説明

監視システム

【課題】プラットフォームの監視システムに関わり、駆け込み乗車等を列車の乗務員が容易に予知することが可能なシステムを提供する。
【解決手段】プラットフォームを撮像する撮像手段と、プラットフォームに繋がる階段または通路を撮像する撮像手段とにより、プラットフォームに駆け込む乗客の有無を判断し、プラットフォームを撮像した画像に、駆け込み乗車有りを示す情報を重畳し、その情報重畳画像を前記列車に送信する。かつ、列車に搭載され、送信された情報重畳画像を受信する受信手段、および、列車に搭載され、受信手段で受信された情報重畳画像を列車に搭載された表示装置に表示する表示制御手段を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車運行システムに係り、特に、駅のプラットフォームの監視映像を、列車内の乗務員に表示する監視システムに用いて好適な監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、駅のプラットフォームを監視する監視システムは、運転者が車掌の役目を補うために考えられたシステムである。このシステムはプラットフォーム上の乗降客を監視する可視カメラ、プラットフォームの死角となる階段等の様子を監視する可視カメラ、それぞれの可視カメラ画像から乗客(人)の移動方向、速度を判定する画像認識装置等からなっており、死角となる部分からの駆け込みを未然に防ぐアラーム機能を有するシステムであった。即ち、駅のプラットフォームの監視システムは、列車運行時において、列車の運転者が、可視光カメラで撮像したプラットフォーム上の乗降客等の様子を、モニタリングすることができるシステムがある。ところが、プラットフォームに隣接している階段等のカメラで撮像していない範囲から、予期しない乗客が駆け込んできた場合には、駆け込んできた乗客に運転者が気付かないといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−244612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の従来技術において、カメラ(可視光カメラ)を増やし、撮像する範囲を増やすことも考えられる。しかし、その膨大な監視映像を運転手が確認するのは困難である。
また、特許文献1には、プラットフォームに隣接している階段を監視する可視光カメラを備え、列車内の表示装置に表示する技術が開示されている。そして、駆け込んでくる乗客(人)の有無を、階段に設置した重量センサによって検知しているため、敷設が大掛かりであった。
本発明の目的は、上記の問題に鑑み、運転者が、熟練を要さず、容易に、迅速、かつ確実に、駆け込む乗客の有無を確認可能なプラットフォームの監視システムを提供することにある。即ち、本発明は、運転者若しくは乗務員が乗務する列車の運行時において、プラットフォーム上のカメラの視界から外れる領域を別のカメラで監視し、乗ると思われる人の有無を確認し、十分な監視性能を有する監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明は、プラットフォームを監視する監視システムにおいて、前記プラットフォームを撮像する第1の撮像手段、前記第1の撮像手段に対応付けされた、前記プラットフォームに繋がる階段または通路を撮像する第2の撮像手段、前記第2の撮像手段で撮像した画像に基づいて前記プラットフォームに駆け込む乗客(人)の有無を判断する判断手段、前記判断手段によって前記プラットフォームに駆け込む乗客が有ると判断されたとき、前記第2の撮像手段に対応付けられている前記第1の撮像手段で撮像した画像に、駆け込み乗車有りを示す情報を重畳した情報重畳画像を前記列車に送信する画像送信手段、前記列車に搭載され、前記画像送信手段から送信された情報重畳画像を受信する受信手段、および、前記列車に搭載され、前記受信手段で受信された情報重畳画像を前記列車に搭載された表示装置に表示する表示制御手段を備えたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、駅のプラットフォームにおいて、従来より運転者の死角となっていた場所からの突然の駆け込み乗車を事前に予知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の監視システムにおける地上側の設備の構成の一実施例を示すブロック図である。
【図2】本発明の監視システムにおける地上側の設備(図1)に列車を追加した構成の一実施例を示すブロック図である。
【図3】本発明の列車側(車上側)の設備の構成の一実施例を示すブロック図である。
