説明

目標物探知装置および目標物探知方法

【課題】失探した目標物と、新たに探知された目標物を関連付け同一目標物であることを明確にし、目標物を継続して探知できる目標物探知装置および目標物探知方法を提供する。
【解決手段】レーダ装置ごとの覆域領域と、予め決められた領域から覆域領域を除いた領域を区分した覆域外領域との隣接に関する情報と、覆域外領域間の隣接に関する情報と、レーダ装置の覆域外へ移動した目標物を最後に探知した位置と日時と覆域領域と該目標物の速度、種別を、目標物の識別子に対応付けた失探情報と、レーダ装置が新たに探知した目標物の情報と、に基づいて、該失探した目標物と新たな目標物を関連付ける目標物探知装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のレーダ(Radio detection and ranging)装置により探知した情報に基づいて目標物の移動推定を行う目標物探知装置および目標物探知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のレーダ装置が探知した情報を用いて目標物を検出する目標物探知装置において、所望の領域内の目標物を見失わずに探知するには、各レーダ装置の目標物を探知可能な領域(覆域)が、所望の領域を全てカバーできるように、各レーダ装置を配置しなければならない。しかしながら、所望の領域を全てカバーできるように、複数のレーダ装置を配置できない場合がある。そのような場合、複数のレーダ装置の覆域により所望の領域を全てカバーできない状況では、レーダ装置の覆域と覆域の間に、目標物を探知できない領域が存在してしまう。そのため、目標物探知装置は目標物を見失う領域が存在してしまうことになる。
【0003】
そこで、レーダ装置の覆域の外へ移動して探知できなくなった目標物(失探した目標物)がある場合でも、目標物を最後に探知した位置と、その時の目標物の移動ベクトルに基づいて線形予測して、覆域の外へ移動した目標物の移動位置を推定する技術が提案されている。
【0004】
また、他の目標物の移動位置を推定する技術として、レーダ装置などのセンサから得られる観測ベクトルから複数目標の航跡を推定する提案がされている。例えば、複数のセンサ(レーダ装置など)で観測した各センサの観測データを統合し、目標ごとに次の観測で可能な物理領域(クラスタ)を複数の仮説を記録した仮説表(マトリックス)に基づいて算出して、目標物の航跡を決める提案がされている。
【0005】
また、例えば複数レーダ装置を使用して1つの目標物を監視し、各レーダ装置の探知した目標物に関する情報に基づいて、レーダ装置ごとの目標物の速度ベクトルを求め、速度ベクトルを相関比較する。そして、相関比較の結果に基づいて、異なるレーダ装置ごとで探知した目標物が、同一の目標物であることを示す組合せを算出する技術が提案されている。
【0006】
また、例えばドップラ周波数を観測するレーダ装置の他に複数のドップラ送受信機を備え、ドップラ送受信機を使ってレーダ装置の遮蔽域内に移動した目標物を追跡する技術が提案されている。
【0007】
また、例えば各レーダ装置の探知可能領域と探知できない領域との覆域境界を生成する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平09−318741号公報
【特許文献2】特開昭63−279189号公報
【特許文献3】特開平10−206535号公報
【特許文献4】特開2005−300354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、目標物が一つのレーダ装置の覆域から覆域外に出て他のレーダの覆域内に入ってきたときに、それが同一目標であることを明確に確認できるようにするものではない。
本発明は、失探した目標物と、新たに探知された目標物を関連付け同一目標物であることを明確にし、目標物を継続して探知する目標物探知装置および目標物探知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
態様のひとつである複数のレーダ装置が探知した情報に基づいて目標物の移動推定をする目標物探知装置は、設定部、管理部、抽出部、関連付け部を備えている。
設定部は、レーダ装置の設置位置に基づいて決まる前記レーダ装置ごとの覆域領域と、予め決められた領域から前記覆域領域を除いた領域を区分した覆域外領域とが隣接することを示す第1の情報を生成する。また、設定部は、前記覆域外領域間の隣接を示す第2の情報を生成する。
【0011】
管理部は、レーダ装置の覆域外へ移動した目標物を最後に探知した位置、最後に探知した日時を、該目標物の識別子に対応付けて失探情報を生成する。また、管理部は、前記覆域情報に基づいて該目標物を最後に探知した覆域領域に隣接する覆域外領域を抽出し、抽出した覆域外領域の中から、該目標物を最後に探知した位置に最も近い前記覆域外領域に該失探情報を関連付ける。
【0012】
抽出部は、レーダ装置が新たに目標物を探知したとき、新たに検知した目標物が存在する覆域領域に隣接する覆域外領域を前記覆域情報に基づいて抽出する。また、抽出部は、該抽出した覆域外領域に関連付けられている前記失探情報に基づいて、前記新たに検出した目標物の位置へ移動可能な距離に存在する失探した目標物を抽出する。
【0013】
関連付け部は、該失探した目標物と前記新たな目標物を関連付けて前記記録部に記録する。
また、態様のひとつである複数のレーダ装置が探知した情報に基づいて目標物の移動推定をする目標物探知装置は、設定部、管理部、推定部を備えている。
【0014】
設定部は、レーダ装置の設置位置に基づいて決まる前記レーダ装置ごとの覆域領域と、予め決められた領域から前記覆域領域を除いた領域を区分した覆域外領域とが隣接することを示す第1の情報、及び前記覆域外領域間の隣接を示す第2の情報を有する覆域情報を生成する。
【0015】
管理部は、レーダ装置の覆域外へ移動した目標物を最後に探知した位置、最後に探知した日時、最後に探知した種別を、該目標物の識別子に対応付けて失探情報を生成し、前記覆域情報に基づいて該目標物を最後に探知した覆域領域に隣接する覆域外領域を抽出し、抽出した覆域外領域の中から、該目標物を最後に探知した位置に最も近い前記覆域外領域に該失探情報を関連付ける。
【0016】
推定部、失探情報を選択して、選択した失探情報の目標物を最後に探知した日時と現在の日時から算出される経過時間と、前記選択した前記失探情報の目標物の種別に基づいて予め種別ごとに関連付けられて記録されている速度を取得し、前記経過時間と前記速度に基づいて到達可能距離を算出し、前記選択した失探情報の目標物を最後に探知した位置と、前記新たに目標物を探知した位置とに基づいて算出される最短移動距離を用いて、前記到達可能距離が前記最短距離より大きい覆域外領域を推定する。
【発明の効果】
【0017】
目標物探知に関する実施は、失探した目標物と、新たに探知された目標物を、関連付け同一目標物であることを明確にし、目標物を継続して探知できるという効果を奏する。また、覆域外へ移動した目標物について、どの覆域外に所在するかの推定ができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態1の目標物探知装置の構成の一例を示す図である
【図2】監視領域と覆域領域、覆域外領域の関係の一例を示す図である。
【図3】設定部の動作の一例を示すフロー図である。
【図4】Aはレーダ装置覆域領域と覆域外領域の関係を示すデータ構造の一例を示す図であり、Bは覆域外領域間の関係を示すデータ構造の一例を示す図である。
【図5】管理部の動作の一例を示すフロー図である。
