説明

直流電力機器駆動システム及び電力変換器

【課題】直流電力機器駆動システムにおいて、電力変換器において発生する電力損失を低減する。
【解決手段】電力変換器は、直流機器から送信された必要最低電力値のデータをあらかじめ定められた配電における電流制限値によって除算することで得られる必要最低電圧と分散電源出力電圧検出手段で検出された分散電源出力電圧とを比較し、分散電源出力電圧が必要最低電圧より大きければ電力変換器は短絡状態となり、必要最低電圧が分散電源出力電圧より大きければ電力変換器は昇圧動作となるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電力を配電するシステム、特に太陽電池や蓄電池などの分散電源や直流負荷を持つ家庭等で用いる直流配電システムにおいて、直流電力を用いて動作する機器と、その間に配される電力変換器の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般家庭、オフィス等における電力系統は商用電力による交流配電が主体となっている。これに対し、分散電源として太陽電池や燃料電池等の直流発電装置あるいは鉛蓄電池等の蓄電装置を設置した場合があるが、この場合は発電等により得られた直流電圧を必要に応じて昇圧あるいは降圧し、直流/交流電力変換装置により交流に変換して商用電力の交流給電系統に連系していた。
【0003】
一方、近年、燃料電池および太陽光発電装置等により得られた直流電力や、蓄電池の直流電力を駆動源として動作する電気機器が、省エネ性の向上を図る手段として議論されてきており、今後は、住宅やビル等においてこのような直流対応型の電気機器に対して直流電力を安定的に供給するための直流配電システムが普及するものと考えられている。
【0004】
例えば、特許文献1に開示されたものなどは、分散電源で発電された直流電力を電力変換器によって所望の電圧の直流電力に変換され、住宅などの各部屋に設置された直流コンセント等の直流アウトレットに対して直流供給線路を介して配電する直流配電システムに、発光ダイオード(LED)を光源として備える照明器具や、パーソナルコンピュータなど直流電力の供給を受けて動作する直流機器が接続されることを想定し、直流機器には直流電力が供給されることとなるため内部に交流/直流変換回路が不要になることで得られるコストメリットや省エネ性の向上効果が得られることを前提に述べられている。
【0005】
図13は、特許文献1に開示されたシステムである。
【0006】
直流発電装置として例えば燃料電池21と、直流端が燃料電池21の出力に接続され、交流端が商用電源1と交流負荷用の交流コンセント群10とに接続されている双方向直流/交流電力変換装置8と、入力が燃料電池21の出力と双方向直流/交流電力変換装置8の直流端とに接続されている直流電力変換装置9と、直流電力変換装置9に接続されている直流負荷用の直流コンセント群11によって構成されている。
【0007】
この直流コンセントヘの配電は、燃料電池21が発電中においては直流電力変換装置9のみを介して行われ、燃料電池が停止中あるいは起動中においては商用電源1から双方向直流/交流電力変換装置8および直流電力変換装置9を介して行われるものとしている。
【0008】
また、特許文献2に開示されたものなどは、商用電源と太陽電池が出力する直流電力を併用する機器について記載されたものであり、機器が必要とする電力が太陽電池から出力される直流電力だけでは不足するといった場合においては、商用電源からの交流電力によってその不足分を賄えるといった構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−204682号公報
【特許文献2】特開平7−281774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した特許文献1に示されたようなシステム構成では、分散電源と機器の間において電力変換器が配されており、機器に入力される所望の電圧値に昇圧動作あるいは降圧動作がなされていることによる、この部分における電力損失が避けられない状態となっている。
【0011】
また、上述した特許文献2に示されたようなシステム構成では、機器の中に交流/直流変換回路が配されたままであり、直流電力を利用した機器におけるコストメリットが十分に引き出されておらず、むしろ、交流電力と直流電力を併用することで必要となる部品追加によってコストアップする懸念がある。
【0012】
