真性糖尿病および他の代謝不均衡の治療または予防のための方法
本発明は、アブラヤシ属の果実から得られる抽出物を使用する、真性糖尿病および他の関連疾患または障害を含めた代謝不均衡の治療および予防方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2008年4月2日出願の米国特許出願第12/080,361号の優先権の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、油ヤシ果汁を使用する、真性糖尿病、前糖尿病状態、および他の関連する障害の治療および予防方法に関する。
【背景技術】
【0003】
真性糖尿病は、脂肪、炭水化物、およびタンパク質の慢性の代謝疾患である。それはインスリン産生、インスリン作用、またはその両方の異常から生じる高い血中グルコース値を特徴とし、これがグルコースの輸送および代謝障害につながり、結果として高血糖症が生じる。世界保健機関(WHO)は、1憶8000万人を超える人々が糖尿病を患っていると推定しており、糖尿病は最も一般的な非伝染性疾病の1つであり、2030年までには倍増すると予想されている。
【0004】
米国では、人口のおよそ7%に相当する2080万人が糖尿病を有している。推定1460万人が糖尿病と診断されている;しかしながら、120万人は、彼らが疾患を有していることに気づいていない。成人(20歳以上)の10%よりも多くが糖尿病を有しており、60歳以上のアメリカ人の20%よりも多くが疾患を有している。糖尿病と診断されたすべての人々のおよそ90〜95%が、成人発症型または2型の糖尿病を有している。糖尿病を有する残りの5〜10%の人々(一般に子どもおよび若年成人)は、インスリン依存性または1型の糖尿病を有する。糖尿病の進行の危険性は、通常はボディマスインデックスで測定するが、これは年齢および体重と共に増大する。毎年、成人に対し、約150万の新たな症例が診断される。2002年において、糖尿病は米国における死因の第6番目であり、しかも実際より少なく報告されている可能性が非常に高い。
【0005】
心臓疾患、脳卒中、高血圧、眼合併症(網膜症、白内障)、腎疾患(腎症)、神経系疾患(神経障害)、末梢血管疾患、歯の疾病、胃不全麻痺、性機能不全、および妊娠中の合併症を包含する糖尿病を引き起こす、深刻な内科的合併症が存在する。年齢をマッチングさせた糖尿病を有する人々の死亡の危険性は、概ね、糖尿病を有しない人々の約2倍である。
【0006】
1型の糖尿病を有する人々は、ポンプまたは注入によって送達することによって、インスリンを補充しなければならない。2型の糖尿病を有する人々は、注意深い食餌および運動プログラム、減量、および/または経口薬の摂取に従って、血中グルコースを調節することができる場合がある。糖尿病を有する人々の多くは、コレステロールおよび血圧を調節するために経口薬の摂取も必要とする。糖尿病と診断された成人のうち約11%がインスリンおよび経口薬の両方を摂取し、22%がインスリンのみを摂取し、49%が経口薬のみを摂取し、17%はインスリンと経口薬のどちらも摂取していない。殆どの非インスリン療法は、血中グルコース値を低下させるか、食後のグルコース値に対する感応性を向上させるか、あるいはインスリンの膵臓分泌を増大させるように設計された経口薬である。経口の抗糖尿病は、抗糖尿病用医薬品販売全体の約63%を占める。例えばメトホルミンは、肝臓が過剰量の糖を作るのを防ぐことによって作用するが、すべての患者に有効ではなく、有効性は典型的には経時によって低下する。別の種類の薬物であるインスリン増感剤、すなわちグリタゾンは、インスリン耐性を低減させて、糖尿病のインスリン値の低下をさらに有効にする手助けをする。しかしながら、グリタゾンは肝臓毒性および死亡と関連付けられており、したがって医師はこれらの薬物の使用に対して依然として慎重である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、糖尿病および他の関連する障害を治療するために、さらにより安全かつ有効な治療が、非常に広範な臨床において必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、少なくとも、真性糖尿病および他の代謝不均衡を治療および予防するための方法およびキットを対象とする。
【0009】
