説明

直接像の技術を使用した平面の媒質の光学検査

本発明は1枚のガラスなど、透明な媒質内の欠陥を検出する方法およびシステムに関する。その方法は、光源から透明な媒質に向かって光を送出するステップと、次いで光が透明な媒質で反射されまたは透明な媒質を透過するとき、光を走査することによって透明な媒質内の欠陥を検出するステップとを含む。その方法およびシステムは、暗視野モード、走査向け明視野モード、または検査向け明視野モードのいずれか1つで動作してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、ガラス、合成箔、および被覆/未被覆板などの平面のパターンなしの媒質の自動光学検査(AOI)の分野に関する。本発明は具体的には、フラット・パネル・ディスプレイ(FPD)の製造のために使用されるガラス基板の自動光学検査に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の高性能フラット・パネル・ディスプレイは主として液晶(LC)技術に基づいており、しばしば液晶ディスプレイ(LCD)と呼ばれる。フラット・パネル・ディスプレイ(FPD)およびLCDはガラスを基板として使用すると共にカバー・シートとしても使用し、薄いLC層がこれら2枚のガラス板の間に封入される。FPDの製造で使用されるガラス板は以下の表で示すようにかなり大きい(ガラスの寸法はmm単位である)。
【0003】
【表1】

【0004】
具体的には、TVおよびコンピュータのFPD画面は多数の画像素子すなわち画素を含み、コンピュータ画面のFPDに関する典型的な画素サイズは80×240μmである。画素は薄膜トランジスタ(TFT)パターンによって形成され、薄膜トランジスタ・パターンは複数のフォト・リソグラフィ・ステップで基板に付着される。ガラス基板内の15×15μmの小さい欠陥、具体的にはピットは、TFT付着プロセスを妨げて、欠陥画素または欠陥TFTアレイをもたらす。基板内またはカバー・ガラス内のこれらのガラス欠陥は、完成FPDを通る光の透過に悪影響を及ぼして許容不可能なFPD製品をもたらし、そしてTFTパターニング・プロセスに悪影響を及ぼして短絡の、開回路のまたは電気的不良の薄膜トランジスタをもたらす可能性がある。
【0005】
ガラス欠陥のいくつかの例には、ガラス内の小さいくぼみであるピットと、白金、ステンレス鋼、シリカまたは気泡などの混入物または埋め込まれた異物と、ガラス表面と融着して洗浄で除去できないガラス片などの付着片と、かき傷と、縁部片とが含まれ、あるいは望ましくないレンズと同様の影響を基板に対してもたらす局部的な屈折率の不均一性または平坦さ/厚さの局部的誤差などの歪みが含まれる。これらの欠陥は、形状が様々であり、サイズが約15×15μmから数百ミクロンまでに及ぶ可能性がある。
【0006】
不良FPDを製造する材料費および人件費が高いため、FPDパネルの最終検査で欠陥を発見することは厄介である。したがって、ガラス製造業者がガラスをFPD製作工場に出荷する前にガラスを検査することは有益であろう。
【0007】
大きい平面のパターンなし媒質を検査する既知の方法は、典型的に2つの主な種類に分類される。(a)検査の解像度(物体面の解像度)によって必要とされるよりも小さいサイズの画素を有する電荷結合素子またはCCDなどの撮像素子と、カメラの画素サイズを所望の物体面の解像度に合わせるように光学倍率をもたらす結像レンズとを使用する撮像システム、あるいは(b)所望の物体面解像度に対応するスポット・サイズにまで集束されるレーザ光線と、単一の検出器とを使用するレーザ・スキャナ。
【0008】
撮像方法の種類に関する従来技術には、「Dark View Inspection System for Transparent Media」という名称の米国特許第6,633,377号と、「Glass Inspection System including Bright Field and Dark Field Illumination」という名称の米国特許第6,437,357号と、「Method and apparatus for determining optical quality」という名称の米国特許第6,208,412号と、「Method of Inspecting Moving Material」という名称の米国特許第5,642,198号と、「Surface Defect Inspection System and Method」という名称の米国特許第5,493,123号とが含まれる。典型的には、ウェブ検査では7μm〜13μmの範囲のカメラの画素サイズを有する線走査のCCDカメラが使用される。7μmの画素サイズおよび8kilo−pixels(8192)の解像度を有するカメラは市販されている。所望の欠陥検出精度15×15μmを実現するために、撮像システムの物体面の解像度は少なくとも20×20μmにして、20μm/7μm=2.85のレンズ倍率を得るべきである。物体面のサイズが2,000mmである場合、物体面での画素の総数は2,000mm/20μm=100,000であり、したがってカメラの必要数は100,000/8kpixels=13である。13台の8kのCCDカメラの費用を考慮するとき、線走査カメラに基づく検査システムの総費用は非常に高い。