本発明は、前述の問題点を解決するものであって、直流電力で駆動する機器と直流配電システムにおける電力変換器との連携制御によって、電力損失を最大限に抑制できる直流電力機器駆動システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記従来の課題を解決するために、本発明の直流電力機器駆動システムは、少なくとも分散電源と、直流電力を受給し駆動する直流機器と、前記分散電源と前記直流機器の間に挿入され、前記分散電源が出力する電圧を検出する分散電源出力電圧検出手段と電力変換回路と前記電力変換回路を短絡状態にすることができる短絡手段とを備えた電力変換器とで構成される直流電力機器駆動システムにおいて、前記直流機器はリモコンやスイッチ操作の運転設定に対して動作するための必要最低電力値を導出し、前記電力変換器にデータ送信を行い、前記電力変換器はデータ受信した必要最低電力値をあらかじめ定められた配電における電流制限値によって除算することで得られる必要最低電圧と前記分散電源出力電圧検出手段で検出された分散電源出力電圧とを比較し、分散電源出力電圧が必要最低電圧より大きければ前記電力変換器は前記短絡手段によって短絡状態となり、必要最低電圧が分散電源出力電圧より大きければ前記電力変換器は前記電力変換回路によって昇圧動作が行われることを特徴とする。
【0014】
これにより、分散電源において直流機器が必要とする電圧が確保された状態で出力されていたならば、電力変換器内の電力変換回路を通すことなく電力搬送が行われることから電力損失を最大限に抑制した省エネルギー性の高いシステムを実現することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る直流電力機器駆動システムによれば、電力変換器における電力損失を最大限に抑制することが可能である上に、電力線上の電圧が常時高電圧で維持されている状態ではないため安全性の観点において有利であり、電力変換回路が休止している期間があるため回路内の構成される部品の長寿命化につながるといった効果も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態1における直流電力機器駆動システムの構成を示す図
【図2】実施の形態1における電力変換器の内部を示す図
【図3】実施の形態1における直流機器の内部を示す図
【図4】実施の形態1における燃料電池を配線接続した状態を示す図
【図5】実施の形態1における直流機器と電力変換器の制御フローの一部を示す図
【図6】実施の形態1における蓄電池を接続した場合の電力変換器の内部を示す図
【図7】実施の形態1における太陽電池を接続した場合の電力変換器の内部を示す図
【図8】実施の形態1における太陽電池の特性を示す図
【図9】実施の形態2における直流電力機器駆動システムの構成の一部を示す図
【図10】実施の形態3における直流電力機器駆動システムの構成の一部を示す図
【図11】実施の形態4における電力変換器の内部を示す図
【図12】実施の形態4における短絡手段の動作タイミングの説明図
【図13】従来技術による宅内配電における機器の構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
第1の発明は、少なくとも分散電源と、直流電力を受給し駆動する直流機器と、分散電源と直流機器の間に挿入され、分散電源が出力する電圧を検出する分散電源出力電圧検出手段と電力変換回路と電力変換回路を短絡状態にすることができる短絡手段とを備えた電力変換器とで構成される直流電力機器駆動システムにおいて、直流機器はリモコンやスイッチ操作の運転設定に対して動作するための必要最低電力値を導出し、電力変換器にデータ送信を行い、電力変換器はデータ受信した必要最低電力値をあらかじめ定められた配電における電流制限値によって除算することで得られる必要最低電圧と分散電源出力電圧検出手段で検出された分散電源出力電圧とを比較し、分散電源出力電圧が必要最低電圧より大きければ電力変換器は短絡手段によって短絡状態となり、必要最低電圧が分散電源出力電圧より大きければ電力変換器は電力変換回路によって昇圧動作が行われることを特徴とするものである。
【0018】
これにより、分散電源において直流機器が必要とする電圧が確保された状態で出力されていたならば、電力変換器内の電力変換回路を通すことなく電力搬送が行われることから電力損失を最大限に抑制した省エネルギー性の高いシステムを実現することができる。
【0019】
第2の発明は、特に第1の発明の分散電源のひとつとして燃料電池が配され、燃料電池に接続される電力変換器の電力変換回路は単方向型のDCDCコンバータで構成されることを特徴とするものである。
【0020】
これにより、燃料電池から出力される直流電力を直流機器まで搬送する際の電力損失を最大限に抑制した省エネルギー性の高いシステムを実現することができる。
【0021】
第3の発明は、特に第1の発明の分散電源のひとつとして蓄電池が配され、蓄電池に接続される電力変換器の電力変換回路は双方向型のDCDCコンバータで構成されることを特徴とするものである。
【0022】
これにより、他の分散電源から蓄電池への充電を可能とし、蓄電池から出力される直流電力を直流機器まで搬送する際は電力損失を最大限に抑制した省エネルギー性の高いシステムを実現することができる。
【0023】
第4の発明は、特に第1の発明の分散電源のひとつとして太陽電池が配され、太陽電池に接続される電力変換器の電力変換回路は最大電力点追従機能を併せもつ単方向型のDCDCコンバータで構成されることを特徴とするものである。
【0024】
