説明

直接的架橋ポリマーに基づいた化粧品組成物

直接的共有結合によって互いに結合した鎖セグメントを有するエラストマー性ポリマーと、化粧品として許容される担体と、を含む化粧品組成物。化粧品組成物に弾性特性を与えるための前記エラストマー性ポリマーの使用。ヘアスタイルに、長く持続するホールド力、高いセット特性、及び弾性を与えるための前記化粧品組成物の使用。前記化粧品組成物を調製し、毛髪及び/又は皮膚に前記化粧品組成物を塗布するための方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
第1の態様に基づけば、本発明は、直接的共有結合によって互いに結合した鎖セグメントを有するエラストマー性ポリマーと、化粧品として許容される担体とを含む化粧品組成物に関する。第2の態様に基づけば、本発明は、更に、化粧品組成物に弾性特性を与えるための前記エラストマー性ポリマーの使用に関する。第3の態様に基づけば、本発明は、ヘアスタイルに長く持続するホールド力、高いセット特性、及び弾性を与えるための化粧品組成物に関する。更なる態様に基づけば、本発明は、直接的共有結合によって互いに結合した鎖セグメントを有する前記エラストマー性ポリマーと、化粧品として許容される担体とを含む前記化粧品組成物を調製するための方法、並びに前記化粧品組成物を皮膚及び/又は毛髪に塗布するための方法に関する。本発明に基づく化粧品組成物は、スキンケア組成物、シェーブケア組成物、及び/又はヘアケア組成物として使用することが可能である。
【背景技術】
【0002】
化粧品組成物は、使用者の皮膚及び、例えば、毛髪などの角質物質を美化及び/又は治療するために一般的に使用されている。期待される効果に応じて、例えば、スキン及び/又はヘアケア組成物、並びにスキンクレンジング、ヘアクレンジング、ヘアスタイリング、ヘアコンディショニング、ヘアダイング、及び/又はシェービング組成物などの様々な種類の組成物が市場に出回っている。やはり期待される効果に応じて、これらの組成物は例えば液体又は固体組成物などの様々な形態のものであってもよい。これらはまた、様々な種類の成分を含んでもよい。
【0003】
最も一般的な成分の種類の1つはポリマーである。ポリマーは、モノマーから誘導される単位が重合した骨格鎖又は主鎖を有している。ポリマーは、1種類のモノマー(すなわち、ホモポリマー)、又は少なくとも2つの異なる種類のモノマー(すなわち、コポリマー)の重合によって得ることができる。一般的なモノマーは、アクリル酸モノマー、アクリルアミドモノマー、ビニルピロリドンモノマー、スチレンモノマー、それらの塩、それらの誘導体、又はそれらの混合物である。モノマーのクラス、それらの特定の構造、それらの不飽和度、それらの中和度、ポリマー中のそれらの割合、及び/又は重合プロセスに応じて、ポリマーは特定の性質を示し、特定の効果を準備する。ポリマー特性を更にカスタマイズし、かつ/又はポリマーを目的とする用途により適したものとするためには、例えば、化学基をグラフトしたり、かつ/又は架橋剤を使用してポリマー主鎖を架橋することによってこれらのポリマーを更に改質することができる。
【0004】
様々な性質を有し、様々な効果を示す様々ポリマーが化粧品組成物への混合に適していることが知られている。市販のポリマーについての広範囲の情報は、International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,(12th edition(2008),Personal Care Products Council)(以前のCosmetic,Toiletry and Fragrance Association(CTFA))に示されている。例えば、ポリマーは、エマルション安定剤、懸濁剤、増粘剤、不透明化剤、フィルム形成剤、毛髪固定剤、皮膚保湿剤、及び/又はヘアコンディショニング剤であってもよい。
【0005】
従来の架橋プロセスは、通常、架橋剤を用いて2個の架橋性単位間に架橋を形成することからなる。2本の異なるポリマー主鎖に含まれる2個の単位が互いに架橋される場合、鎖間架橋が得られる。1本のポリマー主鎖に含まれる2個の単位が互いに架橋される場合、鎖内架橋が得られる。架橋剤は、活性化されると重合した主鎖の2個の異なる単位と2個の共有結合を形成する、少なくとも2官能性の分子である。この架橋剤はそれ自体が最終的な架橋ポリマーに混合され、架橋を構成する。これらの架橋を、本明細書では「間接的架橋」と呼ぶ。その結果、これらの「間接的架橋」は、架橋剤それ自体に由来する中間分子(異なる鎖長の分子)を含む。
【0006】
これらの架橋の合成に関し、架橋ポリマーを得るには2つの一般的な方法がある。
【0007】
第1の方法は、重合反応の際のインサイチュ架橋である。これは、特定の比率の架橋剤(二量体であるもの)を重合バッチに加えることによって容易に行うことができる。化粧品用途に適したポリマーの従来の架橋剤の1つとして、式(CH2=CHCONH)2CH2のメチレン−ビス−アクリルアミドがある。メチレン−ビス−アクリルアミドは、アクリルアミドモノマーから誘導される2個の単位間に間接的今日を形成するのに特に適している。他の従来の架橋剤としては、例えば、ジ(メタ)アクリレート、N−(1−ヒドロキシ−2,2−ジメトキシエチル)アクリルアミド、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、1,1,1−トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、及びテトラアリルオキセタンがある。
【0008】
第2の方法は、ポリマーの反応基の誘導体化による処理後に行われる架橋である。例えば、ポリ(アクリル酸)中に存在するような酸性基が存在する場合、ジオール架橋剤によりジエステル架橋を、あるいはジアミン架橋剤の補助によってジアミド架橋を形成することが可能である。
【0009】
いずれの方法も、単独のポリマー鎖間に幾分広い空間が存在する架橋分子を生ずる。エステル結合、エーテル結合、又はアミド結合に基づく架橋は、通常、加水分解により切断されやすく、これにより特に水性媒質中における安定性の点から望ましくない問題が生じうる。
【0010】
架橋剤を用いたポリマー主鎖の架橋は、例えば、その水溶性、分子量、ガラス転移温度、稠度、溶融挙動、及び/又は多孔度といったポリマーの特性を改変するものである。更に、こうした架橋プロセスでは、通常、ポリマーの弾性特性が変化する。一般に、架橋密度が高くなるほどポリマーの弾性は高くなる。しかしながら、架橋密度が高すぎると架橋ポリマーが脆くなる場合がある。しかしながら、高い剛性及び/又は低い弾性を示すポリマーが準備されることは、こうしたポリマーは組成物の特性、皮膚及び/又は毛髪へのポリマーの塗布の容易性、並びに皮膚及び/又は毛髪に準備する効果に影響を及ぼすために化粧品組成物に混合するうえで好ましくない。代わりに、エラストマー性ポリマー、すなわち弾性特性を有するポリマーを使用することが好ましい。したがって、市販のポリマーの弾性特性を高めることが望まれている。
【0011】
特に、ヘアスタイルを実現するために使用されるヘアスタイリング組成物は、ヘアスタイルに充分なホールド力及びセット特性を準備するばかりでなく、ヘアスタイルに充分な弾性を与えることが期待される。しかしながら、現在市販されているヘアスタイリングポリマーを含むヘアスタイリング組成物は、ヘアスタイルに長く持続するホールド力及び高いセット特性を準備するものであるが、これにより与えられる弾性は限定されているか、まったく与えられない場合もある。したがって、市販のヘアスタイリングポリマーの弾性特性を高めることが求められている。
【0012】
例えば、互いに共有結合により直接結合されたポリマー鎖のセグメントを有する超吸収性ポリマーを製造するためのプロセスなどの、代替的な架橋プロセスが異なる技術分野において既に知られている。これらの超吸収性材料は、おむつ、トレーニングパンツ、成人用失禁製品及び女性用ケア製品などの吸収性物品においてこうした製品の全体的な嵩を小さくする一方でこれらの吸収能力を高める目的で一般的に使用されている。例えば、欧州特許出願公開第EP 1 568 385 A1号を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】欧州特許出願公開第EP 1 568 385 A1号
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,(12th edition(2008),Personal Care Products Council)(以前のCosmetic,Toiletry and Fragrance Association(CTFA))
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
弾性が向上した化粧品組成物が常に必要とされている。詳細には、高い水溶性、稠度、及び/又は多孔性、並びに高い弾性特性を有する化粧品組成物が必要とされている。また、架橋剤を使用する従来の架橋法に代わるプロセスによって得られる架橋ポリマーを含む化粧品組成物が必要とされている。詳細には、ヘアスタイルに、長く持続する、高いセット特性のみならず更に弾性を与えるヘアスタイリング組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
