説明

監視装置、監視方法、監視プログラムおよび監視プログラムを格納した記録媒体

【課題】地震発生時に通信回線の輻輳の発生前に被害状況の確認ができる監視装置、監視方法、監視プログラムおよび監視プログラムを格納した記録媒体を提供する。
【解決手段】緊急地震速報をチューナー11で受信して、その緊急地震速報から演算装置14で到達予測時刻を算出後、その到達予測時刻を基準として、10秒前から監視地点の静止画像をカメラI/F18を介してカメラ20に所定間隔で連続撮影させて、そのうち到達予測時刻の10秒前、10秒後、30秒後および1分後の監視地点の静止画像をモデム13に対してインターネット50経由で携帯電話60に電子メールにて送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震発生時に自宅の被害状況などを監視する監視装置、監視方法、監視プログラムおよび監視プログラムを格納した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
緊急地震速報は、気象庁が中心となって提供している地震情報であり、近年一般向けの運用が開始されている。
【0003】
緊急地震速報は、地震によって発生する初期微動でのP波と呼ばれる小さな揺れ(縦波)と主要動でのS波と呼ばれる大きな揺れ(横波)の伝搬速度差を利用して、震源に近い地点におけるP波の観測に基づき、後から来るS波の伝播を時系列的に予測し、震源からある程度以上(P波とS波の時間差が充分に開くほど)離れた地点に対してその到達前に発表する予測情報である。
【0004】
緊急地震速報に用いられる地震動(P波やS波など)の情報は、全国に設置されている地震計を利用して、地震波形データをリアルタイムで気象庁に集計し、これを解析・処理して気象庁から利用者へ配信される。また、これらの利用者から末端のユーザーへの二次配信が行われることもある。
【0005】
そして、この緊急地震速報を受信した端末はS波の到達前にユーザーなどに地震の到達予測時刻や予測震度などを告知して注意を促している。
【0006】
一方、自宅などで災害などの発生を監視する監視装置として、例えば特許文献1や2に記載されている監視装置や異常監視装置が提案されている。特許文献1に記載された監視装置は、監視対象を撮影した動画を動画像受信再生機器に送信してリアルタイムに監視し、監視対象において所定の事象が発生した場合は携帯端末にメッセージを送信したり、動画像を送信する。特許文献2に記載の異常監視装置は、監視建物内に異常が発生した際には携帯端末に異常発生の通知と映像を送信している。
【特許文献1】実用新案登録第3045236号
【特許文献2】特開2001−167365号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1、2に記載された監視装置や異常監視装置は、携帯端末に対して動画像でリアルタイムに送信しているために通信回線を長く占有してしまう。一般的に地震や津波等、広域で災害が発生した後には、通信回線上に輻輳が発生し、電話やインターネットが繋がりにくくなることが経験上知られている。したがって特許文献1、2に記載された監視装置や異常監視装置を地震に対応させようとすると、地震発生後に映像を送信することが困難になり、遠隔地から監視地点における地震の被害が確認できないという問題がある。
【0008】
また、動画像でなく静止画像を一定間隔で撮影して携帯端末などに送信する方法も考えられるが、この場合、地震の発生後から送信時間に達しないと監視地点の状況を確認することができないために、輻輳発生後に静止画像を送信してしまう可能性があるという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、例えば地震発生時に通信回線の輻輳の発生前に被害状況の確認ができる監視装置、監視方法、監視プログラムおよび監視プログラムを格納した記録媒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の監視装置は、地震発生時に監視地点の画像を取得して外部に送信する監視装置であって、緊急地震速報を受信する受信手段と、前記受信手段が受信した前記緊急地震速報に基づいて地震の到達予測時刻を演算する演算手段と、外部に接続された撮影装置に前記到達予測時刻の前後に静止画像の撮影を指示する撮影指示手段と、前記撮影装置から静止画像を取り込む画像取り込み手段と、前記画像取り込み手段が取り込んだ静止画像を出力する画像出力手段と、を備えたことを特徴としている。
