説明

監視システム、及び監視方法

【課題】所定の領域の動画を撮像すると共に、人物の行動を追従して動画を撮像する。
【解決手段】本発明に係る監視システムは、ミラー部と、ミラー部が反射した画像を撮像する撮像部と、ミラー部が複数の異なる領域の画像を連続して撮像部の方向に反射するように、ミラー部を回転させるミラー回転制御部と、ミラー部の回転毎に、ミラー部が所定の方向を向いているときにミラー部が撮像部の方向に反射している所定の領域を撮像部に撮像させることによって、所定の領域の動画を取得する撮像制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視システム、及び監視方法に関する。特に、本発明は、所定の方向の動画を撮像する監視システム、及び監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、撮像装置を用いた監視システムが様々な場所に配置され、侵入者の検知等に用いられている。通常の監視システムに用いられている撮像装置においては、撮像装置の視野角が限られているので、単独の撮像装置でカバーできる撮像領域には限度があった。したがって、広い範囲の撮像領域をカバーするためには、複数台の撮像装置を設置するか、又は、広い視野角を有する広角レンズを備えた撮像装置を用いることで、撮像領域を広げている。
【0003】
また、撮像装置の撮像領域内の音声を集音して、撮像領域内における異常を音圧の変化に基づいて検知する。続いて、音圧の変化が検出された場合に、撮像領域から動体の抽出、撮像領域のズーム処理、及び抽出された動体が含まれる画像の圧縮率を変化させる監視装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−120595号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
監視装置は、撮像領域内で検知された人物の行動を監視することを目的として、広い領域の画像を取得することが要求される。しかしながら、複数台の撮像装置を用いる場合には、撮像装置の設置場所の確保、メンテナンスの手間等により、コストがかかる。また、広角レンズを備えた撮像装置で撮像する場合においては、侵入者等の動きを検出することはできるものの、単位監視面積当たりの解像度が低いので、侵入者等の行動を明確に把握するのが困難な場合がある。
【0005】
また、特許文献1に記載の発明においては、音圧の変化に基づいて撮像領域内における異常を検知することにより画像を撮像する方法が提案されている。係る場合において、侵入者等が忍び込んできた場合における音圧の変化が、予め定められた基準値よりも小さい場合には、撮像画像の圧縮率を変化させて画像を撮像することができない場合がある。したがって、侵入者等の行動を適確に撮像できない場合がある。また、特許文献1に記載の発明においては、予め定められた範囲の領域についてしか撮像できないので、例えば、室内等の全領域を監視する場合には、複数の監視装置を要するので、メンテナンス、及びコスト等の面が問題となる場合がある。
【0006】
そこで本発明は、上記課題を解決することができる監視システム、及び監視方法を提供することを目的とする。この目的は特許請求の範囲における独立項に記載の特徴の組み合わせにより達成される。また従属項は本発明の更なる有利な具体例を規定する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態においては、監視システムであって、ミラー部と、ミラー部が反射した画像を撮像する撮像部と、ミラー部が複数の異なる領域の画像を連続して撮像部の方向に反射するように、ミラー部を回転させるミラー回転制御部と、ミラー部の回転毎に、ミラー部が所定の方向を向いているときにミラー部が撮像部の方向に反射している所定の領域を撮像部に撮像させることによって、所定の領域の動画を取得する撮像制御部とを備える。
【0008】