【図4】本発明の監視システムの処理動作手順の一実施例を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明における移動速度検出処理および移動方向検出処理の動作手順の一実施例を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の移動速度検出処理のための境界線の設定の一実施例について説明するための模式図である。
【図7】本発明の移動方向検出処理のための境界線の設定の一実施例について説明するための模式図である。
【図8】本発明における車上側設備の表示器での表示の一実施例を示す図である。
【図9】誤認識の一例を説明するための模式図である。
【図10】誤認識の一例を説明するための模式図である。
【図11】誤認識の一例を説明するための模式図である。
【図12】本発明の監視システムにおける地上(駅)側の設備の構成の一実施例を示すブロック図である。
【図13】本発明の監視システムにおける地上側の設備(図12)に列車を追加した構成の一実施例を示すブロック図である。
【図14】本発明の監視システムの処理動作手順の一実施例を説明するためのフローチャートである。
【図15】本発明における赤外線カメラで撮像した画像の一実施例を説明するための模式図である。
【図16】図15と同一の監視領域を可視光カメラで撮像した画像の一実施例を説明するための模式図である。
【図17】本発明における赤外線カメラで撮像した画像と可視光カメラで撮像した画像を照合した一実施例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に本発明の一実施形態を図面等を用いて説明する。なお、以下の説明は、本発明の一実施形態を説明するためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。従って、当業者であればこれらの各要素若しくは全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であり、これらの実施形態も本願発明の範囲に含まれる。
また、各図の説明において、共通な機能を有する構成要素には同一の参照番号を付し、できるだけ説明の重複を避ける。
【実施例1】
【0009】
図1〜図8を用いて、本発明の監視システムの一実施形態を説明する。図1は、本発明の監視システムにおける地上(駅)側の設備の構成の一実施例を示すブロック図である。図2は、本発明の監視システムにおける地上側の設備(図1)に列車を追加した構成の一実施例を示すブロック図である。図3は、本発明の列車側(車上側)の設備の構成の一実施例を示すブロック図である。図4は、本発明の監視システムの処理動作手順の一実施例を説明するためのフローチャートである。図5は、本発明における移動速度検出処理および移動方向検出処理の動作手順の一実施例を説明するためのフローチャートである。図6は、本発明の移動速度検出処理のための境界線の設定の一実施例について説明するための模式図である。図7は、本発明の移動方向検出処理のための境界線の設定の一実施例について説明するための模式図である。図8は、本発明における車上側設備の表示器での表示の一実施例を示す図である。
【0010】
本発明の一実施例の監視システムにおける地上側の設備100は、図1に示すように、プラットフォーム監視用のカメラ101、102、階段監視用のカメラ103、104、画像認識装置105、106、画像圧縮装置107、108、信号合成装置109、地上ミリ波無線装置110で構成される。また、118はプラットフォーム、116、117は階段である。画像圧縮装置107、108は、所定の画像フォーマット、例えば、JPEG( Joint Photographic Experts Group )画像に変換して出力する。カメラ101〜104は、可視光カメラである。
また、本発明の一実施例の監視システムにおける車上側の設備200は、図2または図3に示すように、車上ミリ波無線装置201、信号分配装置202、画像伸張装置203、204、表示器205、206で構成される。また、車上側の設備200は、列車111に搭載され、例えば、発車時、運転時、プラットフォーム118接近時に、乗務員10が表示器205と206を見て、プラットフォーム118および階段116と117を監視可能である。なお、図2の列車111においては、車上ミリ波無線装置201は図示していない。しかし、地上ミリ波無線装置110と車上ミリ波無線装置201とは、直進性の優れたミリ波帯、例えば、60GHz帯が好適である。
