説明

真偽判定システム、真偽判定方法及びプログラム。

【課題】利便性と安全性を共に高めることができる真偽判定システムを提供する。
【解決手段】判定サーバ2は、これらの構成要素により、物体表面のランダムパターン(例えば、紙の繊維パターン)からなる基準パターンを記憶する基準データ記憶部202と、当該記憶されている基準パターンと判定対象パターン(即ち、PFP取得装置10により送信された画像データ)との相関値を算出する相関値算出部204と、制御値を制御する閾値制御部206と、算出された相関値と制御された閾値とを比較して基準パターンと判定対象パターンとの同一性を判定する比較部208とを有する。閾値制御部206は、判定履歴及びカード利用時の金額並びに商品数に基づいて閾値を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレジットカード、キャッシュカード等の真偽判定を行う真偽判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の真偽判定システムでは、本物を偽物として許容する誤りの率(FRR;False Reject Rate)と、偽物を本物として許容する誤りの率(FAR;False Accept Rate)とが、利便性と安全性に関係し、互いにトレードオフの関係にある。安全性を重視して偽物を排除しようとして判定閾値を厳しくすれば、本物が排除される率も高くなり利便性が悪くなる。逆に、利便性を重視すれば安全性が損なわれる。
【0003】
真偽判定を行う手法として、特許文献1〜特許文献6が挙げられる。
特許文献1では、カード状媒体自体の真正さ及び使用者の真正さを判別する手法が開示されている。しかしながら、判定結果は、真又は偽の二値だけであり、パターン照合に関しては何ら開示されていない。
特許文献2では、ICカードに登録者に対する複数の情報を書き込んでおき、カード利用時には適合率に応じて複数の生体情報を利用して本人確認を判定する手法が開示されている。しかしながら、この手法では、FARは減少するが、FRRは改善されない。
【0004】
特許文献3では、登録者の指紋をIDカードに登録し、指紋照合時には、IDカードに記録された指紋処理情報に応じて、指紋入力手段、入力指紋データ作成手段又は照合判定手段を調整する手法が開示されている。しかしながら、この手法は、カード毎に異なる照合判定手段が用意されているだけである。
【0005】
特許文献4では、利用者の顔の特徴量に関する本人認証情報及び本人の顔と他人の顔の特徴量の類似度の分布に関する判断レベル情報を記録し、判定閾値で得られるFRR/FARの情報からセキュリティレベルに応じて所定の処理の許可を判定する顔画像認証技術が開示されている。しかしながら、この手法では、予め本人と他人の顔の類似度の分布に関する判断レベルを決めておく必要がある。
【0006】
特許文献5では、照合結果を元にカードに記録した顔画像データを更新するか判定して、本人の顔の経時変化に対応する顔認証技術が開示されている。しかしながら、この手法では、照合結果が低下した場合、その原因が、似たよう顔の別人によるものであるか又は本人の顔の経時変化によるものであるかが不明なので、別人の顔で登録してしまう可能性がある。
【0007】
特許文献6では、指紋認証の閾値を二つ用意しておいて、高い方を上回れば使用許可、低い方を下回れば使用不可、中間だと暗証番号を求めて照合するクレジットカードの認証技術が開示されている。しかしながら、この手法は、カードの利用局面に無関係に使用許可又は不可の二値判定を行うものである。
【0008】
また、特許文献7では、いわゆる紙指紋技術を用いた真偽判定手法が開示されている。
【0009】
【特許文献1】特開2000−163553号公報
【特許文献2】特開2001−338295号公報
【特許文献3】特開2003−67745号公報
【特許文献4】特開2003−99780号公報
【特許文献5】特開2003−337926号公報
【特許文献6】特開平4−157586号公報
【特許文献7】特開2005−38389号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述した背景からなされたものであり、利便性と安全性を共に高めることができる真偽判定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係る真偽判定システムは、物体表面のランダムパターンからなる基準パターンを記憶する記憶手段と、前記記憶手段により記憶されている基準パターンと判定対象パターンとの相関値を算出する算出手段と、閾値を制御する閾値制御手段と、前記算出手段により算出された相関値及び前記閾値制御手段により制御された閾値に基づいて、基準パターンと判定対象パターンとの同一性を判定する判定手段とを有する。
