説明

直上高架橋の施工装置及び直上高架橋の施工方法

【課題】前方移動装置の移動における急激な断面変化に確実に対応できる直上高架橋の施工装置の提供。
【解決手段】基礎工用施工装置16と部材架設用施工装置18は、杭28または杭打設用のスタンドパイプ30に移動可能に支持された下部ガーダー20、22と、下部ガーダー20、22に対して移動可能にされた上部ガーダー24、26とを有する。部材架設用施工装置18は、下部ガーダー24上で上部ガーダー26の前方部を移動可能に支持する前方移動装置62と、上部ガーダー26の後方部を構築された直上高架橋14上で移動可能に支持する後方移動装置64とを有する。前方移動装置62は、進行方向の両側部に位置する脚部74と、脚部74を上部位置で連結する上部連結部76とを有する門型状とされ、上部連結部76は、脚部74を水平方向で回転可能に支持する回転支持機構と、脚部74の間隔を拡縮する拡縮機構とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直上高架橋の施工装置及び直上高架橋の施工方法に関し、特に、直上高架橋の高さの変化や断面変化に容易に対応可能な直上高架橋の施工装置及び直上高架橋の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この直上高架橋の施工装置は、杭構築等の下部工を行う基礎工用施工装置と、基礎工上に高架橋等の上部工を行う部材架設用施工装置とを有し、各施工装置は、先行して構築される杭または杭打設用の下地工に移動可能に支持された下部ガーダーと、前記下部ガーダーに対して移動可能にされた上部ガーダーとを有したものとされている。
【0003】
また、部材架設用施工装置は、下部ガーダー上で上部ガーダーの前方部を移動可能に支持する前方移動装置と、上部ガーダーの後方部を構築された直上高架橋上で移動可能に支持する後方移動装置とを有するものとされている。
【0004】
このように、架設ガーダー方式による汎用部材の使用を主体とすることで、低コストで工期短縮を実現することができるものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−291809号公報
【特許文献2】特開2010−203155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような直上高架橋の施工装置にあっては、前方移動装置の高さや幅を可変にしたり、レールとローラとの間にクリアランスを持たせたりすることで、ある程度の直上高架橋の高さの変化や断面変化に対応できるようにしているが、直上高架橋の大幅な高さの変化や急激な断面変化に対応できず、さらなる改良が望まれていた。
【0007】
本発明の目的は、急激な断面変化に確実に対応することができる直上高架橋の施工装置及び直上高架橋の施工方法を提供することにある。
【0008】
また、直上高架橋の大幅な高さの変化に確実に対応することができる直上高架橋の施工装置及び直上高架橋の施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明の直上高架橋の施工装置は、杭構築等の下部工を行う基礎工用施工装置と、基礎工上に高架橋等の上部工を行う部材架設用施工装置とを有し、
前記各施工装置は、先行して構築される杭または杭打設用の下地工に移動可能に支持された下部ガーダーと、前記下部ガーダーに対して移動可能にされた上部ガーダーとを有し、
前記部材架設用施工装置は、前記下部ガーダー上で前記上部ガーダーの前方部を移動可能に支持する前方移動装置と、前記上部ガーダーの後方部を構築された直上高架橋上で移動可能に支持する後方移動装置とを有する直上高架橋の施工装置であって、
前記前方移動装置は、進行方向の両側部に位置する一対の脚部と、これら脚部を上部位置で連結する上部連結部とを有する門型状とされ、
前記上部連結部は、前記一対の脚部を水平方向で回転可能に支持する回転支持機構と、上部連結部の幅を拡縮することで前記一対の脚部の間隔を拡縮する拡縮機構とを有することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、架設ガーダー方式による汎用部材の使用を主体とすることで、低コストで工期短縮を実現することができる。
【0011】
また、上部連結部に設けた回転支持機構により一対の脚部を水平方向で回転可能に支持することで、前方移動装置の移動の際における下部ガーダーの大幅な断面変化に確実に対応することができる。
【0012】
さらに、上部連結部に設けた拡縮機構により上部連結部の幅を拡縮することで前記一対の脚部の間隔を拡縮することができ、これによって、回転支持機構と相まって、前方移動装置の移動の際における下部ガーダーの大幅な断面変化に確実に対応することができる。
【0013】
本発明においては、前記一対の脚部は、上下スライド機構を有し、
前記上下スライド機構は、前記一対の脚部が上下方向で分割形成され、かつ、上下方向で伸縮可能に接合された上部脚部及び下部脚部と、前記上部脚部及び下部脚部の対応位置に長さ方向に沿って所定間隔で設けられた複数の連結孔と、前記上部脚部及び下部脚部の一方に設けられ、他方が前記連結孔に対して脱着可能にされた伸縮ジャッキと、所定の伸縮位置で前記上部脚部及び下部脚部の対応位置の連結孔に装着可能にされた連結ピンとを有するものとすることができる。
