説明

目標位置照準装置および目標位置照準方法

【課題】航空機の飛行中にタレット本体の表面に受ける外力や空力の影響を低減させることにより、目標位置照準装置として性能劣化を極力防止する目標位置照準装置および目標位置照準方法を提供すること。
【解決手段】目標位置照準装置10は、内部に光学系機器が収納され、目標物側から照射される赤外光a1を受光するタレット12と、当該タレット12の光学系機器24を経由して導出された赤外光a1を入射して画像データ信号a2を生成するタレットと離間して設けられた赤外線撮像器13と、画像データ信号a2を入力して、画像データ信号a2に含まれる目標物Tの位置データを補正する補正データ信号a3を生成する画像処理装置14と、補正データ信号a3を入力し、タレット12の向きを補正する補正信号a41およびa42を生成し、タレット12側に出力して、タレット12の向きを補正するタレット駆動装置19とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、航空機等の飛翔体に搭載し、飛行中の目標物(目標物)に対してレーザ光を射出し、その反射光を受信して目標物を捕捉・追尾することができるようにした目標位置照準技術の改良に係り、特に航空機に搭載して用いるに適する目標位置照準装置および目標位置照準方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の目標位置照準装置は、飛行中の目標物からのレーザ光を受けることにより目標物の位置が特定されると共に、この特定された目標物に対して、レーザ光を照射して目標物を捕捉・追尾することができる目標位置照準装置が実用化されている。このような目標位置照準装置として、特開2000−65497号公報([特許文献1]参照)に開示されたものがある。
【0003】
特許文献1には、図5に示すように、目標物側から赤外光fを受けることによりレーザ光eを目標物に向けて照射する構成の目標位置照準装置1が示されている。
【0004】
この目標位置照準装置1は、目標物(図示せず)側から赤外光fを受ける反射ミラー2と、この反射ミラー2からの赤外光fをダイクロイックミラー3を介して受けることにより目標物を撮像する赤外光撮像器4と、この赤外光撮像器4により撮像した映像データから目標物の位置を検出する目標物位置検出器5と、この目標物位置検出器5により検出した位置データに基づき、反射ミラー2を目標物側に指向させる駆動部6と、ダイクロイックミラー3および反射ミラー2を介して目標物に照射するレーザ光eを送信するレーザ光送出器7と、これらの各部品を収納する図示しないタレット本体(ケーシング)を備えている。従来の目標位置照準装置1によれば、飛行中の目標物から赤外光fを受けることにより、目標物の位置が特定されると共に、この特定された目標物にレーザ光eを照射して目標物を捕捉・追尾することができる。
【0005】
しかしながら、従来の目標位置照準装置1によれば、機能を効果的に発揮させるために航空機の一部、例えば航空機胴体の下部に突出させて設けられている。このため、航空機の飛行中には、タレット本体の表面に外力、例えば熱、振動、加速度,風雨,重力等の外乱や、空力の影響が加わり、その作用力によりタレット本体が変形する惧れがあった。そして、その結果、ターゲットへの光軸がずれたり、更には目標物位置検出器5やレーザ光送出器7側から送出されるレーザ光eの照射精度に狂いが生じて性能劣化の原因となっていた。
【特許文献1】特開2000−65497号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、航空機の飛行中にタレット本体の表面に受ける外力や空力の影響を低減させることにより、目標位置照準装置として性能劣化を極力防止する目標位置照準装置を提供することを主な目的とする。
【0007】