第1の態様に基づけば、本発明は、化粧品として許容される担体中に、1%〜100%の重合単位(A)を含むエラストマー性ポリマーを含む化粧品組成物に関するものであり、
前記単位(A)が、その非架橋形態において、R3に対するα水素を有する少なくとも1個の炭素を含み、かつ一般式Iを有する。すなわち、
【0017】
【化1】

[式中、R3は、
(a)カルボキシル誘導体、チオカルボキシル誘導体;
(b)カルボニル誘導体、チオカルボニル誘導体、イミン誘導体;
(c)水酸基誘導体;
(d)アリールラジカル、ヘテロアリールラジカル;
(e)飽和環状ラジカル;
(f)アルコキシ誘導体;
(g)アミノ誘導体、アミド誘導体、イミド誘導体;
(h)リン誘導体;
(i)硫黄誘導体;
(j)スズ誘導体;
(k)シリカ誘導体;
(l)アルキン誘導体;
(m)複素環式で更にR2を含むもの、からなる群から選択され、
1、R2、R4、及びR5は同じか又は異なり、水素、C1〜C22の飽和アルキル誘導体、C1〜C22の不飽和アルキル誘導体、水酸基誘導体、C1〜C22のアルコキシ誘導体、カルボキシル誘導体、チオカルボキシル誘導体、アミノ誘導体、アミノアルキル誘導体、アミノジアルキル誘導体、アミノトリアルキル誘導体、テトラアルキルアンモニウム誘導体、アミド誘導体、イミド誘導体、スルフィド誘導体、スルホキシド誘導体、スルホン誘導体、ホスファイト誘導体、ホスホン誘導体、ホスホネート誘導体、スズ誘導体及びシリカ誘導体、アリール誘導体、C1〜C7のアリール誘導体、ヘテロアリール誘導体、C1〜C7のヘテロアリール誘導体、シアノ誘導体、アルキニル誘導体からなる群から選択され、
添え字m、o、nは互いに独立であり、m≧0、o≧0、かつn≧1であり、
3に対するα水素結合が切断されることにより2個の異なる単位(A)のα炭素間に直接的共有結合が形成され、前記結合は中間分子を含まない。
【0018】
第2の態様に基づけば、本発明は、化粧品組成物に弾性特性を与えるための、本発明の第1の態様において定義した前記エラストマー性ポリマーの使用に関する。
【0019】
第3の態様に基づけば、本発明は、ヘアスタイルに長く持続するホールド力、高いセット特性、及び弾性を与えるための、本発明の第1の態様において定義した組成物の使用に関する。
【0020】
第4及び第5の態様に基づけば、本発明は、本発明の第1の態様において定義した、化粧品組成物を調製するための方法に関する。
【0021】
第6の態様に基づけば、本発明は、毛髪及び/又は皮膚に、本発明の第1の態様において定義した化粧品組成物を塗布するための方法に関する。
【0022】
本明細書で使用するところの「エラストマー性」なる用語は、ポリマーを硬くしすぎることなくポリマーに弾性を与えるような所定の架橋度に架橋された一群のポリマーのことを意味する。前記のポリマーは、通常、室温よりも低いガラス転移温度によって特徴付けられる。前記エラストマーは架橋されていない直鎖状ポリマーと、完全に架橋されたポリマー(熱硬化性樹脂)の間の中間的なカテゴリーに分類される。
【0023】
本明細書で使用するところの「単位(A)」なる表現は、ポリマーを構成し、少なくとも1個の炭素原子及びその置換基を含み、他の単位と重合してポリマー鎖を形成する、モノマーの1つの繰り返し単位を意味する。前記単位は、モノマー性分子(A)、又はモノマー(A)から誘導される。
【0024】
本明細書で使用するところの「R3」なる表現は、α水素結合の切断を可能にする電子吸引基のことを意味する。
【0025】
本明細書で使用するところの「光反応物質」なる表現は、2個の第1のラジカルを生成するために、飽和ポリマー主鎖の電子吸引基に対するα位の水素ラジカルを前記ラジカルが引き抜くように、紫外線によって活性化される反応物質のことを意味する。
【0026】
本明細書で使用するところの「直接的共有結合」なる表現は、2個の異なる単位(A)のα炭素原子が、R3に対する炭素水素結合の切断により共有結合によって互いに結合される、すなわち、「分子」なる表現が少なくとも1個の原子を意味するものとして前記共有結合が中間分子を含まないことを意味する。本発明との関連において前記の「直接的共有結合」は、1個のポリマー鎖内の重合プロセスの際に2個の隣り合う単位の間に形成される共有結合とは異なる。これに対し、前記の「直接的共通結合」は、ポリマーが形成された(重合工程)後の第2の工程(架橋工程)において形成される。
【0027】
本明細書で使用するところの「ポリマー」なる表現は、1種類のモノマー(A)の重合によって形成されるホモポリマー、及び、少なくとも2種類のモノマー(モノマー(A)とモノマー(B))の重合によって形成されるコポリマーの両方を意味する。コポリマーは、2個よりも多いコモノマーを含んでもよい。「ポリマー」なる表現はまた、少なくとも1個のホモポリマーと、少なくとも1個の他のホモポリマー、又はコポリマー、又は少なくとも2個のコポリマーのブレンドとのブレンドを意味する。ポリマーブレンドは、そのガラス転移温度TgBがその成分のガラス転移温度の重み付き平均と概ね等しいことによって特徴付けられる。例えば、50%ホモポリマー(A)と50%ホモポリマー(B)とから形成されるポリマーブレンドのガラス転移温度TgA、Bは、(TgA+TgB)/2に概ね等しい。
【0028】
本明細書で使用するところの、ある成分の「重量%」及び「重量に基づいた比率(%)」なる表現は、特に指定されないかぎり、活性成分の比率(%)を意味し、この活性物質が構成する原材料の比率(%)を意味するものではない(実施例を参照)。
【0029】
特に指定されないかぎり、本明細書における比率(%)、比、及び割合はすべて重量に基づいたものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本明細書は、本発明を詳細に指摘しかつ、明確に特許請求する「特許請求の範囲」をもって結論とするものであるが、本発明は、以下の好ましい実施形態の説明を添付の図面と併せて考慮することにより、より深い理解がなされるものと考えられる。なお、図面中、同様の参照符合は同様の要素を示すものである。
【図1】ポリ(ビニルアルコール)について行ったDMA試験を用い、損失弾性率、貯蔵弾性率、及びtan δ(損失弾性率/貯蔵弾性率)を紫外線照射時間(分)の関数として示すグラフ。
【図2】ポリ(ビニルピロリドン)について行った紫外線レオロジー測定値を用いたtan δ(=損失弾性率/貯蔵弾性率)の挙動を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0031】
第1の態様に基づけば、本発明は、化粧品として許容される担体中に、1%〜100%の重合単位(A)を含むエラストマー性ポリマーを含む化粧品組成物に関するものであり、
前記単位(A)は、その非架橋形態において、R3に対するα水素を有する少なくとも1個の炭素を含み、かつ一般式Iを有する。すなわち、
【0032】
【化2】

[式中、R3は、カルボキシル誘導体、チオカルボキシル誘導体、カルボニル誘導体、チオカルボニル誘導体、イミン誘導体、水酸基誘導体、アリールラジカル、ヘテロアリールラジカル、飽和環状ラジカル、アルコキシ誘導体、アミノ誘導体、アミド誘導体、イミド誘導体、リン誘導体、硫黄誘導体、スズ誘導体、シリカ誘導体、アルキン誘導体、複素環式で更にR2を含むもの、からなる群から選択され、
1、R2、R4、及びR5は同じか又は異なり、水素、C1〜C22の飽和アルキル誘導体、C1〜C22の不飽和アルキル誘導体、水酸基誘導体、C1〜C22のアルコキシ誘導体、カルボキシル誘導体、チオカルボキシル誘導体、アミノ誘導体、アミノアルキル誘導体、アミノジアルキル誘導体、アミノトリアルキル誘導体、テトラアルキルアンモニウム誘導体、アミド誘導体、イミド誘導体、スルフィド誘導体、スルホキシド誘導体、スルホン誘導体、ホスファイト誘導体、ホスホン誘導体、ホスホネート誘導体、スズ誘導体及びシリカ誘導体、アリール誘導体、C1〜C7のアリール誘導体、ヘテロアリール誘導体、C1〜C7のヘテロアリール誘導体、シアノ誘導体、アルキニル誘導体からなる群から選択され、
添え字m、o、nは互いに独立であり、m≧0、o≧0、かつn≧1であり、
α水素のホモリティックな切断により2個の異なる単位(A)のα炭素間に直接的共有結合が形成され、前記結合は中間分子を含まない]。
【0033】
本発明者らは、一部のポリマーセグメントが直接的共有結合(すなわち、中間分子を含まない結合)によって互いに結合したエラストマー性ポリマー、又はエラストマーが充分な弾性特性を示すことを期せずして見出した。これは、架橋ポリマーの弾性特性を変化/低減させる傾向のある、架橋剤を使用する従来の架橋プロセスとは異なる点である。いずれの理論にも束縛されずにいうならば、本明細書で述べるような架橋技術によれば、より高い架橋密度を示す架橋ポリマーを得ることができるものと考えられる。実際、反応が、ポリマーの飽和炭素主鎖中に存在するラジカル水素を介して起こり、したがって、ポリマー内の「官能基」の存在のみに依存するものではないことから、得られる架橋密度がより高くなり、従来と比較して直接的共有結合が(コ)ポリマー全体により均一に分布することになる。