【0014】
このような構成とすることにより、伸縮ジャッキを盛替えることで、脚部を複数段の高さ位置に位置決めすることができ、その結果、直上高架橋の大幅な高さの変化に確実に対応することができる。
【0015】
本発明においては、前記基礎工用施工装置は、下部ガーダーの上方に下部ガーダーに沿って支持された移動装置付き脚を有し、この移動装置付き脚は、回転機構により水平方向で回転可能にされ、かつ、拡縮機構により幅方向で拡縮可能にされたものとすることができる。
【0016】
このような構成とすることにより、基礎工用施工装置においても、回転機構及び拡縮機構によって、移動の際における下部ガーダーの大幅な断面変化に確実に対応することができる。
【0017】
本発明の直上高架橋の施工方法は、杭構築等の下部工を行う基礎工用施工装置と、基礎工上に高架橋等の上部工を行う部材架設用施工装置とを用い、前記基礎工用施工装置にて、上部工に先行して杭または杭打設用の下地工を施工する工程と、前記先行構築された杭または杭打設用の下地工に前記基礎工用施工装置の下部ガーダーを移動可能に支持させ、この下部ガーダーに対して前記基礎工用施工装置の上部ガーダーを移動可能に支持させる工程と、前記杭または杭打設用の下地工に前記部材架設用施工装置の下部ガーダーを移動可能に支持させ、構築された直上高架橋上で上部ガーダーを移動可能に支持させる工程と、前記基礎工用施工装置の移動に伴い基礎工用施工装置により構築された杭上に前記部材架設用施工装置にて順次直上高架橋を構築する工程とを含む直上高架橋の施工方法であって、
前記部材架設用施工装置は、前記下部ガーダー上で前記上部ガーダーの前方部を移動可能に支持する前方移動装置と、前記上部ガーダーの後方部を構築された直上高架橋上で移動可能に支持する後方移動装置とを有し、前記前方移動装置は、進行方向の両側部に位置する一対の脚部と、これら脚部を上部位置で連結する上部連結部とを有する門型状とされ、
前方移動装置が下部ガーダー上を移動する際に、下部ガーダーの断面方向の角度変化が生じた場合に、前記上部連結部に設けた前記一対の脚部を水平方向で回転可能に支持する回転支持機構により、前記一対の脚部を回転させて下部ガーダーの断面方向の角度変化に対応させる工程と、
前方移動装置が下部ガーダー上を移動する際に、下部ガーダーの断面方向の角度に急激な変化が生じた場合に、前記上部連結部に設けた上部連結部の幅を拡縮する拡縮機構により、前記一対の脚部の間隔を拡縮することで前記回転支持機構による脚部の回転と相まって前記下部ガーダーの断面方向の急激な角度変化に対応する工程と、
新設の直上高架橋の高さに変化が生じた場合に、前記一対の脚部が上下方向で分割形成され、かつ、上下方向で伸縮可能に接合された上部脚部及び下部脚部と、前記上部脚部及び下部脚部の対応位置に長さ方向に沿って所定間隔で設けられた複数の連結孔と、前記上部脚部及び下部脚部の一方に設けられ、他方が前記連結孔に対して脱着可能にされた伸縮ジャッキと、所定の伸縮位置で前記上部脚部及び下部脚部の対応位置の連結孔に装着可能にされた連結ピンとを有する上下スライド機構を用い、前記伸縮ジャッキにより上下部脚部の長さを調節して連結ピンを上下部脚部に形成した対応位置の位置決め穴に挿入して脚部の高さを調整し、さらに調整を必要とする場合には、伸縮ジャッキを順次盛替えることにより必要な高さまで脚部の高さを調整する工程と、
を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、基礎工用施工装置及び部材架設用施工装置は、それぞれ下部ガーダー及び上部ガーダーを有する架設ガーダー方式による汎用部材の使用を主体としたもので、専用の装置と異なり低コストとすることができ、しかも、各施工装置は先行して構築される杭または杭打設用の下地工に支持させることで、荷重支持のための全面的な地盤改良や整地作業、横断する地下埋設物などの防護工等の必要もないため、大幅なコスト低減と工期短縮を実現することができる。
【0019】
また、基礎工用施工装置で先行構築した杭または杭打設用の下地工に下部ガーダーを支持させ、杭が構築された状態で後続の部材架設用施工装置により直上高架橋を構築することができ、一連の施工作業を効率よく行うことができる。
【0020】
さらに、上部連結部に設けた回転支持機構により一対の脚部を水平方向で回転可能に支持することで、前方移動装置の移動の際における下部ガーダーの大幅な断面変化に確実に対応することができる。
【0021】
また、上部連結部に設けた拡縮機構により上部連結部の幅を拡縮することで前記一対の脚部の間隔を拡縮することができ、これによって、回転支持機構と相まって、前方移動装置の移動の際における下部ガーダーの大幅な断面変化に確実に対応することができる。
【0022】
そしてさらに、伸縮ジャッキを盛替えることで、脚部を複数段の高さ位置に位置決めすることができ、その結果、直上高架橋の大幅な高さの変化に確実に対応することができる。
【0023】
本発明においては、前記基礎工用施工装置は、下部ガーダーの上方に下部ガーダーに沿って支持された移動装置付き脚を有し、この移動装置付き脚は、回転機構により水平方向で回転可能にされ、かつ、拡縮機構により幅方向で拡縮可能にされ、