【0011】
請求項7に記載の監視方法は、地震発生時に監視地点の画像を取得して外部に送信する監視方法であって、緊急地震速報を受信し、前記受信した前記緊急地震速報に基づいて地震の到達予測時刻を演算し、外部に接続された撮影装置に前記到達予測時刻の前後に撮影を指示し、前記撮影装置から静止画像を取り込み、予め定めた所定のタイミングで前記取り込んだ静止画像を出力することを特徴としている。
【0012】
請求項8に記載の監視プログラムは、地震発生時に監視地点の画像を取得して外部に送信する監視プログラムであって、緊急地震速報を受信する受信手段と、前記受信手段が受信した前記緊急地震速報に基づいて地震の到達予測時刻を演算する演算手段と、外部に接続された撮影装置に前記到達予測時刻の前後に撮影を指示する撮影指示手段と、前記撮影装置から静止画像を取り込む画像取り込み手段と、予め定めた所定のタイミングで前記画像取り込み手段が取り込んだ静止画像を出力する画像出力手段と、してコンピュータを機能させることを特徴としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態にかかる監視装置を説明する。本発明の一実施形態にかかる監視装置は、受信手段で緊急地震速報を受信し、演算手段で緊急地震速報に基づいて地震の到達予測時刻を演算し、撮影指示手段が撮影装置に到達予測時刻の前後に撮影を指示し、画像取り込み手段が撮影装置から静止画像を取り込んで、画像出力手段が取り込んだ静止画像を出力しているので、緊急地震速報をトリガとして監視位置の静止画像を撮影することで最低限必要な静止画像のみを撮影することができ、地震発生前と後とで画像を比較することで被害を把握し易くすることができる。また、静止画像で送信することで動画よりも通信回線の占有時間を短くすることが可能となり、輻輳の影響を少なくすることができる。
【0014】
また、撮影指示手段が、到達予測時刻以降の少なくとも互いに異なる時間に設定された2回以上のタイミングで撮影を指示してもよい。このようにすることにより、被害状況の変化が確認し易くなる。
【0015】
また、互いに異なる時間が、到達予測時刻の直後と、当該地震の揺れが完全に収まった時期と、に設定されていてもよい。このようにすることにより、被害状況の変化が確認できると共に、直後を撮影することで、通信回線の輻輳が始まる前に監視地点の状況を迅速に送信することができる。
【0016】
また、撮影指示手段が、到達予測時刻の所定時間前から到達予測時刻の間で撮影を指示してもよい。このようにすることにより、緊急地震速報をトリガとして地震発生前の状態の静止画像を撮影することができる。
【0017】
また、画像出力手段の出力先を設定する出力先設定手段を備えてもよい。このようにすることにより、任意の出力先(送信先)を設定することができる。
【0018】
また、出力先設定手段に、電子メールアドレスを設定し、画像出力手段が、出力先設定手段で設定した電子メールアドレスに向けて電子メールで静止画像を出力してもよい。このようにすることにより、携帯電話や携帯端末など電子メールが受信可能な機器に対して静止画像を送信することができる。また、アドレスを複数設定すれば、ユーザーだけでなく家族など複数の関係者に静止画像を送信することができる。
【0019】
また、本発明の一実施形態にかかる監視方法は、緊急地震速報を受信し、緊急地震速報に基づいて地震の到達予測時刻を演算し、撮影装置に到達予測時刻の前後に撮影を指示し、撮影装置から静止画像を取り込んで、取り込んだ静止画像を出力しているので、緊急地震速報をトリガとして監視位置の静止画像を撮影することで最低限必要な静止画像のみを撮影することができ、地震発生前と後とで画像を比較することで被害を把握し易くすることができる。また、静止画像で送信することで動画よりも通信回線の占有時間を短くすることが可能となり、輻輳の影響を少なくすることができる。
【0020】
