相反転クロスフロー型超小形発電装置
【課題】小川等を流れる低落差、低流量あるいは低流速の水流エネルギを最大限活用する、超小型の発電装置を提供する。
【解決手段】互いに逆向きに回転する第1種翼車および第2種翼車と、第1および第2種翼車に同軸で、第1種翼車に係合して回転される第1回転軸と、第2種翼車に係合して回転される第2回転軸と、第1回転軸および第2回転軸の一方と一体的に回転する1以上の磁石、及び、他方と一体的に回転する1以上のコイルとを含む発電手段と、流入する水流を第1種及び第2種翼車に向けて加速する第1及び第2のノズルと、発電手段を水密に密閉するケーシングとを有し、第1種翼車および第2種翼車の各翼が、ノズルによる水流を受ける部位では翼車半径方向に立ち、上記水流を受けて軸を回転させたのち、上記ノズルによる水流を受けない部位に近づく部分では水流に倣う方向に寝るように水力でまたは機械的に態位を変化させる可動機構を設ける。
【解決手段】互いに逆向きに回転する第1種翼車および第2種翼車と、第1および第2種翼車に同軸で、第1種翼車に係合して回転される第1回転軸と、第2種翼車に係合して回転される第2回転軸と、第1回転軸および第2回転軸の一方と一体的に回転する1以上の磁石、及び、他方と一体的に回転する1以上のコイルとを含む発電手段と、流入する水流を第1種及び第2種翼車に向けて加速する第1及び第2のノズルと、発電手段を水密に密閉するケーシングとを有し、第1種翼車および第2種翼車の各翼が、ノズルによる水流を受ける部位では翼車半径方向に立ち、上記水流を受けて軸を回転させたのち、上記ノズルによる水流を受けない部位に近づく部分では水流に倣う方向に寝るように水力でまたは機械的に態位を変化させる可動機構を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、相反転クロスフロー型超小形発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水力や風力のエネルギを電気エネルギに変換する水力発電や風力発電、太陽光エネルギを電気エネルギに変換する太陽光発電は、地球資源を消費せず環境汚染を伴わない発電方式であり、地球環境の保全が重要視される昨今、その重要性が再認識されつつある。
特に、例えば、田畑へ水を供給するための水路、民家近くにある河川、住宅・マンションから共通溝(本管)までに至る配管のように、比較的流れが遅く浅いあるいは狭幅の水路、さらには潮流のある海中などに設置し、水流を利用して比較的小規模の発電が可能な超小型の簡易発電装置の出現が期待され、キャンプ等のレジャー用や、災害時のライフライン確保等の面から注目されつつある。
【0003】
従来から知られた簡易発電装置は大別して、回転子の回転軸方向に水を流す「軸流型」のものと、回転子(ロータ)の回転軸を流れに交わる方向に設置する「クロスフロー型」とに分けられる。
【0004】
軸流型の簡易発電装置は例えば特許文献1に開示されている。
クロスフロー型の簡易発電装置は例えば特許文献2に開示されている。
これら簡易発電装置による発電は、水流により翼車を回転させ、この翼車を回転子(ロータ)としてこれに固定的に設けた磁石と、固定子(ステータ)に設けたコイルとの相対変位により、コイルに電圧を誘起させることにより行われるが、コイルに誘起される起電力が「コイルを横切る磁束の時間的な変化率」に比例し、この変化率が磁石とコイルとの相対速度に比例する点に鑑み、コイルを固定したステータと回転子とを「互いに逆向き」に回転させて起電力の増大を図る「軸流型の発電機」が非特許文献1に報告されている。
【0005】
超小型の簡易発電装置の利点として、例えばダムや堰、水路や配管等といった発電に必要な付帯設備を新たに設ける必要がなく、インフラ整備に必要な時間と経費を節約できる点を上げることができる。さらに、河川や水路の底に設置して水没した状態でも発電可能なものが実現できれば、水位や流量の変化に左右されず、自然を保護し景観を損なわないものとして期待されるが、軸流形発電装置を除いては未だ実現されていない。また、現存の軸流形発電装置のエネルギ変換効率は最大20%以下に留まる。
【0006】
すなわち、実現が期待されている超小形のマイクロ発電装置は、田畑や市街地などの、低落差・低流量・低流速の水路に設置するだけで発電可能であり、付帯設備を必要とせず、しかも、一家庭を賄える1kW程度の発電量を確保できるものである。
このような超小型のマイクロ発電装置の実現を困難にする最大の問題として、流水が低落差・低流量・低流速であるため、要求を満たす発電量の確保に必要な発電機の回転数が得られないことが挙げられる。さらに、超小形であるが故に発電効率が悪い点や、季節により流量と水深が変化すると発電効率も変動しやすい等の問題もある。
【0007】
【特許文献1】特開2001−248532
【特許文献2】特開2003−120499
【非特許文献1】日本機会学会流体工学部門講演会講演概要集608頁「相反転方式水力発電機の開発」(2003.9.11〜20)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、小川などを流れる低落差、低流量あるいは低流速の水のエネルギを最大限活用して電気エネルギに変換し、1kW程度の発電量を確保可能な超小型の相反転クロスフロー型小型発電装置の提供にある。
本発明の課題はまた、水没させた状態で設置しても発電可能な超小型かつ簡便な超小型の相反転クロスフロー型小型発電装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明では以下の相反転クロスフロー型超小型発電装置が提供される。
【0010】
<1> 水流に交わる方向に回転軸を持つクロスフロー型の発電装置であって、水流を受けて第1の向きに回転する第1種翼車と、水流を受けて上記第1の向きと逆の第2の向きに回転する第2種翼車と、上記第1および第2種翼車に同軸で、第1種翼車に係合して回転される第1回転軸と、上記第2種翼車に係合して回転され、上記第1の回転軸の内側に軸心方向に貫通された第2回転軸と、これら第1回転軸および第2回転軸の一方と一体的に回転する磁石、及び、他方と一体的に回転するコイルとを含み、円周上の1個の磁石と1個のコイルとからなる極を有する発電手段と、流入する水流を上記第1種翼車に向けて加速する第1のノズルと、流入する水流を上記第2種翼車に向けて加速する第2のノズルと、上記発電手段を水密に密閉するケーシングとを有し、さらに、第1種翼車および第2種翼車の各翼が、ノズルによる水流を受ける部位では翼車半径方向に立ち、上記水流を受けて軸を回転させたのち、上記ノズルによる水流を受けない部位に近づく部分では水流に倣う方向に寝るように水力でまたは機械的に態位を変化させる可動機構を第1種翼車および第2種翼車に設け、落差が2m以下の水路に設置し、水没させて使用する場合でも水の運動エネルギの50%以上を翼車の回転エネルギに変換可能なものであることを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置である。
【0011】
<2> <1>に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、発電手段が円周上の1個の磁石と1個のコイルとからなる極を少なくとも24個有するものであることを特徴とする相反転クロスフロー型小型発電装置である。
【0012】
<3> <1>または<2>に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、第1種翼車および第2種翼車をそれぞれ構成する各翼が、第1回転軸および第2回転軸のそれぞれに設けられた可動機構に直接固定されて可動としたことを特徴とする相反転クロスフロー型小型発電装置である。
【0013】
<4> <1>乃至<3>のいずれか1に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、第1種翼車、第2種翼車を囲繞し、第1および第2のノズルからの水流を受け入れる流入口と、上記第1、第2種翼車を回転させた水流を排出する第1排出口と第2排出口とを持つハウジングを有することを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置である。
【0014】
<5> <4>に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、第1排出口と第2排出口がディフューザ形状であることを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置である。
【0015】
<6> <1>乃至<5>のいずれか1に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、前記可動機構に固定された前記各翼が支持部材に支持され、1対の前記支持部材が第1回転軸、第2回転軸のそれぞれの両端部に固定されて同軸に回転するようにしたことを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置である。
【0016】
<7> <6>に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、前記支持部材がリング状または円板形状であることを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置である。
【0017】
<8> <6>または<7>に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、第1回転軸および第2回転軸に同軸に、第1種翼車および第2種翼車の翼の態位を変化させるカムが前記支持部材内側空間に固装され、第1種翼車および第2種翼車の各翼が、その翼車半径方向の一部を軸支されて揺動自在であり、翼車半径方向の一端部をカムフォロワとして上記カムに従動することを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置である。
【0018】
<9> <8>に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、カムが、第1種翼車、第2種翼車のハウジング側に固定されて設けられていることを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置である。
【0019】
<10> <6>乃至<9>のいずれか1に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、第1種翼車、第2種翼車は、回転軸と同軸に翼端部係止手段が固装され、上記第1種翼車、第2種翼車の各翼は、翼車半径方向の外端部側を軸支されて揺動自在であり、該係止手段は複数の係止機構からなり、水流による翼の揺動を前記係止手機構により係止する構成であることを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置である。
【0020】
<11> <10>に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、前記係止機構は係止ピン又は係止溝からなり、各翼が可動に取り付けられる円板形状の支持部材の内周部、回転軸に別途固装した円板部材の周辺部または回転軸の外周表面部に設けられることを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置である。
【0021】
<12> <1>乃至<11>のいずれか1に記載記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、可動機構が翼をピンあるいは溝によって固定し可動とするものであることを特徴とする相反転クロスフロー型小型発電装置である。
【0022】
<13> <1>乃至<12>のいずれか1に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、翼車を構成する翼として断面が平板翼、半円弧翼、曲線翼もしくはNACA翼形のものを用いることを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置である。
【0023】
<14> <1>乃至<13>のいずれか1に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、第1および第2のノズルに向けて水流を加速する補助ノズルを有することを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置である。
【0024】
本発明者は、上記課題を解決するために、数値計算による翼の可動機構の検討と模型機を用いた検証実験を行ない、その結果に基づいて鋭意検討を重ね、本発明の創出に至ったものである。数値計算と検証実験の具体的内容については後述する。
【0025】
本発明者は、先ず「1kW程度の発電量を得るに必要な条件」を理論計算により求め、落差:2m(18kJ)に相当するエネルギを水から得るためには、発電装置の入口の流速として約6m/秒を確保する必要があることを確認した後、数値計算と検証実験を行ない、その結果得られた知見を用い、かつ以下の構想に基づいて検討を重ね、本発明の超小型発電装置を創出するに至った。
【0026】
「水没型発電装置に関して」
1.水没した状態で発電可能な水没形発電装置を本発明の基本的構成とする。
2.水のエネルギを回転力に換えるための最適な翼形状と取り付け方とする。
3.水没した状態で使用するために発電装置は防水処理を必要とする。
4.水没した場合、翼が抵抗となる領域が存在するため可動翼機構を導入する。
5.可動翼の固定方法と位置決め精度の良い可動翼機構を提案する。
【0027】
「可動翼機構に関して」
1.翼車およびケーシングの最適設計を行なう。
2.翼の可動範囲を最大とするメカニズムの提案を行なう。
3.翼が抵抗を受ける領域で揚力を得る工夫をする。
【0028】
「相反型発電装置に関して」
1.発電機のロータとステータの相対速度を上げるために相反型発電機とする。
2.発電機と、相反する翼車をそれぞれユニット構造にする。
3.相反転する翼車が2ユニット、相反転発電機1ユニットを基本構成とする。
4.上記3ユニットが同軸で結合されるものとする。
5.流れ場の状況に応じてユニットを増減と組み合わせの変換が可能なものとする。
【0029】
すなわち、本発明の相反転クロスフロー型超小型発電装置は「水流に交わる方向に回転軸を持つクロスフロー型の発電装置」であって、第1種翼車、第2種翼車、第1回転軸、第2回転軸、発電手段、第1および第2のノズル、ケーシングを有するものである。
「第1種翼車」は、水流を受けて第1の向きに回転する翼車であり、「第2種翼車」は、水流を受けて「第1の向きと逆の第2の向き」に回転する翼車である。
「第1回転軸」は、第1及び第2種翼車に同軸で第1種翼車に係合して回転される。
「第2回転軸」は、第2種翼車に係合して回転され、第1の回転軸の内側に軸心方向に貫通されて設けられる。
【0030】
「発電手段」は、第1回転軸および第2回転軸の一方と一体的に回転する磁石、及び、他方と一体的に回転するコイルとから構成される。もちろん、磁石・コイルの相対的な位置関係は、磁石とコイルとの相対変位により、コイルに電圧を誘起させることができるように設定され、発電手段が円周上の1個の磁石と1個のコイルとからなる極を有するものである。
この磁石とコイルとのからなる極の数は「低落差・低流量・低流速の水流で一家庭を賄える1kW程度の発電量」を確保するためには、少なくとも24個設けることが特に有効である。
【0031】