前記下部ガーダーに沿って前記移動装置付き脚が移動する際に、下部ガーダーの断面方向の角度変化が生じた場合に、前記移動装置付き脚部を回転機構により水平方向で回転させて下部ガーダーの断面方向の角度変化に対応させる工程と、
前記下部ガーダーに沿って前記移動装置付き脚が移動する際に、下部ガーダーの断面方向の角度に急激な変化が生じた場合に、前記拡縮機構により前記移動装置付き脚の幅を拡縮することで前記回転機構による移動装置付き脚の回転と相まって前記下部ガーダーの断面方向の急激な角度変化に対応する工程と、
を含むものとすることができる。
【0024】
このような構成とすることにより、回転機構により移動機構付き脚を水平方向で回転可能に支持することで、移動装置付き脚の移動の際における下部ガーダーの大幅な断面変化に確実に対応することができ,また、拡縮機構により移動装置付き脚の幅を拡縮することで、回転支持機構と相まって、移動装置付き脚の移動の際における下部ガーダーの大幅な断面変化に確実に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施の形態にかかる直上高架橋の施工装置を示す側面図である。
【図2】図1の部材架設用施工装置の拡大側面図である。
【図3】図2の前方移動装置を矢視III方向から見た正面図である。
【図4】図3の前方移動装置を上方から見た斜視図である。
【図5】図3の前方移動装置の下側部分を示す斜視図である。
【図6】図1の基礎工用施工装置の概略平面図である。
【図7】図6の基礎工用施工装置の概略側面図である。
【図8】(A)は図6の基礎工用施工装置の回転機構を示す部分拡大平面図、(B)は回転機構により移動装置付き脚を水平方向で回転させた状態を示す部分拡大平面図である。
【図9】下部ガーダー支持状態を示す部分拡大側面図である。
【図10】図9の矢視X方向から見た側面図である。
【図11】下部ガーダーの連結部における中折れ機構の状態を示す拡大平面図である。
【図12】図11の矢視XI方向から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0027】
図1〜図12は、本発明の一実施の形態にかかる直上高架橋の施工装置を示す図である。
【0028】
図1は、本実施の形態にかかる直上高架橋の施工装置を示す側面図で、この直上高架橋の施工装置10は、既設の軌条12の直上に高架橋14を構築するもので、基礎工用施工装置16と、部材架設用施工装置18とを有している。
【0029】
各施工装置16及び18はそれぞれ下部ガーダー20、22及び上部ガーダー24、26を有している。
【0030】
基礎工用施工装置16は、杭構築等の基礎工を行うもので、下部ガーダー20と、上部ガーダー24とは汎用部材で形成されている。
【0031】
下部ガーダー20は、先行して構築される杭28または杭28施工用の下地工であるスタンドパイプ30に移動可能に支持されるようになっている。
【0032】
具体的には、基礎工は、既存の軌条12の外側位置に全周回転式圧入機等を設置し、杭施工用下地工のスタンドパイプ30を建て込み、杭施工機32にて掘削を行い、杭28を構築し、さらにフーチングを構築して形成されるようになっている。
【0033】
下部ガーダー20は、図9、図10に示すように、杭28または杭施工用下地工のスタンドパイプ30にブラケット34を取り付け、このブラケット34にジャッキ36を介して移動用ローラ38を支持させ、この移動用ローラ38が下部ガーダー20の下面側に取り付けたレール40と係合し、移動用ローラ38の駆動により軌条12(図1参照)に沿って移動可能に支持されるようになっている。
【0034】
この場合、下部ガーダー20は、杭28または杭施工用下地工のスタンドパイプ30等に対して偏心した位置に支持され、杭の構築や高架橋等の上部工となる部材架設等に影響を与えることなく施工が可能となる。
【0035】
また、下部ガーダー20は、ジャッキ36を介して支持されることで、このジャッキ36を既設の軌条12(図1参照)の縦断勾配に対応するものとして用い、ジャッキ36により既設の軌条12の縦断勾配に応じて容易に対応することができるようになっている。
【0036】
さらに、下部ガーダー20は、図11、図12に示すように、複数本のガーダー部材42を連結して形成されるようになっており、各ガーダー部材42間には両側に少なくとも一対の水平曲線対応用の中折れ機構としての中折れジャッキ44が設けられ、この中折れジャッキ44の調整により、既設の軌条12(図1参照)の水平曲線に応じて下部ガーダー20を容易に対応させることができるようになっている。
【0037】
上部ガーダー24は、図1に示すように、移動装置付き脚46を介して上部に前後方向に延びる前後方向ガイドレール48が支持されている。
【0038】
移動装置付き脚46は、図9及び図10に示すように、移動装置50により下部ガーダー20の上方に下部ガーダー20に沿って支持された状態となっており、移動装置50の下端に配設された移動用ローラ52が下部ガーダー20の上面側に設けたレール54と係合し、移動用ローラ52の駆動により下部ガーダー20上で移動可能にされている。
【0039】
前後方向ガイドレール48は、上部ガーダー24の横方向両側に一対設けられた状態となっている。