また本発明の他の目的は、捕捉した目標物が移動体である場合に、追従性能をより向上させることができる目標位置照準方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明によれば、内部に光学系機器が収納され、目標物側から照射される赤外光を受光するタレットと、前記タレットと離間して設けられ、前記タレットの光学系機器を経由して導出された赤外光を入射して画像データ信号を生成する赤外線撮像器と、前記画像データ信号を入力して、前記画像データ信号に含まれる目標物の位置データを補正する補正データ信号を生成する画像処理装置と、前記補正データ信号を入力し、前記タレットの向きを補正する補正信号を生成し、前記タレット側に出力して、前記タレットの向きを補正するタレット駆動装置とを具備し、前記画像処理装置は、赤外線撮像器にて撮像した前記目標物の基準撮像位置データを予め記憶する基準撮像位置記憶手段と、前記基準撮像位置データと前記画像データ信号に含まれる目標物の撮像位置データとを比較するデータ比較手段と、当該データ比較手段によりデータ比較した結果、前記撮像位置データに含まれる撮像位置が、前記基準撮像位置記憶手段に記憶された基準撮像位置に対して生じたずれ分を補正する補正データ信号を生成する補正データ生成手段とを備えたことを特徴とする目標位置照準装置を提供する。
【0009】
また上記目的を達成するために、本発明によれば、目標物T側から照射された赤外光をタレットにて受光し、この受光した赤外光を赤外線撮像器が受光して画像データ信号を生成し、この生成された画像データ信号を画像処理装置側が入力することにより、当該画像処理装置にて前記画像データ信号に含まれる画像位置データに基づく座標位置を、前記画像処理装置に予め記憶された基準撮像位置データに基づく基準座標位置に近づけるように表示位置を補正する補正データ信号を生成し、この補正データ信号を入力するタレット駆動装置により、タレット側に駆動信号を出力してタレットを回動駆動し、当該タレットの向きを、前記目標物の画像処理装置が前記基準座標位置にくるように補正可能にすることを特徴とする目標位置照準方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の目標位置照準装置によれば、航空機の飛行中にタレット本体の表面に受ける外力や空力の影響を低減させることにより、目標位置照準装置として性能劣化を極力防止する目標位置照準装置を提供することができる。
【0011】
また、本発明の目標位置照準装置によれば、捕捉した目標物が移動体である場合に、追従性能をより向上させることができる目標位置照準方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係る目標位置照準装置および目標位置照準方法の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0013】
図1は本発明に係る目標位置照準装置を航空機に搭載した事例を示す概要図である。図2は本発明に係る目標位置照準装置の実施形態を示す概要図である。また、図3は図2に示す画像処理装置へのモニター画面表示例を示す図である。
【0014】
図1に示す目標位置照準装置10は、飛翔体、例えば航空機11の胴体部11a前方に設けられる。この目標位置照準装置10は、航空機11の胴体部11aの外側の下部に半球状に突出して設けられるタレット12と、このタレット12の近傍の胴体部11a内部に設けられる赤外線撮像器13と、この赤外線撮像器13に信号回線15を介して接続される画像処理装置14と、この画像処理装置14を信号回線16を介して接続されると共に、信号回線17および18を介してタレット12側に接続されるタレット駆動装置19とから構成される。
【0015】
タレット12は、図2に示すように、航空機11の胴体部11aの下部外壁から一部を半球状に突出させて設けたドーム状のタレット本体(ケーシング)20と、タレット本体20内に設けられる光学系支持枠体21と、タレット本体20をアジマス軸AZを中心に回動駆動するタレット駆動モータ22と、光学系支持枠体21をエレベーション軸ELを中心に回動駆動する枠体駆動モータ23と、光学系支持枠体21内に設けられる光学系機器24とから構成される。
【0016】
タレット本体20は、内部に光学系支持枠体21および光学系機器24を収容するドーム状のもので、電波透過性部材、例えばポリプロピレンあるいはアクリル系樹脂にて形成され、風雨,重力等の外乱や、空力による外力の影響を受けても耐え得る剛性および耐久性を有するものである。
【0017】
