA1あるいは両性コポリマーB1と、各種のカチオン性ポリマー(アニオン性モノマー/カチオン性モノマー=0)とを組み合わせて配合した比較例6〜8の洗浄料においても、いずれのものも改善効果に劣っていることがわかった。
これらの結果から、アニオン性モノマー/カチオン性モノマー質量比が0.25前後の両性コポリマー(A)と、アニオン性モノマー/カチオン性モノマー質量比が0.38〜1.84程度の両性コポリマー(B)の2種を組み合わせて用いることによって、皮膚洗浄料における泡質、しっとり感、ふっくら感が著しく改善されるという特有の効果が得られるものと考えられる。
【0048】
両性コポリマー(A),(B)の配合量比
つづいて、本発明者らは、皮膚洗浄料組成物中へ配合する両性コポリマー(A),(B)の好適な配合濃度について検討するため、両性コポリマーA1及びB1の配合量比を各種変化させた洗顔料を調製し、その評価を行なった。各実施例の洗顔料の配合組成と評価結果とを表4併せて示す。なお、評価基準は前記試験と同様である。
【0049】
【表4】

【0050】
上記表4に示されるように、両性コポリマーA1/両性コポリマーB1の配合量比(質量比)が0.1〜10である実施例6〜9においては、泡質、しっとり感、ふっくら感のいずれの評価においても優れた改善効果が示された。さらに同配合量比が0.33〜3である実施例7〜8においては、特に優れた改善効果を示すことが明らかとなった。
【0051】
以下に本発明のその他の実施例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例10 洗顔料 配合量(質量%)
両性コポリマーA1(マーコート280:ナルコ社製) 0.5
両性コポリマーB2(マーコート3331:ナルコ社製) 0.5
グリセリン 15.0
ポリエチレングリコール400 5.0
ラウリン酸 5.0
ミリスチン酸 10.0
パルミチン酸 10.0
ステアリン酸 15.0
ラウロイルメチルタウリンナトリウム 5.0
脂肪酸モノグリセリド 1.0
モノラウリン酸ポリグリセリル 1.0
水酸化カリウム 6.0
イオン交換水 残 部
香料 適 量
(製法) イオン交換水中に、グリセリン、ポリエチレングリコール400、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、脂肪酸モノグリセリドを加え、75度で加温し、溶解する。溶解後、水酸化カリウム溶液で中和し、その後2種の両性コポリマーおよび残成分を加えて十分攪拌後、冷却し本品を得た。
上記実施例10の洗顔料は、洗浄時の泡質とともに、洗浄後の肌のしっとり感、ふっくら感にも極めて優れているものであった。
【0052】
実施例11 ボディーシャンプー 配合量(質量%)
両性コポリマーA1(マーコート280:ナルコ社製) 0.15
両性コポリマーB3(マーコート3333:ナルコ社製) 0.35
ポリエチレングリコール400 5.0
ラウリン酸 2.0
ミリスチン酸 5.0
パルミチン酸 5.0
ステアリン酸 7.0
ラウロイルメチルタウリンナトリウム 2.0
脂肪酸モノグリセリド 1.0
モノラウリン酸ポリグリセリル 1.0
ラウリルグリコール酢酸ナトリウム 1.0
水酸化カリウム 6.0
イオン交換水 残 部
香料 適 量
(製法) イオン交換水中に、グリセリン、ポリエチレングリコール400、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸を加え、75度で加温し、溶解する。溶解後、水酸化カリウム溶液で中和し、その後2種の両性コポリマーおよび残成分を加えて十分攪拌後、冷却し本品を得た。
上記実施例11のボディーシャンプーは、洗浄時の泡質とともに、洗浄後の肌のしっとり感、ふっくら感にも極めて優れているものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニオン性モノマー/カチオン性モノマーの質量比が0.2〜0.3である両性コポリマー(A)と、
アニオン性モノマー/カチオン性モノマーの質量比が0.35〜2.0である両性コポリマー(B)と
を含有することを特徴とする皮膚洗浄料組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の皮膚洗浄料組成物において、前記両性コポリマー(A)及び(B)が、下記一般式(1)で表されるアニオン性モノマーと、下記一般式(2)で表されるカチオン性モノマーとを構成モノマーとして含有する両性コポリマーであることを特徴とする皮膚洗浄料組成物。
【化1】


(上記式中、Rは水素又はメチル基、Rは水素又は1価の無機又は有機カチオンを表す。)
【化2】


(上記式中、R及びRは水素又は炭素数1〜4のアルキル基であり、Yは1価の無機又は有機アニオンを表す。)
【請求項3】
請求項2に記載の皮膚洗浄料組成物において、前記両性コポリマー(A)及び(B)における前記アニオン性モノマーがアクリル酸、前記カチオン性モノマーが塩化ジメチルジアリルアンモニウムであることを特徴とする皮膚洗浄料組成物。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の皮膚洗浄料組成物において、前記両性コポリマー(A)/両性コポリマー(B)の配合量比(質量比)が0.1〜10であることを特徴とする皮膚洗浄料組成物。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の皮膚洗浄料組成物において、前記両性コポリマー(A)と前記両性コポリマー(B)との配合量が合計で0.01〜5質量%であることを特徴とする皮膚洗浄料組成物。


【公開番号】特開2006−193467(P2006−193467A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−6272(P2005−6272)
【出願日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】