また図1〜図8の実施例において、カメラ101〜104は、常に、所定の第1のフレームレートで撮像を行って、所定の第2のフレームレートで撮像した映像信号を出力している。
【0011】
本発明の監視システムは、地上側の設備100において、階段監視用カメラ103および104のそれぞれで撮像した映像(撮像した画像)から、画像認識装置105、106それぞれで乗客(人)を検出し、かつ検出された乗客の移動速度を検出し、その検出結果をアラームとして、車上側設備200の表示器205および206に送信するものである。表示器205および206は、例えば、列車111内の運転席で運転者が運転やドアの開閉等の操作をしながら表示器の画面を見ることによって、プラットフォームを監視可能な位置に設置される。また、表示器205、206は、1つの表示器であって、複数の分割された画面からなっていても良い。
【0012】
図4において、ステップ401では、列車111がプラットフォーム118に進入し、地上ミリ波無線装置110の通信エリア内に車上ミリ波無線装置201が入る、あるいは、列車111の進入を図示しないセンサで検知し、それをトリガに各無線装置が電波の送受を開始することにより、通信が確立される。次にステップ402では、通信が確立されると、プラットフォーム118上に設置されているプラットフォーム監視用のカメラ101と102が撮像した映像が、車上ミリ波無線装置200のの表示器205と206に表示される。
【0013】
ステップ403では、地上ミリ波無線装置110は、車上ミリ波無線装置201と交信し、後述の速度検出手段によって、列車111の速度を検出し、列車111が速度を落として、走行速度が0km/hになった場合には、信号分配器109を介して、画像圧縮装置107および画像認識装置105に、あるいは、画像圧縮装置108および画像認識装置106に、それぞれ制御信号を出力する。
ステップ404では、画像認識装置105と106は、それぞれ、階段監視用のカメラ103と104が撮像した映像から乗客認識を開始する。
ステップ405では、画像認識装置105または106が、階段116または117に乗客(人)がいることを検出した場合には、ステップ406に進み、乗客(人)がいないと判定した場合にはステップ409に進む。
ステップ406では、乗客を検出した画像認識装置105または106は、検出した乗客の移動速度を検出する。移動速度が5km/h以上であればステップ407に進み、移動速度が5km/h未満であればステップ409に進む。
ステップ407では、乗客を検出した画像認識装置105または106は、検出した乗客の移動方向を検出する。移動方向がプラットフォーム118であればステップ408に進み、移動方向がプラットフォーム118でなければステップ409に進む。
ステップ408では、乗客を検出した画像認識装置105または106は、アラーム信号を画像圧縮装置108または108、信号分配器109、および地上ミリ波無線装置110を介して車上ミリ波無線装置201に送信する。
ステップ409では、列車111の走行速度が0km/hであるか否かを判定する。0km/hであればステップ404に戻り再度同様の動作を実行し、0km/hでなければステップ410に進む。
なお、ステップ406の処理とステップ407の処理は、同時に実行しても良いし、ステップ407の処理の後にステップ406の処理をしても良い。
【0014】
ステップ410では、画像認識装置105または106は、アラーム出力と画像認識処理を停止し、画像圧縮装置107及び108は、画像出力を停止する。この結果、カメラ101〜104が撮像した映像は、列車無線装置202に送信されず、表示器205、206には画像が表示されない。
【0015】
上記図4のフローチャートの実施例のように、それぞれの画像認識装置105または106で各階段116または117にいる人(乗客)の移動速度と移動方向を検知する。
この時、図2のように、人114または人115の存在が確認された(検出された)場合には、図8に示すように、表示器205には人が近づいていることを示すアラームを出力させる。また、表示器206には人が近づいていないのでアラームを出力しないように制御する。
この一連の動作を、列車111の走行速度が0km/hである限り続け、列車111が動き出す(走行速度≠0km/h)と同時にアラームを停止させる。
その後、地上ミリ波無線装置110と車上ミリ波無線装置201がお互いにエリア外になると同時に表示器205と表示器206の画像が非表示となるように制御される。
【0016】
