説明

盗難監視システム付きテレビ装置

【課題】病院ベッドの近傍や床頭台の貴重品を入れた保管庫引出を監視するもので、テレビ装置の近傍で物が動いたり人が存在したときに、この状況を記録して後日解析可能した盗難監視システム付きテレビ装置を提供する。
【解決手段】病院ベッド近傍に配置するテレビ装置において、物が動くことに反応する動体センサーと、動体センサーの検知信号によって作動するビデオカメラと撮影回路と、作動したビデオカメラと撮影回路を所定時間稼働させるタイマーと、前記撮影記録を記録する記録素子とを前記テレビ装置に一体的に組み込み、テレビ装置の近傍で物が動いたことを検知して、テレビ装置の近傍の状況を所定時間撮影し記録する盗難監視システム付きテレビ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院のベッド等に配置するテレビ装置に関し、さらに詳しくは、テレビ装置に盗難監視等の録画装置を組み込んだ盗難監視システム付きテレビ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、病院のベッド等にはテレビ装置を備え付けた床頭台が配置されているが、このおり、この床頭台には鍵付きの貴重品を入れる小型ロッカーが引出しに組み込まれている。また、特許文献1、特許文献2に開示されているように、病院内ではテレビ共聴ラインを利用して、各ベッドに病室端末機・テレビ装置・テレビカメラ・マイクを配備してナースステイションと互いにコミュニケーションをとる病棟看護用の通信システムも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3040131号公報
【特許文献2】特開平9−294784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1、2に開示される画像端末装置は、ベッド近傍に設置されるテレビ装置とビデオカメラを取り付けたものではあるが、ビデオカメラの稼働は必要時にON/OFFするもので、ベッド近傍で盗難があった場合等の監視ではないので、盗難状況の解析には不向きであった。
また、ビデオカメラを常時稼働させることも考えられるが、無駄な電力消費を費やすばかりか、プライベートが守れない等の問題点があった。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、病院ベッドの近傍や床頭台の貴重品を入れた保管庫での盗難を防止し、保管庫等を監視するもので、特に、テレビ装置の近傍で物や人が動いたときに、この状況を記録しておき、後日テレビ近傍の状況を解析可能にする盗難監視システム付きテレビ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、病院ベッド近傍に配置するテレビ装置において、該物が動くことに反応する動体センサーと、該動体センサーの検知信号によって作動するビデオカメラと撮影回路と、該作動したビデオカメラと撮影回路を所定時間稼働させるタイマーと、前記撮影記録を記録する記録素子とを前記テレビ装置に一体的に組み込み、テレビ装置の近傍で物が動いたことを検知して、テレビ装置の近傍の状況を所定時間撮影し記録することを特徴とする盗難監視システム付きテレビ装置である。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の盗難監視システム付きテレビ装置において、床頭台の貴重品を収納する保管庫には、保管庫の作動を検知する作動センサーを設け、該作動センサーを前記タイマーに接続して、該作動センサーの検知信号によって前記タイマーを作動するようにしたことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の盗難監視システム付きテレビ装置において、前記記録素子は、記録容量が満杯になった場合は、自動的に古い記録内容を順次消去して新たに記録することを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1又は2又は3に記載の盗難監視システム付きテレビ装置において、前記記録素子はハードディスク又はメモリーカードであることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1又は2又は3又は4に記載の盗難監視システム付きテレビ装置において、前記タイマーの設定及び記録素子の操作パネルには鍵付きの蓋体を設けて監視権限のある者しか操作できないようにしたことを特徴する。
【発明の効果】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1の盗難監視システム付きテレビ装置によれば、病院ベッド近傍に配置するテレビ装置に、物が動くことに反応する動体センサーと連動してビデオカメラと撮影回路を稼働させ、その動画を録画しておけるので、後で盗難等があった場合にその状況を解析することが可能となる。
また、物が動くことを動体センサーで検知した後にタイマーで所定時間だけビデオカメラと撮影回路や記録素子等を稼働させ、その後は電源を切るので無駄な電力を消費することがない。
【0008】
また、請求項2の発明によれば、請求項1の効果に加えて、盗難の最も対象になりやすい床頭台の引き出しに引出作動センサーを接続して、引出センサーの検知信号によって作動するようにしたので、盗難監視がより確実になる。
請求項3の発明によれば、請求項1.2の効果に加えて、記録容量が満杯になった場合は、自動的に古い記録内容を順次消去して新たな記録するので、新たに記録素子を取り替えなくても自動的に直近の動画が保存できる。
