説明

監視カメラ

【課題】監視領域の画像の輝度値と照度を比較して妨害行為を検知する手法の信頼性を向上させた監視カメラを提供する。
【解決手段】監視カメラ1aは、ハウジング5に設けられた撮像素子7と、ハウジングの撮像部と異なる面に設けられた受光部12aと、受光部内に設けられて照度を検出する照度センサ11と、撮像素子の画像と照度センサの照度から妨害行為を判定する妨害判定部15を有する。受光部から見て撮像方向となる側に隣接して庇部13aが設けられているので、周辺ノイズ光を庇部で遮光して受光部に入らないようにできるため、誤報を防止し、妨害行為の検知精度が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗や会社等の人の出入りが激しい場所に設置して、不審者の行動を監視及び録画する監視カメラに係り、特に妨害行為の検知能力についての信頼性が高い監視カメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、店舗内など所望の監視場所に監視カメラを設置して、撮像される画像をモニターに表示して監視したり、事後的な証拠として用いるために画像データを記録することができる監視カメラシステムが広く知られている。
【0003】
このような監視カメラシステムでは、例えば、不正行為者が、カメラの撮像レンズを手などで覆ったりカバーを被せるなどして撮像できないようにした後で犯行に及ぶおそれがあり、この対策として特許文献1にかかる特許出願が行われている。
【0004】
特許文献1には、監視領域の照度を検出する照度センサーを監視カメラに設け、または監視カメラから離れた場所に設け、照度が所定値以上である(すなわち明るい)にも拘らず、撮像された画像の輝度値が所定以下である(すなわち暗い)場合に、レンズを塞ぐなどの妨害行為があったと判定する監視カメラシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−218189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の発明のように、監視領域の画像の輝度値と照度とを比較する場合は、照度センサで何処の照度を検出するかという点が判定結果の信頼性に大きく影響する。例えば、照度センサを監視カメラから離れた場所に設けて、監視領域において撮像部が撮像している撮像範囲とは全く異なる領域の照度を検出している場合には画像の輝度値と照度とが不一致となり誤測定してしまう可能性が高い。また、照度センサを監視カメラのハウジングに配置した場合であっても、照度センサが撮像方向以外の例えば天井面の環境照度を検出していると、監視カメラを設置している店舗の閉店時等に撮像範囲を消灯して画像全体が暗転したとき、それが正規の行動だったとしても、通常であれば照度も暗転して正常と判定されるべきところを、誘導灯の光を受光する等して画像の輝度値と照度とが不一致となり、レンズを塞ぐなどの妨害行為が発生したと誤判定してしまうおそれがある。
【0007】
このため、照度センサが検出する照度は撮像部の撮像範囲に合わせることが好ましいが、この場合には別の問題が生じるおそれがある。監視領域において撮像部と照度センサが同じ視野乃至方向の光を受光するように両者をカメラハウジングの前面に配置した構成とすると、監視カメラの前方が広く覆われた場合であっても、両者の計測値に不整合が生じないと、必ずしも正確に妨害行為を検出できないおそれがある。
【0008】
出願人は、従来の監視カメラに対する妨害行為の検出について種々の実験を行い、鋭意研究した結果、上述したような課題を見出すに至ったものである。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、監視領域を撮像した画像の輝度値と監視領域の照度とを比較して妨害行為を検知する手法の信頼性を向上させた監視カメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の監視カメラは、ハウジングと、前記ハウジングに設けられて所定の撮像方向で監視領域を撮像する撮像部と、前記ハウジングに設けられた受光部と、前記受光部内に設けられて監視領域の照度を検出する照度検出部と、前記受光部に近接する位置で前記ハウジングの表面から突出して設けられた庇部と、前記撮像部が撮像した画像の輝度値が所定値以下であり、かつ前記照度検出部が検出した照度が所定値以上の場合に、妨害行為があったことを判定する妨害判定部とを備えたことを特徴としている。