【0034】
本発明者らは、このようなポリマーを混合した、例えば、スキン及び/又はヘアケア組成物、スキン及び/又はヘアクレンジング組成物、ヘアスタイリング組成物、ヘアコンディショニング組成物、ヘアダイング組成物、及び/又はシェービング組成物などの化粧品組成物が、特に組成物の特性、塗布の容易性、並びに皮膚及び/又は毛髪に準備される効果に関して向上した性能を示すことを更に期せずして見出した。いずれの理論にも束縛されずにいうならば、このような向上した性能は、高い架橋密度、及びこれらの新たに生成されたエラストマー性ポリマー全体にわたった直接的共有結合のより均一な分布によるものと考えられる。詳細には、こうしたポリマーは、ヘアスタイリング組成物に混合するうえで特に適している。前記の組成物は、ヘアスタイルに長く持続するホールド力及び高いセット特性とともに弾性を与えるものである。
【0035】
ポリマー鎖が100%よりも少ない単位(A)を含んでいる場合、前記ポリマー鎖は、α水素を含まず、直接的共有結合を形成するのに適さない単位(B)を更に含む。前記単位(B)は、例えば、メタクリル酸及びその誘導体であってもよい。一実施形態では、エラストマー性ポリマーは、1〜100%の重合単位(A)及び0%〜99%の重合単位(B)を含みうる。
【0036】
エラストマー性ポリマーは、1%〜100%の重合単位(A)を含むポリマー鎖を含む。前記単位(A)は、従来の重合法を用いて重合されるモノマー(A)から誘導される。ポリマー鎖は、飽和ポリマー鎖であることが好ましい。
【0037】
前記単位(A)は、R3に対するα水素を有する少なくとも1個の炭素原子を含み、かつ下記一般式Iを有する。
【0038】
【化3】

【0039】
単位(A)は、カルボキシル誘導体、チオカルボキシル誘導体、カルボニル誘導体、チオカルボニル誘導体、イミン誘導体、水酸基誘導体、アリールラジカル、ヘテロアリールラジカル、飽和環状ラジカル、アルコキシ誘導体、アミノ誘導体、アミド誘導体、イミド誘導体、リン誘導体、硫黄誘導体、スズ誘導体、シリカ誘導体、アルキン誘導体、複素環で更にR2を含むもの、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される置換基R3を有する。好ましくは、単位(A)は、カルボキシル誘導体、カルボニル誘導体、チオカルボニル誘導体、イミン誘導体、水酸基誘導体、アルコキシ誘導体、アミノ誘導体、アミド誘導体、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される置換基R3を有する。より好ましくは、単位(A)は、アクリル酸、アクリルアミド、マレイン酸、ビニルアルコール、酢酸ビニル、ビニルメチルエーテル、ビニルピロリドン、ビニルホルムアミド、それらの誘導体、それらの塩、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。更により好ましくは、単位(A)は、アクリル酸、アクリルアミド、ビニルアルコール、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、それらの誘導体、それらの塩、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0040】
3がカルボキシル誘導体である場合、単位(A)は、アクリル酸、アクリルアミド、それらの誘導体、それらの塩、又はそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。R3が水酸基誘導体である場合、単位(A)は、ビニルアルコール、その誘導体、それらの塩、又はそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。R3がアルコキシ誘導体である場合、単位(A)は、酢酸ビニル、ビニルメチルエーテル、それらの誘導体、それらの塩、又はそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。R3がアミノ誘導体である場合、単位(A)は、ビニルピロリドン、ビニルホルムアミド、それらの誘導体、それらの塩、又はそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。R3が更にR2を含む複素環の一部である場合、単位(A)は、マレイン酸、その誘導体、それらの塩、又はそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0041】
置換基R1、R2、R4及びR5は互いに独立である。R1、R2、R4及びR5は同じか又は異なる置換基であってもよい。R1、R2、R4、及びR5は、水素、C1〜C22の飽和アルキル誘導体、C1〜C22の不飽和アルキル誘導体、水酸基誘導体、C1〜C22アルコキシ誘導体、カルボキシル誘導体、チオカルボキシル誘導体、アミノ誘導体、アミノアルキル誘導体、アミノジアルキル誘導体、アミノトリアルキル誘導体、テトラアルキルアンモニウム誘導体、アミド誘導体、イミド誘導体、スルフィド誘導体、スルホキシド誘導体、スルホン誘導体、ホスファイト誘導体、ホスホン誘導体、ホスホネート誘導体、スズ誘導体及びシリカ誘導体、アリール誘導体、C1〜C7のアリール誘導体、ヘテロアリール誘導体、C1〜C7のヘテロアリール誘導体、シアノ誘導体、アルキニル誘導体からなる群から選択される。また、R4は、更にR2を含む複素環の一部であってもよい。
【0042】
添え字m、o、nは互いに独立であり、m≧0、n≧1、かつo≧0である。好ましくは、m=0、o=10、かつn=1である。
【0043】
本エラストマー性ポリマーは、架橋剤を使用して間接的共有結合を形成する従来の架橋プロセスとは異なる架橋プロセスを用いて得られる。前記プロセスは、α水素の切断によって2個の異なる単位(A)のα炭素間に直接的共有結合を形成する工程を含む。前記の直接的共有結合は、中間分子を含まない点で間接的共有結合とは異なる。従来のポリマーは、エラストマー性ポリマーを得るために化粧品組成物に混ぜる前に直接的共有結合によって架橋することができる。また、従来のポリマーは、化粧品組成物に混ぜた後で直接的共有結合によって架橋することもできる。
【0044】
直接的共有結合は、1本のポリマー鎖内の2個の単位(A)の間に形成される場合があり、この結合は鎖内直接的共有結合である。直接的共有結合は、2本の異なるポリマー鎖の2個の単位(A)の間に形成される場合もあり、この結合は鎖間直接的共有結合である。
【0045】
好ましくは、直接的共有結合は、170nm〜400nmの波長の紫外線照射に、0.001秒〜22,000秒間、単位(A)に対する比が0.01〜1である光反応剤の存在下、かつ架橋剤の非存在下で、ポリマーの曝露時に形成される。より好ましくは、直接的共有結合は0℃〜95℃の温度で形成される。
【0046】
また、直接的共有結合は、単位(A)に対する比が0.01〜1である活性化された光反応剤の存在下、かつ架橋剤の非存在下でも形成される。好ましくは直接的共有結合は20℃〜70℃の温度で形成される。光反応剤は、170nmの波長の紫外線照射に、0.001秒〜22,000秒間曝露することで活性化することができる。
【0047】
本明細書出使用するところの「光反応剤」なる表現は、光、特に紫外線によって照射される際にフリーラジカルを生成する物質のことを意味する。本発明者らは、直接的共有結合を形成するためには、活性化された形態で、単位(A)に対する特定の比(重量比)で存在する光反応剤の使用が不可欠であることを期せずして見出した。光反応剤の活性化は、170nm〜400nmの波長の紫外線照射に、0.001秒〜22,000秒間曝露することで行われる。光反応剤の活性化、及び直接的共有結合の形成は同時に起こりうる。また、光反応剤の活性化は直接的共有結合の形成の前に行ってもよい。直接的共有結合の形成の前に光反応剤を活性化することは、ポリマーが照射によるダメージから保護されることから好ましい。170nm〜400nmの波長の紫外線照射の使用は、好ましい光活性剤が紫外線のみを吸収することから不可欠である。単位(A)に対する比(重量比)が0.01〜1となるように光反応剤を使用することも、直接的共有結合を形成するうえで不可欠である。0.01未満の比(重量比)を用いた場合、直接的共有結合は形成されないものと予想される。前記の比は、好ましくは0.01〜0.4、より好ましくは0.03〜0.3である。
【0048】
光活性剤は過硫酸塩であってもよい。好ましくは、過硫酸塩は、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、又はそれらの混合物からなる群から選択される。過硫酸塩の使用は、過硫酸塩は取り扱いが容易であり、水に対する溶解度が高く、各々のホモリティックな切断で2個の同じラジカルを同時に生成することから好ましい。
【0049】
