説明

監視装置

【課題】監視員に必要な情報をナビゲーションすることで、プラントで生じている問題を早急に解決するとともに、プラントで生じる弊害を防止する。
【解決手段】プラントの運転状況及び当該運転状況に対応する機器の操作を関連付けた操作データを記憶する操作データ記憶部と、プラントの状況を受信する状況受信手段と、受信したプラントの状況と関連付けられる操作が操作データに記憶されているか否かを判定する状況判定手段100dと、状況判定手段が操作データに該当する操作が記憶されていると判定すると、表示装置に操作を促がすメッセージを表示させる表示処理手段100eとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラントの遠隔監視及び遠隔制御に利用する監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラントでは、図9に示すように、ポンプ51や弁52等の多数の機器を使用している。また、これらの機器51,52の制御には、現場盤30やリレー盤40等の機器を使用している。プラントでは、現場盤30を使用してプラントの機器を操作することもできるが、監視装置10を利用して現場とは異なる場所で監視制御するシステムがある。
【0003】
このようなプラントでは、正常状態の場合には自動モードに設定され、監視装置10を利用して監視制御することができるが、異常状態の種類によっては監視装置10を利用した自動制御を行なうことはできなくなる。したがって、監視装置10で監視制御していた監視員等がプラントの現場に行き、現場盤30を利用して、現場の手動モードにてプラントの機器を操作する必要がある。
【0004】
しかしながら、プラントには多数の機器が存在するため、監視員等は、多数あるプラントの機器のうち、どの機器をどのように操作すれば異常を解決することができるか瞬時に判断することは困難である。仮に、対象の機器を特定することができても、プラント内のどの位置に操作対象の機器が存在するのかを瞬時に判断することも困難である。
【0005】
また、遠隔監視制御を可能とする監視装置10は対象の機器51,52や制御に利用する機器30,40と接続されていなければプラントを監視制御することができない。
【0006】
一方で、プラントでは多数の機器を使用しており、機器の交換や追加等の変更も頻繁に生じるが、このような接続機器変更の登録は、監視装置10の通常の監視制御の運用とは異なる処理であるため、監視装置10で接続機器の変更を直ちに把握することは困難である。そのため監視装置10で接続される機器の変更を把握できていない場合、必要な情報を収集できず、プラントの運転に弊害が生じるおそれがある。
【0007】
従来から、機器の接続状態を把握する様々な方法がある(例えば、特許文献1及び2参照)。しかしながら、監視装置10が監視制御の対象とするプラントでは、接続状態に変更があった場合、監視装置10側で早急に把握しないとプラントの運転に弊害が生じる恐れがあるため、必要な情報を直ちに提供しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−199279号公報
【特許文献2】特開2008−167217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、従来の監視装置10では、監視員は、監視装置10を利用してプラントの状況等を把握することができるが、操作が必要であっても各状況に対して必要な操作を判断することが困難であるとともに、操作をする現場を直ちに判断することも困難であって、異常等が発生した場合、監視員の経験が処置時間に比例するため、すべての監視員が早急に対応することができないという問題があった。また、プラントで機器の交換や追加等の接続機器の変更が生じた場合にこのような変更の登録は、通常のプラントの運用とは別作業で行っているため、監視装置10で機器の交換や追加等の変更を直ちに把握することは困難であった。