【0040】
そして、この一対の前後方向ガイドレール48に、複数の可動式吊り装置56が設けられている。
【0041】
これら複数の吊り装置56は、杭28または杭施工用の下地工を行うための各種施工機や施工材料を吊り下げ可能とするもので、複数台が同時使用可能とされている。
【0042】
また、各吊り装置56は、上部ガーダー24に固定された前後方向の移動を可能とする前後方向ガイドレール48に支持された図示せぬ横方向ガイドレールに横方向に移動可能に支持され、上部ガーダー24の前後及び横方向の全域にわたり移動可能となっている。
【0043】
また、この吊り装置56には、図示せぬが、掘削排土用装置が取り付け可能とされ、杭施工用下地工のスタンドパイプ30内の中掘により圧入抵抗を減少させることで、礫質地盤にも容易に対応できるようにされている。
【0044】
このように、吊り装置56を上部ガーダー24の前後及び横方向の全域にわたり移動可能とすることで、一方で杭施工用下地工のスタンドパイプ30、他方で杭28の施工等の同時施工を実現することが可能となり、工期短縮に寄与することが可能となり、さらに、下部ガーダー20の外側両端部位置にブラケット28の設置を可能にすることができる。
【0045】
また、上部ガーダー24には、複数の移動装置付き脚46に支持させた施工用ステージ58が設けられている。
【0046】
この施工用ステージ58には、杭28または杭施工用の下地工に用いる施工機を載置し、あるいは、杭施工用下地工のスタンドパイプ30、鉄筋篭、ブラケット等の施工材料を仮置きするようになっている。
【0047】
このように、施工用ステージ58に杭施工機を載置して施工用ステージ58から直接施工を行ったり、施工済み高架橋14(図1参照)からの資材の運搬、仮置き等を行って、施工の効率化、用地の有効利用を図ることが可能となる。
【0048】
さらに、上部ガーダー24と下部ガーダー20とは、図1に示すように、後方部でロッド状の緊結部材60により緊結可能にされ、施工時における下部ガーダー20を支持する杭28または杭施工用の下地工に作用する荷重の均等化及び上部ガーダー24の転倒を防止するようにしている。
【0049】
部材架設用施工装置18は、図1及び図2に示すように、基礎工上に高架橋14等の上部工を行うもので、下部ガーダー22と、上部ガーダー26とは基礎工用施工装置16の場合と同様に、汎用部材にて形成されている。
【0050】
下部ガーダー24は、基礎工用施工装置16の下部ガーダー20と同様に図9及び図10に示す構成となっており、詳細説明は省略する。
【0051】
上部ガーダー26は、前方移動装置62及び後方移動装置64により下部ガーダー22及び高架橋14の上方に下部ガーダー22及び高架橋14上の図示せぬレールに沿って移動可能に支持されている。
【0052】
前方移動装置62は、背の高い移動装置からなり、上部ガーダー26の前方部を支持し、後方移動装置64は、背の低い移動装置からなり、上部ガーダー26の後方部を支持している。
【0053】
後方移動装置64の下端部には、図示せぬが、移動用ローラが設けられ、この移動用ローラが構築された直上の高架橋14の上面に配設された図示せぬレールに係合し、移動用ローラの駆動により前記レールに沿って移動可能にされている。
【0054】
また、上部ガーダー26は、前方部及び後方部が前方移動装置62及び後方移動装置64に支持された状態で、幅方向に移動可能にされるとともに、前後方向で移動可能にされた天井クレーン装置66を搭載し、プレキャスト部材である高架橋14の橋脚68、橋梁70、床版72等を搬送、組み立て可能にされている。
【0055】
なお、この実施の形態では、プレキャスト部材としてフルプレキャスト部材を用い更なる工期の短縮化を図っている。
【0056】
この部材架設用施工装置18においては、直上高架橋の通常の幅部はもちろん、拡幅部等の変断面あるいはスタンドパイプ間隔の急激な変化に対応する必要があり、さらには、直上高架橋高さの大幅な変化に対応する必要がある。
【0057】
特に、前方移動装置62側は、後方移動装置64の場合に比し、幅や高さについての影響を直接受けることとなる。
【0058】
そのため、本実施の形態においては、図2及び図3に示すように、前方移動装置62を、図1〜図3に示す進行方向Aの両側部に位置する一対の脚部74と、これら脚部74を上部位置で連結する上部連結部76とを有する門型状に形成し、図3及び図4に示すように、その上部連結部76に、回転支持機構78と、拡幅機構80とを設けるとともに、一対の脚部74に上下スライド機構98を設けるようにしている。
【0059】
上部連結部76は、図4に示すように、天井クレーン装置66の横行レール82の両端部側に脚部74との連結部材84が設けられており、この連結部材84は進行方向Aに沿う一対の平行片86と、この一対の平行片86の中間位置でこれと直交して一対の平行片86を結ぶ交差片88とを有する平面H字状となっている。
【0060】
また、この連結部材84と対向する脚部74の上部も連結部材84と対応して平面H字状となっている。
【0061】
