説明

直線検出装置、直線検出方法およびそのプログラム

【課題】 直線上の点のばらつきが大きい場合でも直線を検出することができるようにする。
【解決手段】 画像データから実空間における直線上の候補点を検出し、候補点の座標値をハフ空間に投影して、ハフ空間上の曲線LSを求める。ハフ空間内を所定の大きさで区分けした小区間ΔDを複数まとめた検出区間Mを複数設定し、各検出区間M内を通過する曲線LSの数をカウントして、検出区間M内を通過する曲線LSの数が第1の閾値を越えた検出区間M内のいずれかの小区間ΔDの座標値を用いて、実空間上の直線を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線撮影画像の照射野を認識する照射野判定装置、照射野判定方法およびそのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、記録された放射線撮影画像を読み取って画像データを得、この画像データに適切な画像処理を施した後、処理済みの画像データに基づいて読影に適した可視像を再生することは種々の分野で行なわれている。
【0003】
ところでX線撮影において放射線撮影画像を撮影記録するに際しては、放射線の照射による生体への影響を極力小さくするためや、観察に不要な部分からの散乱光による画質性能の低下等を防止するために、放射線が被写体の必要な部分にのみ照射されるように照射域を制限する鉛などで作られた照射野絞りを使用することが多い。
【0004】
照射野絞りを用いて撮影を行なった場合、蓄積性蛍光体シート等の記録媒体には、照射野絞りの開口輪郭の内部領域(照射野領域)に被写体等の画像が記録され、開口輪郭の外側領域(照射野外領域)には放射線が到達せず未露光状態となる。つまり、この開口輪郭に対応する画像の照射野輪郭はエッジ線となる。
【0005】
そして、このように照射野領域内にのみ画像が記録された記録媒体から画像データを読み取って画像処理を行なう場合、照射野領域内の画像データについてのみ階調処理等を施すようにすれば、処理の回数が大幅に低減され処理負荷の低減、処理スピードの向上を図ることができる。
【0006】
一方、照射野外領域は未露光状態であるため、医用X線フイルムのようなネガ画像においては最低濃度領域(画素値の低い領域)となるが、例えば医用X線フイルムをシャーカステンに掛けて蛍光灯の光による透過画像を観察するとき等には、このような最低濃度領域は非常に明るい領域となるため、照射野領域のうち特に照射野外領域に近い部分については照射野外領域の明るさに影響されて読影性能が低下する。同様にCRT等の画像表示装置にその画像を表示する場合にも、照射野外領域は高輝度となるため照射野内の画像の読影に支障を生じる。
【0007】
そこで放射線画像記録再生システムにおいては、このような照射野外領域についての各画像データを一律に最高濃度(若しくは最低輝度)に相当する値に強制的に置換する処理が行なわれる。そしてこの処理は一般に黒化処理と呼ばれるが、この黒化処理を行なうためには、照射野輪郭を精度よく認識することが非常に重要である。
【0008】
例えば、上記照射野輪郭が画像の濃度変化が急峻に変化するエッジ線になることを利用して、画像データの変化が急峻な部分を探索することによって、照射野輪郭を求める方法がよく知られているが、このエッジ線を求める具体的な方法として、画像の所定の点(たとえば画像の中心点等)から画像端部に向かう放射状の複数の直線を設定し、これらの各直線の方向に沿った画像データに基づいて各方向ごとにデータの差分が大きいエッジ上の候補点を検出し、これらの候補点に基づいてエッジとなる線を検出する方法が提案されている(例えば、特許文献1等)。
【0009】
あるいは、これらのエッジ候補点についてハフ(Hough)変換を適用して直線を求め、この直線で囲まれる領域を照射野領域とする方法を提案したものもある(例えば、特許文献2など)。
【特許文献1】特開昭63-259538 号公報
