説明

皮膚用乳化化粧料

【課題】塗布後の油性成分特有のべたつき感を低減し、保湿効果の持続性に優れるとともに、幅広い温度範囲における保存安定性にも優れた皮膚用乳化化粧料の提供。
【解決手段】(A)シリコーン系皮膜形成剤、(B)二塩基酸を含む混合脂肪酸とグリセリンのオリゴエステル、(C)シリコーン系界面活性剤、並びに(D)多価アルコールおよび/又は糖アルコールを含有してなる皮膚用乳化化粧料とする。所望により、(E)メタクリル酸グリセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリル共重合体、(F)ステロールエステル類を含有させることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚用乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、皮膚用化粧料には、皮膚の乾燥を防ぐため、保湿効果を付与した乳液状やクリーム状の化粧料が多数上市されている。このような保湿効果を付与する手段としては、油性成分を配合して皮膚上に皮膜を形成させ、水分の蒸発を防止させるのが一般的である。しかしながら、油性成分を高配合とした場合、保湿効果は向上するものの、塗布後のべたつき、油っぽさ、皮膜の膜厚感といった使用感に劣るといった問題がある。また、皮膜の固化によって保湿効果が低下するといった問題もある。
【0003】
このような問題点を解決するために、油性成分特有のべたつきや油っぽさを抑え、保湿効果を付与する試みがなされている。例えば、油分、グルタミン酸誘導体、無機塩類および界面活性剤を含有させた保湿用乳化化粧料(例えば、特許文献1を参照)や、親油性界面活性剤、油、水を含有させた水中油型乳化化粧料(例えば、特許文献2を参照)などが報告されている。
【0004】
しかしながら、これら試みに拠ってべたつきを抑え、保湿効果を一時的に付与することはできるものの、保湿効果の持続に関しては未だ満足しうるものではない。加えて、油性成分を高配合とした乳化化粧料においては、温度変化により油性成分の凝集や分離が生じるため、保存安定性に劣るといった問題もある。
【0005】
【特許文献1】特開平6−287128号公報
【特許文献2】特開平8−310940号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、塗布後の油性成分特有のべたつき感を低減し、保湿効果の持続性に優れるとともに、幅広い温度範囲における保存安定性にも優れた皮膚用乳化化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明は、
〔1〕(A)シリコーン系皮膜形成剤、(B)二塩基酸を含む混合脂肪酸とグリセリンのオリゴエステル、(C)シリコーン系界面活性剤、並びに(D)多価アルコールおよび/又は糖アルコールを含有してなる皮膚用乳化化粧料、
〔2〕(A)成分が、(アクリル酸アルキル/ジメチコン)共重合体である前記〔1〕に記載の皮膚用乳化化粧料、
〔3〕(B)成分が、(アジピン酸・2−エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセリルオリゴエステルである前記〔1〕又は〔2〕に記載の皮膚用乳化化粧料、
〔4〕(C)成分が、ポリエーテル変性シリコーンである前記〔1〕〜〔3〕の何れかに記載の皮膚用乳化化粧料、
〔5〕(C)成分が、(ジメチコン/(ポリエチレングリコール−10/15))クロスポリマーおよび/又はメチルポリシロキサン・セチルメチルポリシロキサン・ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体である前記〔1〕〜〔3〕の何れかに記載の皮膚用乳化化粧料、
〔6〕更に、(E)メタクリル酸グリセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリル共重合体を含有してなる前記〔1〕〜〔5〕の何れかに記載の皮膚用乳化化粧料、並びに
〔7〕更に、(F)ステロールエステル類を含有してなる前記〔1〕〜〔6〕の何れかに記載の皮膚用乳化化粧料
に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の皮膚用乳化化粧料は、膜厚感のない均一な皮膜を形成することで、塗布後の油性成分特有のべたつき感を低減し、保湿効果に優れるとともに、持続のよい保湿効果を付与することができるという効果を奏する。また、低温域および高温域での幅広い温度範囲での優れた保存安定性を有するという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の皮膚用乳化化粧料は、(A)シリコーン系皮膜形成剤、(B)二塩基酸を含む混合脂肪酸とグリセリンのオリゴエステル、(C)シリコーン系界面活性剤、並びに(D)多価アルコールおよび/又は糖アルコールを含有する。
【0010】