さらに、本発明の相反転クロスフロー型超小形発電装置は、第1種翼車および第2種翼車の各翼が、ノズルによる水流を受ける部位では翼車半径方向に立ち、上記水流を受けて軸を回転させたのち、上記ノズルによる水流を受けない部位に近づく部分では水流に倣う方向に寝るように水力でまたは機械的に態位を変化させるために、第1種翼車および第2種翼車に可動機構を設けることが必要である。
この可動機構としては、ピン等により翼の一部を固定して、翼を可動としたものを挙げることができるが、特にピンで固定した翼を用い流体力を利用した可動機構が、構成上簡易であり好ましい。
本発明の前記小形発電装置に用いる「翼」の形は、平板翼、NACA翼形の非対称形、円弧形翼等の公知のものが適用可能である。
【0032】
また、本発明の相反転クロスフロー型発電装置は、必須の構成要件として「第1のノズル」と「第2のノズル」を有し、「第1のノズル」は、流入する水流を第1種翼車に向けて加速させ、「第2のノズル」は、流入する水流を第2種翼車に向けて加速させ、さらに、発電手段を水密に密閉する「ケーシング」を有する。
【0033】
本発明の相反転クロスフロー型発電装置は、落差が2m以下の水路に設置し、水没させて使用する場合でも、水の運動エネルギの50%以上を翼車の回転エネルギに変換可能なものであり、発電量として最大1kWを狙った「超小型」のものである。
一般的に、回転数が低く小型になるほどこのエネルギ変換率は低下するが、本発明の超小型発電装置は変換率が50%以上であり、特に50〜70%以上を確保できるものである。
また、第1種翼車と第2種翼車の相対回転数が200rpm程度でも、水の運動エネルギの50%以上を回転エネルギに変換することが可能となる発電装置である。
【0034】
本発明の超小型発電装置を構成する相反転するユニット構造は、低回転速度では発電機の発電能力が著しく低下するのを防ぐために、発電機の固定子(ステータ)と回転子(ロータ)の相対速度を上げること、すなわち、発電機の回転速度を相対的に速くして発電能力を確保するのに有効である。
【0035】
このような構成にすることにより、市街地近くの「落差の小さい流れ場」に設置して発電することができる。落差の小さい流れ場では水のもつ運動エネルギが小さいため、超小型発電装置上流にノズルを設け、流れを加速させることによって水の運動エネルギを大きくすることができる。
発電装置を設置する流れ場の流量と流速は、設置する市街地により、また、季節により異なることから、さらに大きな流速を得るためには、発電装置上流に設けたノズルの更に上流に、ブーストノズルを設置することによって、流れをさらに加速させて水の運動エネルギを大きくして発電装置に導くことができる。
一方、発電装置下流をディフューザ形状にすると、水の抜けが良くなって、翼車に当たる水の減速を防ぐ効果を呈するため、水の運動エネルギを有効利用することができる。
【0036】
また、本発明の相反転クロスフロー型超小形発電装置は、第1種翼車、第2種翼車を囲繞し、第1および第2のノズルからの水流を受け入れる流入口と、上記第1、第2種翼車を回転させた水流を排出する第1排出口と第2排出口とを持つハウジングを有することができ、さらに、第1排出口と第2排出口はそれぞれディフューザ機能を有するディフューザ形状にすると、水の抜けが良くなって翼車に当たる水が減速することを極力防止できて、水の運動エネルギを確保する構造となるので、水を翼車から速やかに排出できるので好ましい。
上記ハウジングは第1及び第2のノズルおよび第1排出口と第2排出口と一体に作製でき、第1及び第2のノズルはハウジングの一部として構成することができる。
【0037】
本発明の相反転クロスフロー型超小型発電装置の第1の態様として、可動機構を第1回転軸および第2回転軸のそれぞれに設け、その可動機構に第1種翼車および第2種翼車をそれぞれ構成する各翼を直接固定して可動としたものとすることができる。
この第1の態様の発電装置に設置する翼として、流入する水量を最大限受け止めそのエネルギを活用するためには、パケット構造であることが好ましい。
【0038】
また、本発明の該小型発電装置の第2の態様として、第1回転軸と第2回転軸のそれぞれの両端部に1対の円形支持部材(単に、支持部材とも言う)を同軸に固定し、この支持部材に翼車の各翼を可動機構によって取り付けて、回転軸と同軸にこの支持部材を回転するようにして、各翼を可動としたものとすることができる。
【0039】
この円形支持部材としては、例えば、リング形状のものと円板形状のものを挙げることができる。しかしながら、本発明者の検証によると、リング形状の場合、個々の水車から水が漏れないようにパケット構造にする必要があって、水車の加工が難しくなり重量が重くなる場合もあり、その結果、翼形の設計の自由度が低くなって、翼の可動範囲が制限されることになるため、円板形状の方が有効である。
円板形状の円形支持部材の場合、水車がパケット構造でないために、水が側板との隙間から漏れる可能性があるが、数値計算によると、損失は5%程度以下と極めて小さいことが確認された。
円形支持部材が回転軸の端部に固定されることを鑑み、円板形状の支持部材を、以後、単に側板と称する場合がある。
【0040】
円形支持部材として側板を用いた前記第2の態様の小型発電装置については、翼の設計および製作の自由度が高くなり、設置する流れ場の状況に応じて翼形状や翼枚数を容易に変更することができる利点がある。
また、各翼の側板上の取り付け位置は、特に限定的でないが、該側板の外周側の方が中心側よりも好ましい。その理由は、可動機構としてピンを用い各翼を支持して可動とした場合、ピンが翼の回転中心となるが、側板の外周側に取り付けた場合、側板の中心側にピンを設ける場合と比較して、翼の可動範囲を大きくでき、残りの半周期における翼の抵抗を軽減することができることが挙げられる。
【0041】
さらに、側板と可動翼の間に生じる隙間による水漏れの影響が考えられるが、数値解析結果によると、漏れは5%程度以下で影響が少なく、むしろ翼形状の自由度を向上させる効果の方が大きいことが確認された。
【0042】
また、本発明の該小型発電装置では、第1回転軸、第2回転軸に同軸に、第1種翼車および第2種翼車の翼の態位を変化させるカムを装置空間に固定的に設け、第1種翼車および第2種翼車の各翼を、その翼車半径方向の一部を軸支して揺動自在とし、翼車半径方向の一端部をカムフォロワとしてカムに従動する構成とすることができる。
即ち、揺動自在な翼をカムにより態位変化させることにより「ノズルによる水流を受ける部位では翼車半径方向に立ち、水流を受けて軸を回転したのち、ノズルによる水流を受ける部位に近づく部分では水流に倣う方向に寝る」ようにする。カムは「第1種翼車、第2種翼車の軸側」に設けることもできる。
相反転クロスフロー型発電装置が「第1種翼車、第2種翼車を囲繞し、第1および第2のノズルからの水流を受け入れる流入口と、第1、第2種翼車を回転させた水流を排出する排出口とを持つハウジング」を有する場合には、カムを「ハウジングの内壁に設ける」
構成とすることもできる。
「ハウジングの内壁に設けられるカム」は、ハウジングの「内壁自体の形状で構成された固定カム」でもよい。
【0043】
この場合も、ハウジングは第1及び第2のノズルと一体でもよく、第1及び第2のノズルをハウジングの一部として構成することができる。
第1回転軸および第2回転軸に同軸に、第1種翼車および第2種翼車の翼の態位を変化させるカムを前記支持部材内側空間に固装し、第1種翼車および第2種翼車の各翼が、その翼車半径方向の一部を軸支されて揺動自在であり、翼車半径方向の一端部をカムフォロワとして上記カムに従動させることができる。カムは、第1種翼車、第2種翼車のケーシング側に固定し設けることができる。
【0044】
このカムは円形支持部材を設けた第2の態様の発電装置に設置可能であり、円板形状(側版)あるいはリング形状の円形支持部材に取り付けた可動翼の回転軸方向の一端部をカムに従動させることができる。
【0045】
本発明の該小型発電装置においては、第1種翼車、第2種翼車に、回転軸と同軸に翼端部係止手段を固装し、第1種翼車、第2種翼車の各翼を、翼車半径方向の外端部側を軸支されて揺動自在であり、該係止手段は円板形状体に複数の係止機構を設けたものからなり、水流による翼の揺動を前記係止手段の係止機構により係止する構成にすることができる。該翼端部係止手段を構成する円板形状体として、第2の態様の前記発電装置における側板を兼用し、該側板の外周部に翼を取り付けた可動機構を設け、該側板の回転軸側に複数の係止ピンを植設したものとすることができる。
また、該翼端部係止手段を構成する円板形状体として回転軸を兼用し、回転軸表面に複数の係止ピンを植設するか、あるいは複数の係止溝を形成して該翼端部係止手段とし、第2の態様の前記発電装置に設けることができる。
【0046】
また、本発明の相反転クロスフロー型超小型発発電装置の翼車を構成する翼として、例えば、平板型、半円弧型、曲線翼および翼形(例えばNACA翼)を用いることができるが、特に半円弧型を用いると、平板型に比して軸トルクが2倍程度高くなって、水の運動エネルギの「翼車回転エネルギへの変換率50%以上」を達成させるのに有効である。翼形を用いた場合も半円弧翼と同等の軸トルクが得られていることが確認された。
例えば、可動機構としてピン、「翼」としてNACA翼形の非対称形を組み合わせて用いる場合に、翼のピンを設置する位置を、翼の前縁部ではなく下流の最大翼厚さ部にすると、翼が1周回転し最初の半周期に再度さしかかる際に、翼前縁部に当たって翼の腹側に流入した水が、その流体力によって翼を立ち上がらせる効果をもたらす。
【0047】
本発明の相反転クロスフロー型超小型発電装置は、第1および第2のノズルに向けて水流を加速する「補助ノズル」または「案内翼」を有することができる。
「補助ノズル」または「案内翼」を用いることにより「より大きな流速をもった水流」を第1種・第2種翼車に供給でき、翼車の回転速度を増大させることができる。この場合にもハウジング排出口のディフューザ形状が有効に作用する。
【0048】
第1種翼車は第1回転軸に係合し、水流を受けて第1の向きに回転することにより第1回転軸を回転させる。第2種翼車は第2回転軸に係合し、水流を受けて「第1の向きとは逆の第2の向き」に回転して第2回転軸を回転させる。第1種翼車・第2種翼車は上の如くに定義される翼車であり、その具体的な形態としては、第1種・第2種翼車とも単一の翼車で構成することもできるし、第1種・第2種翼車の一方もしくは双方を2以上の翼車で構成することもできる。
【0049】
即ち、第1種翼車を例にとると、第1種翼車は「単一の翼車」で構成することもできるが、「第1回転軸に共通に固装され、水流を受けて第1の向きに回転する2以上の同種の翼車」により第1種翼車を構成することもできる。第2種翼車も同様である。最大軸トルクを得るには平板翼の場合6〜10枚、半円弧翼の場合は枚数が多いほど最適である。
【0050】
「発電手段」は、上述の如く、1以上の磁石と1以上のコイルとを含み、1以上の磁石は「第1回転軸および第2回転軸の一方」と一体的に回転し、コイルは他方と一体的に回転する。例えば、1以上の磁石が第1回転軸と一体に回転するならば、1以上のコイルは第2回転軸と一体的に回転する。この場合であれば、磁石の回転は前記「第1の向き」に
生じ、コイルの回転は前記「第2の向き」に生じる。
なお先述したように、この磁石とコイルとからなる極の数は、低落差・低流量・低流速の水流で一家庭をまかなえる1kW程度の発電量を確保するためには、少なくとも24個設けることが特に有効である。
【0051】
磁石・コイルを、第1、第2回転軸の一方・他方と一体的に回転させるには、磁石やコイルを回転軸に直接的に固装してもよいが、例えば「フランジ状の支持手段」を回転軸に固定もしくは回転軸と一体に設け、これら支持手段に磁石やコイルを固定するようにしてもよい。このように、磁石やコイルを「支持手段を介して回転軸に固定」すると、磁石やコイルの回転速度が大きくなる。
【0052】
即ち、第1回転軸(コイルと一体に回転するものとする。)の角速度を「W1」、第2回転軸(磁石と一体に回転するものとする。)の角速度を「−W2」とすれば、第1回転軸から見た第2回転軸の角速度は「W1+W2」であり、支持手段を介して固定的に保持されたコイルの回転半径を「r1」、磁石の回転半径を「r2」とすると、両者の相対速度は「r1・W1+r2・W2」となる。
【0053】
回転半径:r1、r2が大きくなるほどコイル・磁石間の相対速度は大きくなり、コイルを横切る磁束の時間的変化も大きくなる。従って、磁石やコイルは、発電手段部分のサイズを過大にせず、翼車の回転が重くならない範囲で適宜に大きく設定するのがよい。
【0054】
第1・第2回転軸と一体に回転させる磁石・コイルの数としては、少なくとも24個設けることが好ましいことが数値解析の結果確認された。
換言すれば、発電機のステータとロータが相反転すると相対速度が上がるが、翼車を構成する翼を水力による可動性にすると、回転速度を大きく取ることは困難であるので、発電量を確保するためには、磁石・コイルの数、すなわち発電機の極数は多ければ多いほど好ましく、少なくとも24極有することが好ましい。
なお、ステータとロータが相反転すると脈動の発生が懸念されるが、極数が多くなればステータとロータがより小型になって脈動の発生が減ずることが確認された。カムを用いた可動機構の場合も、小形化して発電量を確保するためには、磁石・コイルの数、すなわち発電機の極数は多ければ多いほど好ましい。
【0055】
また、相反転クロスフロー型超小型発電装置が「ハウジング」を有する場合には、ハウジングの排出口は「ディフューザ形状」であることが好ましい。
【0056】
水流は、第1および第2のノズルにより流速を加速され、翼車を回転させたのち、ハウジングの排出口から排出されるのであるが、翼車を回転させたあとも、水流の流速はハウジング外部の流速よりも大きい値を保っており、このため、排出口に向かう水流の圧力水頭はハウジング外部の圧力水頭より低く、排出口を単なる開口としてハウジングに形成したのでは「翼車を回転させた後の水流」がハウジング外部へ排出されにくい。
【0057】
従って、排出口を「ディフューザ形状」として、この形状の作用により動圧を漸次弱めて圧力水頭を増大させることにより、翼車を回転させた後の水流をハウジング外部へ確実に排出することができる。
【0058】
本発明の「相反転クロスフロー型超小型発電装置」は水没した状態でも発電可能な「水没型」であるため、翼車の翼が「固定翼」であると、翼車が駆動用水流の作用を受けた後、再び水流の作用を受ける位置へ戻る部位では、水圧が抵抗力として作用する。従って、駆動用水流の作用を受けない「戻り部位」では、上記抵抗力をなるべく減ずるようにするのがよい。
【0059】
第1種翼車および第2種翼車の各翼を可動とし、ノズルによる水流を受ける部位では「翼車半径方向に立たせて水流を十分に受ける」ようにし、水流を受けて軸を回転させたのち、ノズルによる水流を受ける部位に近づく部分では「水流に倣う方向に寝る」ように態位を変化させる構成とすることにより、戻り部位での抵抗を有効に減じて回転力を高めることができる。
【0060】
さらに、本発明の相反転クロスフロー型超小型発電装置における好ましい構成を挙げて説明する。
【0061】
「翼に関して」
1.翼の形状をサイクロイド曲線にすると、翼の可動範囲を広くすることができる。
2.翼に厚み分布を持たせると、翼間の圧力分布を改善して大きな軸トルクを得ることができる。
3.円形支持部材に取り付けた翼の回転軸方向の端部と回転軸とに間隔が形成されるように、翼のサイズを設定すると、翼間に水が流れず淀む領域(死水領域)を最小限にできて、水のエネルギを効率よく活用し軸トルクを向上させることができる(図8)。
【0062】
「可動機構に関して」
1.翼車上流に導水ノズルまたは案内翼を設けると、1枚の可動翼をスムーズに立ち上げさせることができる(図9)。
2.翼車のケーシング形状を、入る水量に比べて出る水量の方が少ないように、入口と出口の大きさを調整して、翼車の回転方向と同方向のスワールを誘起する3次元構造にして、軸トルクを向上させる(図10)。