【特許文献2】特開平10-275213号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述の放射状の方向に沿って得られたエッジ上の候補点に基づいて、ハフ変換を用いて直線を検出して照射野輪郭を認識する場合、エッジ上の候補点が必ずしも一直線上に並んでいるとは限らず、ある程度の幅でばらつきがある。そのため、エッジとなる点が多く検出されても、ばらつきが大きい場合には正しい直線が検出されない場合がある。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、従来の直線検出処理よりも直線の検出確率を向上させた直線検出装置、直線検出方法およびそのプログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の直線検出装置は、画像データを入力する画像データ入力手段と、
前記入力した画像データから実空間における直線上の複数の候補点を検出する候補点検出手段と、
前記複数の候補点の座標値をハフ空間に投影して、ハフ空間上の複数の曲線を求める投影手段と、
ハフ空間内に、該ハフ空間内を所定の大きさで区分けした小区間を複数まとめた検出区間を複数設定する検出区間設定手段と、
各検出区間内を通過する前記曲線の数をカウントするカウント手段と、
前記検出区間内を通過する曲線の数が第1の閾値を越えた検出区間内のいずれかの小区間の座標値を用いて前記実空間上の直線を求める直線算出手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0013】
また、本願発明の直線検出方法は、
画像データを入力する画像データ入力ステップと、
前記入力した画像データから実空間における直線上の複数の候補点を検出する候補点検出ステップと、
前記複数の候補点の座標値をハフ空間に投影して、ハフ空間上の複数の曲線を求める投影ステップと、
ハフ空間内に、該ハフ空間内を所定の大きさで区分けした小区間を複数まとめた検出区間を複数設定する検出区間設定ステップと、
各検出区間内を通過する前記曲線の数をカウントするカウントステップと、
前記検出区間内を通過する曲線の数が第1の閾値を越えた検出区間内のいずれかの小区間の座標値を用いて前記実空間上の直線を求める直線算出ステップとを備えたことを特徴とするものである。
【0014】
また、本願発明のプログラムはコンピュータを、
画像データを入力する画像データ入力手段と、
前記入力した画像データから実空間における直線上の複数の候補点を検出する候補点検出手段と、
前記複数の候補点の座標値をハフ空間に投影して、ハフ空間上の複数の曲線を求める投影手段と、
ハフ空間内に、該ハフ空間内を所定の大きさで区分けした小区間を複数まとめた検出区間を複数設定する検出区間設定手段と、
各検出区間内を通過する前記曲線の数をカウントするカウント手段と、
前記検出区間内を通過する曲線の数が第1の閾値を越えた検出区間内のいずれかの小区間の座標値を用いて前記実空間上の直線を求める直線算出手段として機能させることを特徴とするものである。
【0015】
「候補点」とは、直線上に並んでいる可能性のある点をいい、実際には直線上に並んでいない点も含むものである。
【0016】
「小区間」とは、ハフ空間を区分けした区間であり、ハフ空間上の複数の曲線が交差する交点の座標値を算出する最小の単位をいう。
【0017】
また、前記直線検出手段は、前記第1の閾値を越えた検出区間内の小区間のうち、該検出区間内の中心に存在する小区間を通過する曲線の数が第2の閾値を越えたときに、前記検出区間の中心に存在する小区間の座標値を用いて前記実空間上の直線を求めることを特徴とするものであってもよい。
【0018】
さらに、また、前記直線検出手段は、前記第1の閾値を越えた検出区間内の小区間のうち、該小区間を通過する曲線の数が第3の閾値を越えた小区間の座標値を用いて前記実空間上の直線を求めることを特徴とするものであってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、画像データから得たエッジなどの点が一直線上に並んでいるか否かを判定する際に、直線を検出するハフ空間上で広い範囲の検出区間を設定することにより、実空間上の直線の傾きや座標値が少し異なる線をまとめて検出を行い、その中からばらついて並んでいる点を直線で表すのに最も適した直線を求めることができる。