【0010】
本発明によれば、前記受光部を、前記ハウジングの外面において少なくとも前記撮像部が設けられた第1面とは異なる第2面に形成し、前記庇部を、前記受光部から見て前記撮像方向となる側に隣接して設けた構成とすることができる。
【0011】
本発明によれば、前記受光部を、前記ハウジングの外面において前記第1面にも形成し、前記庇部を、前記第2面から突出するように設けた構成とすることができる。
【0012】
本発明によれば、前記第2面を、前記監視カメラを室内に設置した状態において、天井と対向する面であるように構成することができる。
【0013】
本発明によれば、前記照度検出部を、その受光面が前記撮像部の撮像方向と同一方向となるように前記受光部内に設置し、前記受光部内に、前記撮像方向とは異なる方向から受光部に入射する光が前記撮像部の撮像方向と同等の方向からの光として前記受光面に到達するよう案内する案内手段を設ける構成とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の監視カメラによれば、照度検出部が設けられた受光部の近傍には、ハウジングの表面から突出した庇部があるので、周辺ノイズ光の光源が受光部から見て庇部の向こう側に存在するように装置を配置すれば、受光部の照度検出部が周辺ノイズ光を受光しないようにすることができるため、監視領域を撮像した画像の輝度値と監視領域の照度とを比較して妨害行為を検知する判定を正確に行なえる可能性が高くなり、監視カメラとしての信頼性が向上する。
【0015】
また本発明によれば、撮像方向以外の方向からの光が受光部に入射しうるように、ハウジングの撮像部が設けられている面以外の面に受光部を形成し、庇部を受光部から見て撮像方向となる側に隣接して設けるように構成することができる。
【0016】
また本発明によれば、ハウジングの撮像部が設けられている面にも受光部を形成し、庇部をハウジングの表面から突出するように構成することができる。
【0017】
本発明によれば、監視カメラを室内に設置した状態において、ハウジングの天井と対向する面に受光部を設けるように構成することができる。
【0018】
本発明によれば、照度検出部を、その受光面が撮像部の撮像方向と同一方向となるように受光部内に設置し、その受光部内に光の案内手段を設け、撮像方向とは異なる方向から受光部に入射する光を案内手段で案内して撮像方向と同一方向の光として照度検出部に到達するように構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る監視カメラの設置状況を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る監視カメラシステムの全体構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る監視カメラの斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る監視カメラの受光部の拡大断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る監視カメラシステムの妨害判定部における妨害判定手順を示す流れ図である。
【図6】本発明の実施形態に係る監視カメラシステムの一部である画像記録装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図7】本発明の実施形態に係る監視カメラの変形例における受光部付近の拡大断面図である。
【図8】本発明の実施形態に係る監視カメラの他の変形例における受光部付近の拡大断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る監視カメラの斜視図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係る監視カメラの斜視図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係る監視カメラの斜視図である。
【図12】本発明の第5実施形態に係る監視カメラの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
1.第1実施形態(図1〜図8)
第1実施形態に係る監視カメラ1a及び当該監視カメラ1aを含む監視カメラシステムについて図1乃至図8を参照して説明する。
【0021】
(1)全体構成
