説明

監視映像録画複写システム

【課題】監視映像の複写に関しては可搬な記憶媒体だけを保守員が持参すれば良いという監視映像録画複写システムを提供する。
【解決手段】監視映像録画複写システムは、監視領域を撮影した監視映像を一旦録画する監視映像レコーダおよび上記監視映像レコーダに録画されている監視映像の少なくとも一部が複写される可搬型の外部記憶媒体を有する監視映像録画複写システムにおいて、上記外部記憶媒体は、上記監視映像レコーダに複写を実行させるコマンドが記憶され、上記監視映像レコーダは、上記外部記憶媒体が挿着されたとき上記コマンドを取り出すとともに上記取り出したコマンドに従って録画されている上記監視映像を上記外部記憶媒体に複写する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、監視している場所が撮影され且つ録画されている監視映像を可搬な記憶媒体に複写する監視映像録画複写システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の監視映像録画複写システムでは、保守員が録画されている監視映像を持ち帰るために、VTRやPCを監視映像レコーダに接続し、テープ、DVDメディア、またはPC内のHDDへ複写している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平9−326986号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、VTRやPCを監視映像レコーダが置かれている乗りカゴ上で監視映像レコーダを接続する作業は、エレベータを停止させる保守点検の際に実施するため、短時間で終わらせる必要があるが、現状では時間が掛かり、複写作業が容易でないという問題がある。
また、コピー用にVTRやPCなどの機材を保守員は持ち歩く必要があり、保守員が持参する機材が多くなるという問題がある。
【0005】
この発明の目的は、監視映像の複写に関しては可搬な記憶媒体だけを保守員が持参すれば良いという監視映像録画複写システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る監視映像録画複写システムは、監視領域を撮影した監視映像を一旦録画する監視映像レコーダおよび上記監視映像レコーダに録画されている監視映像の少なくとも一部が複写される可搬型の外部記憶媒体を有する監視映像録画複写システムにおいて、上記外部記憶媒体は、上記監視映像レコーダに複写を実行させるコマンドが記憶され、上記監視映像レコーダは、上記外部記憶媒体が挿着されたとき上記コマンドを取り出すとともに上記取り出したコマンドに従って録画されている上記監視映像を上記外部記憶媒体に複写する。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る監視映像録画複写システムの効果は、コマンドを含むファイルが記憶されている外部記憶媒体を挿着すると、外部記憶媒体に記憶されているファイルを読み出し、ファイルに含まれるコマンドに従って内部記憶媒体に記憶されている監視映像を外部記憶媒体に複写するので、外部記憶媒体を監視映像レコーダに挿着するだけで、内部記憶媒体に録画されている監視映像を外部記憶媒体に複写することができ、現地での作業を簡略化することができる
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、この発明に係る監視映像録画複写システムの構成を示す概略図である。
この発明を実施するための最良の形態に係る監視映像録画複写システムは、図1に示すように、例えばエレベータの乗りカゴ1内を監視領域とし、監視領域内を撮影したカメラ2のカメラ映像からなる監視映像を内部記憶媒体としてのHDD3に録画する監視映像レコーダ4、監視映像の確認が必要となったとき監視映像レコーダ4に録画されている監視画像のうち確認を要する部分の監視画像を複写される可搬型の外部記憶媒体としてのUSBメモリ5、および、保守員が持ち帰ったUSBメモリ5の監視画像を再生する監視センタ7に備えるモニタ8を有する。
【0009】
保守員が監視映像レコーダ4から監視映像を複写するUSBメモリ5は、図2に示すように、記憶領域内にコマンドを含むとともに暗号化されたファイル9が格納されている。
コマンドとして、監視映像をHDD3からUSBメモリ5に複写するよう命じるコピー命令および監視映像のうちで複写の対象となる監視映像を特定する時刻(対象の監視映像の撮影が開始された開始時刻と撮影が終止した終止時刻)を含む。例えば、Copy_from____to____である。
そして、保守員は、監視センタ7においてUSBメモリ5にコマンドを含むファイル9を記憶する。
【0010】
図3は、この発明に係る監視映像レコーダの機能を示すブロック図である。