【0020】
実空間上の点をハフ空間に投影した曲線が、ハフ空間上設定した広い範囲の検出区間の中心部を数多く通過する座標値から直線を求めるようにすれば、ばらついて並んでいる点のほぼ真ん中を通過する直線を求めることができる。
【0021】
実空間上の点をハフ空間に投影した曲線が、ハフ空間上設定した広い範囲の検出区間の中から数多く通過する座標値直線を求めるようにすれば、一直線上に並んでいる点の数が多い直線を求めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の放射線撮影画像の照射野認識辺を構成する直線を検出する直線検出装置の具体的な実施の形態について図面を用いて説明する。図1は本発明の直線検出装置1の一実施形態の構成を示し、図2は照射野絞りを用いた放射線撮影画像の撮影装置を示す図(図2(a)参照)および照射野絞りの開口輪郭に対応する照射野輪郭が形成された蓄積性蛍光体シートを示す図(図2(b)参照)である。
【0023】
撮影装置で照射野絞りを用いてX線撮影を行なう場合には、まず、被写体を撮影した像が放射線撮影画像(画像データ)Pの中心なるように配置し、図2(a)に示すように、X線源と被写体との間に、矩形等の開口部のある照射野絞りを置いて撮影をする。この開口部の外側の部分は、X線が被写体および蓄積性蛍光体シートにX線が到達するのを防止する鉛板である。この状態でX線源から被写体にX線が照射されると、蓄積性蛍光体シートから得られた放射線撮影画像上には、図2(b)に示すように、照射野絞りの開口部の外側に対応する領域(照射野外領域)Pout にはX線が照射されず、一方、照射野絞りの開口部より内側に対応する領域(照射野領域)Pinには被写体を透過した部分と直接X線が照射された部分が記録される。そして、照射野絞りの開口部に対応する部分は、開口部と略同一形状となり、照射野外領域Poutは高輝度なまぶしい領域となる。照射野領域Pinと照射野外領域Poutの境には、濃度が急激に変化する複数のエッジ線からなる照射野輪郭PSが形成される。照射野絞りの開口部は通常矩形であり、照射野輪郭PSは4つの直線の照射野辺で構成される。
【0024】
本願発明の直線検出装置1は、画像データを入力する画像データ入力手段10と、入力した画像データから実空間における直線上の候補点を検出する候補点検出手段20と、候補点の座標値をハフ(Hough)空間に投影して、ハフ空間上の曲線を求める投影手段30と、ハフ空間内に、このハフ空間内を所定の大きさで区分けした小区間を複数まとめた検出区間を複数設定する検出区間設定手段40と、各検出区間内を通過する曲線の数をカウントするカウント手段50と、検出区間内を通過する曲線の数が第1の閾値を越えた検出区間内のいずれかの小区間の座標値を用いて前記実空間上の直線を求める直線算出手段60とを備える。
【0025】
ここで、直線検出装置1の動作を図3のフローチャートに従って説明する。
【0026】
まず、画像データ入力手段10より、撮影装置から得られた照射野絞りを用いた放射線撮影画像の画像データPを入力する(S100)。
【0027】
そこで、候補点検出手段20は、入力された画像データPについて、図4(a)に示すように、そのデータが表す画像の中心点Kを設定し、中心点Kから画像データPの端部にそれぞれ向う等角度間隔(α=1.5度)240本の放射状の直線を設定する。この放射状の直線の設定本数および間隔、放射状の直線群の中心の設定位置等は適宜変更することができる。
【0028】
