説明

監視システム

【課題】管理、運用を行う上位制御装置に順次接続された複数の監視ユニットを備える監視システムにおいて、接続された監視ユニットへのアドレスを効率良く割り付けるとともに、監視システムの管理、運用を容易に行える方法を提供する。
【解決手段】各監視ユニットにドライバ・レシーバ用ICと半導体スイッチなどを備えた通信回路を搭載することで、アドレス未設定の監視ユニットは上位制御装置から出力されたアドレス設定命令信号を受信しアドレスを設定し、再び上位制御装置からアドレス設定命令信号を出力され、また、アドレスが設定されているユニットは次段の監視ユニットへとアドレス設定命令信号を受け渡す。この動作を繰り返すことで、全監視ユニットにアドレス設定を自動的に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場やビルといった広範囲に複数設置された監視ユニットを通信接続された上位制御装置(PC)で管理、運営を行う監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上位制御装置が芋づる方式で通信接続された電気設備機器を管理、運用を行うには、設置された電気設備機器に備えられたスイッチでアドレスを手動で設定し、上位制御装置(PC)に電気設備機器側で設定されたアドレスを登録することで通信を確立する方法と、上位制御装置(PC)から自動で電気設備機器にアドレスを割付ける方法(特許文献1)がある。特許文献1(特開平09-116565)では、各機器の通信経路にCPUで制御された開閉スイッチを備えることで、上位から重複無く自動でアドレスを割付けることができる技術である。また、特許文献2(特開2010-074572)では、各機器の通信経路にCPUで制御された高周波発生器を備えることで、上位から重複無く自動でアドレスを割付けることができる技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09-116565
【特許文献2】特開2010-074572
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
手動でアドレスの設定を行う方法では、人為的ミスによりアドレスを重複して正常に通信できないことや、工場やビルなど広範囲に設置された電気設備機器と、設置場所へ移動するだけでも時間と費用がかかってしまうといった問題がある。
【0005】
また、特許文献1記載の通信経路に開閉スイッチを備える方法では、開閉スイッチがオープン状態で故障した場合や、上位制御装置(PC)に近い電気設備機器が電源未投入の場合、次段に接続されている電気設備機器以降から全て通信が不可になってしまう問題がある。
【0006】
次に、特許文献2の通信経路に高周波発生器を備える方法では、電気設備機器自体に高周波発生回路を実装する為、回路が複雑になってしまうことや、アドレス設定をしていないと、常に高周波が出力され続ける為、隣接する他の機器への高周波の影響が懸念されることや、高周波出力したままの状態で故障した場合、次段に接続されている電気設備機器以降の全てが通信不可になってしまうといった問題がある。
【0007】
本願発明の目的は、上記の問題を解決するため上位制御装置(PC)から自動で効率良く監視ユニットにアドレスを割付け、容易に監視ユニットの管理、運用を行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、上位制御装置と複数の監視ユニットをシリーズに接続し構成した監視システムであって、前記監視ユニットは、CPUと、メモリとを有し、データ通信を行うための入出力端子を2個設け、それぞれを接続して通信回路を形成し、データを送受信でき、前記CPUにて制御可能なドライバ・レシーバ用ICを上位側及び下位側に設け、前記上位側ドライバ・レシーバ用ICを前記通信回路の上位側に接続し、前記下位側ドライバ・レシーバ用ICを前記通信回路の下位側に接続し、前記上位側及び下位側ドライバ・レシーバ用ICを介してデータを送受信する第1の通信系統と、前記通信回路と上位側ドライバ・レシーバ用ICを接続した箇所と、前記通信回路と下位側ドライバ・レシーバ用ICを接続した箇所との間に前記CPUで制御可能なスイッチを設け、前記スイッチを設けた通信回路を介してデータを送受信する第2の通信系統と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、上記の監視システムにおいて、前記スイッチは、半導体スイッチ、開閉スイッチ、又は双方向ドライバより構成されることを特徴とする。