(A)成分のシリコーン系皮膜形成剤としては、皮膜形成能を有するシリコーン又はシリコーン誘導体であれば特に限定されないが、例えば、トリメチルシロキシケイ酸;高重合度メチルポリシロキサン、ジメチコノールなどの鎖状シリコーン;(アクリル酸アルキル/ジメチコン)共重合体、(アクリル酸/アミノ変性シリコーン)共重合体、(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸ジメチコン)共重合体などのシリコーン変性アクリル酸アルキル共重合体などを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。好適な(A)成分としては、べたつかずに膜厚感のない均一な皮膜を形成する観点から、シリコーン変性アクリル酸アルキル共重合体を用いることが好ましく、中でも、(アクリル酸アルキル/ジメチコン)共重合体を用いることがより好ましい。
【0011】
尚、本発明に用い得る(A)成分は、市販品をそのまま使用することができる。例えば、KP−543、545、549、550(商品名,何れも信越化学工業社製)などを例示することができる。
【0012】
(A)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、皮膜形成の観点から、化粧料中、0.01重量%以上が好ましく、より好ましくは0.1重量%以上である。また、使用感の観点から、5重量%以下が好ましく、より好ましくは3重量%以下である。これらの観点から、(A)成分の含有量は、好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.1〜3重量%である。
【0013】
(B)成分の二塩基酸を含む混合脂肪酸とグリセリンのオリゴエステルを構成する二塩基酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、酒石酸などを例示することができる。また、混合脂肪酸を構成する脂肪酸としては、直鎖又は分岐鎖、若しくは、飽和又は不飽和の何れの脂肪酸であっても特に限定されないが、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、2−エチルブタン酸、2−メチルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソステアリン酸などを例示することができる。尚、本発明における「オリゴエステル」とは、重合度が2〜20のエステル体のことを言う。
【0014】
上記した二塩基酸と脂肪酸からなる混合脂肪酸と、グリセリンのオリゴエステルの製造方法については、公知のエステル化法により得られれば特に限定されないが、例えば、酸クロリドからエステル化する方法;エステル基交換法;混合脂肪酸とグリセリンのエステルを合成した後に二塩基酸でエステル化する方法;二塩基酸とグリセリンのエステルを合成した後に混合脂肪酸でエステル化する方法:二塩基酸を含む混合脂肪酸とグリセリンを同時にエステル化する方法などを例示することができる。本発明に用いられる好適な(B)成分の具体例としては、例えば、(アジピン酸・2−エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセリルオリゴエステルを例示することができる。
【0015】
尚、本発明に用い得る(B)成分は、市販品をそのまま使用することができる。例えば、ノムコート LAH(商品名,日清オイリオ社製)などを例示することができる。
【0016】
(B)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、保湿効果の持続の観点から、化粧料中、0.1重量%以上が好ましく、より好ましくは0.5重量%以上である。また、使用感の観点から、7量%以下が好ましく、より好ましくは5重量%以下である。これらの観点から、(B)成分の含有量は、好ましくは0.1〜7重量%、より好ましくは0.5〜5重量%である。
【0017】
(C)成分のシリコーン系界面活性剤は、シロキサン骨格の側鎖および/又は末端を変性させたシリコーンであり、例えば、ポリエーテル変性シリコーン、アルキルアラルキル変性シリコーン、エポキシポリエーテル変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、スルホン酸変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーンなどが挙げられる。これらの中でも、保存安定性の観点から、ポリエーテル変性シリコーンを用いることが好ましい。尚、ポリエーテル変性シリコーンのポリエーテルとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体などを例示することができる。
【0018】
具体的なポリエーテル変性シリコーンとしては、例えば、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、(ジメチコン/(ポリエチレングリコール−10/15))クロスポリマー、メチルポリシロキサン・セチルメチルポリシロキサン・ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体などを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。好適な(C)成分としては、保存安定性の観点から、(ジメチコン/(ポリエチレングリコール−10/15))クロスポリマー、メチルポリシロキサン・セチルメチルポリシロキサン・ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体を用いることが好ましい。