また、光学系支持枠体21は、光学系機器24を図示しない支持装置により安定に支持し、光学系機器24が外部から振動を受けた場合にでも、光学性能が維持されるように設けられる。
【0018】
アジマス軸AZを中心にタレット12のタレット本体20を回動駆動するタレット駆動モータ22は、タレット本体20の底部に設けられ、タレット駆動装置19からタレット駆動信号a41を受信することにより回動駆動するようになっている。
【0019】
エレベーション軸ELを中心に回動駆動する枠体駆動モータ23は、タレット本体20の側部に設けられ、タレット駆動装置19からのタレット駆動信号a42を受信することにより回動駆動するようになっている。
【0020】
光学系機器24は、飛翔体T側から照射される赤外光a1を受光して正確に赤外線撮像器13側に照射し得るように複数、例えば4つの第1の赤外線反射ミラー24a,第2の赤外線反射ミラー24b,第3の赤外線反射ミラー24cおよび第4の赤外線反射ミラー24dを備えている。
【0021】
そして、例えば160度(deg)の範囲の角度がカバーされ、何れの角度の赤外光a1が入射した場合にでも、アジマス軸AZ線上にある赤外線撮像器13に入射し得るようになっている。
【0022】
赤外線撮像器13は、赤外光a1の集光部13aおよびこの集光部13aから導光した赤外光a1の入射方向の画像データを含む画像データ信号a2を生成する画像データ信号生成部13bを備えている。この画像データ信号生成部13bは、生成された画像データ信号a2を信号線15側に出力されるようになっている。
【0023】
なお、画像データ信号a2は、赤外線撮像器13の撮像エリア(図示せず)内での飛翔体Tの撮像位置データを含み、撮像エリアにおける撮像位置(座標)を特定することができるデータ信号である。
【0024】
画像処理装置14は、画像処理データ生成手段14a,基準撮像位置記憶手段14b,データ比較手段14c,補正データ生成手段14dおよびモニター画面14eを備えている。画像処理データ生成手段14aは、画像データ信号a2を赤外線撮像器13側から入力することにより、飛翔体Tから入射する赤外光a1の方位に対応してモニター画面14eの所定座標位置に目標物画面表示位置マークPを表示する画像データを生成するものである。
【0025】
なお、この補正データ信号a3は、タレット12の向きを飛翔体Tの方向に瞬時に向かわせるタレット駆動装置19を駆動させる信号であって、図3に示すように、モニター画面14eの画面中心部に表示される目標物捕捉位置マークS近傍に目標物である飛翔体Tを表示するための制御信号である。
【0026】
モニター画面14eに表示される目標物捕捉位置マークSは、モニター画面14eの画面中心部を縦横に横切るX軸と、Y軸(一点鎖線表示)により示される。
【0027】
タレット駆動装置19は、タレット駆動信号生成部19aを備え、このタレット駆動信号生成部19aに画像処理装置14側から出力される補正データ信号a3を入力することにより、タレット駆動信号a41およびa42が生成され、信号線17および18を介してそれぞれタレット12側に出力されるようになっている。
【0028】
タレット駆動信号a41は、具体的には、図2に示すように、信号線17を介してタレット12を目標物Tに瞬時に向かわせるために必要な回動角度を得るために、例えばタレット駆動モータ22への駆動電流データが含まれる。従って、タレット12はアジマス軸AZを中心に所望角度回動駆動されるようになる。
【0029】
また、タレット駆動信号a42は、図2に示すように、信号線18を介してタレット12を飛翔体Tに瞬時に向かわせるために必要な回動角度を得るために、例えば枠体駆動モータ23への通電時間の駆動電流データが含まれる。
【0030】
次に目標位置照準装置10の作用について図1〜図4を参照して説明する。
【0031】
目標位置照準装置10を搭載した航空機11が飛行中において、周囲に目標物である、飛翔体Tが飛来すると、この飛翔体Tから照射される赤外光a1を目標位置照準装置10の赤外線撮像器13が受光する。この赤外線撮像器13が赤外光a1を受光してから、タレット12の方向が調整されるまでのステップを、タレット12の光学系機器24の光学系と、その他の信号系による作用を、図4に示すステップにより説明する。
【0032】