これにより、電力変換回路によって昇圧動作が行われる場合においては、太陽電池の出力電力を最大限に取り出すことが可能となり、太陽電池において直流機器が必要とする電圧が確保された状態で出力された場合においては、電力変換器内の電力変換回路を通すことなく電力搬送が行われることから電力損失を最大限に抑制した省エネルギー性の高いシステムを実現することができる。
【0025】
第5の発明は、特に第1の発明の直流機器から電力変換器に対して行われるデータ通信が直流機器と電力変換器との間で接続される電力線を利用した電力線搬送通信によって行われることを特徴とするものである。
【0026】
これにより、データ通信用の専用配線を設けなくても動作が可能で、設置作業性に優れたシステムを実現することができる。
【0027】
第6の発明は、特に第1の発明の直流機器と電力変換器に無線通信手段が具備され、直流機器から電力変換器に対して行われるデータ通信が無線通信手段によって行われることを特徴とするものである。
【0028】
これにより、データ通信用の専用配線を設けなくても動作が可能で、設置作業性に優れたシステムを実現することができる。
【0029】
第7の発明は、特に第1の発明の短絡手段が機械的接点を具備したリレーと半導体スイッチ素子で構成され、分散電源出力電圧検出手段で検出された分散電源出力電圧があらかじめ定めた閾値以上の場合は、リレーを動作させ電力変換回路を短絡状態にする前に半導体スイッチ素子によって直流機器への通電が行われることを特徴とするものである。
【0030】
これにより、短絡手段における動作時間の短縮を図るとともにリレーのチャタリングによる動作不安定期間をなくした信頼性の高いシステムを実現することができる。
【0031】
本発明は、第1の発明から第7の発明の要部を実施の形態とすることにより本発明の目的を達成できるため、各請求項に対応する実施の形態の詳細を、以下に図面を参照しながら説明し、本発明を実施するための形態の説明とする。
【0032】
なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、各実施の形態の説明において、同一構成並びに同一作用効果を奏するところには、同一符号を付して重複した説明を行わないものとする。
【0033】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における直流電力機器駆動システムの構成を示す説明図である。
【0034】
商用電源1が出力する交流電力は宅内配線7を介して搬送され、交流/直流電力変換器5と交流機器6に供給され、交流/直流電力変換器5で変換された直流電力が直流機器4に供給されるように接続されている。
【0035】
また、直流機器4には宅内配線7を介して電力変換器3が出力する直流電力も供給されるように接続されており、電力変換器3には分散電源2の出力電力が入力されているよう配線されているため、直流機器4を駆動する電力源として、商用電源1と分散電源2の出力する電力によって直流機器4が駆動できるシステムとなっている。
【0036】
電力変換器3については内部の概略構成も示したが、電力変換回路32と短絡手段33が並列状態で接続されていて、分散電源2が接続される入力側には分散電源2が出力する電圧を検出する分散電源出力電圧検出手段31が設けられている。
【0037】
図2は、電力変換器3の内部を詳しく示したものである。
【0038】
電力変換器3には図1でも説明したように、分散電源出力電圧検出手段31と電力変換回路32と短絡手段33の他に電力変換器制御部34が設けられており、電力変換器制御部34では、データ通信用配線73によって送られてくるデータと分散電源出力電圧検出手段31で検出される分散電源出力電圧のアナログ値の入力や、電力変換回路32と短絡
手段33の制御を行っている。
【0039】
分散電源出力電圧検出手段31は、抵抗器35によって分圧されたアナログ値を電力変換器制御部34に伝達する構成とし、直流電力搬送を行う正側配線71と負側配線72の間に配した。
【0040】
電力変換回路32には、直流電力搬送を行う正側配線71上にチョークコイル37とダイオード39を配し、両者の接続点と負側配線72の間にスイッチング素子38が接続されるようにするとともに、ダイオード39のカソード側と負側配線72の間にもコンデンサ36を接続した。
【0041】
上述した構成によって電力変換回路32は、電力変換器制御部34によるスイッチング素子38のPWM制御によって達成される単方向型の昇圧DCDCコンバータ機能をもつことになり、分散電源2からの出力電圧よりも高い電圧を直流機器4へ給電することが可能となった。
【0042】
電力変換回路32における正側配線71の入出力両端に短絡手段33として機械的接点によって導通がなされるリレーを接続し、電力変換器制御部34の制御信号によって電力変換回路32を短絡状態とすることが可能なようにもした。
【0043】
図3は、直流機器4の内部を詳しく示したものである。
【0044】
