直動案内装置
【課題】スライダ移動時におけるインナーシール及びエンドキャップとの相対移動を簡便な構造により規制することにより、シール部材の損傷を防止すると同時に、製作コストの低減化を図ることができる直動案内装置を提供する。
【解決手段】一対のエンドキャップ5a,5bの外方端部にキャップ側係合部14,14を設けている。インナーシール6は、伸縮自在な合成樹脂材料で構成し、シール本体9の伸縮方向の両端部に一対のシール側係合部12、12を設けている。インナーシールの自由長L2を、一対のエンドキャップのキャップ側係合部の間の距離L1より小さな値に設定している。そして、インナーシールを伸長させて一対のシール側係合部を一対のエンドキャップの前記キャップ側係合部に係合し、伸長を解除してインナーシールを弾性収縮させた状態で、一対のエンドキャップの間に装着している。
【解決手段】一対のエンドキャップ5a,5bの外方端部にキャップ側係合部14,14を設けている。インナーシール6は、伸縮自在な合成樹脂材料で構成し、シール本体9の伸縮方向の両端部に一対のシール側係合部12、12を設けている。インナーシールの自由長L2を、一対のエンドキャップのキャップ側係合部の間の距離L1より小さな値に設定している。そして、インナーシールを伸長させて一対のシール側係合部を一対のエンドキャップの前記キャップ側係合部に係合し、伸長を解除してインナーシールを弾性収縮させた状態で、一対のエンドキャップの間に装着している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばロボットや搬送装置等の産業機械分野に用いられる直動案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械などで使用される直動案内装置は、一般に、直線状に形成された案内レールと、案内レールの長手方向に相対移動するスライダと、スライダ内に転動自在に組み込まれた多数の転動体とからなり、スライダは案内レールの左右側面部に形成された転動体転動溝と対向する複数の転動体転動溝を有するスライダ本体と、このスライダ本体の転動体転動溝と案内レールの転動体転動溝との間を転動した転動体をスライダ本体内に形成された転動体戻し通路に案内する転動体案内路を有するスライダ本体の前端部及び後端部に配置した一対のエンドキャップとを備えた構成となっている。
このような直動案内装置は、切削粉や塵埃などの粉塵が案内レールの転動体転動溝とスライダ本体の転動体転動溝との間に案内レールの上面部から侵入すると、転動体の転がり運動が阻害されたりする原因となるため、案内レールの転動体転動溝とスライダ本体の転動体転動溝との間をシールする必要がある。
【0003】
そこで、案内レールの転動体転動溝とスライダ本体の転動体転動溝との間をスライダの内側からシールするインナーシール部材を配置することが知られている。
特許文献1のインナーシールは、スライダ本体の前端部に配置した一方のエンドキャップからスライダ本体の後端部の他方のエンドキャップまで延在する長尺部材であり、案内レールの上面に摺接するシールリップ部を設けている。
【0004】
インナーシールの長手方向の端部には凸部が設けられており、これら凸部を、一方及び他方のエンドキャップに設けた凹溝に差し込むことでインナーシールが支持されている。
一般にインナーシールは、エンドキャップの外側に配置されるサイドシールとセットで使用されており、サイドシールとともに、案内レールの転動体転動溝とスライダ本体の転動体転動溝との間への異物の侵入を防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−57580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記構成の直動案内装置は、インナーシールの凸部とエンドキャップの凹溝とが、スライダの移動方向に隙間が生じた状態で係合しており、スライダ移動時に、インナーシールが案内レールとの摩擦によりスライダ移動方向と逆方向に隙間の長さだけ移動すると、インナーシール及びサイドシールが互いの干渉により損傷するおそれがある。
そこで、凸部と凹溝との間に隙間が生じないようにインナーシール及びエンドキャップを組み付けると、インナーシール及びサイドシールの干渉を防止することができる。しかし、インナーシール及びエンドキャップを高精度に製作しなければならないので、直動案内装置の製作コストの面で問題がある。
【0007】
本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、スライダ移動時におけるインナーシール及びエンドキャップとの相対移動を簡便な構造により規制することにより、シール部材の損傷を防止すると同時に、製作コストの低減化を図ることができる直動案内装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る請求項1記載の直動案内装置は、案内レールと、この案内レールの長手方向に相対移動するスライダと、このスライダ内に転動自在に組み込まれた多数の転動体とを有し、前記スライダは、転動体転動路を有するスライダ本体と、前記転動体転動路の転動体循環部を有して前記スライダ本体の移動方向の前後端部に固定した一対のエンドキャップと、前記スライダ本体の内部に移動方向に沿って配置されて前記案内レールの上面に摺動するシールリップ部を有するインナーシールとを備えた直動案内装置において、前記一対のエンドキャップのそれぞれの外方端部に、前記インナーシールが係合するキャップ側係合部を設け、前記インナーシールは、伸縮自在な合成樹脂材料で構成し、シール本体の伸縮方向の両端部に一対のシール側係合部を設けており、