【0012】
好適には、前記閾値制御手段は、予め記憶されている判定履歴に基づいて閾値を制御する。
好適には、金額を受け付ける受付手段をさらに有し、前記閾値制御手段は、前記金額受付手段により受け付けられた金額にさらに基づいて閾値を制御する。
好適には、前記受付手段は、商品数をさらに受け付け、前記閾値制御手段は、前記受付手段により受け付けられた商品数にさらに基づいて閾値を制御する。
【0013】
また、本発明に係る真偽判定方法は、物体表面のランダムパターンからなる基準パターンを記憶し、前記記憶されている基準パターンと判定対象パターンとの相関値を算出し、
閾値を制御し、前記算出された相関値及び前記制御された閾値に基づいて、基準パターンと判定対象パターンとの同一性を判定する。
【0014】
また、本発明に係るプログラムは、コンピュータを含む真偽判定システムにおいて、物体表面のランダムパターンからなる基準パターンを記憶する記憶ステップと、前記記憶されている基準パターンと判定対象パターンとの相関値を算出する算出ステップと、閾値を制御する閾値制御ステップと、前記算出された相関値及び前記制御された閾値に基づいて、基準パターンと判定対象パターンとの同一性を判定する判定ステップとを前記真偽判定システムのコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の真偽判定システムによれば、利便性と安全性を共に高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
まず、本発明の真偽判定システムにおいて用いられるパターン照合カードを説明する。
図1は、パターン照合カードを説明する図であって、図1(A)は、紙の繊維パターンを例示し、図1(B)は、紙からなるパターン照合カードを示し、図1(C)は、プラスチックあるいは銀塗装面からなるパターン照合カードを示す。
図1(A)に例示するように、紙は、植物繊維が複雑に絡み合ってできている。植物繊維の幅は、一般に4〜70μmであり、広葉樹から作られた普通紙では10〜50μm、針葉樹から作られた普通紙では20〜70μmである。
【0017】
紙に含まれる植物繊維等のランダムパターンを、それぞれの紙を識別する「指紋」として用いることをPFP(紙指紋;Paper Finger Print)技術ともいう。なお、PFP技術は、紙だけではなく、ランダムパターンを持つ物体、例えばブラスト処理された金属板や銀塗装されたプラスチック板などにも適用されうる。
【0018】
パターン照合カードは、このように自然に形成されるランダムパターンを識別対象として含む。図1(B)及び図1(C)に示すように、パターン照合カードは、紙、プラスチックあるいは銀塗装のランダムなパターンを有する。図1(B)に示されるパターン照合カードは、ランダムパターンとして紙の繊維パターンを有する。識別対象となるランダムパターン部分は、パターン照合カードの少なくとも一部に含まれ、その面積は、1乃至2mm四方である。カードキーのいずれかの箇所に識別対象部分の1乃至2mm四方の平面領域が確保されていればよいので、カード全体のデザインの自由度が非常に高くなり、カードの小型化が容易である。
【0019】
パターン照合カードは、後述する真偽判定システムにより、本物であるか偽物であるかを判定される。紙の繊維パターンを意図的に再現することは困難であるので、上記のパターン照合カードそれぞれは極めて高精度に識別されることができ、その偽造は極めて困難である。
【0020】
次に、本発明の実施形態に係る真偽判定システム1を説明する。
図2は、パターン照合カード6の真偽判定処理を行う真偽判定システム1を示す図である。
図2に示すように、真偽判定システム1は、PFP登録部8を有するパターン照合カード6からPFP登録部8の画像データを取得するPFP取得装置10と、このPFP取得装置10とネットワーク100を介して接続される判定サーバ2とを有する。判定サーバ2は、ネットワーク102を介して例えば金融機関の履歴サーバ3と接続されている。また、端末装置5は、ネットワーク100を介して判定サーバ2と、ネットワーク102を介して履歴サーバ3と接続されており、判定サーバ2及び履歴サーバ3とデータの送受信を行う。