直流機器4には、正側配線71と負側配線72によって搬送された直流電力を直流機器制御部が動作可能な電圧に調整する電源回路41や直流機器4の制御をつかさどる直流機器制御部42が備えられており、直流機器制御部42はモータや弁などのアクチュエータを動作させる機器駆動部43や操作スイッチやタッチパネルなどのインターフェース部44で構成されている。
【0045】
また、直流機器制御部42はデータ通信用配線73を利用して電力変換器3とのデータ通信も可能としている。
【0046】
図4は、図1において分散電源2の具体例として燃料電池21とした場合の燃料電池21、電力変換器3と直流機器4を配線接続した様子を示したものである。
【0047】
燃料電池21と電力変換器3は直流電力搬送のための正側配線71と負側配線72の二本の宅内配線で接続され、電力変換器3と直流機器4は正側配線71と負側配線72とデータ通信用配線73の三本の宅内配線で接続されている。
【0048】
図5は、図4に示した構成において、電力変換器3と直流機器4の制御フローについて示したものである。
【0049】
まず、直流機器制御部42は、使用者が操作スイッチやタッチパネルなどのインターフェース部44で行った設定を認識する(Step1)。次に、機器駆動部43によってモータや弁などのアクチュエータをどのように動作させるかの運転モードを決定する(Step2)。さらに、決定された運転モードにおいての必要最低電力値を演算し(Step3)、電力変換器3へデータ送信する(Step4)。
【0050】
電力変換器制御部34では、必要最低電力値が受信されると(Step5)、必要最低電力値をあらかじめ定められた配電における電流制限値によって除算することで必要最低電圧を得(Step6)、さらに、分散電源出力電圧検出手段31で得られるアナログ値
を分散電源出力電圧として検出する(Step7)。
【0051】
次に、電力変換器制御部34は、分散電源出力電圧と必要最低電圧を比較し(Step8)、分散電源出力電圧が必要最低電圧より大きければ短絡手段33を短絡状態にし(Step9)、電力変換回路32におけるスイッチング素子38のPWM制御を休止する(Step10)。
【0052】
分散電源出力電圧と必要最低電圧の比較で、分散電源出力電圧が必要最低電圧より大きくなければ、電力変換器制御部34は短絡手段33を開放状態にし(Step11)、電力変換回路32におけるスイッチング素子38のPWM制御で昇圧動作を行う(Step12)。
【0053】
図6は、分散電源として蓄電池22を用いた場合の電力変換器3の内部を詳しく示したものである。
【0054】
図2で示した電力変換器3と同様に、分散電源出力電圧検出手段31と電力変換回路32と短絡手段33と電力変換器制御部34が設けられており、電力変換器制御部34では、データ通信用配線73によって送られてくるデータと分散電源出力電圧検出手段31で検出される分散電源出力電圧のアナログ値の入力や、電力変換回路32と短絡手段33の制御を行っている。
【0055】
電力変換回路32には、直流電力搬送を行う正側配線71上にチョークコイル37と第一のダイオード39が並列接続された第一のスイッチング素子38を配し、両者の接続点と負側配線72の間に第二のダイオード39が並列接続された第二のスイッチング素子38が接続されるようにするとともに、第一のスイッチング素子38のコレクタ側と負側配線72の間にもコンデンサ36を接続した。
【0056】
上述した構成によって電力変換回路32は、電力変換器制御部34による第一、第二のスイッチング素子38両者のPWM制御によって達成される双方向型の昇降圧DCDCコンバータ機能をもつことになり、蓄電池22からの出力電圧よりも高い電圧を直流機器4へ給電することが可能となるとともに、他の分散電源2や商用電源1が出力する電力を降圧して蓄電池22へ搬送することが可能となった。
【0057】
図7は、分散電源として太陽電池23を用いた場合の電力変換器3の内部を詳しく示したものである。
【0058】
主な構成は図2に示した電力変換器3と同様であるが、電力変換器制御部34には太陽電池23のエネルギーを電力として最大限に取り出すことを目的とした制御を行う最大電力点追従制御部341が具備されている。
【0059】
太陽電池23は図8に示すように、日射量や温度によって電圧−電流出力特性が異なり、図中のポイントWmaxで示すように条件によって最大電力が取り出せる最適動作点が変化する。
【0060】
電力変換器制御部34に付加された最大電力点追従制御部341は、時々刻々変化する最適動作点を追従する格好で電力変換回路32を動作させ、より高効率な運転状態とする目的を達成している。
【0061】
これまでに上述してきた構成と制御によって、本実施の形態1においては、分散電源において直流機器が必要とする電圧が確保された状態で出力されていたならば、電力変換器
内の短絡手段によって電力変換回路を通すことなく電力搬送が行われることから電力損失を最大限に抑制した省エネルギー性の高いシステムを実現することが可能となった。
【0062】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について図面を参照して説明する。