これらの240本の放射状の直線にそれぞれ沿った方向において互いに隣接する画素間の画像データを比較し、その差分が最も大きい2つの画素をその線上で探索する。この探索された2つの画素間は画素値の差が大きく、エッジ上に存在する点である可能性の高い候補点である。このようにして各直線方向ごとにそれぞれ探索された候補点Eを検出し、合計240個の候補点Eが得られる(図4(b)参照、S101)。
【0029】
投影手段30は、候補点検出手段20により検出された実空間(x−y空間)上のエッジ上の候補点Eをハフ空間(ρθ空間)に投影した曲線を求める(S102)。各候補点Eiの、図4(c)に示すxy座標系における座標を(xi ,yi )( i=1,2,…,240 )としたとき、これらのxi ,yi を定数として次式(1)で表わされる曲線LSiを各候補点ごとに求める。
ρ=xi cos θ+yi sin θ (1)
この式(1)は、図4(c)に示すように、中心座標を(xi ,yi )に固定してこの座標(xi ,yi )を通過する直線の式を表し、ρは座標(xi ,yi)を通る各直線LLとxy座標系の原点Oとの距離、θはこの直線LLとxy座標系の原点Oとを垂直に結ぶ垂線がx軸となす角度を表している。
【0030】
ここで、座標(xi ,yi )を通る各直線LLは式(1)においてρ、θを徐々に変化させた得られるものであり、θρ空間(ハフ空間)では、座標(xi ,yi )を通るこれら直線LLは下式(2)に示す1本の曲線として表現される(図4(c)参照)。
ρj =xcos θj +ysin θj (2)
各エッジ候補点についてそれぞれ同様の操作を行なうと、ハフ空間に240本の曲線LSi ( i=1,2,…,240 )が表される。
【0031】
そこで、この240本の曲線LSi が交わる各交点位置(ρj ,θj )を求めて複数の曲線LSiの交点α,βが多く重なる点から実空間上の直線を求めるが、検出区間設定手段40は、図5に示すように、ハフ空間(ρθ空間)をΔρとΔθで分けた小区間ΔDに分け、さらに、小区間ΔDを複数まとめた検出区間Mを設定する(S103)。小区間ΔD単位でハフ変換した複数の曲線LSiが交差しているか否かを判定する区間であり、この小区間のΔρ,Δθの大きさは検出する画像の分解能に応じて適宜決められ、実空間上で、一直線上に並んでいる点を検出することができるように定められる。しかし、照射野辺を構成する直線は、実際には、照射されたX線の強度や照射野辺の境となるところに撮影されている被写体の構造物などに影響されて、エッジとして検出される候補点は、ある程度の幅を持った直線上に並んでいることが多い。そのため、複数の曲線LSi が小区間ΔDで交差する数(投票数)をカウントすると、所定の小区間ΔDの近くに投票数の高い小区間ΔDが多数現れることになる。そこで、図5に示すように、各小区間ΔDを中心に5×5のマスクを用いて小区間ΔDをまとめた検出区間Mを設定する。各検出区間は、5×5のマスクを全ての小区間ΔDそれぞれを中心にして設定するようにしてもよいが、図6に示すように、数個おきの小区間ΔD(×印)を中心にして設定するようにしてもよい。あるいは、各検出区間Mが重ならないようにすることも出来る。
【0032】
ところで、計算機上で複数の曲線LSiが交差する交点が一致するか否かの判定は、具体的には、計算機上で得られた数値を所定の桁で丸めて判定するが、小区間ΔDはこの丸め処理をする桁と一致する区間といえる。
【0033】
具体的に、5×5のマスクを用いた検出区間Mは、ρ軸上で10mm以下、θ軸上で10°以下であればよいが、(ρ軸上で4.5mm)×(θ軸上で0.8〜1.7°)程度の矩形領域が望ましい。
【0034】
カウント手段50は、この240本の曲線LSi が交わる各交点位置(ρj ,θj )を求め、各交点位置(ρj ,θj )で交わる曲線LSiの数(投票数)を、上記検出区間Mごとにカウントを行ない(S104)、各検出区間Mを通過する個数が第1の閾値を越えた検出区間Mを抽出する(S105)。各検出区間Mは実空間上である程度の幅を持った直線(つまり、直線の方向と位置がわずかに違う直線をまとめたもの)に対応する。
【0035】