また、本発明の一実施形態にかかる監視プログラムは、受信手段で緊急地震速報を受信し、演算手段で緊急地震速報に基づいて地震の到達予測時刻を演算し、撮影指示手段が撮影装置に到達予測時刻の前後に撮影を指示し、画像取り込み手段が撮影装置から静止画像を取り込んで、画像出力手段が取り込んだ静止画像を出力するようにコンピュータを機能させているので、緊急地震速報をトリガとして監視位置の静止画像を撮影することで最低限必要な静止画像のみを撮影することができ、地震発生前と後とで画像を比較することで被害を把握し易くすることができる。また、静止画像で送信することで動画よりも通信回線の占有時間を短くすることが可能となり、輻輳の影響を少なくすることができる。
【0021】
また、上述の監視プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよい。このようにすることにより、監視プログラムを機器に組み込む以外に単体でも流通させることができ、バージョンアップ等も容易に行える。
【実施例1】
【0022】
本発明の第1の実施例にかかる監視装置10を図1乃至図4を参照して説明する。本発明の第1の実施例にかかる監視装置10は図1に示すように、監視装置10と、カメラ20と、CATV回線30と、CATV事業者40と、インターネット50と、携帯電話60と、から構成される監視システム1に用いられる。監視システム1は、緊急地震速報をCATV(Community Antenna TeleVision)事業者40を介して受信し、その緊急地震速報に基づいてカメラ20で撮影した静止画像をインターネット50を介して携帯電話60に送信する。
【0023】
監視装置10は、CATV事業者40の加入者宅などに設置され、チューナー11と、ハードディスクドライブ12と、モデム13と、演算装置14と、スピーカー15と、LED16と、操作部17と、カメラI/F18と、を備え、各構成要素はバス19によって接続されている。
【0024】
受信手段としてのチューナー11は、緊急地震速報を受信するための受信機であり、緊急地震速報を受信した際にはバス19を通じて演算装置14に緊急地震速報内の情報(地震の発生時刻、震源の緯度や経度およびマグニチュード)を出力する。チューナー11は、気象庁から送信された緊急地震速報を所定のユーザーなどに提供するサービス事業者としてCATV事業者40と接続されるCATV回線30が接続されている。なお緊急地震速報の受信方法は、他のサービス事業者によるインターネットや携帯電話回線網および専用線などから受信する形態、テレビ・ラジオ放送から受信する形態、あるいは気象庁から直接受信する形態でもよい。
【0025】
アドレス設定手段としてのハードディスクドライブ12は、不揮発性の記録媒体であり設定情報および撮影画像が格納されている。設定情報とは、携帯電話60の電子メールアドレス、撮影開始時間、中間送信時間、撮影終了時間などの設定である。撮影画像とは、カメラ20が撮影した静止画像である。
【0026】
画像出力手段としてのモデム13は、インターネット50と接続され、ハードディスクドライブ12に格納されている静止画像を演算装置14の制御によりインターネット50に送信する。
【0027】
演算手段、撮影指示手段としての演算手段としての演算装置14は、CPU(Central Processing Unit)やCPUを動作させるプログラムなどが記憶されているROM(Read Only Memory)およびCPUが動作する際のデータの一時記憶領域として使用されるRAM(Random Access Memory)などを備えており、チューナー11からバス19を介して取得した緊急地震速報に基づいたS波の到達予測時刻および予測震度の演算と、カメラI/F18を介してカメラ20に対する撮影指示と、ハードディスクドライブ12に格納されている静止画像を電子メールの形式に変換して、モデム13に対して設定情報に基づいた送信指示などを行う。
【0028】
スピーカー15は、演算装置14が算出した到達予測時刻および予測震度を音声で告知する。時刻の告知は時刻そのものでなく○○秒後あるいはカウントダウン形式で告知する。例えば「○○秒後に震度×の地震がきます。注意してください。」などと告知してユーザーに注意を促す。
【0029】
LED16は、発光ダイオードで構成された発光部であり、到達予測時刻および予測震度を出力している際には点滅してユーザーに注意を促す。LED16は、白熱電球などLED以外の素子で構成してもよい。
【0030】
操作部17は、複数のボタン等で構成され、監視装置10の各種設定などを行う。