【図6】覆域外領域と失探情報の関係を示すデータ構造の一例を示す図である。
【図7】抽出部、関連付け部の動作の一例を示すフロー図である。
【図8】推定部の動作の一例を示すフロー図である。
【図9】監視領域と覆域領域、覆域外領域の関係の一例を示す図である。
【図10】Aは実施形態3のレーダ装置と目標物探知装置の構成の一例を示す図であり、Bは実施形態3のレーダ装置とレーダ装置+目標物探知装置の構成の一例を示す図である。
【図11】実施形態3の目標物探知装置の構成の一例を示す図である
【図12】本実施形態がコンピュータプログラムとして実現される場合の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下図面に基づいて、本発明の実施形態について詳細を説明する。
(実施形態1)
実施形態1における目標物探知装置は、複数の無線観測装置が探知した情報に基づいて目標物の移動推定をする装置である。ここで、無線観測装置はレーダ装置などであり、自らの送信機から電波を発射し、目標物から反射されて戻ってくる電波を受信機で受信することにより、目標物の距離、方位、移動速度などの情報を得る装置である。また、目標物探知装置は、目標物を追尾監視できる装置であり、例えばドップラ・レーダ(Doppler radar)などを用いて、デュアル・ドップラ・レーダ観測をすることが好ましい。また、陸上において、目標物は人、一般車両、特殊車両、軍用車両など、海上においては人、旅客船(客船)、貨客船(貨客混載船)、貨物船、軍艦、巡視船、漁船、特殊船などを対象とし、航空機(重航空機、軽航空機)などを対象としてもよい。
【0020】
図1は、実施形態1における目標物探知装置の構成の一例を示す図である。目標物探知装置1は、入力部2、処理部3、記録部4、受信部5、送信部6、表示部7を備えている。
【0021】
入力部2は、監視対象となる領域(以後、監視領域と呼ぶ)、各レーダ装置の設置位置、レーダ装置ごとの覆域領域、監視領域から覆域領域を除いた領域を区分した覆域外領域などの情報を、処理部3に入力するものである。例えば、利用者が入力装置(例えば、キーボード、マウスなど)を用い、設置位置、覆域領域、覆域外領域に関する情報などを処理部3に入力する。
【0022】
ここで、上記レーダ装置の設置位置は2次元平面座標などにより表すことができる位置座標などである。また、覆域領域は、レーダ装置の覆域(レーダ装置が目標物を探知可能な領域)に基づいて設定され、最大探知距離、最大探知方位角などで示される。
【0023】
なお、レーダ装置の覆域は、レーダ装置の設置位置、設置方向、性能、及びレーダ装置の設置場所の周辺環境により変化するため、覆域領域の設定は、実際に探知可能な領域に合わせて覆域領域を調整してもよい。また、レーダ装置の覆域から移動したために目標物を見失った場合(失探)、失探した目標物に関する情報を、利用者が入力部2から処理部3に入力する。また、失探とは、レーダ装置により目標が探知できなくなった状態を指し、ドップラレーダ装置の場合では反射波の周波数変化成分が検出できない状態も失探というが、本例では目標物がレーダ装置の覆域外に移動したために、レーダ装置が目標物を探知できなくなった状態を指す。
【0024】
処理部3は、目標物を探知するために設定部8、管理部9、抽出部10、関連付け部11、推定部15を備えている。また、処理部3は、CPU(Central Processing Unit)やプログラマブルなデバイス(FPGA(Field Programmable Gate Array)、PLD(Programmable Logic Device)など)を用いて処理部3の機能を実行させてもよい。なお、設定部8、管理部9、抽出部10、関連付け部11、推定部15については後述する。
【0025】
記録部4は、プログラム、テーブル、データなどが記録されている。また、記録部4は、例えばROM(Read Only Member)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクなどのメモリである。また、記録部4は、パラメータ値、変数値などのデータを記録してもよいし、ワークエリアとして用いることもできる。本例では、記録部4に、表示部7にレーダ装置の探知した結果(目標物)を表示するための地図データなどを記録している。また、記録部4には、第1の情報と第2の情報を有する覆域情報が記録されている。第1の情報は、レーダ装置の設置位置に基づいて決まるレーダ装置ごとの覆域領域と、監視領域から覆域領域を除いた領域を区分した覆域外領域との隣接に関する情報である(覆域領域−覆域外領域データベース12)。また、第2の情報は、覆域外領域間の隣接に関する情報(覆域外領域間データベース13)である。また、記録部4には、レーダ装置の覆域外へ移動した目標物を最後に探知した位置、最後に探知した日時、最後に探知した覆域領域および該目標物の速度を、目標物の識別子に対応付けた失探情報が、覆域外領域ごとに対応付けられて記録されている。
【0026】
受信部5は、複数のレーダ装置により探知された目標物に関する情報(目標物の距離、方位、移動速度などの情報)を受信し、受信した情報を処理部3に転送する。
送信部6は、例えば無線送信部または有線送信部を備え、専用回線、公衆回線、無線LAN(Local Area Network)などを用いて、基地局、端末、PC(Personal Computer)などと通信ができる。表示部7は、出力装置であり、例えば、ディスプレイ、プリンタなどである。
【0027】
処理部3について説明する。
設定部8は、入力部2から監視対象領域、各レーダ装置の設置位置、レーダ装置ごとの覆域領域、覆域外領域などの情報を取得する。次に、設定部8は、監視対象領域における覆域領域と覆域外領域との隣接に関する第1の情報と、覆域外領域間の隣接に関する第2の情報を有する覆域情報を生成して記録部4に記録する。
【0028】
図2、3、4を用いて覆域情報の生成方法について説明する。図2は、監視対象領域に複数のレーダ装置を設置したときの覆域領域と覆域外領域の関係を示す図である。また、図2には、監視対象領域を監視するレーダ装置A、B、Cの位置、各レーダ装置A、B、Cの覆域領域、覆域外領域が示されている。図3は、覆域領域と覆域外領域とを関連付けて覆域情報を生成する動作の一例を示すフロー図である。図4は、覆域情報が有する監視対象領域における覆域領域と覆域外領域との隣接に関する情報(図4のA)と、覆域外領域間の隣接に関する情報(図4のB)のデータ構造を示す図である。
【0029】
図3のステップS1では、入力部2から入力された情報に基づいて、設定部8が監視領域、覆域領域、覆域外領域を設定する。図2の場合であれば、設定部8は、入力部2からレーダ装置A、B、Cの設置位置に関するデータを取得する。ここでレーダ装置A、B、Cの設置位置に関するデータは、GPS(Global Positioning System)などを用い求めた経度、緯度を示すデータである。さらに、必要に応じて入力部2から経度、緯度に加え、高度もデータとして入力される。図2ではレーダ装置の設置位置を示す経度X、緯度Yを、それぞれレーダ装置Aの位置(Xa,Ya)、レーダ装置Bの位置(Xb,Yb)、レーダ装置Cの位置(Xc,Yc)と示している。
【0030】
また、設定部8は、入力部2から監視領域を設定するためのデータを取得する。監視領域を設定するためのデータは、例えば、利用者が手動により地図やレーダ装置A、B、Cの覆域領域に基づいて設定してもよいし、自動で監視領域を決定してもよい。自動で監視領域を決定する場合は、例えば、レーダ装置A、B、Cの覆域領域を全て含むような長方形状(図2参照)の領域を設定する。ただし、監視領域の形状は限定するものではなく、多角形、円形、楕円などでもよいし、領域の大きさもレーダ装置の覆域領域を全て含む必要はない。
