説明

省燃費運転支援装置、プログラム

【課題】惰力走行中に車両の走行速度が必要以上に変化する状況であっても、省燃費運転を的確には診断する。
【解決手段】車両が停止状態または徐行状態に至るまでの減速期間中にアクセル開度がゼロである状態で走行した距離を算出する。具体的には、車両が停止中または徐行中であることを検出し、それに至るまでの減速期間でアクセル開度がゼロであることを検出する。そして、車両が停止中または徐行中であり且つアクセル開度がゼロであった期間を算出し、さらに、算出した期間中に車両が走行した走行距離を算出する。算出された走行距離に基づき、車両が前記前記走行期間を走行した際に省燃費運転が行われていたか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省燃費運転を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両走行においては、ある程度速度が出ている状態であれば、アクセルを踏まずに車両の運動エネルギーを利用して惰力走行をすることで、燃料消費の無駄をなくすことができるとされている。
【0003】
例えば特許文献1には、アクセル開度がゼロの状態から上述のような惰力走行を検出し、惰力走行時の走行距離または走行時間が全走行距離または走行時間に占める割合を算出し、算出した割合およびアドバイスを通知することで、省燃費運転の支援または管理を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−337229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、走行中に無駄なアクセル操作を繰り返すことによって車両の走行速度が必要以上に変化することがある。しかし、このような場合には、アクセル操作で加速した分をその都度惰力走行で減速することとなり、惰力走行中の走行距離が通常の惰力走行時に比べて長くなったにも拘わらず、加速時および減速時にエネルギーロスが発生してその分燃料の消費量が多くなるという問題がある。
【0006】
なお、上述の特許文献1のようなアクセル開度がゼロの状態から惰力走行を検出する技術では、このような惰力走行中に車両の走行速度が必要以上に変化する状況で省燃費運転を的確には診断することはできない。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、車両の走行速度が必要以上に変化する状況であっても、省燃費運転を的確には診断する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた請求項1に係る省燃費運転支援装置(1:この欄においては、発明に対する理解を容易にするため、必要に応じて「発明を実施するための形態」欄で用いた符号を付すが、この符号によって請求の範囲を限定することを意味するものではない。)によれば、車両が停止状態または徐行状態に至るまでの減速期間中にアクセル開度がゼロである状態で走行した距離を算出する。具体的には、走行状態判定手段(11)が、車両が停止中または徐行中であることを判定し、アクセル開度判定手段(11)が、車両のアクセルのアクセル開度がゼロであることを判定する。そして、運転診断手段(11)が、走行状態判定手段による判定結果およびアクセル開度判定手段による判定結果に基づき、車両が停止中または徐行中に至るまでの減速期間中にアクセル開度がゼロであった走行期間を算出し、さらに、算出した走行期間中に車両が走行した走行距離を算出する。
【0009】
なお、停止状態とは、車両の速度がゼロである状態を云い、徐行状態とは、すぐに停止できる速度状態を云う。
また、減速期間とは、上述のような停止状態または徐行状態に至るまでの期間の他に、停止状態または徐行状態に至るために減速する状態または減速操作中の状態である期間としても良い。
【0010】
このことにより、車両の停止状態および徐行状態となるまでの減速期間におけるアクセル開度がゼロの走行距離を算出することで、無駄な速度変化によって生じるアクセル開度がゼロの走行距離を無視することができる。
【0011】
さらに、運転診断手段が、算出された走行距離に基づき、車両が前記走行期間を走行した際に省燃費運転が行われていたか否かを判定する。
このことにより、走行中に車両の走行速度が必要以上に変化する状況であっても、省燃費運転を的確に診断することができる。
【0012】