【0031】
カメラI/F18は、演算装置14及びハードディスクドライブ12とカメラ20との間のインタフェース動作を行う。つまり、演算装置14が出力したカメラ20に対する撮影指示をカメラ20に出力したり、カメラ20が撮影した静止画像を取り込んでハードディスクドライブ12へ格納する。
【0032】
画像取り込み手段としてのカメラ20は、例えば室内などの監視地点の近傍に設置され、監視装置10の指示により監視地点の撮影を行い、監視装置10に静止画像を出力する。なお、カメラ20は、複数の監視地点がある場合はそれに合わせて複数設けてもよい。
【0033】
CATV回線30は、CATV事業者40と監視装置10を接続する通信回線である。CATV事業者40は、気象庁から緊急地震速報を受信してCATV回線30に接続されている監視装置10に対して緊急地震速報を送信する。
【0034】
インターネット50は、監視装置10のモデム13が接続され、モデム13から出力された電子メール形式の静止画像を携帯電話60に送信する。携帯電話60は、電子メール形式の静止画像の受信および表示が可能となっており、監視装置10から送信された静止画像を表示する。なお、本実施例はインターネット50であるが、公衆電話回線網や携帯電話回線網や専用回線などでもよいし、携帯電話60も、携帯電話60に限らず他の携帯端末やパーソナルコンピュータなどの通信回線から電子メール形式の静止画像を受信、表示可能な機器であればよい。
【0035】
次に、上述した監視装置10における緊急地震速報受信から静止画像の送信までの動作について図3のフローチャートを参照して説明する。図3のフローチャートは演算装置14のCPUで実行されることで実現される。
【0036】
まず、ステップS1において、緊急地震速報を受信してステップS2に進む。本ステップでは演算装置14が緊急地震速報をチューナー11からバス19を介して受信する。
【0037】
次に、ステップS2において、緊急地震速報に基づく予測情報を算出してステップS3に進む。緊急地震速報に基づく予測情報とは、緊急地震速報に含まれる震源の緯度、経度、マグニチュードと、緊急地震速報の受信時刻と、予めハードディスク12に格納されている監視装置10の設置位置の緯度、経度、地盤増幅率と、から算出される監視装置10の設置位置におけるS波の到達予測時刻および予測震度である。
【0038】
次に、ステップS3において、ステップS2で算出した予測情報を告知する時刻か否かを判断し、告知する時刻である場合(YESの場合)はステップS4に進み、告知する時刻でない場合(NOの場合)は本ステップで待機する。この告知する時刻は、算出した到達予測時刻に対して予め定めた時間前である(例えば到達予測時刻の30秒前など)。なお、例えば予め定めた時間を30秒前と定めていた際に20秒前など予め定めた時間以内に到達予測時刻が算出された場合は即座に告知を行う。
【0039】
次に、ステップS4において、ステップS2で算出した予測情報を告知してステップS5に進む。つまり、演算装置14で算出した到達予測時刻および予測震度をスピーカー15やLED16を用いてユーザーに告知する。この際の時刻は、何時何分何秒という形式でなく何秒前などの余裕時間に変換して告知する。
【0040】
次に、ステップS5において、監視地点の撮影開始時刻か否かを判断し、撮影開始時刻である場合(YESの場合)はステップS6に進み、撮影開始時刻で無い場合(NOの場合)は本ステップで待機する。撮影開始時刻はハードディスクドライブ12に予め設定されており、例えば、到達予測時刻の何秒前などとステップS2で算出した予測情報を基準とした時間で設定されている。なお、例えば予め定めた時間を10秒前と定めていた際に本ステップを実行時点で10秒前よりも到達予測時刻に近い場合(5秒前など)は即座に撮影開始時刻と判断する。すなわち、到達予測時刻の所定時間前から前記到達予測時刻の間に撮影を指示している。
【0041】
次に、ステップS6において、監視地点の連続撮影を開始してステップS7に進む。本ステップではカメラI/F18に対してカメラ20への撮影指示信号を出力する。カメラ20は、撮影指示信号を受信した以降所定間隔で監視地点の撮影を行い撮影した静止画像をカメラI/F18に出力する。カメラI/F18はカメラ20から入力された静止画像をハードディスクドライブ12に格納する。連続撮影する所定間隔は、数秒〜10秒程度が望ましい。
