説明

監視システム

【課題】供給電力を低減させることができる監視システムを提供する。
【解決手段】監視装置5は、スイッチ1のコモン端子Cとスイッチ4の常閉端子NCとの間に接続され、直列に接続されたスイッチ1〜4に所定の値の電流、例えば、スイッチ1〜4の最小規定電流を流す電源50と、各スイッチ1〜4の常開端子NOと常閉端子NCとの間に流れる電流を検出する電流検出回路51〜54とから構成されている。電流検出回路51〜54は、フォトカプラなどの電流検出回路から構成され、電流を検出すると、バーナ等の運転を許可する旨の運転許可信号を燃焼制御装置6に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターロックの状態を監視する監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ボイラシステムなど燃焼炉を備えた監視システムでは、その燃焼炉の運転制御系として、燃焼炉の安全運転に関わるインターロックを監視する監視装置と、燃焼炉におけるバーナ等の運転を制御する燃焼制御装置とが備えられている。ここで、インターロックとは、所定の条件が満足されない正常ではない場合に、燃焼炉を起動させなかったり、燃焼炉の運転を停止させたりするものである。監視装置は、そのようなインターロックを監視し、インターロックが正常な場合にだけ監視装置から燃焼制御装置に対してバーナ等の運転許可の信号を伝達し、燃焼制御装置は、運転許可の信号を受信しなければ、バーナ等の運転を行わないように制御する。このような監視システムの一例を図3に示す。
【0003】
図3に示す監視システムは、インターロックとして機能する複数のスイッチ101〜104と、これらのスイッチ101〜104の切り替え状態を監視する監視装置200と、この監視装置200による監視結果に基づいて燃焼炉の燃焼を制御する燃焼制御装置300とを備えている。ここで、スイッチ101〜104は、燃焼装置を構成するブロアから燃焼炉に送出されるエアーの風圧に連動する風圧スイッチ(風圧SW)、燃焼炉内部の温度に連動する温度スイッチ(温度SW)、燃焼炉に供給される燃料の流量に連動する流量スイッチ(流量SW)、安全弁の開閉状態に連動する安全弁閉スイッチ(安全弁閉SW)などから構成される。また、スイッチ101〜104は、対象とする検出値や入力される制御信号等に基づいて、コモン端子C(コモン)と常閉端子NC(ノーマルクローズ)または常開端子NO(ノーマルオープン)との接続が切り替わる。以下、このようなスイッチ101〜104において、コモン端子Cと常開端子NOとが接続された状態を「オン状態」、コモン端子Cと常閉端子NCとが接続された状態を「オフ状態」という。なお、図3において、スイッチ101〜104は、常閉端子NCと常開端子NOとが切り替わる2接点スイッチの場合を例に説明するが、そのスイッチは2接点スイッチに限定されず、例えば1接点スイッチなど各種機械的スイッチを用いることができることは言うまでもない。
【0004】
スイッチの状態を監視する監視装置200は、各スイッチ101〜104のコモン端子Cと常開端子NOとの間に各スイッチ101〜104に規定された電流を供給する電源210と、各スイッチ101〜104の常開端子NOと電源210との間に流れる電流を検出する電流検出回路221〜224とを備えている。
【0005】
このような監視システムにおいて、燃焼炉を安全運転できる場合、風圧SW、温度SW、流量SW、安全弁閉SWなどにより制御信号が入力されて、各スイッチ101〜104のコモン端子Cと常開端子NO端子とが接続されたオン状態となり、各スイッチ101〜104ごとに電源210および電流検出回路211〜214を含む閉回路が形成される。これにより、監視装置200の電流検出回路211〜214は、それぞれスイッチ101〜104を介して流れる電流を検出すると、バーナ等の運転を許可する旨の運転許可信号を燃焼制御装置300に送信する。燃焼制御装置300は、電流検出回路211〜214の全てから運転許可信号を受信すると、バーナ等の運転制御を行う。
【0006】
一方、燃焼炉を安全運転できない場合、それらのスイッチ101〜104の何れか、例えば、風圧SWとして機能するスイッチ101に制御信号の入力がなく、スイッチ101は、コモン端子Cと常閉端子NCとが接続されてオフ状態となる。すると、スイッチ101に対応付けて設けられた電流検出回路211には電流が流れないので、この電流検出回路211からは、運転許可信号が燃焼制御装置300に送信されない。これにより、燃焼制御装置300は、バーナ等の運転制御を行わないこととなる。
【0007】
このような従来の監視システムにおいて、スイッチ101〜104は、監視装置200に設けられた電源210に対して並列に接続されている。したがって、この電源210からオン状態のスイッチ101〜104に対してそれぞれ規定の電流が供給されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−277313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来のシステムでは、インターロックとして機能する各スイッチを燃焼制御装置の電源に対して並列に接続していたので、各スイッチに独立して規定の電流を供給する必要があり、その結果、供給電力が大きなものとなっていた。
【0010】