なお、車両の走行状態の判定手法としては、次のような手法が考えられる。すなわち、走行状態判定手段が、車両の走行速度である車速が所定値未満である期間が所定時間以上継続した場合に、車両が停止中または徐行中であると判定することが考えられる(請求項2)。また、走行状態判定手段が、車両の現在位置および地図データに基づき、車両が交差点で停止中または旋回中であることを検出する場合に、車両が停止中または徐行中であると判定することが考えられる(請求項3)。このことにより、車両の走行状態をより的確に判定することができる。
【0013】
また、アクセル開度の判定手法としては、次のような手法が考えられる。すなわち、アクセル開度判定手段が、車両が所定時間内に消費する燃料量(燃料消費量)が所定値未満であるときにアクセル開度がゼロであると判定することが考えられる(請求項4)。また、アクセル開度判定手段が、車両が搭載するエンジンが所定時間内に回転する回数数(エンジン回転数)が所定値未満であるときに、アクセル開度がゼロであると判定することが考えられる(請求項5)。また、アクセル開度を示す情報(アクセル開度情報)をエンジンコンピュータから車内LAN経由で取得し、取得したアクセル開度情報を用いて上述のようなアクセル開度の判定を行うことが考えられる。このことにより、アクセル開度をより的確に判定することができる。
【0014】
また、省燃費運転が行われていたか否かを判定する判定手法としては、次のような手法が考えられる。すなわち、運転診断手段が、前記走行距離が基準値以上であるときに車両が前記走行期間を走行した際に省燃費運転が行われていたと判定し、一方、前記走行距離が基準値よりも小さいときに車両が前記走行期間を走行した際に省燃費運転が行われていなかったと判定することが考えられる(請求項6)。なお、上述の基準値については、運転診断手段が、前記走行期間の開始時の車速ごとに前記基準値の値が設定される基準値マップを参照して、前記基準値の値を前記走行期間の開始時の車速に応じて変更するとよい(請求項7)。
【0015】
このことにより、上述の省燃費運転の判定をより的確に行うことができる。
なお、省燃費運転ではないと判定した場合にはその旨を報知するようにしてもよい。具体的には、運転診断手段によって車両が前記走行期間を走行した際に省燃費運転が行われていなかったと判定された場合にその旨を報知する報知手段(11a,12,13)を備えることが考えられる(請求項8)。
【0016】
このことにより、ドライバが省燃費運転の判定結果を運転に速やかに反映させることができる。
なお、上述した省燃費運転支援装置の走行状態判定手段、アクセル開度判定手段および運転診断手段として機能をプログラムによって実現してもよい(請求項9)。このようなプログラムを、省燃費運転支援装置が内蔵するコンピュータに実行させれば、その省燃費運転支援装置は、上述した本発明の省燃費運転支援装置と同様の作用及び効果を奏する。また、プログラムはネットワーク等を用いて流通させることも可能である上、省燃費運転支援装置におけるプログラムの入れ替えは、部品の入れ替えに比較して容易である。したがって、省燃費運転支援装置の機能向上を容易に行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態の省燃費運転支援装置の概略構成図である。
【図2】停止・徐行状態検出処理を示すフローチャートである。
【図3】(a)はアクセル開度ゼロ期間算出処理を示すフローチャートであり、(b)は省燃費運転診断処理を示すフローチャートである。
【図4】停止・徐行状態検出処理およびアクセル開度ゼロ期間算出処理を説明するための説明図である。
【図5】第2実施形態の省燃費運転支援装置の概略構成図である。
【図6】停止・徐行状態検出処理およびアクセル開度ゼロ期間算出処理を説明するための説明図である。
【図7】第3実施形態の省燃費運転支援装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施形態を図面とともに説明する。
[第1実施形態]
以下に本発明の第1実施形態を図面とともに説明する。なお、本発明は本実施形態に限定されるものではなく、様々な態様にて実施することが可能である。
【0019】
[1.省燃費運転支援装置1の構成の説明]
図1に示すように、省燃費運転支援装置1は車両に搭載され、車載機本体11と、スピーカ12と、表示装置13と、を備える。
【0020】
車載機本体11は、制御部11aと、メモリカード19が接続(装着)されるカードスロット部11bと、を備える。