【0019】
尚、本発明に用い得る(C)成分は、市販品をそのまま使用することができる。(ジメチコン/(ポリエチレングリコール−10/15))クロスポリマーの市販品の具体例としては、例えば、KSG−210(商品名,信越化学工業社製)などを例示することができる。また、メチルポリシロキサン・セチルメチルポリシロキサン・ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体の市販品の具体例としては、例えば、ABIL EM90(商品名,ゴールドシュミット社製)などを例示することができる。
【0020】
(C)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、保存安定性の観点から、化粧料中、0.5重量%以上が好ましく、より好ましくは1重量%以上である。また、使用感の観点から、7重量%以下が好ましく、より好ましくは5重量%以下である。これらの観点から、(C)成分の含有量は、好ましくは0.5〜7重量%、より好ましくは1〜5重量%である。
【0021】
(D)成分の多価アルコールとしては、グリコール類、グリセリン類などが挙げられる。グリコール類の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオールなどを例示することができる。グリセリン類としては、例えば、グリセリン、濃グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンなどを例示することができる。また、糖アルコールの具体例としては、例えば、キシリトール、トレハロース、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、エリスリトール、アラビトール、リビトール、ガラクチトール、グルシトール、エリトリトールなどを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。
【0022】
(D)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、保湿の観点から、化粧料中、1重量%以上が好ましく、より好ましくは5重量%以上である。また、使用感の観点から、40重量%以下が好ましく、より好ましくは35重量%以下である。これらの観点から、(D)成分の含有量は、好ましくは1〜40重量%、より好ましくは5〜35重量%である。
【0023】
また、本発明の皮膚用乳化化粧料には、より優れた保湿効果を付与する観点から、(E)メタクリル酸グリセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリル共重合体を含有させることができる。(E)成分のメタクリル酸グリセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリル共重合体とは、INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第12版,第1巻,CTFA,2008年,p.1064):GLYCERYLAMIDOETHYL METHACRYLATE/STEARYL METHACRYLATE COPOLYMERで表記される、グリセリル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)カルバメートとステアリルメタクリレートからなる共重合体である。本発明においては、該コポリマーをグリセリン、ペンチレングリコール、1,3−ブチレングリコールなどの多価アルコールなどの溶剤に溶解した形態のものを用いてもよい。
【0024】
尚、本発明に用い得る(E)成分は、市販品をそのまま使用することができる。例えば、セラキュート−F、セラキュート−L(商品名,何れも日油社製)などを例示することができる。
【0025】
(E)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、保湿の観点から、化粧料中、0.001重量%以上が好ましく、より好ましくは0.005重量%以上である。また、使用感の観点から、7重量%以下が好ましく、より好ましくは5重量%以下である。これらの観点から、(E)成分の含有量は、好ましくは0.001〜7重量%、より好ましくは0.005〜5重量%である。
【0026】