次に、階段で検出された乗客(人)の移動速度の検出と移動方向の検出について、図5のフローチャートと図6の模式図を参照して説明する。なお、簡略のため、階段監視用カメラ103の系統(階段116、人114、画像認識装置105、画像圧縮装置107、画像伸長装置203、および表示器205)を代表として説明する。
本発明では、図6に示すように、階段116の階段監視用のカメラ103のそれぞれの撮像範囲に、あらかじめ、境界線X、Y、Zを設けている。
ステップ501では、画像認識装置105は、境界線Xを通過する物体があるか否かを検出する。境界線Xを通過する物体が検出された場合にはステップ502に進み、検出されなかった場合にはステップ501の処理を再度実行する。
ステップ502では、境界線Xを通過した物体を対象物として捕捉する。
次に、ステップ503では、補足した対象物が、境界線Yを通過したか否かを検出する。検出された場合にはステップ504に進み、検出されなければ、ステップ503を繰り返し実行する。
ステップ504では、そして、補足した対象物が、境界線Yを通過した瞬間から移動速度検出を開始する。例えば、移動速度の検出のために、映像フレーム数のカウントを開始する。
ステップ505では、この補足した対象物が、境界線Zを通過したか否かを検出する。検出された場合にはステップ506に進み、検出されなければ、ステップ505を繰り返し実行する。
【0017】
ステップ506では、この対象物が境界線Zを通過するまで映像のフレームをカウントし続け、移動速度(時速)=(境界線Y−境界線Z間の距離)÷(フレームカウント数×33ms)で算出する。なお例えば、33msとは、1s間に画像認識装置105入力される映像信号のフレームレートである。
ステップ507では、算出された移動速度が5km/h以上であるか否かを判定する。移動速度が5km/h以上であった場合には、列車111に乗る人(乗客)であると判断し、ステップ508に進み移動方向の検出に掛かる。また、移動速度が5km/h未満の場合には、この検出された人がその列車111に乗らないと判断して移動速度および移動方向の検出処理を終了する。
ステップ508では、移動方向の検出を行う。移動方向が列車111の乗降用のドアのいずれかであるか否かを判定する(詳細は図7を参照して説明する)。乗客の移動方向が乗降用のドアのいずれかであると判定した場合にはステップ509に進み、否と判定した場合には、移動速度および移動方向の検出処理を終了する。
ステップ509では、図8に示すように、表示器205には人が近づいていることを示すアラームを出力させる。
【0018】
図5のステップ508の移動方向の検出の目的は、列車111の停車しているプラットフォーム118ヘ確かに向かうのか否かを判定するためのものである。
まず、図7に示すように、階段監視用カメラ103および階段監視用カメラ104の撮像範囲を、エリアA1、A2、B1、B2、C1、およびC3に分割する。ここで対象物が最終的にエリアA2以外のエリアからエリアA2へ移動したか否かを判定することにより、移動方向を検出する。
【0019】
これにより、対処物がエリアA2へ向かって移動してきた場合には、列車111に乗車すると判定し、図8のように、表示器205に人(乗客)が近づいてきていることをアラーム(“人が来る恐れがあります”)として表示させる。
好ましくは、図8の分割エリアは、階段からプラットフォームに移動する方向に複数の分割エリアを設ける。好ましくはさらに、図8の分割エリアは、階段からプラットフォームに移動する方向に並行に複数の分割エリアを設ける。
【0020】
なお、列車の走行速度の検出については、例えば、本願の発明者が出願した特願2009−208089号(平成21年9月9日出願)のように、列車無線装置(列車外)と列車無線装置(列車内)とで送信波の反射波のドップラー周波数により列車の速度を測定する。ただし、当該実施例は、列車の走行速度を測定する1つの例であって、他の測定方法であっても良いことはもちろんである。例えば、列車に搭載されている速度センサの情報を用いても良い。
【0021】
従来、駅での列車の発車寸前時において、駆け込み乗車が有りと判断された場合に、プラットフォームの画像と共に階段のカメラ画像を表示しているため、乗務員若しくは運転者は、階段の画像とプラットフォームの画像を対応づけて見る必要がある。しかし、階段の位置やプラットフォームの形状は駅毎に相違するため、階段が複数であったり、プラットフォームを複数個所に分割して撮像する場合などは、列車のどの位置に駆け込み乗車が有るのか認識するのに慣れが必要となる。
また、プラットフォームを複数個所に分けて撮像した場合、表示装置(ディスプレイ)の大きさの関係上、プラットフォーム上の全ての箇所と各階段の状況を一度に表示するのは困難である。