制御部11aは、CPU、ROM、RAMなどを備えたマイクロコンピュータを中心に構成された周知の装置であり、上述した各部構成を制御する。この制御部11aは、ROMやRAMから読み出したプログラムに従って各種処理を実行する。また、制御部11aは、後述する停止・徐行状態検出処理、アクセル開度ゼロ期間算出処理および省燃費運転診断処理の各処理を実行する。
【0021】
カードスロット部11bは、メモリカード19と電気的に接続されて、制御部11aからメモリカード19へのデータ書込及びメモリカード19から制御部11aへのデータ読出を実現するものであり、メモリカード19を着脱自在に接続可能な構成を有する。
【0022】
なお、メモリカード19には、電気的にデータの書き換えが可能な不揮発性メモリとしてのNAND型フラッシュメモリが内蔵されている。
そして、このメモリカード19を事務所や個人宅にてパーソナルコンピュータ(PC)20へ接続すれば、記録される各種情報をPC20に入力して利用することができる。
【0023】
なお、車載機本体11のその他の構成については、公知技術に従うのでここではその詳細な説明は省略する。
スピーカ12は、車両の車室内に設置され、車載機本体11における各種処理の処理結果に応じて音声案内などを音出力することができる。
【0024】
表示装置13は、カラー表示装置であり、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、CRTなどがあるがその何れを用いてもよい。そして、表示装置13は、車載機本体11における各種処理の処理結果に応じて情報を表示出力することができる。
【0025】
また、車載機本体11は、図示しないI/Fを介して車両に搭載される車内LAN14に接続され、同様に車内LAN14に接続されているエンジンコンピュータ15から、アクセル開度の状態を示すアクセル開度情報や、車両の走行速度(車速)を示す車速情報、微小時間における燃料消費量を示す燃料消費量情報等を取得可能である。
【0026】
なお、エンジンコンピュータ15は、車両が搭載するエンジンの各シリンダへ所定時間内に噴射される燃料量(燃料噴射量)から、車両が微小時間に消費する燃料量(燃料消費量)を算出する。また、エンジンコンピュータ15は、アクセル開度情報を取得するアクセル開度センサ16や、車速情報を取得する車速センサ17などのセンサ類が接続されており、センサ類から各種情報を取得可能である。
【0027】
なお、車載機本体11の制御部11aは、走行状態判定手段、アクセル開度判定手段および運転診断手段に該当する。また、制御部11a、スピーカ12および表示装置13は、報知手段に該当する。
【0028】
[2.停止・徐行状態検出処理の説明]
次に、省燃費運転支援装置1の車載機本体11が実行する停止・徐行状態検出処理について図2のフローチャートおよび図4を参照して説明する。
【0029】
本処理は、車両のエンジンがスタートしたことを検出した際に実行される。このとき、カウンターである停止徐行状態時間、停止徐行回数および基準値未達回数をリセットする。また、本処理は、エンジンが停止した際に終了する。
【0030】
なお、ここで云う停止状態とは、車両の速度がゼロである状態を云い、徐行状態とは、すぐに停止できる速度状態を云う。
なお、停止徐行状態時間は、車両が停止状態または徐行状態である時間を示すカウンターであり、制御部11a内のRAMに記憶される。また、停止徐行回数は、エンジンスタートから車両が停止状態または徐行状態にある回数を示すカウンターであり、同じく制御部11a内のRAMに記憶される。また、基準値未達回数は、車両が減速していた期間のうちアクセル開度がゼロであった期間には省燃費運転が行われなかった回数を示すカウンターであり、同じく制御部11a内のRAMに記憶される。
【0031】
まず、車内LAN14経由で、車速センサ17から車速情報を取得するとともに、エンジンコンピュータ15から燃料消費量情報を取得する(S110)。
続いて、取得した車速情報および燃料消費量情報を取得時間とともに制御部11a内のRAMに記憶する(S120)。なお、上述の取得時間は、車載機本体11が内蔵する計時手段が示す現在時刻から特定される。
【0032】
続いて、取得した車速情報が示す車速が、予め設定される設定速度(停止徐行状態検出速度)よりも小さいか否かを判断する(S130)。
否定判断である場合には(S130:NO)、カウンターである停止徐行状態時間をリセットし(S140)、車両の走行状態を引き続き監視するためにS110に戻る。
【0033】
一方、肯定判断である場合には(S130:YES)、カウンターである停止徐行状態時間をカウントアップする(S150)。