回転支持機構78は、外側の平行片86と交差片88との交差位置で1個の接合ピン90により脚部74と連結部材84とを水平方向で回転可能に連結するとともに、内側の平行片86の前後部に形成した接合ピン90を中心とする回転奇跡に沿った円弧溝92に脚部74より突出させた接合ピン94を摺動可能に係合させた状態となっている。
【0062】
このように、上部連結部76に設けた回転支持機構78により一対の脚部74を水平方向で回転可能に支持することで、前方移動装置62の進行方向Aへの移動の際における下部ガーダー22の大幅な断面変化に確実に対応することができる。
【0063】
この回転支持機構78による場合には、例えば、10mで約1.75mの角度変化に対応することができるようになっている。
【0064】
拡縮機構80は、上部連結部84の幅を拡縮することで一対の脚部74の間隔を拡縮するもので、上部連結部84は交差片88に横行レール82の両端部がスライド可能に連結された状態となっており、この交差片88と横行レール82にまたがって両側に伸縮ジャッキ96が設けられ、この伸縮ジャッキ96の伸縮によって一対の脚部74の間隔が拡縮されるようになっている。
【0065】
このように、上部連結部84に設けた拡縮機構80により上部連結部84の幅を拡縮することで一対の脚部74の間隔を拡縮することができ、これによって、回転支持機構78と相まって、前方移動装置62の進行方向Aへの移動の際におけるスタンドパイプの間隔の極端な変化等、下部ガーダー22の大幅な断面変化に確実に対応することができる。
【0066】
この拡縮機構80による場合には、最大4.5mの拡縮が可能である。
【0067】
上下スライド機構98は、一対の脚部74が上下方向で分割形成され、かつ、上下方向で伸縮可能に接合された上部脚部100及び下部脚部102と、上部脚部100及び下部脚部102の対応位置に長さ方向に沿って所定間隔で設けられた複数の連結孔104と、上部脚部100及び下部脚部102の一方(例えば上部脚部100)に設けられ、他方が連結孔104に対して脱着可能にされた一対の伸縮ジャッキ106と、所定の伸縮位置で上部脚部100及び下部脚部102の対応位置の連結孔104に装着可能にされた連結ピン108とを有する。
【0068】
連結孔104の間隔は、例えば0.8mで、スライド量が0.8mをこえる場合には、上下部脚部100、102を連結ピン108で仮固定した後、伸縮ジャッキ106を盛替え、再度上部脚部100を上下にスライドさせることで、高さ方向の変化に対応できるようになっている。
【0069】
また、この実施の形態では、6.4m以上の高さの変化にも対応できるようにしている。
【0070】
このように、伸縮ジャッキ106を盛替えることで、脚部74を複数段の高さ位置に位置決めすることができ、その結果、直上高架橋104の大幅な高さの変化に確実に対応することができる。
【0071】
また、本実施の形態においては、図6〜図8に示すように、基礎工用施工装置16は、下部ガーダー20の上方に下部ガーダー20に沿って支持された移動装置付き脚46が、拡縮機構兼用の回転機構110により水平方向で回転可能にされている。
【0072】
拡縮機構兼用の回転機構110は、図6及び図7に示すように、基礎工用施工装置16の進行方向Aに対し移動装置付き脚46の移動用ローラ52の角度を下部ガーダー20の断面変化に追従させて変化可能としている。
【0073】
この場合、移動装置付き脚46は、前部側及び後部側が中央梁部材112に対して伸縮梁部材114を伸縮可能にしており、前部側の中央梁部材112は後部側の中央梁部材112よりも太く形成されて、かつ、前部側の中央梁部材112と伸縮梁部材114とは長孔120及びピン122にて連結されて、前部側の伸縮梁部材114は前部側の移動装置付き脚46を水平方向で回転できるようにされている。
【0074】
そして、図8に示すように、前後部の移動装置付き脚46をそれぞれ水平ブレース116で水平回転可能に連結し、それぞれの中央梁部材112及び伸縮梁部材114を油圧ジャッキ118にて連結した状態となっている。
【0075】
このような拡縮機構兼用の回転機構110によれば、例えば図8(A)のような移動装置付き脚46が真っ直ぐ前方を向いた状態から、前部側の油圧ジャッキ118のみを伸長させれば、同図(B)に示すように、移動装置付き脚46は外側を向くような角度に変化させることができ、逆の動作をさせることで移動装置付き脚46を逆向きにさせることができる。
【0076】
また、この拡縮機構兼用の回転機構110は、前後部の油圧ジャッキ118を同方向に伸縮させることで、移動装置付き脚46間の間隔の拡縮機構として機能することとなる。
【0077】
このように、回転機構110によって、基礎工用施工装置16においても、移動の際における下部ガーダー20の大幅な断面変化に確実に対応することができる。
【0078】
なお、本実施の形態においては、回転機構110は、拡張機構兼用となっているが、この例に限定されるものではなく、回転機構110とは別個に、中央梁部材112を伸縮可能に形成し、この中央梁部材112を油圧ジャッキ118とは別個に設けた油圧ジャッキにて伸縮させるような拡縮機構を設けるようにすることも可能である。
【0079】
次に、このような直上高架橋の施工装置10を用いた直上高架橋の施工方法について、主に図1を参照しつつ説明する。
【0080】