前記インナーシールの自由長を、前記一対のエンドキャップのキャップ側係合部の間の距離より小さな値に設定し、前記インナーシールを伸長させて前記一対のシール側係合部を前記一対のエンドキャップの前記キャップ側係合部に係合し、伸長を解除して前記インナーシールを弾性収縮させた状態で、前記一対のエンドキャップの間に装着した。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の直動案内装置において、前記キャップ側係合部は、前記移動方向を向いている係合内壁を設けた第1係合凹部であり、前記シール側係合部は、前記シール本体の両端部から突出し、前記インナーシールの弾性収縮のときに前記係合内壁に当接する係合外壁を有する第1係合凸部である。
さらに、請求項3記載の発明は、請求項2記載の直動案内装置において、前記係合内壁及び前記係合外壁の一方に、他方に向けて部分的に突出する第2係合凸部を設けるとともに、前記係合内壁及び前記係合外壁の他方に、一方に設けた前記第2係合凸部が入り込む第2係合凹部を設けた。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る直動案内装置によれば、伸縮自在なインナーシールを伸長させて一対のシール側係合部を一対のエンドキャップのキャップ側係合部に係合し、伸長を解除してインナーシールを弾性収縮させた状態で前記一対のエンドキャップに装着したことから、インナーシールが一対のエンドキャップに対してスライダの移動方向に隙間を生じさせずに装着されるという簡便な構造として、シール部材の損傷を防止すると同時に、製作コストの低減化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る直動案内装置の構成部材を示す斜視図である。
【図2】スライダを構成する部材を示す要部断面斜視図である。
【図3】本発明に係るインナーシールを示す図である。
【図4】直動案内装置の一部を軸方向から見た図である。
【図5】本発明に係るキャップ側係合部及びシール側係合部の係合状態を示す図である。
【図6】図5のA−A線矢視図である。
【図7】本発明に係る第1実施形態のインナーシールをエンドキャップに装着する前の状態を示す図である。
【図8】本発明に係る第1実施形態のインナーシールを伸長させてエンドキャップに装着する直前の状態を示す図である。
【図9】本発明に係る第1実施形態のインナーシールをエンドキャップに装着した状態を示す図である。
【図10】本発明に係る第1実施形態のインナーシール及びエンドキャップの形状を示す図である。
【図11】本発明に係る第2実施形態のインナーシールをエンドキャップに装着する前の状態を示す図である。
【図12】本発明に係る第2実施形態のインナーシールを伸長させてエンドキャップに装着する直前の状態を示す図である。
【図13】本発明に係る第2実施形態のインナーシールをエンドキャップに装着した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示す直動案内装置1は、案内レール2と、案内レール2の長手方向に相対移動するスライダ3とを備えている。
スライダ3は、案内レール2に跨架されたスライダ本体4と、スライダ本体4の移動方向の前後端部に装着された一対のエンドキャップ5a,5bと、スライダ本体4の移動方向に長手方向が延在してスライダ本体4の内部に配置されているインナーシール6と(図2参照)、一対のエンドキャップ5a,5bの外側にそれぞれ固定されるサイドシール7と、各サイドシール7の外側に固定されるプロテクタ8とを備えている。
【0013】
インナーシール6は、図3に示すように、熱硬化性エラストマなどの伸縮自在な合成樹脂材料で形成されており、梯子状に形成されたシール本体9と、シール本体9の長手方向の両端部から長手方向外方に突出している左右一対の第1腕部10a,10a及び第2腕部10b,10bと、第1腕部10a,10a、第2腕部10b,10b及びシール本体9の幅方向縁部から同一方向に突出している一対のシールリップ部11,11と、第1腕部10a,10a及び第2腕部10b,10bの先端部からシールリップ部11に対して逆側に突出している係合凸部12とを備えている。
【0014】
図4に示すように、一方のエンドキャップ5bは、軸方向から見ると下向きに開放したコの字形の形状を有しており、このエンドキャップ5bの内上面13が案内レール2の上面2aに対面している。そして、内上面13のサイドシール7に近接する側に一対の第1係合凹部14が形成されており、これら第1係合凹部14に、インナーシール6の一対の第2腕部10b,10bの先端部から突出した第1係合凸部12が係合している。
【0015】