【0009】
さらに、カメラの画素解像度を限定しないレンズ、特に0.007mm×8,192=57.4mmの大きいCCDセンサ・サイズ向けのレンズを有するCCDカメラ・システムを提供することは困難で、高価である。理想的な回折限界レンズが8kカメラと共に使用される場合、必要なF値は3.3であり、それは57.4mmの像面サイズ、3.3のF値、および視野全体にわたって7μmの光学系の点像分布関数(PSF)を有するレンズを設計する実用性(単色光の用途向けでさえ)の限界であろう。実際には、レンズのPSFは、結果として生じる光学的解像度を限定することによって撮像システムの性能を限定する。逆に言えば、13μmの画素サイズのカメラに適用しようとする場合、理想的レンズにとって必要なF値は5であり、それは要求より小さいであろう。シリコン・ダイ・サイズの制限により、これらのタイプのカメラは、典型的に2k(2024)画素の解像度を有するもののみが入手できる。この場合、2,000mmの物体面をカバーするために50台のカメラが必要であり、それは検査システムを法外に高くするであろう。したがって、小さいCCD画素サイズを使用するときは光学系が結果的な撮像システムの解像度を限定し、大きいCCD画素サイズを使用するときは結果的にカメラの個数が極度に多くなる。
【0010】
レーザ走査方法に関する従来技術には、「Method of and Apparatus for Detecting Defect of Transparent Sheet as Sheet Glass」という名称の米国特許第5,452,079号が含まれる。典型的なCCDベースの光学的撮像システムの性能コスト積を限定することは、光学式スキャナを使用することによって克服することができる。
【0011】
LCDガラス検査向けの光学式スキャナを使用することの1つの欠点は、スキャナの機構によって課せられる走査速度の制限である。他の欠点は、100mm/sのウェブ速度を維持するために複数のスキャナが必要とされることである。さらに、単一の光学式スキャナは2000mmのガラス幅をカバーすることができない。したがって、複数のスキャナが必要とされ、それが検査システムの費用を増大する。
【0012】
したがって、平面の媒質を検査するための新しい方法および装置を提供することが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、以前の媒質の検査方法の少なくとも1つの欠点をなくすまたは緩和することである。典型的には、検査される物体は均一の光学的特性を示し、そして透明性、不透明性、反射(正反射)型、または拡散型であってもよい。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の観点では、透明な物体内の欠陥を検出する方法が提供される。この方法は、暗視野走査モード、反射型媒質を検査するための明視野走査モード、および透明な媒質の表面を検査するための明視野モードの少なくとも2つを選択するステップと、密着型イメージ・センサを使用する少なくとも2つの選択された走査モードを使用して透明な物体を走査するステップと、上面のかき傷、ピット歪み、混入物、付着片および上面の塵の少なくとも1つの写像をもたらすために、少なくとも2つの走査の結果を結合するステップとを含む。本発明の実施形態では、透明な物体を走査するステップは、少なくとも2つの選択された走査モードのそれぞれを使用して物体を順次走査することを含む。
【0015】
本発明の1つの観点では、2メートル超の程度の大きさの視野にわたって顕微鏡的レベル(15μm)の欠陥検出精度を提供する。
【0016】
他の観点では、ガラス上にひき寄せられる無害の浮遊粒子と真の欠陥を識別するより信頼性のある手段を提供する。
【0017】
さらに他の観点では、従来技術の検査システムよりも信頼性のある欠陥サイズ評価法を提供する。
【0018】
他の観点では、ガラスがコンベヤ上で移動中、好ましくは100mm/sの速度で移動中にガラスの検査をする手段を提供する。
【0019】
本発明の他の観点は、上述の方法を実行するためのシステムを提供し、そのシステムはGRINレンズ・アレイ、LED照射アレイ、およびCMOSフォトダイオード・アレイを備える。
【0020】
さらに他の観点では、透明な媒質内の欠陥を検出するための装置を提供し、その装置は前記透明な媒質に視準光を供給する照射手段と、前記光が前記透明な媒質から反射しまたは前記透明な媒質を透過するとき、前記透明な媒質を走査し、前記走査に関連する像、好ましくは欠陥部分のみに関連する像を記憶および表示する手段とを備える。
【0021】