図1に示すように、本実施形態の監視カメラシステムでは、店舗や会社等の部屋R内等で、通常の照明L1の他、常時点灯している非常灯L2等の照明が設けられている天井Cに監視カメラ1aを設置し、同部屋R内の監視領域における人物Pの行動を監視するものであり、この監視カメラ1aが撮像した画像は、別の場所に設置した後述する画像記録装置等においてモニターされ、必要に応じて録画される。なお、この図1では、一つの部屋R内に設けられた一台の監視カメラ1aを示しているが、後述するように監視カメラシステムが含む監視カメラ1aの台数に制限はない。
【0022】
図2に示すように、本実施形態の監視カメラシステムは、監視区域に設置されて当該区域を撮影する前述した1台以上の監視カメラ1aと、この監視カメラ1aが撮像した画像データを記録するために監視カメラ1aとは別の場所に設置された画像記録装置2がLAN3により接続されて構成されたものである。なお、監視カメラ1aと画像記録装置2を接続するネットワークはLAN3に限定されず、インターネット網やISDN網などの広域網を用いてもよい。また、画像記録装置2は、外部機器として、監視区域の画像の表示等に使用可能なLCD等のようなディスプレイ4(画像表示手段)等の外部機器と接続されている。
【0023】
(2)監視カメラ1a
監視カメラ1aは、各設置場所にて撮影した画像をデジタル符号化し、LAN3を介して画像記録装置2に画像データを送信する手段である。
【0024】
図2に示すように、監視カメラ1aは、本体となる略直方体形状のハウジング5に、ハウジング5外にある監視領域の画像を取り入れる光学系6と、光学系6が取り入れた画像を所定の画像信号に変換して出力する撮像素子7から構成される撮像部を備えている。なお、図3に示すように、撮像部の光学系6は、略直方体形状のハウジング5の外面において、前方の撮像方向に向けて突出するように前面5aに取り付けられている。
【0025】
図2に示すように、さらに、ハウジング5内には、撮像部の撮像素子7から送られたアナログの画像信号をデジタル信号に変換する画像アナログ/デジタルコンバータ8と、画像アナログ/デジタルコンバータ8からの信号を圧縮処理して圧縮符号化データ(画像データ)を生成・出力する画像圧縮回路9と、画像圧縮回路9からの画像データをLAN3を介して画像記録装置2に送信する通信部10とを備えている。なお、すべての監視カメラ1aには、各監視カメラ1aを個々に識別するためのカメラ番号が付されており、各監視カメラ1aの回路構成の何れかの部分に設けられた図示しない記憶部に、各監視カメラ1aのカメラ番号が予め記憶されている。
【0026】
監視カメラ1aでは、撮像素子7が出力する画像信号は、撮影情報として記憶された撮影間隔で画像アナログ/デジタルコンバータ8においてデジタル信号に変換され、さらにこのデジタル信号は、撮影情報として記憶された画質に対応するパラメータに従って画像圧縮回路9において圧縮され、圧縮符号化データ(画像データ)が生成される。
【0027】
本実施形態では画像圧縮符号化方式としてJPEG2000規格に準拠した方式を採用したが、JPEG規格やMPEG2Video規格など他の規格であってよい。また、異なる画像圧縮符号化方式のカメラがLAN3上に混在してもよいし、監視カメラ1aの画像圧縮符号化方式が切り替えられるようになっていてもよい。
【0028】
生成された画像データは、通信部10からLAN3を介して画像記録装置2に送信される。このとき送信される画像データには、前述したカメラ番号が含まれる。なお、監視カメラ1aに図示しないマイクを設けておき、監視領域で該マイクから入力される音声信号を圧縮符号化し、画像データと多重化してLAN3に出力し、画像記録装置2に送信してもよい。
【0029】
次に、図2に示すように、監視カメラ1aは、ハウジング5内に、ハウジング5外にある監視領域の照度を検出するための照度検出手段として照度センサ11を有している。図2には示さないが、照度センサ11は、監視カメラ1aのハウジング5に形成された受光部12を介して外からの光を受光する。
【0030】
図3に示すように、本実施形態の監視カメラ1aは、略直方体形状のハウジング5の外面において、撮像部の光学系6が取り付けられた前面5aに設けられた受光部12aと、該前面5aに連続する上面5bに設けられた受光部12bとを備えている。これら受光部12a,12bはハウジングの表面に形成された開口であり、その内部であるハウジングの内側は小空間になっており、ここに前記照度センサ11が設けられている。受光部12a,12bには透明なカバーが設けられ、内部の照度センサ11を保護している。従って、この受光部12a,12bは、撮像素子7の撮像方向である正面5a側の監視領域からの光と、この撮像方向とは異なる天井に対向する上面5b側の上方からの光を取り入れることができる。