【0031】
また、設定部8は、入力部2から入力されるレーダ装置A、B、Cの覆域領域に関する情報を取得して、覆域領域を算出する。図2の例では、覆域領域に関する情報は、レーダ装置A、B、Cごとの最大探知距離(La、Lb、Lc)、最大探知方位角(θa、θb、θc)などのデータである。なお、レーダ装置の種類ごとに最大探知距離、最大探知方位角などのデータを予め記録部4に記録しておき、表示部7の画面上からレーダ装置に関する情報を表示し、表示されたレーダ装置の情報を選択することにより、覆域領域に関するデータを取得してもよい。次に、設定部8は、レーダ装置A、B、Cの最大探知距離、最大探知方位角に基づいて覆域領域を算出して求める。その後、上記算出して求めた覆域領域と、該覆域領域を識別するための識別子とを対応付けて記録部4に記録する。図2の例では、レーダ装置A、B、Cの覆域領域は、識別子「Fa」「Fb」「Fc」に対応付けられている。
【0032】
また、設定部8は覆域外領域を設定して、記録部4に記録する。覆域外領域の設定は、利用者が手動により監視領域を区分けしてもよいし、自動で覆域外領域を決定してもよい。利用者が手動で切り分ける場合は、市街地や森林等、土地利用区分に応じて分割することが考えられる。図2は、手動により覆域外領域を設定した例であり、覆域外領域は識別子「Ra」「Rb」「Rc」「Rd」「Re」に対応付けて設定されている。自動で覆域外領域を決定する場合は、例えば、レーダ装置の覆域領域の輪郭を示す線22a、22b、22cと監視領域の輪郭を示す線21に囲まれた、監視領域内の領域を覆域外領域とする。さらに、レーダ装置の覆域領域の最大探知距離を示すそれぞれの輪郭線を監視領域の輪郭を示す線と交差するまで延長し、これらの延長線により監視領域を区分けした領域を覆域外領域とする。
【0033】
ステップS2で設定部8は、覆域領域と覆域外領域が隣接しているか否かを判定して、覆域領域と覆域外領域との隣接に関する第1の情報(覆域領域−覆域外領域データベース12)を作成し、記録部4に記録する。覆域領域と覆域外領域が隣接しているか否かは、覆域領域と覆域外領域が共有する線分を有しているかにより判定し、共有する線分がある場合は隣接していると判断する。図4のAは、図2の例におけるレーダ装置A、B、Cの覆域領域Fa、Fb、Fcと覆域外領域Ra、Rb、Rc、Rd、Reの隣接関係を示す表である。図2の例では、覆域領域Faは、覆域外領域Ra、Rb、Rcに隣接している。覆域領域Fbは、覆域外領域Ra、Rc、Rdに隣接している。覆域領域Fcは、覆域外領域Ra、Rd、Reに隣接している。隣り合っているレーダ装置の覆域領域と覆域外領域が共有する線の情報も記録部4に記録して管理する。例えば、覆域領域Faと覆域外領域Raは隣り合っているので、覆域領域Faと覆域外領域Raが共有する線の両端の座標などを、覆域領域Faと覆域外領域Raに関連付けて記録部4に記録する。なお、図4のAでは、丸印が隣り合っていることを示し、上記共有する線の両端の座標は対応する丸印の位置に記録されている。
【0034】
ステップS3では、設定部8が覆域外領域間の隣接に関する第2の情報(覆域外領域間データベース13)を作成し、記録部4に記録する。覆域外領域が他の覆域外領域と隣接しているか否かは、覆域外領域間で共有する線分を有しているかにより判定し、共有する線分がある場合は隣接していると判断する。図4のBは、図2の例におけるレーダ装置A、B、Cの覆域外領域Ra、Rb、Rc、Rd、Reの隣接関係を示す表である。図2の例では、覆域外領域Raは、覆域外領域Rb、Rd、Reに隣接している。なお、隣り合っている覆域外領域が共有する線分の情報も記録部4に記録して管理する。例えば、覆域外領域Raと覆域外領域Rbは隣り合っているので、覆域外領域Raと覆域外領域Rbが共有する線分の両端の座標などを、覆域外領域Raと覆域外領域Rbに関連付けて記録部4に記録する。なお、図4のBでは、丸印は、隣り合っていることを示し、上記共有する線分の両端の座標は対応する丸印の位置に記録されている。
【0035】
設定部8は、上記ステップS1〜S3に示したように、覆域情報を生成して記録部4に記録する。
管理部9は、レーダ装置の覆域外へ移動した目標物を最後に探知した位置、最後に探知した日時を、該目標物の識別子に対応付けて失探情報を生成する。なお、管理部9は、さらに最後に探知した覆域領域、最後に探知した該目標物の速度および該目標物の種別を、該目標物の識別子に対応付けて失探情報を生成してもよい。また、管理部9は、覆域情報に基づいて該目標物を最後に探知した覆域領域に隣接する覆域外領域を抽出し、抽出した覆域外領域の中から、該目標物を最後に探知した位置に最も近い前記覆域外領域に該失探情報を関連付けて前記記録部に記録する。
【0036】
図5を用い失探情報を生成して覆域外領域に関連付ける方法について説明する。図5は、管理部9の動作の一例を示すフロー図である。ステップS51で管理部9は、レーダ装置から目標物が消えたか(失探)否かを判定し、失探した場合(Yes)はステップS52に移行し、失探していない場合(No)はステップS51にループして監視を続ける。
【0037】
目標物が図2に示した監視範囲内を実線矢印23に沿って移動した場合について説明する。
目標物が覆域外領域Raからレーダ装置Aの覆域領域Faに移動すると、レーダ装置Aから受信部5に目標物に関する目標情報が送られてくる。目標情報とはレーダ装置が捉えた目標物の位置を示すデータであり、例えば、レーダ装置設置位置から目標物までの距離と方位を極座標に変換したデータなどである。また、目標情報には目標物を探知した日時、該目標物の速度などのデータが含まれていてもよい。次に、目標物がレーダ装置Aの覆域領域Faを移動した後、レーダ装置Aの覆域領域Faから覆域外領域Rcに移動すると、目標物を監視範囲内で見失うことになる。例えば、レーダ装置Aが目標物を見失うと、レーダ装置Aから目標情報が管理部9に送信されなくなる、またはレーダ装置Aが目標物を失探したことを管理部9に通知する。管理部9は、予め決められた時間内に目標情報が通知されないことの検出、または失探したことを示す通知を受信することにより、目標物の失探を検出する。
【0038】
ステップS52で管理部9は、記録部4の覆域情報を参照して覆域領域と覆域外領域の隣接関係(第1の情報)に基づいて、レーダ装置の覆域外へ移動した目標物を最後に探知した覆域領域を抽出する。例えば、図2に示すように目標物が覆域領域Faから覆域外領域Rcに移動した場合、管理部9は覆域情報(図4のAのデータベース)を参照して、覆域領域Faに隣接している覆域外領域Ra、Rb、Rcを抽出する。
【0039】
ステップS53では、管理部9がステップS52で抽出した覆域外領域の中から一番近いものを抽出する。例えば、管理部9は目標物を最後に探知した位置を、受信部5から取得した目標情報から検出し、失探した位置に最も近い覆域外領域を選択する。図2の場合、目標物は覆域領域Faと覆域外領域Rcとの共有する線分の近くで失探しているので覆域外領域Rcが選択される。目標物を失探した位置と覆域外領域との距離は、管理部9が、例えば上記説明した覆域領域と覆域外領域が共有する線分の両端の座標を記録部4から取得し、両端の座標を結ぶ直線の方程式を生成する。次に、管理部9は、失探した位置座標(X1,Y1)と直線の方程式(ax+by+c=0)を用いて距離を求める。ここで、直線の方程式(ax+by+c=0)のa、b、cは係数を示している。距離は、例えば、|a・X1+b・y1+c|/((a^2+b^2)^0.5)により算出する。ここで「・」は乗算を示し、「^」はべき乗数を示す。なお、図2の場合、管理部9は、覆域領域Faと覆域外領域Ra、Rb、Rcが共有する線分について、それぞれ直線の方程式を計算して求める。そして、それぞれの直線の方程式と失探位置に基づいて距離を算出し、算出した距離の中で一番小さい値の距離に係わる覆域外領域を選択する。
