目標追尾装置及び目標追尾方法
【課題】目標の誤追尾を防止して、追尾精度を高めることができるようにする。
【解決手段】センサ1により特定されたプロットに対する類別処理を実施するプロット類別処理部2と、プロット類別処理部2から出力されたプロットの類別結果等を参照して、そのプロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用するか否かを判定するプロット使用判定処理部3とを設け、追尾処理部4が、プロット使用判定処理部3によりプロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用する旨の判定が行われた場合、そのプロットの重心位置を用いて追尾航跡を更新し、使用しない旨の判定が行われた場合、そのプロットの重心位置を用いずに追尾航跡を更新する。
【解決手段】センサ1により特定されたプロットに対する類別処理を実施するプロット類別処理部2と、プロット類別処理部2から出力されたプロットの類別結果等を参照して、そのプロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用するか否かを判定するプロット使用判定処理部3とを設け、追尾処理部4が、プロット使用判定処理部3によりプロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用する旨の判定が行われた場合、そのプロットの重心位置を用いて追尾航跡を更新し、使用しない旨の判定が行われた場合、そのプロットの重心位置を用いずに追尾航跡を更新する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、航空機などの目標を追尾する目標追尾装置及び目標追尾方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
目標の大きさに比べて、センサの分解能が高く、目標が分解能セル毎の画像、あるいは、複数の点として観測される場合、同一目標から観測される複数の観測値のクラスタリングを実施し、そのクラスタリング結果であるクラスタの重心位置を用いて、目標の追尾を行う目標追尾装置が以下の特許文献1に開示されている。
ただし、この目標追尾装置では、当該クラスタが移動体であるのか、静止物であるのかを判別する処理は実施していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4116898号(段落番号[0007]、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の目標追尾装置は以上のように構成されているので、例えば、空港や飛行場などで、移動中の飛行機を目標として追尾しているときに、滑走路等に存在する静止物(例えば、駐機中の航空機、同じ場所から固定的に反射する固定のクラッタなど)を目標と区別することができず、その目標と誤って静止物を追尾してしまうことがあるなどの課題があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、目標の誤追尾を防止して、追尾精度を高めることができる目標追尾装置及び目標追尾方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る目標追尾装置は、同一の目標から複数の検出位置が得られるセンシングを実施して、目標が存在している複数の分解能セルを検出する分解能セル検出手段と、分解能セル検出手段により検出された複数の分解能セルに対するクラスタリングを実施して、1以上の分解能セルが纏まっているプロットを特定し、そのプロットの重心位置及び当該プロットを構成している分解能セルのセル数を特定するプロット特定手段と、プロット特定手段により特定されたプロットの重心位置及びセル数と分解能セル検出手段によりセンシングが実施された時刻を用いて、そのプロットに対する類別処理を実施し、そのプロットの類別結果を出力する類別処理手段と、類別処理手段から出力されたプロットの類別結果と目標の追尾航跡の航跡速度を参照して、プロット特定手段により特定されたプロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用するか否かを判定する使用判定手段とを設け、追尾航跡更新手段が、使用判定手段によりプロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用する旨の判定が行われた場合、そのプロットの重心位置を用いて追尾航跡を更新し、使用しない旨の判定が行われた場合、そのプロットの重心位置を用いずに上記追尾航跡を更新し、追尾航跡表示手段が追尾航跡更新手段により更新された追尾航跡を表示するようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、同一の目標から複数の検出位置が得られるセンシングを実施して、目標が存在している複数の分解能セルを検出する分解能セル検出手段と、分解能セル検出手段により検出された複数の分解能セルに対するクラスタリングを実施して、1以上の分解能セルが纏まっているプロットを特定し、そのプロットの重心位置及び当該プロットを構成している分解能セルのセル数を特定するプロット特定手段と、プロット特定手段により特定されたプロットの重心位置及びセル数と分解能セル検出手段によりセンシングが実施された時刻を用いて、そのプロットに対する類別処理を実施し、そのプロットの類別結果を出力する類別処理手段と、類別処理手段から出力されたプロットの類別結果と目標の追尾航跡の航跡速度を参照して、プロット特定手段により特定されたプロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用するか否かを判定する使用判定手段とを設け、追尾航跡更新手段が、使用判定手段によりプロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用する旨の判定が行われた場合、そのプロットの重心位置を用いて追尾航跡を更新し、使用しない旨の判定が行われた場合、そのプロットの重心位置を用いずに上記追尾航跡を更新し、追尾航跡表示手段が追尾航跡更新手段により更新された追尾航跡を表示するように構成したので、目標の誤追尾を防止して、追尾精度を高めることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1による目標追尾装置を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による目標追尾装置の処理内容を示すフローチャートである。
【図3】センサ1による分解能セルの検出例を示す説明図である。
【図4】プロット類別処理部2による類別処理を示すフローチャートである。
【図5】プロット類別処理部2によるサイズ判定処理例を示す説明図である。
【図6】プロット類別処理部2による移動有無判定処理(ピーク判定処理)を示す説明図である。
【図7】プロット類別処理部2による目標/クラッタ判定処理(時間判定処理)を示す説明図である。
【図8】プロット類別処理部2による別目標/破片判定処理(距離判定処理)を示す説明図である。
【図9】プロットの類別結果を示す説明図である。
【図10】プロットの類別例を表すベン図である。
【図11】プロット使用判定処理部3による使用判定処理を示す説明図である。
【図12】類別プロットの重心位置が追尾構成の更新に使用される例を示す説明図である。
【図13】この発明の実施の形態2による目標追尾装置を示す構成図である。
【図14】第2の別目標/破片判定処理方式での別目標/破片判定処理(距離判定処理)を示す説明図である。
【図15】この発明の実施の形態3による目標追尾装置を示す構成図である。
【図16】距離と比較する閾値が、目標の形状に対応する値に設定されている例を示す説明図である。
【図17】この発明の実施の形態4による目標追尾装置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による目標追尾装置を示す構成図である。
図1において、センサ1は例えばレーダ等の電波センサや、赤外線センサなどから構成されており、同一の目標から複数の検出位置が得られるセンシングを実施して、その目標が存在している複数の分解能セルを検出する処理を実施する。
また、センサ1は複数の分解能セルに対するクラスタリングを実施して、1以上の分解能セルが纏まっているプロットを特定し、そのプロットの重心位置及び当該プロットを構成している分解能セルのセル数を特定する処理を実施する。
なお、センサ1は分解能セル検出手段及びプロット特定手段を構成している。
【0010】
プロット類別処理部2は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、センサ1により特定されたプロットの重心位置と、当該プロットを構成している分解能セルのセル数と、センサ1によりセンシングが実施された時刻とを用いて、そのプロットに対する類別処理を実施し、そのプロットの類別結果を出力する処理を実施する。なお、プロット類別処理部2は類別処理手段を構成している。
【0011】
プロット使用判定処理部3は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、プロット類別処理部2から出力されたプロットの類別結果と目標の追尾航跡の航跡速度を参照して、センサ1により特定されたプロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用するか否かを判定する処理を実施する。なお、プロット使用判定処理部3は使用判定手段を構成している。
【0012】
追尾処理部4は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、プロット使用判定処理部3によりプロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用する旨の判定が行われた場合、センサ1により特定されたプロットの重心位置を用いて追尾航跡を更新し、使用しない旨の判定が行われた場合、そのプロットの重心位置を用いずに追尾航跡を更新する処理を実施する。なお、追尾処理部4は追尾航跡更新手段を構成している。
【0013】
表示処理部5は例えばGPU(Graphics Processing Unit)などから構成されており、追尾処理部4により更新された追尾航跡をディスプレイに表示する処理を実施する。なお、表示処理部5は追尾航跡表示手段を構成している。
【0014】
図1では、目標追尾装置の構成要素であるセンサ1、プロット類別処理部2、プロット使用判定処理部3、追尾処理部4及び表示処理部5のそれぞれが専用のハードウェアで構成されている例を示しているが、目標追尾装置の全部又は一部がコンピュータで構成されていてもよい。この場合、センサ1、プロット類別処理部2、プロット使用判定処理部3、追尾処理部4及び表示処理部5の処理内容の全部又は一部が記述されているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
図2はこの発明の実施の形態1による目標追尾装置の処理内容を示すフローチャートである。
【0015】
次に動作について説明する。
まず、センサ1は、同一の目標から複数の検出位置が得られるセンシングを実施して、その目標が存在している複数の分解能セル(検出セル)を検出する(ステップST1)。
図3はセンサ1による分解能セルの検出例を示す説明図である。
図3の例では、2つの目標T1,T2(目標T1は小目標、目標T2は大目標)の検出位置を得るセンシングが実施されており、この検出位置は、センサ1の分解能により決まるものである。
【0016】
センサ1は、例えば、目標T1,T2が存在している複数の分解能セルを検出すると、公知のクラスタリング手法に基づき、複数の分解能セルに対するクラスタリングを実施することで、1以上の分解能セルが纏まっているプロット(複数の分解能セルのクラスタリング結果)を特定する(ステップST2)。
図3の例では、5個のプロット(1個の分解能セルからなる番号1のプロット、3個の分解能セルからなる番号2のプロット、1個の分解能セルからなる番号3のプロット、11個の分解能セルからなる番号4のプロット、5個の分解能セルからなる番号5のプロット)が特定されている。
【0017】
センサ1は、複数の分解能セルのクラスタリング結果であるプロットを特定すると、そのプロットの重心位置を特定する(ステップST3)。
図3の例では、プロットを識別する番号を囲んでいる○の位置が、当該プロットの重心位置である。
なお、プロットの重心位置を特定する際、例えば、目標の形状等を考慮して、各分解能セルに重み付けを行った上で、プロットの重心位置を算出するようにしてもよい。
また、センサ1は、各プロットを構成している分解能セルのセル数を特定する(ステップST4)。
図3の例では、番号1のプロットはセル数が“1”、番号2のプロットはセル数が“3”、番号3のプロットはセル数が“1”、番号4のプロットはセル数が“11”、番号5のプロットはセル数が“5”である。
【0018】
なお、プロットは、センサ1によるセンシング時刻、位置観測値及びセル数観測値の成分を有している。
位置観測値はプロットの重心位置であり、その重心位置は位置情報と観測誤差共分散行列で表される。