続いて、停止徐行状態時間が、予め設定される設定時間(停止徐行状態検出時間)よりも大きいか否かを判断する(S160)。
【0034】
否定判断である場合には(S160:NO)、車両が停止状態または徐行状態の何れかにあると判断するには至らず、車両の走行状態を引き続き監視するためにS110に戻る。
【0035】
一方、肯定判断である場合には(S160:YES)、車両が停止状態または徐行状態の何れかにあると判断し、カウンターである停止徐行回数をカウントアップし(S170)し、本処理を終了して次のアクセル開度ゼロ期間算出処理に移行する。
【0036】
[3.アクセル開度ゼロ期間算出処理の説明]
次に、省燃費運転支援装置1の車載機本体11が実行するアクセル開度ゼロ期間算出処理について図3(a)のフローチャートおよび図4を参照して説明する。
【0037】
本処理は停止・徐行状態検出処理が終了した際に続いて実行される。
まず、制御部11a内のRAMに記録される車速情報から、車両の加速度値を算出する(S210)。
【0038】
続いて、車両が減速していた期間(減速期間)を算出する(S220)。なお、減速期間とは、上述のような停止状態または徐行状態に至るまでの期間を云う。また、停止状態または徐行状態に至るために減速する状態または減速操作中の状態である期間を減速期間としても良い。本実施形態では、この減速期間として、算出した加速度値が負である期間を算出する。なお、加速度値が負である期間でも、路面状況などによって微小時間の間だけ加速度値が正となることもあるが、この場合には上記期間を通じて加速度値が負であるとみなしても問題ない。よって、本実施形態では、加速度値が負である期間に微小時間の間だけ加速度値が正となった場合に、フィルタリングによって上記期間を通じて加速度値が負であるように補正している。
【0039】
続いて、制御部11a内のRAMに記録される燃料消費量情報から、減速期間のうちアクセル開度がゼロであった期間を算出する(S230)。このとき、燃料消費量が予め設定された値(アクセル開度ゼロ判定燃料噴射量)よりも小さい場合に、アクセル開度がゼロであると判定する。なお、エンジンコンピュータ15から車内LAN経由で取得したアクセル開度情報を用いてアクセル開度がゼロであるか否かを判定するようにしてもよい。
【0040】
そして、本処理を終了して次の省燃費運転診断処理に移行する。
[4.省燃費運転診断処理の説明]
次に、省燃費運転支援装置1の車載機本体11が実行する省燃費運転診断処理について図3(b)のフローチャートを参照して説明する。
【0041】
本処理はアクセル開度ゼロ期間算出処理が終了した際に続いて実行される。
まず、制御部11a内のRAMに記録される車速情報から、アクセル開度がゼロであった期間に走行した距離(以下、走行距離)を算出する(S310)。ここでは、アクセル開度がゼロであった期間の車速を積算することでこの走行距離を算出する。
【0042】
続いて、制御部11a内のRAMに記録される車速情報から、車両が減速を開始した時の車速(以下、減速前速度)を抽出する(S320)。
続いて、制御部11a内のRAMに記録される基準値マップを参照して、減速前速度に対応する基準値を特定する(S330)。
【0043】
なお、基準値マップとは、減速前速度ごとに基準値を対応付けたマップであり、一例を挙げると、減速前速度が50km/h以上である場合には基準値を500mとし、減速前速度が30〜50km/hである場合には基準値を300mとし、減速前速度が30km/h未満である場合には基準値を200mとするといった具合である。この基準値マップの設定内容は予め実験等によって予め設定してもよいし、ユーザによる操作によって設定するようにしてもよい。
【0044】
続いて、走行距離が基準値よりも小さいか否かを判断する(S340)。
否定判断である場合には(S340:NO)、車両が減速を開始した時の車速を勘案すると、減速期間のうちアクセル開度がゼロであった期間に走行した距離が充分な長さであると判断されることから、減速期間のうちアクセル開度がゼロであった期間には省燃費運転が行われたと判定(診断)する。
【0045】
一方、肯定判断である場合には(S340:YES)、車両が減速を開始した時の車速を勘案すると、減速期間のうちアクセル開度がゼロであった期間に走行した距離が充分な長さではないと判断されることから、減速期間のうちアクセル開度がゼロであった期間には省燃費運転が行われなかったと判定(診断)する。この場合には、カウンターである基準値未達回数をカウントアップし(S350)、省燃費運転が行われなかった旨をスピーカ12から音声で出力するとともに表示装置13に表示することでドライバに報知する(S360)。このことにより、ドライバが省燃費運転の判定結果(診断結果)を運転に速やかに反映させることができる。