請求項4の発明によれば、請求項1乃至3の効果に加えて、記録素子はハードディスク又はメモリーカードとしたので、簡易に記録することができ、特に、メモリーカードとすることで、保管の簡易にできる。
請求項5の発明によれば、請求項1乃至4の効果に加えて、タイマーの設定及び記録素子の操作パネルには鍵付きの蓋体を設けて監視権限のある者しか操作できないようにしたので、プライバイシーを適切に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例の盗難監視システムを組み込んだテレビ装置を床頭台に据え付けた状態の外観斜視図、
【図2】図1の盗難監視システムの操作パネルの拡大斜視図、
【図3】本発明の盗難監視システムの実施例のブロック図、
【図4】ナースステーションの集中管理画面の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の盗難監視システム付きテレビ装置の実施例を図面に沿って説明する。
通常、病院等のベッド近傍には床頭台1が配置され、先ず、図1に示すように、この床頭台1は天板11の上部には液晶型テレビ装置2が配置され、床頭台1の前面の上段12にはテレビ視聴の課金等を制御するカードタイマー17、中段13には引出18、その引出18の一部の内部には貴重品等を保管する鍵孔182を有した鍵で開閉可能な保管庫181が設けられ、下段14には冷蔵庫19が配置され、底板15には4個のキャスター16が取り付けられ床頭台1を移動可能にしている。
【0011】
テレビ装置2の適所には盗難監視システム3が組み込まれるが、この盗難監視システム3を構成するマイク331付きの監視ビデオカメラ33及び動体センサー5も一体的に組み込まれている。
なお、本実施例では監視ビデオカメラ33をベッド近傍での人物等の動きが撮影できるテレビ装置2の上面付近に設置したが、監視ビデオカメラ33はベッド近傍での人物等の動きが撮影できる位置であれば、本実施例以外でもテレビ装置の前面下方、或いは側面でもよく、動体センサー5は人や物等の動きが感知できる位置であればどこでもよい。この動体センサー5は、モーションセンサー或いは人体検出赤外線センサーとも呼ばれ、赤外線の変化を検出するもので、例えば集電型赤外線センサー(パナソニック電工:商標登録NaPiOn)で、熱源の温度変化や移動を検出するものである。
【0012】
テレビ装置2の枠体21の適所、本実施例では上面22に蓋体41付きの操作パネル4が設けられ、図2の拡大斜視図に示すように、窪み部に設けられた操作パネル4には盗難監視システム3の稼働スイッチ42、SDカード(登録商標)等のメモリーカードのためのカードスロット43、タイマー設定ツマミ44、必要に応じて記録内容を出力する出力端子45が設けられている。
【0013】
この操作パネル4は、安易に操作できないように、通常は操作出来ないように蓋41で覆われ、蓋41を開けるには鍵穴411に鍵414を差し込んで、鈎412を回動して、鈎受け413から契合を解錠して蓋41を図2の状態に上方に開けることができるように構成されている。これは記録素子に記録されて内容がプライバシーに係わる可能性もあるので、監視権限のある責任者の認可がなければ盗難監視システムの操作でがきないようにするためである。
【0014】
盗難監視システム3の構成を図3のブロック図に沿って説明する。
盗難監視システム3の電源はテレビ側電源23を利用した電源回路31であり、この電源回路31から撮影回路32に電源を供給しており、更に、この撮影回路32から監視ビデオカメラ33、タイマー34、記録回路35等の電源を必要とする各回路に電源を供給している。なお、テレビ側電源23を利用しているが、テレビ装置のON/OFFと連動するものではなく、テレビを視聴していなくても盗難監視システム3には電源が供給できるようにしてある。
【0015】
テレビ装置2の前面には、監視ビデオカメラ33及び動体センサー5が組み込まれている。また、床頭台1の貴重品入れとして使用される保管庫181が収納されている引出18には、鍵穴182に鍵が差し込まれたことを感知する保管庫(貴重品入)の作動センサー51を設けている。なお、この作動センサー51は鍵でなくても保管庫181が収納されている引き出しが動いたことを感知するセンサーでもよく、公知の構造のセンサーでもよい。
【0016】
ベッド及び床頭台1の近傍で人物が動くとそれを動体センサー5が感知し、その感知信号をタイマー34に入力して、タイマー34を稼働して設定された時間内に盗難監視システム3全体が稼働されるようになっている。同様に、保管庫181の鍵が差し込まれたり引出18が動くとそれを作動センサー51が感知し、その感知信号をタイマー34に入力して、タイマー34を稼働して設定された時間内に盗難監視システム3全体が稼働されるようになっている。
また、タイマー34の稼働時間設定は、タイマー設定回路341のタイマー設定ツマミ44の操作でなされるが、設定の例としては、5分、10分、30分、無制限の時間設定(タイマーを働かせない)が想定されるが、使用の要望に応じて自由である。
【0017】
このように、動体センサー5や作動センサー51が作動されると、盗難監視システム3が稼働され、床頭台1を含めたベッド近傍の状況を、監視ビデオカメラ33と撮影回路32で撮影を開示し、この内容を記録回路35によってハードディスク或いはSDカード等の記録素子36に記録して保存する。
記録素子36は、ハードディスク又はメモリーカードでよく、本実施例ではハードディスクとSDカード(商標登録)を併用しており、記録容量が満杯になった場合は、自動的に古い記録内容を順次消去して新たな内容を順次記録するようにしている。そして、設定された時間が経過すると、タイマー34が作動して盗難監視システム3の電源を閉じる。