セル数観測値はプロットを構成している分解能セルのセル数であり、セル数観測値は目標全体のサイズ又は目標の部分的なサイズを表す指標となる。
【0019】
プロット類別処理部2は、センサ1により特定されたプロットの重心位置と、当該プロットを構成している分解能セルのセル数と、センサ1によりセンシングが実施された時刻とを用いて、そのプロットに対する類別処理を実施して、そのプロットの類別結果を出力する(ステップST5)。
以下、プロット類別処理部2による類別処理の具体的内容を説明する。
図4はプロット類別処理部2による類別処理を示すフローチャートである。
【0020】
まず、プロット類別処理部2は、プロットのサイズを判定するサイズ判定処理を実施する(図4のステップST21)。
サイズ判定処理は、センサ1により特定されたプロットを構成している分解能セルのセル数がλである場合、セル数λの大小によって、プロットを“大信号”と“小信号”に分類する処理である。
即ち、プロット類別処理部2は、センサ1により特定されたプロットを構成している分解能セルのセル数λが、予め設定されている閾値λth以上であれば、当該プロットは“大信号”であると判定し(ステップST22)、当該プロットを大信号に分類する(ステップST23)。
λ≧λth → 大信号
一方、センサ1により特定されたプロットを構成している分解能セルのセル数λが、予め設定されている閾値λth未満であれば、当該プロットは“小信号”であると判定し(ステップST22)、当該プロットを小信号に分類する(ステップST24)。
λ<λth → 小信号
【0021】
ここでは、プロット類別処理部2が予め設定されている1つの閾値λthを用いて、プロットを“大信号”と“小信号”の2つに分類する例を示しているが、2つの閾値λthを用いて、プロットを“大信号”と“中信号”と“小信号”の3つに分類するようにしてもよい。
また、N−1個の閾値λthを用いて、プロットをN個に分類するようにしてもよい。
【0022】
図5はプロット類別処理部2によるサイズ判定処理例を示す説明図である。
図5では、目標の観測状況とセル数の観測値に関するヒストグラムを表している。
図5の例では、番号2,4,5のプロットは、セル数λが閾値λth以上であるため、大信号に分類される。
一方、番号1,3のプロットは、セル数λが閾値λth未満であるため、小信号に分類される。
【0023】
次に、プロット類別処理部2は、プロットの移動の有無を判定する移動有無判定処理(ピーク判定処理)を実施する(ステップST25、または、ST26)。
図6はプロット類別処理部2による移動有無判定処理(ピーク判定処理)を示す説明図である。
プロット類別処理部2は、ピーク判定処理を実施する際、最初に、図6の左側に示すように、xy投票領域(事前に決められた領域を所定の間隔で、x軸方向とy軸方向に分割したものである)を設ける。以下、領域を分割している各セルを投票セルと称する。
【0024】
プロット類別処理部2は、センサ1がプロットを特定する毎に、当該プロットの位置観測値が、xy投票領域中の、どの投票セルと対応しているかを特定する。
プロット類別処理部2は、プロットの位置観測値と対応している投票セルを特定すると、当該投票セルのプロット累積数を“1”だけインクリメントする(初期状態では、各投票セルのプロット累積数は“0”である)。
これにより、複数のスキャンに亘って、投票セルのプロット累積数を加算していくことで、プロットがxy投票領域の中の同じ投票セルに存在する場合、xy投票領域内に、2次元ヒストグラムのピークが現れる。この2次元ヒストグラムのピークは、時系列に加算しているプロット累積数に相当する。
図6の左側に示している2次元ヒストグラムを、投票セル毎にプロット累積数としている1次元ヒストグラムが図6の右側の図である。
【0025】
プロット類別処理部2は、複数のスキャンに亘って、投票セルのプロット累積数を加算することで、2次元ヒストグラムのピークを特定すると、2次元ヒストグラムのピークであるプロット累積数がLである場合、プロット累積数Lの大小によって、当該プロットを“静止信号”あるいは“移動信号”に分類する。
即ち、プロット類別処理部2は、プロット累積数Lが、予め設定されている閾値Lth以上であれば、当該プロットは“静止信号”であると判定する(ステップST27、または、ST28)。
L≧Lth → 静止信号
一方、プロット累積数Lが、予め設定されている閾値Lth未満であれば、当該プロットは“移動信号”であると判定する(ステップST27、または、ST28)。
L<Lth → 移動信号
【0026】
プロット類別処理部2は、当該プロットが“移動信号”であると判定すると、先のサイズ判定処理において、当該プロットを“大信号”に分類していれば、当該プロットを“移動大目標”に類別する(ステップST29)。
先のサイズ判定処理において、当該プロットを“小信号”に分類していれば、当該プロットを“移動小目標”に類別する(ステップST30)。
【0027】
ここでは、プロット類別処理部2が、プロット累積数Lと閾値Lthを比較することで、プロットを“静止信号”あるいは“移動信号”に分類するものを示したが、予め、投票領域における全投票セルの2次元ヒストグラムのピークを平均化した値を算出し、各投票セルのピークから、そのピークを平均化した値を差し引いた値を所定の閾値と比較することで、プロットを“静止信号”あるいは“移動信号”に分類するようにしてもよい。
なお、ピークを平均化した値としては、ピークを加重平均した値など、各種の平均化方式が考えられる。
【0028】
プロット類別処理部2は、当該プロットが“静止信号”であると判定すると、当該プロットが目標であるのか、クラッタであるのかを判定する目標/クラッタ判定処理(時間判定処理)を実施する(ステップST31、または、ST32)。
図7はプロット類別処理部2による目標/クラッタ判定処理(時間判定処理)を示す説明図である。
目標/クラッタ判定処理(時間判定処理)では、当該プロットが“クラッタ”であるのか、“クラッタではない”のかを判定する処理である。“クラッタではない”には、当該プロットが“目標”である場合の他に、クラッタ以外の他の目標である可能性がある場合を含んでいる。
【0029】
図7(a)は“クラッタ”と判定される場合の一例を示しており、図7(b)は“クラッタではない”と判定される場合の一例を示している。
“クラッタではない”の判定結果には、判定の延期を表す判定結果である“Pending”を含む場合がある。
図7の横軸は、各時刻におけるプロットの入力状況を表しており、各時刻上のバーは、プロットが入力されたこと(プロットが存在すること)を示している。
また、点線枠は、時間ウインドウを表しており,図7では、現時刻の時間ウインドウと、前時刻の時間ウインドウをそれぞれ示している。時間ウインドウは、時刻毎にシフトし、時間判定は、以下(1),(2)によって判定する。
【0030】
時間判定(1)
時間T内にN回中M回以上、プロットが時間ウインドウ内に存在する場合
→ “クラッタ”と判定
時間判定(2)
時間T内にN回中M回以上、プロットが時間ウインドウ内に存在しない場合
→ “クラッタではない”と判定
【0031】
図7(a)の例では、時刻1,2,3,4でプロットが入力されているため、バーが各時刻に立っている。
例えば、N=4,M=3として、時間TをプロットのN回(例えば、N=4)の入力間隔より大きく設定すると、4回中3回以上、プロットが時間ウインドウ内に存在するので,図7(a)の例では、現時刻(時刻4)のプロットが“クラッタ”と判定される。
図7(b)の例では、時刻1,4でプロットが入力されていて、時刻2,3ではプロットが入力されていないので、バーが時刻1,4に立っている。
例えば、N=4,M=3として、時間TをプロットのN回(例えば、N=4)の入力間隔より大きく設定すると、4回中3回以上、プロットが時間ウインドウ内に存在していないため、図7(b)の例では、現時刻(時刻4)のプロットが“クラッタではない”と判定される。
【0032】
なお、時間判定の意味としては、例えば、時間Tを1時間に設定すると、時間判定(1)の場合、1時間以内で、プロットが継続して出ていれば、“クラッタ”であると判定する。
時間判定(2)の場合は、1時間以内で、プロットが継続して出ていなければ、“クラッタではない”と判定、つまり、この場合は、判定対象のプロットが“クラッタ”以外の目標または他の信号の可能性があるということである。
【0033】
プロット類別処理部2は、上記のようにして、目標/クラッタ判定処理(時間判定処理)を実施して、当該プロットが“クラッタ”であると判定すると(ステップST33、または、ST34)、先のサイズ判定処理において、当該プロットを“大信号”に分類していれば、当該プロットを“静止大クラッタ”に類別する(ステップST35)。
一方、先のサイズ判定処理において、当該プロットを“小信号”に分類していれば、当該プロットを“静止小クラッタ”に類別する(ステップST36)。
また、プロット類別処理部2は、目標/クラッタ判定処理(時間判定処理)を実施して、当該プロットが“クラッタではない”と判定すると(ステップST33)、先のサイズ判定処理において、当該プロットを“大信号”に分類していれば、当該プロットを“静止大目標”に類別する(ステップST37)。
【0034】
プロット類別処理部2は、目標/クラッタ判定処理(時間判定処理)を実施して、当該プロットが“クラッタではない”と判定し(ステップST34)、先のサイズ判定処理において、当該プロットを“小信号”に分類していれば、当該プロットが“クラッタ”以外の目標または他の信号の可能性があるため、当該プロットが別の目標であるのか、静止中の目標の破片であるのかを判定する別目標/破片判定処理(距離判定処理)を実施する(ステップST38)。
図8はプロット類別処理部2による別目標/破片判定処理(距離判定処理)を示す説明図である。
図8の左側は追尾航跡とプロットの位置関係を示し、右側は追尾航跡とプロットの距離をヒストグラムに表したものを示している。
【0035】
距離判定処理は、後述する追尾処理部4により予測された現時刻の航跡予測値と、センサ1により特定されたプロットの重心位置(プロットの現在位置)との距離がDである場合、距離Dの大小によって、プロットを“別目標”と“unknown(静止大目標の破片等)”に分類する処理である。
即ち、プロット類別処理部2は、距離Dが予め設定されている閾値Dth以上であれば、当該プロットは“別目標”であると判定し(ステップST39)、当該プロットを静止小目標(追尾航跡の目標とは別の目標)に類別する(ステップST40)。
D≧Dth → 別目標
一方、距離Dが予め設定されている閾値Dth未満であれば、当該プロットは追尾航跡の目標の一部である可能性(例えば、静止している大目標から破片等であって、静止している大目標からの分裂したプロットの可能性)があるため、当該プロットは“unknown”であると判定し(ステップST39)、当該プロットを“unknown”に類別する(ステップST41)。
D<Dth → unknown
【0036】
図9はプロットの類別結果を示す説明図であり、図10はプロットの類別例を表すベン図である。
プロット類別処理部2は、プロットの類別処理を実施すると、その類別結果を当該プロットに付与し、類別結果付のプロット(以下、「類別プロット」と称する)を図示せぬ類別プロットデータベースに蓄積する。
プロット類別処理部2は、オペレータの指示の下、類別プロットデータベースに蓄積されている類別プロットを画面に表示する機能を備えており、オペレータが、例えば、キーボードやマウスやタッチパネルなどのマンマシンインタフェース(入力装置)を操作して、その類別プロットの変更命令を入力すると、その変更命令にしたがって、当該類別プロットの変更を受け付けるようにする。これにより、プロットの類別結果に間違いがある等の場合には、オペレータがプロットの類別結果を適宜訂正することができる。
また、プロット類別処理部2は、その類別プロットをプロット使用判定処理部3に出力する。
【0037】
プロット使用判定処理部3は、プロット類別処理部2から類別プロットを受け、追尾処理部4により生成された目標の追尾航跡を受けると、その類別プロットと目標の追尾航跡の航跡速度を参照して、センサ1により特定されたプロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用するか否かを判定する(図2のステップST6)。
以下、プロット使用判定処理部3による判定処理を具体的に説明する。
【0038】
プロット使用判定処理部3は、センサ1により特定されたプロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用するか否かを判定する際、目標の追尾航跡の航跡速度を参照するが、追尾処理部4により生成される目標の追尾航跡の航跡速度は、プロット入力や異常なプロットの入力によっては誤差が大きい。
このため、追尾処理部4により生成される目標の追尾航跡の航跡速度をそのまま参照すると、使用判定精度が劣化することがあるため、使用判定処理を実施する前に、下記の式(1)に示すように、その追尾航跡の航跡速度を平滑化し、平滑化後の航跡速度である平滑化航跡速度を算出する。
Vps(k)=Vps(k−1)+α[Vpz(k)−Vps(k−1)] (1)
式(1)において、