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑み、監視員に必要な情報をナビゲーションすることで、プラントで生じている問題を早急に解決するとともに、プラントで生じる弊害を防止することのできる監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明は、複数の機器によって運転するプラントを監視する監視装置であって、前記プラントの運転状況及び当該運転状況に対応する機器の操作を関連付けた操作データを記憶する操作データ記憶部と、プラントの状況を受信する状況受信手段と、受信した前記プラントの状況と関連付けられる操作が前記操作データに記憶されているか否かを判定する状況判定手段と、前記状況判定手段が前記操作データに該当する操作が記憶されていると判定すると、表示装置に前記操作を促がすメッセージを表示させる表示処理手段とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、監視員に必要な情報をナビゲーションすることで、プラントで生じている問題を早急に解決するとともに、プラントで生じる弊害を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る監視装置の一例を説明するブロック図である。
【図2】図1の監視装置で利用される登録データの一例である。
【図3】図1の監視装置で利用される配置図データの一例である。
【図4】図1の監視装置における異常発生の一例について説明する図である。
【図5】図1の監視装置で利用される操作データの一例である。
【図6】図1の監視装置で利用される識別子データの一例である。
【図7】図1の監視装置で表示される表示画面の一例である。
【図8】図1の監視装置で表示される表示画面の他の例である。
【図9】一般的なプラントシステムの一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を用いて本発明の実施形態に係る監視装置について説明する。本発明の実施形態に係る監視装置は、水処理場、発電所、工場等のプラントの運転状況を遠隔監視するとともに、プラントを構成する機器を遠隔操作する操作信号を出力する装置である。また、本発明の実施形態に係る監視装置は、ナビゲーション機能を備え、監視装置を利用してプラントを監視する監視員に、プラントの状況へ対応するための操作や対応のためのルートを提示したり、機器の状態を管理し、必要な情報を提示することができる。
【0015】
図1に示すように、監視装置10が監視対象とするプラントは、例えば、ライン50を流れる水を送水するポンプ51、ライン50を開閉する弁52、ライン50の水量を検出するセンサ53等の機器を備えている。
【0016】
図1に示すように、監視装置10には、監視装置10から入力する操作信号に従ってプラントの機器を制御する制御信号を出力する制御装置20が接続されている。この制御装置20には、監視装置10の他、プラントの運転制御に利用される機器30a〜30c,40a〜40cが接続されている。プラントの運転制御に利用される機器としては、例えば、プラントの各機器50〜53と比較的近い位置に配置され、プラントの各機器を操作する操作手段31を介して制御信号を出力する現場盤30a〜30cや、プラントの各機器50〜53と比較的近い位置に設置されるとともに各機器と電気回線を介して接続され、制御装置20や現場盤30(30a〜30c)から入力する制御信号に従って機器を制御するリレー盤40(40a〜40c)がある。
【0017】
図1に示す一例では、各装置10,20を1台の装置として示しているが、複数の装置によって構成されていてもよい。また、図1では、制御装置20に3台の現場盤30a〜30cと3台のリレー盤40a〜40cを備える例を示しているが、現場盤30とリレー盤40の数は3台に限られず、プラントが有する機器の種類や数に応じて定められる。
【0018】
〈監視装置〉
監視装置10は、図1に示すように、中央処理装置(CPU)100、通信インタフェース(通信I/F)101、信号を入力する入力装置102、プラントの運転状況等を表示する表示装置103及びプログラムやデータを記憶する記憶装置104を備える一般的な情報処理装置である。
【0019】
記憶装置104には、ナビゲーション機能を実現するプログラム(図示せず)が記憶されており、このプログラムが読み出されて実行されることで、CPU100には、図1に示すように、操作信号送信手段100a、記憶処理手段100b、状況受信手段100c、状況判定手段100d、表示処理手段100e、識別子受信手段100f、時間判定手段100g、変更通知手段100h、点検判定手段100i、点検通知手段100jが実装される。
【0020】
また、記憶装置104には、プラントで利用する機器30,40,50〜53等の情報に関する登録データ104a、登録データ104aで登録されている機器の配置位置に関する配置図データ104b、プラントに異常が発生した場合の操作の履歴である操作データ104c及び登録データ104aで登録されている機器の接続情報を記憶する識別子データ104dを記憶している。
【0021】