そこで、本願発明は、供給電力を低減させることができる監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述したような課題を解決するために、本発明に係る監視システムは、コモン端子、常閉端子および常開端子を備えたN個(Nは2以上の整数)のスイッチと、これらのスイッチの状態を監視する監視装置とを備えた監視システムであって、スイッチは、(n−1)番目(nは2以上N以下の整数)のスイッチの常閉端子とn番目のスイッチのコモン端子とを接続することによって直列に接続され、監視装置は、スイッチそれぞれの常開端子と常閉端子とに接続され、これらの端子間に流れる電流に基づいて当該スイッチの状態を検出する検出部と、一方の端子が1番目のスイッチのコモン端子に接続され、他方の端子がN番目のスイッチの常閉端子に接続された電源とを備えることを特徴とするものである。
【0012】
上記監視システムにおいて、N番目のスイッチの常閉端子と、電源の他方の端子との間に接続され、これらの端子間に流れる電流に基づいて、スイッチと検出部との間の配線の状態を検出する第2の検出部をさらに備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電源に対してスイッチが直列に接続される。その結果、各スイッチに独立して規定の電流を供給しないので、供給電力を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係る監視システムの構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る監視システムの変形例の構成を模式的に示す図である。
【図3】従来の監視システムの構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0016】
<監視システムの構成>
図1に示すように、本実施の形態に係る監視システムは、インターロックとして機能する複数のスイッチ1〜4と、これらのスイッチ1〜4の状態を監視する監視装置5と、この監視装置5による監視結果に基づいて燃焼炉の燃焼を制御する燃焼制御装置6とを少なくとも備えている。
【0017】
スイッチ1〜4はそれぞれ、ブロアから燃焼炉に送出されるエアーの風圧に連動する風圧スイッチ(風圧SW)、燃焼炉内部の温度に連動する温度スイッチ(温度SW)、燃焼炉に供給される燃料の流量に連動する流量スイッチ(流量SW)、安全弁の開閉状態に連動する安全弁閉スイッチ(安全弁閉SW)などから構成されており、対象とする検出値や入力される制御信号などに基づいて、接続が切り替わる。具体的には、風圧SW、温度SW、流量SW、安全弁閉SWから制御信号等が入力され、燃焼炉を安全運転できる場合、各スイッチ1〜4は、コモン端子Cと常開端子NOとが接続されたオン状態となる。一方、それらのSWから制御信号等が入力されず、燃焼炉を安全運転できない場合、各スイッチ1〜4は、コモン端子Cと常閉端子NCとが接続されたオフ状態となる。このようなスイッチ1〜4は、スイッチ1〜3の常閉端子NCと、後段のスイッチ2〜4のコモン端子Cとが接続されることにより、直列に接続されることとなる。
【0018】
監視装置5は、スイッチ1のコモン端子Cとスイッチ4の常閉端子NCとの間に接続され、直列に接続されたスイッチ1〜4に所定の値の電流、例えば、スイッチ1〜4の最小規定電流を流す電源50と、各スイッチ1〜4の常開端子NOと常閉端子NCとの間に流れる電流を検出する電流検出回路51〜54とから構成されている。ここで、電流検出回路51〜54は、フォトカプラなどの電流検出回路から構成され、電流を検出すると、バーナ等の運転を許可する旨の運転許可信号を燃焼制御装置6に送信する。
【0019】
燃焼制御装置6は、監視装置5の電流検出回路51〜54から受信する運転許可信号に基づいて、バーナ等の監視システムの構成要素の運転を制御する電気回路から構成される。
【0020】
<インターロックと監視装置の接続関係>
スイッチ1〜4の常開端子NOは、各スイッチと対応付けられた電流検出回路51〜54を介して、自身の常閉端子NCに接続される。スイッチ1のコモン端子は電源50の一方の端子に接続され、スイッチ4の常閉端子NCは電源50の他方の端子に接続されている。
【0021】
スイッチ1〜4がオン状態の場合、このスイッチ1〜4のコモン端子Cに流れてきた電流は、対応付けられた電流検出回路51〜54を介して、後段のスイッチ2〜4または電源50に流れていく。一方、スイッチ1〜4がオフ状態の場合、スイッチ1〜4のコモン端子Cに流れてきた電流は、対応付けられた電流検出回路51〜54を介さずに、後段のスイッチ2〜4または電源50に流れていく。
【0022】
このようにスイッチ1〜4と監視装置5とを接続することにより、スイッチ1〜4のオン・オフ状態に関わらず、電源50とスイッチ1〜4とにより1つの直列回路が形成されることとなる。
【0023】
<スイッチの状態検出動作>
次に、監視装置5の電流検出回路51〜54によるスイッチ1〜4の切り替え状態の検出動作について説明する。電流検出回路51〜54は、スイッチ1〜4それぞれの切り替え状態を、常開端子NOと常閉端子NCとの間に流れる電流に基づいて検出する。
【0024】
例えば、スイッチ1〜4がオン状態の場合、すなわち、スイッチ1〜4のコモン端子Cと常開端子NOとが接続されている場合、そのコモン端子Cからその常開端子NOに流れた電流は、電流検出回路51〜54を介して自身のスイッチの常閉端子NCに流れていく。このように、スイッチ1〜4がオン状態の場合には、電流検出回路51〜54それぞれに電流が流れることとなる。