これに対し、上記実施例によれば、プラットフォームの画像に駆け込み乗車有りを示す情報を重畳して表示するため、階段の画像とプラットフォームの画像を対応づけて見る必要がない。そのため、階段が複数であったり、プラットフォームを複数個所に分割して撮像した場合に、乗務員は列車のどの位置に駆け込み乗車があるのかを正確かつ容易に認識することができる。
また、プラットフォームの画像に駆け込み乗車有りを示す情報を重畳して表示するため、プラットフォームと階段の両方の画像を表示する場合に比して画像数を少なくすることができる。そのため、プラットフォームを複数個所に分けて撮像した場合でも、多くの箇所を同時に表示することができ、列車のどの位置に駆け込み乗車があるのかを、より一層正確に認識することが可能となる。
【0022】
このように、上記実施例によれば、従来より運転者の死角となっていた箇所からの突然の駆け込み乗車を事前に予知することが可能となり、出発後の引きずり事故を防ぐことが可能となる。
【実施例2】
【0023】
上述の実施例1の監視システムでは、プラットフォームやプラットフォームから死角となる部分の監視を行うことができる。しかし、実施例1の画像認識装置において、可視光カメラで撮像した画像(撮像した映像)では、人影、スーツケース等を、人として検出する誤認識が発生することがあり、また、赤外線カメラで撮像した画像では、照明、光の反射等で、人として検出する誤認識が発生することがあった。
例えば、図9は、人114の人影914が、人と誤認識される。また図10では、人114が持ち運んでいるスーツケース1014が人と誤認識される。さらに図11では、光の反射が人と誤認識される。このような誤認識によって、人影、スーツケース、光の反射、等を誤認識し、誤ったアラームを発報し、正常な列車運行を妨げる恐れがあった。
【0024】
そこで本発明の実施例2では、人物の検知精度を向上させるシステムを提供する。
即ち、実施例2では、可視光カメラとは別に赤外線カメラを併用したシステムを提供する。まず、赤外線カメラで撮像した画像から肌の露出している頭部を判定する。ここで判定された情報を可視光カメラに照らし合わせて人であることをダブルチェックするものである。
【0025】
図12、図13、図3、図14、図5、図15〜図17、および図6〜図8を用いて、本発明の監視システムの一実施形態を説明する。図3、図5、および図6〜図8は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
図12は、本発明の監視システムにおける地上(駅)側の設備の構成の一実施例を示すブロック図である。図13は、本発明の監視システムにおける地上側の設備(図12)に列車を追加した構成の一実施例を示すブロック図である。図14は、本発明の監視システムの処理動作手順の一実施例を説明するためのフローチャートである。図15は、本発明における赤外線カメラで撮像した画像の一実施例を説明するための模式図である。図16は、図15と同一の監視領域を可視光カメラで撮像した画像の一実施例を説明するための模式図である。図17は、本発明における赤外線カメラで撮像した画像と可視光カメラで撮像した画像を照合した一実施例を説明するための模式図である。
【0026】
本発明の一実施例の監視システムにおける地上側の設備100’は、図1の本発明の一実施例の監視システム100の可視光カメラ101〜104に加えて、さらに、図12に示すように、赤外線カメラ123および124を加えた構成を備える。
本発明の実施例2の監視システムは、地上側の設備100’において、赤外線カメラ123は、階段監視用カメラ103と同一の領域を撮像し、赤外線カメラ124は、階段監視用カメラ104と同一の領域を撮像する。
画像認識装置105は、赤外線カメラ123で撮像した画像と、可視光カメラ(階段監視用カメラ)103で撮像した画像とから、乗客を検出し、かつ検出された乗客の移動速度を検出し、その検出結果をアラームとして、車上側設備200の表示器205および206に送信する。また同様に、画像認識装置106は、赤外線カメラ124で撮像した画像と、可視光カメラ(階段監視用カメラ)104で撮像した画像とから、乗客を検出し、かつ検出された乗客の移動速度を検出し、その検出結果をアラームとして、車上側設備200の表示器205および206に送信する。
表示器205および206は、例えば、列車111内の運転席で運転者が運転やドアの開閉等の操作をしながら表示器の画面を見ることによって、プラットフォーム118を監視可能な位置に設置される。また、表示器205、206は、1つの表示器であって、複数の分割された画面からなっていても良い。
【0027】