更に、本発明の皮膚用乳化化粧料には、保湿効果の持続性を向上させる観点から、(F)ステロールエステル類を含有させることができる。(F)成分の具体例としては、例えば、酢酸コレステリル、ノナン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・2−オクチルドデシル)、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、ステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、パルミトレイン酸フィトステリル、軟質ラノリン脂肪酸コレステリル、硬質ラノリン脂肪酸コレステリル、長鎖分岐脂肪酸コレステリル、長鎖α−ヒドロキシ脂肪酸コレステリルなどを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。好適な(F)成分としては、保湿の観点から、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、長鎖α−ヒドロキシ脂肪酸コレステリルを用いることが好ましい。
【0027】
(F)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、保湿の持続性の観点から、化粧料中、0.001重量%以上が好ましく、より好ましくは0.005重量%以上である。また、使用感の観点から、5重量%以下が好ましく、より好ましくは3重量%以下である。これらの観点から、(F)成分の含有量は、好ましくは0.001〜5重量%、より好ましくは0.005〜3重量%である。
【0028】
尚、本発明の皮膚用乳化化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上記した成分の他に通常化粧品に用いられる成分、例えば、エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール;スクワラン、ワセリンなどの炭化水素油;メチルポリシロキサンなどの鎖状シリコーン;デカメチルシクロペンタシロキサンなどの環状シリコーン;トコフェロールおよびその誘導体、アスコルビン酸およびその誘導体などのビタミン類;ジブチルヒドロキシトルエン、亜硫酸塩などの酸化防止剤;フェノキエタノール、オクトキシグリセリン、パラベンなどの防腐成分;パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルなどの紫外線吸収剤;無機顔料、パール化剤、植物抽出エキス、香料、pH調整剤などを目的に応じて適宜配合することができる。
【0029】
本発明の皮膚用乳化化粧料を製造する場合、前記各構成成分を混合し、公知の方法、例えばホモミキサーを用いた転相乳化法により乳化することにより製造することができる。
【0030】
尚、本発明の皮膚用乳化化粧料は、持続に優れた保湿効果を奏することから、例えば、顔用、身体用として用いられる乳液状、クリーム状などの保湿剤として好適に用いることができる。
【実施例】
【0031】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。尚、配合量は、特記しない限り「重量%」を表す。また、評価はすべて、23℃、湿度60%の恒温恒湿の一定条件下で実施した。
【0032】
(試料の調製)
表1および表2に記した組成に従い、実施例1〜6および比較例1〜4の各皮膚用乳化化粧料を常法に準じてそれぞれ調製し、下記評価に供した。結果をそれぞれ表1および表2に併記する。
【0033】
(試験例1:低温安定性の評価)
各実施例および各比較例で得られた皮膚用乳化化粧料を、50mL容のジャー容器に封入し、−20℃から室温を24時間で凍結融解し、この操作を10回繰り返したときの乳化系の状態を目視観察して以下の評価基準に従って評価した。
【0034】
<低温安定性の評価基準>
◎:製造直後と全く変化が認められない
○:製造直後とほとんど変化が認められない
△:僅かな凝集・分離が認められる
×:明らかな凝集・分離が認められる
【0035】
(試験例2:高温安定性の評価)
各実施例および各比較例で得られた皮膚用乳化化粧料を、50mL容のジャー容器に封入し、50℃の恒温槽に120時間保管後、乳化系の状態を目視観察して以下の評価基準に従って評価した。
【0036】
<高温安定性の評価基準>
◎:製造直後と全く変化が認められない
○:製造直後とほとんど変化が認められない
△:僅かな凝集・分離が認められる
×:明らかな凝集・分離が認められる
【0037】
(試験例3:使用感の評価)
女性専門パネル20名により、各実施例および各比較例で得られた皮膚用乳化化粧料を顔面へ塗布して使用試験を行い、塗布5分後の「皮膜感」「べたつき感のなさ」および「保湿効果」、並びに、塗布6時間後の「保湿効果の持続」に関し、以下の5段階の評価基準に従って官能評価した。尚、評価は、下記評価基準により算出された平均点から下記判定基準にしたがって判定を行った。
【0038】
<使用感の評価基準>
5点:非常に良好
4点:良好
3点:普通
2点:不良
1点:非常に不良
【0039】
<使用感の判定基準>
◎:平均4.0点以上
○:平均3.0点以上4.0点未満
△:平均2.0点以上3.0点未満
×:平均2.0点未満
【0040】
【表1】

【0041】
【表2】

【0042】
表1および表2に示された結果から、各実施例で得られた皮膚用乳化化粧料は、各比較例で得られた皮膚用乳化化粧料と対比して、低温および高温状態で優れた保存安定性を有していることが分かる。また、べたつき感がなく、保湿効果に優れるとともに、その保湿効果が持続していることが分かる。
【0043】
以下、本発明に係る皮膚用乳化化粧料の処方例を示す。尚、含有量は重量%である。