まず、既存の軌条12の外側位置に全周回転式圧入機等を配置し、杭施工用下地工のスタンドパイプ30を建て込み、このスタンドパイプ30にブラケット34及びジャッキ36(図9〜図10参照)を取り付け、ジャッキ36に移動用ローラ38(図9、図10参照)を取り付ける工程を複数箇所で行う。
【0081】
この状態で、基礎工用施工装置16の下部ガーダー20のレール40(図10参照)を移動用ローラ38(図10参照)に係合させて、下部ガーダー20を支持させ、下部ガーダー20上に移動装置付き脚46の移動装置50を移動可能に支持させ、その上に上部ガーダー24を支持させる。
【0082】
上部ガーダー24には、予め施工用ステージ58を取り付けておき、杭施工機32等を載置しておく。
【0083】
次いで、さらに前方位置に、複数の吊り装置56を用いて各種施工機、施工材料等を取り付けて、杭施工用下地工のスタンドパイプ30の建て込み及び杭施工機32を用いた杭28、フーチング(図示せず)等の構築を同時施工にて行いつつ、下部ガーダー20を前進させる。
【0084】
この場合、礫質等の地盤などでは、吊り装置56に掘削排土用装置を取り付けて施工を行うことで杭施工用下地工の施工効率を高めるようにしている。
【0085】
次に、この後方の基礎工上に取り付けられた移動用ローラ38(図9、図10参照)に、部材架設用施工装置18の下部ガーダー22を移動可能に係合させ、その上に前方移動装置62を移動可能に支持させるとともに、後方の杭28上に橋脚68、橋梁70、床版72の組み立てを行い、構築した高架橋14上にレール(図示せず)を敷設して後方移動装置64を移動可能に支持させる。
【0086】
そして、前方移動装置62及び後方移動装置64上に部材架設用施工装置18の上部ガーダー26を支持させる。
【0087】
上部ガーダー26上には、天井クレーン装置66等を搭載しておく。
【0088】
次いで、前方の杭施工用下地工のスタンドパイプ30の建て込み、杭28の構築等の基礎工作業とともに、上部ガーダー26上の天井クレーン装置66を用いて後方の橋脚68、橋梁70、床版72等の組み立てを行う。
【0089】
次に、構築した高架橋14の床版72上にレール(図示せず)を敷設して、次の橋脚68上に橋梁70等を組み立てていく。
【0090】
次に、橋梁70を組み立てた隣の杭28上に橋脚68を組み立てて、次の高架橋14の組み立ての準備を行う。
【0091】
次の高架橋14の組み立て準備が整った状態で、移動装置50、前方移動装置62及び後方移動装置64により、各下部ガーダー20、22及び上部ガーダー24、26を前方に1スパン分移動させて、次の杭施工用下地工のスタンドパイプ30の建て込み及び高架橋14の組み立ての準備を行い、これを繰り返して高架橋14を構築していくようになっている。
【0092】
この場合、基礎工においては、部材架設用施工装置18を用いて構築した直上高架橋14上を利用して施工材料を部材架設用施工装置18の手前まで搬送し、部材架設用施工装置18の搬送手段である天井クレーン装置66及び基礎工用施工装置16の吊り装置56を用いて基礎工用の施工材料を直上高架橋14上より施工用ステージ58まで搬送して仮置きする。
【0093】
基礎工用の施工材料を直上高架橋14上より施工用ステージ58まで搬送するに際しては、部材架設用施工装置18の天井クレーン装置66にて直上高架橋14上の基礎工用の施工材料、例えば鉄筋篭を吊り上げ、その状態で天井クレーン装置66を前方に移動させ、部材架設用施工装置18と基礎工用施工装置16との間に待機させた地上の図示せぬ軌道上運搬車上に一旦鉄筋篭を吊り下ろす。
【0094】
次いで、軌道上運搬車にて鉄筋篭を基礎工用施工装置16の下部まで移動させ、そこで基礎工用施工装置16の吊り装置56にて施工用ステージ58まで搬送するようにしている。
【0095】
この場合、鉄筋篭を軌道上運搬車とともに吊り下ろし、鉄筋篭の搬送完了後に軌道上運搬車を天井クレーン装置66にて回収してもよい。
【0096】
また、天井クレーン装置66による施工材料の搬送は、直上高架橋14の養生期間中に行えば、部材架設用施工装置18の稼働に影響を与えることなく行うことが可能となる。
【0097】
そして、基礎工の進捗状況に応じて吊り装置56により施工用ステージ58に仮置きした施工材料を取り出し搬出して施工を行うことで、施工材料を他の搬送手段を用いることなく、さらには、他の用地を用いることなく搬送することができ、施工用ステージ58に仮置きした施工材料を進捗状況に応じて取り出し施工することが可能となる。
【0098】
なお、軌条12の縦断勾配及び水平曲折に対しては、図3〜図6に示すジャッキ36及び中折れジャッキ44の調節にて対応していくようになっている。
【0099】
このように、本実施の形態にかかる直上高架橋の施工装置10を用いる場合には、基礎工用施工装置16及び部材架設用施工装置18は、それぞれ下部ガーダー20、22及び上部ガーダー24、26を有する汎用性のある低コストのものとすることができ、しかも、各施工装置16、18は先行して構築される杭28または杭施工用の下地工であるスタンドパイプ30に支持させることで、荷重支持のための全面的な地盤改良や整地作業、横断する地下埋設物などの防護工等の必要もないため、大幅なコスト低減と工期短縮を実現することができる。
【0100】
また、基礎工用施工装置16で先行構築した杭28または杭施工用の下地工であるスタンドパイプ30に下部ガーダー20、22を支持させ、杭28が構築された状態で後続の部材架設用施工装置18により直上の高架橋14を構築することができ、一連の施工作業を効率よく行うことができることとなる。
【0101】
さらに、本実施の形態においては、部材架設用施工装置18は、前方移動装置62が下部ガーダー22上を移動する際に、下部ガーダー22の断面方向の角度変化が生じた場合に、上部連結部76に設けた一対の脚部74を水平方向で回転可能に支持する回転支持機構78により、一対の脚部74を回転させて下部ガーダー22の断面方向の大幅な角度変化に対応させるようになっている。
【0102】
また、前方移動装置62が下部ガーダー22上を移動する際に、下部ガーダー22の断面方向の角度に急激な変化、例えば、スタンドパイプ30の間隔の増減等の急激な変化が生じた場合に、上部連結部76に設けた上部連結部76の幅を拡縮する拡縮機構80により、一対の脚部74の間隔を拡縮することで回転支持機構78による脚部74の回転と相まって下部ガーダー22の断面方向の急激な角度変化に対応するようにしている。
【0103】
この場合、基礎工用施工装置16においても、回転機構110によって、移動装置付き脚46を水平方向で回転させることにより、移動の際における下部ガーダー20の大幅な断面変化に確実に対応することができることとなる。
【0104】
さらに、新設の直上高架橋14の高さに変化が生じた場合に、上下スライド機構98を用い、伸縮ジャッキ96により上下部脚部100、102の長さを調節して連結ピン108を上下部脚部100、102に形成した対応位置の連結孔104に挿入して脚部74の高さを調整し、さらに調整を必要とする場合には、伸縮ジャッキ96を順次盛替えることにより必要な高さまで脚部74の高さを調整するようにしている。
【0105】
このように、上部連結部76に設けた回転支持機構78により一対の脚部74を水平方向で回転可能に支持することで、前方移動装置62の移動の際における下部ガーダー22の大幅な断面変化に確実に対応することができる。
【0106】
また、上部連結部76に設けた拡縮機構80により上部連結部76の幅を拡縮することで一対の脚部74の間隔を拡縮することができ、これによって、回転支持機構78と相まって、前方移動装置62の移動の際における下部ガーダー22の大幅な断面変化に確実に対応することができる。
【0107】
そしてさらに、伸縮ジャッキ96を盛替えることで、脚部74を複数段の高さ位置に位置決めすることができ、その結果、直上高架橋14の大幅な高さの変化に確実に対応することができる。
【0108】
また、本実施の形態においては、基礎工において、下部ガーダー20に沿って移動装置付き脚46が移動する際に、下部ガーダー20の断面方向の角度変化が生じた場合に、移動装置付き脚46を拡縮機構兼用の回転機構110により水平方向で回転させて下部ガーダーの断面方向の角度変化に対応させるとともに、下部ガーダー20に沿って移動装置付き脚46が移動する際に、下部ガーダー20の断面方向の角度に急激な変化が生じた場合に、拡縮機構兼用の回転機構110により移動装置付き脚46の幅を拡縮することで回転機構による移動装置付き脚46の回転と相まって下部ガーダー20の断面方向の急激な角度変化に対応することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の形態に変形可能である。
【0110】
例えば、前記実施の形態では、基礎工用施工装置及び部材架設用施工装置の下部ガーダーを別体としているが、基礎工用施工装置の移動装置と、部材架設用施工装置の前方移動装置とを兼用として下部ガーダーを一体として形成してもよい。
【0111】
また、杭施工用の下地工であるスタンドパイプに替えて、本設の鋼管杭を施工してもよい。
【符号の説明】
【0112】
10 直上高架橋の施工装置
14 高架橋
16 基礎工用施工装置
18 部材架設用施工装置
20、22 下部ガーダー
24、26 上部ガーダー
28 杭
46 移動装置付き脚
62 前方移動装置
64 後方移動装置
74 脚部
76 上部連結部
78 回転支持機構
80 拡縮機構
84 連結部材
96、106 伸縮ジャッキ
98 上下スライド機構
100 上部脚部
102 下部脚部
104 連結孔
108 連結ピン
110 回転機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
杭構築等の下部工を行う基礎工用施工装置と、基礎工上に高架橋等の上部工を行う部材架設用施工装置とを有し、
前記各施工装置は、先行して構築される杭または杭打設用の下地工に移動可能に支持された下部ガーダーと、前記下部ガーダーに対して移動可能にされた上部ガーダーとを有し、
前記部材架設用施工装置は、前記下部ガーダー上で前記上部ガーダーの前方部を移動可能に支持する前方移動装置と、前記上部ガーダーの後方部を構築された直上高架橋上で移動可能に支持する後方移動装置とを有する直上高架橋の施工装置であって、
前記前方移動装置は、進行方向の両側部に位置する一対の脚部と、これら脚部を上部位置で連結する上部連結部とを有する門型状とされ、
前記上部連結部は、前記一対の脚部を水平方向で回転可能に支持する回転支持機構と、上部連結部の幅を拡縮することで前記一対の脚部の間隔を拡縮する拡縮機構とを有することを特徴とする直上高架橋の施工装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記一対の脚部は、上下スライド機構を有し、
前記上下スライド機構は、前記一対の脚部が上下方向で分割形成され、かつ、上下方向で伸縮可能に接合された上部脚部及び下部脚部と、前記上部脚部及び下部脚部の対応位置に長さ方向に沿って所定間隔で設けられた複数の連結孔と、前記上部脚部及び下部脚部の一方に設けられ、他方が前記連結孔に対して脱着可能にされた伸縮ジャッキと、所定の伸縮位置で前記上部脚部及び下部脚部の対応位置の連結孔に装着可能にされた連結ピンとを有することを特徴とする直上高架橋の施工装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記基礎工用施工装置は、下部ガーダーの上方に下部ガーダーに沿って支持された移動装置付き脚を有し、この移動装置付き脚は、回転機構により水平方向で回転可能にされ、かつ、拡縮機構により幅方向で拡縮可能にされていることを特徴とする直上高架橋の施工装置。
【請求項4】
杭構築等の下部工を行う基礎工用施工装置と、基礎工上に高架橋等の上部工を行う部材架設用施工装置とを用い、前記基礎工用施工装置にて、上部工に先行して杭または杭打設用の下地工を施工する工程と、前記先行構築された杭または杭打設用の下地工に前記基礎工用施工装置の下部ガーダーを移動可能に支持させ、この下部ガーダーに対して前記基礎工用施工装置の上部ガーダーを移動可能に支持させる工程と、前記杭または杭打設用の下地工に前記部材架設用施工装置の下部ガーダーを移動可能に支持させ、構築された直上高架橋上で上部ガーダーを移動可能に支持させる工程と、前記基礎工用施工装置の移動に伴い基礎工用施工装置により構築された杭上に前記部材架設用施工装置にて順次直上高架橋を構築する工程とを含む直上高架橋の施工方法であって、
前記部材架設用施工装置は、前記下部ガーダー上で前記上部ガーダーの前方部を移動可能に支持する前方移動装置と、前記上部ガーダーの後方部を構築された直上高架橋上で移動可能に支持する後方移動装置とを有し、前記前方移動装置は、進行方向の両側部に位置する一対の脚部と、これら脚部を上部位置で連結する上部連結部とを有する門型状とされ、
前方移動装置が下部ガーダー上を移動する際に、下部ガーダーの断面方向の角度変化が生じた場合に、前記上部連結部に設けた前記一対の脚部を水平方向で回転可能に支持する回転支持機構により、前記一対の脚部を回転させて下部ガーダーの断面方向の角度変化に対応させる工程と、
前方移動装置が下部ガーダー上を移動する際に、下部ガーダーの断面方向の角度に急激な変化が生じた場合に、前記上部連結部に設けた上部連結部の幅を拡縮する拡縮機構により、前記一対の脚部の間隔を拡縮することで前記回転支持機構による脚部の回転と相まって前記下部ガーダーの断面方向の急激な角度変化に対応する工程と、
新設の直上高架橋の高さに変化が生じた場合に、前記一対の脚部が上下方向で分割形成され、かつ、上下方向で伸縮可能に接合された上部脚部及び下部脚部と、前記上部脚部及び下部脚部の対応位置に長さ方向に沿って所定間隔で設けられた複数の連結孔と、前記上部脚部及び下部脚部の一方に設けられ、他方が前記連結孔に対して脱着可能にされた伸縮ジャッキと、所定の伸縮位置で前記上部脚部及び下部脚部の対応位置の連結孔に装着可能にされた連結ピンとを有する上下スライド機構を用い、前記伸縮ジャッキにより上下部脚部の長さを調節して連結ピンを上下部脚部に形成した対応位置の位置決め穴に挿入して脚部の高さを調整し、さらに調整を必要とする場合には、伸縮ジャッキを順次盛替えることにより必要な高さまで脚部の高さを調整する工程と、
を含むことを特徴とする直上高架橋の施工方法。
【請求項5】
請求項4において、
前記基礎工用施工装置は、下部ガーダーの上方に下部ガーダーに沿って支持された移動装置付き脚を有し、この移動装置付き脚は、回転機構により水平方向で回転可能にされ、かつ、拡縮機構により幅方向で拡縮可能にされ、
前記下部ガーダーに沿って前記移動装置付き脚が移動する際に、下部ガーダーの断面方向の角度変化が生じた場合に、前記移動装置付き脚部を回転機構により水平方向で回転させて下部ガーダーの断面方向の角度変化に対応させる工程と、
前記下部ガーダーに沿って前記移動装置付き脚が移動する際に、下部ガーダーの断面方向の角度に急激な変化が生じた場合に、前記拡縮機構により前記移動装置付き脚の幅を拡縮することで前記回転機構による移動装置付き脚の回転と相まって前記下部ガーダーの断面方向の急激な角度変化に対応する工程と、
を含むことを特徴とする直上高架橋の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−202076(P2012−202076A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66348(P2011−66348)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000166432)戸田建設株式会社 (328)
【Fターム(参考)】