3.前記1.2の構成にすると、翼車が回転方向の力を長時間受けることができる。
【0063】
「軸トルクに関して」
翼が水から力を受けない部位を、揚力を得る翼形状と迎え角をもつように可動機構の可動範囲となる構造とする。
【発明の効果】
【0064】
以上に説明したように、本発明によれば新規な「相反転クロスフロー型発電装置」を実現することができる。この「相反転クロスフロー型発電装置」はクロスフロー型であるので、翼車の翼形状が軸流型のものに比して単純な形状でよく、例えば、板形状とか断面が半弧型のようなものは製造が容易である。また相反転式であるので、大きな起電力を得ることができる。
また、本発明の超小型発電装置は、水没した状態で発電が可能な「水没型」であり、自然を保護し、景観を損なわない発電装置であるとともに、例えばダムや堰、水路や配管等の「発電装置のための付帯設備」を新たに設ける必要がないため、インフラ整備に必要な時間と経費を節約できる。
さらに、水没型の発電装置の利点として、落差が大きいビルの冷却用配管や、宇宙ステーションの貴重な水を有効利用してバックアップ電源とし、既存の配管内に本発電装置を設置して発電することが可能であり、用途の拡張が期待できる。
【0065】
水車翼が可動機構を有するために、水と一緒に流入する土砂や汚染物を、自動的に取り除くことが可能で、メインテナンス回数を削減することができる。
本発明の超小型発電装置は、第1種翼車、第2種翼車および発電機が、それぞれ「防水されたユニット構造」を持つ。第1種翼車、第2種翼車および発電機が各1機で基本構成される。しかし、流速および水路の幅等の条件により、第1種翼車を1機以上連結し、同様に第2種翼車を1機以上連結して発電機との構成で発電することが可能である。また、第1種翼車を1機以上連結し、同様に第2種翼車を1機以上連結して更に1機以上の発電機との構成で発電することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0066】
以下、実施の形態を説明する。
図1は「相反転クロスフロー型発電装置」の実施の1形態を説明するための図である。
図1(a)は相反転クロスフロー型発電装置を水流の流入側から見た概観図である。
図1(a)において、符号31は発電手段を水密に密閉するケーシング、符号41は第1のノズル、符号42は第2のノズル、符号50はハウジングを示している。
図1(b)は、図1(a)のb−b断面図、図1(c)は同じくc−c断面図であり、図1(d)は、相反転クロスフロー型発電装置を水流の流出側から見た概観図である。
【0067】
この実施の形態では、図1(a)、(d)の左右方向のサイズが500mm、高さ方向のサイズが300mm、図1(b)、(c)の左右方向のサイズが700mm程度である。
図1(a)に示すように、相反転クロスフロー型発電装置を水流の流入側から見ると、ケーシング31とハウジング50とが左右方向に並び、ハウジング50には第1及び第2のノズル41、42が連結され、ケーシング31は「発電手段」を水密に密閉している。水流は、図1(a)の図面に直交する方向において、図面の表側から裏側へ向かうように流れる。
【0068】
図1(b)において、符号12は第2種翼車、符号22は第2回転軸、符号51はハウジング50の排出口をそれぞれ示している。図1(c)において、符号11は第1種翼車、符号21は第1回転軸をそれぞれ示している。これらの図に示されたように、第1のノズル41、第2のノズル42は、ハウジング50の一部としてハウジング50と一体に形成されている。
また、図1(b)において、第2種翼車12を構成する各翼121は、第2種翼車12の基部12Aに設けた可動機構(図示していない)に直接固定され、同様に、図1(c)において、第1種翼車11を構成する各翼111は、第1種翼車11の基部11Aに設けた可動機構(図示していない)に直接固定され、各翼が水の運動エネルギを効率的に受けて翼車の回転エネルギを最高にするために、該可動機構によって水流に対する各翼の角度を変化させる必要がある。
図1(b)および図1(c)に示す翼車に設ける翼の数は6枚であるが、限定的でなく、翼の数は6〜8枚程度が好ましく、また、可動させる翼の前記角度は、45〜60°が好ましい。
以上、可動機構を翼車の基部に設け、各翼を該可動機構に取り付ける場合を述べたが、可動機構を回転軸に設け、各翼を該可動機構に取り付けることも可能であり、本発明においては前者も後者の一種と扱うものとする。
【0069】
図1(c)に示すように、水流WIは図の左方から第1のノズル41に流入する。第1のノズル41は流入口から第1種翼車11側の噴出口41Aへ向かって流路断面が狭くなっており、流入した水流WIは、第1のノズル41内を噴出口41Aへ向かって流れつつ「流れの断面積」が小さくなることにより加速される。加速されて流速を増大された水流は、噴出孔41Aから第1種翼車11の翼111に向けて噴出し、第1種翼車11を反時計回りに回転させたのち水流WFとなり、排出口51から排出されて水流WOとなる。
【0070】
図1(b)に示すように、水流WIは図の左方から第2のノズル42に流入する。第2のノズル42は流入口から第2種翼車12側の噴出口42Aへ向かって流路断面が狭くなっており、流入した水流WIは、第2のノズル42内を噴出口42Aへ向かって流れつつ「流れの断面積」が小さくなることにより加速される。加速されて流速を増大された水流は、噴出孔42Aから第2種翼車12の翼121に向けて噴出し、第2種翼車12を時計回りに回転させたのち水流WFとなり、排出口51から排出されて水流WOとなる。
【0071】
図1(d)に示すように、ハウジング50内において、第1種翼車11と第2種翼車12とは、ハウジング50の隔壁52により分離され、各翼車を回転させる水流が互いに干渉しないようになっている。ハウジング50に形成された排出口51は、第1種翼車11、第2主翼車12を回転させた水流に対して共通に開口しており、図1(b)、(c)に示すように「排出側端部に向かって断面積が漸増するディフューザ形状」となっている。
また、図1(b)〜(d)に示すように、第1種翼車11は第1回転軸21に基部11Aを固定されており、第2種翼車12は第2回転軸22に基部12Aを固定されている。第1回転軸21は中空シリンダ状であり、第2回転軸22は第1回転軸11の内側に、第1回転軸21を軸心方向(図1(b)、(c)において図面に直交する方向)へ貫通するように設けられている。
【0072】
これら第1回転軸21、第2回転軸22は相互に「軸心の周りに回転自在」に係合されており、第1回転軸21は第1種翼車11と一体に第1の向き(図1(c)において反時計回り)に回転し、第2回転軸22は第2種翼車12と一体に第2の向き(図1(b)において時計回り)に回転する。以下に説明するように、発電手段が有する1以上の磁石と1以上のコイルは、これら第1回転軸21および第2回転軸一体的に回転する。
【0073】
なお、第1種・第2種翼車の翼111、121は、図示の簡単のために平面状に描いてあるが、実際には、水流を有効に受けることができるように形成されていることは言うまでもない。
【0074】
図2は、発電装置内部の様子を説明図的に示している。
図の如く、第1種翼車11はその基部11Aを第1回転軸21に固装され、第2種翼車12はその基部12Aを第2回転軸22に固装されている。
第1回転軸21は中空であり、第2回転軸22は第1回転軸21の内側に軸心方向に貫通している。第1回転軸21と第2回転軸22との間は、水密性の軸受け210により結合され、第1回転軸21と第2回転軸22とが「互いに任意の回転方向へ回転自在」となっている。水密性の軸受け210は、例えば「撥水性の潤滑材」等である。
【0075】
第1回転軸21の、図で左方の端部には、フランジ状の支持手段300が一体的に設けられ、その半径方向端部に形成された中空シリンダ状の折り曲げ部の内周面に複数個の磁石301が周方向へ等間隔に固装されている。磁石の数は特に限定的でなく、適宜に選択できるが、例えば10個〜32個程度であり、前述したように、少なくとも24個有することが好ましい。
【0076】
一方、第2回転軸22の図で左方の端部近傍には、フランジ状の支持手段303が、第2回転軸22と一体に設けられ、その半径方向端部に形成された中空シリンダ状の折り曲げ部は、その外周面部分が支持手段303の折り曲げ部の内周面に対向し、この外周面部分に磁石301と対応する複数個のコイル304が固設されている。コイルの数は特に限定的でなく、適宜に選択できるが、例えば10個〜32個程度であり、前述したように、少なくとも24個有することが好ましい。
【0077】
コイル304は導線305により整流子306に連結され、この整流子306に摺接するブラシ307の電圧を、蓄電器308と負荷309に印加するようになっている。
フランジ状の支持手段300、303、複数の磁石301、複数のコイル304、導線305、整流子306、ブラシ307は「発電手段」を構成し、ケーシング31内に水密に密閉されている。なお、整流子とブラシからなるものに替えて、回転子と固定子を構成要素とするベアリングレスのものを用いることができる。
【0078】
即ち、図1、図2に実施の形態を示す発電装置は、水流に交わる方向に回転軸を持つ相反転クロスフロー型小型発電装置であって、水流を受けて第1の向き(図1(c)において反時計回り)に回転する第1種翼車11と、水流を受けて第1の向きと逆の第2の向き(図1(b)において時計回り)に回転する第2種翼車12と、第1および第2種翼車11、12に同軸で、第1種翼車11に係合して回転される第1回転軸21と、第2種翼車12に係合して回転され、第1回転軸21の内側に軸心方向に貫通された第2回転軸22と、これら第1回転軸21および第2回転軸22の一方と一体的に回転する1以上の磁石301、及び、他方と一体的に回転する1以上のコイル304とを含む発電手段と、流入する水流WIを第1種翼車11に向けて加速する第1のノズル41と、流入する水流WIを第2種翼車12に向けて加速する第2のノズル42と、発電手段を水密に密閉するケーシング31とを有する。
【0079】
また、第1種翼車11、第2種翼車12を囲繞し、第1および第2のノズル41、42からの水流を受け入れる流入口41A、42Aと、第1種翼車11、第2種翼車12を回転させた水流WEを排出させる排出口51とを持つハウジング50を有し、ハウジング50の排出口51はディフューザ形状である。
【0080】
図3は、本発明の相反転クロスフロー型発電装置の実施の1形態を説明するための図で
ある。
この実施の形態においては、図1、図2に即して上に実施の形態を説明した相反転クロスフロー型発電装置に、第1および第2のノズル41、42に向けて水流を加速する補助ノズル400を有する。
補助ノズル400は、水流WIの流入口(図の左端部)から第1、第2のノズル41、42の流入口に連結する部分に向かって断面積が漸減しており、流入する水流WIを加速させて第1、第2のノズル41、42に流入させる。補助ノズル400は、相反転クロスフロー型発電装置の本体とは別体であって、例えば、相反転クロスフロー型発電装置本体水流の流速や落差が小さい部分に設置されるような場合に、第1、第2のノズル側に連結するように配設する。
【0081】
第1、第2のノズル41、42の流入した水流は、各ノズル41、42により「更に加速され」て第1種・第2種翼車11、12に噴射される。これにより、図1、図2の実施の形態の場合よりもさらに「翼車の回転速度を増大させる」ことができる。
【0082】
図4は、カムを用いた本発明の発電装置の説明図であり、図4(a)は内輪カムを、図4(b)は外輪カムを用いる場合を示している。繁雑を避けるため、混同の恐れが無いと思われるものに付いては、図1、図2におけると同一の符号を付する。
図4(a)の形態は「第2種翼車の部分」を示している。第2回転軸22に同軸に、第2種翼車の翼121の態位を変化させるカム122が装置空間に固定的に設けられ、翼121は、リング状の支持部材120に「翼車半径方向の一部を軸Jにより揺動自在に軸支され」ており、翼車半径方向の一端部をカムフォロワとしてカム122に従動させる構成となっている。
【0083】
リング状の支持部材120は、図面に直交する方向へ1対設けられ、翼121の幅方向(図面に直交する方向)の両端部を軸支して「軸Jの周りに揺動自在」としている。支持部材120は第2回転軸22と一体であり、第2回転軸22を回転させる。
【0084】
翼121は「翼車半径方向の一端部がカムフォロワとしてカム122に従動する」ことにより、水流W1を受ける部分(図4(a)の上の部分)では翼車半径方向に立ち、水流W1を受けて軸を回転させたのち、ノズルによる水流W1を受ける部位に近づく部分では水流に倣う方向に寝るように揺動し、態位を変化させる。この態位変化により、水流W1を受ける部位では、水流W1を有効に受けて有効なトルクを発生させて第2回転軸22を回転させるが、第2種翼車を回転させた水流W2が翼に作用しなくなると、翼121が水流に倣う方向に寝る態位となって抵抗を軽減させる。
【0085】
図4(b)の実施の形態においては、第2回転軸22に一体化された1対のリング状の支持部材に翼121が、図4(a)の場合と同じく、「翼車半径方向の一部を軸Jにより揺動自在に軸支され」ている。
この形態においては、第1種翼車、第2種翼車を囲繞し、第1および第2のノズルからの水流W1を受け入れる流入口と、第1、第2種翼車を回転させた水流W2を排出する排出口とを持つハウジングを有し、翼121の揺動を制御するカム123は、ハウジングの内壁に設けられている。
【0086】
水流W1は、翼121に流圧を作用させて支持部材120もろともに第2回転軸22を回転させる。このとき、翼121が水流W1を有効に受ける部分では、翼車半径方向に立ち、水流を受けて軸22を回転させたのち、再度水流W1を受ける部位に近づく部分では水流に倣う方向に寝るように態位を変化させる。カム123は、翼121の翼車半径方向端部に作用して、上記態位変化を行わせるように翼121の揺動を制御する。
第1種翼車の翼の駆動も上記と同様である。
図4に実施の形態を示した相反転クロスフロー型発電機は、第1種・第2種翼車を、例えば、300rpm〜2400rpm程度で高速回転せる場合に有効である。
【0087】
図5(a)と図5(b)は、それぞれ内輪カムと外輪カムを示す模式図である。符号は、図4におけると同一の符号を付する。
図6は、本発明の相反転クロスフロー型発電装置の実施の1形態を示している。煩雑を避けるため、混同の恐れが無いと思われるものに付いては、図1、図2、図4におけると同一の符号を付する。
【0088】
第2種翼車の回転につき説明すると、第2種翼車は、回転軸と同軸に1対の翼端部係止手段23を有する。翼端部係止手段23は、円板形状で第2回転軸22に固装され、その周辺部に、複数の係止ピン230を等間隔に植設されている。
各翼121は、翼車半径方向の外端部側を、1対のリング状の支持部材120Aに軸J1により軸支されて揺動自在であり、水流W1による翼の揺動を翼端部係止手段23により係止されるようになっている。
【0089】
水流W1は、翼121に流圧を作用させて支持部材120Aもろともに第2回転軸22を回転させる。このとき、翼121が水流W1を有効に受ける部分では、図示のごとく、翼121の自由端部側が係止ピン230に係止されることにより、翼車半径方向に立つが、水流W1を受けて軸22を回転させたのち、ノズルによる水流を受ける部位に近づく部分では翼121の係止ピン230による係止が解除され、欲121は「水流に倣う方向に寝る」ように態位を変化させ、この部位での水の提供を有効に軽減させる。
この型の形態は、第1種・第2種翼車を、例えば、80rpm〜300rpm程度の回転速度で回転せる場合に有効である。
【0090】
