説明

目地の納め構造

【課題】施工現場におけるシーリング作業の手間を削減することができると共に、施工後においては長期間にわたって防水性を高く維持することができる目地の納め構造を提供する。
【解決手段】目地の納め構造に関する。合じゃくり加工された外壁材1を複数隣り合わせて設置することによって目地溝2が形成される。この目地溝2に接着剤3が注入される。弾性を有する目地材4が上記目地溝2に嵌め込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の外壁材(サイディング)を隣り合うように設置した場合に、外壁材同士の間に形成される目地溝を閉塞するための目地の納め構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の目地の納め構造としては、図2に示すようなものが知られており(例えば、特許文献1参照。)、これは次のようにして形成されている。まず、建築物の柱間に架設された胴縁に固定金具等を用いて複数の外壁材1を隣り合うように設置すると、外壁材1同士の間に目地溝2が形成される。次に、この目地溝2にいわゆるハット型ジョイナーを取り付ける。このハット型ジョイナーは、断面略コ字状の凸部10の両側にフランジ片11を設けて全体として長尺状に形成されており、屋内側から凸部10を目地溝2に挿入すると共にフランジ片11を外壁材1の屋内側の面に当接させることによって、目地溝2に取り付けられる。そして、屋外側から目地溝2にプライマーを塗布した後、液状のシーリング材12を注入して充填すると共に、目地溝2に充填されたシーリング材12の表面をへら等で整形することによって、図2に示すような目地の納め構造が形成される。
【特許文献1】特開平7−317270号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、図2に示す目地の納め構造を形成する場合には、上述したようなプライマーの塗布・シーリング材12の充填・へら等による整形という一連の工程を経なければならず、施工現場におけるシーリング作業に手間がかかるものである。また、シーリングノズルの構造やシーリング材12の粘性にもよるが、目地溝2の幅が狭い場合(5mm幅以下)には、このような目地溝2にシーリング材12を充填するのは困難であり、この工程に多くの時間が費やされる。また、シーリング材12の表面を整形する際には、不注意等によりシーリング材12で外壁材1の表面を汚してしまうおそれがある。さらに、乾燥後のシーリング材12の体積は経年変化により徐々に縮小し、防水性が低下してしまうという問題もある。
【0004】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、施工現場におけるシーリング作業の手間を削減することができると共に、施工後においては長期間にわたって防水性を高く維持することができる目地の納め構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る目地の納め構造は、合じゃくり加工された外壁材1を複数隣り合わせて設置することによって目地溝2が形成され、この目地溝2に接着剤3が注入されると共に、弾性を有する目地材4が上記目地溝2に嵌め込まれて成ることを特徴とするものである。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1において、目地材4として、外壁材1と同系色のものを用いて成ることを特徴とするものである。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1において、目地材4として、透明なものを用いて成ることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1に係る目地の納め構造によれば、施工現場におけるシーリング作業の手間を削減することができると共に、施工後においては長期間にわたって防水性を高く維持することができるものである。
【0009】
請求項2の発明によれば、外壁材と同系色である目地材によって、目地部分が他の部分と比較して目立たなくなり、目地部分の外観の経年変化を小さくすることができるものである。
【0010】
請求項3の発明によれば、目地材を透過して目地溝の内面が見えることによって、目地部分が他の部分と同様に視認され、目地部分の外観の経年変化を小さくすることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