また、撮像制御部は、ミラー部の回転毎に、ミラー部が複数の方向をそれぞれ向いているときにミラー部が撮像部の方向にそれぞれ反射している複数の領域のそれぞれを撮像部に撮像させることによって、複数の領域の動画を取得してよい。そして、撮像部が連続して撮像した複数の領域のフレーム画像を、ミラー部の回転周期に同期したタイミングで間引いて選択する表示制御部と、表示制御部が選択したフレーム画像を順次表示することで、所定の領域の動画を再生する表示部とをさらに備えてもよい。更に、撮像部が撮像した動画に含まれる人物を抽出する人物抽出部と、人物抽出部が抽出した人物の移動ベクトルを算出する移動ベクトル算出部と、移動ベクトル算出部が算出した移動ベクトルに基づいて、人物の動きを予測する動き予測部とをさらに備え、撮像制御部は、撮像部の露光タイミングを変化させることによって、撮像部に撮像させる複数の領域を動き予測部が予測した人物の動きに追従させて回転させてもよい。
【0009】
また、本発明の第2の形態においては、監視方法であって、ミラー部が反射した画像を撮像する撮像段階と、ミラー部が複数の異なる領域の画像を連続して撮像部の方向に反射するように、ミラー部を回転させるミラー回転制御段階と、ミラー部の回転毎に、ミラー部が所定の方向を向いているときにミラー部が撮像部の方向に反射している所定の領域を撮像部に撮像させることによって、所定の領域の動画を取得する撮像制御段階とを備える。
【0010】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、所定の領域の動画を撮像すると共に、動画に含まれる人物の行動を追従して動画を撮像することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る監視システム100の機能構成の一例を示す。監視システム100は、ミラー部10、回転軸12、撮像部20、ミラー回転制御部30、撮像制御部40、画像格納部50、表示制御部60、表示部70、人物抽出部80、移動ベクトル算出部82、及び動き予測部84を備える。また、撮像部20は、光学系、及び受光デバイスを有してよい。更に、受光デバイスは、複数の受光素子を含んでいてよい。本実施形態に係る監視システム100は、所定の領域の動画を撮像すると共に、撮像領域に含まれる人物の行動を追従して、動画を撮像することを目的とする。
【0014】
回転軸12は、ミラー回転制御部30の制御に基づいて、ミラー部10を回転させる。そして、ミラー部10は、回転軸12に沿って回転することにより、撮像領域の全方位の画像を、撮像部20の方向に反射する。なお、ミラー部10は、平面ミラー、及び多角形ミラー等であってよい。ミラー部10が多角形ミラーである場合には、多角形ミラーが有する複数のミラーに含まれる一のミラー面を介して、撮像領域の全方位の画像を、撮像部20の方向に反射する。ここで、ミラー部10の回転は、撮像領域の少なくとも一部を含む領域を、撮像部20の方向に反射するように回転させてもよい。例えば、撮像領域の画像を撮像部20の方向に反射する場合において、ミラー部10は、360°よりも小さい角度で回転させてもよい。これにより、監視システム100を、例えば、室内の天井の隅に設定した場合には、ミラー部10の回転は、360°よりも小さな角度で回転させるだけで、当該室内を撮像できる。
【0015】
撮像部20は、撮像制御部40の制御に基づいて、回転しているミラー部10において反射された画像を撮像する。撮像部20は、撮像領域に人物が含まれていない場合には、複数の受光素子から読み出される画素データを間引くことにより、低画質の画像を撮像してよい。また、撮像部20は、撮像領域に人物が含まれていない場合には、低解像度の画像を撮像するか、又は、撮像された画像を圧縮することにより、撮像される画像のデータ量を低減してもよい。また、撮像部20は、撮像領域に人物が含まれている場合には、複数の受光素子から読み出される画素データを間引かずに、撮像領域の画像を撮像して、撮像領域に人物が含まれていない場合に撮像された画像よりも高解像度の画像を撮像してもよい。更に、撮像部20は、撮像領域に人物が含まれている場合には、撮像された画像を圧縮する圧縮率を下げることにより、撮像領域に人物が含まれていない場合に撮像された画像よりも解像度を高くしてもよい。撮像部20は、撮像された画像を、人物抽出部80、及び画像格納部50に供給する。
【0016】
ミラー回転制御部30は、ミラー部10が複数の異なる領域の画像を連続して撮像部20の方向に反射するように、回転軸12を制御して、ミラー部10の回転を制御する。ミラー回転制御部30は、ミラー部10の回転周期に関する制御情報に基づいて、回転軸12の回転を制御してよい。ミラー回転制御部30は、撮像制御部40、及び画像格納部50に、ミラー部10の回転周期に関する情報を供給する。
