説明

直角三角プリズムの製造方法

【課題】低コストでしかも寸法精度に優れた直角三角プリズムの製造方法を提供する。
【解決手段】矩形のガラス平板の上下面にそれぞれ光学多層膜を形成して平板状光学部材を形成する工程と、平板状光学部材を仮止め材にて積層する工程と、積層体をその主面に対して直交して切断する工程と、切断された積層分割体の切断面を鏡面研磨する工程と、鏡面研磨された積層分割体のそれぞれの側面に光学多層膜を形成する工程と、積層分割体の仮止め材を溶解除去して端面が正方形の正四角柱を得る工程と、正四角柱を三角形状の溝を有する切断治具に装着し、正四角柱をその対角線に沿って切断し、切断治具より剥離する工程と、直角三角柱を三角形の溝を有する研磨治具に装着し、その斜面を鏡面研磨し、剥離する工程と、斜面が鏡面研磨された直角三角柱を長手方向に直交する切断面にて切断する工程と、を含むようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直角三角プリズムの製造方法に関し、特に光学多層膜を有する直角三角プリズムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)等の光記録媒体から情報を再生したり、あるいは情報を記録したりする光ピックアップ装置においては、光学デバイスとしてプリズムが使用されている。
上記したような光学デバイスの製造方法に関しては特許文献等に数多くの例が開示されている。例えば、特許文献1にはプリズムとその製造方法が開示されている。
【0003】
図6は特許文献1に開示されているプリズムの構成を示した図である。また、図7は特許文献1に開示されているプリズムの製造方法を示した工程図である。
図6に示すプリズム30は、例えばBK−7等の透明な光学ガラスからなり、形状が直角二等辺三角形の直角三角プリズムである。
光信号等の光が当たる当光面31a、31b、31c同士が連接する断面は、略R形状のコーナー部30d、30e、30fからなり、その表面が火造り面となっている。
【0004】
上記図6に示すようなプリズム30の製造方法は、図7(a)〜(d)に示す工程図に基づいている。図7(a)に示すガラス母材32はホウ珪酸系光学ガラスであるBK−7からなり、その形状は当光面となる表面32a、32b、32cを有する。またガラス母材32の断面は、表面32aを斜辺とする直角二等辺三角形であり、表面32b、32cの辺長はそれぞれ10mmから70mm程度である。
【0005】
ガラス母材32を延伸成形する装置は図7(b)に示すように、ガラス母材32を把持する把持部を有する送り込み手段(図示せず)と、ガラス母材32を所定の温度に加熱する加熱炉33と、ローラー34a、34bの対を有してガラス母材32の下方を延伸成形する引張手段と、延伸されたガラスを切断する切断手段35とからなる。この延伸成形装置は、母材32とほぼ相似形の所望範囲の寸法を有し、図7(c)に示すような長尺体36に成型する装置である。得られた長尺体36は精密切断装置により所定の長さに切断し、図7(d)に示すようなプリズムが得られる。
【0006】
また特許文献2には、2つの直角三角柱形状プリズムの傾斜面同士を接合し、一体化したビームスプリッタの製造方法が開示されている。特許文献2では、板ガラスの上面に偏光分離膜を形成すると共に、下面にマッチング膜を形成する。全く同一の構成を備えたガラス平板を複数枚使用して、45度の傾斜角度をつけた積層体を形成する。該積層体を45度の傾斜角度に沿って、ワイヤーソー等を用い所定ピッチにて切断し、積層分割体を形成する。該積層分割体の切断面を鏡面研磨すると共に、各面に反射膜をコーティングする。積層分割体を整合状態で積層して、積層体を形成する。該積層体を上記切断面と直交する切断面に沿って、ワイヤーソー等を用い所定ピッチにて切断すると、ビームスプリッタの連結体を得る。そして、所定ピッチにてビームスプリッタ連結体を切断すると、ビームスプリッタが得られる。