第1係合凹部14は、図5に示すように、エンドキャップ5bの移動方向に対して直交する幅方向において互いに対向している一対の第1内壁14aと、図6に示すように、サイドシール7が固定されるエンドキャップ5bの外側を向くように一対の第1内壁14aの間に形成されている第2内壁14bと、案内レール2の上面2aを向くように一対の第1内壁14aの間に形成された第3内壁14cとを備えている。
【0016】
そして、この第1係合凹部14に係合するインナーシール6の一対の第2腕部10b,10bの第1係合凸部12には、図6に示すように、第1係合凹部14の第2内壁14bに面接触状態で当接する係合面12aが形成されている。
また、他方のエンドキャップ5aにも、図4に示したエンドキャップ5bと同様に、内上面13のサイドシール7に近接する側に一対の第1係合凹部14が形成されており、この第1係合凹部14の形状も、図5及び図6に示したものと同一である。
【0017】
また、他方のエンドキャップ5aの第1係合凹部14に係合するインナーシール6の一対の第1腕部10a,10aの第1係合凸部12も、図6に示しように、第1係合凹部14の第2内壁14bに面接触状態で当接する係合面12aが形成されている。
なお、本発明の係合内壁が第2内壁14bに対応し、本発明の係合外壁が係合面12aに対応し、本発明のインナーシールの自由長は第1係合凸部間距離L2に対応し、本発明の一対のエンドキャップのキャップ側係合部の間の距離が第1係合凹部間距離L1に対応している。
【0018】
ここで、図7に示すように、スライダ本体4の移動方向の前後端部に一対のエンドキャップ5a,5bを固定すると、一方のエンドキャップ5aに形成されている第1係合凹部14の第2内壁14bと、他方のエンドキャップ5bに形成されている第1係合凹部14の第2内壁14bとの間の長手方向の距離(以下、第1係合凹部間距離と称する)は、L1に設定されている。
【0019】
また、長手方向に引張り力が付与されていない伸長前(自由長)のインナーシール6は、第1腕部10aに形成されている第1係合凸部12の係合面12aと、第2腕部10bに形成されている第1係合凸部12の係合面12aとの間の長手方向の距離(以下、第1係合凸部間距離と称する)L2が、第1係合凹部間距離L1より小さな値に設定されている(L2<L1)。
図8に示すように、インナーシール6に長手方向の引張り力を付与してインナーシール6全体を弾性伸長させ、第1係合凸部間距離L2´が第1係合凹部間距離L1と略同一寸法となるまでインナーシール6を伸長させる。
【0020】
そして、第1係合凸部間距離L2´が第1係合凹部間距離L1と略同一寸法となるようにインナーシール6に引張り力を付与した状態で、インナーシール6の第1腕部10aの第1係合凸部12をエンドキャップ5aの第1係合凹部14に係合し、インナーシール6の第2腕部10aの第1係合凸部12をエンドキャップ5aの第1係合凹部14に係合した後、インナーシール6への引張り力の付与を解除する。
【0021】
これにより、図9に示すように、インナーシール6が元の形状まで弾性収縮しようとする際に、第1及び第2腕部10a,10bの第1係合凸部12が、エンドキャップ5a,5bの第2内壁14bに向けて移動することで第2内壁14bに対して保持力Fを作用し、第1係合凸部12の係合面12a及び第2内壁14bの間に摩擦力が作用することで、インナーシール6が、一対のエンドキャップ5a,5bに跨がった状態で装着される。
【0022】
本実施形態によると、伸縮自在なインナーシール6を、自身の第1係合凸部間距離が一対のエンドキャップ5a,5bの間の第1係合凹部間距離L1と略同一寸法(第1係合凹部間距離L1=第1凸部間距離L2´)となるまで伸長させ、インナーシール6の長手方向両端部に設けた第1係合凸部12を一対のエンドキャップ5a,5bの第1係合凹部にそれぞれ係合した後にインナーシール6を元の形状まで弾性収縮させると、インナーシール6が、一対のエンドキャップ5a,5bに対して相対移動不可能に装着される。したがって、本実施形態は、弾性収縮するインナーシール6が一対のエンドキャップ5a,5bに対してスライダ3の移動方向に隙間を生じさせずに装着されるという簡便な構造とすることによって、スライダ3の移動時におけるインナーシール6及びサイドシール7が互いの干渉によって損傷するのを防止することができる。
【0023】
また、インナーシール6が元の形状まで弾性収縮しようとする際に、インナーシール6の長手方向両端部に設けられている第1係合凸部12が、一対のエンドキャップ5a,5bの第2内壁14bに向けて移動することで第2内壁14bに対して保持力Fを作用し、第1係合凸部12の係合面12a及び第2内壁14bの間に摩擦力が作用するので、インナーシール6は、一対のエンドキャップ5a,5bに跨がった状態で確実に装着される。
【0024】
そして、インナーシール6は、長手方向両端部に第1係合凸部12を設けた伸縮自在な部材であり、一対のエンドキャップ5a,5bも、サイドシール7に近接する側に第1係合凹部14を設けた部材であり、これらインナーシール6及びエンドキャップ5a,5bの製作にさほど手間がかからないので、直動案内装置1の製作コストの低減化を図ることができる。