【0010】
また、上位制御装置と複数の監視ユニットをシリーズに接続した監視システムであって、監視ユニットのアドレス自動割付けは、(1)前記上位制御装置より前記監視ユニットにアドレス自動割付けコマンドを出力する、(2)前記監視ユニットのアドレスが設定しているかを検索し、設定されていなければ使用されていないアドレスを設定し、設定されていれば次の監視ユニットを検索する、(3)アドレス設定が完了すると、前記上位制御装置へアドレス設定完了の信号を送信する、上記(2)〜(3)のステップを繰り返して行い、全ての監視ユニットのアドレスの割付けを終了したら通常動作を行うことを特徴とする。
【0011】
さらに、上記の監視ユニットにおいて、前記監視ユニットのアドレスが設定されていないユニットの検索方法は、監視ユニットの出荷時にメモリに登録した所定の数値を検出し判断する方法であることを特徴とする。
【0012】
また、上位制御装置と複数の監視ユニットをシリーズに接続した監視システムであって、前記上位制御装置より前記監視ユニットへ計測データを要求し一定時間応答がなかった場合は、監視ユニットの通信回路が故障したと判断し、該故障したと判断した監視ユニットを通信系から切り離すことを特徴とする。
【0013】
また、上記載の監視システムにおいて、前記故障したと判断し切り離された監視ユニットに対し自己診断を実施する機能を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、周辺機器に高周波の影響を与えること無く、上位制御装置(PC)側から順次接続された電気設備機器へアドレスを割付けることが可能である。
また、通信回路に備えられている半導体スイッチ、または開閉スイッチ、双方向ドライバとドライバ・レシーバ用ICを活用することで容易に各電気設備機器の通信回路の故障診断を行え、且つ故障が生じた電気設備機器が発見されても、その影響を受けずにシステム全体の通信を維持することができ、容易に電気設備機器の交換、増設が行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の監視システムがアドレス自動割付けを実施する構成を示す。
【図2】本発明の監視システムが通常動作を行っているときの構成を示す。
【図3】監視システムのアドレス自動割付けモード時、中央の監視ユニットがアドレス設定されている場合の構成を示す図である。
【図4】監視システムのアドレス自動割付けモード時、左側及び中央の監視ユニットがアドレス設定されている場合の構成を示す図である。
【図5】本発明の監視システムのアドレス自動割付けモード時の自動制御装置のフローチャートである。
【図6】本発明の監視システムのアドレス自動割付けモード時の監視ユニットのフローチャートである。
【図7】本発明の自己診断モード時の監視ユニットの構成図を示す。
【図8】本発明の通信切り離しモード時の監視ユニットの構成図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例を図を用いて説明する。
【0017】
本発明は、上位制御装置(PC)が複数の監視ユニットを管理、運営する監視システムで、各監視ユニットは監視ユニット本体を制御するCPU、CPUに内蔵された固有のアドレスを記憶する不揮発性メモリを有し、また外部信号で監視ユニットの動作の開始及び停止の制御を行い、外部の上位制御装置(PC)と通信データの送受信を行うドライバ・レシーバ用ICを備え、外部信号で個別に通信線の切り離しを行うスイッチを備え、このドライバ・レシーバ用IC及びスイッチを制御し、監視を行うものである。
【0018】
(実施例1)
図1に本発明のアドレスを自動割付けする構成を示す。
【0019】
図1において、101は監視ユニットを管理、運用する上位制御装置(PC)、102、103、104は監視ユニット、105は上位制御装置(PC)101と監視ユニット101と通信を行う通信ライン、106は監視ユニット102と監視ユニット103と通信を行う通信ライン、107は監視ユニット103と監視ユニット104と通信を行う通信ライン、で、140〜145はデータ通信を行うための入出力端子である。
【0020】
108は監視ユニット102を制御するCPU、109は監視ユニット103を制御するCPU、110は監視ユニット104を制御するCPU、111はCPU108に内蔵され、固有のアドレスを記憶する不揮発性メモリ、112はCPU109に内蔵され、固有のアドレスを記憶する不揮発性メモリ、113はCPU109に内蔵され、固有のアドレスを記憶する不揮発性メモリである。