0.01%〜100%の単位(A)を直接的共有結合によって架橋することができる。0.1%〜50%の単位(A)が架橋されることが好ましい。1%〜5%が架橋されることがより好ましい。単位(A)の一部のみが直接的共有結合によって架橋される場合、エラストマー性ポリマーは、架橋形態の単位(A)と、非架橋形態の単位(A)とを含む。弾性度は、架橋度、すなわち架橋される単位(A)の割合に応じて変わる。
【0050】
3に対するα水素を有する少なくとも1個の炭素を有する単位(A)を1%〜100%含む、化粧品組成物において従来より用いられているあらゆるポリマーが、直接的共有結合を架橋し、本明細書の化粧品組成物に混合するうえで適している。
【0051】
前記のポリマーは非架橋ポリマーであってもよく、あるいは架橋剤を使用する従来の架橋プロセスを用いて架橋されたポリマーであってもよい。前記のポリマーが架橋ポリマーである場合、直接的共有結合を形成し、エラストマー性ポリマーを得るために本方法によって更に架橋することができる。その場合、これらのエラストマー性ポリマーは、「間接的共有結合」(すなわち、従来の架橋)及び「直接的共有結合」を含むことになる。
【0052】
前記のポリマーは、エマルション安定剤、懸濁剤、増粘剤、不透明化剤、フィルム形成剤、毛髪固定剤、皮膚保湿剤、及び/又はヘアコンディショニング剤であってもよい。好ましくは前記のポリマーは、ヘアスタイリングポリマーとも呼ばれる毛髪固定剤である。前記のポリマーは、アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマー、両親媒性ポリマー、非イオン性ポリマー、又はこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。これについては、International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,(12th edition(2008),Personal Care Products Council)(以前のCosmetic,Toiletry and Fragrance Association(CTFA))に示されるポリマーを参照されたい。適当なアニオン性ポリマーとしては、ポリアクリル酸、アクリレート/t−ブチルアクリルアミドコポリマー(ビー・エー・エス・エフ社(BASF Corporation)よりUltrahold 8の商品名で市販されるもの)、AMP−アクリレートコポリマー(例えば、アクゾノーベル・サーフィス社(AzkoNobel Surface Corporation)より販売されるDynamX)、VA/クロトネートコポリマー(例えば、クラリアント・インターナショナル社(Clariant International Ltd.)より販売されるLuviset CA)、イソブチレン/エチルマレイミド/ヒドロキシエチルマレイミドコポリマー(例えば、インターナショナル・スペシャルティー・プロダクツ社(International Specialty Products)より販売されるAquaflex FX 64)、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸又はマレイン酸とのコポリマーであるPVM/MAコポリマー(例えば、インターナショナル・スペシャルティー・プロダクツ社(International Specialty Products)より販売されるGantrez AN−119/139/149/169,S−95/97)、PVM/MAコポリマーのエチル(又はブチル、又はプロピル)エステル(例えば、インターナショナル・スペシャルティー・プロダクツ社(International Specialty Products)より販売されるGantrez A−4259/ES 425/ES 435/V−425)、アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム/アクリル酸コポリマー(例えば、ローム・アンド・ハース社(Rohms and Haas Company,Inc.)より販売されるAcudyne SCP)、アクリレート/ヒドロキシエステルアクリレートコポリマー(例えば、ローム・アンド・ハース社(Rohms and Haas Company,Inc.)より販売されるAcudyne DHR)を使用することができる。適当なカチオン性ポリマーとしては、ポリクオタニウム−11、ポリクオタニウム−16、及びポリクオタニウム−68を使用することができる。適当な両親媒性ポリマーとしては、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメチルアクリレートコポリマー(例えば、アクゾノーベル・サーフィス社(AzkoNobel Surface Corporation)より販売されるAmphomer)、ポリビニルアルコール(例えば、セラニーズ・ケミカルズ社(Celanese Chemicals)より販売されるcelvol)、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー(例えば、ビー・エー・エス・エフ社(BASF corporation)より販売されるLuviskol VA−37E/73E/64 Powder/64W/73W)、ポリビニルメチルエーテル(例えば、インターナショナル・スペシャルティー・プロダクツ社(International Specialty Products)より販売されるGantrez M−154)、ポリビニルピロリドン(例えば、ビー・エー・エス・エフ社(BASF corporation)より販売されるLuviskol K30/K90/K17/K80/K90)、ポリビニルホルムアミド、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(例えば、アクゾノーベル・サーフィス社(AzkoNobel Surface Corporation)より販売されるFlexan II)を使用することができる。
【0053】
本発明者は、上記に示したもののような、化粧品組成物に従来より使用されている架橋ポリマーは、これらのポリマーの弾性特性を高め、ポリマーに弾性特性を付与することができるものであることを期せずして見出した。例えば、直接的共有結合により架橋されたポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、又はポリ酢酸ビニルは、従来のポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、又はポリ酢酸ビニルと比較して優れた弾性特性を示す(これらの従来のポリマーは、架橋されていないか又は間接的共有結合によって架橋されている(すなわち、架橋剤を使用する))。これらのポリマーを化粧品組成物に混合することにより、特に組成物の特性、塗布の容易性、並びに皮膚及び/又は毛髪に与えられる効果に関して向上した性能が実現される。詳細には、これらのポリマーをヘアスタイリング組成物に混合することによりヘアスタイルに充分な弾性が与えられる。ヘアスタイルの弾性は、例えば、カール保持試験を用いて評価することができる。
【0054】
本発明に基づく組成物は、更に化粧品として許容される担体を含む。前記担体は、溶液、エマルション、固体担体、分散液、懸濁液、ムース、ジェル、ワックス、多相性組成物から選択することができる。
【0055】
本発明に基づく組成物は、額、頬及び首、腕及び脚などの皮膚、並びに毛髪及び顔ひげなどの角質繊維に塗布することができる。前記組成物は、リーブオン組成物として、又はリンスオフ組成物として塗布することができる。
【0056】
本発明に基づく組成物は化粧品成分、好ましくは0.001%〜50%の少なくとも1種類の化粧品成分を更に含んでもよい。好ましくは、前記化粧品活性成分は、乳化剤/界面活性剤;構造化剤;非エラストマー性増粘剤;酸化防止剤/ラジカルスカベンジャー;キレート剤及び金属イオン封鎖剤;落屑剤/剥離剤;皮膚美白剤;スキン及びヘアコンディショニング剤;ヘアスタイリング剤;縮れ防止剤;抗しわ活性成分/抗萎縮剤;抗セルライト剤;タンニング剤;抗ニキビ剤;スキンフレッシュニング、スキンスージング及びスキンヒーリング活性成分;抗炎症剤;クレンジング剤;泡立ち剤;ひげ濡らし剤;抗微生物、抗細菌及び抗真菌活性成分;サンスクリーン活性成分及び日焼け止め剤;光沢増強剤;粘度調整剤;pH調整剤;固体粒子;保湿剤及び皮膚軟化剤;電解質;ビタミン類、その誘導体及びその塩;天然抽出物及びその誘導体;ペプチド;着色剤;防腐剤;芳香剤及び香料;噴射剤、又はこれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、前記化粧品活性成分は、ヘアスタイリング組成物に混合するうえで適した成分である。
【0057】
本発明に基づく組成物は、スキンケア組成物又はヘアケア組成物から選択することができる。好ましくは、組成物は、スキンクレンジング、ヘアクレンジング、ヘアスタイリング、ヘアコンディショニング及び/又はシェービング組成物、又はそれらの組み合わせである。より好ましくは、前記組成物はヘアスタイリング組成物である。
【0058】