【0007】
また特許文献3にはビームスプリッタの他の製造方法が開示されている。特許文献3では、両面が鏡面研磨されたガラスプレートの一方の面に偏光分離膜を形成し、さらにUV硬化型接着剤を塗布する。UV硬化型接着剤を塗布したガラスプレートの上に、同様なガラスプレートを積層すると、中間部材(偏光分離膜とUV硬化型接着剤)を挟持したプレート積層体が形成される。該プレート積層体を一側面に沿って所定の間隔で切断すると、端面が正方形の細長い正四角柱が形成される。次に、研磨治具を用いて前記正四角柱を対角線に沿って4つの角を研磨すると、2つの直角三角プリズムの斜面同士を接合し、該接合面に偏光膜を挟持して一体化したビームスプリッタが得られる、と開示されている。
【特許文献1】特開2003−329817公報
【特許文献2】特開2000−143264公報
【特許文献3】特開2003−137615公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示されたプリズムの製造方法を用いてプリズムを製造すると、直角三角プリズムの3つの稜は略R形状となり強固となるものの、所望の精度の直角三角プリズム、例えば直角の角度精度、各辺の寸法精度が得られないという問題があった。また、特許文献2には立方体形状のビームスプリッタについては開示されているものの、直角を挟む側面に光学多層膜を備えた直角三角形状のプリズムについては開示されていない。また、特許文献3には2つの直角三角プリズムの斜面同士を接合し、該接合面に偏光膜を挟持して一体化したビームスプリッタの製造方法が開示されている。該製造方法を応用して直角三角形状のプリズムを形成することはできるものの、研磨工程(削り出し工程)に大幅な工数が掛かり、コストが増大するという問題があった。
本発明は上記問題点に鑑み、低コストでしかも寸法精度に優れた直角三角プリズムの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、直角を挟む側面にそれぞれ第1及び第2の光学多層膜を備えた直角三角プリズムの製造方法であって、矩形の平板状光学部材の一方面に第1の光学多層膜を形成し、他方面に第2の光学多層膜を形成する第1の光学多層膜形成工程と、複数の平板状光学部材を第1の仮止め剤を介して積層する積層体形成工程と、積層体形成工程にて形成された積層体の主面に対して直交する所定ピッチの複数の切断面にて切断する第1の切断工程と、第1の切断工程により切断された積層分割体の切断面を鏡面研磨する鏡面研磨工程と、鏡面研磨工程により鏡面研磨された積層分割体の一方の側面に第1の光学多層膜を、他方の側面に第2の光学多層膜を夫々形成する第2の光学多層膜形成工程と、第2の光学多層膜形成工程にて側面に光学多層膜が形成された積層分割体の第1の仮止め剤を剥離して端面が正方形の正四角柱を形成する剥離工程と、正四角柱を三角形状の溝の先端部に長方形の溝を有する切断治具に第2の仮止め剤を介して装着する第1の装着工程と、切断治具に装着した正四角柱を該正四角柱の対角線に沿って切断し、切断治具より剥離する切断剥離工程と、切断剥離工程により得られた直角三角柱を三角形の溝を有する研磨治具に第2の仮止め剤を介して装着する第2の装着工程と、第2の装着工程により研磨治具に装着した複数の直角三角柱の斜面を鏡面研磨し、研磨治具より剥離する鏡面研磨・剥離工程と、鏡面研磨・剥離工程にて斜面が鏡面研磨された直角三角柱を長手方向に直交して所定ピッチの複数の切断面にて切断する第2の切断工程と、を含むことを特徴とする。
このような本発明によれば、寸法精度に優れた光学多層膜を有する直角三角プリズムを製造することが可能となる。例えば、直角三角プリズムに要求される直角の角度精度は切断治具の三角溝に固定して切断するので、要求精度を十分に満たすことができる。また、直角三角プリズムの三面の寸法精度は、所定の矩形の平板状光学部材を選び、積層体を適切に切断することにより、要求仕様を十分に満たす精度で構成することが可能になる。研磨工程に大幅な工数が掛からないためコストが増大するといったこともない。
【0010】
また本発明は、直角を挟む側面にそれぞれ第1及び第2の光学多層膜を備えた直角三角プリズムの製造方法であって、矩形の平板状光学部材の一方面に第1の光学多層膜を形成し、他方面に第2の光学多層膜を形成する第1の光学多層膜形成工程と、複数の平板状光学部材を第1の仮止め剤を介して積層する積層体形成工程と、積層体形成工程にて形成された積層体の主面に対して直交する所定ピッチの複数の切断面にて切断する第1の切断工程と、第1の切断工程により切断された積層分割体の切断面を鏡面研磨する鏡面研磨工程と、鏡面研磨工程により鏡面研磨された積層分割体の第1の仮止め剤を剥離して、対向する2つの側面に第1及び第2の光学多層膜が形成された端面が正方形の正四角柱を形成する剥離工程と、剥離工程により得られた正四角柱の対向する2つの鏡面研磨面にそれぞれ第1及び第2の光学多層膜を形成する第2の光学多層膜形成工程と、光学多層膜形成工程にて光学多層膜を形成された正四角柱を三角形状の溝の先端部に長方形の溝を有する切断治具に第2の仮止め剤を介して装着する第1の装着工程と、切断治具に装着した正四角柱を該正四角柱の対角線に沿って切断し、切断治具より剥離する切断剥離工程と、切断剥離工程により得られた直角三角柱を三角形の溝を有する研磨治具に第2の仮止め剤を介して装着する第2の装着工程と、第2の装着工程により研磨治具に装着した複数の直角三角柱の斜面を鏡面研磨し、研磨治具より剥離する鏡面研磨・剥離工程と、鏡面研磨・剥離工程にて斜面が鏡面研磨された直角三角柱を長手方向に直交して所定ピッチの複数の切断面にて切断する第2の切断工程と、を含むことを特徴とする。
このような直角三角プリズムの製造方法によれば、寸法精度に優れた光学多層膜を有する直角三角プリズムを製造することが可能となる。例えば、直角三角プリズムに要求される直角の角度精度は切断治具の三角溝に固定して切断するので、要求精度を十分に満たすことができる。また、直角三角プリズムの三面の寸法精度は、所定の矩形の平板状光学部材を選び、積層体を適切に切断することにより、要求仕様を十分に満たす精度で構成することが可能になる。また、研磨工程に大幅な工数が掛からないためコストが増大するといったこともない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る直角三角プリズムの製造方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1乃至図4は本発明に係る直角三角形プリズムの製造方法を説明するための工程概略図である。
この場合は、先ず、第1の光学多層膜形成工程として、図1(a)に示すように矩形のガラス平板2の上面(一方面)に第1の光学多層膜3を、下面(他方面)に第2の光学多層膜4を形成して平板状光学部材1を形成する。
次に、積層体形成工程として、図1(b)に示すように、上面に第1の光学多層膜3、下面に第2の光学多層膜4を夫々形成した平板状光学部材1を図示しない第1の仮止め剤を介して複数層積層して積層体5を形成する。この際、平板状光学部材1の端面を結ぶ平面が平板状光学部材1の主面に対して垂直になるように、つまり、積層体5の正面図が長方形となるように、図示しない直角治具等を用いて積層する。尚、前記第1の仮止め剤は、例えば、シフトワックスや水溶性の接着剤等を使用する。
【0012】
そして、第1の切断工程として、図1(c)に示すように積層体5をその主面(積層面)に対して直交する所定ピッチの複数の切断面5aにて切断して、図1(d)に示す積層分割体6を形成し、次いで、鏡面研磨工程として、この積層分割体6の切断面5aに鏡面研磨加工を施す。
次に、第2の光学多層膜形成工程として、図2(a)に示すように、積層分割体6の鏡面研磨を施した2つの側面にそれぞれ第1の光学多層膜7aと第2の光学多層膜7bとを形成する。この後、剥離工程として、積層分割体7の前記第1の仮止め剤を剥離することで、図2(b)に示すような端面が正方形状で4つの側面にそれぞれ第1の光学多層膜3、7aと第2の光学多層膜4、7bとが形成された正四角柱8が得られる。
【0013】
次に、第1の装着工程として、図2(c)に示すように正四角柱8を三角形状の溝10aの先端部に長方形の溝10bを形成した切断治具9に第2の仮止め剤を介して装着固定し、切断剥離工程として、図2(d)に示すように正四角柱8の対角線に沿ってスライサー等を用いて切断し、切断治具9より剥離することで、図3(a)に示すような直角三角柱11が得られる。ここで、図2(d)には一例としてスライサーのブレード部51と、該ブレード部51に装着した外周刃ブレード51aを示している。尚、前記第2の仮止め剤は、例えば、シフトワックス等を使用する。
図3(a)に示す直角三角柱11の直角を挟む面11a、11bには、それぞれ第1の光学多層膜と第2の光学多層膜とが形成されている。なお、図2(b)に示した例では隣接する側面が第1の光学多層膜3、7a(あるいは第2の光学多層膜4、7b)が配した例を示したが、隣接する側面にそれぞれ第1の光学多層膜3と第2の光学多層膜7b(あるいは第2の光学多層膜4と第1の光学多層膜7a)とを配してもよい。ただし、正四角柱8をその対角線に沿って切断する場合に切断して得られた三角柱の直角を挟む側面にそれぞれ第1の光学多層膜7aと第2の光学多層膜7bとが配されるように切断すればよい。
【0014】
次に、第2の装着工程として、図3(b)に示すように複数の三角形の溝12aが設けられた研磨治具12の溝12aに、図3(a)に示す直角三角柱11を装着し、第2の仮止め剤で固定した後、鏡面研磨・剥離工程として、直角三角柱11の斜面11cを鏡面研磨加工すると共に研磨治具12から直角三角柱11を剥離する。
この後、第2の切断工程として、図3(c)に示すように直角三角柱11’の長手方向に直交して所定ピッチの複数の切断面11a’にて切断して、図3(d)に示す直角三角プリズム13を得ることができる。つまり、直角三角プリズム13の直角を挟む側面には第1の光学多層膜13aと第2の光学多層膜13bが形成されており斜面は鏡面研磨加工が施されている直角三角プリズム13を得ることができる。
このように直角三角プリズム13を製造すれば、寸法精度に優れた光学多層膜を有する直角三角プリズムを製造することが可能となる。例えば、直角三角プリズム13に要求される直角の角度精度は切断治具の三角溝に固定して切断するので、要求精度を十分に満たすことができる。また、直角三角プリズム13の三面の寸法精度は、所定の矩形のガラス平板を選び、積層体を適切に切断することにより、要求仕様を十分に満たす精度で構成することが可能になる。また研磨工程に大幅な工数が掛からないためコストが増大するといったこともない。
【0015】
本発明に係る直角三角プリズム製造方法の第2の実施例について説明する。
なお、この場合は、上記直角三角プリズムの製造方法で説明した図1までは上記の説明と同様であるため説明を省略する。
この場合は、図1(d)に示す積層分割体6の切断面5aを鏡面研磨加工した後、仮止め材を溶解除去して、図4に示すような正四角柱14を得る。図4に示すように正四角柱14の上下面にはそれぞれ第1及び第2の光学多層膜3、4が形成され、側面14a、14bは鏡面研磨が施されている。正四角柱14の鏡面研磨が施された側面14a、14bにそれぞれ第1及び第2の光学多層膜を形成すれば、図2(b)に示した正四角柱8と同様な正四角柱が得られる。それ以後の工程は図2(c)、(d)及び図3(a)から同図(d)に示した工程と同様な工程を用いることにより、直角三角プリズム13の直角を挟む側面にそれぞれ第1の光学多層膜と第2の光学多層膜とを有し、斜面は鏡面研磨加工が施された直角三角プリズムを製造することができる。
【0016】
このように直角三角プリズム13を製造すれば、上記同様、寸法精度に優れた光学多層膜を有する直角三角プリズムを製造することが可能となる。例えば、直角三角プリズムに要求される直角の角度精度は切断治具の三角溝に固定して切断するので、要求精度を十分に満たすことができる。また、直角三角プリズムの三面の寸法精度は、所定の矩形のガラス平板を選び、積層体を適切に切断することにより、要求仕様を十分に満たす精度で構成することが可能になる。また、研磨工程に大幅な工数が掛からないためコストが増大するといったこともない。
【0017】
図5(a)は、上記のように作製した光学多層膜を有する直角三角プリズムの一例である。この図5(a)に示す直角三角プリズム15は光路変更プリズムであり、直角を挟む側面に反射防止膜15a、15bがそれぞれ形成されている。この光路変更プリズム15に図中上方から光16が入射すると、斜面15cにより全反射されて、光路を90°変換された光17となり、光路変更プリズム15の側面から出射する。このように、図5(a)に示す光路変更プリズム15は光の光路を90°変換する機能を有する。
【0018】
図5(b)は、上記のように作製した光学多層膜を有する直角三角プリズムを用いて構成した光ピックアップ装置である。
図5(b)に示す光ピックアップ装置は、レーザーダイオード20a、20bと、偏光ビームスプリッタ21a、21bと、本発明の光学多層膜付直角三角プリズム22と、波長板23と、集光レンズ24と、光検出器26a、26bとを備えている。レーザーダイオード20aとして例えば、波長780nm帯のCDあるいは波長650nm帯のDVD用のレーザーダイオードを、レーザーダイオード20bに波長405nm帯の青色波長帯のレーザーダイオードを用いた光ピックアップ装置とすることができる。直角三角プリズム22の直角を挟む側面22a、22bの表面上には、波長780nm帯あるいは650nm帯のレーザー光を反射する光学特性を有する光学多層膜、波長405nm帯のレーザー光を反射する光学特性を有する光学多層膜がそれぞれ形成されている。このように、光ピックアップ装置に光学多層膜付直角三角プリズムを用いると、レーザーダイオードから出射する光路を90°変換してディスク25に入射させることができるので、光ピックアップ装置を小型化することができる。
なお、直角三角プリズムに形成する光学多層膜は前述の光学多層膜に限らず、例えば直角三角プリズムの斜面に偏光分離膜や所望の波長帯の光を反射する反射膜を形成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)乃至(d)は本発明に係る直角三角柱プリズムの製造方法を示した概略工程図。
【図2】(a)乃至(d)は本発明に係る直角三角柱プリズムの製造方法を示した概略工程図。
【図3】(a)乃至(d)は本発明に係る直角三角柱プリズムの製造方法を示した概略工程図。
【図4】正四角柱を示す斜視図。
【図5】(a)は光路変更プリズムの一例を示した図、(b)は光ピックアップ装置の構成例を示した図。
【図6】従来の直角二等辺三角プリズムの構成を示した図。
【図7】(a)乃至(d)は図6に示すプリズムの製造方法を説明する工程図。
【符号の説明】
【0020】
1…平板状光学部材、2…ガラス平板、3、13a…第1の光学多層膜、4、13b…第2の光学多層膜、5…積層体、5a…切断面、6…積層分割体、8…正四角柱、9…切断治具、10a…三角溝、12…研磨治具、13…直角三角プリズム、14…正四角柱、15a、15b…光学多層膜、51…ブレード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直角を挟む側面にそれぞれ第1及び第2の光学多層膜を備えた直角三角プリズムの製造方法であって、
矩形の平板状光学部材の一方面に第1の光学多層膜を形成し、他方面に第2の光学多層膜を形成する第1の光学多層膜形成工程と、
前記複数の平板状光学部材を第1の仮止め剤を介して積層する積層体形成工程と、
前記積層体形成工程にて形成された積層体の主面に対して直交する所定ピッチの複数の切断面にて切断する第1の切断工程と、
前記第1の切断工程により切断された積層分割体の切断面を鏡面研磨する鏡面研磨工程と、
前記鏡面研磨工程により鏡面研磨された積層分割体の一方の側面に第1の光学多層膜を、他方の側面に第2の光学多層膜を夫々形成する第2の光学多層膜形成工程と、
前記第2の光学多層膜形成工程にて側面に光学多層膜が形成された積層分割体の第1の仮止め剤を剥離して端面が正方形の正四角柱を形成する剥離工程と、
前記正四角柱を三角形状の溝の先端部に長方形の溝を有する切断治具に第2の仮止め剤を介して装着する第1の装着工程と、
前記切断治具に装着した正四角柱を該正四角柱の対角線に沿って切断し、切断治具より剥離する切断剥離工程と、
前記切断剥離工程により得られた直角三角柱を三角形の溝を有する研磨治具に第2の仮止め剤を介して装着する第2の装着工程と、
前記第2の装着工程により研磨治具に装着した複数の直角三角柱の斜面を鏡面研磨し、研磨治具より剥離する鏡面研磨・剥離工程と、
前記鏡面研磨・剥離工程にて斜面が鏡面研磨された直角三角柱を長手方向に直交して所定ピッチの複数の切断面にて切断する第2の切断工程と、を含むことを特徴とする直角三角プリズムの製造方法。
【請求項2】
直角を挟む側面にそれぞれ第1及び第2の光学多層膜を備えた直角三角プリズムの製造方法であって、
矩形の平板状光学部材の一方面に第1の光学多層膜を形成し、他方面に第2の光学多層膜を形成する第1の光学多層膜形成工程と、
前記複数の平板状光学部材を第1の仮止め剤を介して積層する積層体形成工程と、
前記積層体形成工程にて形成された積層体の主面に対して直交する所定ピッチの複数の切断面にて切断する第1の切断工程と、
前記第1の切断工程により切断された積層分割体の切断面を鏡面研磨する鏡面研磨工程と、
前記鏡面研磨工程により鏡面研磨された積層分割体の第1の仮止め剤を剥離して、対向する2つの側面に第1及び第2の光学多層膜が形成された端面が正方形の正四角柱を形成する剥離工程と、
前記剥離工程により得られた正四角柱の対向する2つの鏡面研磨面にそれぞれ第1及び第2の光学多層膜を形成する第2の光学多層膜形成工程と、
前記光学多層膜形成工程にて光学多層膜を形成された正四角柱を三角形状の溝の先端部に長方形の溝を有する切断治具に第2の仮止め剤を介して装着する第1の装着工程と、
前記切断治具に装着した正四角柱を該正四角柱の対角線に沿って切断し、切断治具より剥離する切断剥離工程と、
前記切断剥離工程により得られた直角三角柱を三角形の溝を有する研磨治具に第2の仮止め剤を介して装着する第2の装着工程と、
前記第2の装着工程により研磨治具に装着した複数の直角三角柱の斜面を鏡面研磨し、研磨治具より剥離する鏡面研磨・剥離工程と、
前記鏡面研磨・剥離工程にて斜面が鏡面研磨された直角三角柱を長手方向に直交して所定ピッチの複数の切断面にて切断する第2の切断工程と、を含むことを特徴とする直角三角プリズムの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−145482(P2008−145482A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−329212(P2006−329212)
【出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】