監視映像レコーダ4は、図3に示すように、乗りカゴ1内を撮影したカメラ2からカメラ映像が入力されるカメラ映像入力部11、カメラ映像入力部11に入力されたカメラ映像のHDD3への書き込みを制御するHDD書込部12、HDD3に録画されているカメラ映像のHDD3からの読み出しを制御するHDD読出部13、HDD書込部12から送信されてきたカメラ映像をHDD3の所定の領域に記憶するとともにHDD3の所定の領域に記憶されたカメラ映像を読み出してHDD読出部13へ送信する内部メモリアクセス部14を有する。
【0011】
また、監視映像レコーダ4は、USBメモリ5が挿着される外部メモリスロット15、外部メモリスロット15に挿着されたUSBメモリ5を制御してUSBメモリ5の記憶領域からデータを読み出すまたUSBメモリ5の記憶領域にデータを書き込む外部メモリアクセス部16、USBメモリ5が外部メモリスロット15に挿着されたことを判定する外部メモリ接続判定部17、USBメモリ5に格納されているファイル9を読み出すように外部メモリアクセス部16を制御する外部メモリ読出部18、ファイル9を復号化するファイル復号化部19、および、ファイル9からコマンドを取り出しレコーダ制御部20に送るコマンド読出・要求部21を有する。
【0012】
また、監視映像レコーダ4は、HDD読出部13が読み出したカメラ映像を外部メモリアクセス部16へ転送する外部メモリ書込部22、コマンドに含まれる命令に従ってHDD3に記憶されているカメラ映像を読み出し且つ読み出したカメラ映像をUSBメモリ5に記憶するようにHDD読出部13および外部メモリ書込部22に指令するレコーダ制御部20、USBメモリ5にコピーしているときLEDランプ23を点滅してコピーの途中であることを知らせるLED制御部24、および、LED制御部24によりコピーが実行中点滅されるLEDランプ23を有する。
モニタ8は、USBメモリ5に記憶されているカメラ映像を再生して表示する。
【0013】
次に、USBメモリ5に監視映像レコーダ4から所望の監視映像を複写するときの手順を説明する。なお、USBメモリ5にはコピー命令およびUSBメモリ5に複写したいカメラ映像を特定する情報がコマンドとして記憶されている。図4は、USBメモリ5に監視映像レコーダ4から所望の監視映像を複写するときの手順を示すフローチャートである。
ステップS101で、保守員が外部メモリスロット15にUSBメモリ5を挿着すると、外部メモリ接続判定部17は、USBメモリ5の挿着を確認し、挿入有信号をレコーダ制御部20に送信する。
ステップS102で、レコーダ制御部20は、挿入有信号を受信すると外部メモリ読出部18に対してUSBメモリ5からファイル9を読み出すようにファイル読出指令を発する。外部メモリ読出部18は、ファイル読出指令に従ってUSBメモリ5からファイル9を読み出しファイル復号化部19に送る。
ステップS103で、ファイル復号化部19は、ファイル9を復号化してコマンド読出・要求部21に送る。
ステップS104で、コマンド読出・要求部21は、ファイル9に含まれるコマンドを抽出し、コマンドの実行をレコーダ制御部20に要求する。
【0014】
ステップS105で、レコーダ制御部20は、コマンドの実行の要求を受けるとHDD読出部13に開始時刻および終止時刻を送り、該当する監視映像を複写するように制御する。同時に、LED制御部24に対してLEDランプ23を点滅するよう指令する。
ステップS106で、HDD読出部13は、開始時刻および終止時刻の間の監視映像が記憶されているHDD3の記憶領域を特定して内部メモリアクセス部14を制御する。そして、内部メモリアクセス部14は、特定されたHDD3の記憶領域から監視映像のデータを読み出しHDD読出部13に転送する。
ステップS107で、レコーダ制御部20は、HDD読出部13に対して読み出された監視映像のデータを外部メモリ書込部22に転送するように指令する。そして、HDD読出部13は、読み出した監視映像のデータを外部メモリ書込部22に転送する。次に、レコーダ制御部20は、外部メモリ書込部22に対して監視映像のデータをUSBメモリ5に書き込むように指令する。そして、外部メモリ書込部22は、ファイル書込指令に従って監視映像のデータをUSBメモリ5に書き込むように外部メモリアクセス部16に指令する。外部メモリアクセス部16は、監視映像のデータをUSBメモリ5の所定の記憶領域に記憶する。
ステップS108で、外部メモリ書込部22は、書き込みが完了したら書込完了信号をレコーダ制御部20に送信する。レコーダ制御部20は、書込完了信号を受信すると複写が完了したと判断する。そして、LED制御部24にLEDランプ23を消灯するよう指令する。
【0015】