図14のフローチャートは、図4のフローチャートに比べ、ステップS404の処理をステップS404’とし、ステップS405の処理をステップS405’とし、ステップS404’の処理とステップS405’の処理の間に、ステップS1401を加えたものである。
即ち、ステップ401〜ステップS403までの処理を行い、ステップ404’では、画像認識装置105と106は、それぞれ、階段監視用の可視光カメラ103と104が撮像した映像、および赤外線カメラ123と124が撮像した映像とから、乗客認識を開始する。
【0028】
ステップ1401では、画像認識装置105、106は、最初に、赤外線カメラ123と124で各階段付近を撮像し、その画像を画像認識装置105、106へ送り、その監視領域にある物体の表面温度から、人と思われる熱源を検知する。即ち、熱検知により、階段116または117に乗客(人)がいることを検出した場合には、ステップ405’に進み、乗客(人)がいないと判定した場合にはステップ409に進む。
ステップ405’では、画像認識装置105、106は、次に、可視カメラ103104で撮像した画像と、検知された熱源とを照合する。照合が一致した場合(階段116または117に乗客がいることを検出した場合)には、ステップ406に進み、乗客がいないと判定した場合にはステップ409に進む。
以下、ステップS306〜ステップS410までは、実施例1と同様である。
【0029】
上記実施例によれば、プラットフォームの画像に駆け込み乗車有りを示す情報を重畳して表示するため、階段の画像とプラットフォームの画像を対応づけて見る必要がない。そのため、階段が複数であったり、プラットフォームを複数個所に分割して撮像した場合に、乗務員は列車のどの位置に駆け込み乗車があるのかを正確かつ容易に認識することができる。
また、プラットフォームの画像に駆け込み乗車有りを示す情報を重畳して表示するため、プラットフォームと階段の両方の画像を表示する場合に比して画像数を少なくすることができる。そのため、プラットフォームを複数個所に分けて撮像した場合でも、多くの箇所を同時に表示することができ、列車のどの位置に駆け込み乗車があるのかを、より一層正確に認識することが可能となる。
【0030】
さらに、上記実施例によれば、可視光カメラだけで撮像した画像(撮像した映像)による人検出では、人影、スーツケース等を、人として検出する誤認識および照明、光等の反射による誤検出がなくなり、より正確な認識が可能となる。
このように、上記実施例によれば、従来より運転者の死角となっていた箇所からの突然の駆け込み乗車を事前に予知することが可能となり、出発後の引きずり事故を防ぐことが可能となる。
【符号の説明】
【0031】
100、100’:地上側の設備、 101、102、103、104:カメラ、 105、106:画像認識装置、 107、108:画像圧縮装置、 109:信号合成装置、 110:地上ミリ波無線装置、 114:人、 116、117:階段、 118:プラットフォーム、 123、124:赤外線カメラ、 200:車上側の設備、 201:車上ミリ波無線装置、 202:信号分配装置、 203、204:画像伸長装置、 205、206:表示器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラットフォームを監視する監視システムにおいて、前記プラットフォームを撮像する第1の撮像手段、前記第1の撮像手段に対応付けされた、前記プラットフォームに繋がる階段または通路を撮像する第2の撮像手段、前記第2の撮像手段で撮像した画像に基づいて前記プラットフォームに駆け込む乗客の有無を判断する判断手段、前記判断手段によって前記プラットフォームに駆け込む乗客が有ると判断されたとき、前記第2の撮像手段に対応付けられている前記第1の撮像手段で撮像した画像に、駆け込み乗車有りを示す情報を重畳した情報重畳画像を前記列車に送信する画像送信手段、前記列車に搭載され、前記画像送信手段から送信された情報重畳画像を受信する受信手段、および、前記列車に搭載され、前記受信手段で受信された情報重畳画像を前記列車に搭載された表示装置に表示する表示制御手段を備えたことを特徴とする監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−230750(P2011−230750A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190893(P2010−190893)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】