【0063】
図9は、本発明の実施の形態2における直流電力機器駆動システムの電力変換器3と直流機器4を配線接続した様子を示したものである。
【0064】
電力変換器3と直流機器4に変復調装置74を設け、直流電力搬送のための正側配線71と負側配線72においてデータ信号を重畳させた電力線搬送通信を行うことによって、電力変換器3と直流機器4は正側配線71と負側配線72の二本の宅内配線で接続される構成とした。
【0065】
本発明の実施の形態2においてのデータ通信に関しては、まず、直流機器制御部42からデータ通信用配線73を介して送信された必要最低電力値のデータ信号は、直流機器4の変復調装置74によって変調され、さらに正側配線71と負側配線72間の直流電圧に重畳されて電力変換器3へ送られる。
【0066】
さらに、電力変換器3の変復調装置74で正側配線71と負側配線72間の直流電圧に重畳されたデータ信号を復調させ、データ通信用配線73を介して電力変換器制御部34へと送られるものとした。
【0067】
これによって、宅内配線においてデータ通信用の専用配線を設けなくてもシステムの連携動作が可能で、設置作業性に優れたシステムを実現することができた。
【0068】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について図面を参照して説明する。
【0069】
図10は、本発明の実施の形態3における直流電力機器駆動システムの電力変換器3と直流機器4を配線接続した様子を示したものである。
【0070】
電力変換器3と直流機器4に無線通信アダプタ75を設け、両機器間において無線通信を行うことによって、電力変換器3と直流機器4は正側配線71と負側配線72の二本の宅内配線で接続される構成とした。
【0071】
本発明の実施の形態3においてのデータ通信に関しては、直流機器制御部42からデータ通信用配線73を介して送信された必要最低電力値のデータ信号が、直流機器4の無線通信アダプタ75によって無線電波76として放出され、電力変換器3の無線通信アダプタ75で無線電波76を拾い、データ通信用配線73を介して電力変換器制御部34へと送られるものとした。
【0072】
これによって、本発明の実施の形態2と同様、宅内配線においてデータ通信用の専用配線を設けなくてもシステムの連携動作が可能で、設置作業性に優れたシステムを実現することができた。
【0073】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4について図面を参照して説明する。
【0074】
図11は、本発明の実施の形態4における直流電力機器駆動システムの電力変換器3の
内部を詳しく示したものである。
【0075】
電力変換器3には上述してきたように、分散電源出力電圧検出手段31と電力変換回路32と短絡手段33と電力変換器制御部34が設けられており、短絡手段33は機械的接点を具備したリレー331と半導体スイッチ素子332が並列接続されており、分散電源出力電圧検出手段31で検出された分散電源出力電圧があらかじめ定めた閾値以上の場合は、リレー331を動作させ電力変換回路32を短絡状態にする前に半導体スイッチ素子332によって直流機器への通電が行われるようにした。
【0076】
電力変換器制御部34からの制御信号によってリレー331と半導体スイッチ素子332が動作されるが、その動作タイムチャートを図12に示す。
【0077】
電力変換器制御部34において分散電源出力電圧検出手段31で検出された分散電源出力電圧があらかじめ定めた閾値以上であると認識され、分散電源出力電圧と必要最低電圧を比較した結果、短絡手段33を短絡状態にすると判断した場合、まず、ターンオンディレイタイムがリレー331よりも短く高速動作する半導体スイッチ素子332がONされ直流機器4への通電が開始された後、リレー331をONさせる。
【0078】
その後、リレー331の機械的接点部分が確実に接触に至ったと思われる時間経過後に半導体スイッチ素子332をOFFさせ、リレー331のみでの短絡状態とするシーケンスとした。
【0079】
これにより、半導体スイッチ素子の高速動作によって短絡手段における動作時間の短縮を図るとともにリレーのチャタリングによる動作不安定期間をなくした信頼性の高いシステムを実現することが可能となった。
【0080】
以上、本発明の各種実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態において示された事項に限定されず、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者がその変更・応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、住宅内の配電システムに限らず、商業ビルや工場、また、電力系統が整備されていないような電力の地産地消を行う地域における直流配電システムなどにも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 商用電源