Vpz(k):今回の航跡速度
Vps(k−1):前回の平滑化航跡速度
Vps(k):今回の平滑化航跡速度
α:平滑化係数(0<アルファ<1)
【0039】
なお、追尾航跡の航跡速度には、航跡平滑値と航跡予測値の2種類があるが、航跡予測値の速度(航跡予測速度)を用いるか、航跡平滑値(航跡平滑速度)を用いるかは、事前に決めておくものとする。
ここでは、式(1)によって、追尾航跡の航跡速度を平滑化しているが、他の移動平均等の平滑化手法によって、平滑化航跡速度を算出することも可能である。
【0040】
プロット使用判定処理部3は、追尾航跡の航跡速度を平滑化し、平滑化後の航跡速度である平滑化航跡速度Vps(k)を算出すると、その平滑化航跡速度Vps(k)とプロット類別処理部2から出力された類別プロットを参照して、センサ1により特定されたプロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用するか否かを判定する。
即ち、プロット使用判定処理部3は、プロット類別処理部2から出力された類別プロットが“静止大目標”である場合、その平滑化航跡速度Vps(k)が所定の閾値Vth未満であれば、当該類別プロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用するものと判定する(図11を参照)。
Vps(k)<Vth → 類別プロットの重心位置を使用する
一方、その平滑化航跡速度Vps(k)が所定の閾値Vth以上であれば、当該類別プロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用しないものと判定する。
Vps(k)≧Vth → 類別プロットの重心位置を使用しない
【0041】
また、プロット使用判定処理部3は、プロット類別処理部2から出力された類別プロットが“移動大目標”又は“移動小目標”である場合、その平滑化航跡速度Vps(k)が所定の閾値Vth以上であれば、当該類別プロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用するものと判定する。
Vps(k)≧Vth → 類別プロットの重心位置を使用する
一方、その平滑化航跡速度Vps(k)が所定の閾値Vth未満であれば、当該類別プロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用しないものと判定する。
Vps(k)<Vth → 類別プロットの重心位置を使用しない
【0042】
プロット使用判定処理部3は、プロット類別処理部2から出力された類別プロットが“静止大クラッタ”、“静止小クラッタ”、“静止小目標(別目標)” 又は“unknown”である場合、当該類別プロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用しないものと判定する。
ただし、その平滑化航跡速度Vps(k)が所定の閾値Vth未満であれば、とりあえず、これらの類別プロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用するものと判定し、その結果、追尾航跡の航跡精度が劣化した場合に、これらの類別プロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用しないようにしてもよい。
【0043】
なお、プロット使用判定処理部3は、類別プロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用するか否かを判定すると、その判定結果を示すフラグを類別プロットに付加して追尾処理部4に出力する。
類別プロットの重心位置を更新処理に使用する → フラグ=1
類別プロットの重心位置を更新処理に使用しない → フラグ=0
【0044】
追尾処理部4は、プロット使用判定処理部3からフラグ付きの類別プロットを受けると、その類別プロットに付加されているフラグが“1”であれば、その類別プロットの重心位置を用いて追尾航跡を更新する(ステップST7)。
即ち、追尾処理部4は、センサ1により特定されたプロットが“移動大目標”又は“移動小目標”に類別され、追尾航跡の航跡速度が閾値Vth以上であれば、当該プロットは現在移動中の目標の可能性が高いので、そのプロットの重心位置を用いて追尾航跡を更新する。
また、追尾処理部4は、センサ1により特定されたプロットが“静止大目標”に類別され、追尾航跡の航跡速度が閾値Vth未満であれば、当該プロットは現在静止中又はクリープ中の目標の可能性が高いので、そのプロットの重心位置を用いて追尾航跡を更新する。
【0045】
図12は類別プロットの重心位置が追尾構成の更新に使用される例を示す説明図であり、図12の例では、前回の予測処理で追尾処理部4により求められた現時刻の航跡予測値(図中、□の点)と、類別プロットの重心位置(図中、○の点)との重心位置が現時刻の航跡平滑値(図中、△の点)とされ、現時刻の航跡平滑値から次時刻の航跡予測値が予測されている。
【0046】
追尾処理部4は、その類別プロットに付加されているフラグが“0”であれば、その類別プロットの重心位置を用いずに、追尾航跡を更新する(ステップST8)。
即ち、追尾処理部4は、センサ1により特定されたプロットが“移動大目標”又は“移動小目標”に類別され、追尾航跡の航跡速度が閾値Vth未満である場合、センサ1により特定されたプロットが“静止大目標”に類別され、追尾航跡の航跡速度が閾値Vth以上である場合、あるいは、センサ1により特定されたプロットが“静止大クラッタ”、“静止小クラッタ”、“静止小目標(別目標)” 又は“unknown”に類別された場合、当該プロットは追尾中の目標である可能性が低いので、そのプロットの重心位置を用いずに、追尾航跡を更新する。
なお、類別プロットの重心位置を用いずに、追尾航跡を更新する場合、前回の予測処理で求めた現時刻の航跡予測値(図中、□の点)を現時刻の航跡平滑値(図中、△の点)とし、現時刻の航跡平滑値から次時刻の航跡予測値を予測する。
現時刻の航跡平滑値から次時刻の航跡予測値を予測する処理自体は公知の技術であるため詳細な説明を省略する。
【0047】
追尾処理部4は、追尾航跡を更新すると、その追尾航跡をプロット類別処理部2、プロット使用判定処理部3及び表示処理部5に出力する。
追尾航跡には、航跡予測値と航跡平滑値が含まれており、その航跡予測値及び航跡予測値は、位置と速度からなる状態ベクトルと、その誤差共分散行列を持っている。
表示処理部5は、追尾処理部4から更新後の追尾航跡を受けると、その追尾航跡をディスプレイに表示する(ステップST9)。
【0048】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、同一の目標から複数の検出位置が得られるセンシングを実施して、目標が存在している複数の分解能セルを検出する処理と、複数の分解能セルに対するクラスタリングを実施して、1以上の分解能セルが纏まっているプロットを特定し、そのプロットの重心位置及び当該プロットを構成している分解能セルのセル数を特定する処理とを行うセンサ1と、センサ1により特定されたプロットの重心位置及びセル数とセンサ1によりセンシングが実施された時刻を用いて、そのプロットに対する類別処理を実施し、そのプロットの類別結果を出力するプロット類別処理部2と、プロット類別処理部2から出力されたプロットの類別結果と目標の追尾航跡の航跡速度を参照して、センサ1により特定されたプロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用するか否かを判定するプロット使用判定処理部3とを設け、追尾処理部4が、プロット使用判定処理部3によりプロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用する旨の判定が行われた場合、そのプロットの重心位置を用いて追尾航跡を更新し、使用しない旨の判定が行われた場合、そのプロットの重心位置を用いずに追尾航跡を更新するように構成したので、目標の誤追尾を防止して、追尾精度を高めることができる効果を奏する。
【0049】
即ち、この実施の形態1では、追尾処理の前処理で、プロットのサイズ状況や、プロットの検出状況や、プロットと想定する目標の時間存在状況や、目標をレーダで観測する際の高分解能に起因する同一目標からの検出状況など、個々の処理のみではうまくいかないプロットの類別を、状況に応じて参照してプロットの類別精度を高め、プロットが目標に起因するものなのか、クラッタに起因するものなのか、あるいは、静止目標なのか、移動目標なのか、また、サイズの大きい移動目標なのか、サイズの小さい移動目標なのか、サイズの大きい静止目標なのか、サイズの小さい静止目標なのか、サイズの大きいクラッタなのか、サイズの小さいクラッタなのか、または、プロットの類別がわからないなどの詳細なプロットの類別情報をオペレータに提供することができる。
そして、その詳細な類別情報を持つプロットを用いて、低速で移動する目標や、高速で移動する目標などの追尾状況を、追尾処理の前処理にフィードバックして、追尾処理の前処理で、過去の追尾情報等を活用して、プロットを類別し、低速移動目標や高速移動目標に対し、不要なプロット(観測値)は棄却して、必要なものを使用することにより、追尾精度を高めることができる。
【0050】
実施の形態2.
図13はこの発明の実施の形態2による目標追尾装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
距離判定制御処理部6はプロット類別処理部7における別目標/破片判定処理(距離判定処理)の処理方式を制御する処理を実施する。
プロット類別処理部7は図1のプロット類別処理部2と同様の類別処理を実施するが、距離判定制御処理部6の制御の下、別目標/破片判定処理の処理方式を変更する。
即ち、プロット類別処理部7は、図1のプロット類別処理部2と同様に、目標の追尾航跡からプロットまでの距離Dが閾値Dth以上であれば、そのプロットが別の目標であると判定し、目標の追尾航跡からプロットまでの距離Dが閾値未満Dthであれば、そのプロットが静止中の目標の破片であると判定する処理(以下、「第1の別目標/破片判定処理方式」と称する)を実施するが、距離判定制御処理部6から処理方式の変更指示を受けると、センサ1により特定された1以上のプロットの中で、最もサイズが大きいプロットから他のプロットまでの距離D1が閾値D1th以上であれば、他のプロットが別の目標であると判定し、最もサイズが大きいプロットから他のプロットまでの距離D1が閾値D1th未満であれば、他のプロットが静止中の目標の破片であると判定する処理(以下、「第2の別目標/破片判定処理方式」と称する)を実施する。
なお、距離判定制御処理部6及びプロット類別処理部7から類別処理手段が構成されている。
【0051】
次に動作について説明する。
プロット類別処理部7は、距離判定制御処理部6から別目標/破片判定処理(距離判定処理)の処理方式を第1の別目標/破片判定処理方式とする旨の指示を受けているときは、図1のプロット類別処理部2と同様の方式で、プロットが別の目標であるのか、プロットが静止中の目標の破片であるのかを判定する。
プロット類別処理部7は、距離判定制御処理部6から別目標/破片判定処理(距離判定処理)の処理方式を第2の別目標/破片判定処理方式に変更する旨の指示を受けると、センサ1により特定された1以上のプロットの中で、最もサイズが大きいプロットを特定する。
図14は第2の別目標/破片判定処理方式での別目標/破片判定処理(距離判定処理)を示す説明図である。
図14の左側は各プロットの位置関係を示し、右側は最もサイズが大きいプロットから他のプロットまでの距離をヒストグラムに表したものを示している。
【0052】
プロット類別処理部7は、最もサイズが大きいプロットを特定すると(図14の例では、番号3のプロット)、最もサイズが大きいプロットから他のプロットまでの距離D1を求め、その距離D1が閾値D1th以上であれば、他のプロットは“別目標”であると判定し、他のプロットを静止小目標(追尾航跡の目標とは別の目標)に類別する。
D1≧D1th → 別目標
一方、最もサイズが大きいプロットから他のプロットまでの距離D1が閾値D1th未満であれば、他のプロットは追尾航跡の目標の一部である可能性(例えば、静止している大目標から破片等であって、静止している大目標からの分裂したプロットの可能性)があるため、他のプロットは“unknown”であると判定し、他のプロットを“unknown”に類別する。
D1<D1th → unknown
図14の例では、番号1のプロットは“静止小目標”に類別され、番号2,4のプロットは“unknown”に類別される。
【0053】
以上で明らかなように、この実施の形態2によれば、センサ1により特定された1以上のプロットの中で、最もサイズが大きいプロットから他のプロットまでの距離D1が閾値D1th以上であれば、他のプロットが別の目標であると判定し、最もサイズが大きいプロットから他のプロットまでの距離D1が閾値D1th未満であれば、他のプロットが静止中の目標の破片であると判定するように構成したので、追尾航跡の誤差が大きく、第1の別目標/破片判定処理方式では、精度よく別目標/破片判定処理を行えない場合でも、精度よく別目標/破片判定処理を行うことができる効果を奏する。
【0054】
実施の形態3.