他の観点では、透明な媒質内の欠陥を検出する方法を提供し、その方法は光源から前記透明な媒質に視準光を送出するステップと、前記視準光が前記透明な媒質から反射しまたは前記透明な媒質を透過するとき、前記透明な媒質を走査するステップと、前記走査ステップの結果を記憶するステップと、前記透明な媒質の写像として前記結果を表示するステップとを含む。
【0022】
本発明の他の観点および特徴は、添付図面と共に本発明の具体的な実施形態の下記の説明を検討すると当業者にとって明らかになろう。
【0023】
本発明の実施形態は、添付図面を参照して単に例としてここで説明されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
概して、本発明はガラス基板の自動光学検査の方法およびシステムを提供する。光学分野の技術者に知られているように、屈折率分布型(GRIN)レンズ・アレイは、物体面から像面に倍率が1で画像転送することができる。GRINレンズ・アレイによって生成される像は正立しており、非常に高忠実度で再生され、像の周辺で歪みがなく、均一な解像度および均一の輝度を有する。高性能GRINレンズ・アレイは、20μmのレベルで点像分布関数によって典型的に特徴付けられる。GRINレンズ・アレイは典型的には、大きい視野が必要で、結像が高い解像度で実行されなければならないドキュメント・スキャナによって使用される。GRINレンズ・アレイ、LED照射アレイ、およびCMOSフォトダイオードを結合した組立体は市販されており、しばしば密着型イメージ・センサ(CIS)と呼ばれる。CISは、低価格で高解像度(最高で1インチ当たり2400ドット)の光学式ドキュメント・スキャナの重要な構成部品である。
【0025】
典型的なCISを図1に概略的に示す。CIS10は、視準光学系を有する発光ダイオード(LED)アレイ14と、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)フォトダイオード・アレイ16と、GRIN小型レンズ・アレイ19とを収納するCIS筐体12を備える。筐体12は、筐体12の底部に配置された保護ガラス窓18も備える。走査されるべき物体20が筐体12の真下に配置され、好ましくは保護ガラス窓18と平行に位置合せされ、その結果、LEDアレイ14からの光はガラス窓18を透過し、そして走査されるべき物体20から散乱されることがある。
【0026】
動作中、矢印22により示されるように、光はLEDアレイ14から保護ガラス窓18およびGRINレンズ・アレイ19を通り走査されるべき物体20に送出される。矢印24により示されるように、光は走査されるべき物体20から保護ガラス窓18およびGRINレンズ・アレイ19に戻るように散乱する。散乱された光は筐体10の中に戻り、GRINレンズ・アレイ19を透過した後にCMOSフォトダイオード・アレイ16上に像を生成し、次いでCMOSフォトダイオード・アレイ16はこの像を、デジタル形式で像を記録し、必要ならばソフトウェアで処理するのに適した電気的表現に変換する。CISは、光が走査されるべき物体20の各部分から散乱されるように、概して矢印28の方向に均一に移動して、走査された像全体がCMOSアレイ16によって線単位に取得されるようにする。その不変の光学的設定でCIS10は不透明な拡散型の平面の媒質の検査向けに使用されてもよい。しかし、ほとんどの市販のCIS10は5〜10mm/sの速度で走査するだけなので、走査速度を増大することが望ましい。CIS走査の速度は、CMOSフォトダイオード・アレイの多数の小さいセグメントを並列に読み取ることによって実質的に改善することができる。当業者はこれらのセグメントをフォトダイオード・アレイ・タップと呼ぶ。1200dpiの解像度および3MHzの画素クロックを有する典型的なCISセンサの場合、そのセンサを100mm/sで走査可能にするためには15個のタップが必要である。
【0027】
密着型イメージ・センサは平面の媒質の検査に適応可能である。密着型イメージ・センサは、LCDガラスのような反射型媒質を検査するための暗視野モード、LCDガラスのような透明な媒質を検査するための明視野モード、またはLCDガラスのような透明な媒質の表面のみを検査するための明視野モードなどの様々なモードで動作させることができる。
【0028】
図2を参照すると、本発明の実施形態の概略図が示されている。この実施形態では、暗視野モードでの平面の媒質の光学検査向け装置が示されている。装置50は、フォトダイオード・アレイ(好ましくはCMOS線形フォトダイオード・アレイ)56とGRINレンズ・アレイ58と共に、視準光学系を有する発光ダイオード(LED)アレイ54を収納する筐体52を備える。装置50は平面の媒質(この実施形態では好ましくは1枚のLCDガラス60、パターンなしの不透明な材料など)を検査するために使用されて、平面の媒質60の上面内に欠陥があるか否かを判定する。光源54はLCDガラス板60などの走査すべき物体に対して傾斜角を成して配置されることが好ましい。
【0029】