登録データ104aは、図2に一例を示すように、プラントで利用される機器を識別する「識別番号」、機器の「名称」、機器をプラントに納入した「納入日」、機器の点検又は交換が必要な「予定日」、機器が配置されている「配置場所」を関連付けるデータである。例えば、識別願号「I101」で識別される「ディスプレイ」の納入日は「2008年9月1日」に納入されており、点検又は交換の予定日は「2010年9月1日」であり、「中央監視室」に配置されていることが分かる。
【0022】
配置図データ104bは、図3に一例を示すように、登録データ104aで登録されている装置や機器が、「配置場所」のどの位置に配置されているかに関する見取り図である。図3では、各設置場所において、装置や機器の配置されている場所が装置や機器の識別番号で特定される一例であって、図3で示す識別番号は、図2で使用する識別番号と同一の番号である。
【0023】
また、図3(a)は、中央監視室の見取り図であって、第1ディスプレイI101、第2ディスプレイI102、サーバI103及び他の装置I201が配置されていることが分かる。図3(b)は、電気室の見取り図であって、コントローラI104、リレー盤I105及び他の装置I202が配置されていることが分かる。図3(c)は、第1ポンプ室の見取り図であって、現場盤I106及び他の装置I203が設置されていることが分かる。
【0024】
プラントでは、センサ53等の機器を利用して運転状況(例えば、ライン50における水の流量)が監視されているが、例えば、図4に示すようにライン50を流れる水の流量の増加によりプラントの運転状況に異常が発生した場合、その処置例として通常の自動モードから手動モードに切り替えられ、オペレータによって手動でポンプ51の回転数が操作される。操作データ104cは、このように、プラントにおける運転状況とその際の操作を記憶している。なお、操作データ104では、実際に実行された操作とその操作が行われた際のプラントの運転状況とを記録する他、プラントの運転状況と、その運転状況の場合に行なわれることが好ましい操作を記憶していてもよい。
【0025】
図5に示す操作データ104cは、プラントで図4に示すような操作が実行された場合の一例であって、プラントの状況が「流量増加」のとき、「モードを自動から手動に切替」し、「ポンプの回転数を低減」したことが分かる。
【0026】
識別子データ104dは、図6に示すように、監視装置10が受信した現場盤30やリレー盤40等の機器の接続に関する識別子に関するデータであって、各機器はラインに接続されている際に識別子を送信するため、機器が送信する「識別子」と、機器がこの識別子を送信した「日時」とを関連付けている。
【0027】
操作信号送信手段100aは、入力装置102を介してプラントの機器51,52を操作する操作信号が入力されると、入力された操作信号を通信I/F101を介して制御装置20に送信する。
【0028】
記憶処理手段100bは、操作信号送信手段100aが操作信号を送信してプラントの機器51,52等を操作すると、操作した際のプラントの運転状況に、操作の内容を関連付けて操作データ104cに追加する。
【0029】
状況受信手段100cは、通信I/F101を介してプラントの運転状況を受信する。プラントの運転状況とは、例えば、ポンプ51の運転状態、弁52の開閉状態、センサ53の検出結果等である。
【0030】
状況判定手段100dは、状況受信手段100cが受信した運転状況が異常を特定するものであるとき、記憶装置104に記憶されている操作データ104cを読出し、受信した運転状況と同一の運転状況の場合に実行された操作が操作データ104cに含まれているか否かを判定する。また、状況判定手段100dは、登録データ104aに該当する操作が記憶されているとき、この操作を抽出し、表示処理手段100eに出力する。
【0031】
表示処理手段100eは、状況判定手段100dから操作を受信すると、現在のプラントの運転状況において、状況判定手段100dで抽出された操作を行うことが望ましい旨を表示する表示画面を表示装置103に表示する。
【0032】
例えば、表示処理手段100eは、図7に一例を示すように、「現在の状況」、「現在の状況に対する対処法」、「対処の対象である機器の設置場所」、「対処の操作を行うことのできる現場盤の存在場所」等を含む表示画面W1を生成し、表示装置103に表示することが考えられる。図7に示す表示画面W1は、現在のプラントでは、「第1ラインの流量が増加」しており、対処法としては、「第1バルブを閉操作」することが望ましく、第1バルブは「第1ポンプ室」に配置されており、第1バルブを操作する現場盤は「第1ポンプ室」に存在することを示している。このとき、表示処理手段100eは、図7に示すように、表示画面W1において、「対処法」や「現場盤の存在場所」等の項目に関連して詳細表示用のボタンb1,b2を設けてもよい。