図7は、本発明の第2の態様の発電装置であって、側板を設けた翼車を示す概念図である。なお、混同の恐れが無いと思われるものに付いては、図1〜図6におけると同一の符号を付する。
該翼車は、これを第2種翼車として説明すると、第2回転軸22の両端部に1対の円板形状の円形支持部材(側板)551(片側の側板は図示されていない。)が同軸に固定され、NACA翼形の翼111はピン552を可動機構として2枚の側板551の外縁近傍に揺動可能に取り付けられている。
翼111はピン552によって可動性であるため、ノズルによる水流を受ける部位では翼車半径方向に立ち、上記水流を受けて回転軸22を回転させたのち、上記ノズルによる水流を受けない部位に近づく部分では水流に倣う方向に寝るように態位を変化させる。
側板551は翼111がとらえた水を保持する効果を奏し、翼111と側板551の間の隙間553から漏れる量は5%以下であり、所期の発電装置としては問題ではない。
【0091】
図8は、本発明の第2の態様の発電装置を構成する翼車の1例を示す模式図である。
図8も図7と同様に概念図であり、翼111がピン552を可動機構として側板551の外縁近傍に揺動可能に取り付けられた状態を示す。
この例では、回転軸22の外周部に翼端部係止手段23として複数の係止溝23−1が形成され、ピン552を支点として回転する翼の端部を係止する効果を持たせている。
図示する翼の形状は、翼111−1を立ち上げる水の流れ(1)を形成すると共に、翼111−2に揚力(2)を生じさせるのに有効である。
図示していないが、翼端部係止手段として複数の係止ピンを側板551上の回転軸22側内周部取り付けて、前記係止溝23−1と同じ効果をもたらすことができる。
【0092】
図9は、本発明の第2の態様の発電装置を構成する翼車における翼と回転軸の取り付け位置の説明図である。
翼111は、ピン552を可動機構として、側板551の外縁近傍に取り付けられている。円形支持部材に取り付けた翼111の一端部Aと回転軸22との間には間隔が設けられている。この間隙が殆んど無い場合には、翼間に水が流れず淀む領域(死水領域)が生じて水のエネルギを効率よく活用できない場合があるが、図9の例では上記「間隔」が設けられるため死水領域が形成されることがなく、軸トルクを向上させることができる。
【0093】
図10は、本発明の発電装置を構成する翼車の水導入ノズルの変形例を示した模式図である。
翼111は、ピン552を可動機構として側板551の外縁近傍に揺動可能に取り付けられている。ノズル42に導水溝42−1を設けることによって、可動翼111−1をスムーズにかつ早く立ち上げさせることができる。
【0094】
図11は、本発明の発電装置を構成し、スワールを誘起するケーシング構造を示している。(a)は断面図、(b)は模式図である。
翼車のケーシング形状を、入る水量に比べて出る水量の方が少ないように、入口と出口の大きさを調整して、一部の水が出口から出るのでなく翼車の回転方向の流れを形成して、同方向のスワールを誘起する3次元構造にして軸トルクを向上させる。
【0095】
本発明を創出する過程で行なった数値計算と検証実験について具体的に説明する。
「数値計算による可動翼機構の検討」
数値計算は、市販の汎用流体数値計算用ソフトウェアの「SCRYU/Tetra ver.6(株式会社 ソフトウェアクレイドル)」を用いて、下記1〜8の考えに基づいて行なった。
1.翼車が1回転する間に翼に働く力を平均する。
2.使用する翼は、長さ:135mm、幅:170mmの平板翼とする。
3.軸径を90mmとし、軸に発電機を組込む場合の可能性を考える。
4.平板翼の縦横比の影響と半円弧翼の相違を比較する。
5.基本形態のケーシング形状を平行平板とする。
6.流入条件に合わせ、ハウジング形状を後方ステップ状にする。
7.翼形状と枚数を変化させて、流れ場の圧力分布と速度分布を求める。
8.翼が受ける力の平均値を求める。
【0096】
汎用ソフトウェアの特性を調べるために、直管路における管内流れを数値計算し、速度分布が実験値に近い値となるように計算メッシュ数とタイムステップを決めた。実際の発電装置をシミュレートして流体力から翼車の回転力を得る計算ができないため、翼車の1回転を所定の回転角度毎に分割し、位相を変化させて計算し「回転する翼車1周期分の平均値」を算出した。
可動翼車の始めの半周期で翼が流体力を得るが、残りの半周期で翼は回転に対する抵抗となり「この半周期」に翼が存在すると翼車が回転しないため、この半周期は「翼が存在しない状態(翼を折畳んだ状態)」として計算した。
【0097】
図12は検証実験に用いた模形機に設けた翼車の模式図であり、(a)は模式図、(b)は数値解析に用いた計算モデル、(c)は模形機の様子を示す。
(a)に示すように、翼111はピン552を可動機構として回転軸22の外周に、揺動可能に取り付けられる。
翼111はパケット構造をでなく、かつ「側板を持たない平板翼」である。
翼枚数は6枚で、ピン552によって可動性であるため、ノズルによる水流を受ける部位では翼車半径方向に立ち、上記水流を受けて回転軸22を回転させたのち、上記ノズルによる水流を受けない部位に近づく部分では「水流に倣う方向に寝る」ように態位を変化させる。
図12(b)に示す数値解析モデルは、パケット構造をもつ3枚の平板翼111であって、ノズルによる水流を受ける部位で翼車が半径方向に立っている状態を示す。
【0098】
図13は、翼車軸トルクを縦軸、翼枚数を横軸として、数値計算の結果を表した図である。この図から明らかなように、平板翼の場合、枚数が6枚から15枚の場合に高い軸トルクが得られることが判った。また、同じ翼面積を持つ「横長の平板翼」と「縦長の平板翼」とでは、前者の場合では9枚から12枚で高い軸トルクが得られるが、後者の場合翼枚数の影響が小さく、10枚を除き「6枚から15枚の間で平板翼より高い軸トルクが得られる」ことが判った。
さらに、断面が半円弧形状を持つ「横長の半円弧翼」の軸トルクは、水の流速が同一の場合、平板翼の約2倍で、翼枚数が多い程「高い軸トルク」を得ることが可能であることが判った。
【0099】
図14は、翼形の違いによる数値計算結果を表わすグラフで、横軸が流れ方向距離、縦軸が流路幅、すなわち発電装置のケーシングの幅を示す。
計算は、流路幅(縦軸の長さをDとする)を1として無次元化し、計算領域は、翼車上流に10D、翼車下流に20Dとした。入口速度は「一様流入条件」とし、流れは左から右へ2m/sで流入するものとし、翼車の下方半分は「翼が折畳まれた状態」の可動機構をシミュレートするため「翼を取り付けていない」ものとした。
図は「翼形が異なる翼車の周りの流れの様子」を明らかにするために、(a)横長の平板翼、(b)縦長の平板翼および(c)半円弧翼としているが、何れも投影面積(翼車を正面から見たときの面積)が等しい場合を示している。
図は、圧力分布と速度ベクトルを表わしている。圧力分布は「濃度の高い領域が高い圧力」を示し、「濃度の低い領域が低い圧力」を示す。この結果から、翼の上流側で高い濃度の領域の割合が多い場合に、高い軸トルクを得られることが期待できる。
速度ベクトルは翼間内の流れの様子を明らかにし、また、ベクトル図は、翼車に当たる流れの方向を示している。
【0100】
「模型機を用いた検証実験」
長さ:135mm、幅:710mmのアルミニウム製の「パケット構造」の翼6枚を、直径:90mmの回転軸にピンで揺動可能に設けて可動性とした翼車1ユニットを模型機として準備した。
図12は該模型機を表わし、図12−1は正面図、図12−2は斜視図であり、6枚のパケット構造(P)の翼111が回転軸に可動機構に固定された状態を示している。
該模型機を、長野県茅野市街地河川の5箇所に順次設置し、翼車を回転させて「落差がある場合とない場合」の双方について、バネ秤を用いて軸トルクを計測した。
【0101】
図15は、縦軸が翼車軸トルク、横軸が河川の流速であり、実験結果をプロットするとともに、数値計算結果を実線で表したグラフである。
図16は、縦軸が発電量、横軸が翼車軸トルクであり、「実験によって得られた軸トルクの値から算出した発電量」をプロットするとともに、数値計算結果を実線で表したグラフである。いずれも、実験結果と数値解析結果が良く一致していることがわかる。
落差のある流れ場に比べて、落差のない流れ場では得られる軸トルクが低いことが明らかであり、特に、落差の低い又はない流れから有効な電力を取り出すことが簡単ではないので、所期の発電量を得るために、発電装置の水の取り入れ口に「流れを加速させるノズル」を設けたり翼形などを工夫したりする必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】相反転クロスフロー型発電装置の実施の1形態を説明するための図である。
【図2】図1の実施形態における発電手段の部分を説明するための図である。
【図3】本発明の実施の1形態を説明するための図である。
【図4】本発明の実施の形態の特徴部分を説明するための図である。
【図5】本発明の実施の形態の特徴部分を説明するための図である。
【図6】本発明の第2の態様の発電装置の翼車を示す概念図である。
【図7】本発明の第2の態様の発電装置の翼車の1例を示す模式図である。
【図8】本発明の発電装置の側板を設けた場合の翼車における翼と回転軸の取り付け位置の説明図である。
【図9】本発明の発電装置の翼車の翼と回転軸の取り付け位置を示し、翼の一端部と回転軸との間隔を設け他た場合の模式図である。
【図10】本発明の発電装置において、導水溝を設ける水導入ノズルの変形例を示した模式図である。
【図11】本発明の発電装置を構成し、スワールを誘起するケーシング構造を示し、(a)は断面図、(b)は模式図である。
【図12】検証実験に用いた模形機に設けた翼車であって、(a)は模式図、(b)は数値解析に用いた計算モデル、(c)は模形機の写真を示す。
【図13】数値計算結果を表したグラフである。
【図14】数値計算結果を表したグラフである。
【図15】検証実験結果と数値計算結果を比較したグラフである。
【図16】検証実験結果と数値計算結果を比較したグラフである。
【符号の説明】
【0103】
11 第1種翼車
12 第2種翼車
21 第1回転軸
22 第2回転軸
30 発電手段
41 第1のノズル
42 第2のノズル
31 ケーシング
551 円形支持部材(側板)
552 ピン(可動機構)
【技術分野】
【0001】
この発明は、相反転クロスフロー型超小形発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水力や風力のエネルギを電気エネルギに変換する水力発電や風力発電、太陽光エネルギを電気エネルギに変換する太陽光発電は、地球資源を消費せず環境汚染を伴わない発電方式であり、地球環境の保全が重要視される昨今、その重要性が再認識されつつある。
特に、例えば、田畑へ水を供給するための水路、民家近くにある河川、住宅・マンションから共通溝(本管)までに至る配管のように、比較的流れが遅く浅いあるいは狭幅の水路、さらには潮流のある海中などに設置し、水流を利用して比較的小規模の発電が可能な超小型の簡易発電装置の出現が期待され、キャンプ等のレジャー用や、災害時のライフライン確保等の面から注目されつつある。
【0003】
従来から知られた簡易発電装置は大別して、回転子の回転軸方向に水を流す「軸流型」のものと、回転子(ロータ)の回転軸を流れに交わる方向に設置する「クロスフロー型」とに分けられる。
【0004】
軸流型の簡易発電装置は例えば特許文献1に開示されている。
クロスフロー型の簡易発電装置は例えば特許文献2に開示されている。
これら簡易発電装置による発電は、水流により翼車を回転させ、この翼車を回転子(ロータ)としてこれに固定的に設けた磁石と、固定子(ステータ)に設けたコイルとの相対変位により、コイルに電圧を誘起させることにより行われるが、コイルに誘起される起電力が「コイルを横切る磁束の時間的な変化率」に比例し、この変化率が磁石とコイルとの相対速度に比例する点に鑑み、コイルを固定したステータと回転子とを「互いに逆向き」に回転させて起電力の増大を図る「軸流型の発電機」が非特許文献1に報告されている。
【0005】
超小型の簡易発電装置の利点として、例えばダムや堰、水路や配管等といった発電に必要な付帯設備を新たに設ける必要がなく、インフラ整備に必要な時間と経費を節約できる点を上げることができる。さらに、河川や水路の底に設置して水没した状態でも発電可能なものが実現できれば、水位や流量の変化に左右されず、自然を保護し景観を損なわないものとして期待されるが、軸流形発電装置を除いては未だ実現されていない。また、現存の軸流形発電装置のエネルギ変換効率は最大20%以下に留まる。
【0006】
すなわち、実現が期待されている超小形のマイクロ発電装置は、田畑や市街地などの、低落差・低流量・低流速の水路に設置するだけで発電可能であり、付帯設備を必要とせず、しかも、一家庭を賄える1kW程度の発電量を確保できるものである。
このような超小型のマイクロ発電装置の実現を困難にする最大の問題として、流水が低落差・低流量・低流速であるため、要求を満たす発電量の確保に必要な発電機の回転数が得られないことが挙げられる。さらに、超小形であるが故に発電効率が悪い点や、季節により流量と水深が変化すると発電効率も変動しやすい等の問題もある。
【0007】
【特許文献1】特開2001−248532
【特許文献2】特開2003−120499
【非特許文献1】日本機会学会流体工学部門講演会講演概要集608頁「相反転方式水力発電機の開発」(2003.9.11〜20)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、小川などを流れる低落差、低流量あるいは低流速の水のエネルギを最大限活用して電気エネルギに変換し、1kW程度の発電量を確保可能な超小型の相反転クロスフロー型小型発電装置の提供にある。
本発明の課題はまた、水没させた状態で設置しても発電可能な超小型かつ簡便な超小型の相反転クロスフロー型小型発電装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明では以下の相反転クロスフロー型超小型発電装置が提供される。
【0010】
<1> 水流に交わる方向に回転軸を持つクロスフロー型の発電装置であって、水流を受けて第1の向きに回転する第1種翼車と、水流を受けて上記第1の向きと逆の第2の向きに回転する第2種翼車と、上記第1および第2種翼車に同軸で、第1種翼車に係合して回転される第1回転軸と、上記第2種翼車に係合して回転され、上記第1の回転軸の内側に軸心方向に貫通された第2回転軸と、これら第1回転軸および第2回転軸の一方と一体的に回転する磁石、及び、他方と一体的に回転するコイルとを含み、円周上の1個の磁石と1個のコイルとからなる極を有する発電手段と、流入する水流を上記第1種翼車に向けて加速する第1のノズルと、流入する水流を上記第2種翼車に向けて加速する第2のノズルと、上記発電手段を水密に密閉するケーシングとを有し、さらに、第1種翼車および第2種翼車の各翼が、ノズルによる水流を受ける部位では翼車半径方向に立ち、上記水流を受けて軸を回転させたのち、上記ノズルによる水流を受けない部位に近づく部分では水流に倣う方向に寝るように水力でまたは機械的に態位を変化させる可動機構を第1種翼車および第2種翼車に設け、落差が2m以下の水路に設置し、水没させて使用する場合でも水の運動エネルギの50%以上を翼車の回転エネルギに変換可能なものであることを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置である。
【0011】
<2> <1>に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、発電手段が円周上の1個の磁石と1個のコイルとからなる極を少なくとも24個有するものであることを特徴とする相反転クロスフロー型小型発電装置である。
【0012】