筐体50は5つの不透明な壁62と、好ましくはガラス窓の形で透明な6番目の壁64とを備えることが好ましい。
【0030】
動作中、板状の視準光(矢印66により示される)が、LEDアレイ54からガラス窓64を通ってLCDガラス板60に向かって送出される。ガラス板60に対する光源54の位置により、LCDガラスが欠陥のない場合、板状の視準光は次いで、光線(矢印68として参照)によって示されるように、LCDガラス60から反射してGRINレンズ・アレイの入口孔から離れていく。この方法では、像はフォトダイオード・アレイ56上に形成されず、像は暗いままである。しかし、検査されている媒質60の表面上に欠陥が存在する場合、その欠陥は入射光66を散乱し、したがって破線70により概略的に示すように、GRINレンズ・アレイ58の入口孔に向かって入射光の向きを変える。レンズ・アレイ58に光が存在することによって、明像がフォトダイオード・アレイ56上に形成されて、欠陥の存在を示す。この検査は線単位ベースで行われるので、LCDガラス板60上の欠陥の存在のみならず位置も容易に判定することができる。欠陥は裸眼で見ることができない可能性があるので、その位置の特定は重要である。
【0031】
暗視野動作モードでは、装置50はレンズ・アレイの被写界深度内の欠陥を捕らえることができ、レンズ・アレイの被写界深度は通常、50μm以下(1200dpiのCISに関して)である。言い換えれば、欠陥は表面から下方へ約50μmの深度まで検出される。
【0032】
図3aに示す他の実施形態では、1枚のガラス81のような平面の媒質を検査するための装置80は、GRINレンズ・アレイ84と、フォトダイオード・アレイ、好ましくはCMOS、86とを収納する筐体82を備える。装置80は、筐体82から離れて配置されている光源88をさらに備える。明視野動作モードでは、ガラス81は光源88から視準板状光(矢印90として参照)により底部から照射される。光源88からの光はコリメータ組立体94によって視準される。明視野モードでは、ガラス片81は透明なものとして作用し、ガラス81内の任意の欠陥は光が透過することを妨げる。ガラス81を透過する光は像を生成し、その像は次いでガラス81と筐体82の間に配置される軟らかいフィルム拡散体96上に形成される。次いで、この像はレンズ84によって受光され、その結果、検出のためにフォトダイオード・アレイ86上に投影される。フォトダイオード・アレイ上に投影された像を吟味することによって、ユーザはガラス片81に何らかの欠陥があるかどうかを判定することができる。
【0033】
図3bに示す他の実施形態では、ガラスを透過する光は、任意のレンズなしにフォトダイオード・アレイ86上に直接形成される。光源88は単一のLEDまたは他の非干渉性の準点光源であることが好ましい。像の信号対雑音比は、ガラス81の上面と下面の間で反射された光の相互作用による干渉縞の生成を低減しまたは防止することによって改善される。さらに、短波長照射が小さい欠陥での回折を促進し、これが欠陥サイズを正確に判定するのに役立つので、従来技術のシステムよりさらなる利点をもたらすためには光源88が青色LEDアレイであることが好ましい。この実施形態では、動作モードはフォトリソグラフィの原理に類似しており、この場合にはマスクが欠陥を有するガラス片81により置き換えられ、フォトレジストが軟らかいフィルム拡散体96(図3a)または焦点面アレイ(図3b)で置き換えられる。任意の欠陥は、光がガラス片81を透過することを妨げ、フォトダイオード・アレイ86上に回折パターンによって囲まれたスポットとして現れる。
【0034】
動作中、光源88からの光はコリメータ組立体94を透過し、視準される。次いで、視準光はガラス81を透過して拡散体96に至る。ガラス81内に欠陥が存在すると、視準光がガラス81を透過することを妨げる。次いで、ガラスを透過する光は、フォトダイオード・アレイ86上に像を形成する。この像は次いで、ガラス内の欠陥を表示するガラスの写像として表示される。
【0035】
小さい欠陥(15μmと50μmの間)の場合、それらの像サイズは、光の回折によって強く影響され、拡大され、回折リングに囲まれて現れる。しかし、キルヒホッフ・フレネル回折モデルまたはフラウンホーファ回折モデルなどの回折モデルを使用することによって、欠陥の実際のサイズを推定することができる。拡大された欠陥の像を有することによって、回折モデルの計算が容易になる。
【0036】
明視野動作モードは光を妨げる欠陥を検出するだけでなく、負マイクロ・レンズのように作用するピット、または局部的屈折率の変動もしくは平坦さ/厚さの局部的誤差など、ある光学的倍率を示す欠陥を検出することに効果的であり、それらの欠陥は拡散フィルムから離れるように光の方向を変え、したがって明るいハローによって囲まれた暗スポットとして検出される。明視野の照射装置は無限遠に焦点が合わされているので、被写界深度は検出されるべき欠陥での光回折によって限定され、20×20μmの欠陥に対して2mm以上である。
【0037】