【0025】
一方、スイッチ1〜4のいずれかがオフ状態の場合、例えば、スイッチ1のコモン端子Cと常閉端子NCとが接続された場合、電流は、電流検出回路51を通過することなく、その常閉端子NCを介して、後段のスイッチ2のコモン端子Cに流れる。
【0026】
電流検出回路51〜54は、それぞれスイッチ1〜4を介して電流が流れると、バーナ等の運転を許可する旨の運転許可信号を燃焼制御装置6に送信する。一方、スイッチ1〜4を介して電流が流れないと、このスイッチ1〜4と対応付けられた電流検出回路51〜54は、運転許可信号を燃焼制御装置6に送信しない。
【0027】
燃焼制御装置6は、電流検出回路51〜54から受信する運転許可信号に基づいて、燃焼炉の運転制御を行う。具体的には、燃焼制御装置6は、電流検出回路51〜54の全てから運転許可信号を受信するとバーナ等の運転制御を行い、電流検出回路51〜54の少なくとも1つから運転許可信号を受信しないと、バーナ等の運転制御を行わない。
【0028】
以上説明したように、本実施の形態によれば、電源50に対してスイッチ1〜4が直列に接続される。その結果、各スイッチ1〜4に独立して規定の電流を供給しないので、供給電力を低減させることができる。
【0029】
また、各スイッチ1〜4に電流抵抗が不要であるため、基板の小型化や低コスト化も実現することができる。
【0030】
なお、本実施の形態において、図2に示すように、電流検出回路54の後段に断線検出用の電流検出回路55をさらに設けるようにしてもよい。この電流検出回路55は、電流検出回路54の常開端子NOと、電源50の他方の端子との間に接続され、それらの端子間に流れる電流の有無を検出し、この検出結果を燃焼制御装置6に送出する。電流検出回路55は、電流検出回路51〜54と同様にフォトカプラなどの電流検出回路から構成すればよいが、電流検出回路55と、電流検出回路51〜54とは必ずしも同一の部品を用いる必要はなく、同様の機能を発揮する別の部品あるいは特性の異なる部品を適宜用いてもよい。そのように電流検出回路55を接続することにより、スイッチ1〜4および電流検出回路51〜55は、電源50に対して直列に接続されることとなる。したがって、電流検出回路55により電流が検出されるということは、スイッチ1〜4および電流検出回路51〜54の間の配線が断線していないことを意味する。一方、検出した場合、電流検出回路55により電流が検出されないということは、スイッチ1〜4および電流検出回路51〜54の間の配線に断線が生じていることを意味する。これにより、燃焼制御装置6は、電流検出回路55から電流が流れている旨の検出結果が送出されてくると、スイッチ1〜4および電流検出回路51〜54の間の配線が断線していないと判断する。一方、電流検出回路55から電流が流れていない旨の検出結果が送出されてくると、燃焼制御装置6は、スイッチ1〜4および電流検出回路51〜54の間の配線が断線していると判断する。このような構成を採ることにより、電流検出回路51〜54は、電流が流れている場合に対応するスイッチ1〜4がオン状態、電流が流れていない場合に対応するスイッチ1〜4がオフ状態と検出する。このとき、電流検出回路51〜54とスイッチ1〜4の間の配線が断線して、電流検出回路51〜54に電流が流れないと、電流検出回路51〜54は、断線により電流が流れないにもかかわらず、対応するスイッチ1〜4がオフ状態であると検出してしまう。そこで、図2に示すように、電流検出回路55をさらに設け、その配線が断線しているか否かを検出することにより、スイッチ1〜4のオン・オフ状態をより正確に検出することができる。
【0031】
また、本実施の形態では、監視システムに適用した場合を例に説明したが、スイッチを複数の備えるシステムであるならば監視システムに限定されず各種システムに適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、スイッチを複数の備え、これらのスイッチの状態を監視する各種システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1〜4…スイッチ、5…監視装置、6…燃焼制御装置、50…電源、51〜55…電流検出回路、C…コモン端子、NC…常閉端子、NO…常開端子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コモン端子、常閉端子および常開端子を備えたN個(Nは2以上の整数)のスイッチと、これらのスイッチの状態を監視する監視装置とを備えた監視システムであって、
前記スイッチは、(n−1)番目(nは2以上N以下の整数)のスイッチの常閉端子とn番目のスイッチのコモン端子とを接続することによって直列に接続され、
前記監視装置は、
前記スイッチそれぞれの前記常開端子と前記常閉端子とに接続され、これらの端子間に流れる電流に基づいて当該スイッチの状態を検出する第1の検出部と、
一方の端子が1番目のスイッチのコモン端子に接続され、他方の端子がN番目のスイッチの常閉端子に接続された電源と
を備えることを特徴とする監視システム。
【請求項2】
N番目のスイッチの常閉端子と、前記電源の他方の端子との間に接続され、これらの端子間に流れる電流に基づいて、前記スイッチと前記検出部との間の配線の状態を検出する第2の検出部をさらに備える
ことを特徴とする請求項1記載の監視システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate