説明

監視システム

【課題】児童の通学時の連れ去り等の事故を防ぎ、児童の安全を確保するためのシステムを提供する。
【解決手段】
登下校途中の児童に無線タグ1を所持させ、バッテリー2、タグリーダ4、位置検出機5、送信機3を併せ持った通信端末6で、児童の所持する無線タグ1を検知すると、通信網8とその基地局7を通じて検知された児童の通過場所、時間をセンターサーバ9に送信しデータベースを作成する。センターサーバ9に送信された児童の通過場所と通過時間を、地図情報と融合させ、ネットワーク10を介して保護者等がパソコン10や携帯電話11などで自分の子供が今どのあたりを通過したのか確認することができる手段を提供する。また、監視装置により検知された児童の軌跡と移動時間とあらかじめ保護者等により設定された通路、移動時間とを比較し、指定された行動と異なる場合には異常行動とみなし、保護者にメール等を用いて警告情報を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、児童の通学中に起きる連れ去り等の事故を防ぐ、児童の防犯監視システムである。
【背景技術】
【0002】
近年、児童の登下校時を対象とした犯罪が急増している。児童の登下校時における防犯対策として、学校の職員や保護者などが通学路の見守りを行ったり、通学路近辺の住人によるボランティア活動による見守り活動などが行われ、学校、保護者、地域住民を含めた防犯対策が整えられている。また、児童に防犯ブザーを無料で配布したり、GPS機能を付加した携帯電話を児童に持たせるなど緊急発報を可能とする機器も必要となっている。
【0003】
児童の防犯対策の一例として無線タグを用いて、登下校中の児童の居場所を保護者に知らせる技術が提案されている。
【特許文献1】特開2005−182469
【特許文献2】特開2006−11949
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、自宅と学校でのみしか通過時間を確認することができず、もっとも危険であると考えられる通学路途中での安否確認は不可能である。
また、上記特許文献2では、それぞれの被監視者が携帯端末を所持するためシステム運用に関わる費用が多く発生する可能性がある。
【0005】
そこで、本発明の課題は通学路で発生する犯罪を防ぐシステムとして、無線タグを使用した児童の登下校時の移動状況を監視するシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、通学路途中で見守り者が所持する通信端末が児童が所持する無線タグからの発信データを受信すると、無線通信を使用して通信網の送受信点である基地局までデータを送信し、通信網を利用して無線タグ保持者のIDと通過時間と通信端末の位置をセンターに送信し、検知された児童の通過場所、通過時間をデータベース化する。これにより、児童は意識することなく、児童がいつどの地点を通過したかをセンターで管理することが可能である。
【0007】
請求項2に記載の発明によれば、通信端末は蓄電池を備えており、運搬して任意の場所で児童のIDを検知することができる。児童を通学路で見守るのは保護者、教師やボランティアの地域住民などで、各自の都合などにより通信端末の場所を任意の場所で使用することが可能である。通信端末の位置を検出する機能を有しているので、通信端末が移動しても児童の通過場所の情報に問題を与えることは無い。
【0008】
請求項3に記載の発明によれば、サーバに送信された児童の通過場所と通過時間を、地図情報と融合させ、ネットワークを介して保護者等が自宅や屋外のパソコン、携帯電話などで自分の子供が今どのあたりを通過したのか確認することができるができる。
【0009】
請求項4に記載の発明によれば、監視装置により検知された児童の軌跡と移動時間とあらかじめ保護者等により設定された通路、移動時間とを比較し、指定された行動と異なる場合には異常行動とみなし、保護者にメール等を用いて警告情報を送信することが可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る防犯システムによれば、地域住民、保護者、教師を交えた児童の通学路監視防犯システムを構築することができ、子供を安全に通学、生活させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明を実施するための最良の形態を、システムの概略図である図1と、システムの処理に関する流れ図である図2、図3、およびのデータベースの例である図4から図8を用いて詳細に説明する。
【実施例】
【0012】
図1は、この発明の実施の一形態を示す構成図である。本発明の実施形態の防犯監視システムは、無線タグ1と、バッテリー2、タグリーダ4、位置検出機5、送信機3を併せ持った通信端末6と、通信網8とその基地局7と、センターサーバ9を含み、保護者等はパソコン10や携帯電話11を通じて児童の通学情報を取得するものである。
【0013】
無線タグ1は、児童のランドセルや帽子に取り付けられるものであり、登下校時に身につけて移動できるものである。
【0014】
無線タグ1は個々のタグIDを持っており、タグIDと所持する児童の名前、緊急連絡時の連絡先、メールアドレスなどを図4に示すID登録データベースに登録しておく。
【0015】
登下校の通学路の幾箇所でボランティアの地域住民や保護者、教師などの監視人が所持するバッテリー2、タグリーダ4、位置検出機5、送信機3を併せ持った通信端末6を使用して、児童の登下校の行動を監視する。
【0016】
まず、通信端末6は使用する監視人の都合により監視する場所が日々異なる可能性を含んでいるため、監視人は監視位置で監視を開始する際、S100にて監視する現在地の取得を行う。位置検出はGPSや基地局7との通信状態などから取得する。
【0017】
次に、S101にて通信網8の確立を行う。手動スイッチにて通信網8を確立しても良いが、自動で接続することを標準とする。通信網の確立後、S102においては監視者が所持している通信端末6の番号と現在地のデータをセンターサーバ9に送信し、図5に示す通信端末位置情報データベースに格納する。現在地の位置を取得しセンターサーバに送信した後、児童の見守りを開始する。
【0018】
通信網8は有線電話回線や携帯電話回線などの公衆回線、無線LANなどのデータを送信できる回線ならばいずれを使用しても構わない。
【0019】
次にS103にて通信端末6が児童が所持する無線タグ1からの電波を受信し無線タグ1のIDを読み取った場合、S104にて通信網8が確立されているかどうか確認する。確立されていない場合はS105にて基地局7、通信網8を介してセンターサーバ9までの通信網8を確立する。
【0020】
通信網8が確立されるとS106にて、読み取った児童の無線タグ1のIDと検知時刻、および読み取った通信端末6の番号を、通信網8を利用してセンターサーバ9に送信する。
【0021】
S107にてセンターサーバ9に送信された無線タグ1のIDと検知時刻を、データベースである図6に示す通信端末検知データベースに通信端末6ごとに格納する。
【0022】
一方、S103にて児童の通行が途絶えて無線タグ1のデータを検知していない時、S109にてあらかじめ設定してある無線タグ1の無検知時間以上の時間が経過すると、バッテリー2の浪費を避けるためにS110にて通信網8を切断する。
【0023】
通信網8の接続およびデータ送信の費用が定額制、または無料である場合には、S105の通信網8の確立、S110の通信網8の切断は行わなくてもよい。
【0024】
所定児童が全員通過した場合、または見守り時間が終了した場合にS108にて監視人の見守りを終了する。
【0025】
センターサーバ9では登下校時の監視時間になると、タグIDごとにS200にて通信端末検知データベースから検知したタグIDと検知時刻を検索し、図7に示すタグIDデータベースを作成する。
【0026】
S201にてタグIDデータベースの通信端末番号ごとに通信端末位置情報データベースの緯度・経度情報を参照し、S202にて児童の移動軌跡を確立する。
【0027】
児童の移動軌跡が確立されると、S203にてあらかじめ保護者等が設定した自動の週間、または日々のスケジュールを記憶させた図8に示すスケジュールデータベースと移動軌跡および移動時間を比較する。
【0028】
S204にて、もし児童の移動軌跡とスケジュールデータベースにて設定されている道順と異なっている場合には、S206にてID登録データベースに登録してあるメールアドレスに警告メールを送信するか、連絡先に電話連絡を行う。
【0029】
S205にて、もし児童の移動時間とスケジュールデータベースにて設定されている移動時間が異なっている場合には前記S204と同様に、S206にてID登録データベースに登録してあるメールアドレスに警告メールを送信するか、連絡先に電話連絡を行う。