図4を参照すると、明視野モードでの透明な媒質の表面を検査するための装置が示されている。装置100は、視準光学系を有する発光ダイオード(LED)アレイ104と、好ましくはCMOSのフォトダイオード・アレイ106と、GRINレンズ・アレイ108とを収納する筐体102を備える。装置100は光拡散面110をさらに備え、この光拡散面110は、検査されるべきLCDガラスなど、1枚の透明な媒質112の下に配置される。
【0038】
検査プロセス中、LEDアレイ104からの光線(矢印114として示す)は、透明な媒質112に向かって送出され、そしてGRINレンズ・アレイ108から離れるように反射される(矢印115)。これらの光線はフォトダイオード・アレイ106によって記録されない。LEDアレイ104からの他の光線116は、媒質112を透過し、光の拡散面110によって散乱される。これらの光線は次いで、透明な媒質112を透過するように戻り、それによって透明な媒質112を照射する。光線のいくつかは、GRINアレイ108に送出されて像を生成し、その像は次いでフォトダイオード106に送出される。GRINレンズ・アレイの被写界深度は、好ましくは約50μmであり、したがってガラスの上面からの欠陥およびGRINレンズ・アレイ108の被写界深度(約50μm)よりも深くない所に埋め込まれた欠陥のみが、フォトダイオード・アレイ106によって明瞭に検出される。照射光線は拡散面110から創出され、したがって視準されていないので、ピットなどの光学的倍率を有する欠陥は記録されない。
【0039】
明らかなように、上記に開示した3つの実施形態は、検査目的によりガラス検査システムに個々に具現化されてもよい。例えば、ガラスの上面のみを検査する必要がある場合、図2aおよび図2bの実施形態が採用されてもよい。
【0040】
さらに、複数の実施形態/動作モードが1つの装置の中で、互いに組み合わされて、それにより、異なる検査モードで動作する検査モジュールにより記録される欠陥像の強度を相互参照することによる、欠陥分類のより強力な手段を提供してもよい。実施形態の特性は、図2aの実施形態を表すモードA、図2bの実施形態を表すモードB、および図3の実施形態を表すモードCで下記に示す。
【0041】
【表2】

【0042】
欠陥の形態的特性(像内の形状および強度分布)と結合して、欠陥像の強度を相互参照することは、比較的正確な欠陥分類の手段をもたらす。本発明について、従来技術の検査システムよりも勝るいくつかの点が理解されよう。1つの利点は、本発明が一連の平面の媒質、すなわち透明なもの(LCDガラスなど)、不透明な反射型のもの、および不透明な拡散型のものを検査するために適用することができることである。他の利点は、本発明によるガラス検査システムを使用して、LCDガラス生産中に生じるすべての一般的な欠陥を検出することができることである。さらに、本発明は平面の媒質のより費用効率の高い手段を提供する。他の利点は、様々な検査モードに関連する複数の実施形態が、単一の検査システムの中で組み合わされてもよいことである。現在の光学検査では、無害な除去可能な塵埃粒子が欠陥と混同されることにより良品を誤って排除することがよく知られているが、しかし本発明はこの種の誤った排除を克服する。さらに他の利点では、視覚チャネルが非常に小型であることにより、本発明を平面の媒質の生産工場に沿った狭いスポットに設置することができる。他の利点は、このレベルの性能は、従来の結像レンズにより対抗することは困難であり、かつ高価であることである。
【0043】
他の利点は、欠陥のサイズが像内で拡大されるので、検出器の解像度の要求が低減され、それがシステム全体の費用も低減することである。
【0044】
本発明の上述の実施形態は単に例とするものである。代替形態、修正形態および変形形態は、添付の特許請求の範囲によってのみ定義される本発明の範囲を逸脱することなく、当業者による特定の実施形態に対して実施されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】典型的な密着型イメージ・センサ(CIS)の概略図である。
【図2】本発明による暗視野検査モジュールで平面の媒質を検査するための装置の実施形態の概略図である。
【図3a】本発明による明視野検査モジュールとして平面の媒質を検査するための装置の実施形態の概略図である。
【図3b】本発明による明視野検査モジュールとして平面の媒質を検査するための装置の他の実施形態の概略図である。
【図4】本発明によるガラス試料の上面を検査するための明視野設定を使用して平面の媒質を検査するための装置の他の実施形態の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な媒質内の欠陥を検出する方法であって、
光源から前記透明な媒質に視準光を送出するステップと、
前記視準光が前記透明な媒質から反射しまたは前記透明な媒質を透過するとき、前記透明な媒質を走査することにより欠陥を検出するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記欠陥検出ステップは、