【0021】
114は監視ユニット102の内部の通信を行うための通信回路、115は監視ユニット103の内部の通信を行うための通信回路、116は監視ユニット103の内部の通信を行うための通信回路、117は通信回路114内に設けられた上位側ドライバ・レシーバ用IC、118は通信回路115内に設けられた上位側ドライバ・レシーバ用IC、119は通信回路116内に設けられた上位側ドライバ・レシーバ用IC、120は通信回路114内に設けられた下位側ドライバ・レシーバ用IC、121は通信回路115内に設けられた下位側ドライバ・レシーバ用IC、122は通信回路116内に設けられた下位側ドライバ・レシーバ用ICである。
【0022】
123は監視ユニット102の通信回路114内の上位側ドライバ・レシーバ用IC117と下位側ドライバ・レシーバ用IC120が電気的に接続された状態のときに上位側と下位側とが通信を行う通信系統(実線矢印で表示)、124は監視ユニット103の通信回路115内の上位側ドライバ・レシーバ用IC118と下位側ドライバ・レシーバ用IC121が電気的に接続された状態のときに上位側と下位側とが通信を行う通信系統(実線矢印で表示)、125は監視ユニット104の通信回路116内の上位側ドライバ・レシーバ用IC119と下位側ドライバ・レシーバ用IC122が電気的に接続された状態のときに上位側と下位側とが通信を行う通信系統(実線矢印で表示)である。
【0023】
126及び127は監視ユニット102の通信回路114内に設けた半導体スイッチ、開閉スイッチ又は双方向ドライバなどにより構成された通信の切り離しを行うスイッチ、128及び129は監視ユニット103の通信回路115内に設けた半導体スイッチ、開閉スイッチ又は双方向ドライバなどにより構成された通信の切り離しを行うスイッチ、130及び131は監視ユニット104の通信回路116内に設けた半導体スイッチ、開閉スイッチ又は双方向ドライバなどにより構成された通信の切り離しを行うスイッチである。
【0024】
132は、監視ユニット102が電源未投入時及び通常動作時はスイッチ126及び127はON状態で、通信回路114内のスイッチ126及び127がON状態のときに上位側ドライバ・レシーバ用IC117と下位側ドライバ・レシーバ用IC120と通信を行う通信系統(実線矢印で表示)、133は、監視ユニット103が電源未投入時及び通常動作時はスイッチ128及び129はON状態で、通信回路115内のスイッチ128及び129がON状態のときに上位側ドライバ・レシーバ用IC118と下位側ドライバ・レシーバ用IC121と通信を行う通信系統(実線矢印で表示)、134は、監視ユニット104が電源未投入時及び通常動作時はスイッチ130及び131はON状態で、通信回路116内のスイッチ130及び131がON状態のときに上位側ドライバ・レシーバ用IC119と下位側ドライバ・レシーバ用IC122と通信を行う通信系統(実線矢印で表示)である。
【0025】
また、監視ユニット102、103及び104を工場から出荷するときには不揮発性メモリ111、112、及び113にはアドレス“00”が登録されている。
【0026】
また、CPU108は上位側ドライバ・レシーバ用IC117、下位側ドライバ・レシーバ用IC120を制御し、スイッチ126,127を制御する。同様に、CPU109は上位側ドライバ・レシーバ用IC118、下位側ドライバ・レシーバ用IC121を制御し、スイッチ128,129を制御する。CPU110は上位側ドライバ・レシーバ用IC119、下位側ドライバ・レシーバ用IC122を制御し、スイッチ130,131を制御する。
【0027】
次にアドレス設定後の監視システムの通常動作について図2により説明する。
【0028】
図2において、アドレス設定後の通常動作中は、通信ラインで接続されている監視ユニットの通信回路114、115及び116内の下位側ドライバ・レシーバ用IC120、121及び122は、CPU108、109及び110の命令により機能が停止するように制御され、上位側ドライバ・レシーバ用IC120、121及び123と電気的に切り離される。図2においては、切り離された状態を×印で表している。この図以降で、×印は切り離された状態を意味する。
【0029】
また、通常動作時はスイッチ126、127、128、129、130及び131はON状態である。
【0030】
先ず、上位制御装置(PC)101より登録されている各監視ユニットのアドレス(00以外)に対し計測データの要求信号を出力する。
【0031】