【0021】
PFP取得装置10は、パターン照合カード6が挿入される挿入口4と、この挿入口4に挿入されたパターン照合カード6のPFP登録部8の画像を取得するカメラ14と、このカメラ14により取得された画像データを判定サーバ2に対して送信する制御装置12とを有する。PFP取得装置10は、カメラ14を介してパターン照合カード6のPFP登録部8の画像を取得し、この画像データを判定サーバ2に対して送信する。なお、PFP取得装置10は、PFP登録部8を含むクレジットカード、キャッシュカード等が挿入されるものである。
【0022】
カメラ14は、例えば640×480(約30万画素)の有効画素を有する白黒タイプのCCDである。カメラ14は、パターン照合カード6が挿入口4に挿入されると、有効画素が占める領域全体に対し、当該パターン照合カード6に付されたPFP登録部8を含む領域(例えば、7.7mm×5.7mmの領域)が図示しない光学系(レンズ)によって結像するようにされている。ここで、1画素当たりのパターン照合カード6上の観測領域は、約12μm×12μm(7.7mm/640≒12μm、5.7mm/480≒12μm)となっている。カメラ14は、PFP登録部8を含む領域を結像して取得した画像データを識別対象パターンとして制御装置12に対して出力する。カメラ14は、パターン照合カード6上のPFP登録部8を、例えば32×32画素〜64×64画素程度の画像データとして取得する。なお、カメラ14は、スキャナ等の画像読取装置であってもよい。
【0023】
履歴サーバ3は、パターン照合カード6の利用履歴等を記憶する。この履歴には、カード利用者、利用日時、利用場所、カードを用いて購入された商品情報(商品名、商品数等)、その際の金額などが含まれる。なお、履歴サーバ3は、外部の銀行、証券会社、クレジットカード会社等に含まれてもよく、この場合、判定サーバ2は、履歴サーバ3から利用履歴等のデータを受信すればよい。
【0024】
端末装置5は、パターン照合カード6を用いて購入される商品の種別並びに金額を受け付けて、判定サーバ2及び履歴サーバ3に対して送信する。このようにして、端末装置5は、商品数、金額を受け付ける受付手段を構成する。また、端末装置5は、判定サーバ2、履歴サーバ3及び制御装置12からデータを受け付けて、液晶ディスプレイ等の表示装置に表示する。
【0025】
判定サーバ2は、予め記憶している物体表面のランダムパターン(例えば、紙の繊維パターン)からなる基準パターンと、PFP取得装置10により送信された画像データ(識別対象パターン)との同一性を判定する。また、判定サーバ2は、判定結果を履歴サーバ3、端末装置5等に対して送信する。なお、判定サーバ2については、後で詳述する。判定サーバ2は、制御装置12に含まれてもよい。
【0026】
図3は、判定サーバ2、履歴サーバ3、端末装置5及び制御装置12のハードウェア構成を示す図である。
図3に例示するように、判定サーバ2等は、CPU18、メモリ20、ネットワークを介して外部のコンピュータ及びカメラ14などとデータの送信及び受信を行う通信インタフェース(IF)22、ハードディスクドライブ(HDD)・CD・DVD装置等の記憶装置24、液晶ディスプレイ等の表示装置26、及びキーボード・ポインティングデバイス等を含む入力装置28を有する。これらの構成要素は、バス30により互いに接続されている。判定サーバ2等は、後述するプログラムがインストールされた例えば汎用コンピュータである。
【0027】
図4は、判定サーバ2により実行される真偽判定プログラム200の機能構成を示す図である。
図4に示すように、真偽判定プログラム200は、基準データ記憶部202、相関値算出部204、閾値制御部206及び比較部208を有する。真偽判定プログラム200は、メモリ20にロードされて、CPU18により実行される。なお、真偽判定プログラム200の全部又は一部の機能は、判定サーバ2に設けられたハードウェアにより実現されてもよい。
【0028】
判定サーバ2は、これらの構成要素により、物体表面のランダムパターンからなる基準パターンを記憶し、当該記憶されている基準パターンと判定対象パターン(即ち、PFP取得装置10により送信された画像データ)との相関値を算出し、閾値を制御し、算出された相関値と制御された閾値とに基づいて、基準パターンと判定対象パターンとの同一性を判定する。