【0046】
続いて、走行距離、減速前速度および診断結果をメモリカード19に記録する(S370)。
なお、診断結果には、停止徐行回数および基準値未達回数を含めてもよい。この場合、停止徐行回数に対する基準値未達回数の割合が小さいほど、省燃費運転が行われていたと診断することができる。このメモリカード19を事務所や個人宅にてパーソナルコンピュータ(PC)20へ接続すれば、記録される各種情報をPC20に入力して利用することができる。また、停車時や駐車時に、省燃費運転支援装置1を用いて、メモリカード19に記録される各種情報を利用してもよい。
【0047】
そして、リターンする。
[5.第1実施形態の効果]
(1)このように本第1実施形態の省燃費運転支援装置1によれば、車両が停止状態または徐行状態に至るまでの減速期間中にアクセル開度がゼロである状態で走行した距離を算出する。具体的には、車両が停止中または徐行中であることを検出し、それまでの減速期間中のアクセル開度がゼロであることを検出する。そして、そのアクセル開度がゼロであった期間を算出し、さらに、算出した期間中に車両が走行した走行距離を算出する。
【0048】
このことにより、車両の停止状態および徐行状態に至るまでの減速期間中にアクセル開度がゼロである状態で走行した走行距離を算出することで、無駄な速度変化によって生じるアクセル開度がゼロの走行距離を無視することができる。
【0049】
(2)また、本第1実施形態の省燃費運転支援装置1によれば、算出された走行距離が基準値以上であるときに車両が前記走行期間を走行した際に省燃費運転が行われていたと判定し、一方、前記走行距離が基準値よりも小さいときに車両が前記走行期間を走行した際に省燃費運転が行われていなかったと判定する。なお、上述の基準値については、走行期間の開始時の車速ごとに基準値の値が設定される基準値マップを参照して、基準値の値を走行期間の開始時の車速に応じて変更する。
【0050】
このことにより、走行中に車両の走行速度が必要以上に変化する状況であっても、省燃費運転を的確に診断することができる。
[第2実施形態]
以下に本発明の第2実施形態を図面とともに説明する。
【0051】
第2実施形態の省燃費運転支援装置2では、車載機本体11が各種センサ類に接続され、車内LAN14を介さずに各種センサ類から情報を取得することを特徴とする。
[1.省燃費運転支援装置2の構成の説明]
次に、省燃費運転支援装置2の構成について図5を参照して説明する。
【0052】
なお、以下の説明では第1実施形態と異なる部分のみを説明する。
車載機本体11は、図示しないI/Fを介して、所定時間当たりのエンジンの回転数を検出するエンジン回転センサ21、車速センサ17および車両の前後方向の加速度を検出するGセンサ22に接続されている。
【0053】
このことにより、車載機本体11は、エンジン回転センサ21から所定時間当たりのエンジンの回転数を示す情報を取得可能であり、車速センサ17から車速情報を取得可能であり、Gセンサ22から車両の前後方向の加速度を取得可能である。
【0054】
[2.省燃費運転支援装置2が実行する各種処理の説明]
次に、省燃費運転支援装置2が実行する各種処理について説明する。なお、以下の説明では第1実施形態と異なる部分のみを説明する。
【0055】
まず、停止・徐行状態検出処理のS110では、上記処理内容の代わりに、車内LAN14を経由せずに、エンジン回転数センサ21からエンジン回転数を示す情報を取得するとともに、車速センサ17から車速情報を取得する。
【0056】
また、同じく停止・徐行状態検出処理のS170では、道路勾配が予め設定した基準値以上である場合にはカウンターである停止徐行回数をカウントアップしないこととする。これは、減速状態でも燃料が噴射されている場合があり、この場合には燃料噴射の推定が困難だからである。なお、本実施形態では、Gセンサ22からの出力情報に基づき道路勾配を算出する。
【0057】
また、アクセル開度ゼロ期間算出処理のS220では、上記処理内容の代わりに、Gセンサ22から取得した車両の前後方向の加速度を用いて車両が減速していた期間を算出する。
【0058】