各監視ユニットを制御するCPU108、109及び110は、通信回路114、115、116内の上位側ドライバ・レシーバ用IC117,118,119を介して上位側制御装置(PC)101からの計測データの要求信号を受け取り、要求された計測データを上位制御装置(PC)101へ送信する。通信接続されている全監視ユニットのスイッチ126、127、128、129、130及び131がON状態なので、上位制御装置(PC)101からの計測データの要求信号は通信系統132、133、134より全監視ユニットへ伝達され、アドレスが“00”以外の監視ユニットは要求通りに計測データを上位制御装置(PC)101へ送信する。
【0032】
このようにアドレス設定後は通常動作を実施する。
【0033】
次に本発明のアドレス自動割付けについて説明する。
【0034】
図3及び図4にアドレス自動割付けモード時の構成を示す。また、図5及び図6にアドレス自動割付けのフローチャートを示す。
【0035】
先ず、全監視ユニットにアドレス自動割付けモードにした場合について説明する。
【0036】
図2に示す通常動作の状態のように、通信系統132、133,134が通信可能状態のとき上位制御装置(PC)101から全監視ユニットの通信系統132,133,134を介して全監視ユニットへアドレス自動割付けコマンドを出力すると、全監視ユニットがアドレス自動割付けモードに切り替わる。
【0037】
アドレス自動割付けモードに切り替わると、監視ユニットのアドレスが“00”か“00”以外(これは既にアドレスが割付けられた状態)を識別される。監視ユニットのアドレスが“00”であればアドレスを設定する。そして、アドレスが“00”以外の監視ユニットすなわちアドレスが設定された監視ユニットは、通信回路内の下位側ドライバ・レシーバ用ICと上位側ドライバ・レシーバ用ICが電気的に接続し、通信系統123、124、125で通信可能となる。このアドレス割付け作業が終了すると、全監視ユニットの通信回路内の通信系統132、133、134の部分のスイッチ126、127、128、129、130及び131は全てOFF状態となる。
【0038】
図3は、監視ユニット102、104のアドレスが“00”で、監視ユニット103が既にアドレスが設定されている状態で、アドレス自動割付けモードに切り替わった状態を示す。
【0039】
上位制御装置(PC)101から最前段の監視ユニット102のアドレスが“00”の場合、アドレス自動割付けモードに切り替わったとき上位制御装置(PC)101から監視ユニット102へアドレス設定命令が出力され、監視ユニット102のCPU108内の不揮発性メモリ111のアドレスが“00”から別のアドレス番号に書き替えられる。そして、アドレス設定完了となるとCPU108は上位制御装置(PC)101へアドレス設定完了信号を返信し、監視ユニット102のアドレスが“00”以外のアドレスとなるため通信回路114内の下位側ドライバ・レシーバ用IC120が動作し、上位側ドライバ・レシーバ用IC117と接続し、通信系統123が通信可能となる。この状態が図4に示す構成である。
【0040】
上位制御装置(PC)101は、監視ユニット102からアドレス設定完了信号を受信すると、次段のアドレスが“00”の監視ユニットへアドレス設定命令信号を伝送する。最前段の監視ユニット102は、既にアドレスが設定されているのでCPU108はアドレス設定命令信号を無効とし、通信回路114内の通信系統123を介して次段の監視ユニット103へ出力される。
【0041】
次に、監視ユニット103においてもアドレスが既に設定されているのでCPU109はアドレス設定命令信号を無効とし、通信系統124を介して次段の監視ユニット104へ伝送する。そして、アドレスが“00”の監視ユニット104にアドレス設定命令信号が伝送されると、CPU101内の不揮発性メモリ113のアドレスを“00”から別のアドレスに書き替える。そして、アドレス設定が完了すると、監視ユニット104は上位制御装置(PC)101へアドレス設定命令信号を返信し、監視ユニット104は、アドレスが“00”以外のアドレスとなるため下位側ドライバ・レシーバ用IC122が動作し、上位側ドライバ・レシーバ用IC119と接続し、通信系統125が通信可能となる。
【0042】
そして、接続された全監視ユニットに対しアドレスが設定された場合、上位制御装置(PC)101にアドレス設定完了信号が返信されてこない。上位制御装置(PC)101はこのアドレス設定完了信号が一定時間内場合は全ての監視ユニットのアドレス設定が完了したと認識し、アドレス自動割付けモードを終了する。そして、通常動作モードに移行する。上記の一定時間は監視ユニットの数や処理時間等により決定する。