図1は本発明に係る目地の納め構造を示すものであり、これは次のようにして形成される。まず、建築物の柱間に架設された胴縁に固定金具等を用いて複数の外壁材1を隣り合うように設置する。ここで、外壁材1としては、側端部において板厚の略半分を欠き取るなどすることによって合じゃくり加工されたものを用いる。具体的には、隣り合う一方の外壁材1の側端部においては、屋内側に内側実部5が凸設してあり、また、隣り合う他方の外壁材1の側端部においては、屋外側に外側実部6が凸設してある。そして、これらの外壁材1を隣り合うように設置する場合に、一方の外壁材1の内側実部5の外側に他方の外壁材1の外側実部6を配置すると、外壁材1同士の間に図1(a)に示すような目地溝2を形成することができる。なお、この目地溝2の開口縁部には斜面7,8が形成してあるが、この斜面7,8は、両方の外壁材1の側端部の角部をあらかじめ切削しておくことによって形成することができるほか、型成形によって形成することもできる。また、図1に示すものにおいては、目地溝2は屋内側と連通してあるが、内側実部5の屋外側の面と外側実部6の屋内側の面とを当接させることによって、目地溝2が屋内側と連通しないようにしてもよい。
【0013】
次に、図1(b)に示すように、上記の目地溝2に接着剤3を注入する。この接着剤3としては、外壁材1及び後述する目地材4に対する接着性が良好で、しかも5mm幅以下の狭い目地溝2であっても容易に注入することができるものであれば、特に限定されるものではない。このような接着剤3として、例えば、アクリル変成シリコーン樹脂であるセメダイン(株)製「セメダインスーパーX」等を挙げることができる。
【0014】
次に、目地溝2に注入した接着剤3が硬化する前に、図1(c)に示すように、弾性を有する目地材4を上記の目地溝2に嵌め込むことによってこの目地溝2を閉塞する。そして、接着剤3を硬化させると、この接着剤3で目地材4を目地溝2に固定することができる。このように、上記の目地材4は、液状のものではなくゴムのような弾性体であって、目地溝2に納まるようにあらかじめ長尺状に形成されている。目地材4の材質の具体例としては、シリコンゴム等を挙げることができる。また、目地材4と外壁材1との間に隙間ができないように、目地材4の幅は目地溝2の幅と同一にしてあるが、目地材4の幅を目地溝2の幅より若干広めにしてあると、目地材4をその両側の外壁材1に弾接させることができ、より確実に目地材4を目地溝2に固定することができる。目地溝2の幅が狭い場合(5mm幅以下)には、それに応じて目地材4も幅を狭く形成するものであるが、このように幅の狭い目地材4を形成することは、狭い目地溝2に液状で粘性のあるシーリング材12を充填するのに比べて容易である。
【0015】
また、目地材4として外壁材1と同系色のものを用いると、目地部分が他の部分と比較して目立たなくなり、目地部分の外観の経年変化を小さくすることができるものである。目地材4の色の調整は、例えば、目地材4を形成する際に着色剤や顔料等を用いて行うことができる。
【0016】
また、目地材4として透明なものを用いると、目地溝2の内面が目地材4を透過して見えることによって、目地部分が他の部分と同様に視認され、目地部分の外観の経年変化を小さくすることができるものである。なお、透明な目地材4は、シリコンゴム等で形成することができる。
【0017】
以上のように、本発明においては、接着剤3の注入・目地材4の嵌め込みという工程を経るだけで目地の納め構造を形成することができるので、従来に比べて、施工現場におけるシーリング作業の手間を大幅に削減することができるものである。特に、目地溝2の幅が狭い場合であっても、このような目地溝2に上述した目地材4を嵌め込むのは容易であるため、この工程に費やされる時間は非常に短い。また、施工後においては、上述した目地材4の体積は経年変化により縮小することはないので、外壁材1との間に隙間が生じず、長期間にわたって防水性を高く維持することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a)〜(c)はいずれも断面図である。
【図2】従来の技術の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 外壁材
2 目地溝
3 接着剤
4 目地材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合じゃくり加工された外壁材を複数隣り合わせて設置することによって目地溝が形成され、この目地溝に接着剤が注入されると共に、弾性を有する目地材が上記目地溝に嵌め込まれて成ることを特徴とする目地の納め構造。
【請求項2】
目地材として、外壁材と同系色のものを用いて成ることを特徴とする請求項1に記載の目地の納め構造。
【請求項3】
目地材として、透明なものを用いて成ることを特徴とする請求項1に記載の目地の納め構造。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−70492(P2006−70492A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−252616(P2004−252616)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(503367376)クボタ松下電工外装株式会社 (467)
【Fターム(参考)】