【0040】
ステップS54では、管理部9が見失った目標物に関する情報を関連付け、失探情報を生成して、覆域外領域ごとに失探情報を記録部4に記録する。失探情報は、失探した目標物に関連付けられる、失探した目標物を最後に捉えた覆域領域、見失った日時、見失った位置、見失った時点の速度、目標物の種別を有するデータで、管理部9によりステップS53で求めた覆域外領域に関連付けて記録部4に記録される。図6に失探目標データベース14(覆域外領域ごとに管理される失探情報)のデータ構造を示す。図6では、覆域外領域Raに失探情報を関連付けた例であり、「覆域外領域」には「Ra」が記録され、「目標物ID」には目標物の識別子「1」「110」「201」「55」・・・が記録されている。また、「最後に捉えた覆域領域」には目標物を最後に捉えた覆域領域に対応するレーダ装置の名称「Fa」「Fb」「Fc」・・・が記録されている。「見失った日時」には目標物を失探した日時「11:00:00」「12:21:00」「13:11:12」「14:15:31」・・・が記録されている。「見失った位置」には目標物を失探した位置が経度、緯度「E11031 N51005」「E21031 N51455」「E11400 N55642」「E13451 N54565」・・・が記録されている。ここで、Eは経度(東経)、Nは緯度(北緯)を示している。「E11031 N51005」の表示は東経110度31分 北緯51度00分05秒の位置を示している。「見失った時点の速度」には目標物を失探した時の速度が「1km/h」「31km/h」「5km/h」「6km/h」・・・が記録されている。「種別」には失探した目標物の種別が「人」「一般車両」「一般車両」「戦車」・・・が記録されている。なお、図2の場合、レーダ装置Bの覆域領域Fbから覆域外領域Rdに移動したとき、レーダ装置Cの覆域領域Fcから覆域外領域Reに移動したときにも目標物を見失う。この場合も、上記と同じように処理を行う。
【0041】
管理部9は、上記ステップS51〜S54に示したように、失探した目標物を検出し、失探情報を生成し、失探した目標物がその直後に存在するはずの覆域外領域に失探情報を関連付けて記録部4の失探目標データベース14に記録する。
【0042】
抽出部10は、レーダ装置が新たに目標物を探知したとき、新たに検知した目標物が存在する覆域内に隣接する覆域外領域を覆域情報に基づいて抽出する。その後、関連付け部11は、覆域外領域に対応付けられている失探情報に基づいて、新たに検出した目標物の位置へ移動可能な距離に存在する失探した目標物を抽出し、該失探した目標物と新たな目標物を関連付ける。
【0043】
図7を用い、目標物を新たに検出したとき、過去に失探した目標物であるかを推定し、過去に失探した目標物であると推定されるときは、新たに検出した目標物に関連付ける方法について説明する。
【0044】
図7は、抽出部10、関連付け部11の動作の一例を示すフロー図である。ステップS701では抽出部10が、レーダ装置が目標物を検出したか否かを判定し、検出した場合(Yes)はステップS702に移行し、目標物が検出されない場合(No)はステップS701にループして監視を続ける。
【0045】
目標物が図2に示した監視範囲内を実線矢印23に沿って移動し、目標物が覆域外領域Rcからレーダ装置Bの覆域領域Fbに移動した場合について説明する。
レーダ装置Bが目標物を捉えると、受信部5にレーダ装置Bから目標物に関する目標情報が送られてくる。
【0046】
ステップS702で抽出部10は、覆域外から覆域に移動した目標物を探知したレーダ装置の覆域領域に接している覆域外領域を、記録部4の覆域情報の第1の情報を参照して抽出する。例えば、図2に示すように目標物が覆域外領域Rcから覆域領域Fbに移動した場合、抽出部10は覆域情報(図4のAのデータベース)を参照して、覆域領域Fbに隣接している覆域外領域Ra、Rc、Rdを抽出する。
【0047】
ステップS703では抽出部10が、対応する覆域外領域の中で一番近いものを抽出する。抽出部10は、例えば、抽出部10は目標物を探知した位置を、受信部5から取得した目標情報から検出し、失探した位置に最も近い覆域外領域を選択する。図2の場合、目標物は覆域領域Fbと覆域外領域Rcとの共有する線分の近くで探知されているので覆域外領域Rcが選択される。目標物を失探した位置と覆域外領域との距離は、抽出部10が、例えば上記説明した覆域領域と覆域外領域が共有する線分の両端の座標を記録部4から取得し、両端の座標を結ぶ直線の方程式を生成する。次に、抽出部10は、探知した位置座標(X2,Y2)と生成した直線の方程式(dx+ey+f=0)を用いて距離を求める。ここで、直線の方程式(dx+ey+f=0)のd、e、fは係数を示している。距離は、例えば、|d・X2+e・y2+f|/((d^2+e^2)^0.5)により算出する。ここで「・」は乗算を示し、「^」はべき乗数を示す。なお、図2の場合、抽出部10は、覆域領域Fbと覆域外領域Ra、Rc、Rdが共有する線分について、それぞれ直線の方程式を計算して求める。そして、それぞれの直線の方程式と失探位置に基づいて距離を算出し、算出した距離の中で一番小さい値の距離に係わる覆域外領域を選択する。
【0048】
ステップS704で抽出部10が、失探目標データベース14に記録されているステップS703で抽出された覆域外領域に対応付けられている見失った目標物に関連する失探情報を検索する。ステップS705では、抽出部10が記録部4の失探目標データベース14に記録されている対応する覆域外領域に、失探情報があるか否かを判定する。失探情報がある場合(Yes)、ステップS710に移行し、失探情報がない場合(No)、ステップS706に移行する。図2の例において、ステップS710に移行する場合とは、例えば覆域領域Faから覆域領域Fbに移行する際であり、覆域領域Faで失探した目標物に関する失探情報が覆域外領域Rcに少なくとも一つある。
【0049】
また、図2の例において、ステップS706に移行する場合とは、図2に示す破線矢印24の経路を目標物が通る場合が考えられる。図2に示すように破線矢印24の経路を目標物が通ってレーダ装置Cの覆域領域Fcに到達したとすると、抽出部10は覆域外領域Raを抽出する。ところが覆域外領域Raには失探情報が含まれていないためステップS706に移行する。
【0050】
ステップS706では、抽出部10が抽出された覆域外領域に隣接する覆域外領域を抽出する。抽出部10は、覆域情報の第2の情報(図4のBの覆域外領域間データベース)を参照して、隣接する覆域外領域を抽出する。図2に示すように破線矢印24の経路を目標物が通ってレーダ装置Cの覆域領域Fcに到達したとすると、抽出部10は覆域外領域Raに隣接する覆域外領域Rd、Reを覆域情報の第2の情報に基づいて抽出する。
【0051】
ステップS707で抽出部10が、失探目標データベース14に記録されているステップS706で抽出された覆域外領域に対応付けられている見失った目標物に関連する失探情報を検索する。図2に示すように破線矢印24の経路を目標物が通ってレーダ装置Cの覆域領域Fcに到達したとすると、抽出部10は覆域外領域Rd、Reから失探情報を検索する。抽出部10は覆域外領域Rdに対応する失探情報があるか否かを検索する。