【0017】
撮像制御部40は、ミラー部10の回転ごとに、ミラー部10が所定の方向を向いているときに、ミラー部10が撮像部20の方向に反射している所定の領域のフレーム画像を、撮像部20に撮像させる。そして、撮像制御部40は、当該所定の領域の動画を撮像部20に取得させる。具体的には、撮像制御部40は、ミラー回転制御部30から受け取ったミラー部10の回転周期に基づいて、ミラー部10の回転ごとに、ミラー部10が撮像領域の複数の方向をそれぞれ向いているときに、ミラー部10が撮像部20の方向にそれぞれ反射している複数の領域のそれぞれを、撮像部20に撮像させる。より具体的には、撮像制御部40は、撮像部20の露光タイミングを変化させることによって、ミラー部10が撮像部20の方向に反射している複数の領域のそれぞれのフレーム画像を撮像する。
【0018】
また、撮像制御部40は、撮像部20に撮像させる複数の領域を、動き予測部84から受け取った情報に基づいて回転させて、撮像部20に複数の領域を撮像させてもよい。例えば、撮像制御部40が、動き予測部84から撮像領域に人物がいる旨の情報、及び当該人物が含まれる予想位置の情報を受け取った場合には、撮像制御部40は、当該人物の動きに追従させて、当該人物が含まれると予想される位置が撮像されるように、撮像部20の露光タイミングを変化させてよい。なお、撮像制御部40は、人物が含まれる場合には、撮像部20に高解像度の画像を撮像させてもよい。撮像制御部40は、撮像を指示する旨の情報、及び撮像の露光時間に関する情報を、撮像部20に供給する。
【0019】
人物抽出部80は、撮像部20において撮像された動画に含まれる人物を抽出する。人物抽出部80は、撮像部20から受け取った撮像画像に含まれる複数のフレーム画像から、人物を抽出する。人物抽出部80は、輪郭抽出処理、及び色分布分析処理等の画像処理により、フレーム画像に含まれる被写体を検出する。そして、人物抽出部80は、予め人物の顔に固有の特徴量を格納してもよい。人物の顔に固有の特徴量は、例えば、顔の輪郭、目、鼻、口、眉、及びこれらの顔に含まれる部位間の距離等であってよい。人物抽出部80は、フレーム画像に含まれる被写体から、人物の顔に固有の特徴量をマッチング等により検出して、被写体が人物であるか否かを判断してよい。また、人物抽出部80は、肌色抽出等の画像処理により、フレーム画像に含まれる被写体が人物であるか否かを判断してもよい。そして、人物抽出部80は、フレーム画像に含まれる被写体が人物であると判断された場合には、人物が含まれるフレーム画像、及びフレーム画像に人物が含まれている旨の情報を、移動ベクトル算出部82に供給する。
【0020】
移動ベクトル算出部82は、人物抽出部80において抽出された人物の移動ベクトルを算出する。移動ベクトル算出部82は、人物抽出部80から受け取った複数のフレーム画像について、ブロックマッチング、及び勾配法等の画像処理を施すことにより、フレーム画像に含まれている人物の移動ベクトルを算出してよい。移動ベクトル算出部82は、算出された移動ベクトルの情報、及びフレーム画像に人物が含まれている旨の情報を、動き予測部84に供給する。動き予測部84は、移動ベクトル算出部82から受け取った移動ベクトルの情報に基づいて、フレーム画像に含まれる人物の動きを予測する。動き予測部84は、例えば、フレーム画像に含まれる人物の移動ベクトルから、所定の時間が経過した後に、当該人物が撮像領域のどの領域に存在するかを予測する。また、動き予測部84は、所定時間経過後の当該人物のフレーム画像に含まれる背景領域に対する移動量と、フレーム周期とに基づいて当該人物の移動速度を算出する。そして、動き予測部84は、所定時間経過後の当該人物の予測位置を算出することにより、フレーム画像に含まれる人物の動きを予測してもよい。動き予測部84は、フレーム画像に人物が含まれている旨の情報、及びフレーム画像に含まれる人物の所定時間経過後の予測位置の情報を撮像制御部40に供給する。
【0021】