【0042】
次に、ステップS7において、中間送信時刻か否かを判断し、中間送信時刻である場合(YESの場合)はステップS8に進み、中間送信時刻でない場合(NOの場合)は本ステップで待機する。中間送信時刻とは、図4に示したタイムチャートの撮影開始時と、中間送信1および中間送信2が相当する。ここで、図4のタイムチャートを説明する。図4はCATV事業者40の緊急地震速報サービスに加入している加入者宅Aと加入者宅Bにおける緊急地震速報受信から撮影終了までのタイミングを示しており、撮影開始が地震発生(到達予測時刻)の10秒前、中間撮影1が地震発生(到達予測時刻)から10秒後、中間撮影2が地震発生(到達予測時刻)から30秒後、撮影終了(最終送信)が地震発生(到達予測時刻)から1分後と設定され、合計で4枚の静止画像が携帯電話60に送信される。すなわち、到達予測時刻以降の少なくとも互いに異なる時間に設定された2回以上のタイミングとして中間撮影1、中間撮影2および最終送信時に撮影を指示している。
【0043】
この中間撮影1、中間撮影2の時間は、地震発生(到達予測時刻)の直後であって、初期被害が判別でき、さらに通信回線の輻輳が発生する前に設定する。本実施例では10秒後と30秒後の2回設定しているが1回でもよいし3回以上でもよい。そして撮影終了の時間は、地震による揺れが完全に収まった時期に設定する。中間撮影1や中間撮影2を設けることで、通信回線の輻輳が発生する前に状況を確認することができ、撮影終了の時間を地震による揺れが完全に収まった時期にすることで被害が確定した状況を確認することができる。また、中間撮影1および中間撮影2の時間は早すぎると被害が発生する前となってしまう恐れや、緊急地震速報に基づいて算出した到達予測時刻の誤差により地震発生前になってしまう恐れがあり、また、遅すぎると通信回線に輻輳が発生して静止画像の送信が行えなくなる恐れがあるので、到達予測時刻の10秒後〜30秒後程度に設定するのが望ましい。
【0044】
次に、ステップS8において、送信時刻における撮影画像を携帯電話60に送信してステップS9に進む。カメラ20が所定間隔で連続撮影を行いハードディスクドライブ12に格納した静止画像のうち、送信時刻あるいは送信時刻に最も近い時刻に撮影された静止画像を読み出して、電子メールの形式(電子メールの添付ファイル形式など)に変換してモデム13に出力し、モデム13が携帯電話60に電子メールとして送信する。
【0045】
次に、ステップS9において、最後の中間送信時刻か否かを判断し、最後の中間送信時刻である場合はステップS10に進み、最後の中間送信時刻でない場合はステップS7に戻る。最後の中間送信時刻とは本実施例(図4)の場合中間撮影2が該当する。
【0046】
次に、ステップS10において、撮影終了時刻か否かを判断し、撮影終了時刻である場合(YESの場合)はステップS11に進み、撮影終了時刻でない場合(NOの場合)は本ステップで待機する。撮影終了時刻は本実施例(図4)の場合は地震発生から1分後である。
【0047】
次に、ステップS11において、監視地点の連続撮影を停止してステップS12に進む。本ステップではカメラI/F18に対してカメラ20への撮影終了信号を出力する。
【0048】
次に、ステップS12において、最終撮影画像を携帯電話60に送信して終了する。最終撮影画像とは、ステップS11で停止時に最後に撮影された静止画像である。この静止画像をハードディスクドライブ12から読み出して、電子メールの形式に変換しモデム13に出力し、モデム13が電子メールとして携帯電話60に送信する。
【0049】
本実施例によれば、緊急地震速報をチューナー11で受信して、その緊急地震速報から演算装置14で到達予測時刻を算出後、その到達予測時刻を基準として、10秒前から監視地点の静止画像をカメラI/F18を介してカメラ20に所定間隔で連続撮影させて、そのうち到達予測時刻の10秒前、10秒後、30秒後および1分後の監視地点の静止画像をモデム13に対してインターネット50経由で携帯電話60に電子メールにて送信しているので、緊急地震速報に基づいて撮影を開始することから地震発生後の状況を確実に撮影することができ、また、静止画像とすることで回線の占有時間を短くすることができる。さらに、地震発生の前後を撮影することで、地震発生前と後とで比較することができ被害を把握し易くすることができる。