【0033】
例えば、「対処法」に関連するボタンb1が押下されたとき、表示装置103は、バルブの閉操作に関する詳細な説明に関する表示画面を表示する。このように、各対処法の操作に関する詳細な説明を表示する場合には、記憶装置104において各操作に関する詳細説明を記憶している必要がある。
【0034】
また例えば、「現場盤」に関連するボタンb2が押下されたとき、現場盤の識別子を含むリクエストが生成され、表示処理手段100eは、表示装置103に、図8に一例を示すような表示画面W2を表示する。この表示画面W2は、監視装置10を操作しているオペレータが、現在位置(中央監視室にある第1ディスプレイ101)から、目的地(ポンプ室にある第1バルブを操作する現場盤106)までのルートを示している。表示処理手段100eは、ボタンb2が押下されると、記憶装置104から配置図データ104bを読出し、該当する現在位置と目的地を抽出して現在位置から目的地までのルートを示す画面を生成し、表示装置103に表示する。
【0035】
表示処理手段100eは、表示画面W1,W2を監視装置10の表示装置103に表示する他、通信I/F101を介して画面データを監視員の携帯端末(図示せず)に送信し、携帯端末の表示装置に表示させてもよい。携帯端末に状況や目的地までのルートが表示されれば、監視員は、この携帯端末を参照しながら目的地である機器まで行くことが可能となり、この表示画面で記載されている指示に従って対応することができる。
【0036】
図7に示すような表示画面W1を表示することで、監視装置10は、プラントの運転状況に応じて必要な操作を監視員等にナビゲーションすることができる。また、図8に示すような表示画面W2を表示することで、監視装置10は、監視員等に必要なルートをナビゲーションすることができる。
【0037】
識別子受信手段100fは、通信I/F101を介して、制御装置20が送信した現場盤30やリレー盤40等の識別子及び日時に関するデータを受信すると、新たに受信した識別子及び日時に関するデータを追加して、記憶装置104に記憶されている識別子データ104dを更新する。
【0038】
時間判定手段100gは、定期的等の所定のタイミングで記憶装置104に記憶されている識別子データ104dを読出し、過去に識別子を受信したが、所定時間経過しても新たに識別子を受信していない装置の有無を判定する。
【0039】
変更通知手段100hは、時間判定手段100gにおいて、所定時間経過しても新たに識別子を受信していない装置があると判定されると、所定時間識別子を受信しておらず、当該装置が故障又は撤去された等の接続機器の変更の可能性がある旨を通知する。例えば、変更通知手段100hは、表示装置103に表示画面を表示することで、所定時間識別子を受信しておらず、接続機器の変更の可能性がある旨を通知する。なお、変更の可能性がない場合であっても、変更通知手段100hは、登録データ104aで記憶されている当該装置のデータを表示してもよい。
【0040】
なお、変更通知手段100hは、表示装置103に接続機器の変更の可能性がある旨を通知する他、通信I/F101を介して監視員の携帯端末(図示せず)に通知信号を送信し、監視員の携帯端末で表示させても良い。たとえば、この通知信号に変更の可能性がある機器の位置情報を含んでいれば、近くにいる監視員は早急に事実を確認することができる。
【0041】
点検判定手段100iは、定期的等の所定のタイミングで記憶装置104に記憶されている登録データ104aを読出して、点検又は交換の予定日の通知が必要な機器の有無を判定する。例えば、点検又は交換の予定日の1ヶ月前の機器や既に経過している機器等、点検や交換の予定日が予め定められる期間に該当する機器の有無を判定する。
【0042】
点検通知手段100jは、点検判定手段100iで点検又は交換の予定日が所定の期間内の機器があると判定されると、機器の点検又は交換の時期が近づいている旨を通知したり、時期が経過した旨を通知する。
【0043】
このように、変更通知手段100hや点検通知手段100jを使用することで、監視装置10では、機器の管理状態を提示して必要な操作をナビゲーションすることができる。
【0044】
〈制御装置〉
制御装置20は、図1に示すように、操作受信手段200、送信手段201、収集手段202、通信インタフェース(通信I/F)203及び記憶装置204を備え、監視装置10からの操作信号に応じてプラントの機器を制御する。
【0045】