本発明者らは、ヘアスタイリング組成物にエラストマー性ヘアスタイリングポリマーを混合すると、前記組成物が毛髪に塗布される際に高い性能を発揮することから特に効果的であることを期せずして見出した。実際、前記組成物はヘアスタイルに長く持続する高いセット特性とともに弾性を与えるものである。ヘアスタイルに付与されるこのような弾性は、従来のヘアスタイリングポリマー、すなわち直接的共有結合によって架橋されていないポリマーを混合したヘアスタイリング組成物を塗布した場合に毛髪に付与される弾性と比較して優れたものである。
【0059】
第2の態様に基づけば、本発明は、化粧品組成物に弾性特性を与えるための上記に定義した前記エラストマー性ポリマーの使用に関する。本発明者らは、こうしたエラストマー性ポリマーの使用は、直接的共有結合を含まない市販のポリマーと比較して、化粧品組成物の弾性特性を向上させることを効果的かつ期せずして見出した。
【0060】
第3の態様に基づけば、本発明は、ヘアスタイルに長く持続するホールド力、高いセット特性、及び弾性を与えるための上記に定義した組成物の使用に関する。本発明者らは、直接的共有結合を含むエラストマー性ポリマーを含むヘアスタイリング組成物は、ヘアスタイルに充分な弾性を付与するうえで有用であることを効果的かつ期せずして見出した。
【0061】
第4の態様に基づけば、本発明は、本発明の第1の態様において定義した化粧品組成物を調製するための方法に関するものであり、前記方法は、
(a)1%〜100%の重合単位(A)を含むポリマーを準備する工程と、
(b)R3に対するα水素結合の切断により前記ポリマーの2個の異なる単位(A)のα炭素間に直接的共有結合を形成することによりエラストマー性ポリマーを得る工程であって、前記結合は中間分子を含まない工程と、
(c)化粧品として許容される担体、及び必要に応じて用いられる少なくとも1種類の化粧品活性成分を含む化粧品組成物を準備する工程と、
(d)前記化粧品組成物に前記エラストマー性ポリマーを混ぜる工程と、を含む。
【0062】
工程(b)は、前記ポリマーを、170nm〜400nmの波長の紫外線照射に、0.001秒〜22,000秒間、単位(A)に対する比が0.01〜1である光反応剤の存在下かつ架橋剤の非存在下で、必要に応じて0℃〜95℃の温度で曝露することによって行うことができる。
【0063】
また、工程(b)は、(b1)光反応剤を与え、次いで(b2)前記光反応剤を170nmの波長の紫外線照射に0.001秒〜22,000秒間、曝露することで活性化し、次いで(b3)前記ポリマーを、単位(A)に対する比が0.01〜1となるような前記活性化された光反応剤と、架橋剤の非存在下で混合することによって直接的共有結合を形成するように、幾つかのサブ工程を含んでもよい。
【0064】
1〜100%の重合単位(A)、光反応剤、化粧品として許容される担体、及び必要に応じて用いられる化粧品活性成分を含む適当なポリマーについて上記に詳細に述べた。
【0065】
第5の態様に基づけば、本発明は、本発明の第1の態様において定義した化粧品組成物を調製するための方法に関するものであり、前記方法は、
(a)化粧品として許容される担体、及び必要に応じて用いられる少なくとも1種類の化粧品活性成分を含む化粧品組成物を準備する工程と、
(b)1%〜100%の重合単位(A)を含むポリマーを前記化粧品組成物に混ぜる工程と、
(c)エラストマー性ポリマーを得るために、R3に対するα水素結合の切断により前記ポリマーの2個の異なる単位(A)のα炭素間に直接的共有結合を形成する工程であって、前記結合は中間分子を含まない工程と、を含む。
【0066】
工程(c)は、前記組成物、したがって前記ポリマーを、170nm〜400nmの波長の紫外線照射に、0.001秒〜22,000秒間、単位(A)に対する比が0.01〜1である光反応剤の存在下かつ架橋剤の非存在下で、必要に応じて0℃〜95℃の温度で曝露することによって行うことができる。
【0067】
また、工程(c)は、(c1)光反応剤を与え、次いで(c2)前記光反応剤を170nmの波長の紫外線照射に0.001秒〜22,000秒間、曝露することで活性化し、次いで(c3)前記ポリマーを、単位(A)に対する比が0.01〜1となるような前記活性化された光反応剤と、架橋剤の非存在下で混合することによって直接的共有結合を形成する、幾つかのサブ工程を含んでもよい。
【0068】
光反応剤、化粧品として許容される担体、及び必要に応じて用いられる化粧品活性成分を含む適当なポリマーについて上記に詳細に述べた。
【0069】
第6の態様では、本発明は、毛髪及び/又は皮膚に化粧品組成物を塗布するための方法に関するものであり、前記方法は、
(a)化粧品として許容される担体中に1%〜100%の重合単位(A)を含むエラストマー系ポリマー、及び必要に応じて少なくとも1種類の化粧品活性成分を含む、本発明の第1の態様において定義した化粧品組成物を準備する工程であって、R3に対するα水素結合の切断により2個の異なる単位(A)のα炭素間に直接的共有結合が形成され、前記結合は中間分子を含まない工程と、
(b)前記組成物を皮膚及び/又は毛髪に塗布する工程と、を含む。
【0070】
前記組成物は、任意の適当な方法、特に上記に詳細に述べた本発明の第4及び第5の態様に基づいた方法によって得ることができる。
【実施例】
【0071】
以下の実施例は、本発明の範囲に含まれる好ましい実施形態を更に説明、実証するものである。本発明には、本発明の範囲から逸脱することなく多くの変形形態が可能であることから、これらの実施例はあくまで例示を目的とするものであり、本発明を限定するものとして解釈すべきではない。
【0072】
これらの実施例において示される重量はすべて、活性物質及び/又は溶媒及び/又は副生成物を含む、市販の材料の重量である。
【0073】
実施例1−ポリマーの「直接的架橋」−一般的手順
1000mLの前記ポリマー(分子量≒50 000〜200 000g/mol)の5%〜10%溶液に、10重量%〜15重量%のペルオキソ二硫酸アンモニウムのポリマーを加える。温度を25℃〜85℃とする。試料を攪拌し、放射スペクトルが220nm〜300nmの紫外線を含むように照射する。1〜60分間の照射後、「直接的」架橋が形成される。ポリマーが単位(A)及び単位(B)の両方を含むものである場合、その比は単位(A)に対する光活性剤の比と関係する。
【0074】
実施例2−ポリビニルアルコールの「直接的架橋」
a)1000mLのポリビニルアルコール(分子量≒200 000g/mol,加水分解度≧85%)の5%溶液に、ペルオキソ二硫酸アンモニウム(=ポリマーの量の20%)を加えた。温度を50℃とした。試料を攪拌し、浸漬型中圧水銀ランプにより照射した。放射スペクトルは220nm〜300nmの紫外線を含むものである。10分間の照射後、先の薄い溶液が濃い粘稠ゲルに変化した。
b)1000mLのポリビニルアルコール(分子量≒200 000g/mol,加水分解度≧85%)の5%(重量比)溶液に、10gのペルオキソ二硫酸アンモニウム(=ポリマーの量の20%)を加えた。温度を50℃とした。試料を攪拌し、浸漬型低圧水銀ランプにより照射した。放射スペクトルは、253.7nmの単色紫外線を含むものである。20分間の照射後、先の薄い溶液が濃い粘稠ゲルに変化した。
【0075】
実施例3−ポリビニルピロリドンの「直接的架橋」
a)1000mLのポリビニルピロリドン(Luviskol K 90)の5%溶液に、ペルオキソ二硫酸アンモニウム(=ポリマーの量の10重量%)を加えた。温度を50℃とした。試料を攪拌し、浸漬型中圧水銀ランプにより照射した。放射スペクトルは220nm〜300nmの紫外線を含むものである。20分間の照射後、先の薄い溶液が濃い粘稠ゲルに変化した。
b)1000mLのポリビニルピロリドン(Luviskol K 90)の5%(重量比)溶液に、5gのペルオキソ二硫酸アンモニウム(=ポリマーの量の10重量%)を加えた。温度を50℃とした。試料を攪拌し、浸漬型低圧水銀ランプにより照射した。放射スペクトルは、253.7nmの単色紫外線を含むものである。30分間の照射後、先の薄い溶液が濃い粘稠ゲルに変化した。
【0076】
実施例4−ポリアクリル酸の「直接的架橋」
a)1000mLのポリアクリル酸(分子量≒100000g/mol)の15%(重量比)溶液に、ペルオキソ二硫酸アンモニウム(=ポリマーの量の10重量%)を加えた。温度を50℃とした。試料を攪拌し、浸漬型中圧水銀ランプにより照射した。放射スペクトルは220nm〜300nmの紫外線を含むものである。50分間の照射後、先の薄い溶液が濃い粘稠ゲルに変化した。
b)1000mLのアルドリッチ社(Aldrich)より販売されるポリアクリル酸(分子量≒100000g/mol)の15%(重量比)溶液に、15gのペルオキソ二硫酸アンモニウム(=ポリマーの量の10重量%)を加えた。温度を50℃とした。試料を攪拌し、浸漬型低圧水銀ランプにより照射した。放射スペクトルは、253.7nmの単色紫外線を含むものである。70分間の照射後、先の薄い溶液が濃い粘稠ゲルに変化した。
【0077】