図15はこの発明の実施の形態3による目標追尾装置を示す構成図であり、図において、図13と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
プロット類別処理部8は図13のプロット類別処理部7と同様に、距離判定制御処理部6の制御の下で、第1の別目標/破片判定処理方式又は第2の別目標/破片判定処理方式を実施するが、距離と比較する閾値が、目標の形状に対応する値に設定されている点で相違している。
距離と比較する閾値は、距離判定制御処理部6が設定する。
【0055】
上記実施の形態2では、第1の目標/破片判定処理方式を実施する際には、閾値Dthとして、追尾航跡における現時刻の航跡予測値を中心とする円の半径に設定され(図8を参照)、第2の目標/破片判定処理方式を実施する際には、閾値D1thとして、最もサイズが大きいプロットの重心位置を中心とする円の半径が設定されている(図14を参照)。
この実施の形態3では、閾値Dth,D1thを、実際の目標の形状(例えば、目標が航空機であれば、航空機の形状)に対応する値に設定している(図16を参照)。
【0056】
追尾航跡からの等距離円を考えると、閾値の大きさによっては、番号5のプロットは、番号2,3,4のプロットと同一の目標からの反射点とみなされるが、図16の左側に示すように、閾値Dth,D1thが実際の目標の形状に合わせて設定されることにより、番号5のプロットは、番号2,3,4のプロットに係る目標と区別して、別の目標であると適正に判定することができる。
【0057】
以上で明らかなように、この実施の形態3によれば、距離と比較する閾値が、目標の形状に対応する値に設定されているように構成したので、別目標/破片判定処理の判定精度を高めることができる効果を奏する。
【0058】
実施の形態4.
図17はこの発明の実施の形態4による目標追尾装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
図17は、プロット使用判定制御処理部9が実施の形態1の目標追尾装置に適用されている例を示しているが、実施の形態2,3の目標追尾装置に適用されていてもよい。
プロット使用判定制御処理部9はプロット類別処理部2における類別処理が所定時間を経過しても終了しない場合、あるいは、オペレータからプロット類別処理の停止要求が入力された場合、プロット類別処理部2及びプロット使用判定処理部3の処理を停止させて、センサ1から得られるプロットが、プロット類別処理部2及びプロット使用判定処理部3を介して、追尾処理部4に与えられるように制御する。
【0059】
上記実施の形態1〜3では、プロット類別処理部2がセンサ1により特定されたプロットに対する類別処理を実施して、そのプロットの類別結果を出力し、プロット使用判定処理部3がプロットの類別結果等を参照して、センサ1により特定されたプロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用するか否かを判定するものを示したが、例えば、パラメータの設定違いの影響で、プロットの類別処理ができない場合や、プロット類別処理の演算時間が事前に決めた閾値以上かかる場合がある。
このような場合、追尾航跡を継続して出力することができなくなる可能性がある。
【0060】
そこで、この実施の形態4では、プロット類別処理部2における類別処理が所定時間を経過しても終了しない場合、あるいは、オペレータからプロット類別処理の停止要求が入力された場合、プロット使用判定制御処理部9が、プロット類別処理部2及びプロット使用判定処理部3の処理を停止させて、センサ1から得られるプロットが、プロット類別処理部2及びプロット使用判定処理部3を介して、追尾処理部4に与えられるように制御する(プロット類別処理部2及びプロット使用判定処理部3を介さずに、センサ1から直接的に追尾処理部4に与えられるようにしてもよい)。
この場合、追尾処理部4は、プロット使用判定処理部3から出力される使用判定結果を待たずに、センサ1から得られるプロットの重心位置を用いて、目標の追尾航跡を更新することができる。
【0061】
以上で明らかなように、この実施の形態4によれば、プロット類別処理部2における類別処理が所定時間を経過しても終了しない場合、あるいは、オペレータからプロット類別処理の停止要求が入力された場合、プロット使用判定制御処理部9が、プロット類別処理部2及びプロット使用判定処理部3の処理を停止させて、センサ1から得られるプロットが、プロット類別処理部2及びプロット使用判定処理部3を介して、追尾処理部4に与えられるように制御しているので、例えば、パラメータの設定違いの影響で、プロットの類別処理ができない場合や、プロット類別処理の演算時間が事前に決めた閾値以上かかる状況下でも、リアルタイムの追尾航跡を継続することができる効果を奏する。
【0062】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 センサ(分解能セル検出手段、プロット特定手段)、2 プロット類別処理部(類別処理手段、変更受付手段)、3 プロット使用判定処理部(使用判定手段)、4 追尾処理部(追尾航跡更新手段)、5 表示処理部(追尾航跡表示手段)、6 距離判定制御処理部(類別処理手段、変更受付手段)、7,8 プロット類別処理部(類別処理手段)、9 プロット使用判定制御処理部(追尾航跡更新手段)。
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、航空機などの目標を追尾する目標追尾装置及び目標追尾方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
目標の大きさに比べて、センサの分解能が高く、目標が分解能セル毎の画像、あるいは、複数の点として観測される場合、同一目標から観測される複数の観測値のクラスタリングを実施し、そのクラスタリング結果であるクラスタの重心位置を用いて、目標の追尾を行う目標追尾装置が以下の特許文献1に開示されている。
ただし、この目標追尾装置では、当該クラスタが移動体であるのか、静止物であるのかを判別する処理は実施していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4116898号(段落番号[0007]、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の目標追尾装置は以上のように構成されているので、例えば、空港や飛行場などで、移動中の飛行機を目標として追尾しているときに、滑走路等に存在する静止物(例えば、駐機中の航空機、同じ場所から固定的に反射する固定のクラッタなど)を目標と区別することができず、その目標と誤って静止物を追尾してしまうことがあるなどの課題があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、目標の誤追尾を防止して、追尾精度を高めることができる目標追尾装置及び目標追尾方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る目標追尾装置は、同一の目標から複数の検出位置が得られるセンシングを実施して、目標が存在している複数の分解能セルを検出する分解能セル検出手段と、分解能セル検出手段により検出された複数の分解能セルに対するクラスタリングを実施して、1以上の分解能セルが纏まっているプロットを特定し、そのプロットの重心位置及び当該プロットを構成している分解能セルのセル数を特定するプロット特定手段と、プロット特定手段により特定されたプロットの重心位置及びセル数と分解能セル検出手段によりセンシングが実施された時刻を用いて、そのプロットに対する類別処理を実施し、そのプロットの類別結果を出力する類別処理手段と、類別処理手段から出力されたプロットの類別結果と目標の追尾航跡の航跡速度を参照して、プロット特定手段により特定されたプロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用するか否かを判定する使用判定手段とを設け、追尾航跡更新手段が、使用判定手段によりプロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用する旨の判定が行われた場合、そのプロットの重心位置を用いて追尾航跡を更新し、使用しない旨の判定が行われた場合、そのプロットの重心位置を用いずに上記追尾航跡を更新し、追尾航跡表示手段が追尾航跡更新手段により更新された追尾航跡を表示するようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、同一の目標から複数の検出位置が得られるセンシングを実施して、目標が存在している複数の分解能セルを検出する分解能セル検出手段と、分解能セル検出手段により検出された複数の分解能セルに対するクラスタリングを実施して、1以上の分解能セルが纏まっているプロットを特定し、そのプロットの重心位置及び当該プロットを構成している分解能セルのセル数を特定するプロット特定手段と、プロット特定手段により特定されたプロットの重心位置及びセル数と分解能セル検出手段によりセンシングが実施された時刻を用いて、そのプロットに対する類別処理を実施し、そのプロットの類別結果を出力する類別処理手段と、類別処理手段から出力されたプロットの類別結果と目標の追尾航跡の航跡速度を参照して、プロット特定手段により特定されたプロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用するか否かを判定する使用判定手段とを設け、追尾航跡更新手段が、使用判定手段によりプロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用する旨の判定が行われた場合、そのプロットの重心位置を用いて追尾航跡を更新し、使用しない旨の判定が行われた場合、そのプロットの重心位置を用いずに上記追尾航跡を更新し、追尾航跡表示手段が追尾航跡更新手段により更新された追尾航跡を表示するように構成したので、目標の誤追尾を防止して、追尾精度を高めることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1による目標追尾装置を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による目標追尾装置の処理内容を示すフローチャートである。
【図3】センサ1による分解能セルの検出例を示す説明図である。
【図4】プロット類別処理部2による類別処理を示すフローチャートである。
【図5】プロット類別処理部2によるサイズ判定処理例を示す説明図である。
【図6】プロット類別処理部2による移動有無判定処理(ピーク判定処理)を示す説明図である。
【図7】プロット類別処理部2による目標/クラッタ判定処理(時間判定処理)を示す説明図である。
【図8】プロット類別処理部2による別目標/破片判定処理(距離判定処理)を示す説明図である。
【図9】プロットの類別結果を示す説明図である。
【図10】プロットの類別例を表すベン図である。
【図11】プロット使用判定処理部3による使用判定処理を示す説明図である。
【図12】類別プロットの重心位置が追尾構成の更新に使用される例を示す説明図である。
【図13】この発明の実施の形態2による目標追尾装置を示す構成図である。
【図14】第2の別目標/破片判定処理方式での別目標/破片判定処理(距離判定処理)を示す説明図である。
【図15】この発明の実施の形態3による目標追尾装置を示す構成図である。
【図16】距離と比較する閾値が、目標の形状に対応する値に設定されている例を示す説明図である。
【図17】この発明の実施の形態4による目標追尾装置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による目標追尾装置を示す構成図である。
図1において、センサ1は例えばレーダ等の電波センサや、赤外線センサなどから構成されており、同一の目標から複数の検出位置が得られるセンシングを実施して、その目標が存在している複数の分解能セルを検出する処理を実施する。
また、センサ1は複数の分解能セルに対するクラスタリングを実施して、1以上の分解能セルが纏まっているプロットを特定し、そのプロットの重心位置及び当該プロットを構成している分解能セルのセル数を特定する処理を実施する。
なお、センサ1は分解能セル検出手段及びプロット特定手段を構成している。
【0010】
プロット類別処理部2は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、センサ1により特定されたプロットの重心位置と、当該プロットを構成している分解能セルのセル数と、センサ1によりセンシングが実施された時刻とを用いて、そのプロットに対する類別処理を実施し、そのプロットの類別結果を出力する処理を実施する。なお、プロット類別処理部2は類別処理手段を構成している。
【0011】
プロット使用判定処理部3は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、プロット類別処理部2から出力されたプロットの類別結果と目標の追尾航跡の航跡速度を参照して、センサ1により特定されたプロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用するか否かを判定する処理を実施する。なお、プロット使用判定処理部3は使用判定手段を構成している。