図4は、本発明の目標位置照準装置10による光学系および信号系の作用ループを示すフロー図である。
【0033】
飛翔体Tから入射される赤外光a1をタレット12の光学機器24の光学系を介してタレット12内に導光し、赤外線撮像器13で受光する<ステップ1>。
【0034】
次に、画像処理装置14が、赤外線撮像器13側から画像データ信号a2を入力する<ステップ2>。
【0035】
そして、タレット駆動装置19が、画像処理装置14側から補正データ信号a3を入力する<ステップ3>。
【0036】
続いて、タレット12は、タレット駆動装置19側からタレット本体駆動信号a41を入力する<ステップ4a>。また同時に、タレット12は、タレット駆動装置19側からタレット本体駆動信号a42を入力する<ステップ4b>。
【0037】
なお、タレット12は、上記<ステップ4a>および<ステップ4b>と重複して<ステップ1>がなされるようになる。
【0038】
このように、光学系および信号系によるステップが踏まれることにより、タレット12、赤外線撮像器13、画像処理装置14およびタレット駆動装置19による作用を具体的に説明する。
【0039】
タレット12が赤外光a1を受光すると、図2に示すように、赤外光a1がタレット12のタレット本体20を透過し、光学系機器24へ入射する。光学系機器24へ入射した赤外光a1は、光学系機器24の第1の赤外線反射ミラー24aから第4の赤外線反射ミラー24dにて順次反射され、光学系支持枠体21の透光孔21a、タレット本体20の透光孔20aおよびタレット駆動モータ22の透光孔22aを順次透過して、赤外線撮像器13の集光部13aを介して受光する。
【0040】
次に、赤外光a1を受光した赤外線撮像器13は、画像データ信号生成部13bにて画像データ信号a2を生成し、信号線15を介して画像処理装置14側へ出力する。画像データ信号a2を入力した画像処理装置14は、画像処理データ生成手段14aにて目標物捕捉位置データが出力され、図3に示すように、モニター画面14eに目標物捕捉位置マークSが表示される。また同時に、モニター画面14eには、飛翔体Tから入射する赤外光a1の方位に対応して、モニター画面14eの所定座標位置に目標物画面表示位置マークPが表示される。
【0041】
そして、データ比較手段14cにより、目標物画面表示位置マークPと目標物捕捉位置マークSの座標位置のずれ分を、図3に示すように、ΔxおよびΔyとして求められる。そして、補正データ生成手段14dにより、上記座標位置の差(ΔxおよびΔy)を限りなくゼロにするための補正データ信号a3が生成される。
【0042】
このように、タレット12に設けられる光学機器24の光学系と、その他の赤外線撮像器13,画像処理装置14およびタレット駆動装置19とから構成される信号系による作用により、飛翔体Tに対する捕捉・追尾がエンドレスに行われる。
【0043】
次に、タレット駆動装置19が、画像処理装置14側から座標データ信号a3を入力し、タレット12がタレット駆動装置19側からタレット本体駆動信号a41およびa42を入力してからの作用を詳述する。
【0044】
座標データ信号a3を入力したタレット駆動装置19は、タレット駆動信号生成部19aにてタレット本体駆動信号a41および枠体駆動信号a42を生成し、それぞれ信号線17および18を介してタレット12側のタレット駆動モータ22および枠体駆動モータ23のそれぞれへ出力する。その時にタレット本体駆動信号a41を入力したタレット駆動モータ22は、座標データ信号a2に含まれる目標基準表示位置マークSに対するX軸方向のずれ位置、すなわち図3に示すように、飛翔体Tの位置が、目標基準表示位置マークSから例えばX軸方向にΔxずれた位置にある場合には、このΔxがゼロになるように、タレット駆動モータ22を図2のAZ方向に僅かに回動する。
【0045】
一方、枠体駆動信号a42を入力した枠体駆動モータ23は、画像データ信号a2に含まれる目標基準表示位置マークSに対するY軸方向のずれ位置、すなわち図3に示すように、飛翔体Tの位置が、目標基準表示位置マークSから例えばY軸方向にΔyの位置にある場合には、このΔyがゼロになるように、枠体駆動モータ23を図2のEL方向に僅かに回動する。
【0046】