そこで、この検出区間Mの中から実空間の直線と最も一致すると予測される直線を表す小区間を選択する(S106)。実空間上の直線の候補点がある程度の幅でばらつきがある場合には、図7に示めすように、ハフ空間上の曲線LSiが多く交差する小区間ΔD(●のところ)は部分的にまとまって数多くあらわれる。このような曲線LSiが多く通過する小区間ΔDがあらわれる範囲は実空間上の候補点のばらつきに対応する。そこで、実空間上の直線に対応する小区間ΔDを、検出区間M内に含まれている小区間ΔDの中から検出する。
【0036】
この小区間ΔDを通過する曲線LSiが多いものほど、実空間上で多くの候補点がきれいに一直線上に並んでいると推定できる。また、第1の閾値を越えた検出区間M内の中心に存在する小区間ΔD(図8の矢印が指す小区間)がばらつきの中心となると思われる。そこで、この検出区間M内の中心に存在する小区間ΔDで交差する曲線LSiの数が第2の閾値(<第1の閾値)を越える場合に、この中心に存在する小区間ΔDの座標値を用いて実空間上の直線を求める。
【0037】
あるいは、前記第1の閾値を越えた検出区間M内の小区間ΔDのうち、交差する曲線LSiが多いものほど実空間上で多くの候補点がきれいに一直線上に並んでいると推定できる。そこで、各小区間ΔDで交差する曲線LSiの数をカウントして、各小区間ΔDで交差する曲線LSiの数が第3の閾値(<第1の閾値)を越えた小区間の座標値を用いて実空間上の直線を求めるようにしてもよい。
【0038】
また、図9に示すように、実空間上の直線の候補点がある程度の幅でばらつきがある場合には、ハフ空間上の曲線LSiが多く交差する小区間ΔDは部分的にまとまって数多くあらわれる。そのため、閾値を少し低くすると、各小区間で交差する曲線LSiLSの数が閾値(第4の閾値)を越える小区間ΔDが連なってあらわれる。そこで、図9に示すように、この第4の閾値を越える小区間ΔDに対してラベリング処理をして、ハフ空間上で近い位置にある第4の閾値を越えた小区間群(#1,#2,#3,#4,#5)をまとめて抽出し、その小区間群(#1,#2,#3,#4,#5)の中から交差する曲線LSiの数が最も多い小区間ΔDを選択し、選択した小区間ΔDの座標値を用いて実空間上の直線を求める。
【0039】
さらに、ハフ空間上で近い位置にある直線を比較をするために、図10に示すように、曲線LSiが交差する数が第4の閾値を越える小区間ΔDに対して小区間ΔDを7×15のマスクを用いて、このマスクでまとめた区間N内に存在する小区間ΔDの中から、曲線LSiが最も多く交差する小区間ΔDを用いて実空間上の直線を求めるようにしてもよい。直線上の候補点Eのばらつきが大きい場合には、部分的にまとまって現れずに、異なる2つ照射野辺を表す直線の中間の傾きを持つような直線を検出する場合がある。そこで、それを避けるために、区間Nで分けるようにすることで、ラベリング処理した場合にはつながって現れるような小区間群を分けて検出することができる。
【0040】
具体的に、7×15のマスクを用いて小区間ΔDをまとめた区間Nは、ρ軸上で10mm以下、θ軸上で10°以下であればよいが、(ρ軸上で6.3mm)×(θ軸上で2.5〜5°)程度の矩形領域が望ましい。
【0041】
以上、詳細に説明したように、照射野外領域の境となる照射野辺のような、実空間上である程度ばらついて表れる直線上の候補点から照射野辺を表す直線を求めるために、ハフ空間上で、ある程度の幅をもった直線に対応する領域を通過する曲線を検出した後に照射野辺である可能性の高い直線を選択するようにすることで、正確な照射野辺を検出することができる。
【0042】
また、上記各手段をコンピュータ上に機能させるようなプログラムを記録した媒体を用いてコンピュータにインストールすることによって、照射野判定装置として動作させることができる。また、このプログラムはネットワークを介して提供することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】直線検出装置の概略構成図
【図2】照射野絞りを用いて撮影する方法を説明するための図