画像格納部50は、撮像部20から受け取った撮像画像を格納する。より具体的には、画像格納部50は、撮像部20から受け取った複数のフレーム画像を、フレーム画像を一意に識別できる識別子に対応づけて格納する。また、画像格納部50は、フレーム画像が撮像されたタイミングを当該識別子に対応づけて格納してもよい。更に、画像格納部50は、フレーム画像が撮像された時のミラー部10の回転周期に関する情報をミラー回転制御部30から受け取る。そして、画像格納部50は、複数のフレーム画像を、それぞれのフレーム画像が撮像された方向に対応づけて格納してもよい。画像格納部50は、格納されている画像、及びミラー部10の回転周期に関する情報を表示制御部60に供給する。また、画像格納部50は、複数のフレーム画像を、当該複数のフレーム画像が撮像された方向に対応づけて、表示制御部60に供給してもよい。
【0022】
表示制御部60は、画像格納部50から受け取ったミラー部10の回転周期に関する情報に基づいて、撮像部20において連続して撮像された複数の領域のフレーム画像を、ミラー部10の回転周期に同期したタイミングで間引いて選択する。例えば、表示制御部60は、ミラー部10の回転ごとに、ミラー部10が複数の方向をそれぞれ向いているときに撮像部20において撮像された、複数のフレーム画像を選択する。より具体的には、表示制御部60は、ミラー部10の回転周期に基づいて、複数の方向のそれぞれにおいて撮像された複数のフレーム画像のうち、同一の領域について撮像された複数のフレーム画像を選択する。また、表示制御部60は、画像格納部50から受け取ったフレーム画像が、フレーム画像が撮像された方向に対応付けられていた場合には、フレーム画像が対応づけられている、フレーム画像の撮像された方向に基づいて、複数のフレーム画像を選択してもよい。そして、表示制御部60は、選択された複数のフレーム画像を表示部70に供給する。
【0023】
表示部70は、表示制御部60から受け取った、表示制御部60において選択された複数のフレーム画像を順次表示することで、所定の領域の動画を再生する。表示部70は、モニタ等に複数のフレーム画像を順次表示してよい。なお、表示部70は、表示制御部60から受け取った、表示制御部60において選択された複数のフレーム画像を、インターネット等のネットワークを介して、人物認証装置等に供給してもよい。これにより、撮像部20において高解像度のフレーム画像が撮像された場合には、当該高解像度のフレーム画像に含まれる人物の認証をすることができる。
【0024】
本実施形態に係る監視システム100によれば、撮像部20において連続して撮像された複数の領域のフレーム画像を、複数の領域ごとに選択して、選択された複数のフレーム画像をモニタ等に順次表示できる。これにより、監視システム100は、撮像領域に含まれる複数の領域について、動画により監視することができる。
【0025】
また、本実施形態に係る監視システム100によれば、フレーム画像に人物が含まれる場合に、当該人物の動きを予測して、当該人物の動きを追従して動画を撮像できる。これにより、監視システム100は、当該人物の行動を、途切れることなく監視できる。
【0026】
図2は、本実施形態に係る監視システム100において動画を取得する方法の一例を示す。監視システム100において、撮像制御部40は、ミラー部10の回転ごとに、ミラー部10が複数の方向をそれぞれ向いている場合に、ミラー部10が撮像部20の方向にそれぞれ反射している複数の領域の各々について、撮像部20に撮像させる。例えば、撮像制御部40は、模式図200に示すように、所定の画角ごとに、各画角に対応する撮像領域の画像を撮像部20に撮像させる。すなわち、撮像制御部40は、ミラー部10が画角202、画角204、及び画角206に対応する方向に向いている場合に、ミラー部10によって撮像部20の方向に反射されるそれぞれの画像を、撮像部20に撮像させる。なお、撮像制御部40は、撮像部20において撮像される画像が静止画となるように、撮像部20の露光時間、及び露光タイミングを制御してよい。
【0027】
そして、撮像部20は、例えば、ミラー部10が画角202に対応する方向に向いている場合には、ミラー部10によって撮像部20の方向に反射される、画角202に対応する方向の領域の画像を、フレーム画像212、フレーム画像214、及びフレーム画像216等として撮像する。また、ミラー部10が画角204に対応する方向に向いている場合には、ミラー部10によって撮像部20の方向に反射される画像を、フレーム画像222、フレーム画像224、及びフレーム画像226等として撮像する。同様に、撮像部20は、ミラー部10が画角206に対応する方向に向いている場合には、フレーム画像232、フレーム画像234、フレーム画像236、及びフレーム画像238等を撮像する。
【0028】