【0030】
S207にて児童の最終監視ポイントかどうかをスケジュールデータベースから判断して、最終監視ポイントであれば終了する。
【0031】
保護者等が児童の移動軌跡を確認する時には、S202にて作成した移動軌跡のデータを地図データベース等と組み合わせて監視画面を自動作成し、ネットワーク10を介して自宅や屋外のパソコン11や携帯電話12から確認することが可能である。
【0032】
第三者が児童の居場所を確認することを防ぐため、児童の移動情報を外部から確認する際は、あらかじめ保護者等が設定しておいたパスワードの入力が無ければ見ることができない。
【0033】
センターサーバ9は、専用のハードウエアにより実現する以外に、その機能を実現させるためのプログラムを、コンピュータが読み取り可能な媒体に記憶させて実行できるものでもよい。
【0034】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係わる監視システムは、保護者が児童の移動場所を常時気にしていなくても、設定された移動軌跡や時間から逸脱した場合には連絡が届き、児童を安全に生活させることができるものである。また、地域のボランティア見守り者等との連携、協力を維持できるシステムでもあり、地域ぐるみでの子供の安全対策を支援するものである。
【0035】
なお、本発明を、児童に対する防犯を目的とするものとして説明したが、集団での移動時の人員の存在確認等、無線タグ1を所持した人物の存在確認に使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態を示す監視ステムの概略図である。
【図2】実施例におけるID登録データベースの例。
【図3】実施例における通信端末位置情報データベースの例。
【図4】実施例における通信端末ごとの通信端末検知データベースの例。
【図5】実施例における無線タグIDごとのタグIDデータベースの例。
【図6】実施例におけるタグIDごとのスケジュールデータベースの例
【図7】実施例における通信端末が実行する処理の流れ図である。
【図8】実施例におけるセンターサーバが実行する処理の流れ図である。
【符号の説明】
【0037】
1 無線タグ
2 バッテリー
3 送信機
4 タグリーダ
5 位置検出機
6 通信端末
7 基地局
8 通信網
9 センターサーバ
10 ネットワーク
11 パソコン
12 携帯電話

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグを使用して複数の児童の通学路の防犯監視を行うシステムであり、児童が保持する無線タグと、通学路途中で児童を見守る人が所持する通信端末である前記無線タグに記録された児童を識別するIDを読み取る機能と所持者の位置を検知する機能と基地局まで無線を使用してデータを送信する手段を持つ装置と、データを送信するための通信網とその基地局と、通信端末が送信したデータをデータベース化するサーバからなる防犯監視システムであって、児童が身につけた無線タグから児童のIDを読み取り、前記IDと読み取った通信端末のIDを前記サーバ装置に送信するステップと、通信端末から送信されたデータをサーバに設けた行動記録データベースに蓄積するステップとを有する児童の通学路の防犯監視システム。
【請求項2】
前記通信端末はバッテリーを備えており、運搬して任意の場所で児童のIDを検知することができる請求項1に記載の防犯監視システム。
【請求項3】
サーバに送信された児童の通過場所と通過時間を、ネットワークを介して保護者等がパソコン、携帯電話等で確認することができる請求項1に記載の防犯監視システム。
【請求項4】
サーバに送信された児童の軌跡と移動時間と、前記サーバのデータベースにあらかじめ保護者等により設定され格納されている通学路、移動時間とを比較し、異常行動を検知し保護者にメール等の警告情報を送信する機能を有する請求項1に記載の防犯監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−299728(P2008−299728A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−147008(P2007−147008)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(591080678)株式会社中電工 (64)
【Fターム(参考)】