【0012】
追尾処理部4は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、プロット使用判定処理部3によりプロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用する旨の判定が行われた場合、センサ1により特定されたプロットの重心位置を用いて追尾航跡を更新し、使用しない旨の判定が行われた場合、そのプロットの重心位置を用いずに追尾航跡を更新する処理を実施する。なお、追尾処理部4は追尾航跡更新手段を構成している。
【0013】
表示処理部5は例えばGPU(Graphics Processing Unit)などから構成されており、追尾処理部4により更新された追尾航跡をディスプレイに表示する処理を実施する。なお、表示処理部5は追尾航跡表示手段を構成している。
【0014】
図1では、目標追尾装置の構成要素であるセンサ1、プロット類別処理部2、プロット使用判定処理部3、追尾処理部4及び表示処理部5のそれぞれが専用のハードウェアで構成されている例を示しているが、目標追尾装置の全部又は一部がコンピュータで構成されていてもよい。この場合、センサ1、プロット類別処理部2、プロット使用判定処理部3、追尾処理部4及び表示処理部5の処理内容の全部又は一部が記述されているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
図2はこの発明の実施の形態1による目標追尾装置の処理内容を示すフローチャートである。
【0015】
次に動作について説明する。
まず、センサ1は、同一の目標から複数の検出位置が得られるセンシングを実施して、その目標が存在している複数の分解能セル(検出セル)を検出する(ステップST1)。
図3はセンサ1による分解能セルの検出例を示す説明図である。
図3の例では、2つの目標T1,T2(目標T1は小目標、目標T2は大目標)の検出位置を得るセンシングが実施されており、この検出位置は、センサ1の分解能により決まるものである。
【0016】
センサ1は、例えば、目標T1,T2が存在している複数の分解能セルを検出すると、公知のクラスタリング手法に基づき、複数の分解能セルに対するクラスタリングを実施することで、1以上の分解能セルが纏まっているプロット(複数の分解能セルのクラスタリング結果)を特定する(ステップST2)。
図3の例では、5個のプロット(1個の分解能セルからなる番号1のプロット、3個の分解能セルからなる番号2のプロット、1個の分解能セルからなる番号3のプロット、11個の分解能セルからなる番号4のプロット、5個の分解能セルからなる番号5のプロット)が特定されている。
【0017】
センサ1は、複数の分解能セルのクラスタリング結果であるプロットを特定すると、そのプロットの重心位置を特定する(ステップST3)。
図3の例では、プロットを識別する番号を囲んでいる○の位置が、当該プロットの重心位置である。
なお、プロットの重心位置を特定する際、例えば、目標の形状等を考慮して、各分解能セルに重み付けを行った上で、プロットの重心位置を算出するようにしてもよい。
また、センサ1は、各プロットを構成している分解能セルのセル数を特定する(ステップST4)。
図3の例では、番号1のプロットはセル数が“1”、番号2のプロットはセル数が“3”、番号3のプロットはセル数が“1”、番号4のプロットはセル数が“11”、番号5のプロットはセル数が“5”である。
【0018】
なお、プロットは、センサ1によるセンシング時刻、位置観測値及びセル数観測値の成分を有している。
位置観測値はプロットの重心位置であり、その重心位置は位置情報と観測誤差共分散行列で表される。
セル数観測値はプロットを構成している分解能セルのセル数であり、セル数観測値は目標全体のサイズ又は目標の部分的なサイズを表す指標となる。
【0019】
プロット類別処理部2は、センサ1により特定されたプロットの重心位置と、当該プロットを構成している分解能セルのセル数と、センサ1によりセンシングが実施された時刻とを用いて、そのプロットに対する類別処理を実施して、そのプロットの類別結果を出力する(ステップST5)。
以下、プロット類別処理部2による類別処理の具体的内容を説明する。
図4はプロット類別処理部2による類別処理を示すフローチャートである。
【0020】
まず、プロット類別処理部2は、プロットのサイズを判定するサイズ判定処理を実施する(図4のステップST21)。
サイズ判定処理は、センサ1により特定されたプロットを構成している分解能セルのセル数がλである場合、セル数λの大小によって、プロットを“大信号”と“小信号”に分類する処理である。
即ち、プロット類別処理部2は、センサ1により特定されたプロットを構成している分解能セルのセル数λが、予め設定されている閾値λth以上であれば、当該プロットは“大信号”であると判定し(ステップST22)、当該プロットを大信号に分類する(ステップST23)。
λ≧λth → 大信号
一方、センサ1により特定されたプロットを構成している分解能セルのセル数λが、予め設定されている閾値λth未満であれば、当該プロットは“小信号”であると判定し(ステップST22)、当該プロットを小信号に分類する(ステップST24)。
λ<λth → 小信号
【0021】
ここでは、プロット類別処理部2が予め設定されている1つの閾値λthを用いて、プロットを“大信号”と“小信号”の2つに分類する例を示しているが、2つの閾値λthを用いて、プロットを“大信号”と“中信号”と“小信号”の3つに分類するようにしてもよい。
また、N−1個の閾値λthを用いて、プロットをN個に分類するようにしてもよい。
【0022】
図5はプロット類別処理部2によるサイズ判定処理例を示す説明図である。
図5では、目標の観測状況とセル数の観測値に関するヒストグラムを表している。
図5の例では、番号2,4,5のプロットは、セル数λが閾値λth以上であるため、大信号に分類される。
一方、番号1,3のプロットは、セル数λが閾値λth未満であるため、小信号に分類される。
【0023】
次に、プロット類別処理部2は、プロットの移動の有無を判定する移動有無判定処理(ピーク判定処理)を実施する(ステップST25、または、ST26)。
図6はプロット類別処理部2による移動有無判定処理(ピーク判定処理)を示す説明図である。
プロット類別処理部2は、ピーク判定処理を実施する際、最初に、図6の左側に示すように、xy投票領域(事前に決められた領域を所定の間隔で、x軸方向とy軸方向に分割したものである)を設ける。以下、領域を分割している各セルを投票セルと称する。
【0024】
プロット類別処理部2は、センサ1がプロットを特定する毎に、当該プロットの位置観測値が、xy投票領域中の、どの投票セルと対応しているかを特定する。
プロット類別処理部2は、プロットの位置観測値と対応している投票セルを特定すると、当該投票セルのプロット累積数を“1”だけインクリメントする(初期状態では、各投票セルのプロット累積数は“0”である)。
これにより、複数のスキャンに亘って、投票セルのプロット累積数を加算していくことで、プロットがxy投票領域の中の同じ投票セルに存在する場合、xy投票領域内に、2次元ヒストグラムのピークが現れる。この2次元ヒストグラムのピークは、時系列に加算しているプロット累積数に相当する。
図6の左側に示している2次元ヒストグラムを、投票セル毎にプロット累積数としている1次元ヒストグラムが図6の右側の図である。
【0025】
プロット類別処理部2は、複数のスキャンに亘って、投票セルのプロット累積数を加算することで、2次元ヒストグラムのピークを特定すると、2次元ヒストグラムのピークであるプロット累積数がLである場合、プロット累積数Lの大小によって、当該プロットを“静止信号”あるいは“移動信号”に分類する。
即ち、プロット類別処理部2は、プロット累積数Lが、予め設定されている閾値Lth以上であれば、当該プロットは“静止信号”であると判定する(ステップST27、または、ST28)。
L≧Lth → 静止信号
一方、プロット累積数Lが、予め設定されている閾値Lth未満であれば、当該プロットは“移動信号”であると判定する(ステップST27、または、ST28)。
L<Lth → 移動信号
【0026】
プロット類別処理部2は、当該プロットが“移動信号”であると判定すると、先のサイズ判定処理において、当該プロットを“大信号”に分類していれば、当該プロットを“移動大目標”に類別する(ステップST29)。
先のサイズ判定処理において、当該プロットを“小信号”に分類していれば、当該プロットを“移動小目標”に類別する(ステップST30)。
【0027】
ここでは、プロット類別処理部2が、プロット累積数Lと閾値Lthを比較することで、プロットを“静止信号”あるいは“移動信号”に分類するものを示したが、予め、投票領域における全投票セルの2次元ヒストグラムのピークを平均化した値を算出し、各投票セルのピークから、そのピークを平均化した値を差し引いた値を所定の閾値と比較することで、プロットを“静止信号”あるいは“移動信号”に分類するようにしてもよい。
なお、ピークを平均化した値としては、ピークを加重平均した値など、各種の平均化方式が考えられる。
【0028】
プロット類別処理部2は、当該プロットが“静止信号”であると判定すると、当該プロットが目標であるのか、クラッタであるのかを判定する目標/クラッタ判定処理(時間判定処理)を実施する(ステップST31、または、ST32)。
図7はプロット類別処理部2による目標/クラッタ判定処理(時間判定処理)を示す説明図である。
目標/クラッタ判定処理(時間判定処理)では、当該プロットが“クラッタ”であるのか、“クラッタではない”のかを判定する処理である。“クラッタではない”には、当該プロットが“目標”である場合の他に、クラッタ以外の他の目標である可能性がある場合を含んでいる。
【0029】
図7(a)は“クラッタ”と判定される場合の一例を示しており、図7(b)は“クラッタではない”と判定される場合の一例を示している。
“クラッタではない”の判定結果には、判定の延期を表す判定結果である“Pending”を含む場合がある。
図7の横軸は、各時刻におけるプロットの入力状況を表しており、各時刻上のバーは、プロットが入力されたこと(プロットが存在すること)を示している。
また、点線枠は、時間ウインドウを表しており,図7では、現時刻の時間ウインドウと、前時刻の時間ウインドウをそれぞれ示している。時間ウインドウは、時刻毎にシフトし、時間判定は、以下(1),(2)によって判定する。
【0030】
時間判定(1)
時間T内にN回中M回以上、プロットが時間ウインドウ内に存在する場合
→ “クラッタ”と判定
時間判定(2)
時間T内にN回中M回以上、プロットが時間ウインドウ内に存在しない場合
→ “クラッタではない”と判定
【0031】
図7(a)の例では、時刻1,2,3,4でプロットが入力されているため、バーが各時刻に立っている。
例えば、N=4,M=3として、時間TをプロットのN回(例えば、N=4)の入力間隔より大きく設定すると、4回中3回以上、プロットが時間ウインドウ内に存在するので,図7(a)の例では、現時刻(時刻4)のプロットが“クラッタ”と判定される。
図7(b)の例では、時刻1,4でプロットが入力されていて、時刻2,3ではプロットが入力されていないので、バーが時刻1,4に立っている。
例えば、N=4,M=3として、時間TをプロットのN回(例えば、N=4)の入力間隔より大きく設定すると、4回中3回以上、プロットが時間ウインドウ内に存在していないため、図7(b)の例では、現時刻(時刻4)のプロットが“クラッタではない”と判定される。
【0032】
なお、時間判定の意味としては、例えば、時間Tを1時間に設定すると、時間判定(1)の場合、1時間以内で、プロットが継続して出ていれば、“クラッタ”であると判定する。
時間判定(2)の場合は、1時間以内で、プロットが継続して出ていなければ、“クラッタではない”と判定、つまり、この場合は、判定対象のプロットが“クラッタ”以外の目標または他の信号の可能性があるということである。
【0033】
プロット類別処理部2は、上記のようにして、目標/クラッタ判定処理(時間判定処理)を実施して、当該プロットが“クラッタ”であると判定すると(ステップST33、または、ST34)、先のサイズ判定処理において、当該プロットを“大信号”に分類していれば、当該プロットを“静止大クラッタ”に類別する(ステップST35)。
一方、先のサイズ判定処理において、当該プロットを“小信号”に分類していれば、当該プロットを“静止小クラッタ”に類別する(ステップST36)。
また、プロット類別処理部2は、目標/クラッタ判定処理(時間判定処理)を実施して、当該プロットが“クラッタではない”と判定すると(ステップST33)、先のサイズ判定処理において、当該プロットを“大信号”に分類していれば、当該プロットを“静止大目標”に類別する(ステップST37)。
【0034】