後日、撮影記録が必要になった場合には、メモリーカードをカードスロット43から引き抜いて分析及び管理をすればよく、メモリーカードを使用しない場合には、記録内容を出力する出力端子45から別の機器の記録素子36に記録内容を移して保存してもよい。さらに、図3で一点鎖線で示したように、必要であれば、現状の撮影状況や過去の記録内容を、構内回線61を介して管理部門であるナースステーション6等で監視できるようにしてもよい。
【0018】
この際に、図4に示すように、ナースステーション6の監視すべきテレビ装置2からの構内回線61(61-1、61-2・・61-n)に接続した集中監視画面62を配備し、この集中監視画面62は動体センサー5或いは作動センサー51が作動して撮影回路32が稼働しているテレビ装置2の監視ビデオカメラ33の撮影画面のみを分割して表示して監視するようにしてもよい。
場合によっては、集中監視画面62にもビデオカメラ621とマイク622を組み込んでおき、ナースコールされているベッド番号は動体センサー5が作動しているので、そのベッドでのベッド番号(1,3,5・・・33)とともに分割画面に表示させておけば、ナースステーション6での看護師等はそのベッド番号の画面を拡大表示し、ベッド側のテレビ装置2の画面も立ち上げて患者と看護師等の間でテレビ電話を形成するようにしてもよい。
【0019】
以上の詳述したように、本実施例の盗難監視システム付きテレビ装置によれば、
病院ベッド近傍に配置するテレビ装置に、物が動くことに反応する動体センサーと連動してビデオカメラと撮影回路を稼働させ、その動画を録画しておけるので、後で盗難等が発覚した場合にその状況を解析することが可能となる。
また、物が動くことを動体センサーで検知した後に、タイマーで所定時間だけビデオカメラと撮影回路や記録素子等を稼働させ、その後は電源を切るので無駄な電力を消費することがない。もっとも、必要があればタイマーを切って連続撮影も可能としている。また、盗難の最も対象になりやすい床頭台の引き出しに引出作動センサーを接続して、引出センサーの検知信号によって作動するようにしたので、盗難監視がより確実になる。
【0020】
さらに、記録容量が満杯になった場合は、自動的に古い記録内容を順次消去して新たに記録するので、記録素子を取り替えなくても自動的に直近の動画が保存でき、記録素子はハードディスク又はメモリーカードとしたので、簡易に記録することができ、特に、メモリーカードとすることで、保管の簡易にできる。
また、タイマーの設定及び記録素子の操作パネルには鍵付きの蓋体を設けて監視権限のある者しか操作できないようにしたので、プライバイシーを適切に保護することができる。
なお、本発明の特徴を損なうものでなければ、上記の実施例に限定されるものでないことは勿論である。
【符号の説明】
【0021】
1・・床頭台、11・・天板、12・・上段、13・・中段、
14・・下段、15・・底板、16・・キャスター、
17・・カードタイマー、18・・引出、181・・保管庫、
182・・ロッカー開閉用の鍵穴、19・・冷蔵庫、
2・・テレビ装置、21・・枠体、22・・上面、23・・テレビ側電源、
3・・盗難監視システム、31・・電源回路、32・・撮影回路、
33・・監視ビデオカメラ、331・・マイク、34・・タイマー、
341・・タイマー設定回路、35・・記録回路、36・・記録素子、
4・・操作パネル、41・・蓋体、411・・鍵穴、412・・鈎、
413・・鈎受け、414・・鍵、42・・稼働スイッチ、
43・・カードスロット、44・・タイマー設定ツマミ、45・・出力端子、
5・・動体センサー、51・・作動センサー、
6・・ナースステーション、61・・構内回線、62・・集中監視画面、
621・・ビデオカメラ、622・・マイク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
病院ベッド近傍に配置するテレビ装置において、
該物が動くことに反応する動体センサーと、
該動体センサーの検知信号によって作動するビデオカメラと撮影回路と、
該作動したビデオカメラと撮影回路を所定時間稼働させるタイマーと、
前記撮影記録を記録する記録素子とを前記テレビ装置に一体的に組み込み、
テレビ装置の近傍で物が動いたことを検知して、テレビ装置の近傍の状況を所定時間撮影し記録することを特徴とする盗難監視システム付きテレビ装置。
【請求項2】
床頭台の貴重品を収納する保管庫には、保管庫の作動を検知する作動センサーを設け、該作動センサーを前記タイマーに接続して、該作動センサーの検知信号によって前記タイマーを作動するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の盗難監視システム付きテレビ装置。
【請求項3】
前記記録素子は、記録容量が満杯になった場合は、自動的に古い記録内容を順次消去して新たに記録することを特徴とする請求項1又は2に記載の盗難監視システム付きテレビ装置。
【請求項4】
前記記録素子はハードディスク又はメモリーカードであることを特徴とする請求項1又は2又は3に記載の盗難監視システム付きテレビ装置。
【請求項5】
前記タイマーの設定及び記録素子の操作パネルには鍵付きの蓋体を設けて監視権限のある者しか操作できないようにしたことを特徴する請求項1又は2又は3又は4に記載の盗難監視システム付きテレビ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−5241(P2013−5241A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134640(P2011−134640)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(500302404)トーヨーベンディング株式会社 (25)
【Fターム(参考)】