<3> <1>または<2>に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、第1種翼車および第2種翼車をそれぞれ構成する各翼が、第1回転軸および第2回転軸のそれぞれに設けられた可動機構に直接固定されて可動としたことを特徴とする相反転クロスフロー型小型発電装置である。
【0013】
<4> <1>乃至<3>のいずれか1に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、第1種翼車、第2種翼車を囲繞し、第1および第2のノズルからの水流を受け入れる流入口と、上記第1、第2種翼車を回転させた水流を排出する第1排出口と第2排出口とを持つハウジングを有することを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置である。
【0014】
<5> <4>に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、第1排出口と第2排出口がディフューザ形状であることを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置である。
【0015】
<6> <1>乃至<5>のいずれか1に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、前記可動機構に固定された前記各翼が支持部材に支持され、1対の前記支持部材が第1回転軸、第2回転軸のそれぞれの両端部に固定されて同軸に回転するようにしたことを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置である。
【0016】
<7> <6>に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、前記支持部材がリング状または円板形状であることを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置である。
【0017】
<8> <6>または<7>に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、第1回転軸および第2回転軸に同軸に、第1種翼車および第2種翼車の翼の態位を変化させるカムが前記支持部材内側空間に固装され、第1種翼車および第2種翼車の各翼が、その翼車半径方向の一部を軸支されて揺動自在であり、翼車半径方向の一端部をカムフォロワとして上記カムに従動することを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置である。
【0018】
<9> <8>に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、カムが、第1種翼車、第2種翼車のハウジング側に固定されて設けられていることを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置である。
【0019】
<10> <6>乃至<9>のいずれか1に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、第1種翼車、第2種翼車は、回転軸と同軸に翼端部係止手段が固装され、上記第1種翼車、第2種翼車の各翼は、翼車半径方向の外端部側を軸支されて揺動自在であり、該係止手段は複数の係止機構からなり、水流による翼の揺動を前記係止手機構により係止する構成であることを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置である。
【0020】
<11> <10>に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、前記係止機構は係止ピン又は係止溝からなり、各翼が可動に取り付けられる円板形状の支持部材の内周部、回転軸に別途固装した円板部材の周辺部または回転軸の外周表面部に設けられることを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置である。
【0021】
<12> <1>乃至<11>のいずれか1に記載記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、可動機構が翼をピンあるいは溝によって固定し可動とするものであることを特徴とする相反転クロスフロー型小型発電装置である。
【0022】
<13> <1>乃至<12>のいずれか1に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、翼車を構成する翼として断面が平板翼、半円弧翼、曲線翼もしくはNACA翼形のものを用いることを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置である。
【0023】
<14> <1>乃至<13>のいずれか1に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、第1および第2のノズルに向けて水流を加速する補助ノズルを有することを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置である。
【0024】
本発明者は、上記課題を解決するために、数値計算による翼の可動機構の検討と模型機を用いた検証実験を行ない、その結果に基づいて鋭意検討を重ね、本発明の創出に至ったものである。数値計算と検証実験の具体的内容については後述する。
【0025】
本発明者は、先ず「1kW程度の発電量を得るに必要な条件」を理論計算により求め、落差:2m(18kJ)に相当するエネルギを水から得るためには、発電装置の入口の流速として約6m/秒を確保する必要があることを確認した後、数値計算と検証実験を行ない、その結果得られた知見を用い、かつ以下の構想に基づいて検討を重ね、本発明の超小型発電装置を創出するに至った。
【0026】
「水没型発電装置に関して」
1.水没した状態で発電可能な水没形発電装置を本発明の基本的構成とする。
2.水のエネルギを回転力に換えるための最適な翼形状と取り付け方とする。
3.水没した状態で使用するために発電装置は防水処理を必要とする。
4.水没した場合、翼が抵抗となる領域が存在するため可動翼機構を導入する。
5.可動翼の固定方法と位置決め精度の良い可動翼機構を提案する。
【0027】
「可動翼機構に関して」
1.翼車およびケーシングの最適設計を行なう。
2.翼の可動範囲を最大とするメカニズムの提案を行なう。
3.翼が抵抗を受ける領域で揚力を得る工夫をする。
【0028】
「相反型発電装置に関して」
1.発電機のロータとステータの相対速度を上げるために相反型発電機とする。
2.発電機と、相反する翼車をそれぞれユニット構造にする。
3.相反転する翼車が2ユニット、相反転発電機1ユニットを基本構成とする。
4.上記3ユニットが同軸で結合されるものとする。
5.流れ場の状況に応じてユニットを増減と組み合わせの変換が可能なものとする。
【0029】
すなわち、本発明の相反転クロスフロー型超小型発電装置は「水流に交わる方向に回転軸を持つクロスフロー型の発電装置」であって、第1種翼車、第2種翼車、第1回転軸、第2回転軸、発電手段、第1および第2のノズル、ケーシングを有するものである。
「第1種翼車」は、水流を受けて第1の向きに回転する翼車であり、「第2種翼車」は、水流を受けて「第1の向きと逆の第2の向き」に回転する翼車である。
「第1回転軸」は、第1及び第2種翼車に同軸で第1種翼車に係合して回転される。
「第2回転軸」は、第2種翼車に係合して回転され、第1の回転軸の内側に軸心方向に貫通されて設けられる。
【0030】
「発電手段」は、第1回転軸および第2回転軸の一方と一体的に回転する磁石、及び、他方と一体的に回転するコイルとから構成される。もちろん、磁石・コイルの相対的な位置関係は、磁石とコイルとの相対変位により、コイルに電圧を誘起させることができるように設定され、発電手段が円周上の1個の磁石と1個のコイルとからなる極を有するものである。
この磁石とコイルとのからなる極の数は「低落差・低流量・低流速の水流で一家庭を賄える1kW程度の発電量」を確保するためには、少なくとも24個設けることが特に有効である。
【0031】
さらに、本発明の相反転クロスフロー型超小形発電装置は、第1種翼車および第2種翼車の各翼が、ノズルによる水流を受ける部位では翼車半径方向に立ち、上記水流を受けて軸を回転させたのち、上記ノズルによる水流を受けない部位に近づく部分では水流に倣う方向に寝るように水力でまたは機械的に態位を変化させるために、第1種翼車および第2種翼車に可動機構を設けることが必要である。
この可動機構としては、ピン等により翼の一部を固定して、翼を可動としたものを挙げることができるが、特にピンで固定した翼を用い流体力を利用した可動機構が、構成上簡易であり好ましい。
本発明の前記小形発電装置に用いる「翼」の形は、平板翼、NACA翼形の非対称形、円弧形翼等の公知のものが適用可能である。
【0032】
また、本発明の相反転クロスフロー型発電装置は、必須の構成要件として「第1のノズル」と「第2のノズル」を有し、「第1のノズル」は、流入する水流を第1種翼車に向けて加速させ、「第2のノズル」は、流入する水流を第2種翼車に向けて加速させ、さらに、発電手段を水密に密閉する「ケーシング」を有する。
【0033】
本発明の相反転クロスフロー型発電装置は、落差が2m以下の水路に設置し、水没させて使用する場合でも、水の運動エネルギの50%以上を翼車の回転エネルギに変換可能なものであり、発電量として最大1kWを狙った「超小型」のものである。
一般的に、回転数が低く小型になるほどこのエネルギ変換率は低下するが、本発明の超小型発電装置は変換率が50%以上であり、特に50〜70%以上を確保できるものである。
また、第1種翼車と第2種翼車の相対回転数が200rpm程度でも、水の運動エネルギの50%以上を回転エネルギに変換することが可能となる発電装置である。
【0034】
本発明の超小型発電装置を構成する相反転するユニット構造は、低回転速度では発電機の発電能力が著しく低下するのを防ぐために、発電機の固定子(ステータ)と回転子(ロータ)の相対速度を上げること、すなわち、発電機の回転速度を相対的に速くして発電能力を確保するのに有効である。
【0035】
このような構成にすることにより、市街地近くの「落差の小さい流れ場」に設置して発電することができる。落差の小さい流れ場では水のもつ運動エネルギが小さいため、超小型発電装置上流にノズルを設け、流れを加速させることによって水の運動エネルギを大きくすることができる。
発電装置を設置する流れ場の流量と流速は、設置する市街地により、また、季節により異なることから、さらに大きな流速を得るためには、発電装置上流に設けたノズルの更に上流に、ブーストノズルを設置することによって、流れをさらに加速させて水の運動エネルギを大きくして発電装置に導くことができる。
一方、発電装置下流をディフューザ形状にすると、水の抜けが良くなって、翼車に当たる水の減速を防ぐ効果を呈するため、水の運動エネルギを有効利用することができる。
【0036】
また、本発明の相反転クロスフロー型超小形発電装置は、第1種翼車、第2種翼車を囲繞し、第1および第2のノズルからの水流を受け入れる流入口と、上記第1、第2種翼車を回転させた水流を排出する第1排出口と第2排出口とを持つハウジングを有することができ、さらに、第1排出口と第2排出口はそれぞれディフューザ機能を有するディフューザ形状にすると、水の抜けが良くなって翼車に当たる水が減速することを極力防止できて、水の運動エネルギを確保する構造となるので、水を翼車から速やかに排出できるので好ましい。
上記ハウジングは第1及び第2のノズルおよび第1排出口と第2排出口と一体に作製でき、第1及び第2のノズルはハウジングの一部として構成することができる。
【0037】
本発明の相反転クロスフロー型超小型発電装置の第1の態様として、可動機構を第1回転軸および第2回転軸のそれぞれに設け、その可動機構に第1種翼車および第2種翼車をそれぞれ構成する各翼を直接固定して可動としたものとすることができる。
この第1の態様の発電装置に設置する翼として、流入する水量を最大限受け止めそのエネルギを活用するためには、パケット構造であることが好ましい。
【0038】
また、本発明の該小型発電装置の第2の態様として、第1回転軸と第2回転軸のそれぞれの両端部に1対の円形支持部材(単に、支持部材とも言う)を同軸に固定し、この支持部材に翼車の各翼を可動機構によって取り付けて、回転軸と同軸にこの支持部材を回転するようにして、各翼を可動としたものとすることができる。
【0039】
この円形支持部材としては、例えば、リング形状のものと円板形状のものを挙げることができる。しかしながら、本発明者の検証によると、リング形状の場合、個々の水車から水が漏れないようにパケット構造にする必要があって、水車の加工が難しくなり重量が重くなる場合もあり、その結果、翼形の設計の自由度が低くなって、翼の可動範囲が制限されることになるため、円板形状の方が有効である。
円板形状の円形支持部材の場合、水車がパケット構造でないために、水が側板との隙間から漏れる可能性があるが、数値計算によると、損失は5%程度以下と極めて小さいことが確認された。
円形支持部材が回転軸の端部に固定されることを鑑み、円板形状の支持部材を、以後、単に側板と称する場合がある。
【0040】
円形支持部材として側板を用いた前記第2の態様の小型発電装置については、翼の設計および製作の自由度が高くなり、設置する流れ場の状況に応じて翼形状や翼枚数を容易に変更することができる利点がある。
また、各翼の側板上の取り付け位置は、特に限定的でないが、該側板の外周側の方が中心側よりも好ましい。その理由は、可動機構としてピンを用い各翼を支持して可動とした場合、ピンが翼の回転中心となるが、側板の外周側に取り付けた場合、側板の中心側にピンを設ける場合と比較して、翼の可動範囲を大きくでき、残りの半周期における翼の抵抗を軽減することができることが挙げられる。
【0041】
さらに、側板と可動翼の間に生じる隙間による水漏れの影響が考えられるが、数値解析結果によると、漏れは5%程度以下で影響が少なく、むしろ翼形状の自由度を向上させる効果の方が大きいことが確認された。
【0042】
また、本発明の該小型発電装置では、第1回転軸、第2回転軸に同軸に、第1種翼車および第2種翼車の翼の態位を変化させるカムを装置空間に固定的に設け、第1種翼車および第2種翼車の各翼を、その翼車半径方向の一部を軸支して揺動自在とし、翼車半径方向の一端部をカムフォロワとしてカムに従動する構成とすることができる。
即ち、揺動自在な翼をカムにより態位変化させることにより「ノズルによる水流を受ける部位では翼車半径方向に立ち、水流を受けて軸を回転したのち、ノズルによる水流を受ける部位に近づく部分では水流に倣う方向に寝る」ようにする。カムは「第1種翼車、第2種翼車の軸側」に設けることもできる。
相反転クロスフロー型発電装置が「第1種翼車、第2種翼車を囲繞し、第1および第2のノズルからの水流を受け入れる流入口と、第1、第2種翼車を回転させた水流を排出する排出口とを持つハウジング」を有する場合には、カムを「ハウジングの内壁に設ける」
構成とすることもできる。
「ハウジングの内壁に設けられるカム」は、ハウジングの「内壁自体の形状で構成された固定カム」でもよい。
【0043】
この場合も、ハウジングは第1及び第2のノズルと一体でもよく、第1及び第2のノズルをハウジングの一部として構成することができる。
第1回転軸および第2回転軸に同軸に、第1種翼車および第2種翼車の翼の態位を変化させるカムを前記支持部材内側空間に固装し、第1種翼車および第2種翼車の各翼が、その翼車半径方向の一部を軸支されて揺動自在であり、翼車半径方向の一端部をカムフォロワとして上記カムに従動させることができる。カムは、第1種翼車、第2種翼車のケーシング側に固定し設けることができる。