プロット類別処理部2は、目標/クラッタ判定処理(時間判定処理)を実施して、当該プロットが“クラッタではない”と判定し(ステップST34)、先のサイズ判定処理において、当該プロットを“小信号”に分類していれば、当該プロットが“クラッタ”以外の目標または他の信号の可能性があるため、当該プロットが別の目標であるのか、静止中の目標の破片であるのかを判定する別目標/破片判定処理(距離判定処理)を実施する(ステップST38)。
図8はプロット類別処理部2による別目標/破片判定処理(距離判定処理)を示す説明図である。
図8の左側は追尾航跡とプロットの位置関係を示し、右側は追尾航跡とプロットの距離をヒストグラムに表したものを示している。
【0035】
距離判定処理は、後述する追尾処理部4により予測された現時刻の航跡予測値と、センサ1により特定されたプロットの重心位置(プロットの現在位置)との距離がDである場合、距離Dの大小によって、プロットを“別目標”と“unknown(静止大目標の破片等)”に分類する処理である。
即ち、プロット類別処理部2は、距離Dが予め設定されている閾値Dth以上であれば、当該プロットは“別目標”であると判定し(ステップST39)、当該プロットを静止小目標(追尾航跡の目標とは別の目標)に類別する(ステップST40)。
D≧Dth → 別目標
一方、距離Dが予め設定されている閾値Dth未満であれば、当該プロットは追尾航跡の目標の一部である可能性(例えば、静止している大目標から破片等であって、静止している大目標からの分裂したプロットの可能性)があるため、当該プロットは“unknown”であると判定し(ステップST39)、当該プロットを“unknown”に類別する(ステップST41)。
D<Dth → unknown
【0036】
図9はプロットの類別結果を示す説明図であり、図10はプロットの類別例を表すベン図である。
プロット類別処理部2は、プロットの類別処理を実施すると、その類別結果を当該プロットに付与し、類別結果付のプロット(以下、「類別プロット」と称する)を図示せぬ類別プロットデータベースに蓄積する。
プロット類別処理部2は、オペレータの指示の下、類別プロットデータベースに蓄積されている類別プロットを画面に表示する機能を備えており、オペレータが、例えば、キーボードやマウスやタッチパネルなどのマンマシンインタフェース(入力装置)を操作して、その類別プロットの変更命令を入力すると、その変更命令にしたがって、当該類別プロットの変更を受け付けるようにする。これにより、プロットの類別結果に間違いがある等の場合には、オペレータがプロットの類別結果を適宜訂正することができる。
また、プロット類別処理部2は、その類別プロットをプロット使用判定処理部3に出力する。
【0037】
プロット使用判定処理部3は、プロット類別処理部2から類別プロットを受け、追尾処理部4により生成された目標の追尾航跡を受けると、その類別プロットと目標の追尾航跡の航跡速度を参照して、センサ1により特定されたプロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用するか否かを判定する(図2のステップST6)。
以下、プロット使用判定処理部3による判定処理を具体的に説明する。
【0038】
プロット使用判定処理部3は、センサ1により特定されたプロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用するか否かを判定する際、目標の追尾航跡の航跡速度を参照するが、追尾処理部4により生成される目標の追尾航跡の航跡速度は、プロット入力や異常なプロットの入力によっては誤差が大きい。
このため、追尾処理部4により生成される目標の追尾航跡の航跡速度をそのまま参照すると、使用判定精度が劣化することがあるため、使用判定処理を実施する前に、下記の式(1)に示すように、その追尾航跡の航跡速度を平滑化し、平滑化後の航跡速度である平滑化航跡速度を算出する。
Vps(k)=Vps(k−1)+α[Vpz(k)−Vps(k−1)] (1)
式(1)において、
Vpz(k):今回の航跡速度
Vps(k−1):前回の平滑化航跡速度
Vps(k):今回の平滑化航跡速度
α:平滑化係数(0<アルファ<1)
【0039】
なお、追尾航跡の航跡速度には、航跡平滑値と航跡予測値の2種類があるが、航跡予測値の速度(航跡予測速度)を用いるか、航跡平滑値(航跡平滑速度)を用いるかは、事前に決めておくものとする。
ここでは、式(1)によって、追尾航跡の航跡速度を平滑化しているが、他の移動平均等の平滑化手法によって、平滑化航跡速度を算出することも可能である。
【0040】
プロット使用判定処理部3は、追尾航跡の航跡速度を平滑化し、平滑化後の航跡速度である平滑化航跡速度Vps(k)を算出すると、その平滑化航跡速度Vps(k)とプロット類別処理部2から出力された類別プロットを参照して、センサ1により特定されたプロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用するか否かを判定する。
即ち、プロット使用判定処理部3は、プロット類別処理部2から出力された類別プロットが“静止大目標”である場合、その平滑化航跡速度Vps(k)が所定の閾値Vth未満であれば、当該類別プロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用するものと判定する(図11を参照)。
Vps(k)<Vth → 類別プロットの重心位置を使用する
一方、その平滑化航跡速度Vps(k)が所定の閾値Vth以上であれば、当該類別プロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用しないものと判定する。
Vps(k)≧Vth → 類別プロットの重心位置を使用しない
【0041】
また、プロット使用判定処理部3は、プロット類別処理部2から出力された類別プロットが“移動大目標”又は“移動小目標”である場合、その平滑化航跡速度Vps(k)が所定の閾値Vth以上であれば、当該類別プロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用するものと判定する。
Vps(k)≧Vth → 類別プロットの重心位置を使用する
一方、その平滑化航跡速度Vps(k)が所定の閾値Vth未満であれば、当該類別プロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用しないものと判定する。
Vps(k)<Vth → 類別プロットの重心位置を使用しない
【0042】
プロット使用判定処理部3は、プロット類別処理部2から出力された類別プロットが“静止大クラッタ”、“静止小クラッタ”、“静止小目標(別目標)” 又は“unknown”である場合、当該類別プロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用しないものと判定する。
ただし、その平滑化航跡速度Vps(k)が所定の閾値Vth未満であれば、とりあえず、これらの類別プロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用するものと判定し、その結果、追尾航跡の航跡精度が劣化した場合に、これらの類別プロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用しないようにしてもよい。
【0043】
なお、プロット使用判定処理部3は、類別プロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用するか否かを判定すると、その判定結果を示すフラグを類別プロットに付加して追尾処理部4に出力する。
類別プロットの重心位置を更新処理に使用する → フラグ=1
類別プロットの重心位置を更新処理に使用しない → フラグ=0
【0044】
追尾処理部4は、プロット使用判定処理部3からフラグ付きの類別プロットを受けると、その類別プロットに付加されているフラグが“1”であれば、その類別プロットの重心位置を用いて追尾航跡を更新する(ステップST7)。
即ち、追尾処理部4は、センサ1により特定されたプロットが“移動大目標”又は“移動小目標”に類別され、追尾航跡の航跡速度が閾値Vth以上であれば、当該プロットは現在移動中の目標の可能性が高いので、そのプロットの重心位置を用いて追尾航跡を更新する。
また、追尾処理部4は、センサ1により特定されたプロットが“静止大目標”に類別され、追尾航跡の航跡速度が閾値Vth未満であれば、当該プロットは現在静止中又はクリープ中の目標の可能性が高いので、そのプロットの重心位置を用いて追尾航跡を更新する。
【0045】
図12は類別プロットの重心位置が追尾構成の更新に使用される例を示す説明図であり、図12の例では、前回の予測処理で追尾処理部4により求められた現時刻の航跡予測値(図中、□の点)と、類別プロットの重心位置(図中、○の点)との重心位置が現時刻の航跡平滑値(図中、△の点)とされ、現時刻の航跡平滑値から次時刻の航跡予測値が予測されている。
【0046】
追尾処理部4は、その類別プロットに付加されているフラグが“0”であれば、その類別プロットの重心位置を用いずに、追尾航跡を更新する(ステップST8)。
即ち、追尾処理部4は、センサ1により特定されたプロットが“移動大目標”又は“移動小目標”に類別され、追尾航跡の航跡速度が閾値Vth未満である場合、センサ1により特定されたプロットが“静止大目標”に類別され、追尾航跡の航跡速度が閾値Vth以上である場合、あるいは、センサ1により特定されたプロットが“静止大クラッタ”、“静止小クラッタ”、“静止小目標(別目標)” 又は“unknown”に類別された場合、当該プロットは追尾中の目標である可能性が低いので、そのプロットの重心位置を用いずに、追尾航跡を更新する。
なお、類別プロットの重心位置を用いずに、追尾航跡を更新する場合、前回の予測処理で求めた現時刻の航跡予測値(図中、□の点)を現時刻の航跡平滑値(図中、△の点)とし、現時刻の航跡平滑値から次時刻の航跡予測値を予測する。
現時刻の航跡平滑値から次時刻の航跡予測値を予測する処理自体は公知の技術であるため詳細な説明を省略する。
【0047】
追尾処理部4は、追尾航跡を更新すると、その追尾航跡をプロット類別処理部2、プロット使用判定処理部3及び表示処理部5に出力する。
追尾航跡には、航跡予測値と航跡平滑値が含まれており、その航跡予測値及び航跡予測値は、位置と速度からなる状態ベクトルと、その誤差共分散行列を持っている。
表示処理部5は、追尾処理部4から更新後の追尾航跡を受けると、その追尾航跡をディスプレイに表示する(ステップST9)。
【0048】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、同一の目標から複数の検出位置が得られるセンシングを実施して、目標が存在している複数の分解能セルを検出する処理と、複数の分解能セルに対するクラスタリングを実施して、1以上の分解能セルが纏まっているプロットを特定し、そのプロットの重心位置及び当該プロットを構成している分解能セルのセル数を特定する処理とを行うセンサ1と、センサ1により特定されたプロットの重心位置及びセル数とセンサ1によりセンシングが実施された時刻を用いて、そのプロットに対する類別処理を実施し、そのプロットの類別結果を出力するプロット類別処理部2と、プロット類別処理部2から出力されたプロットの類別結果と目標の追尾航跡の航跡速度を参照して、センサ1により特定されたプロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用するか否かを判定するプロット使用判定処理部3とを設け、追尾処理部4が、プロット使用判定処理部3によりプロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用する旨の判定が行われた場合、そのプロットの重心位置を用いて追尾航跡を更新し、使用しない旨の判定が行われた場合、そのプロットの重心位置を用いずに追尾航跡を更新するように構成したので、目標の誤追尾を防止して、追尾精度を高めることができる効果を奏する。
【0049】
即ち、この実施の形態1では、追尾処理の前処理で、プロットのサイズ状況や、プロットの検出状況や、プロットと想定する目標の時間存在状況や、目標をレーダで観測する際の高分解能に起因する同一目標からの検出状況など、個々の処理のみではうまくいかないプロットの類別を、状況に応じて参照してプロットの類別精度を高め、プロットが目標に起因するものなのか、クラッタに起因するものなのか、あるいは、静止目標なのか、移動目標なのか、また、サイズの大きい移動目標なのか、サイズの小さい移動目標なのか、サイズの大きい静止目標なのか、サイズの小さい静止目標なのか、サイズの大きいクラッタなのか、サイズの小さいクラッタなのか、または、プロットの類別がわからないなどの詳細なプロットの類別情報をオペレータに提供することができる。
そして、その詳細な類別情報を持つプロットを用いて、低速で移動する目標や、高速で移動する目標などの追尾状況を、追尾処理の前処理にフィードバックして、追尾処理の前処理で、過去の追尾情報等を活用して、プロットを類別し、低速移動目標や高速移動目標に対し、不要なプロット(観測値)は棄却して、必要なものを使用することにより、追尾精度を高めることができる。
【0050】
実施の形態2.