ステップS708では、抽出部10が過去に見失った目標物が存在するか否かを判定し、目標物が存在しない場合(Yes)、ステップS709に移行し、目標物が存在する場合(No)、ステップS710に移行する。図2に示すように破線矢印24の経路を目標物が通ってレーダ装置Cの覆域領域Fcに到達した場合、抽出部10は覆域外領域Rdに対応する失探情報があるためステップS710に移行する。
【0052】
ステップS709では、ステップS701で検出された目標物が、ステップS702〜S708の処理により、どの覆域外領域においても失探した目標物がないことが判定されたため、関連付け部11が新たに検出された目標物の目標情報を記録部4に記録する。
【0053】
ステップS710で抽出部10は、失探した目標物に対応する失探情報に基づいて最短移動距離と、到達可能距離を計算する。最短移動距離は、検出された目標物の目標情報の「目標物を探知した位置」と失探した目標物の失探情報の「見失った位置」の座標から既存の技術に基づいて算出する。
【0054】
図2に示すように実線矢印23の経路を目標物が通ってレーダ装置Cの覆域領域Fcに到達した場合、例えば、失探Aで失探した目標物が覆域領域Fb−覆域外領域Rd−覆域領域Fcの順に探知Bに到達した場合について説明する。この場合、失探Aと探知Bを結ぶ線分の長さを求めて最短距離とする。
【0055】
また、図2に示すように破線矢印24の経路を目標物が通ってレーダ装置Cの覆域領域Fcに到達した場合、例えば、失探Aで失探した目標物が覆域領域Fb−覆域外領域Rd−覆域外領域Ra−覆域領域Fcの順に探知Cに到達した場合について説明する。まず、覆域領域Fcを定義する頂点のうち、目標物に近い頂点FcAを抽出する。次に、該当頂点FcAから探知Cを結ぶ線分が覆域領域を通らないことを確認する。もし、覆域領域を通る場合は他の頂点を抽出する。その後、失探Aから該当する頂点FcAまでの線分の長さLdと、頂点FcAから探知Cまでの線分の長さLeを求め、それらを加算して最短距離Ld+Leを求める。
【0056】
このように、目標物が失探した位置から覆域領域を通過せずに新たに検知された位置に到達する距離を最短距離とする。
到達可能距離は、経過時間と予め設定されている目標物の種別ごとの速度、または、失探した目標物の失探情報の「見失った時点の速度」に基づいて算出する。経過時間は、ステップS701で検出された目標物の目標情報の「目標物を探知した日時」と失探情報の「見失った日時」との差を算出する。目標物の種別ごとの速度は、記録部4に予め記録されている種別ごとの最大速度であり、例えば、種別に関連付けて、人の最大速度は4km/h、一般車両の最大速度は100km/h、軍用車両の最大速度は40km/hなどが記録されている。なお、到達可能距離は、(経過時間×(失探時の速度+探知時の速度)/2)を計算することにより算出してもい。
【0057】
ステップS711では、抽出部10がステップS710で算出した最短移動距離と、到達可能距離を比較して、最短移動距離≦到達可能距離の条件を満たしているか否かを判定する。満たしている場合(Yes)、ステップS712に移行し、満たしていない場合(No)、ステップS709に移行する。
【0058】
ステップS712で抽出部10は、ステップS711において、条件を満たした目標物が複数ある場合は、各到達可能距離と最短移動距離を比較し、最短移動距離との誤差が最も小さい移動距離を選択する。なお、誤差が同じ場合は限定するものではないが、失探した日時が最も古いものを選択する。
【0059】
ステップS713では抽出部10が、ステップS712で選択した目標物を過去に検出された目標物として記録部4に記録する。
ステップS714では、関連付け部11が見失った目標物とステップS701で検出された目標物を関連付け、検出された目標物が過去に失探した目標物であることを送信部6に通知する。このとき、対応する失探情報は記録部4から削除される。
【0060】
実施形態1では、レーダ装置の覆域の外へ移動して探知できなくなった目標物と、レーダ装置により新たに探知された目標物が同じ目標物であるか否かを推定して、同じであるとき、各目標物を関連付けて管理することにより、目標物を明確にすることができる。また、レーダ装置の覆域の外へ移動して探知できなくなった目標物と、新たに探知された目標物を関連付けて管理することにより、目標物を継続して探知することができる。
【0061】
(実施形態2)
実施形態2は、図1に示す推定部15が覆域外へ移動した目標物について、どの覆域外に所在するかの推定をする。また、推定部15が覆域外情報および失探情報を記録部4から取得し、目標物の所在を推定し、表示部に推定した目標物の所在を表示する。図1に示す推定部15の動作について説明する。
【0062】
図8は、推定部の動作の一例を示すフロー図である。
ステップS801では、推定部15が覆域外領域ごとに記録されている失探情報を記録部4の失探目標データベース14から取得し、失探情報に対応付けられた目標物を表示部7に表示する。
【0063】
ステップS802では、利用者が表示部7に表示された失探した目標物の中から、推定すべき失探した目標物を選択すると、推定部15により推定すべき目標物の失探情報が選択される。
【0064】
ステップS803で推定部15は、選択された目標物に対応する失探情報から「見失った日時」および「種別」を取得する。
ステップS804で推定部15は、選択された目標物の到達可能距離L1を経過時間と最大速度に基づいて算出する。経過時間は、ステップS803で選択した目標物の失探情報の「見失った日時」と現在の日時との差である。最大速度は、記録部4に予め記録されている種別ごとの最大速度であり、例えば、種別に関連付けて、人の最大速度は4km/h、一般車両の最大速度は100km/h、戦車の最大速度は40km/hなどが記録されている。図9の例では、実線矢印91に沿って失探目標物Aは移動したこととし、到達可能距離L1は破線円上の位置である。
【0065】
ステップS805では、推定部15が推定する目標物が対応づけられている覆域外領域に隣接する他の覆域外領域を、覆域情報の覆域外領域間の隣接に関する第2の情報を参照して全て抽出する。図9の例では、目標物Aに対しては覆域外領域Rdに隣接する覆域外領域Raが抽出される。
【0066】
ステップS806では、推定部15がステップS805で抽出した全ての覆域外領域までの最短距離L2を算出する。図9の例では、目標物Aの失探情報から失探した位置を取得し、失探した位置から覆域外領域Rdと覆域外領域Raの共有する線分までの最短距離L2を算出する。このように、目標物が失探した覆域外領域から、覆域領域を通過しないで到達できる覆域外領域までの距離を最短距離とする。
【0067】
ステップS807では、推定部15が到達可能距離L1と最短距離L2の関係が、到達可能距離L1>最短距離L2であるか否かを判定する。到達可能距離L1>最短距離L2を満たしている場合はステップS808に移行し、全ての覆域に対して到達可能距離L1>最短距離L2を満たしていない場合はステップS810に移行し本処理を完了する。
【0068】
ステップS808では、選択した失探した目標物が隣接する覆域外領域まで移動可能であることを、推定部15が記録部4に記録する。図9の例では、覆域外領域Rdの目標物Aと覆域外領域Raの関係において、到達可能距離L1>最短距離L2が満たされているため、目標物Aは覆域外領域Raに移動可能であることが記録される。
【0069】