【0031】
図3及び図4に示すように、ハウジング5に形成された受光部12a,12bの内部には、照度センサ11が設けられている。照度センサ11は、その受光面30を前方に向けて配置されており、撮像素子7の撮像方向である正面5a側の監視領域からの光を直接受光できるようになっている。また、図3では図示を省略しているが、図4で詳細に示すように、受光部12a,12bの内部、すなわち照度センサ11が配置された筐体内の空間には、撮像方向とは異なる上方向から受光部12bに入射する光が、撮像素子7の撮像方向と略同一方向から前記照度センサ11の受光面30に到達するように、入射光を反射して案内する案内手段としての反射ミラー14が設けられている。本例の反射ミラー14は、反射面を上側と下側に向けて同方向に45度傾斜した姿勢とされた2枚の反射ミラー14,14を、光の入射側から所定間隔で並べた2枚組の部材であり、真上の天井の方向から入射した光は、撮像素子7の撮像方向と同一方向ではないが、これに近い前方斜め上方からの光として照度センサ11の受光面30に到達することができる。従って、この受光部12a,12bによれば、照度センサ11の受光能力に多少の指向性があっても、受光面30に前方から当たる撮像素子7の撮像方向からの光と、この光とは垂直な上方の天井側からの光を、共に適正に検出することができる。なお、前述した反射ミラー14の他、例えばプリズム、ハーフミラー、導光板等を使用して案内手段を構成しても良い。
【0032】
なお、本実施形態では、受光部12a,12bの内部において照度センサ11を受光面30が正面に向くように配置し、受光部12a内に反射ミラー14を設けて上方からの光を受光面30側に導くようにしたが、斜め前方45度の方向に対して受光面30が向くように照度センサ11を受光部12a内で配置し、前方からの光と上方からの光が共に同一の条件で受光面30に入射するようにしてもよい。この場合には反射ミラー14等の案内手段は不要である。
【0033】
図3及び図4に示すように、受光部12bに近接したハウジング5の上面5bには、斜め後方かつ上方に向けて、板状の庇部13aが突出して設けられている。この庇部13aは、上方に向けてやや凸状となった緩い湾曲形状の矩形板であって、その幅はハウジング5の幅に略等しく、その高さは、図1に示すように天井Cに取り付けた場合に天井Cには接しないが、近接した非常灯L2からの光を受光部12bにノイズ光として入射させない程度の寸法に設定されている。
【0034】
このように、庇部13aは、撮像部の光学系6が設けられた前面5aとは異なる上面5bの受光部12bから見て、撮像方向の側に隣接して受光部12bに覆い被さるように設けられている。従って、周辺ノイズ光の光源となる非常灯L2等が、受光部12bから見て庇部13aの向こう側に存在するように装置を配置すれば、非常灯L2からの光が周辺ノイズ光として受光部12aから入り、照度センサ11に検知されて誤報の原因となってしまうことが避けられる。よって、監視領域を撮像した画像の輝度値と監視領域の照度とを比較して妨害行為を検知する判定を正確に行なえる可能性が高くなり、この種の監視カメラとしての信頼性が向上する。なお、本実施形態では庇部がハウジング5の幅に略等しく形成される例について説明するが、少なくとも正面視で受光部12bを覆える大きさであればよい。
【0035】
次に、図2に示すように、さらに、前記監視カメラ1aは、妨害行為の存在の有無を判定する妨害判定部15を備える。妨害判定部15は、画像データの輝度値を算出し、かかる輝度値と照度センサ11の検出結果とに基づいて光学系6を塞いで撮像不能とするような妨害行為が行われているか否かを判定する手段である。
【0036】
図5に示すフローチャート及び図2を参照して、上で簡単に説明した妨害判定部15による妨害行為の判定手順を説明する。