撮像部20において撮像された複数のフレーム画像は、画像格納部50に供給される。画像格納部50は、撮像部20から受け取った複数のフレーム画像を、各フレーム画像を一意に識別できる識別子に対応づけて格納する。また、画像格納部50は、ミラー回転制御部30からミラー部10の回転周期に関する情報を受け取る。そして、画像格納部50は、複数のフレーム画像を、それぞれのフレーム画像が撮像された方向に対応づけて格納する。画像格納部50は、格納されているフレーム画像、ミラー部10の回転周期、及び複数のフレーム画像を、当該複数のフレーム画像が撮像された方向に対応づけて表示制御部60に供給する。表示制御部60は、画像格納部50から受け取ったミラー部10の回転周期に同期したタイミングで、画像格納部50から受け取ったフレーム画像を間引いて選択する。例えば、表示制御部60が、画像格納部50からフレーム画像212、フレーム画像214、フレーム画像216、フレーム画像222、フレーム画像224、及びフレーム画像226を受け取った場合には、表示制御部60は、ミラー部10が画角202に対応する方向に向いている場合において撮像されたフレーム画像として、フレーム画像212、フレーム画像214、及びフレーム画像216を選択する。また、表示制御部60は、ミラー部10が画角204に対応する方向に向いている場合に撮像されたフレーム画像として、フレーム画像222、フレーム画像224、及びフレーム画像226を選択する。
【0029】
表示制御部60は、選択された複数のフレーム画像を表示部70に供給する。表示部70は、表示制御部60から受け取った複数のフレーム画像を順次表示することで、所定の領域の動画を再生する。例えば、表示部70が表示制御部60からフレーム画像232、フレーム画像234、フレーム画像236、及びフレーム画像238を受け取った場合には、フレーム画像232ないしフレーム画像238を順次表示して、動画230を再生する。また、表示部70が表示制御部60からフレーム画像222、フレーム画像224、及びフレーム画像226を受け取った場合には、フレーム画像222ないしフレーム画像226を順次表示して、動画220を再生する。これにより、監視システム100は、各領域の動画を取得できる。また、監視システム100は、フレーム画像に人物900が含まれている場合には、人物900の行動を監視できる。
【0030】
本実施形態に係る監視システム100によれば、撮像領域の所定の領域ごとに複数のフレーム画像を撮像して、複数の領域ごとに撮像されたフレーム画像を順次表示することにより動画を再生できる。これにより、撮像部20を回転させて、所定の領域を撮像して、更にまた撮像部20を回転させて当該所定の領域とは異なる領域を撮像させることなしに、所定の領域ごとの動画を取得できる。
【0031】
図3は、本実施形態に係る監視システム100が被写体を追従する方法の一例を示す図である。監視システム100においては、ミラー部10の回転ごとに、ミラー部10が所定の方向を向いているときにミラー部10により撮像部20の方向に反射される所定の領域の画像が撮像される。そして、監視システム100が備える撮像制御部40において、撮像部20の露光タイミングを変えることによって、ミラー部10の回転ごとに、撮像部20において撮像される所定の領域を変化させることができる。これにより、監視システム100は、撮像領域を複数の領域に分割して撮像することができる。例えば、模式図400のように、監視システム100は、撮像部20の露光タイミングを変化させて、撮像領域を複数の画角に対応する複数の領域に分けて、複数の領域の画像を撮像できる。
【0032】
例えば、模式図400において、ミラー部10が画角402に対応する撮像方向404を向いている場合には、ミラー部10は、撮像方向404に対応する領域の画像を撮像部20の方向に反射させる。そして、撮像制御部40は、撮像方向404に対応する領域が撮像されるように撮像部20の露光タイミングを制御して、撮像部20に撮像方向404に対応する領域を撮像させる。係る場合において、撮像部20において撮像された動画500に含まれる複数のフレーム画像502、フレーム画像504、及びフレーム画像506等に人物910が含まれていた場合には、移動ベクトル算出部82において、人物910の移動ベクトルが算出される。そして、移動ベクトル算出部82において算出された人物910の移動ベクトルに基づいて、人物910の動きが動き予測部84において予測される。