ステップS809で推定部15は、目標物を失探した覆域外領域と移動可能と判断された覆域外領域を存在可能地域として表示部7に表示する。図9の場合であれば、覆域外領域Raも目標物Aの存在可能地域として表示される。
【0070】
このように実施形態2では、レーダ装置の覆域の外へ移動して探知できなくなった目標物の所在位置を推定して、探知できなくなった目標物の移動可能な覆域外領域を利用者に通知することで、利用者は目標物の所在を推定ではあるが確認できる。また、再度レーダ装置により探知されるまでの間、利用者に失探した目標物についての情報が表示できるため、従来のように再度レーダ装置により失探した目標物が探知されたときでも利用者が慌てて過去の失探した目標物を探す必要が無くなる。
【0071】
(実施形態3)
図10は実施形態1、2で説明した目標物探知装置1とレーダ装置間の通信の一例を示す図である。図10のAは、複数のレーダ装置A、B、Cそれぞれが、目標物探知装置1と別の場所に設置されている場合であり、レーダ装置A、B、Cは探知した目標物に関する情報を無線で目標物探知装置1に通知する。
【0072】
図10のBは、レーダ装置Aと目標物探知装置1が一体となった装置1a、レーダ装置Bと目標物探知装置1が一体となった装置1b、単体のレーダ装置Cが通信をする場合の例である。装置1aは、レーダ装置Aで受信した目標物の情報を装置1bに送信する。また、装置1bは、レーダ装置Bで受信した目標物の情報を装置1aに送信する。レーダ装置Cで探知した目標物に関する情報は装置1a、1bに送信される。
【0073】
図11は、装置1a、1bの構成を示す図である、受信部5はレーダ装置16に接続され、他のレーダ装置からの情報を受信する。
また、装置1aと装置1bで異なる覆域外領域を設定し、装置1aと装置1bで異なる覆域外領域のデータを共有することにより、さらに失探した目標物と、レーダ装置により新たに探知された目標物を関連付けて管理する精度を向上させることができる。また、失探した目標物の所在位置の推定の精度が向上する。
【0074】
(本実施形態がコンピュータプログラムとして実現される場合の構成)
図12は、上記実施形態の装置を実現できるコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【0075】
コンピュータのハードウェア1200は、CPU1201、記録部1202(ROM、RAM、ハードディスクドライブなど)、記録媒体読取装置1203、入出力インタフェース1204(入出力I/F)、通信インタフェース1205(通信I/F)などを備えている。また、上記各構成部はバス1206によってそれぞれ接続されている。
【0076】
CPU1201は、記録部1202に格納されている上記説明した目標物探知装置1の図3、5、7、8などに示した各処理を実行する。また、CPU1201は上記説明した処理部3の機能を有する。
【0077】
記録部1202には、CPU1201が実行するプログラムやデータが記録されている。また、ワークエリアなどとして使用される。また、記録部1202は上記説明した記録部4の機能を有する。
【0078】
記録媒体読取装置1203は、CPU1201の制御にしたがって記録媒体1203aに対するデータのリード/ライトを制御する。そして、記録媒体1203aに記録媒体読取装置1203の制御で書き込まれたデータを記憶させたり、記録媒体1203aに記憶されたデータを読み取らせたりする。また、着脱可能な記録媒体1203aは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体として、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記録装置には、ハードディスク装置(HDD)などがある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM(Random Access Memory)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)などがある。
【0079】
入出力インタフェース1204には、入出力装置1204a(例えば、タッチパネルなど)が接続され、ユーザが入力した情報を受信し、バス1206を介してCPU1201に送信する。また、CPU1201からの命令に従ってディスプレイの画面上に操作情報などを表示する。
【0080】
通信インタフェース1205は、必要に応じ、他のコンピュータとの間のLAN接続やインターネット接続や無線接続のためのインタフェースである。また、他の装置に接続され、外部装置からのデータの入出力を制御する。
【0081】
このようなハードウェア構成を有するコンピュータを用いることによって、上記説明した各種処理機能(実施形態で説明した処理(フローチャートなど))が実現される。その場合システムが有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体1203aに記録しておくことができる。
【0082】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0083】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0084】
また、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。なお、各実施形態は処理に矛盾の無い限りにおいて、互いに組み合わせても構わない。
【0085】
以上実施例を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
複数のレーダ装置が探知した情報に基づいて目標物の移動推定をする目標物探知装置であって、
レーダ装置の設置位置に基づいて決まる前記レーダ装置ごとの覆域領域と、予め決められた領域から前記覆域領域を除いた領域を区分した覆域外領域とが隣接することを示す第1の情報、及び前記覆域外領域間の隣接を示す第2の情報を有する覆域情報を生成する設定部、
レーダ装置の覆域外へ移動した目標物を最後に探知した位置、最後に探知した日時を、該目標物の識別子に対応付けて失探情報を生成し、前記覆域情報に基づいて該目標物を最後に探知した覆域領域に隣接する覆域外領域を抽出し、抽出した覆域外領域の中から、該目標物を最後に探知した位置に最も近い前記覆域外領域に該失探情報を関連付ける管理部、
レーダ装置が新たに目標物を探知したとき、新たに検知した目標物が存在する覆域領域に隣接する覆域外領域を前記覆域情報に基づいて抽出し、抽出した覆域外領域に関連付けられている前記失探情報に基づいて、前記新たに検出した目標物の位置へ移動可能な距離に存在する失探した目標物を抽出する抽出部、及び
該失探した目標物と前記新たな目標物を関連付けて前記記録部に記録する関連付け部、
を備えることを特徴とする目標物探知装置。
(付記2)
前記抽出部は、前記新たに目標物を探知した位置と、前記新たに目標物を探知した覆域領域と該覆域領域に隣接する覆域外領域が共有する線分との距離を算出し、前記線分との距離が最も短くなる前記線分を有する、前記覆域外領域に関連付けられている前記失探情報を抽出することを特徴とする付記1に記載の目標物探知装置。
(付記3)
前記抽出部は、抽出した前記覆域外領域に関連付けられている前記失探情報がないとき、抽出した前記覆域外領域に隣接する覆域外領域を前記第2の情報に基づいて抽出し、抽出した覆域外領域に関連付けられている前記失探情報を抽出することを特徴とする付記2に記載の目標物探知装置。
(付記4)
前記抽出部は、
前記失探情報の目標物を最後に探知した位置と、前記新たに目標物を探知した位置とに基づいて算出される、覆域領域を通過せずに前記新たに目標物を探知した位置までの最短移動距離と、