【0025】
次に、図10から図13は、本発明に係る第2実施形態の要部を示すものである。なお、図7から図9で示した構成と同一構成部分には、同一符号を付して説明は省略する。
図10に示すように、一方のエンドキャップ5bに設けた第1係合凹部14の第2内壁14bの一部に、第2係合凹部15が形成されている。また、図10では示していないが、他方のエンドキャップ5aに設けた第1係合凹部14の第2内壁14bの一部にも、第2係合凹部15が形成されている。
【0026】
また、インナーシール6の一対の第2腕部10b,10bの先端部から突出している第1係合凸部12の係合面12aの一部に第2係合凸部16が形成されている。この第2係合凸部16は、前述した第2係合凹部15に入り込むことが可能な大きさに設定されている。また、図10では示していないが、インナーシール6の一対の第1腕部10a,10aの先端部から突出している第1係合凸部12の係合面12aの一部にも第2係合凸部16が形成されている。
【0027】
図11に示すように、長手方向に引張り力が付与されていない伸長前(自由長)のインナーシール6は、第1腕部10aに形成されている第1係合凸部12の係合面12aに形成した第2係合凸部16と、第2腕部10bの第1係合凸部12の係合面12aに形成した第2係合凸部16との間の長手方向の距離(以下、第2係合凸部間距離と称する)L3が、第1係合凹部間距離L1より小さな値に設定されている(L3<L1)。
【0028】
そして、図12に示すように、インナーシール6に長手方向の引張り力を付与してインナーシール6全体を弾性伸長させ、第2係合凸部間距離L3´が第1係合凹部間距離L1と略同一寸法となるまでインナーシール6を伸長させる。
そして、第2係合凸部間距離L3´が第1係合凹部間距離L1と略同一寸法となるようにインナーシール6に引張り力を付与した状態で、インナーシール6の第1腕部10aの第1係合凸部12をエンドキャップ5aの第1係合凹部14に係合し、インナーシール6の第2腕部10aの第1係合凸部12をエンドキャップ5aの第1係合凹部14に係合した後、インナーシール6への引張り力の付与を解除する。
【0029】
これにより、図13に示すように、インナーシール6が元の形状まで弾性収縮しようとする際に、第1及び第2腕部10a,10bの第1係合凸部12が、エンドキャップ5a,5bの第2内壁14bに向けて移動することで第2内壁14bに対して保持力Fを作用し、第1係合凸部12の第2係合凸部16が、第1係合凹部14(第2内壁14b)の第2係合凹部15に入り込み、インナーシール6が、一対のエンドキャップ5a,5bに跨がった状態で装着される。
【0030】
本実施形態によると、インナーシール6が元の形状まで弾性収縮しようとする際に、インナーシール6の長手方向両端部に設けられている第1係合凸部12が、一対のエンドキャップ5a,5bの第2内壁14bに向けて移動することで第2内壁14bに対して保持力Fを作用し、第1係合凸部12の第2係合凸部16が第1係合凹部14(第2内壁14b)の第2係合凹部15に入り込むことで一対のエンドキャップ5a,5bからインナーシール6の脱落が防止されるので、インナーシール6は、一対のエンドキャップ5a,5bに跨がった状態で確実に装着される。
【符号の説明】
【0031】
1…直動案内装置、2…案内レール、2a…上面、3…スライダ、4…スライダ本体、5a,5b…エンドキャップ、6…インナーシール、7…サイドシール、8…プロテクタ、9…シール本体、10a…第1腕部、10b…第2腕部、11…シールリップ部、12…第1係合凸部、12a…係合面、13…内上面、14…第1係合凹部、14a…第1内壁、14b…第2内壁、14c…第3内壁、15…第2係合凹部、16…第2係合凹部、L1…第1係合凹部間距離、L2…第1係合凸部間距離、L2´…第1係合凸部間距離、L3…第2係合凸部間距離
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばロボットや搬送装置等の産業機械分野に用いられる直動案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械などで使用される直動案内装置は、一般に、直線状に形成された案内レールと、案内レールの長手方向に相対移動するスライダと、スライダ内に転動自在に組み込まれた多数の転動体とからなり、スライダは案内レールの左右側面部に形成された転動体転動溝と対向する複数の転動体転動溝を有するスライダ本体と、このスライダ本体の転動体転動溝と案内レールの転動体転動溝との間を転動した転動体をスライダ本体内に形成された転動体戻し通路に案内する転動体案内路を有するスライダ本体の前端部及び後端部に配置した一対のエンドキャップとを備えた構成となっている。
このような直動案内装置は、切削粉や塵埃などの粉塵が案内レールの転動体転動溝とスライダ本体の転動体転動溝との間に案内レールの上面部から侵入すると、転動体の転がり運動が阻害されたりする原因となるため、案内レールの転動体転動溝とスライダ本体の転動体転動溝との間をシールする必要がある。
【0003】
そこで、案内レールの転動体転動溝とスライダ本体の転動体転動溝との間をスライダの内側からシールするインナーシール部材を配置することが知られている。