【0043】
図5及び図6は、上記のアドレス自動割付けモードのフローチャートを示す。
【0044】
上位制御装置(PC)101から接続されている監視ユニットを制御するフローについて、図5を用いて説明する。
【0045】
図5において、先ず、接続されている監視ユニットに対し、「アドレス自動割付けモードに移行」するコマンドを発行する(ステップ500)。そしてアドレス自動割付けモードとなり、監視ユニットのアドレスを設定するため当初アドレス“00”に登録している監視ユニットを検索するため、各監視ユニットのアドレスが“00”ユニットへ応答を要求する(ステップ510)。次に、監視ユニットのアドレスが“00”の応答があるかどうかを判断し(ステップ520)、応答があれば、アドレス設定コマンドを発行し、“00”でないアドレス、すなわち使用していないアドレス(空きアドレス)を設定する(ステップ530)。そしてアドレスを設定した後は前記のステップ510に戻る。監視ユニットのアドレスが“00”の応答がない場合、一定時間待機し(ステップ540)、再度アドレスが“00”の応答があるかを判断する(ステップ550)。
アドレス“00”の応答があれば、ステップ530の処理を行う。応答がなければ、アドレスの設定は完了したと判断し、通常動作モードへの移行を実施し(ステップ560)、終了(ステップ570)となる。
【0046】
次に、監視ユニットにおけるアドレス自動割付けモードを図6を用いて説明する。
【0047】
先ず、上位制御装置(PC)からのコマンドを入手し(ステップ600)、そのコマンドが「通常動作モード」のコマンドであるか判断する(ステップ610)。そして通常動作モードであれば、通常動作を行い(ステップ620)、終了する。
【0048】
通常動作モードでなければ、次のアドレス自動割付けモード切替えコマンドかを判断する(ステップ630)。
【0049】
アドレス自動割付けモード切替えコマンドであれば、通信回路内のスイッチ(図1において、スイッチ126乃至131に対応)をOFFにし(ステップ640)、監視ユニットのアドレスが“00”であるかを判断する(ステップ650)。
アドレスが“00”であれば、上位制御装置(PC)よりアドレス設定コマンド信号を受け(ステップ660)、アドレス“00”以外で使用されていないアドレス(空きアドレス)に設定し、監視ユニットのアドレス割付けを完了する(ステップ670)。
そして、上位制御装置(PC)へアドレス設定完了を出力する(ステップ680)。次に、下位側ドライバ・レシーバ用ICを動作させて通信ができるようにする(ステップ700)。そして、アドレス設定命令信号がきたら、次段の監視ユニットへ伝送し(ステップ710)、終了する。アドレスが“00”でなければ、上記のステップ700、710の処理を行い、終了する。
【0050】
アドレス自動割付けモード切替えコマンドでなければ、通常動作モード切替えコマンドか判断する(ステップ720)。そして、通常動作モード切替えコマンドでなければ終了する。
【0051】
通常動作モード切替えコマンドであれば、下位側ドライバ・レシーバ用ICを動作させずにすなわち切り離し(ステップ730)、通信回路のスイッチ(スイッチ126乃至131に対応)をONとし(ステップ740)、処理を終了する。
【0052】
以上が監視ユニットにおけるアドレス自動割付けのフローの説明である。
(実施例2)
次に監視ユニットの自己診断モードについて説明する。
【0053】
図7は監視ユニットの事項診断モードの構成を示す図である。図7において、201は上位制御装置(PC)、202は監視ユニット、203は通信回路、204、205、206,207は半導体スイッチ、開閉スイッチ又は双方向ドライバなどにより構成されたスイッチ、208は上位側ドライバ・レシーバ用IC、209は下位側ドライバ・レシーバ用IC、210、211、212、213は上位側ドライバ・レシーバ用IC側のスイッチ、214、215、216、217は下位側ドライバ・レシーバ用IC側のスイッチ、218,219は通信回路203に設けられたスイッチ、220は監視ユニットを制御するCPU、230はCPU内に内蔵されている不揮発性メモリである。
【0054】
302,402は監視ユニット、450は上位制御装置(PC)と監視ユニット302と通信を行う通信ライン、451は監視ユニット302と監視ユニット202と通信を行う通信ライン、452は監視ユニット202と監視ユニット402と通信を行う通信ラインを示す。350、351は監視ユニット302のデータ通信のための入出力端子、352、353は監視ユニット202のデータ通信のための入出力端子、354、355は監視ユニット402のデータ通信のための入出力端子である。