前記失探情報の目標物を最後に探知した日時と、前記新たに目標物を探知した日時から算出される経過時間と、前記新たに探知した目標物の種別に基づいて、予め種別ごとに関連付けられて記録されている速度を取得し、前記経過時間と前記速度に基づいて算出される到達可能距離を用いて、
前記到達可能距離が前記最短移動距離以上の前記失探情報を抽出する、
ことを特徴とする付記2または3に記載の目標物探知装置。
(付記5)
前記抽出部は、
前記失探情報の目標物を最後に探知した位置と、前記新たに目標物を探知した位置とに基づいて算出される、覆域領域を通過せずに前記新たに目標物を探知した位置までの最短移動距離と、
前記失探情報の目標物を最後に探知した日時と、前記新たに目標物を探知した日時から算出される経過時間と、前記失探情報の目標物を最後に探知した速度に基づいて算出される到達可能距離を用いて、
前記到達可能距離が前記最短移動距離以上の前記失探情報を抽出する、
ことを特徴とする付記2または3に記載の目標物探知装置。
(付記6)
複数のレーダ装置が探知した情報に基づいて目標物の移動推定をする目標物探知装置であって、
レーダ装置の設置位置に基づいて決まる前記レーダ装置ごとの覆域領域と、予め決められた領域から前記覆域領域を除いた領域を区分した覆域外領域とが隣接することを示す第1の情報、及び前記覆域外領域間の隣接を示す第2の情報を有する覆域情報を生成する設定部、
レーダ装置の覆域外へ移動した目標物を最後に探知した位置、最後に探知した日時、最後に探知した種別を、該目標物の識別子に対応付けて失探情報を生成し、前記覆域情報に基づいて該目標物を最後に探知した覆域領域に隣接する覆域外領域を抽出し、抽出した覆域外領域の中から、該目標物を最後に探知した位置に最も近い前記覆域外領域に該失探情報を関連付ける管理部、及び
失探情報を選択して、選択した失探情報の目標物を最後に探知した日時と現在の日時から算出される経過時間と、前記選択した前記失探情報の目標物の種別に基づいて予め種別ごとに関連付けられて記録されている速度を取得し、前記経過時間と前記速度に基づいて到達可能距離を算出し、前記選択した失探情報の目標物を最後に探知した位置と、前記新たに目標物を探知した位置とに基づいて算出される最短移動距離を用いて、前記到達可能距離が前記最短距離より大きい覆域外領域を推定する推定部、
を備えることを特徴とする目標物探知装置。
(付記7)
複数のレーダ装置が探知した情報に基づいて目標物の移動推定をする目標物探知方法であって、
コンピュータが、
レーダ装置の設置位置に基づいて決まる前記レーダ装置ごとの覆域領域と、予め決められた領域から前記覆域領域を除いた領域を区分した覆域外領域とが隣接することを示す第1の情報と、前記覆域外領域間の隣接を示す第2の情報を有する覆域情報を生成して、記録部に記録する設定処理と、
レーダ装置の覆域外へ移動した目標物を最後に探知した位置、最後に探知した日時を、該目標物の識別子に対応付けて失探情報を生成し、また前記覆域情報に基づいて該目標物を最後に探知した前記覆域領域に隣接する覆域外領域を抽出し、抽出した覆域外領域の中から、該目標物を最後に探知した位置に最も近い前記覆域外領域に該失探情報を関連付けて前記記録部に記録する管理処理と、
レーダ装置が新たに目標物を探知したとき、新たに検知した目標物が存在する覆域領域に隣接する覆域外領域を前記覆域情報に基づいて抽出し、抽出した覆域外領域に関連付けられている前記失探情報に基づいて、前記新たに検出した目標物の位置へ移動可能な距離に存在する失探した目標物を抽出する抽出処理と、
該失探した目標物と前記新たな目標物を関連付けて前記記録部に記録する関連付け処理と、
を実行することを特徴とする目標物探知方法。
(付記8)
前記抽出処理は、前記新たに目標物を探知した位置と、前記新たに目標物を探知した覆域領域と該覆域領域に隣接する覆域外領域が共有する線分との距離を算出し、前記線分との距離が最も短くなる前記線分を有する、前記覆域外領域に関連付けられている前記失探情報を抽出することを特徴とする付記7に記載の目標物探知方法。
(付記9)
前記抽出処理は、抽出した前記覆域外領域に関連付けられている前記失探情報がないとき、抽出した前記覆域外領域に隣接する覆域外領域を前記第2の情報に基づいて抽出し、抽出した覆域外領域に関連付けられている前記失探情報を抽出することを特徴とする付記8に記載の目標物探知方法。
(付記10)
前記抽出処理は、
前記失探情報の目標物を最後に探知した位置と、前記新たに目標物を探知した位置から覆域領域を通過せずに前記新たに目標物を探知した位置までの最短移動距離を算出し、
前記失探情報の目標物を最後に探知した日時と、前記新たに目標物を探知した日時から経過時間を算出し、前記新たに探知した目標物の種別に基づいて予め種別ごとに関連付けられて記録されている速度を取得し、前記経過時間と前記速度に基づいて到達可能距離を算出し、
前記到達可能距離が前記最短移動距離以上の前記失探情報を抽出する、
ことを特徴とする付記8または9に記載の目標物探知方法。
(付記11)
前記抽出処理は、
前記失探情報の目標物を最後に探知した位置と、前記新たに目標物を探知した位置から覆域領域を通過せずに前記新たに目標物を探知した位置までの最短移動距離を算出し、
前記失探情報の目標物を最後に探知した日時と、前記新たに目標物を探知した日時から経過時間を算出し、前記失探情報の目標物を最後に探知した速度を取得し、前記経過時間と前記速度に基づいて到達可能距離を算出し、
前記到達可能距離が前記最短移動距離以上の前記失探情報を抽出する、
ことを特徴とする付記8または9に記載の目標物探知方法。
(付記12)
複数のレーダ装置が探知した情報に基づいて目標物の移動推定をする目標物探知方法であって、
コンピュータが、
レーダ装置の設置位置に基づいて決まる前記レーダ装置ごとの覆域領域と、予め決められた領域から前記覆域領域を除いた領域を区分した覆域外領域とが隣接することを示す第1の情報と、前記覆域外領域間の隣接を示す第2の情報を有する覆域情報を生成して、記録部に記録する設定処理と、
レーダ装置の覆域外へ移動した目標物を最後に探知した位置、最後に探知した日時、最後に探知した種別を、該目標物の識別子に対応付けて失探情報を生成し、また前記覆域情報に基づいて該目標物を最後に探知した前記覆域領域に隣接する覆域外領域を抽出し、抽出した覆域外領域の中から、該目標物を最後に探知した位置に最も近い前記覆域外領域に該失探情報を関連付けて前記記録部に記録する管理処理と、
前記失探情報を選択して、選択した失探情報の目標物を最後に探知した日時と現在の日時から経過時間を算出し、前記選択した前記失探情報の目標物の種別に基づいて予め種別ごとに関連付けられて記録されている速度を取得し、前記経過時間と前記速度に基づいて到達可能距離を算出し、
前記選択した失探情報の目標物を最後に探知した位置と、前記新たに目標物を探知した位置とに基づいて算出される最短移動距離を算出し、
前記到達可能距離が前記最短距離より大きい覆域外領域を推定する、
ことを特徴とする目標物探知方法。
【符号の説明】
【0086】
1 目標物探知装置
2 入力部
3 処理部
4 記録部
5 受信部
6 送信部
7 表示部
8 設定部
9 管理部
10 抽出部
11 関連付け部
12 覆域領域−覆域外領域データベース
13 覆域外領域間データベース
14 失探目標データベース
15 推定部
16 レーダ装置
1a、1b 装置
1200 ハードウェア
1201 CPU
1202 記録部
1203 記録媒体読取装置
1203a 記録媒体
1204 入出力インタフェース
1204a 入出力装置