まず、監視カメラシステムの各部の電源をオンにする。システムの各監視カメラ1aは、それぞれ監視領域の画像を撮像素子7で撮像し、画像信号を妨害判定部15に出力する。妨害判定部15では、ステップS1で撮像素子7から所定時間間隔で画像信号を取り込む。ステップS2では、得られた各フレームの画像ごとに、当該画像を構成する各画素の輝度値(輝度の階調で256段階)を算出し、さらに平均処理を行なって画像全体の平均輝度値を算出する。ステップS3において、算出された画像全体の平均輝度値と、予め定めておいた所定の輝度値とを比較する。これは、監視領域の画像が全体として暗いか明るいかを一定の基準で判断するステップであり、画像全体の平均輝度値よりも所定の輝度値の方が大きい場合(ステップS3でYES)には、監視領域が暗い場合であり、ステップS4に進む。ステップS4では、1フレームを構成する複数の分割領域の各々について、各分割領域が含む複数の画素の各輝度値を平均処理して当該分割領域の平均輝度値を算出する。ステップS5では、平均輝度値を算出した複数の分割領域の中で、所定の輝度値以下の分割領域がいくつあるかを算出する。ここで用いる所定の輝度値はステップS3で用いた輝度値と同一であっても異なっていてもよい。そしてステップS6において、所定の輝度値以下の分割領域の数と、予め定めた所定値mとを比較する。これは、監視領域の画像において暗い部分が多いか否かを一定の基準で判断するステップであり、所定の輝度値以下の分割領域の数が、予め定めた所定値mよりも大きい場合(ステップS6でYES)には、監視領域の画像に暗い部分が多い場合であり、ステップS7に進む。そして、ステップS7では、照度センサ11が検出した照度と予め定めた所定値とが比較され、照度センサ11が検出した照度が予め定めた所定値以上である場合(ステップS7でYES)には、撮像素子7の監視領域は所定の基準よりも暗いのに、照度センサ11の監視領域は所定の基準よりも明るい場合であり、撮像部に対する何らかの妨害行為があったものと判断してステップS8で異常信号を出力する。電源がONである間は以上のステップによる判断を繰返し、妨害行為の検出を継続して行なう。
【0037】
このように、妨害判定部15では、監視領域の画面が全体として暗く(ステップS3でYES)、かつ監視領域の画面中に暗い部分が多い(ステップS6でYES)場合に、監視領域の画面が基準よりも暗いものと判断し、その場合に、撮像素子7による検出方向だけでなく他方向も検出対象としている照度センサ11の検出した照度を基準と比較し、照度については一定基準以上である場合に、妨害行為があったものと判断している。
【0038】
図2に示すように、妨害判定部15は、妨害行為ありと判定すると、その判定結果と判定に用いた情報を異常信号として出力し、当該監視カメラ1aのカメラ番号の情報と共に通信部10からLAN3を経て画像記録装置2に送る。
【0039】
(3)画像記録装置2
図2及び図6に示す画像記録装置2は、監視カメラ1aから受信する画像データや異常信号の記録を行い、監視カメラ1aから妨害行為などの異常情報を受信した場合には警告のために報知出力を行う。
【0040】
図6に示すように、画像記録装置2は、通信部16と、外部機器接続部17と、報知部18と、操作部19と、記憶部20と、制御部21とを含んでいる。
【0041】
図6に示すように、制御部21は、記録処理部22と、表示制御部23と、報知制御部24を含んでいる。通信部16は、LAN3に接続された通信I/Fである。画像記録装置2は、この通信部16によって前記LAN3を介して前記監視カメラ1aと、図示しない監視センタとに接続される。
【0042】
外部機器接続部17には、モニタリング機器として前述したLCD等のディスプレイ4が接続されている。
【0043】
報知部18は、LEDなどの発光手段及び/又はブザー等の鳴動手段等からなり、監視カメラ1aから妨害行為などの異常情報を受信した場合に光や音で報知を行う。なお、外部機器接続部17に接続された前述したディスプレイ4等のモニタリング手段を報知部として機能させることで報知部18を省略する構成としてもよい。
【0044】
操作部19は、複数のボタンなどから構成され、利用者により操作されて画像記録のスケジュールなどの設定情報を入力する。
【0045】
記憶部20は、ROM/RAM、ハードディスクドライブ(HDD)や、DVD−Rなどの記憶媒体である。記憶部20は、記録処理部22により書き込み制御されて監視カメラ1aから受信する画像データ25や異常信号による異常情報26を記録する。
【0046】
制御部21の記録処理部22は、操作部19で設定された設定情報に基づき、各監視カメラ1a毎に受信する画像データ25をカメラ番号および現在時刻とともに順次記憶部20に記録する。また、監視カメラ1aから異常信号を受信すると、異常信号に含まれる各種情報をカメラ番号および現在時刻に対応させて記憶部20に異常情報26として記録する。