【0044】
(処方例1)
デカメチルシクロペンタシロキサン 20.0
エタノール 5.0
濃グリセリン 5.0
マルチトール 5.0
1,3−ブチレングリコール 3.0
(アジピン酸・2−エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセリルオリゴエステル
3.0
(ジメチコン/(ポリエチレングリコール−10/15))クロスポリマー
2.0
(アクリル酸アルキル/ジメチコン)共重合体 1.5
メタクリル酸グリセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリル共重合体
0.1
マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル 0.1
グリセリンモノ−2−エチルヘキシルエーテル 0.1
1,2−オクタンジオール 0.1
dl−α−トコフェロール 0.1
精製水 残 部
合 計 100.0
【0045】
(処方例2)
デカメチルシクロペンタシロキサン 15.0
1,3−ブチレングリコール 7.0
エタノール 5.0
ポリエチレングリコール(20000) 2.0
ポリエチレングリコール(1500) 2.0
(ジメチコン/(ポリエチレングリコール−10/15))クロスポリマー
1.5
(アクリル酸アルキル/ジメチコン)共重合体 1.0
(アジピン酸・2−エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセリルオリゴエステル
2.0
メチルポリシロキサン・セチルメチルポリシロキサン・
ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体
0.5
1,2−オクタンジオール 0.2
メタクリル酸グリセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリル共重合体
0.1
12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル 0.1
dl−α−トコフェロール 0.1
精製水 残 部
合 計 100.0
【0046】
(処方例3)
デカメチルシクロペンタシロキサン 15.0
エタノール 5.0
濃グリセリン 5.0
ジグリセリン 5.0
マルチトール 4.0
(ジメチコン/(ポリエチレングリコール−10/15))クロスポリマー
2.0
(アジピン酸・2−エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセリルオリゴエステル
1.0
(アクリル酸アルキル/ジメチコン)共重合体 0.5
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.2
メタクリル酸グリセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリル共重合体
0.1
長鎖α−ヒドロキシ脂肪酸コレステリル 0.1
1,2−ペンタンジオール 0.1
dl−α−トコフェロール 0.1
精製水 残 部
合 計 100.0

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)シリコーン系皮膜形成剤、(B)二塩基酸を含む混合脂肪酸とグリセリンのオリゴエステル、(C)シリコーン系界面活性剤、並びに(D)多価アルコールおよび/又は糖アルコールを含有してなる皮膚用乳化化粧料。
【請求項2】
(A)成分が、(アクリル酸アルキル/ジメチコン)共重合体である請求項1に記載の皮膚用乳化化粧料。
【請求項3】
(B)成分が、(アジピン酸・2−エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセリルオリゴエステルである請求項1又は2に記載の皮膚用乳化化粧料。
【請求項4】
(C)成分が、ポリエーテル変性シリコーンである請求項1〜3の何れかに記載の皮膚用乳化化粧料。
【請求項5】
(C)成分が、(ジメチコン/(ポリエチレングリコール−10/15))クロスポリマーおよび/又はメチルポリシロキサン・セチルメチルポリシロキサン・ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体である請求項1〜3の何れかに記載の皮膚用乳化化粧料。
【請求項6】
更に、(E)メタクリル酸グリセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリル共重合体を含有してなる請求項1〜5の何れかに記載の皮膚用乳化化粧料。
【請求項7】
更に、(F)ステロールエステル類を含有してなる請求項1〜6の何れかに記載の皮膚用乳化化粧料。

【公開番号】特開2009−149623(P2009−149623A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−301706(P2008−301706)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(390011442)株式会社マンダム (305)
【Fターム(参考)】