1205 通信インタフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレーダ装置が探知した情報に基づいて目標物の移動推定をする目標物探知装置であって、
レーダ装置の設置位置に基づいて決まる前記レーダ装置ごとの覆域領域と、予め決められた領域から前記覆域領域を除いた領域を区分した覆域外領域とが隣接することを示す第1の情報、及び前記覆域外領域間の隣接を示す第2の情報を有する覆域情報を生成する設定部、
レーダ装置の覆域外へ移動した目標物を最後に探知した位置、最後に探知した日時を、該目標物の識別子に対応付けて失探情報を生成し、前記覆域情報に基づいて該目標物を最後に探知した覆域領域に隣接する覆域外領域を抽出し、抽出した覆域外領域の中から、該目標物を最後に探知した位置に最も近い前記覆域外領域に該失探情報を関連付ける管理部、
レーダ装置が新たに目標物を探知したとき、新たに検知した目標物が存在する覆域領域に隣接する覆域外領域を前記覆域情報に基づいて抽出し、抽出した覆域外領域に関連付けられている前記失探情報に基づいて、前記新たに検出した目標物の位置へ移動可能な距離に存在する失探した目標物を抽出する抽出部、及び
該失探した目標物と前記新たな目標物を関連付けて前記記録部に記録する関連付け部、
を備えることを特徴とする目標物探知装置。
【請求項2】
前記抽出部は、前記新たに目標物を探知した位置と、前記新たに目標物を探知した覆域領域と該覆域領域に隣接する覆域外領域が共有する線分との距離を算出し、前記線分との距離が最も短くなる前記線分を有する、前記覆域外領域に関連付けられている前記失探情報を抽出することを特徴とする請求項1に記載の目標物探知装置。
【請求項3】
前記抽出部は、抽出した前記覆域外領域に関連付けられている前記失探情報がないとき、抽出した前記覆域外領域に隣接する覆域外領域を前記第2の情報に基づいて抽出し、抽出した覆域外領域に関連付けられている前記失探情報を抽出することを特徴とする請求項2に記載の目標物探知装置。
【請求項4】
前記抽出部は、
前記失探情報の目標物を最後に探知した位置と、前記新たに目標物を探知した位置とに基づいて算出される、覆域領域を通過せずに前記新たに目標物を探知した位置までの最短移動距離と、
前記失探情報の目標物を最後に探知した日時と、前記新たに目標物を探知した日時から算出される経過時間と、前記新たに探知した目標物の種別に基づいて、予め種別ごとに関連付けられて記録されている速度を取得し、前記経過時間と前記速度に基づいて算出される到達可能距離を用いて、
前記到達可能距離が前記最短移動距離以上の前記失探情報を抽出する、
ことを特徴とする請求項2または3に記載の目標物探知装置。
【請求項5】
前記抽出部は、
前記失探情報の目標物を最後に探知した位置と、前記新たに目標物を探知した位置とに基づいて算出される、覆域領域を通過せずに前記新たに目標物を探知した位置までの最短移動距離と、
前記失探情報の目標物を最後に探知した日時と、前記新たに目標物を探知した日時から算出される経過時間と、前記失探情報の目標物を最後に探知した速度に基づいて算出される到達可能距離を用いて、
前記到達可能距離が前記最短移動距離以上の前記失探情報を抽出する、
ことを特徴とする請求項2または3に記載の目標物探知装置。
【請求項6】
複数のレーダ装置が探知した情報に基づいて目標物の移動推定をする目標物探知装置であって、
レーダ装置の設置位置に基づいて決まる前記レーダ装置ごとの覆域領域と、予め決められた領域から前記覆域領域を除いた領域を区分した覆域外領域とが隣接することを示す第1の情報、及び前記覆域外領域間の隣接を示す第2の情報を有する覆域情報を生成する設定部、
レーダ装置の覆域外へ移動した目標物を最後に探知した位置、最後に探知した日時、最後に探知した種別を、該目標物の識別子に対応付けて失探情報を生成し、前記覆域情報に基づいて該目標物を最後に探知した覆域領域に隣接する覆域外領域を抽出し、抽出した覆域外領域の中から、該目標物を最後に探知した位置に最も近い前記覆域外領域に該失探情報を関連付ける管理部、及び
失探情報を選択して、選択した失探情報の目標物を最後に探知した日時と現在の日時から算出される経過時間と、前記選択した前記失探情報の目標物の種別に基づいて予め種別ごとに関連付けられて記録されている速度を取得し、前記経過時間と前記速度に基づいて到達可能距離を算出し、前記選択した失探情報の目標物を最後に探知した位置と、前記新たに目標物を探知した位置とに基づいて算出される最短移動距離を用いて、前記到達可能距離が前記最短距離より大きい覆域外領域を推定する推定部、
を備えることを特徴とする目標物探知装置。
【請求項7】
複数のレーダ装置が探知した情報に基づいて目標物の移動推定をする目標物探知方法であって、
コンピュータが、
レーダ装置の設置位置に基づいて決まる前記レーダ装置ごとの覆域領域と、予め決められた領域から前記覆域領域を除いた領域を区分した覆域外領域とが隣接することを示す第1の情報と、前記覆域外領域間の隣接を示す第2の情報を有する覆域情報を生成して、記録部に記録する設定処理と、
レーダ装置の覆域外へ移動した目標物を最後に探知した位置、最後に探知した日時を、該目標物の識別子に対応付けて失探情報を生成し、また前記覆域情報に基づいて該目標物を最後に探知した前記覆域領域に隣接する覆域外領域を抽出し、抽出した覆域外領域の中から、該目標物を最後に探知した位置に最も近い前記覆域外領域に該失探情報を関連付けて前記記録部に記録する管理処理と、
レーダ装置が新たに目標物を探知したとき、新たに検知した目標物が存在する覆域領域に隣接する覆域外領域を前記覆域情報に基づいて抽出し、抽出した覆域外領域に関連付けられている前記失探情報に基づいて、前記新たに検出した目標物の位置へ移動可能な距離に存在する失探した目標物を抽出する抽出処理と、
該失探した目標物と前記新たな目標物を関連付けて前記記録部に記録する関連付け処理と、
を実行することを特徴とする目標物探知方法。
【請求項8】
前記抽出処理は、前記新たに目標物を探知した位置と、前記新たに目標物を探知した覆域領域と該覆域領域に隣接する覆域外領域が共有する線分との距離を算出し、前記線分との距離が最も短くなる前記線分を有する、前記覆域外領域に関連付けられている前記失探情報を抽出することを特徴とする請求項7に記載の目標物探知方法。
【請求項9】
前記抽出処理は、抽出した前記覆域外領域に関連付けられている前記失探情報がないとき、抽出した前記覆域外領域に隣接する覆域外領域を前記第2の情報に基づいて抽出し、抽出した覆域外領域に関連付けられている前記失探情報を抽出することを特徴とする請求項8に記載の目標物探知方法。
【請求項10】
前記抽出処理は、
前記失探情報の目標物を最後に探知した位置と、前記新たに目標物を探知した位置から覆域領域を通過せずに前記新たに目標物を探知した位置までの最短移動距離を算出し、
前記失探情報の目標物を最後に探知した日時と、前記新たに目標物を探知した日時から経過時間を算出し、前記新たに探知した目標物の種別に基づいて予め種別ごとに関連付けられて記録されている速度を取得し、前記経過時間と前記速度に基づいて到達可能距離を算出し、
前記到達可能距離が前記最短移動距離以上の前記失探情報を抽出する、
ことを特徴とする請求項8または9に記載の目標物探知方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図2】
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【図9】
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