特許文献1のインナーシールは、スライダ本体の前端部に配置した一方のエンドキャップからスライダ本体の後端部の他方のエンドキャップまで延在する長尺部材であり、案内レールの上面に摺接するシールリップ部を設けている。
【0004】
インナーシールの長手方向の端部には凸部が設けられており、これら凸部を、一方及び他方のエンドキャップに設けた凹溝に差し込むことでインナーシールが支持されている。
一般にインナーシールは、エンドキャップの外側に配置されるサイドシールとセットで使用されており、サイドシールとともに、案内レールの転動体転動溝とスライダ本体の転動体転動溝との間への異物の侵入を防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−57580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記構成の直動案内装置は、インナーシールの凸部とエンドキャップの凹溝とが、スライダの移動方向に隙間が生じた状態で係合しており、スライダ移動時に、インナーシールが案内レールとの摩擦によりスライダ移動方向と逆方向に隙間の長さだけ移動すると、インナーシール及びサイドシールが互いの干渉により損傷するおそれがある。
そこで、凸部と凹溝との間に隙間が生じないようにインナーシール及びエンドキャップを組み付けると、インナーシール及びサイドシールの干渉を防止することができる。しかし、インナーシール及びエンドキャップを高精度に製作しなければならないので、直動案内装置の製作コストの面で問題がある。
【0007】
本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、スライダ移動時におけるインナーシール及びエンドキャップとの相対移動を簡便な構造により規制することにより、シール部材の損傷を防止すると同時に、製作コストの低減化を図ることができる直動案内装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る請求項1記載の直動案内装置は、案内レールと、この案内レールの長手方向に相対移動するスライダと、このスライダ内に転動自在に組み込まれた多数の転動体とを有し、前記スライダは、転動体転動路を有するスライダ本体と、前記転動体転動路の転動体循環部を有して前記スライダ本体の移動方向の前後端部に固定した一対のエンドキャップと、前記スライダ本体の内部に移動方向に沿って配置されて前記案内レールの上面に摺動するシールリップ部を有するインナーシールとを備えた直動案内装置において、前記一対のエンドキャップのそれぞれの外方端部に、前記インナーシールが係合するキャップ側係合部を設け、前記インナーシールは、伸縮自在な合成樹脂材料で構成し、シール本体の伸縮方向の両端部に一対のシール側係合部を設けており、
前記インナーシールの自由長を、前記一対のエンドキャップのキャップ側係合部の間の距離より小さな値に設定し、前記インナーシールを伸長させて前記一対のシール側係合部を前記一対のエンドキャップの前記キャップ側係合部に係合し、伸長を解除して前記インナーシールを弾性収縮させた状態で、前記一対のエンドキャップの間に装着した。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の直動案内装置において、前記キャップ側係合部は、前記移動方向を向いている係合内壁を設けた第1係合凹部であり、前記シール側係合部は、前記シール本体の両端部から突出し、前記インナーシールの弾性収縮のときに前記係合内壁に当接する係合外壁を有する第1係合凸部である。
さらに、請求項3記載の発明は、請求項2記載の直動案内装置において、前記係合内壁及び前記係合外壁の一方に、他方に向けて部分的に突出する第2係合凸部を設けるとともに、前記係合内壁及び前記係合外壁の他方に、一方に設けた前記第2係合凸部が入り込む第2係合凹部を設けた。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る直動案内装置によれば、伸縮自在なインナーシールを伸長させて一対のシール側係合部を一対のエンドキャップのキャップ側係合部に係合し、伸長を解除してインナーシールを弾性収縮させた状態で前記一対のエンドキャップに装着したことから、インナーシールが一対のエンドキャップに対してスライダの移動方向に隙間を生じさせずに装着されるという簡便な構造として、シール部材の損傷を防止すると同時に、製作コストの低減化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る直動案内装置の構成部材を示す斜視図である。
【図2】スライダを構成する部材を示す要部断面斜視図である。
【図3】本発明に係るインナーシールを示す図である。
【図4】直動案内装置の一部を軸方向から見た図である。
【図5】本発明に係るキャップ側係合部及びシール側係合部の係合状態を示す図である。
【図6】図5のA−A線矢視図である。
【図7】本発明に係る第1実施形態のインナーシールをエンドキャップに装着する前の状態を示す図である。
【図8】本発明に係る第1実施形態のインナーシールを伸長させてエンドキャップに装着する直前の状態を示す図である。