図13はこの発明の実施の形態2による目標追尾装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
距離判定制御処理部6はプロット類別処理部7における別目標/破片判定処理(距離判定処理)の処理方式を制御する処理を実施する。
プロット類別処理部7は図1のプロット類別処理部2と同様の類別処理を実施するが、距離判定制御処理部6の制御の下、別目標/破片判定処理の処理方式を変更する。
即ち、プロット類別処理部7は、図1のプロット類別処理部2と同様に、目標の追尾航跡からプロットまでの距離Dが閾値Dth以上であれば、そのプロットが別の目標であると判定し、目標の追尾航跡からプロットまでの距離Dが閾値未満Dthであれば、そのプロットが静止中の目標の破片であると判定する処理(以下、「第1の別目標/破片判定処理方式」と称する)を実施するが、距離判定制御処理部6から処理方式の変更指示を受けると、センサ1により特定された1以上のプロットの中で、最もサイズが大きいプロットから他のプロットまでの距離D1が閾値D1th以上であれば、他のプロットが別の目標であると判定し、最もサイズが大きいプロットから他のプロットまでの距離D1が閾値D1th未満であれば、他のプロットが静止中の目標の破片であると判定する処理(以下、「第2の別目標/破片判定処理方式」と称する)を実施する。
なお、距離判定制御処理部6及びプロット類別処理部7から類別処理手段が構成されている。
【0051】
次に動作について説明する。
プロット類別処理部7は、距離判定制御処理部6から別目標/破片判定処理(距離判定処理)の処理方式を第1の別目標/破片判定処理方式とする旨の指示を受けているときは、図1のプロット類別処理部2と同様の方式で、プロットが別の目標であるのか、プロットが静止中の目標の破片であるのかを判定する。
プロット類別処理部7は、距離判定制御処理部6から別目標/破片判定処理(距離判定処理)の処理方式を第2の別目標/破片判定処理方式に変更する旨の指示を受けると、センサ1により特定された1以上のプロットの中で、最もサイズが大きいプロットを特定する。
図14は第2の別目標/破片判定処理方式での別目標/破片判定処理(距離判定処理)を示す説明図である。
図14の左側は各プロットの位置関係を示し、右側は最もサイズが大きいプロットから他のプロットまでの距離をヒストグラムに表したものを示している。
【0052】
プロット類別処理部7は、最もサイズが大きいプロットを特定すると(図14の例では、番号3のプロット)、最もサイズが大きいプロットから他のプロットまでの距離D1を求め、その距離D1が閾値D1th以上であれば、他のプロットは“別目標”であると判定し、他のプロットを静止小目標(追尾航跡の目標とは別の目標)に類別する。
D1≧D1th → 別目標
一方、最もサイズが大きいプロットから他のプロットまでの距離D1が閾値D1th未満であれば、他のプロットは追尾航跡の目標の一部である可能性(例えば、静止している大目標から破片等であって、静止している大目標からの分裂したプロットの可能性)があるため、他のプロットは“unknown”であると判定し、他のプロットを“unknown”に類別する。
D1<D1th → unknown
図14の例では、番号1のプロットは“静止小目標”に類別され、番号2,4のプロットは“unknown”に類別される。
【0053】
以上で明らかなように、この実施の形態2によれば、センサ1により特定された1以上のプロットの中で、最もサイズが大きいプロットから他のプロットまでの距離D1が閾値D1th以上であれば、他のプロットが別の目標であると判定し、最もサイズが大きいプロットから他のプロットまでの距離D1が閾値D1th未満であれば、他のプロットが静止中の目標の破片であると判定するように構成したので、追尾航跡の誤差が大きく、第1の別目標/破片判定処理方式では、精度よく別目標/破片判定処理を行えない場合でも、精度よく別目標/破片判定処理を行うことができる効果を奏する。
【0054】
実施の形態3.
図15はこの発明の実施の形態3による目標追尾装置を示す構成図であり、図において、図13と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
プロット類別処理部8は図13のプロット類別処理部7と同様に、距離判定制御処理部6の制御の下で、第1の別目標/破片判定処理方式又は第2の別目標/破片判定処理方式を実施するが、距離と比較する閾値が、目標の形状に対応する値に設定されている点で相違している。
距離と比較する閾値は、距離判定制御処理部6が設定する。
【0055】
上記実施の形態2では、第1の目標/破片判定処理方式を実施する際には、閾値Dthとして、追尾航跡における現時刻の航跡予測値を中心とする円の半径に設定され(図8を参照)、第2の目標/破片判定処理方式を実施する際には、閾値D1thとして、最もサイズが大きいプロットの重心位置を中心とする円の半径が設定されている(図14を参照)。
この実施の形態3では、閾値Dth,D1thを、実際の目標の形状(例えば、目標が航空機であれば、航空機の形状)に対応する値に設定している(図16を参照)。
【0056】
追尾航跡からの等距離円を考えると、閾値の大きさによっては、番号5のプロットは、番号2,3,4のプロットと同一の目標からの反射点とみなされるが、図16の左側に示すように、閾値Dth,D1thが実際の目標の形状に合わせて設定されることにより、番号5のプロットは、番号2,3,4のプロットに係る目標と区別して、別の目標であると適正に判定することができる。
【0057】
以上で明らかなように、この実施の形態3によれば、距離と比較する閾値が、目標の形状に対応する値に設定されているように構成したので、別目標/破片判定処理の判定精度を高めることができる効果を奏する。
【0058】
実施の形態4.