実施例5−ビー・エー・エス・エフ社(BASF corporation)より販売されるLuviset Clear(VP/メタrクリルアミド/ビニルイミダゾールコポリマー)、ローム・アンド・ハース社(Rohms and Haas Company,Inc.)より販売されるAcudyne SCP(アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム/アクリル酸コポリマー)、ビー・エー・エス・エフ社(BASF corporation)より販売されるLuviset CA66(VA/クロトネートコポリマー)、インターナショナル・スペシャルティー・プロダクツ社(International Specialty Products)より販売されるAquaflex SF−40、ポリクオタニウム−11、インターナショナル・スペシャルティー・プロダクツ社(International Specialty Products)より販売されるAquaflex FX 64(イソブチレン/エチルマレイミド/ヒドロキシエチルマレイミドコポリマー)、コスメトケム・インターナショナル社(Cosmetochem International AG)より販売されるHair Gloss Polymer A(オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー)、インターナショナル・スペシャルティー・プロダクツ社(International Specialty Products)より販売されるCoplymer VC−173(ビニルカプロラクタム/VP/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー)、ビー・エー・エス・エフ社(BASF corporation)より販売されるLuvimer 100P(アクリレートコポリマー)を含む、更なる市販のポリマーの「直接的架橋」を、実施例1〜3の方法と同様の方法を用いて支障なく行った。
【0078】
実施例6−弾性特性の測定−ポリ(ビニルアルコール)のDMA試験
概論−動的粘弾性試験(DMAという)は、フィルムの機械的材料特性評価の公知の方法である。DMAは、固体材料(例えば、フィルム)の機械的性質の特性評価を行うために振動原理を用いている。試料を器具のクランプに固定し、垂直方向に応力を加える。損失弾性率G”と貯蔵弾性率G’との比はtan δと呼ばれ、式tan δ=G”/G’によって得られる。tan δは試料の弾性の尺度として知られ、tan δが低いほど系の弾性係数は高くなる。
【0079】
試料の調製−試料はメルク社(Merck)より提供されるポリ(ビニルアルコール)である。各バッチ(光反応剤を加えた20mLのポリマー溶液)をガラス底を有するオープン形状内に入れてから、バッチから20cmの距離に置かれた中圧紫外線ランプ(TQ−150、ヘラエウス社(Heraeus))を用いて紫外線で照射する。紫外線への曝露後、各バッチを5日間乾燥させてフィルムを得る。10mm×5.3mm×0.3mmの試料を前記のフィルムから切り取ってDMA測定を行った。
【0080】
DMA試験のパラメータ:DMA測定は、ティー・エー・インスツルメンツ社(TA Instruments)のDMA Q800を23℃及び一定の湿度(50%)で使用して等温的に行い、0.03%の歪みで1〜100Hzの周波数で掃引した。
【0081】
結果:得られたデータを図1に示す。図1はtan δの値を紫外線照射時間(分)の関数として示している。図1から外挿することができるように、tan δの値の減少、したがってエラストマー性ポリマーの弾性(弾性特性)の増大は、紫外線に対するバッチの曝露時間の増大と直接相関している。
【0082】
実施例7−ポリ(ビニルピロリドン)の紫外線レオロジーの測定
概論:ティー・エー・インスツルメンツ社(TA Instruments)のAR−2000exを使用して紫外線レオロジーの測定を行うことにより、紫外線に曝露される間(すなわち、架橋が起きている間)のポリマーのバッチのレオロジー特性(G’、G”、tan δ)を測定する。したがって、これにより、紫外線照射の前、その間、及びその後に生じる粘弾性特性の変化をリアルタイムで監視することが可能となる。
【0083】
試料の調製:PVP(Luviskol K 90,BASF)の20%溶液を含むバッチを調製する。これらのバッチは、異なる割合の光反応剤(0〜40%のポリマーマス)を含む。前記光反応剤は、早期の開裂を防止するために測定を行う直前にバッチに加える。
【0084】
紫外線レオロジー試験のパラメータ:レオロジー実験は、20mmの鋼板を使用し、間隙を200μmに設定して、2つの異なる温度(すなわち、25℃と40℃)で等温的に行う。約1mLのポリマー溶液を使用する。測定は、トルクの下限を10μN・mとし、0.3Hzの振動数で5%の歪みコントロールを用いてタイムスイープとして行った。測定を行う間、ProCure PLG−10中圧紫外線ランプES270を用いてポリマー溶液を紫外線に曝露した。
【0085】
結果:得られたデータを図2に示す。紫外線レオロジーの結果は、tan δ(=損失弾性率/貯蔵弾性率)の挙動である。これらの結果に基づき、架橋プロセスの物理的及び化学的性質についての仮定を行うことができる。
【0086】
以下の実施例は、少なくとも1種類のエラストマー性ポリマー(又は直接的に架橋されたポリマー(記号*を参照))を含む本発明に基づく化粧品組成物を開示したものである。前記組成物は、0.1〜0.3gの芳香剤などの更なる成分を含んでもよい。
【0087】
実施例8(液体ゲル):0.3gのエラストマー性ポリ(アクリル酸)*;1.5g PEG−12ジメチコン;0.3gアミノエチルプロパノール95%;0.2g PPG−1/PEG−9ラウリルグリコールエーテル;0.4gヒドロキシエチルセルロース;16.5gエタノール;水により100gとする。
【0088】
実施例9(液体ゲル):1.0gエラストマー性ポリ(ビニルピロリドン)*;1.0g PEG−12ジメチコン;1.2gキサンタンガム;0.1gクエン酸;6.5gエタノール;0.3g DMDMヒダントイン;水により100gとする。
【0089】
実施例10(液体ゲル):0.5gエラストマー性ポリ(ビニルアルコール)*;7.0gグルコース;3.8gプロピレングリコール;0.3gヒドロキシプロピルグアー;0.2gアミノメチルプロパノール95%;0.5g PEG−25 PABA;0.18g PEG−40硬化ヒマシ油;0.18g PPG−1/PEG−9ラウリルグリコールエーテル;16,5gエタノール;水により100gとする。
【0090】
実施例11(スプレージェル):3.0gエラストマー性ポリ(ビニルピロリドン)*;18gエタノール;0.1gアミノメチルプロパノール95%;0.2g PEG−40;0.5gアクリレート/ベヘネス−25メタクリレートコポリマー;70g水。
【0091】
実施例12(乾燥時間の短いジェル):2.8gエラストマー性ポリ(アクリル酸)*;1.5g PEG−12ジメチコン;0.35gアクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマー;0.26gアミノメチルプロパノール95%;0.30gメチルメトキシシンナメート;34.2gエタノール;水により100gとする。
【0092】
実施例13(ジェル−スプレー):0.23gエラストマー性ポリ(アクリル酸)*;1.0g PEG−12ジメチコン;0.22gアミノエチルプロパノール95%;6.5gエタノール;水により100gとする。
【0093】
実施例14(ブロードライヤー−ジェル):1.0gエラストマー性アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム/アクリル酸コポリマー*;1.0g PEG−12ジメチコン;0.95gヒドロキシプロピルセルロース;0.1gクエン酸;6.5gエタノール;水により100gとする。
【0094】
実施例15(ジェル):1.8gエラストマー性ポリ(ビニルピロリドン)[Luviskol K 90]*;1.5g PEG−12ジメチコン;1.0gアクリレート/パルメス−25アクリレートコポリマー;0.3gアミノメチルプロパノール95%;0.3g PEG−25 PABA;0.15g d−パンテノール;34.2gエタノール;0.1g加水分解毛髪ケラチン;水により100gとする。
【0095】
実施例16(ジェル):2.5gエラストマー性VA/クロトネートコポリマー*;4.2gソルビトール;0.8gカルボマー;0.3gアミノメチルプロパノール95%;0.2gメチルパラベン;0.2g PEG−40硬化ヒマシ油;0.1g d−パンテノール;5.0gエタノール;水により100gとする。
【0096】
実施例17(ジェル):1.5gエラストマー性VP/ビニルカプロラクタム/DMAPAアクリレートコポリマー*;1.2gビニルアクリレート/クロトン酸コポリマー;4.2gソルビトール;0.12gアクリレート/セテス−20イタコネートコポリマー;0.35gアミノメチルプロパノール95%;0.5g PEG−25 PABA;0.2g DMDMヒダントイン;0.2g PEG−40硬化ヒマシ油;0.1g d−パンテノール;5.0gエタノール;水により100gとする。
【0097】