【0055】
上位制御装置(PC)201から順次接続された複数の監視ユニットにおいて、アドレスが設定された監視ユニットに対し計測データを要求したときに計測データが上位制御装置(PC)201に出力されない場合は、接続されている監視ユニット中の通信回路が故障したものがあると考えられる。図7のように、監視ユニット202の通信回路203内の上位側通信線に半導体スイッチ、開閉スイッチ、又は双方向ドライバなどのスイッチ204、205を備え、上位側ドライバ・レシーバ用IC208、下位側ドライバ・レシーバ用IC209と通信回路203との接続部分にスイッチ210、211、212、213、214、215、216及び217を備えることで、監視ユニット202内の通信回路203が故障しているかを監視ユニット202自身で自己診断ができる。且つ、正常な監視ユニットとの通信を維持しつつ通信回路が故障した監視ユニット202を通信システムから切り離すことができる。
【0056】
先ず、接続された監視ユニットから上位制御装置(PC)へ計測データが正常に出力されない状況になった場合、任意に上位制御装置(PC)から全監視ユニットに自己診断コマンドを出力することで通常動作モードから自己診断モードへ移行する。自己診断モードに移行すると、CPU220は監視ユニット202の通信回路203内の上位側及び下位側の通信線部分のスイッチ204、205,206及び207をOFF状態とし、通信回路内の下位側ドライバ・レシーバ用IC209を動作する。このような動作により各監視ユニット同士の通信線を切り離すことができ、且つ、図7のように監視ユニット内で監視ユニット自身が出力した信号を監視ユニット自身が受信できるので、もし出力した信号を監視ユニット自身で受信できなかった場合、その監視ユニットの通信回路に故障があると判断することができる。
【0057】
監視ユニット202の通信回路に故障が見つかった場合、監視ユニット202は通信切り離しモードへ移行し、正常に動作していると確認された場合は通常動作モードへ移行する。
【0058】
図8は、図7の監視ユニット202の通信回路に故障が見つかった場合、この通信系より通信切り離しモードを実施する構成を示す。
【0059】
図8において、302は監視ユニット、303は通信回路、304、305、306,307は半導体スイッチ、開閉スイッチ又は双方向ドライバなどにより構成されたスイッチ、308は上位側ドライバ・レシーバ用IC、309は下位側ドライバ・レシーバ用IC、310、311、312、313は上位側ドライバ・レシーバ用IC側のスイッチ、314、315、316、317は下位側ドライバ・レシーバ用IC側のスイッチ、318,319は通信回路303に設けられたスイッチ、320は監視ユニットを制御するCPU、330はCPU内に内蔵されている不揮発性メモリである。また、402は監視ユニット、403は通信回路、404、405、406,407は半導体スイッチ、開閉スイッチ又は双方向ドライバなどにより構成されたスイッチ、408は上位側ドライバ・レシーバ用IC、409は下位側ドライバ・レシーバ用IC、410、411、412、413は上位側ドライバ・レシーバ用IC側のスイッチ、414、415、416、417は下位側ドライバ・レシーバ用IC側のスイッチ、418,419は通信回路403に設けられたスイッチ、420は監視ユニットを制御するCPU、430はCPU内に内蔵されている不揮発性メモリである。
【0060】
通信切り離しモードになると、監視ユニット202の通信回路203内の上位側通信線部分のスイッチ204、205及び下位側通信線部分のスイッチ206,207がON状態になると同時に上位側ドライバ・レシーバ用IC208、及び下位側ドライバ・レシーバ用IC209と通信回路203との接続部のスイッチ210、211、212、213、214、215、216及び217がOFF状態となる。
【0061】
このようにスイッチを切り替えることにより、故障個所と通信路とが切り離されるので故障の影響を受けずに正常な監視ユニットは通常動作を実施することができる。
【0062】
上記の方式であれば、監視システムの監視ユニット同士の配線を変更することなく、通信回路の自己診断を行うことができ、正常な監視を維持できる。
【符号の説明】
【0063】
101‥上位制御装置 102‥監視ユニット、 103‥監視ユニット