また、同じくアクセル開度ゼロ期間算出処理のS230では、上記処理内容の代わりに、減速期間のうちアクセル開度がゼロであった期間を算出する際に、エンジン回転数が予め設定された値(アクセル開度ゼロ判定エンジン回転数)よりも小さい場合にアクセル開度がゼロであると判定する(図6参照)。
【0059】
[3.第2実施形態の効果]
このように本第2実施形態の省燃費運転支援装置2によれば、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
[第3実施形態]
以下に本発明の第3実施形態を図面とともに説明する。
【0060】
第3実施形態の省燃費運転支援装置3では、車載機本体11が各種センサ類に接続され、車内LAN14を介さずに各種センサ類から情報を取得するとともに、現在位置測定機能および交差点停止・徐行判定機能を備えることを特徴とする。
【0061】
[1.省燃費運転支援装置3の構成の説明]
次に、省燃費運転支援装置2の構成について図8を参照して説明する。
なお、以下の説明では第1実施形態と異なる部分のみを説明する。
【0062】
車載機本体11は、上述の制御部11aおよびカードスロット部11bの他に、地図データを記憶する地図データ記憶部11cおよびGPSレシーバ11dを備える。
また、車載機本体11には、図示しないI/Fを介して、エンジン回転センサ21、車速センサ17、ブレーキランプ23、Gセンサ22、およびジャイロ25が接続されている。
【0063】
このことにより、車載機本体11は、エンジン回転センサ21から所定時間当たりのエンジンの回転数を示す情報を取得可能であり、車速センサ17から車速情報を取得可能であり、ブレーキランプ23から車両のブレーキが作動であることを示す情報を取得可能であり、Gセンサ22から車両の3軸方向の加速度を取得可能であり、ジャイロ25から車両の水平方向の角速度を示す情報を取得可能である。
【0064】
また、車載機本体11は、GPSレシーバ11dを介してGPSアンテナ24からGPS信号を取得可能である。
さらに、制御部11aは、さらに、車両の現在位置を測定する現在位置測定機能と、交差点での停止中または徐行中であることを判定する交差点停止・徐行判定機能とを有している。
【0065】
なお、現在位置測定機能とは、車速、車両の水平方向の角速度、GPS情報および地図データに基づき車両の現在位置を測定する機能である。また、交差点停止・徐行判定機能とは、交差点での信号機や一時停止による車両の停止状態や左右折時の車両の徐行状態を、現在位置測定機能による車両の現在位置に基づき判定する機能である。
【0066】
[2.省燃費運転支援装置3が実行する各種処理の説明]
次に、省燃費運転支援装置3が実行する各種処理について説明する。なお、以下の説明では第1実施形態と異なる部分のみを説明する。
【0067】
まず、停止・徐行状態検出処理のS110では、上記処理内容の代わりに、車内LAN14を経由せずに、エンジン回転数センサ21からエンジン回転数を示す情報を取得するとともに、車速センサ17から車速情報を取得する。
【0068】
また、同じく停止・徐行状態検出処理のS130では、上記処理内容の代わりに、制御部11aが、交差点停止・徐行判定機能によって交差点での信号機や一時停止による車両の停止状態(停止中)または左右折時の車両の徐行状態(旋回中)であると判定した場合に、車両が停止状態または徐行状態の何れかにあると判断し、カウンターである停止徐行状態時間をカウントアップする。
【0069】
また、同じく停止・徐行状態検出処理のS170では、道路勾配が予め設定した基準値以上である場合にはカウンターである停止徐行回数をカウントアップしないこととする。これは、減速状態でも燃料が噴射されている場合があり、この場合にはアクセル開度ゼロ期間の推定が困難だからである。なお、本実施形態では、車両の現在位置と地図データとに基づき道路勾配を算出する。
【0070】
また、アクセル開度ゼロ期間算出処理のS220では、上記処理内容の代わりに、ブレーキランプ23から取得したブレーキが作動中であることを示す情報を用いて車両が減速していた期間(減速期間)を算出する。
【0071】
また、同じくアクセル開度ゼロ期間算出処理のS230では、上記処理内容の代わりに、減速期間のうちアクセル開度がゼロであった期間を算出する際に、エンジン回転数が予め設定された値よりも小さい場合にアクセル開度がゼロであると判定する(図6参照)。
【0072】
[3.第3実施形態の効果]
このように第3実施形態の省燃費運転支援装置3によれば、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【符号の説明】