【0029】
基準データ記憶部202は、PFP取得装置10に挿入されたパターン照合カード6のPFP登録部8に付されたランダムパターンからなる基準パターンを記憶する。基準データ記憶部202には、複数の基準パターンが記憶されており、当該複数の基準パターンは、識別子(ID)により一意に識別される。基準パターンは、例えば、32×32画素の画像データであって、それぞれの画素は256階調で表されるものである。基準データ記憶部202は、メモリ20、記憶装置24等により実現される。
【0030】
相関値算出部204は、基準データ記憶部202により記憶されている基準パターンであって識別対象のIDを有する基準パターンと、PFP取得装置10により取得された画像データ(判定対象パターン)との相関値を算出する。なお、IDは、端末装置5又はPFP取得装置10により受け付けられて、判定サーバ2に対して送信される。
【0031】
より具体的には、相関値算出部204は、入力された識別対象パターンにおいて部分領域を設定し、この部分領域の画像を照合用画像とし、照合用画像と基準パターンとの相関値を算出する。また、相関値算出部204は、部分領域を1画素ずつずらし、これらの部分領域に対応する複数の照合用画像のそれぞれと、基準パターンとの相関値を算出し、相関値の最大値を求める。また、相関値算出部204は、次式を用いてノーマライズドスコアNを求める。
N=(相関値の最大値−相関値の平均値)/相関値の標準偏差 ・・・(1)
相関値算出部204は、相関値の最大値、及びノーマライズドスコアを比較部208に対して出力する。
【0032】
閾値制御部206は、閾値を制御し、当該閾値を比較部208に対して出力する。好適には、閾値制御部206は、予め記憶されている判定履歴に基づいて閾値を制御する。より具体的には、閾値制御部206は、履歴サーバ3(図2)に記憶されているカード利用時の真偽判定履歴を履歴サーバ3に対して問い合わせ、履歴サーバ3から真偽判定履歴を受け付け、パターン照合カード6が偽者であると判定された割合が所定値より大きい場合には、閾値を予め設定されている値より大きくする。なお、閾値には、後述する比較部208により相関値の最大値と比較される第1の閾値、及びノーマライズドスコアと比較される第2の閾値が含まれる。
【0033】
閾値制御部206は、端末装置5(図2)により受け付けられた金額にさらに基づいて閾値を制御してもよい。より具体的には、閾値制御部206は、カード利用時の商品それぞれの金額あるいはこれらの総和を受け付けて、当該金額が所定値より大きい場合には、閾値を予め設定されている値より大きくする。
【0034】
また、閾値制御部206は、端末装置5により受け付けられた商品数にさらに基づいて閾値を制御してもよい。より具体的には、閾値制御部206は、カードを利用して一度に購入される商品数を受け付けて、当該商品数が所定値より大きい場合には、閾値を予め設定されている値より大きくする。
また、閾値制御部206は、利用履歴を参照し、当該購入者が、少額商品(所定値より小さい金額の商品)を所定の頻度より大きい頻度で購入している場合には、閾値を予め設定されている値より大きくする。
【0035】
比較部208は、閾値制御部206により制御された閾値(第1の閾値及び第2の閾値)を受け付け、相関値算出部204により算出された相関値の最大値と第1の閾値とを比較し、算出されたノーマライズドスコアと第2の閾値とを比較する。比較部208は、比較結果が条件を満たす場合、取得された識別対象パターンと基準パターンとが同一である(即ち、真である)と判定する。例えば、比較部208は、相関値の最大値が第1の閾値より大きく、かつノーマライズドスコアが第2の閾値より大きい場合、真であると判定する。このようにして、比較部208は、算出された相関値及び制御された閾値に基づいて基準パターンと判定対象パターンとの同一性を判定する判定手段を構成する。
【0036】
なお、紙を形成する植物繊維の幅が4〜70μmであるため、解像度を2400dpiとすると、ごく少数の植物繊維に由来する特徴量の分布を反映することとなり、同一性の判定精度が低下する場合がある。したがって、十分な判定精度を得るために、基準パターン画像及び識別対象パターン画像は、少なくとも16×16画素の領域であることが好ましい。好適には、基準パターンは、32×32〜256×256画素であり、取得される識別対象パターンは、基準パターンより大きい領域である。また、カメラ14の解像度が高く、1画素当たりの観測領域の一辺の長さが4μm未満である場合には、判定サーバ2は、受け付けた画像データに対して標本化処理(モザイク処理など)を施してから真偽判定処理を行ってもよい。