【0050】
また、到達予測時間より後の撮影時刻(タイミング)を10秒後、30秒後、1分後と3回のタイミングで撮影しているので、被害状況の変化が確認し易くなる。また、地震発生の直後である到達予測時刻の10秒後と30秒後および地震の揺れが完全に収まった時期である到達予測時刻の1分後に撮影時刻を設定しているので、少なくとも10秒後のみあるいは30秒後も送信することで、通信回線の輻輳が始まる前に監視地点の状況を迅速に伝達することができる。
【0051】
また、演算装置14で算出した到達予測時刻を基準としているために、監視装置10の設置位置によって撮影した静止画像を送信するタイミングを異なられることができる。緊急地震速報による到達予測時刻は、図4の加入者宅Aと加入者宅Bのように、その設置位置の緯度経度および地盤増幅率によって異なるために、監視装置10が静止画像を通信回線に送信する時間が一点に集中することが少なくなる。
【0052】
また、撮影した静止画像を携帯電話60に電子メールで送信しているので、電子メールが受信可能な機器に対して静止画像を送信することができる。また、アドレスを複数設定すれば、ユーザーだけでなく家族など複数の関係者に静止画像を送信することができる。
【実施例2】
【0053】
次に、本発明の第2の実施例を図5を参照して説明する。なお、前述した第1の実施例と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0054】
本実施例では、監視装置10をパーソナルコンピュータ100上で動作するコンピュータプログラムで実現している。
【0055】
パーソナルコンピュータ100は図5に示すように、ネットワークI/F101と、ハードディスクドライブ102と、RAM103と、ROM104と、CPU105と、表示部106と、入力部107と、カメラI/F108と、を備え、各構成要素がバス109で接続されている。
【0056】
ネットワークI/F101は、インターネットと接続するためのインタフェースである。ネットワークI/F101は、外部の緊急地震速報サービス事業者から送信されてくる緊急地震速報を受信し、バス109を介してCPU105に出力するとともに、CPU105がハードディスクドライブ102から読み出した静止画像を電子メールとして携帯電話60等に送信する。なお、緊急地震速報の受信を第1の実施例と同様にCATV回線とし、そのためのチューナーを内蔵する構成としてもよい。
【0057】
ハードディスクドライブ102は、CPU105で実行するアプリケーションプログラムや第1の実施例と同様に設定情報および撮影画像が格納されている。
【0058】
RAM103は、CPU105が処理中のデータを一時的に保持する。ROM104は、パーソナルコンピュータ100起動時にCPU105で実行されるプログラムなどが格納されている。
【0059】
CPU105は、ハードディスクドライブ102などに格納されたアプリケーションプログラムなどの実行をする。特に本実施例においては、第1の実施例の演算装置と同様に、ネットワークI/F101からバス109を介して取得した緊急地震速報に基づいたS波の到達予測時刻および予測震度の演算と、カメラI/F108を介してカメラ20に対する撮影指示と、ハードディスクドライブ102に格納されている静止画像を電子メールの形式に変換してネットワークI/F101に対して設定情報に基づいた送信指示などを行う。
【0060】
表示部106は、液晶ディスプレイなどで構成され、アプリケーションプログラムの実行画面や操作画面などの表示を行う。入力部107は、キーボードやマウスなどで構成され、パーソナルコンピュータ100の操作を行う。
【0061】
カメラI/F108は、例えばUSB(Universal Serial Bus)などの汎用の外部接続インタフェースとして、カメラ20との間のインタフェース動作を行う。
【0062】
本実施例では、図3に示したフローチャートは、監視プログラムとしてハードディスクドライブ102にアプリケーションプログラム(コンピュータプログラム)の1つとして格納され、パーソナルコンピュータ100の起動中は常時起動された状態で緊急地震速報の受信まで待機している。
【0063】