このように、タレット12に設けられる光学機器24の光学系と、その他の赤外線撮像器13,画像処理装置14およびタレット駆動装置19による信号系がループに構成されることにより、タレット12が飛翔体Tに対して向かうように調整される。従って、航空機11は、飛行状態のままで、飛翔体Tを正確に追尾することができる。また、その状況が常にモニター画面14b上の目標基準表示位置マークSに対比して表示され、取扱者による目視が可能となる。
【0047】
本発明の目標位置照準装置10によれば、内部に光学系機器が収納され、目標物側から照射される赤外光a1を受光するタレット12と、このタレット12と離間して設けられ、タレット12の光学系機器24を経由して導出された赤外光a1を入射して画像データ信号a2を生成する赤外線撮像器13と、画像データ信号a2を入力して、前記画像データ信号a2に含まれる飛翔体Tの位置データを補正する補正データ信号a3を生成する画像処理装置14と、補正データ信号a3を入力し、前記タレット12の向きを補正する補正信号a41およびa42を生成し、前記タレット12側に出力して、前記タレット12の向きを補正するタレット駆動装置19とを具備し、前記画像処理装置は、赤外線撮像器13にて撮像した飛翔体Tの基準撮像位置データを予め記憶する基準撮像位置記憶手段14bと、基準撮像位置データと画像データ信号a2に含まれる飛翔体Tの撮像位置データとを比較するデータ比較手段14cと、当該データ比較手段14cによりデータ比較した結果、撮像位置データに含まれる撮像位置が、基準撮像位置記憶手段14bに記憶された基準撮像位置に対して生じたずれ分を補正する補正データ信号a3を生成する補正データ生成手段14dとを備えた構成であるから、タレット12を全体的に小型化でき、延いては、航空機11に搭載する場合に、タレット本体20の部分を航空機11の胴体部11aの外壁から露出して設ける際に、露出部分を比較的小さくすることができるので、航空機11の飛行に伴い受ける空力の影響を極力小さくすることができる。
【0048】
また、目標位置照準装置10によれば、画像処理装置14のモニター画面14bには、目標基準表示位置マークSに対して、どのくらいずれたり、更には一致した状態にあるかを、常に表示されるので、例えば航空機11の操縦士や目標位置照準装置10の取扱者が目視により監視することができるので、画像処理装置14の画像処理データ生成部14aが故障した場合には、その故障状況を即座にチェックし、図示しない別の画像処理装置14へ切り替えたり、あるいは取扱者により手動操作に切り替え使用することができる。
【0049】
なお、目標位置照準装置10によれば、画像処理装置14には、モニター画面14eを設けたが、このモニター画面14e自体は必ずしも必要ではなく、画像処理装置14の画像処理データ生成部14aの演算処理によるデータ処理のみにより行うことができる。
【0050】
例えば、画像処理データ生成部14aに予め記憶された基準撮像位置データに対して、画像データ信号a2のデータに含まれる赤外線撮像器13側における赤外光a1の入射データの演算処理により、目標物画面表示位置マークPの座標であるΔx,Δyをそれぞれの値がゼロになるように、補正データを算出する演算を繰り返し、その過程でタレット20の方位が所望に制御されて目標物Tを捕捉し、追尾することができる。
【0051】
また、目標位置照準装置10による目標位置照準方法によれば、飛翔体T側から照射された赤外光a1を赤外線撮像器13が受光して画像データ信号a2を生成し、この生成された画像データ信号a2を画像処理装置14側が入力することにより、画像処理装置14にて画像データ信号a2に含まれる画像位置データに基づく座標位置を、画像処理装置14に予め記憶された基準撮像位置データに基づく基準座標位置に近づけるように表示位置を補正する補正データ信号a3を生成し、この補正データ信号a3を入力するタレット駆動装置19により、タレット12側に駆動信号a41,a42を出力してタレット12を回動駆動し、飛翔体の座標位置が基準座標位置にくるようにタレットの向きを補正可能にする目標位置照準方法であるから、捕捉した飛翔体Tに限らず、目標物が地上における移動体であっても追尾性能をより向上させることができる目標位置照準方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る目標位置照準装置を航空機に搭載した事例を示す概要図。