【0033】
そして、撮像制御部40は、動き予測部84において予測された人物910の所定時間経過後における予測位置に基づいて、撮像部20の露光タイミングを変化させる。例えば、撮像制御部40は、ミラー部10の回転ごとに、ミラー部10が画角406に対応する撮像方向408における画像を撮像部20の方向に反射させるタイミングに同期させて、当該領域の画像が撮像部20において撮像されるように、露光タイミングを変化させる。続いて、撮像制御部40は、撮像部20に撮像方向408に対応する領域を撮像させる。そして、撮像部20は、撮像方向408に対応する領域の複数のフレーム画像510、フレーム画像512、及びフレーム画像514等を撮像する。これにより、監視システム100は、撮像方向408の動画508を取得できる。なお、撮像制御部40は、撮像部20において撮像されるフレーム画像に人物910が含まれていると判断される間は、動き予測部84において予測される人物910の予想位置に基づいて、人物910の動きを追従して、人物910の行動を監視できるように、撮像部20の露光タイミングを変化させてよい。
【0034】
本実施形態に係る監視システム100によれば、撮像領域に人物が含まれており、当該人物に動きがある場合には、当該人物の動きに追従させて撮像部20の露光タイミングを変化させることができる。そして、監視システム100は、当該人物の動画を撮像できる。これにより、監視システム100は、人物の動きについて、途切れることのない動画を取得できる。
【0035】
図4は、本実施形態に係る監視システム100が被写体を追従する方法の一例を示す図である。模式図600において、ミラー部10が画角606に対応する撮像方向602の画像を撮像部20の方向に反射させており、撮像方向602に対応する領域が撮像されるように撮像部20の露光タイミングが設定されている場合には、撮像部20は、撮像方向602に対応する領域を撮像する。また、ミラー部10が画角608に対応する撮像方向604の画像を撮像部20の方向に反射させるタイミングにおいて、撮像方向604に対応する領域が撮像されるように、撮像部20の露光タイミングが設定されている場合には、撮像部20は、撮像方向604に対応する領域を撮像する。監視システム100は、ミラー部10が所定の画角に対応する所定の撮像方向の画像を撮像部20の方向に反射させている場合に、当該撮像方向に対応する領域が撮像されるように撮像部20の露光タイミングを設定して、複数の領域の画像を撮像できる。
【0036】
ここで、模式図600に示すように、撮像方向602、及び撮像方向604の方向に人物が含まれていた場合には、監視システム100は、撮像方向602、及び撮像方向604のそれぞれに含まれる人物の動きを追従して動画を撮像する。例えば、模式図630に示すように、画角616に対応する撮像方向612の領域、及び画角626に対応する撮像方向622の領域に人物が含まれていた場合を考える。係る場合において、監視システム100は、撮像方向612に含まれる人物の動きに追従して、撮像部20に撮像させる領域を、回転方向610の方向に回転させる。そして、監視システム100は、画角618に対応する撮像方向614の領域の動画を撮像する。具体的には、監視システム100は、撮像部20の露光タイミングを変化させて、ミラー部10が撮像方向614に向いているときに、ミラー部10において撮像部20の方向に反射されている領域の画像を撮像部20に撮像させる。これにより監視システム100は、撮像方向614の領域の動画を撮像できる。
【0037】
一方、監視システム100は、撮像方向622に含まれる人物の動きに追従して、撮像部20に撮像させる領域を、回転方向620の方向に回転させる。そして、監視システム100は、画角628に対応する撮像方向624の領域の動画を撮像する。具体的には、監視システム100は、撮像部20の露光タイミングを変化させて、ミラー部10が撮像方向624の方向に向いているときに、ミラー部10において撮像部20の方向に反射されている、撮像方向624の領域の画像を撮像部20に撮像させる。これにより監視システム100は、撮像方向624の領域の動画も撮像できる。
【0038】
本実施形態に係る監視システム100によれば、複数の領域に人物が含まれている場合に、人物が含まれている各領域の動画を撮像すると共に、各人物の動きに追従させて撮像部20の露光タイミングを変化させることができる。これにより、監視システム100は、複数の人物の動きについて、途切れることのない動画をそれぞれ取得できる。