本実施例によれば、監視装置10をパーソナルコンピュータ100で実行するコンピュータプログラムとして構成したので、専用の装置が不要となり、また、パーソナルコンピュータ100に図示しない光ディスクドライブなどを備えれば、バージョンアップ等も容易に行うことができる。
【0064】
なお、上述した実施例では携帯電話60に電子メールで直接送信していたが、それに限らず、携帯電話事業者やインターネットプロバイダのサーバなど監視装置10が設置されている建物の外部のサーバなどに送信し、利用者がそのサーバにアクセスして閲覧する形式でもよい。その際には電子メール形式でなく静止画像を直接送信してもよい。
【0065】
また、電子メールやサーバを利用した形式の他に、テレビ電話やファクシミリなどを用いてもよい。
【0066】
また、電子メールの送信先も医療機関や消防、警察などに設定することにより、地震による2次災害の防止や早期発見に役立てることができる。
【0067】
前述した実施例によれば、以下の監視装置10、監視方法および監視プログラムが得られる。
【0068】
(付記1)地震発生時に監視地点の画像を取得して外部に送信する監視装置10であって、
緊急地震速報を受信するチューナー11と、
チューナー11が受信した緊急地震速報に基づいて地震の到達予測時刻を演算する演算装置14と、
外部に接続されたカメラ20に到達予測時刻の前後に静止画像の撮影を指示する演算装置14と、
カメラ20から静止画像を取り込むカメラI/F18と、
カメラI/F18が取り込んだ静止画像を出力するモデム13と、
を備えたことを特徴とする監視装置10。
【0069】
この監視装置10によれば、緊急地震速報をトリガとして監視位置の静止画像を撮影することで最低限必要な静止画像のみを撮影することができ、地震発生前と後とで画像を比較することで被害を把握し易くすることができる。また、静止画像で送信することで動画よりも通信回線の占有時間を短くすることが可能となり、輻輳の影響を少なくすることができる。
【0070】
(付記2)地震発生時に監視地点の画像を取得して外部に送信する監視方法であって、
緊急地震速報を受信し、受信した緊急地震速報に基づいて到達予測時刻を演算し、外部に接続されたカメラ20に到達予測時刻の前後に撮影を指示し、カメラ20から静止画像を取り込み、予め定めた所定のタイミングで取り込んだ静止画像を出力することを特徴とする監視方法。
【0071】
この監視方法によれば、緊急地震速報をトリガとして監視位置の静止画像を撮影することで最低限必要な静止画像のみを撮影することができ、地震発生前と後とで画像を比較することで被害を把握し易くすることができる。また、静止画像で送信することで動画よりも通信回線の占有時間を短くすることが可能となり、輻輳の影響を少なくすることができる。
【0072】
(付記3)地震発生時に監視地点の画像を取得して外部に送信する監視プログラムであって、
緊急地震速報を受信するステップS1と、
ステップS1が受信した緊急地震速報に基づいて到達予測時刻を演算するステップS2と、
外部に接続されたカメラ20に到達予測時刻の前後に撮影を指示するステップS6と、
カメラ20から静止画像を取り込むステップS6と、
予め定めた所定のタイミングでステップS6で取り込んだ静止画像を出力するステップS8およびS12と、
してコンピュータを機能させることを特徴とする監視プログラム。
【0073】
この監視プログラムによれば、緊急地震速報をトリガとして監視位置の静止画像を撮影することで最低限必要な静止画像のみを撮影することができ、地震発生前と後とで画像を比較することで被害を把握し易くすることができる。また、静止画像で送信することで動画よりも通信回線の占有時間を短くすることが可能となり、輻輳の影響を少なくすることができる。
【0074】
なお、前述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施例に限定されるものではない。すなわち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の第1の実施例にかかる監視装置を用いた監視システムのブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施例にかかる監視装置のブロック図である。
【図3】図2に示された監視装置の緊急地震速報受信から静止画像の送信までの動作を示したフローチャートである。