【0037】
図5は、異なるパターンを有するパターン照合カードを照合した場合、及び基準パターンと同一のパターンを有するパターン照合カードを照合した場合における基準パターンに対する識別対象パターンの類似度(相関値、ノーマライズドスコア)と、正規化した頻度との関係を示す図である。
図5に示すように、閾値Thに応じて、パターン照合カード6の真偽を判定する場合、本物のパターン照合カード6を偽者と判定する誤りと、偽者のパターン照合カード6を本物と判定する誤りとが発生しうる。真偽判定システム1は、FRR及びFARが共に略0になるように閾値Thを設定することが好ましい。上記の通り、本発明の実施形態に係る真偽判定システム1は、カード利用者の利用履歴、利用金額、商品数などに基づいて閾値Thを制御する。
【0038】
図6は、真偽判定プログラム200真偽判定処理(S10)を示すフローチャートである。
図6に示すように、ステップ100(S100)において、カード利用者が、商品購入のためにパターン照合カード6を提示すると、店員等は、商品の金額や個数を端末装置5に入力し、提示されたパターン照合カード6をPFP取得装置10に挿入する。判定サーバ2上で動作する真偽判定プログラム200(図4)の相関値算出部204は、PFP取得装置10(図2)のカメラ14により取得されたパターン照合カード6の画像データ及び当該パターン照合カード6のIDを制御装置12から受け付けたか否かを判定する。真偽判定プログラム200は、相関値算出部204が識別対象パターンを受け付けた場合にはS102の処理に進み、そうでない場合にはS100の処理に戻る。
【0039】
ステップ102(S102)において、相関値算出部204は、基準データ記憶部202に記憶されている当該IDに対応する基準パターンを参照する。
ステップ104(S104)において、相関値算出部204は、識別対象パターンにおいて部分領域を設定し、部分領域を1画素ずつずらして、これらの部分領域に対応する複数の照合用画像のそれぞれと、基準パターンとの相関値を算出し、相関値の最大値を求める。また、相関値算出部204は、ノーマライズドスコアNを求める。
【0040】
ステップ106(S106)において、閾値制御部206は、履歴サーバ3に記憶されている当該IDのカード利用時の真偽判定履歴並びに利用履歴、及び端末装置5から送信された商品の金額並びに数に基づいて、予め設定されている閾値(第1の閾値及び第2の閾値)を制御する。
ステップ108(S108)において、比較部208は、相関値算出部204により算出された相関値の最大値と閾値制御部206により制御された第1の閾値とを比較し、相関値算出部204により算出されたノーマライズドスコアと閾値制御部206により制御された第2の閾値とを比較して、提示されたパターン照合カード6の真偽を判定する。
【0041】
以上説明したように、本発明に係る真偽判定システムは、 物体表面のランダムパターンからなる基準パターンを記憶する記憶手段と、前記記憶手段により記憶されている基準パターンと判定対象パターンとの相関値を算出する算出手段と、閾値を制御する閾値制御手段と、前記算出手段により算出された相関値及び前記閾値制御手段により制御された閾値に基づいて、基準パターンと判定対象パターンとの同一性を判定する判定手段とを有する。したがって、本発明に係る真偽判定システムによれば、カード利用者はパターン照合カードを提示するだけであり、真偽判定のための閾値は制御されるので、利便性と安全性を共に高めることができる。
【0042】
また、本発明に係る真偽判定システムは、カード利用時の判定履歴、金額並びに商品数にさらに基づいて閾値を制御するので、被害を低減することができ、利便性を低くすることなく安全性をさらに高めることができる。
【0043】
本発明に係る真偽判定システムは、クレジットカード、キャッシュカード等の真偽を判定することに用いられてもよい。また、本発明に係る真偽判定システムは、現金自動支払機(ATM)における真偽判定処理にも用いられることができる。
【0044】