この発明に係る監視映像録画複写システムでは、コマンドを含むファイル9が記憶されているUSBメモリ5を挿着すると、USBメモリ5に記憶されているファイル9を読み出し、ファイル9に含まれるコマンドに従ってHDD3に記憶されている監視映像をUSBメモリ5に複写するので、USBメモリ5を監視映像レコーダ4に挿着するだけで、HDD3に記憶されている監視映像をUSBメモリ5に複写することができ、現地での作業を簡略化することができる。
【0016】
また、監視映像が複写されるUSBメモリ5には、監視映像レコーダ4に対する命令が格納されており、一方、監視映像レコーダ4はUSBメモリ5から命令を取り出して複写を実行するので、保守員は複写に関してUSBメモリ5のみを持ち運べば良く、現場へ持参する機材が軽減される。
【0017】
また、コマンドを含むファイル9が暗号化されてUSBメモリ5に記憶されており、監視映像レコーダ4で正しく復号化できないと監視映像をUSBメモリ5に複写できないので、第三者がコマンドを作成してUSBメモリ5に記憶したとしても正しく暗号化できず、第三者が監視映像を監視映像レコーダ4から複写することができない。
【0018】
また、HDD3からUSBメモリ5に監視映像を複写しているときにはLEDランプ23が点滅されているので、モニタなど特別な機材を監視映像レコーダ4に設けなくても、コマンドが実行されていることを確認することができるとともにUSBメモリ5を安全に取り外すことができる。
【0019】
なお、可搬型の外部記憶媒体としてUSBメモリ5を例に説明したが、他の半導体メモリ、磁気記録媒体、光磁気記録媒体などを使用することができる。
また、上述の実施の形態においては乗りカゴ1上に載置された監視映像レコーダ4の筐体に設けられた外部メモリスロット15に直接USBメモリ5を挿着するという例で本発明を説明したが、延長ケーブルを用いて監視映像レコーダ4から離れたところでUSBメモリ5を接続しても良い。
【0020】
また、監視映像レコーダ4からケーブルで乗りカゴ1内の操作盤に設けたスロットに接続し、そのスロットにUSBメモリ5を挿着しても良い。
また、監視映像レコーダ4に鍵を設けて、鍵が解除されているときだけUSBメモリ5を挿着することができるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明に係る監視映像録画複写システムの構成を示す概略図である。
【図2】USBメモリの記憶領域内の構成を示す図である。
【図3】この発明に係る監視映像レコーダの機能を示すブロック図である。
【図4】USBメモリに監視映像レコーダから所望の監視映像を複写するときの手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0022】
1 乗りカゴ、2 カメラ、3 HDD、4 監視映像レコーダ、5 USBメモリ、7 監視センタ、8 モニタ、9 ファイル、11 カメラ映像入力部、12 HDD書込部、13 HDD読出部、14 内部メモリアクセス部、15 外部メモリスロット、16 外部メモリアクセス部、17 外部メモリ接続判定部、18 外部メモリ読出部、19 ファイル復号化部、20 レコーダ制御部、21 コマンド読出・要求部、22 外部メモリ書込部、23 LEDランプ、24 LED制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域を撮影した監視映像を一旦録画する監視映像レコーダおよび上記監視映像レコーダに録画されている監視映像の少なくとも一部が複写される可搬型の外部記憶媒体を有する監視映像録画複写システムにおいて、
上記外部記憶媒体は、上記監視映像レコーダに複写を実行させるコマンドが記憶され、
上記監視映像レコーダは、上記外部記憶媒体が挿着されたとき上記コマンドを取り出すとともに上記取り出したコマンドに従って録画されている上記監視映像を上記外部記憶媒体に複写することを特徴とする監視映像録画複写システム。
【請求項2】
上記外部記憶媒体は、上記コマンドを含み且つ暗号化されたファイルが記憶され、
上記監視映像レコーダは、上記ファイルを復号化した後上記コマンドを取り出すことを特徴とする請求項1に記載の監視映像録画複写システム。
【請求項3】
上記監視映像レコーダは、録画されている上記監視映像を上記外部記憶媒体に複写する間点滅するLEDランプを有することを特徴とする請求項1または2に記載の監視映像録画複写システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−253832(P2009−253832A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−101684(P2008−101684)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】