【図4】撮影タイミングの設定例を示したタイミングチャートである。
【図5】本発明の第2の実施例にかかる監視装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0076】
10 監視装置
11 チューナー(受信手段)
12 ハードディスクドライブ(アドレス設定手段)
13 モデム(画像出力手段)
14 演算装置(演算手段、撮影指示手段)
18 カメラI/F(画像取り込み手段)
S1 緊急地震速報受信(受信手段)
S2 予測情報算出(演算手段)
S6 監視地点の撮影開始(撮影指示手段、画像取り込み手段)
S8 撮影画像を送信(画像出力手段)
S12 最終撮影画像を送信(画像出力手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地震発生時に監視地点の画像を取得して外部に送信する監視装置であって、
緊急地震速報を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した前記緊急地震速報に基づいて地震の到達予測時刻を演算する演算手段と、
外部に接続された撮影装置に前記到達予測時刻の前後に静止画像の撮影を指示する撮影指示手段と、
前記撮影装置から静止画像を取り込む画像取り込み手段と、
前記画像取り込み手段が取り込んだ静止画像を出力する画像出力手段と、
を備えたことを特徴とする監視装置。
【請求項2】
前記撮影指示手段が、前記到達予測時刻以降の少なくとも互いに異なる時間に設定された2回以上のタイミングで撮影を指示することを特徴とする請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記互いに異なる時間が、前記到達予測時刻の直後と、当該地震による揺れが完全に収まった時期と、に設定されていることを特徴とする請求項2に記載の監視装置。
【請求項4】
前記撮影指示手段が、前記到達予測時刻の所定時間前から前記到達予測時刻の間で撮影を指示することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の監視装置。
【請求項5】
前記画像出力手段の出力先を設定する出力先設定手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の監視装置。
【請求項6】
前記出力先設定手段に、電子メールアドレスを設定し、
前記画像出力手段が、前記出力先設定手段で設定した電子メールアドレスに向けて電子メールで前記静止画像を出力することを特徴とする請求項5に記載の監視装置。
【請求項7】
地震発生時に監視地点の画像を取得して外部に送信する監視方法であって、
緊急地震速報を受信し、前記受信した前記緊急地震速報に基づいて地震の到達予測時刻を演算し、外部に接続された撮影装置に前記到達予測時刻の前後に撮影を指示し、前記撮影装置から静止画像を取り込み、予め定めた所定のタイミングで前記取り込んだ静止画像を出力することを特徴とする監視方法。
【請求項8】
地震発生時に監視地点の画像を取得して外部に送信する監視プログラムであって、
緊急地震速報を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した前記緊急地震速報に基づいて地震の到達予測時刻を演算する演算手段と、
外部に接続された撮影装置に前記到達予測時刻の前後に撮影を指示する撮影指示手段と、
前記撮影装置から静止画像を取り込む画像取り込み手段と、
予め定めた所定のタイミングで前記画像取り込み手段が取り込んだ静止画像を出力する画像出力手段と、
してコンピュータを機能させることを特徴とする監視プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載の緊急地震速報を用いた監視プログラムを格納したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−271612(P2009−271612A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−119462(P2008−119462)
【出願日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】