【0039】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】監視システム100の機能構成を示すブロック図である。
【図2】監視システム100において動画を取得する方法を示す図である。
【図3】監視システム100が被写体を追従する方法を示す図である。
【図4】監視システム100が被写体を追従する方法を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
10 ミラー部
12 回転軸
20 撮像部
30 ミラー回転制御部
40 撮像制御部
50 画像格納部
60 表示制御部
70 表示部
80 人物抽出部
82 移動ベクトル算出部
84 動き予測部
100 監視システム
200 模式図
202、204、206 画角
210、220、230 動画
212、214、216 フレーム画像
222、224、226 フレーム画像
232、234、236、238 フレーム画像
400 模式図
402、406 画角
404、408 撮像方向
500、508 動画
502、504、506 フレーム画像
510、512、514 フレーム画像
600、630 模式図
602、604 撮像方向
606、608 画角
616、618、626、628 画角
610、620 回転方向
612、614、622、624 撮像方向
900、910 人物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラー部と、
前記ミラー部が反射した画像を撮像する撮像部と、
前記ミラー部が複数の異なる領域の画像を連続して前記撮像部の方向に反射するように、前記ミラー部を回転させるミラー回転制御部と、
前記ミラー部の回転毎に、前記ミラー部が所定の方向を向いているときに前記ミラー部が前記撮像部の方向に反射している所定の領域を前記撮像部に撮像させることによって、所定の領域の動画を取得する撮像制御部と
を備える監視システム。
【請求項2】
前記撮像制御部は、前記ミラー部の回転毎に、前記ミラー部が複数の方向をそれぞれ向いているときに前記ミラー部が前記撮像部の方向にそれぞれ反射している複数の領域のそれぞれを前記撮像部に撮像させることによって、複数の領域の動画を取得する
請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記撮像部が連続して撮像した複数の領域のフレーム画像を、前記ミラー部の回転周期に同期したタイミングで間引いて選択する表示制御部と、
前記表示制御部が選択したフレーム画像を順次表示することで、所定の領域の動画を再生する表示部と
をさらに備える請求項2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記撮像部が撮像した動画に含まれる人物を抽出する人物抽出部と、
前記人物抽出部が抽出した人物の移動ベクトルを算出する移動ベクトル算出部と、
前記移動ベクトル算出部が算出した移動ベクトルに基づいて、人物の動きを予測する動き予測部と
をさらに備え、
前記撮像制御部は、前記撮像部の露光タイミングを変化させることによって、前記撮像部に撮像させる複数の領域を前記動き予測部が予測した人物の動きに追従させて回転させる
請求項2に記載の監視システム。
【請求項5】
ミラー部が反射した画像を撮像する撮像段階と、
前記ミラー部が複数の異なる領域の画像を連続して撮像部の方向に反射するように、前記ミラー部を回転させるミラー回転制御段階と、
前記ミラー部の回転毎に、前記ミラー部が所定の方向を向いているときに前記ミラー部が前記撮像部の方向に反射している所定の領域を前記撮像部に撮像させることによって、所定の領域の動画を取得する撮像制御段階と
を備える監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−49577(P2007−49577A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−233799(P2005−233799)
【出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】