なお、本発明に係る真偽判定システムは、カード利用時の判定履歴、金額、商品数等に基づいて、購入限度額、引き落とし可能限度額等の利用限度額を制御してもよい。例えば、真偽判定システムは、パターン照合カードが偽者であると判定された割合が所定値より大きい場合、カード利用時の商品それぞれの金額あるいはこれらの総和が所定値より大きい場合、一度に購入される商品数が所定値より大きい場合、又は少額商品(所定値より小さい金額の商品)を所定の頻度より大きい頻度で購入している購入者による利用である場合、利用限度額を予め設定されている値より小さくする。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】パターン照合カードを説明する図であって、図1(A)は、紙の繊維パターンを例示し、図1(B)は、紙からなるパターン照合カードを示し、図1(C)は、プラスチックあるいは銀塗装面からなるパターン照合カードを示す。
【図2】パターン照合カード6の真偽判定処理を行う真偽判定システム1を示す図である。
【図3】判定サーバ2、履歴サーバ3、端末装置5及び制御装置12のハードウェア構成を示す図である。
【図4】判定サーバ2により実行される真偽判定プログラム200の機能構成を示す図である。
【図5】異なるパターンを有するパターン照合カードを照合した場合、及び基準パターンと同一のパターンを有するパターン照合カードを照合した場合における基準パターンに対する識別対象パターンの類似度(相関値、ノーマライズドスコア)と、正規化した頻度との関係を示す図である。
【図6】真偽判定プログラム200真偽判定処理(S10)を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0046】
1 真偽判定システム
2 判定サーバ
3 履歴サーバ
4 挿入口
5 端末装置
6 パターン照合カード
8 PFP登録部
10 PFP取得装置
12 制御装置
14 カメラ
18 CPU
20 メモリ
22 通信IF
24 記憶装置
200 真偽判定プログラム
202 基準データ記憶部
204 相関値算出部
206 閾値制御部
208 比較部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体表面のランダムパターンからなる基準パターンを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段により記憶されている基準パターンと判定対象パターンとの相関値を算出する算出手段と、
閾値を制御する閾値制御手段と、
前記算出手段により算出された相関値及び前記閾値制御手段により制御された閾値に基づいて、基準パターンと判定対象パターンとの同一性を判定する判定手段と
を有する真偽判定システム。
【請求項2】
前記閾値制御手段は、予め記憶されている判定履歴に基づいて閾値を制御する
請求項1に記載の真偽判定システム。
【請求項3】
金額を受け付ける受付手段をさらに有し、
前記閾値制御手段は、前記金額受付手段により受け付けられた金額にさらに基づいて閾値を制御する
請求項1又は2に記載の真偽判定システム。
【請求項4】
前記受付手段は、商品数をさらに受け付け、
前記閾値制御手段は、前記受付手段により受け付けられた商品数にさらに基づいて閾値を制御する
請求項3に記載の真偽判定システム。
【請求項5】
物体表面のランダムパターンからなる基準パターンを記憶し、
前記記憶されている基準パターンと判定対象パターンとの相関値を算出し、
閾値を制御し、
前記算出された相関値及び前記制御された閾値に基づいて、基準パターンと判定対象パターンとの同一性を判定する
真偽判定方法。
【請求項6】
コンピュータを含む真偽判定システムにおいて、
物体表面のランダムパターンからなる基準パターンを記憶する記憶ステップと、
前記記憶されている基準パターンと判定対象パターンとの相関値を算出する算出ステップと、
閾値を制御する閾値制御ステップと、
前記算出された相関値及び前記制御された閾値に基づいて、基準パターンと判定対象パターンとの同一性を判定する判定ステップと
を前記真偽判定システムのコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−279812(P2007−279812A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−101897(P2006−101897)
【出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】