【0044】
このカムは円形支持部材を設けた第2の態様の発電装置に設置可能であり、円板形状(側版)あるいはリング形状の円形支持部材に取り付けた可動翼の回転軸方向の一端部をカムに従動させることができる。
【0045】
本発明の該小型発電装置においては、第1種翼車、第2種翼車に、回転軸と同軸に翼端部係止手段を固装し、第1種翼車、第2種翼車の各翼を、翼車半径方向の外端部側を軸支されて揺動自在であり、該係止手段は円板形状体に複数の係止機構を設けたものからなり、水流による翼の揺動を前記係止手段の係止機構により係止する構成にすることができる。該翼端部係止手段を構成する円板形状体として、第2の態様の前記発電装置における側板を兼用し、該側板の外周部に翼を取り付けた可動機構を設け、該側板の回転軸側に複数の係止ピンを植設したものとすることができる。
また、該翼端部係止手段を構成する円板形状体として回転軸を兼用し、回転軸表面に複数の係止ピンを植設するか、あるいは複数の係止溝を形成して該翼端部係止手段とし、第2の態様の前記発電装置に設けることができる。
【0046】
また、本発明の相反転クロスフロー型超小型発発電装置の翼車を構成する翼として、例えば、平板型、半円弧型、曲線翼および翼形(例えばNACA翼)を用いることができるが、特に半円弧型を用いると、平板型に比して軸トルクが2倍程度高くなって、水の運動エネルギの「翼車回転エネルギへの変換率50%以上」を達成させるのに有効である。翼形を用いた場合も半円弧翼と同等の軸トルクが得られていることが確認された。
例えば、可動機構としてピン、「翼」としてNACA翼形の非対称形を組み合わせて用いる場合に、翼のピンを設置する位置を、翼の前縁部ではなく下流の最大翼厚さ部にすると、翼が1周回転し最初の半周期に再度さしかかる際に、翼前縁部に当たって翼の腹側に流入した水が、その流体力によって翼を立ち上がらせる効果をもたらす。
【0047】
本発明の相反転クロスフロー型超小型発電装置は、第1および第2のノズルに向けて水流を加速する「補助ノズル」または「案内翼」を有することができる。
「補助ノズル」または「案内翼」を用いることにより「より大きな流速をもった水流」を第1種・第2種翼車に供給でき、翼車の回転速度を増大させることができる。この場合にもハウジング排出口のディフューザ形状が有効に作用する。
【0048】
第1種翼車は第1回転軸に係合し、水流を受けて第1の向きに回転することにより第1回転軸を回転させる。第2種翼車は第2回転軸に係合し、水流を受けて「第1の向きとは逆の第2の向き」に回転して第2回転軸を回転させる。第1種翼車・第2種翼車は上の如くに定義される翼車であり、その具体的な形態としては、第1種・第2種翼車とも単一の翼車で構成することもできるし、第1種・第2種翼車の一方もしくは双方を2以上の翼車で構成することもできる。
【0049】
即ち、第1種翼車を例にとると、第1種翼車は「単一の翼車」で構成することもできるが、「第1回転軸に共通に固装され、水流を受けて第1の向きに回転する2以上の同種の翼車」により第1種翼車を構成することもできる。第2種翼車も同様である。最大軸トルクを得るには平板翼の場合6〜10枚、半円弧翼の場合は枚数が多いほど最適である。
【0050】
「発電手段」は、上述の如く、1以上の磁石と1以上のコイルとを含み、1以上の磁石は「第1回転軸および第2回転軸の一方」と一体的に回転し、コイルは他方と一体的に回転する。例えば、1以上の磁石が第1回転軸と一体に回転するならば、1以上のコイルは第2回転軸と一体的に回転する。この場合であれば、磁石の回転は前記「第1の向き」に
生じ、コイルの回転は前記「第2の向き」に生じる。
なお先述したように、この磁石とコイルとからなる極の数は、低落差・低流量・低流速の水流で一家庭をまかなえる1kW程度の発電量を確保するためには、少なくとも24個設けることが特に有効である。
【0051】
磁石・コイルを、第1、第2回転軸の一方・他方と一体的に回転させるには、磁石やコイルを回転軸に直接的に固装してもよいが、例えば「フランジ状の支持手段」を回転軸に固定もしくは回転軸と一体に設け、これら支持手段に磁石やコイルを固定するようにしてもよい。このように、磁石やコイルを「支持手段を介して回転軸に固定」すると、磁石やコイルの回転速度が大きくなる。
【0052】
即ち、第1回転軸(コイルと一体に回転するものとする。)の角速度を「W1」、第2回転軸(磁石と一体に回転するものとする。)の角速度を「−W2」とすれば、第1回転軸から見た第2回転軸の角速度は「W1+W2」であり、支持手段を介して固定的に保持されたコイルの回転半径を「r1」、磁石の回転半径を「r2」とすると、両者の相対速度は「r1・W1+r2・W2」となる。
【0053】
回転半径:r1、r2が大きくなるほどコイル・磁石間の相対速度は大きくなり、コイルを横切る磁束の時間的変化も大きくなる。従って、磁石やコイルは、発電手段部分のサイズを過大にせず、翼車の回転が重くならない範囲で適宜に大きく設定するのがよい。
【0054】
第1・第2回転軸と一体に回転させる磁石・コイルの数としては、少なくとも24個設けることが好ましいことが数値解析の結果確認された。
換言すれば、発電機のステータとロータが相反転すると相対速度が上がるが、翼車を構成する翼を水力による可動性にすると、回転速度を大きく取ることは困難であるので、発電量を確保するためには、磁石・コイルの数、すなわち発電機の極数は多ければ多いほど好ましく、少なくとも24極有することが好ましい。
なお、ステータとロータが相反転すると脈動の発生が懸念されるが、極数が多くなればステータとロータがより小型になって脈動の発生が減ずることが確認された。カムを用いた可動機構の場合も、小形化して発電量を確保するためには、磁石・コイルの数、すなわち発電機の極数は多ければ多いほど好ましい。
【0055】
また、相反転クロスフロー型超小型発電装置が「ハウジング」を有する場合には、ハウジングの排出口は「ディフューザ形状」であることが好ましい。
【0056】
水流は、第1および第2のノズルにより流速を加速され、翼車を回転させたのち、ハウジングの排出口から排出されるのであるが、翼車を回転させたあとも、水流の流速はハウジング外部の流速よりも大きい値を保っており、このため、排出口に向かう水流の圧力水頭はハウジング外部の圧力水頭より低く、排出口を単なる開口としてハウジングに形成したのでは「翼車を回転させた後の水流」がハウジング外部へ排出されにくい。
【0057】
従って、排出口を「ディフューザ形状」として、この形状の作用により動圧を漸次弱めて圧力水頭を増大させることにより、翼車を回転させた後の水流をハウジング外部へ確実に排出することができる。
【0058】
本発明の「相反転クロスフロー型超小型発電装置」は水没した状態でも発電可能な「水没型」であるため、翼車の翼が「固定翼」であると、翼車が駆動用水流の作用を受けた後、再び水流の作用を受ける位置へ戻る部位では、水圧が抵抗力として作用する。従って、駆動用水流の作用を受けない「戻り部位」では、上記抵抗力をなるべく減ずるようにするのがよい。
【0059】
第1種翼車および第2種翼車の各翼を可動とし、ノズルによる水流を受ける部位では「翼車半径方向に立たせて水流を十分に受ける」ようにし、水流を受けて軸を回転させたのち、ノズルによる水流を受ける部位に近づく部分では「水流に倣う方向に寝る」ように態位を変化させる構成とすることにより、戻り部位での抵抗を有効に減じて回転力を高めることができる。
【0060】
さらに、本発明の相反転クロスフロー型超小型発電装置における好ましい構成を挙げて説明する。
【0061】
「翼に関して」
1.翼の形状をサイクロイド曲線にすると、翼の可動範囲を広くすることができる。
2.翼に厚み分布を持たせると、翼間の圧力分布を改善して大きな軸トルクを得ることができる。
3.円形支持部材に取り付けた翼の回転軸方向の端部と回転軸とに間隔が形成されるように、翼のサイズを設定すると、翼間に水が流れず淀む領域(死水領域)を最小限にできて、水のエネルギを効率よく活用し軸トルクを向上させることができる(図8)。
【0062】
「可動機構に関して」
1.翼車上流に導水ノズルまたは案内翼を設けると、1枚の可動翼をスムーズに立ち上げさせることができる(図9)。
2.翼車のケーシング形状を、入る水量に比べて出る水量の方が少ないように、入口と出口の大きさを調整して、翼車の回転方向と同方向のスワールを誘起する3次元構造にして、軸トルクを向上させる(図10)。
3.前記1.2の構成にすると、翼車が回転方向の力を長時間受けることができる。
【0063】
「軸トルクに関して」
翼が水から力を受けない部位を、揚力を得る翼形状と迎え角をもつように可動機構の可動範囲となる構造とする。
【発明の効果】
【0064】
以上に説明したように、本発明によれば新規な「相反転クロスフロー型発電装置」を実現することができる。この「相反転クロスフロー型発電装置」はクロスフロー型であるので、翼車の翼形状が軸流型のものに比して単純な形状でよく、例えば、板形状とか断面が半弧型のようなものは製造が容易である。また相反転式であるので、大きな起電力を得ることができる。
また、本発明の超小型発電装置は、水没した状態で発電が可能な「水没型」であり、自然を保護し、景観を損なわない発電装置であるとともに、例えばダムや堰、水路や配管等の「発電装置のための付帯設備」を新たに設ける必要がないため、インフラ整備に必要な時間と経費を節約できる。
さらに、水没型の発電装置の利点として、落差が大きいビルの冷却用配管や、宇宙ステーションの貴重な水を有効利用してバックアップ電源とし、既存の配管内に本発電装置を設置して発電することが可能であり、用途の拡張が期待できる。
【0065】
水車翼が可動機構を有するために、水と一緒に流入する土砂や汚染物を、自動的に取り除くことが可能で、メインテナンス回数を削減することができる。
本発明の超小型発電装置は、第1種翼車、第2種翼車および発電機が、それぞれ「防水されたユニット構造」を持つ。第1種翼車、第2種翼車および発電機が各1機で基本構成される。しかし、流速および水路の幅等の条件により、第1種翼車を1機以上連結し、同様に第2種翼車を1機以上連結して発電機との構成で発電することが可能である。また、第1種翼車を1機以上連結し、同様に第2種翼車を1機以上連結して更に1機以上の発電機との構成で発電することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0066】
以下、実施の形態を説明する。
図1は「相反転クロスフロー型発電装置」の実施の1形態を説明するための図である。
図1(a)は相反転クロスフロー型発電装置を水流の流入側から見た概観図である。
図1(a)において、符号31は発電手段を水密に密閉するケーシング、符号41は第1のノズル、符号42は第2のノズル、符号50はハウジングを示している。
図1(b)は、図1(a)のb−b断面図、図1(c)は同じくc−c断面図であり、図1(d)は、相反転クロスフロー型発電装置を水流の流出側から見た概観図である。
【0067】
この実施の形態では、図1(a)、(d)の左右方向のサイズが500mm、高さ方向のサイズが300mm、図1(b)、(c)の左右方向のサイズが700mm程度である。
図1(a)に示すように、相反転クロスフロー型発電装置を水流の流入側から見ると、ケーシング31とハウジング50とが左右方向に並び、ハウジング50には第1及び第2のノズル41、42が連結され、ケーシング31は「発電手段」を水密に密閉している。水流は、図1(a)の図面に直交する方向において、図面の表側から裏側へ向かうように流れる。
【0068】
図1(b)において、符号12は第2種翼車、符号22は第2回転軸、符号51はハウジング50の排出口をそれぞれ示している。図1(c)において、符号11は第1種翼車、符号21は第1回転軸をそれぞれ示している。これらの図に示されたように、第1のノズル41、第2のノズル42は、ハウジング50の一部としてハウジング50と一体に形成されている。
また、図1(b)において、第2種翼車12を構成する各翼121は、第2種翼車12の基部12Aに設けた可動機構(図示していない)に直接固定され、同様に、図1(c)において、第1種翼車11を構成する各翼111は、第1種翼車11の基部11Aに設けた可動機構(図示していない)に直接固定され、各翼が水の運動エネルギを効率的に受けて翼車の回転エネルギを最高にするために、該可動機構によって水流に対する各翼の角度を変化させる必要がある。
図1(b)および図1(c)に示す翼車に設ける翼の数は6枚であるが、限定的でなく、翼の数は6〜8枚程度が好ましく、また、可動させる翼の前記角度は、45〜60°が好ましい。
以上、可動機構を翼車の基部に設け、各翼を該可動機構に取り付ける場合を述べたが、可動機構を回転軸に設け、各翼を該可動機構に取り付けることも可能であり、本発明においては前者も後者の一種と扱うものとする。
【0069】
図1(c)に示すように、水流WIは図の左方から第1のノズル41に流入する。第1のノズル41は流入口から第1種翼車11側の噴出口41Aへ向かって流路断面が狭くなっており、流入した水流WIは、第1のノズル41内を噴出口41Aへ向かって流れつつ「流れの断面積」が小さくなることにより加速される。加速されて流速を増大された水流は、噴出孔41Aから第1種翼車11の翼111に向けて噴出し、第1種翼車11を反時計回りに回転させたのち水流WFとなり、排出口51から排出されて水流WOとなる。
【0070】
図1(b)に示すように、水流WIは図の左方から第2のノズル42に流入する。第2のノズル42は流入口から第2種翼車12側の噴出口42Aへ向かって流路断面が狭くなっており、流入した水流WIは、第2のノズル42内を噴出口42Aへ向かって流れつつ「流れの断面積」が小さくなることにより加速される。加速されて流速を増大された水流は、噴出孔42Aから第2種翼車12の翼121に向けて噴出し、第2種翼車12を時計回りに回転させたのち水流WFとなり、排出口51から排出されて水流WOとなる。
【0071】
図1(d)に示すように、ハウジング50内において、第1種翼車11と第2種翼車12とは、ハウジング50の隔壁52により分離され、各翼車を回転させる水流が互いに干渉しないようになっている。ハウジング50に形成された排出口51は、第1種翼車11、第2主翼車12を回転させた水流に対して共通に開口しており、図1(b)、(c)に示すように「排出側端部に向かって断面積が漸増するディフューザ形状」となっている。
また、図1(b)〜(d)に示すように、第1種翼車11は第1回転軸21に基部11Aを固定されており、第2種翼車12は第2回転軸22に基部12Aを固定されている。第1回転軸21は中空シリンダ状であり、第2回転軸22は第1回転軸11の内側に、第1回転軸21を軸心方向(図1(b)、(c)において図面に直交する方向)へ貫通するように設けられている。
【0072】
これら第1回転軸21、第2回転軸22は相互に「軸心の周りに回転自在」に係合されており、第1回転軸21は第1種翼車11と一体に第1の向き(図1(c)において反時計回り)に回転し、第2回転軸22は第2種翼車12と一体に第2の向き(図1(b)において時計回り)に回転する。以下に説明するように、発電手段が有する1以上の磁石と1以上のコイルは、これら第1回転軸21および第2回転軸一体的に回転する。
【0073】
なお、第1種・第2種翼車の翼111、121は、図示の簡単のために平面状に描いてあるが、実際には、水流を有効に受けることができるように形成されていることは言うまでもない。
【0074】
図2は、発電装置内部の様子を説明図的に示している。
図の如く、第1種翼車11はその基部11Aを第1回転軸21に固装され、第2種翼車12はその基部12Aを第2回転軸22に固装されている。
第1回転軸21は中空であり、第2回転軸22は第1回転軸21の内側に軸心方向に貫通している。第1回転軸21と第2回転軸22との間は、水密性の軸受け210により結合され、第1回転軸21と第2回転軸22とが「互いに任意の回転方向へ回転自在」となっている。水密性の軸受け210は、例えば「撥水性の潤滑材」等である。
【0075】
第1回転軸21の、図で左方の端部には、フランジ状の支持手段300が一体的に設けられ、その半径方向端部に形成された中空シリンダ状の折り曲げ部の内周面に複数個の磁石301が周方向へ等間隔に固装されている。磁石の数は特に限定的でなく、適宜に選択できるが、例えば10個〜32個程度であり、前述したように、少なくとも24個有することが好ましい。
【0076】
一方、第2回転軸22の図で左方の端部近傍には、フランジ状の支持手段303が、第2回転軸22と一体に設けられ、その半径方向端部に形成された中空シリンダ状の折り曲げ部は、その外周面部分が支持手段303の折り曲げ部の内周面に対向し、この外周面部分に磁石301と対応する複数個のコイル304が固設されている。コイルの数は特に限定的でなく、適宜に選択できるが、例えば10個〜32個程度であり、前述したように、少なくとも24個有することが好ましい。
【0077】
コイル304は導線305により整流子306に連結され、この整流子306に摺接するブラシ307の電圧を、蓄電器308と負荷309に印加するようになっている。
フランジ状の支持手段300、303、複数の磁石301、複数のコイル304、導線305、整流子306、ブラシ307は「発電手段」を構成し、ケーシング31内に水密に密閉されている。なお、整流子とブラシからなるものに替えて、回転子と固定子を構成要素とするベアリングレスのものを用いることができる。
【0078】
即ち、図1、図2に実施の形態を示す発電装置は、水流に交わる方向に回転軸を持つ相反転クロスフロー型小型発電装置であって、水流を受けて第1の向き(図1(c)において反時計回り)に回転する第1種翼車11と、水流を受けて第1の向きと逆の第2の向き(図1(b)において時計回り)に回転する第2種翼車12と、第1および第2種翼車11、12に同軸で、第1種翼車11に係合して回転される第1回転軸21と、第2種翼車12に係合して回転され、第1回転軸21の内側に軸心方向に貫通された第2回転軸22と、これら第1回転軸21および第2回転軸22の一方と一体的に回転する1以上の磁石301、及び、他方と一体的に回転する1以上のコイル304とを含む発電手段と、流入する水流WIを第1種翼車11に向けて加速する第1のノズル41と、流入する水流WIを第2種翼車12に向けて加速する第2のノズル42と、発電手段を水密に密閉するケーシング31とを有する。
【0079】
また、第1種翼車11、第2種翼車12を囲繞し、第1および第2のノズル41、42からの水流を受け入れる流入口41A、42Aと、第1種翼車11、第2種翼車12を回転させた水流WEを排出させる排出口51とを持つハウジング50を有し、ハウジング50の排出口51はディフューザ形状である。
【0080】
図3は、本発明の相反転クロスフロー型発電装置の実施の1形態を説明するための図で
ある。
この実施の形態においては、図1、図2に即して上に実施の形態を説明した相反転クロスフロー型発電装置に、第1および第2のノズル41、42に向けて水流を加速する補助ノズル400を有する。
補助ノズル400は、水流WIの流入口(図の左端部)から第1、第2のノズル41、42の流入口に連結する部分に向かって断面積が漸減しており、流入する水流WIを加速させて第1、第2のノズル41、42に流入させる。補助ノズル400は、相反転クロスフロー型発電装置の本体とは別体であって、例えば、相反転クロスフロー型発電装置本体水流の流速や落差が小さい部分に設置されるような場合に、第1、第2のノズル側に連結するように配設する。
【0081】
第1、第2のノズル41、42の流入した水流は、各ノズル41、42により「更に加速され」て第1種・第2種翼車11、12に噴射される。これにより、図1、図2の実施の形態の場合よりもさらに「翼車の回転速度を増大させる」ことができる。
【0082】
図4は、カムを用いた本発明の発電装置の説明図であり、図4(a)は内輪カムを、図4(b)は外輪カムを用いる場合を示している。繁雑を避けるため、混同の恐れが無いと思われるものに付いては、図1、図2におけると同一の符号を付する。
図4(a)の形態は「第2種翼車の部分」を示している。第2回転軸22に同軸に、第2種翼車の翼121の態位を変化させるカム122が装置空間に固定的に設けられ、翼121は、リング状の支持部材120に「翼車半径方向の一部を軸Jにより揺動自在に軸支され」ており、翼車半径方向の一端部をカムフォロワとしてカム122に従動させる構成となっている。
【0083】
リング状の支持部材120は、図面に直交する方向へ1対設けられ、翼121の幅方向(図面に直交する方向)の両端部を軸支して「軸Jの周りに揺動自在」としている。支持部材120は第2回転軸22と一体であり、第2回転軸22を回転させる。
【0084】
翼121は「翼車半径方向の一端部がカムフォロワとしてカム122に従動する」ことにより、水流W1を受ける部分(図4(a)の上の部分)では翼車半径方向に立ち、水流W1を受けて軸を回転させたのち、ノズルによる水流W1を受ける部位に近づく部分では水流に倣う方向に寝るように揺動し、態位を変化させる。この態位変化により、水流W1を受ける部位では、水流W1を有効に受けて有効なトルクを発生させて第2回転軸22を回転させるが、第2種翼車を回転させた水流W2が翼に作用しなくなると、翼121が水流に倣う方向に寝る態位となって抵抗を軽減させる。
【0085】
図4(b)の実施の形態においては、第2回転軸22に一体化された1対のリング状の支持部材に翼121が、図4(a)の場合と同じく、「翼車半径方向の一部を軸Jにより揺動自在に軸支され」ている。
この形態においては、第1種翼車、第2種翼車を囲繞し、第1および第2のノズルからの水流W1を受け入れる流入口と、第1、第2種翼車を回転させた水流W2を排出する排出口とを持つハウジングを有し、翼121の揺動を制御するカム123は、ハウジングの内壁に設けられている。
【0086】
水流W1は、翼121に流圧を作用させて支持部材120もろともに第2回転軸22を回転させる。このとき、翼121が水流W1を有効に受ける部分では、翼車半径方向に立ち、水流を受けて軸22を回転させたのち、再度水流W1を受ける部位に近づく部分では水流に倣う方向に寝るように態位を変化させる。カム123は、翼121の翼車半径方向端部に作用して、上記態位変化を行わせるように翼121の揺動を制御する。
第1種翼車の翼の駆動も上記と同様である。
図4に実施の形態を示した相反転クロスフロー型発電機は、第1種・第2種翼車を、例えば、300rpm〜2400rpm程度で高速回転せる場合に有効である。
【0087】
図5(a)と図5(b)は、それぞれ内輪カムと外輪カムを示す模式図である。符号は、図4におけると同一の符号を付する。
図6は、本発明の相反転クロスフロー型発電装置の実施の1形態を示している。煩雑を避けるため、混同の恐れが無いと思われるものに付いては、図1、図2、図4におけると同一の符号を付する。
【0088】
第2種翼車の回転につき説明すると、第2種翼車は、回転軸と同軸に1対の翼端部係止手段23を有する。翼端部係止手段23は、円板形状で第2回転軸22に固装され、その周辺部に、複数の係止ピン230を等間隔に植設されている。
各翼121は、翼車半径方向の外端部側を、1対のリング状の支持部材120Aに軸J1により軸支されて揺動自在であり、水流W1による翼の揺動を翼端部係止手段23により係止されるようになっている。
【0089】
水流W1は、翼121に流圧を作用させて支持部材120Aもろともに第2回転軸22を回転させる。このとき、翼121が水流W1を有効に受ける部分では、図示のごとく、翼121の自由端部側が係止ピン230に係止されることにより、翼車半径方向に立つが、水流W1を受けて軸22を回転させたのち、ノズルによる水流を受ける部位に近づく部分では翼121の係止ピン230による係止が解除され、欲121は「水流に倣う方向に寝る」ように態位を変化させ、この部位での水の提供を有効に軽減させる。
この型の形態は、第1種・第2種翼車を、例えば、80rpm〜300rpm程度の回転速度で回転せる場合に有効である。
【0090】
図7は、本発明の第2の態様の発電装置であって、側板を設けた翼車を示す概念図である。なお、混同の恐れが無いと思われるものに付いては、図1〜図6におけると同一の符号を付する。
該翼車は、これを第2種翼車として説明すると、第2回転軸22の両端部に1対の円板形状の円形支持部材(側板)551(片側の側板は図示されていない。)が同軸に固定され、NACA翼形の翼111はピン552を可動機構として2枚の側板551の外縁近傍に揺動可能に取り付けられている。
翼111はピン552によって可動性であるため、ノズルによる水流を受ける部位では翼車半径方向に立ち、上記水流を受けて回転軸22を回転させたのち、上記ノズルによる水流を受けない部位に近づく部分では水流に倣う方向に寝るように態位を変化させる。
側板551は翼111がとらえた水を保持する効果を奏し、翼111と側板551の間の隙間553から漏れる量は5%以下であり、所期の発電装置としては問題ではない。
【0091】
図8は、本発明の第2の態様の発電装置を構成する翼車の1例を示す模式図である。
図8も図7と同様に概念図であり、翼111がピン552を可動機構として側板551の外縁近傍に揺動可能に取り付けられた状態を示す。
この例では、回転軸22の外周部に翼端部係止手段23として複数の係止溝23−1が形成され、ピン552を支点として回転する翼の端部を係止する効果を持たせている。
図示する翼の形状は、翼111−1を立ち上げる水の流れ(1)を形成すると共に、翼111−2に揚力(2)を生じさせるのに有効である。
図示していないが、翼端部係止手段として複数の係止ピンを側板551上の回転軸22側内周部取り付けて、前記係止溝23−1と同じ効果をもたらすことができる。
【0092】
図9は、本発明の第2の態様の発電装置を構成する翼車における翼と回転軸の取り付け位置の説明図である。
翼111は、ピン552を可動機構として、側板551の外縁近傍に取り付けられている。円形支持部材に取り付けた翼111の一端部Aと回転軸22との間には間隔が設けられている。この間隙が殆んど無い場合には、翼間に水が流れず淀む領域(死水領域)が生じて水のエネルギを効率よく活用できない場合があるが、図9の例では上記「間隔」が設けられるため死水領域が形成されることがなく、軸トルクを向上させることができる。
【0093】
図10は、本発明の発電装置を構成する翼車の水導入ノズルの変形例を示した模式図である。
翼111は、ピン552を可動機構として側板551の外縁近傍に揺動可能に取り付けられている。ノズル42に導水溝42−1を設けることによって、可動翼111−1をスムーズにかつ早く立ち上げさせることができる。
【0094】
図11は、本発明の発電装置を構成し、スワールを誘起するケーシング構造を示している。(a)は断面図、(b)は模式図である。
翼車のケーシング形状を、入る水量に比べて出る水量の方が少ないように、入口と出口の大きさを調整して、一部の水が出口から出るのでなく翼車の回転方向の流れを形成して、同方向のスワールを誘起する3次元構造にして軸トルクを向上させる。
【0095】
本発明を創出する過程で行なった数値計算と検証実験について具体的に説明する。
「数値計算による可動翼機構の検討」
数値計算は、市販の汎用流体数値計算用ソフトウェアの「SCRYU/Tetra ver.6(株式会社 ソフトウェアクレイドル)」を用いて、下記1〜8の考えに基づいて行なった。
1.翼車が1回転する間に翼に働く力を平均する。
2.使用する翼は、長さ:135mm、幅:170mmの平板翼とする。
3.軸径を90mmとし、軸に発電機を組込む場合の可能性を考える。
4.平板翼の縦横比の影響と半円弧翼の相違を比較する。
5.基本形態のケーシング形状を平行平板とする。
6.流入条件に合わせ、ハウジング形状を後方ステップ状にする。
7.翼形状と枚数を変化させて、流れ場の圧力分布と速度分布を求める。
8.翼が受ける力の平均値を求める。
【0096】
汎用ソフトウェアの特性を調べるために、直管路における管内流れを数値計算し、速度分布が実験値に近い値となるように計算メッシュ数とタイムステップを決めた。実際の発電装置をシミュレートして流体力から翼車の回転力を得る計算ができないため、翼車の1回転を所定の回転角度毎に分割し、位相を変化させて計算し「回転する翼車1周期分の平均値」を算出した。
可動翼車の始めの半周期で翼が流体力を得るが、残りの半周期で翼は回転に対する抵抗となり「この半周期」に翼が存在すると翼車が回転しないため、この半周期は「翼が存在しない状態(翼を折畳んだ状態)」として計算した。
【0097】
図12は検証実験に用いた模形機に設けた翼車の模式図であり、(a)は模式図、(b)は数値解析に用いた計算モデル、(c)は模形機の様子を示す。
(a)に示すように、翼111はピン552を可動機構として回転軸22の外周に、揺動可能に取り付けられる。
翼111はパケット構造をでなく、かつ「側板を持たない平板翼」である。
翼枚数は6枚で、ピン552によって可動性であるため、ノズルによる水流を受ける部位では翼車半径方向に立ち、上記水流を受けて回転軸22を回転させたのち、上記ノズルによる水流を受けない部位に近づく部分では「水流に倣う方向に寝る」ように態位を変化させる。
図12(b)に示す数値解析モデルは、パケット構造をもつ3枚の平板翼111であって、ノズルによる水流を受ける部位で翼車が半径方向に立っている状態を示す。
【0098】
図13は、翼車軸トルクを縦軸、翼枚数を横軸として、数値計算の結果を表した図である。この図から明らかなように、平板翼の場合、枚数が6枚から15枚の場合に高い軸トルクが得られることが判った。また、同じ翼面積を持つ「横長の平板翼」と「縦長の平板翼」とでは、前者の場合では9枚から12枚で高い軸トルクが得られるが、後者の場合翼枚数の影響が小さく、10枚を除き「6枚から15枚の間で平板翼より高い軸トルクが得られる」ことが判った。
さらに、断面が半円弧形状を持つ「横長の半円弧翼」の軸トルクは、水の流速が同一の場合、平板翼の約2倍で、翼枚数が多い程「高い軸トルク」を得ることが可能であることが判った。
【0099】
図14は、翼形の違いによる数値計算結果を表わすグラフで、横軸が流れ方向距離、縦軸が流路幅、すなわち発電装置のケーシングの幅を示す。
計算は、流路幅(縦軸の長さをDとする)を1として無次元化し、計算領域は、翼車上流に10D、翼車下流に20Dとした。入口速度は「一様流入条件」とし、流れは左から右へ2m/sで流入するものとし、翼車の下方半分は「翼が折畳まれた状態」の可動機構をシミュレートするため「翼を取り付けていない」ものとした。
図は「翼形が異なる翼車の周りの流れの様子」を明らかにするために、(a)横長の平板翼、(b)縦長の平板翼および(c)半円弧翼としているが、何れも投影面積(翼車を正面から見たときの面積)が等しい場合を示している。
図は、圧力分布と速度ベクトルを表わしている。圧力分布は「濃度の高い領域が高い圧力」を示し、「濃度の低い領域が低い圧力」を示す。この結果から、翼の上流側で高い濃度の領域の割合が多い場合に、高い軸トルクを得られることが期待できる。
速度ベクトルは翼間内の流れの様子を明らかにし、また、ベクトル図は、翼車に当たる流れの方向を示している。
【0100】
「模型機を用いた検証実験」
長さ:135mm、幅:710mmのアルミニウム製の「パケット構造」の翼6枚を、直径:90mmの回転軸にピンで揺動可能に設けて可動性とした翼車1ユニットを模型機として準備した。
図12は該模型機を表わし、図12−1は正面図、図12−2は斜視図であり、6枚のパケット構造(P)の翼111が回転軸に可動機構に固定された状態を示している。
該模型機を、長野県茅野市街地河川の5箇所に順次設置し、翼車を回転させて「落差がある場合とない場合」の双方について、バネ秤を用いて軸トルクを計測した。
【0101】
図15は、縦軸が翼車軸トルク、横軸が河川の流速であり、実験結果をプロットするとともに、数値計算結果を実線で表したグラフである。
図16は、縦軸が発電量、横軸が翼車軸トルクであり、「実験によって得られた軸トルクの値から算出した発電量」をプロットするとともに、数値計算結果を実線で表したグラフである。いずれも、実験結果と数値解析結果が良く一致していることがわかる。
落差のある流れ場に比べて、落差のない流れ場では得られる軸トルクが低いことが明らかであり、特に、落差の低い又はない流れから有効な電力を取り出すことが簡単ではないので、所期の発電量を得るために、発電装置の水の取り入れ口に「流れを加速させるノズル」を設けたり翼形などを工夫したりする必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】相反転クロスフロー型発電装置の実施の1形態を説明するための図である。
【図2】図1の実施形態における発電手段の部分を説明するための図である。
【図3】本発明の実施の1形態を説明するための図である。
【図4】本発明の実施の形態の特徴部分を説明するための図である。
【図5】本発明の実施の形態の特徴部分を説明するための図である。
【図6】本発明の第2の態様の発電装置の翼車を示す概念図である。
【図7】本発明の第2の態様の発電装置の翼車の1例を示す模式図である。
【図8】本発明の発電装置の側板を設けた場合の翼車における翼と回転軸の取り付け位置の説明図である。
【図9】本発明の発電装置の翼車の翼と回転軸の取り付け位置を示し、翼の一端部と回転軸との間隔を設け他た場合の模式図である。
【図10】本発明の発電装置において、導水溝を設ける水導入ノズルの変形例を示した模式図である。
【図11】本発明の発電装置を構成し、スワールを誘起するケーシング構造を示し、(a)は断面図、(b)は模式図である。
【図12】検証実験に用いた模形機に設けた翼車であって、(a)は模式図、(b)は数値解析に用いた計算モデル、(c)は模形機の写真を示す。
【図13】数値計算結果を表したグラフである。
【図14】数値計算結果を表したグラフである。
【図15】検証実験結果と数値計算結果を比較したグラフである。
【図16】検証実験結果と数値計算結果を比較したグラフである。
【符号の説明】
【0103】
11 第1種翼車
12 第2種翼車
21 第1回転軸
22 第2回転軸
30 発電手段
41 第1のノズル
42 第2のノズル
31 ケーシング
551 円形支持部材(側板)
552 ピン(可動機構)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水流に交わる方向に回転軸を持つクロスフロー型の発電装置であって、
水流を受けて第1の向きに回転する第1種翼車と、
水流を受けて上記第1の向きと逆の第2の向きに回転する第2種翼車と、
上記第1および第2種翼車に同軸で、第1種翼車に係合して回転される第1回転軸と、
上記第2種翼車に係合して回転され、上記第1の回転軸の内側に軸心方向に貫通された第2回転軸と、
これら第1回転軸および第2回転軸の一方と一体的に回転する磁石、及び、他方と一体的に回転するコイルとを含み、円周上の1個の磁石と1個のコイルとからなる極を有する発電手段と、
流入する水流を上記第1種翼車に向けて加速する第1のノズルと、
流入する水流を上記第2種翼車に向けて加速する第2のノズルと、
上記発電手段を水密に密閉するケーシングとを有し、
さらに、第1種翼車および第2種翼車の各翼が、ノズルによる水流を受ける部位では翼車半径方向に立ち、上記水流を受けて軸を回転させたのち、上記ノズルによる水流を受けない部位に近づく部分では水流に倣う方向に寝るように水力でまたは機械的に態位を変化させる可動機構を第1種翼車および第2種翼車に設け、
落差が2m以下の水路に設置し、水没させて使用する場合でも水の運動エネルギの50%以上を翼車の回転エネルギに変換可能なものであることを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置。
【請求項2】
請求項1記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、
発電手段が円周上の1個の磁石と1個のコイルとからなる極を少なくとも24個有するものであることを特徴とする相反転クロスフロー型小型発電装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、
第1種翼車および第2種翼車をそれぞれ構成する各翼が、第1回転軸および第2回転軸のそれぞれに設けられた可動機構に直接固定されて可動としたことを特徴とする相反転クロスフロー型小型発電装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、
第1種翼車、第2種翼車を囲繞し、第1および第2のノズルからの水流を受け入れる流入口と、上記第1、第2種翼車を回転させた水流を排出する第1排出口と第2排出口とを持つハウジングを有することを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置。
【請求項5】
請求4に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、
第1排出口と第2排出口がディフューザ形状であることを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、
前記可動機構に固定された前記各翼が支持部材に支持され、1対の前記支持部材が第1回転軸、第2回転軸のそれぞれの両端部に固定されて同軸に回転するようにしたことを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置。
【請求項7】
請求項6に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、
前記支持部材がリング状または円板形状であることを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、
第1回転軸および第2回転軸に同軸に、第1種翼車および第2種翼車の翼の態位を変化させるカムが前記支持部材内側空間に固装され、
第1種翼車および第2種翼車の各翼が、その翼車半径方向の一部を軸支されて揺動自在であり、翼車半径方向の一端部をカムフォロワとして上記カムに従動することを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置。
【請求項9】
請求項8記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、
カムが、第1種翼車、第2種翼車のハウジング側に固定されて設けられていることを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置。
【請求項10】
請求項6乃至9のいずれか1に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、
第1種翼車、第2種翼車は、回転軸と同軸に翼端部係止手段が固装され、
上記第1種翼車、第2種翼車の各翼は、翼車半径方向の外端部側を軸支されて揺動自在であり、該係止手段は複数の係止機構からなり、水流による翼の揺動を前記係止機構により係止する構成であることを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置。
【請求項11】
請求項10に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、
前記係止機構は係止ピン又は係止溝からなり、各翼が可動に取り付けられる円板形状の支持部材の内周部、回転軸に別途固装した円板部材の周辺部または回転軸の外周表面部に設けられることを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、
可動機構が翼をピンあるいは溝によって固定し可動とするものであることを特徴とする相反転クロスフロー型小型発電装置。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、
翼車を構成する翼として断面が平板翼、半円弧翼、曲線翼もしくはNACA翼形のものを用いることを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、
第1および第2のノズルに向けて水流を加速する補助ノズルを有することを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置。
【請求項1】
水流に交わる方向に回転軸を持つクロスフロー型の発電装置であって、
水流を受けて第1の向きに回転する第1種翼車と、
水流を受けて上記第1の向きと逆の第2の向きに回転する第2種翼車と、
上記第1および第2種翼車に同軸で、第1種翼車に係合して回転される第1回転軸と、
上記第2種翼車に係合して回転され、上記第1の回転軸の内側に軸心方向に貫通された第2回転軸と、
これら第1回転軸および第2回転軸の一方と一体的に回転する磁石、及び、他方と一体的に回転するコイルとを含み、円周上の1個の磁石と1個のコイルとからなる極を有する発電手段と、
流入する水流を上記第1種翼車に向けて加速する第1のノズルと、
流入する水流を上記第2種翼車に向けて加速する第2のノズルと、
上記発電手段を水密に密閉するケーシングとを有し、
さらに、第1種翼車および第2種翼車の各翼が、ノズルによる水流を受ける部位では翼車半径方向に立ち、上記水流を受けて軸を回転させたのち、上記ノズルによる水流を受けない部位に近づく部分では水流に倣う方向に寝るように水力でまたは機械的に態位を変化させる可動機構を第1種翼車および第2種翼車に設け、
落差が2m以下の水路に設置し、水没させて使用する場合でも水の運動エネルギの50%以上を翼車の回転エネルギに変換可能なものであることを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置。
【請求項2】
請求項1記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、
発電手段が円周上の1個の磁石と1個のコイルとからなる極を少なくとも24個有するものであることを特徴とする相反転クロスフロー型小型発電装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、
第1種翼車および第2種翼車をそれぞれ構成する各翼が、第1回転軸および第2回転軸のそれぞれに設けられた可動機構に直接固定されて可動としたことを特徴とする相反転クロスフロー型小型発電装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、
第1種翼車、第2種翼車を囲繞し、第1および第2のノズルからの水流を受け入れる流入口と、上記第1、第2種翼車を回転させた水流を排出する第1排出口と第2排出口とを持つハウジングを有することを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置。
【請求項5】
請求4に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、
第1排出口と第2排出口がディフューザ形状であることを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、
前記可動機構に固定された前記各翼が支持部材に支持され、1対の前記支持部材が第1回転軸、第2回転軸のそれぞれの両端部に固定されて同軸に回転するようにしたことを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置。
【請求項7】
請求項6に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、
前記支持部材がリング状または円板形状であることを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、
第1回転軸および第2回転軸に同軸に、第1種翼車および第2種翼車の翼の態位を変化させるカムが前記支持部材内側空間に固装され、
第1種翼車および第2種翼車の各翼が、その翼車半径方向の一部を軸支されて揺動自在であり、翼車半径方向の一端部をカムフォロワとして上記カムに従動することを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置。
【請求項9】
請求項8記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、
カムが、第1種翼車、第2種翼車のハウジング側に固定されて設けられていることを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置。
【請求項10】
請求項6乃至9のいずれか1に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、
第1種翼車、第2種翼車は、回転軸と同軸に翼端部係止手段が固装され、
上記第1種翼車、第2種翼車の各翼は、翼車半径方向の外端部側を軸支されて揺動自在であり、該係止手段は複数の係止機構からなり、水流による翼の揺動を前記係止機構により係止する構成であることを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置。
【請求項11】
請求項10に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、
前記係止機構は係止ピン又は係止溝からなり、各翼が可動に取り付けられる円板形状の支持部材の内周部、回転軸に別途固装した円板部材の周辺部または回転軸の外周表面部に設けられることを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、
可動機構が翼をピンあるいは溝によって固定し可動とするものであることを特徴とする相反転クロスフロー型小型発電装置。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、
翼車を構成する翼として断面が平板翼、半円弧翼、曲線翼もしくはNACA翼形のものを用いることを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1に記載の相反転クロスフロー型超小型発電装置において、
第1および第2のノズルに向けて水流を加速する補助ノズルを有することを特徴とする相反転クロスフロー型超小型発電装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−19532(P2009−19532A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−181439(P2007−181439)
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【出願人】(803000115)学校法人東京理科大学 (545)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【出願人】(803000115)学校法人東京理科大学 (545)
【Fターム(参考)】
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