実施例18(ジェル):5.2gグリセリン;4.0gプロピレングリコール;0.35gエラストマー性ポリ(アクリル酸)*;0.26gアミノメチルプロパノール95%;1.0gポリソルベート40;0.2gメチルパラベン;0.5g PEG−25 PABA;4.5gエタノール;水により100gとする。
【0098】
実施例19(ポンプ式セッティングムース):0.3gエラストマー性酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー;0.4gヤシ油脂肪酸アミドプロピルスルフォベタイン;0.1gクエン酸;8.9gエタノール;0.1gベタイン;水により100gとする。
【0099】
実施例20(ポンプ式セッティングムース):0.4gエラストマー性アクリル酸/エチルアクリレート/N−tert−ブチルアクリルアミドコポリマー*;0.4gヤシ油脂肪酸アミドプロピルスルフォベタイン;0.1gクエン酸;0.2g DMDMヒダントイン;0.1gカミツレ(マトリカリア)花エキス;水により100gとする。
【0100】
実施例21(ポンプ式セッティングムース):1.2gエラストマー性VP/メタクリルアミド/ビニルイミダゾールコポリマー*;0.35gポリクオタニウム−6;0.4gヤシ油脂肪酸アミドプロピルスルフォベタイン;0.1g d−パンテノール;8.9gエタノール;0.1gベタイン;水により100gとする。
【0101】
実施例22(ポンプ式セッティングムース):2.5gエラストマー性VP/メタクリルアミド/ビニルイミダゾールコポリマー*;8.9gエタノール;0.2gヤシ油脂肪酸アミドプロピルスルフォベタイン;0.2g塩化セチルトリメチルアンモニウム;0.1g Silkpro Liquid;水により100gとする。
【0102】
実施例23(ポンプ式セッティングムース):2.0gエラストマー性VP/メタクリルアミド/ビニルイミダゾールコポリマー*;0.3gポリクオタニウム−4;8.9gエタノール;0.2gヤシ油脂肪酸アミドプロピルスルフォベタイン;0.2g塩化セチルトリメチルアンモニウム;0.1gクエン酸;0.1gベタイン;水により100gとする。
【0103】
実施例24(ポンプ式セッティングムース):0.3gエラストマー性ポリクオタニウム−11*;0.4gヤシ油脂肪酸アミドプロピルスルフォベタイン;1.0gプロピレングリコール;0.2gメチルパラベン;水により100gとする。
【0104】
実施例25(ポンプ式セッティングムース):1.8gエラストマー性VP/メタクリルアミド/ビニルイミダゾールコポリマー*;0.4gヤシ油脂肪酸アミドプロピルスルフォベタイン;0.1g Rosmarinus Officinalis(ローズマリー)葉抽出物;8.9gエタノール;0.1g D−パンテニルエチルエーテル;水により100gとする。
【0105】
実施例26(エアロゾル式セッティングムース):0.5gエラストマー性イソブチレン/エチルマレイミド/ヒドロキシエチルマレイミドコポリマー*;4.0gブタン;4.0gプロパン;8.9gエタノール;0.4g PEG 25 PABA;0.15gベタイン;0.2gラウレス−4;0.05g臭化セトリモニウム;0.5gアモジメチコン;水により100gとする。
【0106】
実施例27(エアロゾル式セッティングムース):1.5gエラストマー性VP/メタクリルアミド/ビニルイミダゾールコポリマー*;0.5gポリクオタニウム−47;4.0gブタン;4.0gプロパン;0.15gベタイン;0.25gのシクロペンタシロキサン、シクロテトラシロキサン、ジメチコノール混合物;0.2gエチルヘキシルメトキシシンナメート;0.2gラウレス4;0.07g塩化セトリモニウム;水により100gとする。
【0107】
実施例28(エアロゾル式セッティングムース):2.1gエラストマー性VP/メタクリルアミド/ビニルイミダゾールコポリマー*;2.5g VP/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー;1.0gポリクオタニウム−4;4.0gブタン;4.0gプロパン;0.2gパンテノール;0.7gクオタニウム−80;0.07g臭化セトリモニウム;水により100gとする。
【0108】
実施例29(エアロゾル式セッティングムース):2.1gエラストマー性VP/メタクリルアミド/ビニルイミダゾールコポリマー*;0.6gエラストマー性酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー*;0.5gポリクオタニウム−7;4.0gブタン;4.0gプロパン;8.9gエタノール;0.4g PEG−25 PABA;0.2gパンテノール;0.2gラウレス4;0.07g C−11パレス−8;水により100gとする。
【0109】
実施例30(スプレー用セッティングローション):1.5gエラストマー性VP/メタクリルアミド/ビニルイミダゾールコポリマー*;1.0gイソブチレン/エチルマレイミド/ヒドロキシエチルマレイミドコポリマー;2.7gエタノール;1.0gポリクオタニウム−35;0.7g PEG−25 PABA;0.35gパンテノール;0.2g塩化セトリモニウム;0.21g PEG−40硬化ヒマシ油;水により100gとする。
【0110】
実施例31(スプレー用セッティングローション):2.0gエラストマー性オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー*;28.5gエタノール;0.6gアミノメチルプロパノール95%;0.20%臭化セチルトリメチルアンモニウム;水により60gとする。
【0111】
実施例32(スプレー用セッティングローション):0.65gエラストマー性オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー*;0.2gポリクオタニウム−4;28.5gエタノール;0.6gアミノメチルプロパノール95%;0.2g塩化セチルトリメチルアンモニウム;水により60gとする。
【0112】
実施例33(非エアロゾル式エアブロワーローション):2.0gエラストマー性ビニルカプロラクタム/VP/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー*;28.5gエタノール;0.20g塩化セチルトリメチルアンモニウム;水により60gとする。
【0113】
実施例34:(非エアロゾル式エアブロワーローション):3.1gエラストマー性VP/メタクリルアミド/ビニルイミダゾールコポリマー*、0.05gポリクオタニウム−4、0.5gアクリレート/ラウリルアクリレート/ステアリルアクリレート/エチルアミンオキシドメタクリレートコポリマー、27gエタノール、0.1gベタイン、0.21g PEG 40硬化ヒマシ油、0.20g臭化セチルトリメチルアンモニウム、水により100gとする。
【0114】
実施例35(エアロゾル式エアブロワーローション):3.0gエラストマー性VP/メタクリルアミド/ビニルイミダゾールコポリマー*;2.30gポリスチレンスルホン酸ナトリウム;0.02gフェニルトリメチコン;10.0g水;エタノールにより100gとする。このローションは45%/55%の配分量でジメチルエーテルとともにパッケージングされる。
【0115】
実施例36(VOC 80ポンプ式スプレー):0.5g t−エラストマー性ブチルアクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸コポリマー*;0.10gアミノメチルプロパノール;0.05gベタイン;55gエタノール;水により100gとする。
【0116】
実施例37(エアロゾル式ヘアスプレー):10.0g水;0.02gフェニルトリメチコン;1.5gエラストマー性VP/メタクリルアミド/ビニルイミダゾールコポリマー*;3.00gオクチルアクリルアミド/アクリル酸/ブチルアミノエチルメタクリレート/メチルメタクリレート/ヒドロキシプロピルメタクリレートコポリマー;0.48gアミノメチルプロパノール95%;エタノールにより100gとする。このヘアスプレーは45%/55%の配分量でジメチルエーテルとともにパッケージングされる。
【0117】
実施例38(エアロゾル式ヘアスプレー):10.0g水;3.3gエラストマー性t−ブチルアクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸コポリマー*;0.84gアミノメチルプロパノール95%;1.0g VA/クロトネートコポリマー;エタノールにより100gとする。このヘアスプレーは45%/55%の配分量でジメチルエーテルとともにパッケージングされる。
【0118】
実施例39(エアロゾル式ヘアスプレー):2.50gエラストマー性VP/メタクリルアミド/ビニルイミダゾールコポリマー*;3.30g t−ブチルアクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸コポリマー;0.85gアミノメチルプロパノール95%;0.02gフェニルトリメチコン;10.0g水;エタノールにより100gとする。このヘアスプレーは45%/55%の配分量でジメチルエーテルとともにパッケージングされる。
【0119】