2 分散電源
3 電力変換器
4 直流機器
5 交流/直流電力変換器
6 交流機器
7 宅内配線
8 双方向直流/交流電力変換装置
9 直流電力変換装置
10 交流コンセント群
11 直流コンセント群
21 燃料電池
22 蓄電池
23 太陽電池
31 分散電源出力電圧検出手段
32 電力変換回路
33 短絡手段
34 電力変換器制御部
35 抵抗器
36 コンデンサ
37 チョークコイル
38 スイッチング素子
39 ダイオード
41 電源回路
42 直流機器制御部
43 機器駆動部
44 インターフェース部
71 正側配線
72 負側配線
73 データ通信用配線
74 変復調装置
75 無線通信アダプタ
76 無線電波
331 リレー
332 半導体スイッチ素子
341 最大電力点追従制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも分散電源と、
直流電力を受給し駆動する直流機器と、
前記分散電源と前記直流機器の間に挿入され、前記分散電源が出力する電圧を検出する分散電源出力電圧検出手段と電力変換回路と前記電力変換回路を短絡状態にすることができる短絡手段とを備えた電力変換器と、
で構成される直流電力機器駆動システムにおいて、
前記直流機器はリモコンやスイッチ操作の運転設定に対して動作するための必要最低電力値を導出し、前記電力変換器にデータ送信を行い、
前記電力変換器はデータ受信した必要最低電力値に基づいて得られる必要最低電圧と前記分散電源出力電圧検出手段で検出された分散電源出力電圧とを比較し、
分散電源出力電圧が必要最低電圧より大きければ前記電力変換器は前記短絡手段によって短絡状態となり、
必要最低電圧が分散電源出力電圧より大きければ前記電力変換器は前記電力変換回路によって昇圧動作が行われることを特徴とした直流電力機器駆動システム。
【請求項2】
請求項1に記載の直流電力機器駆動システムであって、
前記分散電源のひとつとして燃料電池が配され、
前記燃料電池に接続される前記電力変換器の前記電力変換回路は単方向型のDCDCコンバータで構成されることを特徴とした直流電力機器駆動システム。
【請求項3】
請求項1に記載の直流電力機器駆動システムであって、
前記分散電源のひとつとして蓄電池が配され、
前記蓄電池に接続される前記電力変換器の前記電力変換回路は双方向型のDCDCコンバータで構成されることを特徴とした直流電力機器駆動システム。
【請求項4】
請求項1に記載の直流電力機器駆動システムであって、
前記分散電源のひとつとして太陽電池が配され、
前記太陽電池に接続される前記電力変換器の前記電力変換回路は最大電力点追従機能を併せもつ単方向型のDCDCコンバータで構成されることを特徴とした直流電力機器駆動システム。
【請求項5】
請求項1に記載の直流電力機器駆動システムであって、
前記直流機器から前記電力変換器に対して行われるデータ通信が前記直流機器と前記電力変換器との間で接続される電力線を利用した電力線搬送通信によって行われることを特徴とした直流電力機器駆動システム。
【請求項6】
請求項1に記載の直流電力機器駆動システムであって、
前記直流機器と前記電力変換器には無線通信手段が具備され、
前記直流機器から前記電力変換器に対して行われるデータ通信が前記無線通信手段によって行われることを特徴とした直流電力機器駆動システム。
【請求項7】
請求項1に記載の直流電力機器駆動システムであって、
前記短絡手段は機械的接点を具備したリレーと半導体スイッチ素子で構成され、
前記分散電源出力電圧検出手段で検出された分散電源出力電圧があらかじめ定めた閾値以上の場合は、前記リレーを動作させ前記電力変換回路を短絡状態にする前に前記半導体スイッチ素子によって前記直流機器への通電が行われることを特徴とした直流電力機器駆動システム。
【請求項8】
分散電源と直流機器と電気的に接続し、前記分散電源から出力される電圧を直流機器へ伝送する電力変換器であって、
前記分散電源が出力する分散電源出力電圧を検出する分散電源出力電圧検出手段と、
前記直流機器へのリモコン操作やスイッチ操作の運転設定に対して動作するための必要最低電力値を表す情報を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した必要最低電力値を示す情報に基づいて得られる必要最低電圧が前記分散電源出力電圧よりも大きい場合に昇圧動作を行う電力変換手段と、
前記分散電源出力電圧が前記必要最低電圧よりも大きい場合に前記分散電源と前記直流機器の間を短絡する短絡手段とを備える電力変換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−205439(P2012−205439A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69218(P2011−69218)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】