【図2】本発明に係る目標位置照準装置の実施形態を示す概要図。
【図3】図2に示す画像処理装置へのモニター画面表示例を示す図。
【図4】本発明に係る目標位置照準装置による光学系および信号系の作用ループを示すフロー図。
【図5】従来の目標位置照準装置を示す概要図。
【符号の説明】
【0053】
10 目標位置照準装置
11 航空機
11a 胴体部
12 タレット
13 赤外線撮像器
13a 集光部
13b 画像データ信号生成部
14 画像処理装置
14a 画像処理データ生成部
14b 基準撮像位置記憶手段
14c データ比較手段
14d 補正データ生成手段
14e モニター画面
15,16,17,18 信号線
19 タレット駆動装置
19a タレット駆動信号生成部
20 タレット本体
20a,21a,22a 透光孔
21 光学系支持枠体
22 タレット駆動モータ
23 枠体駆動モータ
24 光学系機器
24a 第1の赤外線反射ミラー
24b 第2の赤外線反射ミラー
24c 第3の赤外線反射ミラー
24d 第4の赤外線反射ミラー
a1 赤外光
a2 画像データ信号
a3 補正データ信号
a41 タレット本体駆動信号
a42 枠体駆動信号
T 飛翔体(目標物)
S 目標物捕捉位置マーク
P 目標物画面表示位置マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に光学系機器が収納され、目標物側から照射される赤外光を受光するタレットと、前記タレットと離間して設けられ、前記タレットの光学系機器を経由して導出された赤外光を入射して画像データ信号を生成する赤外線撮像器と、前記画像データ信号を入力して、前記画像データ信号に含まれる目標物の位置データを補正する補正データ信号を生成する画像処理装置と、前記補正データ信号を入力し、前記タレットの向きを補正する補正信号を生成し、前記タレット側に出力して、前記タレットの向きを補正するタレット駆動装置とを具備し、
前記画像処理装置は、赤外線撮像器にて撮像した前記目標物の基準撮像位置データを予め記憶する基準撮像位置記憶手段と、前記基準撮像位置データと前記画像データ信号に含まれる目標物の撮像位置データとを比較するデータ比較手段と、当該データ比較手段によりデータ比較した結果、前記撮像位置データに含まれる撮像位置が、前記基準撮像位置記憶手段に記憶された基準撮像位置に対して生じたずれ分を補正する補正データ信号を生成する補正データ生成手段とを備えたことを特徴とする目標位置照準装置。
【請求項2】
上記画像処理装置には、目標物を画像表示することができるモニター画面を備えたことを特徴とする請求項1記載の目標位置照準装置。
【請求項3】
目標物T側から照射された赤外光をタレットにて受光し、この受光した赤外光を赤外線撮像器が受光して画像データ信号を生成し、この生成された画像データ信号を画像処理装置側が入力することにより、当該画像処理装置にて前記画像データ信号に含まれる画像位置データに基づく座標位置を、前記画像処理装置に予め記憶された基準撮像位置データに基づく基準座標位置に近づけるように表示位置を補正する補正データ信号を生成し、この補正データ信号を入力するタレット駆動装置により、タレット側に駆動信号を出力してタレットを回動駆動し、飛翔体の座標位置が基準座標位置にくるようにタレットの向きを補正可能にする目標位置照準方法。
【請求項4】
上記基準撮像位置データに基づく座標位置および画像データ信号に含まれる撮像位置データに基づく座標位置を画像処理装置のモニター画面に表示し、前記撮像位置データに基づく座標位置を、前記基準撮像位置データに基づく座標位置に近づけるようにすることを特徴とする請求項3記載の目標位置照準方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−240309(P2007−240309A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−62566(P2006−62566)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】