本明細書に開示される寸法及び値は、記載される正確な数値に厳密に限定されるものとして解されるべきではない。むしろ、特に指定されないかぎり、こうした各寸法は、記載される値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば「40mm」として開示される寸法は「約40mm」を意味するものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品として許容される担体中に、1%〜100%の重合単位(A)を含むエラストマー性ポリマーを含む化粧品組成物であって、
前記単位(A)が、その非架橋形態において、R3に対するα水素を有する少なくとも1個の炭素を含み、かつ一般式I:
【化1】

[式中、R3は、
(a)カルボキシル誘導体、チオカルボキシル誘導体;
(b)カルボニル誘導体、チオカルボニル誘導体、イミン誘導体;
(c)水酸基誘導体;
(d)アリールラジカル、ヘテロアリールラジカル;
(e)飽和環状ラジカル;
(f)アルコキシ誘導体;
(g)アミノ誘導体、アミド誘導体、イミド誘導体;
(h)リン誘導体;
(i)硫黄誘導体;
(j)スズ誘導体;
(k)シリカ誘導体;
(l)アルキン誘導体;
(m)複素環式で更にR2を含むもの、からなる群から選択され、
1、R2、R4、及びR5は同じか又は異なり、水素、C1〜C22の飽和アルキル誘導体、C1〜C22の不飽和アルキル誘導体、水酸基誘導体、C1〜C22のアルコキシ誘導体、カルボキシル誘導体、チオカルボキシル誘導体、アミノ誘導体、アミノアルキル誘導体、アミノジアルキル誘導体、アミノトリアルキル誘導体、テトラアルキルアンモニウム誘導体、アミド誘導体、イミド誘導体、スルフィド誘導体、スルホキシド誘導体、スルホン誘導体、ホスファイト誘導体、ホスホン誘導体、ホスホネート誘導体、スズ誘導体及びシリカ誘導体、アリール誘導体、C1〜C7のアリール誘導体、ヘテロアリール誘導体、C1〜C7のヘテロアリール誘導体、シアノ誘導体、アルキニル誘導体からなる群から選択され、
添え字m、o、nは互いに独立であり、m≧0、o≧0、かつn≧1であり、更にR3に対するα水素結合が切断されることにより2個の異なる単位(A)のα炭素間に直接的共有結合が形成され、前記結合は中間分子を含まない]を有するものである、組成物。
【請求項2】
前記共有結合が、前記ポリマーを170nm〜400nmの波長の紫外線照射に、0.001秒〜22,000秒間、好ましくは0℃〜95℃の温度で、単位(A)に対する比が0.01〜1である光反応剤の存在下、かつ架橋剤の非存在下で曝露することで形成される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記共有結合が、好ましくは0℃〜95℃の温度で、単位(A)に対する比が0.01〜1である活性化された光反応剤の存在下、かつ架橋剤の非存在下で、形成される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記光反応剤が、170nm〜400nmの波長の紫外線照射に、0.001秒〜22,000秒間、曝露することで活性化される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記共有結合が、前記エラストマー性ポリマーの前記化粧品組成物への混合前に形成される、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記光反応剤が過硫酸塩であり、好ましくは前記過硫酸塩が、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、又はそれらの混合物からなる群から選択される、請求項2〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記単位(A)が、
(a)カルボキシル誘導体、カルボニル誘導体、チオカルボニル誘導体、イミン誘導体;
(b)水酸基誘導体;
(c)アルコキシ誘導体;
(d)アミノ誘導体若しくはアミド誘導体;又はそれらの組み合わせ、からなる群から選択される置換基R3を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
前記添え字がm=0、o=0、n=1である、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
前記単位(A)が、アクリル酸、アクリルアミド、マレイン酸、ビニルアルコール、酢酸ビニル、ビニルメチルエーテル、ビニルピロリドン、ビニルホルムアミド、それらの誘導体、それらの塩、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
前記化粧品として許容される担体が、溶液、エマルション、固体担体、懸濁液、分散液、ムース、ジェル、ワックス又は多相性組成物からなる群から選択される、請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が化粧品成分、好ましくは、乳化剤/界面活性剤;構造化剤;非エラストマー性増粘剤;酸化防止剤/ラジカルスカベンジャー;キレート剤及び金属イオン封鎖剤;落屑剤/剥離剤;皮膚美白剤;スキン及びヘアコンディショニング剤;ヘアスタイリング剤;縮れ防止剤;抗しわ活性成分/抗萎縮剤;抗セルライト剤;タンニング剤;抗ニキビ剤;スキンフレッシュニング、スキンスージング及びスキンヒーリング活性成分;抗炎症剤;クレンジング剤;泡立ち剤;ひげ濡らし剤;抗微生物、抗細菌及び抗真菌活性成分;サンスクリーン活性成分及び日焼け止め剤;光沢増強剤;粘度調整剤;pH調整剤;固体粒子;保湿剤及び皮膚軟化剤;電解質;ビタミン類、その誘導体及びその塩;天然抽出物及びその誘導体;ペプチド;着色剤;防腐剤;芳香剤及び香料;噴射剤、又はこれらの混合物からなる群から選択される化粧品活性成分を含む、請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、スキンクレンジング、ヘアクレンジング、ヘアスタイリング、ヘアコンディショニング、ヘアダイング、及び/又はシェービング組成物、又はそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくは前記組成物がヘアスタイリング組成物である、請求項1〜11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
化粧品組成物に弾性特性を与えるための請求項1〜12のいずれかに記載のエラストマー性ポリマーの使用。
【請求項14】
ヘアスタイルに、長く持続するホールド力、高いセット特性、及び弾性を与えるための、請求項1〜11のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項15】
請求項1〜12に記載の化粧品組成物を調製するための方法であって、
(a)1%〜100%の重合単位(A)を含むポリマーを準備する工程と、
(b)エラストマー性ポリマーを得るために、R3に対するα水素結合の切断により前記ポリマーの2個の異なる単位(A)のα炭素間に直接的共有結合を形成する工程であって、前記結合は中間分子を含まない工程と、
(c)化粧品として許容される担体、及び任意に少なくとも1種類の化粧品活性成分を含む化粧品組成物を準備する工程と、
(d)前記化粧品組成物に前記エラストマー性ポリマーを混ぜる工程と、を含む方法。
【請求項16】
請求項1〜12に記載の化粧品組成物を調製するための方法であって、
(a)化粧品として許容される担体、及び任意に少なくとも1種類の化粧品活性成分を含む化粧品組成物を準備する工程と、
(b)1%〜100%の重合単位(A)を含むポリマーを前記化粧品組成物に混ぜる工程と、
(c)エラストマー性ポリマーを得るために、R3に対するα水素結合の切断により前記ポリマーの2個の異なる単位(A)のα炭素間に直接的共有結合を形成する工程であって、前記結合は中間分子を含まない工程と、を含む方法。
【請求項17】
毛髪及び/又は皮膚に化粧品組成物を塗布するための方法であって、
(a)化粧品として許容される担体中に1%〜100%の重合単位(A)を含むエラストマー性ポリマー、及び任意に少なくとも1種類の化粧品活性成分を含む、請求項1〜12に記載の化粧品組成物を準備する工程であって、R3に対するα水素結合の切断により2個の異なる単位(A)のα炭素間に直接的共有結合が形成され、前記結合は中間分子を含まない工程と、
(b)前記組成物を皮膚及び/又は毛髪に塗布する工程と、を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−507375(P2013−507375A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533301(P2012−533301)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際出願番号】PCT/US2010/051721
【国際公開番号】WO2011/044306
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】