【図9】本発明に係る第1実施形態のインナーシールをエンドキャップに装着した状態を示す図である。
【図10】本発明に係る第1実施形態のインナーシール及びエンドキャップの形状を示す図である。
【図11】本発明に係る第2実施形態のインナーシールをエンドキャップに装着する前の状態を示す図である。
【図12】本発明に係る第2実施形態のインナーシールを伸長させてエンドキャップに装着する直前の状態を示す図である。
【図13】本発明に係る第2実施形態のインナーシールをエンドキャップに装着した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示す直動案内装置1は、案内レール2と、案内レール2の長手方向に相対移動するスライダ3とを備えている。
スライダ3は、案内レール2に跨架されたスライダ本体4と、スライダ本体4の移動方向の前後端部に装着された一対のエンドキャップ5a,5bと、スライダ本体4の移動方向に長手方向が延在してスライダ本体4の内部に配置されているインナーシール6と(図2参照)、一対のエンドキャップ5a,5bの外側にそれぞれ固定されるサイドシール7と、各サイドシール7の外側に固定されるプロテクタ8とを備えている。
【0013】
インナーシール6は、図3に示すように、熱硬化性エラストマなどの伸縮自在な合成樹脂材料で形成されており、梯子状に形成されたシール本体9と、シール本体9の長手方向の両端部から長手方向外方に突出している左右一対の第1腕部10a,10a及び第2腕部10b,10bと、第1腕部10a,10a、第2腕部10b,10b及びシール本体9の幅方向縁部から同一方向に突出している一対のシールリップ部11,11と、第1腕部10a,10a及び第2腕部10b,10bの先端部からシールリップ部11に対して逆側に突出している係合凸部12とを備えている。
【0014】
図4に示すように、一方のエンドキャップ5bは、軸方向から見ると下向きに開放したコの字形の形状を有しており、このエンドキャップ5bの内上面13が案内レール2の上面2aに対面している。そして、内上面13のサイドシール7に近接する側に一対の第1係合凹部14が形成されており、これら第1係合凹部14に、インナーシール6の一対の第2腕部10b,10bの先端部から突出した第1係合凸部12が係合している。
【0015】
第1係合凹部14は、図5に示すように、エンドキャップ5bの移動方向に対して直交する幅方向において互いに対向している一対の第1内壁14aと、図6に示すように、サイドシール7が固定されるエンドキャップ5bの外側を向くように一対の第1内壁14aの間に形成されている第2内壁14bと、案内レール2の上面2aを向くように一対の第1内壁14aの間に形成された第3内壁14cとを備えている。
【0016】
そして、この第1係合凹部14に係合するインナーシール6の一対の第2腕部10b,10bの第1係合凸部12には、図6に示すように、第1係合凹部14の第2内壁14bに面接触状態で当接する係合面12aが形成されている。
また、他方のエンドキャップ5aにも、図4に示したエンドキャップ5bと同様に、内上面13のサイドシール7に近接する側に一対の第1係合凹部14が形成されており、この第1係合凹部14の形状も、図5及び図6に示したものと同一である。
【0017】
また、他方のエンドキャップ5aの第1係合凹部14に係合するインナーシール6の一対の第1腕部10a,10aの第1係合凸部12も、図6に示しように、第1係合凹部14の第2内壁14bに面接触状態で当接する係合面12aが形成されている。
なお、本発明の係合内壁が第2内壁14bに対応し、本発明の係合外壁が係合面12aに対応し、本発明のインナーシールの自由長は第1係合凸部間距離L2に対応し、本発明の一対のエンドキャップのキャップ側係合部の間の距離が第1係合凹部間距離L1に対応している。
【0018】
ここで、図7に示すように、スライダ本体4の移動方向の前後端部に一対のエンドキャップ5a,5bを固定すると、一方のエンドキャップ5aに形成されている第1係合凹部14の第2内壁14bと、他方のエンドキャップ5bに形成されている第1係合凹部14の第2内壁14bとの間の長手方向の距離(以下、第1係合凹部間距離と称する)は、L1に設定されている。
【0019】
また、長手方向に引張り力が付与されていない伸長前(自由長)のインナーシール6は、第1腕部10aに形成されている第1係合凸部12の係合面12aと、第2腕部10bに形成されている第1係合凸部12の係合面12aとの間の長手方向の距離(以下、第1係合凸部間距離と称する)L2が、第1係合凹部間距離L1より小さな値に設定されている(L2<L1)。
図8に示すように、インナーシール6に長手方向の引張り力を付与してインナーシール6全体を弾性伸長させ、第1係合凸部間距離L2´が第1係合凹部間距離L1と略同一寸法となるまでインナーシール6を伸長させる。
【0020】
そして、第1係合凸部間距離L2´が第1係合凹部間距離L1と略同一寸法となるようにインナーシール6に引張り力を付与した状態で、インナーシール6の第1腕部10aの第1係合凸部12をエンドキャップ5aの第1係合凹部14に係合し、インナーシール6の第2腕部10aの第1係合凸部12をエンドキャップ5aの第1係合凹部14に係合した後、インナーシール6への引張り力の付与を解除する。