104‥監視ユニット、 104‥監視ユニット、
105‥通信ライン、 106‥通信ライン、 107‥通信ライン
108‥CPU, 109‥CPU, 110‥CPU
111‥不揮発性メモリ、 112‥不揮発性メモリ、 113‥不揮発性メモリ
114‥通信回路、 115‥通信回路、 116‥通信回路
117‥上位側ドライバ・レシーバ用IC
118‥上位側ドライバ・レシーバ用IC
119‥上位側ドライバ・レシーバ用IC
120‥下位側ドライバ・レシーバ用IC
121‥下位側ドライバ・レシーバ用IC
122‥下位側ドライバ・レシーバ用IC
123‥通信系統、 124‥通信系統、 125‥通信系統
126〜131‥スイッチ
132‥通信系統、 133‥通信系統、 134‥通信系統
201‥上位制御装置(PC)
202‥監視ユニット、 203‥通信回路、
204、205、206,207‥スイッチ、
208‥上位側ドライバ・レシーバ用IC、
209‥下位側ドライバ・レシーバ用IC、
210、211、212、213‥上位側ドライバ・レシーバ用IC側のスイッチ、
214、215、216、217‥下位側ドライバ・レシーバ用IC側のスイッチ、
218,219‥通信回路に設けられたスイッチ、
220‥監視ユニットを制御するCPU、
230‥CPU内に内蔵されている不揮発性メモリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位制御装置と複数の監視ユニットをシリーズに接続し構成した監視システムであって、
前記監視ユニットは、
CPUと、メモリとを有し、
データ通信を行うための入出力端子を2個設け、それぞれを接続して通信回路を形成し、
データを送受信でき、前記CPUにて制御可能なドライバ・レシーバ用ICを上位側及び下位側に設け、前記上位側ドライバ・レシーバ用ICを前記通信回路の上位側に接続し、前記下位側ドライバ・レシーバ用ICを前記通信回路の下位側に接続し、前記上位側及び下位側ドライバ・レシーバ用ICを介してデータを送受信する第1の通信系統と、
前記通信回路と上位側ドライバ・レシーバ用ICを接続した箇所と、前記通信回路と下位側ドライバ・レシーバ用ICを接続した箇所との間に前記CPUで制御可能なスイッチを設け、前記スイッチを設けた通信回路を介してデータを送受信する第2の通信系統と、
を備えたことを特徴とする監視システム。
【請求項2】
請求項1記載の監視システムにおいて、
前記スイッチは、半導体スイッチ、開閉スイッチ、又は双方向ドライバより構成されることを特徴とする監視システム。
【請求項3】
上位制御装置と複数の監視ユニットをシリーズに接続した監視システムであって、
監視ユニットのアドレス自動割付けは、
(1)前記上位制御装置より前記監視ユニットにアドレス自動割付けコマンドを出力する、
(2)前記監視ユニットのアドレスが設定しているかを検索し、設定されていなければ使用されていないアドレスを設定し、設定されていれば次の監視ユニットを検索する、
(3)アドレス設定が完了すると、前記上位制御装置へアドレス設定完了の信号を送信する、
上記(2)〜(3)のステップを繰り返して行い、
全ての監視ユニットのアドレスの割付けを終了したら通常動作を行うことを特徴とする監視システム。
【請求項4】
請求項3記載の監視ユニットにおいて、
前記監視ユニットのアドレスが設定されていないユニットの検索方法は、監視ユニットの出荷時にメモリに登録した所定の数値を検出し判断する方法であることを特徴とする監視システム。
【請求項5】
上位制御装置と複数の監視ユニットをシリーズに接続した監視システムであって
前記上位制御装置より前記監視ユニットへ計測データを要求し一定時間応答がなかった場合は、監視ユニットの通信回路が故障したと判断し、
該故障したと判断した監視ユニットを通信系から切り離すことを特徴とする監視システム。
【請求項6】
請求項5記載の監視システムにおいて、
前記故障したと判断し切り離された監視ユニットに対し自己診断を実施する機能を備えたことを特徴とする監視システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−175413(P2012−175413A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35584(P2011−35584)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(502129933)株式会社日立産機システム (1,140)
【Fターム(参考)】