受信手段200は、通信I/F203を介して監視装置10から送信された機器を操作する操作信号を受信すると、送信手段201に出力する。また、送信手段201は、受信手段200から入力した操作信号を、通信I/F203を介して該当する機器と接続されるリレー盤40に送信する。
【0046】
収集手段202は、現場盤30やリレー盤40等の接続される装置から装置の識別子を受信すると、新たに受信した「識別子」と装置が識別子を送信した「日時」を追加して記憶装置204に記憶されている識別子データ204aを更新する。この識別子データ204aについては図示を用いた説明を省略するが、図6を用いて上述したように、装置の「識別子」と、装置が識別子を送信した「日時」とが関連付けられるデータである。
【0047】
また、送信手段201は、定期的等の所定のタイミングで記憶装置204に記憶される識別子データ204aの「日時」及び「識別子」を、通信I/F203を介して監視装置10に送信する。送信手段201は、監視装置10に未送信の「日時」及び「識別子」のみを送信すればよいため、「日時」及び「識別子」を送信後、送信済みの「日時」及び「識別子」を削除して識別子データ204aを更新することができる。
【0048】
〈現場盤〉
現場盤30aは、プラントにおいてポンプ51や弁52等の機器の比較的近くに備えられ、操作ボタンや操作レバー等、プラントのポンプ51や弁52等の機器を操作する操作手段31を備えている。プラントを操作する操作員が、このボタンやレバー等の操作手段31を操作(手動操作)すると、操作手段31は対応する機器を操作する操作信号を生成し、接続されるリレー盤40aに操作信号を送信する。
【0049】
プラントの機器の操作には監視装置10を利用することもできるが、上述したように、プラントが「現場の手動モード」に設定されているときには監視装置10から機器を操作することはできない。一方、この操作手段31は、プラントが「現場の手動モード」に設定されている場合に機器を操作することができる。
【0050】
また、現場盤30aは、所定のタイミングで制御装置20に現場盤30aの識別子を送信する識別子送信手段32を備えている。識別子送信手段32が識別子を送信するタイミングとは、例えば、定期的なタイミングや制御装置20から識別子のリクエストを受信したタイミングである。
【0051】
図1に示す例では、識別子送信手段32は、識別子の送信に一般的な通信回線ではなく、電力線60を使用している。電力線60を使用する場合、識別子の通信のために新たに通信回線を設ける必要が無いため、容易に識別子の送信を実現することができる。
【0052】
図1では、現場盤30aは、1つの操作手段31を備えているが、所定範囲に存在する複数の機器を操作することができるように複数の操作手段31を有していてもよい。また、現場盤30aは、操作の対象となる機器と接続されるリレー盤40aと接続されている。
【0053】
なお、現場盤30b,30cは、それぞれ異なる機器の操作に利用される装置であって、現場盤30aとは異なるリレー盤40と接続されているが、現場盤30aと同様に機器を操作する操作信号を出力する操作手段31と、自装置の識別子を送信する識別子送信手段32を備える構成であるため、図示を用いた説明は省略する。
【0054】
〈リレー盤〉
リレー盤40aは、ポンプ51や弁52等のプラントの機器と接続され、外部から入力する操作信号に応じて接続される機器を制御する制御手段41を備えている。この制御手段41は、接点の開閉によって電流の流れを調整して機器を制御する、いわゆるリレー回路である。なお、ただしリレーの代わりにPLCを用いることもできる。
【0055】
また、リレー盤40aは、所定のタイミングで制御装置20にリレー盤40aの識別子を送信する識別子送信手段42を備えている。識別子送信手段42が識別子を送信するタイミングとは、例えば、定期的なタイミングや制御装置20から識別子のリクエストを受信したタイミングである。
【0056】
図1に示す例では、識別子送信手段42も、識別子送信手段32と同様に、識別子の送信に一般的な通信回線ではなく、電力線60を使用している。電力線60を使用する場合、識別子の通信のために新たに通信回線を設ける必要が無いため、容易に識別子の送信を実現することができる。
【0057】
図1では、現場盤40aは、ポンプ51と弁52と接続され、2つの機器51,52を操作する例を示しているが、現場盤40aが接続される機器は2つに限られず、所定範囲に存在する複数の機器を制御するものであってもよいし、1つの機器のみを制御するものでもよい。
【0058】
なお、リレー盤40b,40cは、それぞれ異なる機器の制御に使用される装置であって、リレー盤40aとは異なる機器と接続されているが、リレー盤40aと同様に機器を制御する制御信号を出力する制御手段41と、自装置の識別子を送信する識別子送信手段42を備える構成であるため、図示を用いた説明は省略する。