前記検出ステップの結果を記憶するステップと、
前記透明な媒質の写像として前記結果を表示するステップと、
前記写像上の暗視野内に、欠陥を示す明像を配置するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記欠陥検出ステップは、
前記検出ステップの結果を記憶するステップと、
前記透明な媒質の写像として前記結果を表示するステップと、
前記写像上の明視野内に、欠陥を示す暗像を配置するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記写像に基づいて前記欠陥のサイズを計算するステップ
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記計算ステップは、キルヒホッフ・フレネルの回折モデルまたはフラウンホーファの回折モデルに基づいている、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記表示ステップの前に、前記記憶された結果の複数のセグメントを並列に読み取るステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記表示ステップの前に、前記記憶された結果の複数のセグメントを並列に読み取るステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
透明な媒質内の欠陥を検出する方法であって、
暗視野走査モード、反射型の媒質を検査するための明視野走査モード、および前記透明な媒質の表面を検査するための明視野モードの少なくとも1つを選択するステップと、
密着型イメージ・センサを使用する前記少なくとも1つの選択された走査モードを使用して前記透明な媒質を走査することによって欠陥を検出するステップと、
前記各走査結果を結合して前記透明な媒質の写像を生成するステップと
を含む方法。
【請求項9】
透明な媒質内の欠陥を検出するための装置であって、
前記透明な媒質に視準光を供給する照射手段と、
前記光が前記透明な媒質から反射しまたは前記透明な媒質を透過するとき、少なくとも100mm/sの速度で前記透明な媒質を走査し、前記走査に関連する像を記憶および表示する手段と
を備える装置。
【請求項10】
前記照射手段が光源と、視準組立体とを備える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記光源がLEDアレイである、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記LEDアレイが青色LEDを備える、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記視準組立体が視準光学系を備える、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記透明な媒質を走査する前記手段はフォトダイオード・アレイを備える、請求項9に記載の装置。
【請求項15】
前記フォトダイオード・アレイはCMOSフォトダイオード・アレイである、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記走査手段は1組のフォトダイオード・アレイ・タップをさらに備える、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記透明な媒質を走査する前記手段は、前記透明な媒質を走査し、前記走査から前記フォトダイオード・アレイに情報を送出するためのGRINアレイをさらに備える、請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記透明な媒質に対して前記光源の反対側に配置される拡散体をさらに備える、請求項9に記載の装置。
【請求項19】
前記像から欠陥の実際のサイズを判定する手段をさらに備える、請求項9に記載の装置。
【請求項20】
前記判定手段はキルヒホッフ・フレネル回折モデルまたはフラウンホーファ回折モデルに基づいている、請求項19に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−513742(P2008−513742A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531555(P2007−531555)
【出願日】平成17年9月19日(2005.9.19)
【国際出願番号】PCT/CA2005/001421
【国際公開番号】WO2006/029536
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(507086516)ディー.バイス サイエンティフィック インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】