【0021】
これにより、図9に示すように、インナーシール6が元の形状まで弾性収縮しようとする際に、第1及び第2腕部10a,10bの第1係合凸部12が、エンドキャップ5a,5bの第2内壁14bに向けて移動することで第2内壁14bに対して保持力Fを作用し、第1係合凸部12の係合面12a及び第2内壁14bの間に摩擦力が作用することで、インナーシール6が、一対のエンドキャップ5a,5bに跨がった状態で装着される。
【0022】
本実施形態によると、伸縮自在なインナーシール6を、自身の第1係合凸部間距離が一対のエンドキャップ5a,5bの間の第1係合凹部間距離L1と略同一寸法(第1係合凹部間距離L1=第1凸部間距離L2´)となるまで伸長させ、インナーシール6の長手方向両端部に設けた第1係合凸部12を一対のエンドキャップ5a,5bの第1係合凹部にそれぞれ係合した後にインナーシール6を元の形状まで弾性収縮させると、インナーシール6が、一対のエンドキャップ5a,5bに対して相対移動不可能に装着される。したがって、本実施形態は、弾性収縮するインナーシール6が一対のエンドキャップ5a,5bに対してスライダ3の移動方向に隙間を生じさせずに装着されるという簡便な構造とすることによって、スライダ3の移動時におけるインナーシール6及びサイドシール7が互いの干渉によって損傷するのを防止することができる。
【0023】
また、インナーシール6が元の形状まで弾性収縮しようとする際に、インナーシール6の長手方向両端部に設けられている第1係合凸部12が、一対のエンドキャップ5a,5bの第2内壁14bに向けて移動することで第2内壁14bに対して保持力Fを作用し、第1係合凸部12の係合面12a及び第2内壁14bの間に摩擦力が作用するので、インナーシール6は、一対のエンドキャップ5a,5bに跨がった状態で確実に装着される。
【0024】
そして、インナーシール6は、長手方向両端部に第1係合凸部12を設けた伸縮自在な部材であり、一対のエンドキャップ5a,5bも、サイドシール7に近接する側に第1係合凹部14を設けた部材であり、これらインナーシール6及びエンドキャップ5a,5bの製作にさほど手間がかからないので、直動案内装置1の製作コストの低減化を図ることができる。
【0025】
次に、図10から図13は、本発明に係る第2実施形態の要部を示すものである。なお、図7から図9で示した構成と同一構成部分には、同一符号を付して説明は省略する。
図10に示すように、一方のエンドキャップ5bに設けた第1係合凹部14の第2内壁14bの一部に、第2係合凹部15が形成されている。また、図10では示していないが、他方のエンドキャップ5aに設けた第1係合凹部14の第2内壁14bの一部にも、第2係合凹部15が形成されている。
【0026】
また、インナーシール6の一対の第2腕部10b,10bの先端部から突出している第1係合凸部12の係合面12aの一部に第2係合凸部16が形成されている。この第2係合凸部16は、前述した第2係合凹部15に入り込むことが可能な大きさに設定されている。また、図10では示していないが、インナーシール6の一対の第1腕部10a,10aの先端部から突出している第1係合凸部12の係合面12aの一部にも第2係合凸部16が形成されている。
【0027】
図11に示すように、長手方向に引張り力が付与されていない伸長前(自由長)のインナーシール6は、第1腕部10aに形成されている第1係合凸部12の係合面12aに形成した第2係合凸部16と、第2腕部10bの第1係合凸部12の係合面12aに形成した第2係合凸部16との間の長手方向の距離(以下、第2係合凸部間距離と称する)L3が、第1係合凹部間距離L1より小さな値に設定されている(L3<L1)。
【0028】
そして、図12に示すように、インナーシール6に長手方向の引張り力を付与してインナーシール6全体を弾性伸長させ、第2係合凸部間距離L3´が第1係合凹部間距離L1と略同一寸法となるまでインナーシール6を伸長させる。
そして、第2係合凸部間距離L3´が第1係合凹部間距離L1と略同一寸法となるようにインナーシール6に引張り力を付与した状態で、インナーシール6の第1腕部10aの第1係合凸部12をエンドキャップ5aの第1係合凹部14に係合し、インナーシール6の第2腕部10aの第1係合凸部12をエンドキャップ5aの第1係合凹部14に係合した後、インナーシール6への引張り力の付与を解除する。
【0029】
これにより、図13に示すように、インナーシール6が元の形状まで弾性収縮しようとする際に、第1及び第2腕部10a,10bの第1係合凸部12が、エンドキャップ5a,5bの第2内壁14bに向けて移動することで第2内壁14bに対して保持力Fを作用し、第1係合凸部12の第2係合凸部16が、第1係合凹部14(第2内壁14b)の第2係合凹部15に入り込み、インナーシール6が、一対のエンドキャップ5a,5bに跨がった状態で装着される。
【0030】