【0047】
制御部21の表示制御部23は、監視カメラ1aから受信した画像データ25を伸張して外部機器接続部17から外部機器であるディスプレイ4に表示出力する。また、この表示制御部23は、記録処理部22にて異常判定がなされると、ディスプレイ4に、異常と判定された画像とともに異常表示を重ねて表示出力する。画策により撮像手段の光学系6の前方が覆われ、撮像素子7による画像が暗くなった場合であっても、単にディスプレイ4の画面が暗くなっただけでは通常の消灯時等の画面と同じであるため、それだけで異常であるとは判断できない。そこで、この表示制御部23は、異常判定があった場合には、暗くなったディスプレイ4の画面に、例えば「撮像部遮蔽による異常」等といった文字等を表示し、監視領域を映しているディスプレイ4の暗い画面が異常によるものであることを示す。
【0048】
制御部21の報知制御部24は、監視カメラ1aから異常信号を受信すると、報知部18に異常を報知出力させる。なおこのとき、遠隔の監視センタに設けられたセンタ装置に対して警報信号を出力してもよい。
【0049】
2.第1実施形態の変形例(図7及び図8)
図7は、先に説明した第1実施形態の監視カメラ1aにおいて、庇部13aに替えて、形状の異なる他の庇部13bを設けた変形例を示すものである。その他の部分は第1実施形態と同一であり、その説明を援用する。この庇部13bは、撮像方向に平行な鉛直平面による断面が略三角形状である三角柱状の部材であり、撮像方向側の前面が斜辺であり、後方側が垂直面となっている。庇部13bの設置位置は前記庇部13aと同様である。このような庇部13bによっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0050】
図8は、先に説明した第1実施形態の監視カメラ1aにおいて、庇部13aに替えて、形状の異なる他の庇部13cを設けた変形例を示すものである。その他の部分は第1実施形態と同一であり、その説明を援用する。この庇部13cは、撮像方向に平行な鉛直平面による断面が略半球形状である半円柱状の部材であり、周面の側を上に向けて撮像方向と直交するように、前記庇部13aと同位置に設置されている。このような庇部13bによっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。なお、図7、図8に示した三角柱状及び半円柱状の例に限らず、四角以上の角柱や断面コ字状であってもよい。
【0051】
3.その他の実施形態(図9〜図12)
受光部12又は庇部13の構造が第1実施形態と異なるその他の実施形態の監視カメラについて図9〜図12を参照して説明する。
まず、図9に示す監視カメラ1bは、ハウジング5の外面において、撮像部の光学系6が設けられた前面5aとは異なる上面5bに唯一の受光部12bが形成されている。庇部13aの構造、設置位置等は第1実施形態と同一である。この監視カメラ1bは、照度センサ11が撮像部の撮像方向とは異なる上方向だけを対象としているが、監視カメラ1cの前方である撮像方向と上方向が略同一の照明状態であるような照明環境下であって、特に監視カメラ1cの前方又は前方斜め上方に消灯時等のノイズ光の光源が存在する場合に該光源からの光を遮光するのに有効であり、第1実施形態と略同様の効果を奏することができる。
【0052】
次に、図10に示す監視カメラ1cは、ハウジング5の外面において、撮像部の光学系6が設けられた前面5aに唯一の受光部12aが形成されている。庇部13dは、第1実施形態の庇部13aと略同一の外形であるが、受光部12aに近接してハウジング5の前面5aの上縁に沿って前方に略水平に突出して設けられている。この庇部13dは、受光部12aに対して上方からの光を遮ることができる形状となっている。従って、この監視カメラ1cは、特に監視カメラ1cの前方の上方に消灯時等に誤報の原因となるノイズ光の光源が存在する場合に該光源からの光を遮光するのに有効であり、第1実施形態と略同様の効果を奏することができる。
【0053】
次に、図11に示す監視カメラ1dは、ハウジング5の外面において、撮像部の光学系6が設けられた前面5aに受光部12aが形成され、さらに一側面5cにも受光部12cが形成されている。庇部13eは、側面5cの受光部12cから見て撮像方向となる側に隣接して設けられている。そして、この庇部13eは側面5cから突出しており、さらに撮像方向とは反対である後方に向けて湾曲している。このように庇部13eは、受光部12cに対して撮像方向である前方からの光と側方からの光を遮ることができる形状となっている。従って、この監視カメラ1dは、照度センサ11は撮像部と同一方向及び異なる方向を検知できるので妨害行為の検出精度が向上する。また、監視カメラ1dの前方及び側方にノイズ光の光源が存在する場合に該光源からの光を遮光するのに有効であり、第1実施形態と略同様の効果を奏することができる。