【図3】直線検出装置の動作を説明するためのフローチャート
【図4】直線検出方法を説明するための図
【図5】ハフ空間上の小区間と検出区間を説明するための図
【図6】検出区間を設定する間隔を説明するための図
【図7】ハフ空間上で曲線が多く交差する小区間の分布を表した図
【図8】ハフ空間上の曲線が多く交差する小区間と検出区間を表した図
【図9】ハフ空間上で近くにある曲線が多く交差する小区間をまとめて抽出する方法を説明するための図(その1)
【図10】ハフ空間上で近くにある曲線が多く交差する小区間をまとめて抽出する方法を説明するための図(その2)
【符号の説明】
【0044】
1 直線検出装置
10 画像データ入力手段
20 候補点検出手段
30 投影手段
40 検出区間設定手段
50 カウント手段
60 直線算出手段
P 画像データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを入力する画像データ入力手段と、
前記入力した画像データから実空間における直線上の複数の候補点を検出する候補点検出手段と、
前記複数の候補点の座標値をハフ空間に投影して、ハフ空間上の複数の曲線を求める投影手段と、
ハフ空間内に、該ハフ空間内を所定の大きさで区分けした小区間を複数まとめた検出区間を複数設定する検出区間設定手段と、
各検出区間内を通過する前記曲線の数をカウントするカウント手段と、
前記検出区間内を通過する曲線の数が第1の閾値を越えた検出区間内のいずれかの小区間の座標値を用いて前記実空間上の直線を求める直線算出手段とを備えたことを特徴とする直線検出装置。
【請求項2】
前記直線検出手段が、前記第1の閾値を越えた検出区間内の小区間のうち、該検出区間内の中心に存在する小区間を通過する曲線の数が第2の閾値を越えたときに、前記検出区間の中心に存在する小区間の座標値を用いて前記実空間上の直線を求めることを特徴とする請求項1記載の直線検出装置。
【請求項3】
前記直線検出手段が、前記第1の閾値を越えた検出区間内の小区間のうち、該小区間を通過する曲線の数が第3の閾値を越えた小区間の座標値を用いて前記実空間上の直線を求めることを特徴とする請求項1記載の直線検出装置。
【請求項4】
画像データを入力する画像データ入力ステップと、
前記入力した画像データから実空間における直線上の複数の候補点を検出する候補点検出ステップと、
前記複数の候補点の座標値をハフ空間に投影して、ハフ空間上の複数の曲線を求める投影ステップと、
ハフ空間内に、該ハフ空間内を所定の大きさで区分けした小区間を複数まとめた検出区間を複数設定する検出区間設定ステップと、
各検出区間内を通過する前記曲線の数をカウントするカウントステップと、
前記検出区間内を通過する曲線の数が第1の閾値を越えた検出区間内のいずれかの小区間の座標値を用いて前記実空間上の直線を求める直線算出ステップとを備えたことを特徴とする直線検出方法。
【請求項5】
コンピュータを、
画像データを入力する画像データ入力手段と、
前記入力した画像データから実空間における直線上の複数の候補点を検出する候補点検出手段と、
前記複数の候補点の座標値をハフ空間に投影して、ハフ空間上の複数の曲線を求める投影手段と、
ハフ空間内に、該ハフ空間内を所定の大きさで区分けした小区間を複数まとめた検出区間を複数設定する検出区間設定手段と、
各検出区間内を通過する前記曲線の数をカウントするカウント手段と、
前記検出区間内を通過する曲線の数が第1の閾値を越えた検出区間内のいずれかの小区間の座標値を用いて前記実空間上の直線を求める直線算出手段として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−293522(P2006−293522A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−110873(P2005−110873)
【出願日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】