本実施形態によると、インナーシール6が元の形状まで弾性収縮しようとする際に、インナーシール6の長手方向両端部に設けられている第1係合凸部12が、一対のエンドキャップ5a,5bの第2内壁14bに向けて移動することで第2内壁14bに対して保持力Fを作用し、第1係合凸部12の第2係合凸部16が第1係合凹部14(第2内壁14b)の第2係合凹部15に入り込むことで一対のエンドキャップ5a,5bからインナーシール6の脱落が防止されるので、インナーシール6は、一対のエンドキャップ5a,5bに跨がった状態で確実に装着される。
【符号の説明】
【0031】
1…直動案内装置、2…案内レール、2a…上面、3…スライダ、4…スライダ本体、5a,5b…エンドキャップ、6…インナーシール、7…サイドシール、8…プロテクタ、9…シール本体、10a…第1腕部、10b…第2腕部、11…シールリップ部、12…第1係合凸部、12a…係合面、13…内上面、14…第1係合凹部、14a…第1内壁、14b…第2内壁、14c…第3内壁、15…第2係合凹部、16…第2係合凹部、L1…第1係合凹部間距離、L2…第1係合凸部間距離、L2´…第1係合凸部間距離、L3…第2係合凸部間距離
【特許請求の範囲】
【請求項1】
案内レールと、この案内レールの長手方向に相対移動するスライダと、このスライダ内に転動自在に組み込まれた多数の転動体とを有し、前記スライダは、転動体転動路を有するスライダ本体と、前記転動体転動路の転動体循環部を有して前記スライダ本体の移動方向の前後端部に固定した一対のエンドキャップと、前記スライダ本体の内部に移動方向に沿って配置されて前記案内レールの上面に摺動するシールリップ部を有するインナーシールとを備えた直動案内装置において、
前記一対のエンドキャップのそれぞれの外方端部に、前記インナーシールが係合するキャップ側係合部を設け、
前記インナーシールは、伸縮自在な合成樹脂材料で構成し、シール本体の伸縮方向の両端部に一対のシール側係合部を設けており、
前記インナーシールの自由長を、前記一対のエンドキャップのキャップ側係合部の間の距離より小さな値に設定し、
前記インナーシールを伸長させて前記一対のシール側係合部を前記一対のエンドキャップの前記キャップ側係合部に係合し、
伸長を解除して前記インナーシールを弾性収縮させた状態で、前記一対のエンドキャップの間に装着してなることを特徴とする直動案内装置。
【請求項2】
前記キャップ側係合部は、前記移動方向を向いている係合内壁を設けた第1係合凹部であり、
前記シール側係合部は、前記シール本体の両端部から突出し、前記インナーシールの弾性収縮のときに前記係合内壁に当接する係合外壁を有する第1係合凸部であることを特徴とする請求項1記載の直動案内装置。
【請求項3】
前記係合内壁及び前記係合外壁の一方に、他方に向けて部分的に突出する第2係合凸部を設けるとともに、前記係合内壁及び前記係合外壁の他方に、一方に設けた前記第2係合凸部が入り込む第2係合凹部を設けたことを特徴とする請求項2記載の直動案内装置。
【請求項1】
案内レールと、この案内レールの長手方向に相対移動するスライダと、このスライダ内に転動自在に組み込まれた多数の転動体とを有し、前記スライダは、転動体転動路を有するスライダ本体と、前記転動体転動路の転動体循環部を有して前記スライダ本体の移動方向の前後端部に固定した一対のエンドキャップと、前記スライダ本体の内部に移動方向に沿って配置されて前記案内レールの上面に摺動するシールリップ部を有するインナーシールとを備えた直動案内装置において、
前記一対のエンドキャップのそれぞれの外方端部に、前記インナーシールが係合するキャップ側係合部を設け、
前記インナーシールは、伸縮自在な合成樹脂材料で構成し、シール本体の伸縮方向の両端部に一対のシール側係合部を設けており、
前記インナーシールの自由長を、前記一対のエンドキャップのキャップ側係合部の間の距離より小さな値に設定し、
前記インナーシールを伸長させて前記一対のシール側係合部を前記一対のエンドキャップの前記キャップ側係合部に係合し、
伸長を解除して前記インナーシールを弾性収縮させた状態で、前記一対のエンドキャップの間に装着してなることを特徴とする直動案内装置。
【請求項2】
前記キャップ側係合部は、前記移動方向を向いている係合内壁を設けた第1係合凹部であり、
前記シール側係合部は、前記シール本体の両端部から突出し、前記インナーシールの弾性収縮のときに前記係合内壁に当接する係合外壁を有する第1係合凸部であることを特徴とする請求項1記載の直動案内装置。
【請求項3】
前記係合内壁及び前記係合外壁の一方に、他方に向けて部分的に突出する第2係合凸部を設けるとともに、前記係合内壁及び前記係合外壁の他方に、一方に設けた前記第2係合凸部が入り込む第2係合凹部を設けたことを特徴とする請求項2記載の直動案内装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−237396(P2012−237396A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107335(P2011−107335)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】
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