【0054】
次に、図12に示す監視カメラ1eは、ハウジング5の外面において、撮像部の光学系6が設けられた前面5aに受光部12aが形成され、上面5bに受光部12bが設けられ、さらに一側面5cにも受光部12cが形成されている。庇部13aは第1実施形態の庇部であり、庇部13eは図11で説明した監視カメラ1dの庇部である。従って、この監視カメラ1eは、照度センサ11が撮像部と同一方向及び異なる2つの方向を検知できるので妨害行為の検出精度が向上する。また、監視カメラ1eの前方乃至前方斜め上方及び側方にノイズ光の光源が存在する場合に該光源からの光を遮光するのに有効であり、第1実施形態と略同様の効果を奏することができる。
【0055】
以上説明した各実施形態によれば、庇部は、照度センサ11に入射して誤報の原因となるノイズ光が受光部に入らないように遮光する機能を備えているが、例えば工場等において、粉塵が飛散しているような環境下にこの監視カメラを設置した場合には、粉塵が流れてくる方向に対向して特に板状の庇部を設け、受光部がその陰となるようにすれば、受光部が粉塵で覆われて照度センサが外界の照度を検知できなくなるといった不都合を防止する効果も得られる。
【符号の説明】
【0056】
1,1a,1b,1c,1d,1e…監視カメラ
2…画像記録装置
5…ハウジング
5a…ハウジングの前面
5b…ハウジングの上面
5c…ハウジングの側面
6…撮像手段を構成する光学系
7…撮像手段を構成する撮像素子
11…照度検出手段としての照度センサ
12a,12b,12c…受光部
13a,13b,13c,13d,13e…庇部
14…案内手段としての反射ミラー
30…照度センサの受光面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングに設けられて所定の撮像方向で監視領域を撮像する撮像部と、
前記ハウジングに設けられた受光部と、
前記受光部内に設けられて監視領域の照度を検出する照度検出部と、
前記受光部に近接する位置で前記ハウジングの表面から突出して設けられた庇部と、
前記撮像部が撮像した画像の輝度値が所定値以下であり、かつ前記照度検出部が検出した照度が所定値以上の場合に、妨害行為があったことを判定する妨害判定部と、
を備えたことを特徴とする監視カメラ。
【請求項2】
前記受光部は、前記ハウジングの外面において少なくとも前記撮像部が設けられた第1面とは異なる第2面に形成されており、
前記庇部は、前記受光部から見て前記撮像方向となる側に隣接して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の監視カメラ。
【請求項3】
前記受光部は、前記ハウジングの外面において前記第1面にも形成されており、
前記庇部は、前記第2面から突出するように設けられていることを特徴とする請求項2に記載の監視カメラ。
【請求項4】
前記第2面は、前記監視カメラを室内に設置した状態において、天井と対向する面であることを特徴とする請求項2又は3に記載の監視カメラ。
【請求項5】
前記照度検出部は、その受光面が前記撮像部の撮像方向と同一方向となるように前記受光部内に設置され、
前記受光部内に、前記撮像方向とは異なる方向から受光部に入射する光が前記撮像部の撮像方向と同等の方向からの光として前記受光面に到達するよう案内する案内手段が設けられたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一つに記載の監視カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−211558(P2011−211558A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78200(P2010−78200)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000108085)セコム株式会社 (596)
【出願人】(591128453)株式会社メガチップス (322)
【Fターム(参考)】