【0073】
1,2,3…省燃費運転支援装置、11…車載機本体、11a…制御部、11b…カードスロット部、11c…地図データ記憶部、11d…GPSレシーバ、12…スピーカ、13…表示装置、14…車内LAN、15…エンジンコンピュータ、16…アクセル開度センサ、17…車速センサ、19…メモリカード、20…パーソナルコンピュータ(PC)、21…エンジン回転センサ、22…Gセンサ、23…ブレーキランプ、24…GPSアンテナ、25…ジャイロ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が停止中または徐行中であることを判定する走行状態判定手段と、
前記車両のアクセルのアクセル開度がゼロであることを判定するアクセル開度判定手段と、
前記走行状態判定手段による判定結果および前記アクセル開度判定手段による判定結果に基づき、前記車両が停止中または徐行中に至るまでの減速期間中にアクセル開度がゼロであった走行期間を算出し、さらに、算出した走行期間中に前記車両が走行した走行距離を算出し、算出された走行距離に基づき、前記車両が前記走行期間を走行した際に省燃費運転が行われていたか否かを判定する運転診断手段と、
を備えることを特徴とする省燃費運転支援装置。
【請求項2】
前記走行状態判定手段は、前記車両の走行速度である車速が所定値未満であり且つ前記車両の加速度が負である期間が所定時間以上継続した場合に、前記車両が停止中または徐行中であると判定することを特徴とする請求項1に記載の省燃費運転支援装置。
【請求項3】
前記走行状態判定手段は、前記車両の現在位置および地図データに基づき、前記車両が交差点で停止中または旋回中であることを検出する場合に、前記車両が停止中または徐行中であると判定することを特徴とする請求項1に記載の省燃費運転支援装置。
【請求項4】
前記アクセル開度判定手段は、前記車両が所定時間内に消費する燃料量が所定値未満であるときにアクセル開度がゼロであると判定することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の省燃費運転支援装置。
【請求項5】
前記アクセル開度判定手段は、前記車両が搭載するエンジンが所定時間内に回転する回数が所定値未満であるときに、アクセル開度がゼロであると判定することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の省燃費運転支援装置。
【請求項6】
前記運転診断手段は、前記走行距離が基準値以上であるときに前記車両が前記走行期間を走行した際に省燃費運転が行われていたと判定し、一方、前記走行距離が基準値よりも小さいときに前記車両が前記走行期間を走行した際に省燃費運転が行われていなかったと判定することを特徴とする請求項1〜請求項5の何れかに記載の省燃費運転支援装置。
【請求項7】
前記運転診断手段は、前記走行期間の開始時の車速ごとに前記基準値の値が設定される基準値マップを参照して、前記基準値の値を前記走行期間の開始時の車速に応じて変更することを特徴とする請求項6に記載の省燃費運転支援装置。
【請求項8】
前記運転診断手段によって前記車両が前記走行期間を走行した際に省燃費運転が行われていなかったと判定された場合にその旨を報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項1〜請求項7の何れかに記載の省燃費運転支援装置。
【請求項9】
コンピュータを、請求項1〜請求項7の何れかに記載の省燃費運転支援装置の走行状態判定手段、アクセル開度判定手段および運転診断手段として機能させるためのプログラム。

【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図7】
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【図1】
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【図4】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−209834(P2010−209834A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58108(P2009−58108)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】