図17はこの発明の実施の形態4による目標追尾装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
図17は、プロット使用判定制御処理部9が実施の形態1の目標追尾装置に適用されている例を示しているが、実施の形態2,3の目標追尾装置に適用されていてもよい。
プロット使用判定制御処理部9はプロット類別処理部2における類別処理が所定時間を経過しても終了しない場合、あるいは、オペレータからプロット類別処理の停止要求が入力された場合、プロット類別処理部2及びプロット使用判定処理部3の処理を停止させて、センサ1から得られるプロットが、プロット類別処理部2及びプロット使用判定処理部3を介して、追尾処理部4に与えられるように制御する。
【0059】
上記実施の形態1〜3では、プロット類別処理部2がセンサ1により特定されたプロットに対する類別処理を実施して、そのプロットの類別結果を出力し、プロット使用判定処理部3がプロットの類別結果等を参照して、センサ1により特定されたプロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用するか否かを判定するものを示したが、例えば、パラメータの設定違いの影響で、プロットの類別処理ができない場合や、プロット類別処理の演算時間が事前に決めた閾値以上かかる場合がある。
このような場合、追尾航跡を継続して出力することができなくなる可能性がある。
【0060】
そこで、この実施の形態4では、プロット類別処理部2における類別処理が所定時間を経過しても終了しない場合、あるいは、オペレータからプロット類別処理の停止要求が入力された場合、プロット使用判定制御処理部9が、プロット類別処理部2及びプロット使用判定処理部3の処理を停止させて、センサ1から得られるプロットが、プロット類別処理部2及びプロット使用判定処理部3を介して、追尾処理部4に与えられるように制御する(プロット類別処理部2及びプロット使用判定処理部3を介さずに、センサ1から直接的に追尾処理部4に与えられるようにしてもよい)。
この場合、追尾処理部4は、プロット使用判定処理部3から出力される使用判定結果を待たずに、センサ1から得られるプロットの重心位置を用いて、目標の追尾航跡を更新することができる。
【0061】
以上で明らかなように、この実施の形態4によれば、プロット類別処理部2における類別処理が所定時間を経過しても終了しない場合、あるいは、オペレータからプロット類別処理の停止要求が入力された場合、プロット使用判定制御処理部9が、プロット類別処理部2及びプロット使用判定処理部3の処理を停止させて、センサ1から得られるプロットが、プロット類別処理部2及びプロット使用判定処理部3を介して、追尾処理部4に与えられるように制御しているので、例えば、パラメータの設定違いの影響で、プロットの類別処理ができない場合や、プロット類別処理の演算時間が事前に決めた閾値以上かかる状況下でも、リアルタイムの追尾航跡を継続することができる効果を奏する。
【0062】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 センサ(分解能セル検出手段、プロット特定手段)、2 プロット類別処理部(類別処理手段、変更受付手段)、3 プロット使用判定処理部(使用判定手段)、4 追尾処理部(追尾航跡更新手段)、5 表示処理部(追尾航跡表示手段)、6 距離判定制御処理部(類別処理手段、変更受付手段)、7,8 プロット類別処理部(類別処理手段)、9 プロット使用判定制御処理部(追尾航跡更新手段)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の目標から複数の検出位置が得られるセンシングを実施して、上記目標が存在している複数の分解能セルを検出する分解能セル検出手段と、上記分解能セル検出手段により検出された複数の分解能セルに対するクラスタリングを実施して、1以上の分解能セルが纏まっているプロットを特定し、上記プロットの重心位置及び当該プロットを構成している分解能セルのセル数を特定するプロット特定手段と、上記プロット特定手段により特定されたプロットの重心位置及びセル数と上記分解能セル検出手段によりセンシングが実施された時刻を用いて、上記プロットに対する類別処理を実施し、上記プロットの類別結果を出力する類別処理手段と、上記類別処理手段から出力されたプロットの類別結果と目標の追尾航跡の航跡速度を参照して、上記プロット特定手段により特定されたプロットの重心位置を上記追尾航跡の更新処理に使用するか否かを判定する使用判定手段と、上記使用判定手段によりプロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用する旨の判定が行われた場合、上記プロットの重心位置を用いて上記追尾航跡を更新し、使用しない旨の判定が行われた場合、上記プロットの重心位置を用いずに上記追尾航跡を更新する追尾航跡更新手段と、上記追尾航跡更新手段により更新された追尾航跡を表示する追尾航跡表示手段とを備えた目標追尾装置。
【請求項2】
類別処理手段は、プロットに対する類別処理を実施して、上記プロットを移動中の目標、静止中の目標、静止しているクラッタ、別の目標又は静止中の目標の破片のいずれかに類別することを特徴とする請求項1記載の目標追尾装置。
【請求項3】
類別処理手段は、プロットに対する類別処理として、プロットのサイズを判定するサイズ判定処理、上記プロットの移動の有無を判定する移動有無判定処理、上記プロットが目標であるのかクラッタであるのかを判定する目標/クラッタ判定処理及び上記プロットが別の目標であるのか静止中の目標の破片であるのかを判定する別目標/破片判定処理の中で、少なくとも1以上の判定処理を実施することを特徴とする請求項2記載の目標追尾装置。
【請求項4】
類別処理手段が実施する別目標/破片判定処理は、目標の追尾航跡からプロットまでの距離が所定の閾値以上であれば、上記プロットが別の目標であると判定し、目標の追尾航跡から上記プロットまでの距離が所定の閾値未満であれば、上記プロットが静止中の目標の破片であると判定する処理であることを特徴とする請求項3記載の目標追尾装置。
【請求項5】
類別処理手段が実施する別目標/破片判定処理は、プロット特定手段により特定された1以上のプロットの中で、最もサイズが大きいプロットから他のプロットまでの距離が所定の閾値以上であれば、他のプロットが別の目標であると判定し、最もサイズが大きいプロットから他のプロットまでの距離が所定の閾値未満であれば、他のプロットが静止中の目標の破片であると判定する処理であることを特徴とする請求項3記載の目標追尾装置。
【請求項6】
所定の閾値として、目標の形状に対応する閾値が設定されていることを特徴とする請求項4または請求項5記載の目標追尾装置。
【請求項7】
追尾航跡更新手段は、類別処理手段における類別処理が所定時間を経過しても終了しない場合、類別処理手段及び使用判定手段の処理を停止させ、プロット特定手段により特定されたプロットの重心位置を用いて、目標の追尾航跡を更新することを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の目標追尾装置。
【請求項8】
使用判定手段は、目標の追尾航跡の航跡速度が所定の速度より速い場合、類別処理手段によりプロットが移動中の目標に類別されていれば、上記プロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用する旨の判定を行い、目標の追尾航跡の航跡速度が所定の速度より遅い場合、類別処理手段によりプロットが静止中の目標に類別されていれば、上記プロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用する旨の判定を行うことを特徴とする請求項2記載の目標追尾装置。
【請求項9】
類別処理手段によるプロットの類別結果の変更を受け付ける変更受付手段を設けたことを特徴とする請求項1から請求項8のうちのいずれか1項記載の目標追尾装置。
【請求項10】
分解能セル検出手段が、同一の目標から複数の検出位置が得られるセンシングを実施して、上記目標が存在している複数の分解能セルを検出する分解能セル検出処理ステップと、プロット特定手段が、上記分解能セル検出処理ステップで検出された複数の分解能セルに対するクラスタリングを実施して、1以上の分解能セルが纏まっているプロットを特定し、上記プロットの重心位置及び当該プロットを構成している分解能セルのセル数を特定するプロット特定処理ステップと、類別処理手段が、上記プロット特定処理ステップで特定されたプロットの重心位置及びセル数と上記分解能セル検出処理ステップでセンシングが実施された時刻を用いて、上記プロットに対する類別処理を実施し、上記プロットの類別結果を出力する類別処理ステップと、使用判定手段が、上記類別処理ステップで出力されたプロットの類別結果と目標の追尾航跡の航跡速度を参照して、上記プロット特定処理ステップで特定されたプロットの重心位置を上記追尾航跡の更新処理に使用するか否かを判定する使用判定処理ステップと、追尾航跡更新手段が、上記使用判定処理ステップでプロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用する旨の判定が行われた場合、上記プロットの重心位置を用いて上記追尾航跡を更新し、使用しない旨の判定が行われた場合、上記プロットの重心位置を用いずに上記追尾航跡を更新する追尾航跡更新処理ステップと、追尾航跡表示手段が、上記追尾航跡更新処理ステップで更新された追尾航跡を表示する追尾航跡表示処理ステップとを備えた目標追尾方法。
【請求項1】
同一の目標から複数の検出位置が得られるセンシングを実施して、上記目標が存在している複数の分解能セルを検出する分解能セル検出手段と、上記分解能セル検出手段により検出された複数の分解能セルに対するクラスタリングを実施して、1以上の分解能セルが纏まっているプロットを特定し、上記プロットの重心位置及び当該プロットを構成している分解能セルのセル数を特定するプロット特定手段と、上記プロット特定手段により特定されたプロットの重心位置及びセル数と上記分解能セル検出手段によりセンシングが実施された時刻を用いて、上記プロットに対する類別処理を実施し、上記プロットの類別結果を出力する類別処理手段と、上記類別処理手段から出力されたプロットの類別結果と目標の追尾航跡の航跡速度を参照して、上記プロット特定手段により特定されたプロットの重心位置を上記追尾航跡の更新処理に使用するか否かを判定する使用判定手段と、上記使用判定手段によりプロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用する旨の判定が行われた場合、上記プロットの重心位置を用いて上記追尾航跡を更新し、使用しない旨の判定が行われた場合、上記プロットの重心位置を用いずに上記追尾航跡を更新する追尾航跡更新手段と、上記追尾航跡更新手段により更新された追尾航跡を表示する追尾航跡表示手段とを備えた目標追尾装置。
【請求項2】
類別処理手段は、プロットに対する類別処理を実施して、上記プロットを移動中の目標、静止中の目標、静止しているクラッタ、別の目標又は静止中の目標の破片のいずれかに類別することを特徴とする請求項1記載の目標追尾装置。
【請求項3】
類別処理手段は、プロットに対する類別処理として、プロットのサイズを判定するサイズ判定処理、上記プロットの移動の有無を判定する移動有無判定処理、上記プロットが目標であるのかクラッタであるのかを判定する目標/クラッタ判定処理及び上記プロットが別の目標であるのか静止中の目標の破片であるのかを判定する別目標/破片判定処理の中で、少なくとも1以上の判定処理を実施することを特徴とする請求項2記載の目標追尾装置。
【請求項4】
類別処理手段が実施する別目標/破片判定処理は、目標の追尾航跡からプロットまでの距離が所定の閾値以上であれば、上記プロットが別の目標であると判定し、目標の追尾航跡から上記プロットまでの距離が所定の閾値未満であれば、上記プロットが静止中の目標の破片であると判定する処理であることを特徴とする請求項3記載の目標追尾装置。
【請求項5】
類別処理手段が実施する別目標/破片判定処理は、プロット特定手段により特定された1以上のプロットの中で、最もサイズが大きいプロットから他のプロットまでの距離が所定の閾値以上であれば、他のプロットが別の目標であると判定し、最もサイズが大きいプロットから他のプロットまでの距離が所定の閾値未満であれば、他のプロットが静止中の目標の破片であると判定する処理であることを特徴とする請求項3記載の目標追尾装置。
【請求項6】
所定の閾値として、目標の形状に対応する閾値が設定されていることを特徴とする請求項4または請求項5記載の目標追尾装置。
【請求項7】
追尾航跡更新手段は、類別処理手段における類別処理が所定時間を経過しても終了しない場合、類別処理手段及び使用判定手段の処理を停止させ、プロット特定手段により特定されたプロットの重心位置を用いて、目標の追尾航跡を更新することを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の目標追尾装置。
【請求項8】
使用判定手段は、目標の追尾航跡の航跡速度が所定の速度より速い場合、類別処理手段によりプロットが移動中の目標に類別されていれば、上記プロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用する旨の判定を行い、目標の追尾航跡の航跡速度が所定の速度より遅い場合、類別処理手段によりプロットが静止中の目標に類別されていれば、上記プロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用する旨の判定を行うことを特徴とする請求項2記載の目標追尾装置。
【請求項9】
類別処理手段によるプロットの類別結果の変更を受け付ける変更受付手段を設けたことを特徴とする請求項1から請求項8のうちのいずれか1項記載の目標追尾装置。
【請求項10】
分解能セル検出手段が、同一の目標から複数の検出位置が得られるセンシングを実施して、上記目標が存在している複数の分解能セルを検出する分解能セル検出処理ステップと、プロット特定手段が、上記分解能セル検出処理ステップで検出された複数の分解能セルに対するクラスタリングを実施して、1以上の分解能セルが纏まっているプロットを特定し、上記プロットの重心位置及び当該プロットを構成している分解能セルのセル数を特定するプロット特定処理ステップと、類別処理手段が、上記プロット特定処理ステップで特定されたプロットの重心位置及びセル数と上記分解能セル検出処理ステップでセンシングが実施された時刻を用いて、上記プロットに対する類別処理を実施し、上記プロットの類別結果を出力する類別処理ステップと、使用判定手段が、上記類別処理ステップで出力されたプロットの類別結果と目標の追尾航跡の航跡速度を参照して、上記プロット特定処理ステップで特定されたプロットの重心位置を上記追尾航跡の更新処理に使用するか否かを判定する使用判定処理ステップと、追尾航跡更新手段が、上記使用判定処理ステップでプロットの重心位置を追尾航跡の更新処理に使用する旨の判定が行われた場合、上記プロットの重心位置を用いて上記追尾航跡を更新し、使用しない旨の判定が行われた場合、上記プロットの重心位置を用いずに上記追尾航跡を更新する追尾航跡更新処理ステップと、追尾航跡表示手段が、上記追尾航跡更新処理ステップで更新された追尾航跡を表示する追尾航跡表示処理ステップとを備えた目標追尾方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−154842(P2012−154842A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15263(P2011−15263)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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