【0059】
これらのリレー盤40a〜40cは、電気信号を使用してプラントの機器を制御する装置であるため、電気室等の部屋に配置されることが一般的である。
【0060】
上述した本発明に係る監視装置では、プラントの制御に利用される機器等の接続状況を把握することで、故障や交換が発生した場合、直ちに接続状況を把握して対応することができる。また、本発明に係る監視装置では、異常が発生した場合、過去の操作の履歴を利用して、問題解決のための操作や操作に必要な情報を提示するため、監視員は容易に問題解決することができる。さらに、本発明に係る監視装置によれば、機器からの識別子の送信には電力線が利用されるため、識別子の送信のために新たに信号線を開設する必要がない。
【符号の説明】
【0061】
10…監視装置
100…CPU
100a…操作信号送信手段
100b…記憶処理手段
100c…状況受信手段
100d…状況判定手段
100e…表示処理手段
100f…識別子受信手段
100g…時間判定手段
100h…通知手段
102…入力装置
103…表示装置
104…記憶装置
104a…登録データ
104b…配置図データ
104c…操作データ
104d…識別子データ
105…リレー盤
106…現場盤
20…制御装置
200…CPU
200a…操作受信手段
200b…送信手段
200c…収集手段
202…記憶装置
202a…識別子データ
30a〜30c…現場盤
31…操作手段
32…識別子送信手段
40a〜40c…リレー盤
41…制御手段
42…識別子送信手段
50…ライン
51…ポンプ
52…弁
53…センサ
60…電力線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機器によって運転するプラントを監視する監視装置であって、
前記プラントの運転状況及び当該運転状況に対応する機器の操作を関連付けた操作データを記憶する操作データ記憶部と、
プラントの状況を受信する状況受信手段と、
受信した前記プラントの状況と関連付けられる操作が前記操作データに記憶されているか否かを判定する状況判定手段と、
前記状況判定手段が前記操作データに該当する操作が記憶されていると判定すると、表示装置に前記操作を促がすメッセージを表示させる表示処理手段と、
を備えることを特徴とする監視装置。
【請求項2】
前記プラントの機器を操作する操作信号を送信する操作信号送信手段と、
前記操作信号を送信すると、前記プラントの運転状況と送信信号による機器の操作を追加して、前記操作データを更新する記憶処理手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
複数の機器によって運転されるプラントの監視に利用される監視装置であって、
前記機器から送信された当該機器の識別子を受信する識別子受信手段と、
前記識別子受信手段が、前記機器から前記登録データに含まれる識別子を前回取得してから所定時間経過したか否かを判定する時間判定手段と、
時間判定手段が識別子を受信後所定時間、同一の識別子を取得しないと判定すると、前記機器から識別子を受信しない旨を通知する通知手段と、
を備えることを特徴とする監視装置。
【請求項4】
前記機器の識別子、納入日、設置場所及び前記機器の点検又は交換が必要な時期を特定する時期特定情報を関連付けた登録データを記憶する登録データ記憶部と、
前記登録データを読み出し、前記時期特定情報によって点検又は交換が必要な機器を判定する点検判定手段と、
点検判定手段で前記機器の点検又は交換が必要と判定されると、当該機器の点検又は交換が必要な旨及び前記機器の設置場所を通知する点検通知手段と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の監視装置。
【請求項5】
前記機器の識別子、前記機器の配置位置に関する配置図データを記憶する配置図データ記憶部を備え、
前記表示処理手段は、機器の識別子を含むリクエストに応じて前記配置図データで記憶されている前記機器の設置場所を読出し、表示装置に表示することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−59809(P2011−59809A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206327(P2009−206327)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】