1つの実施の形態では、本発明は、アブラヤシ属の果実から得られる抽出物を治療に有効な量で哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における代謝不均衡の治療方法を提供する。
【0010】
1つの態様では、抽出物は、栄養補助組成物または医薬組成物におけるものである。別の態様では、抽出物は水溶性の成分である。さらに別の態様では、水溶性の抽出物はフェノール類である。特定の態様では、フェノール類はケイヒ酸および安息香酸の誘導体を含む。別の実施の形態では、抽出物は、ヤシ油をミリング処理した植物液から得られる、ヤシ果汁である。
【0011】
別の実施の形態では、本方法は、さらに、インスリン分泌および/または感応性を増強することを含む。さらに別の実施の形態では、本方法は、さらに、血中グルコース値を低減することを含む。
【0012】
本発明のある態様では、代謝不均衡は、真性糖尿病、妊娠性糖尿病、β−細胞機能の遺伝子欠損、インスリン作用に関する遺伝子異常、膵外分泌疾患、内分泌障害、薬物または化学物質誘発性、感染、および、糖尿病、前糖尿病状態、およびメタボリック・シンドロームに関連する他の遺伝的症候群からなる群より選択される。1つの態様では、代謝不均衡はI型および/またはII型を含めた真性糖尿病である。別の態様では、代謝不均衡は、成人における潜在性の自己免疫性糖尿病(例えば1.5型糖尿病)である。
【0013】
さらに別の態様では、哺乳動物における真性糖尿病の治療は、真性糖尿病の二次的な内科的合併症を予防する。さらに別の態様では、真性糖尿病の二次的な内科的合併症は、心臓疾患、脳卒中、高血圧、網膜症、白内障、腎症、神経障害、末梢血管疾患、歯の疾病、胃不全麻痺、性機能不全、または妊娠中の合併症を含む。
【0014】
本発明によれば、代謝不均衡はメタボリック・シンドロームでありうる。1つの態様では、メタボリック・シンドロームの治療には、1つ以上の診断基準を治療することが含まれる。さらに別の実施の形態では、診断基準は、胴囲、トリグリセリド、HDL、血圧、および空腹時血中グルコース値からなる群より選択される。さらに別の実施の形態では、代謝不均衡は前糖尿病状態であり、哺乳動物は真性糖尿病のリスク因子を1つ以上有する。別の態様では、前糖尿病状態は、低下した空腹時グルコース値またはグルコース不耐性を含む。さらに別の態様では、真性糖尿病の1つ以上のリスク因子は、年齢、身体不活動、BMIの異常、遺伝学的疾病素質、民族性、高血圧、多嚢胞性卵巣症候群、循環器疾患、以前に低下した空腹時グルコースまたはグルコース耐性、およびインスリン耐性に関連する他の臨床症状からなる群より選択される。
【0015】
本発明はさらに、キットの使用を含む。1つの実施の形態では、キットは、(a)前記アブラヤシ属の果実のミリング処理から得られる植物液の抽出物の組成物を含むパッケージと、(b)前記アブラヤシ属の果実のミリング処理から得られる植物液の抽出物を代謝不均衡の治療に使用するための使用説明書とを含む。別の実施の形態では、代謝不均衡は真性糖尿病である。
【0016】
ある実施の形態では、本発明は、アブラヤシ属の果実から得られる抽出物を治療に有効な量で含む、哺乳動物が摂取するための栄養補助組成物に関する。
【0017】
ある実施の形態では、本発明は前述の栄養補助組成物のいずれか1つに関し、ここで前記抽出物は粉末、液体、または固体である。ある実施の形態では、本発明は前述の栄養補助組成物のいずれか1つに関し、ここで前記粉末は再構成可能なな濃縮物である。
【0018】
ある実施の形態では、本発明は前述の栄養補助組成物のいずれか1つに関し、さらに、必須脂肪酸、抗酸化物質、ビタミン、またはミネラルを含む。
【0019】
ある実施の形態では、本発明は前述の栄養補助組成物のいずれか1つに関し、さらに、γ−リノレン酸、リノール酸、亜鉛、銅、セレン、ヨウ化物、ピリドキシン、葉酸、コバラミン、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンE、チアミン二リン酸、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンD、マンガン、ビタミンA、リボフラビン、ナイアシン、ナイアシンアミド、パントテン酸、ビオチン、イノシトール、酒石酸水素コリン、ベタイン、ビタミンK、モリブデン、クロム、カリウム、シトラスバイオフラボノイド、混合カロチノイド、緑茶抽出物、またはN−アセチルシステインを含む。
【0020】
ある実施の形態では、本発明は前述の栄養補助組成物のいずれか1つに関し、さらに、ショウガ、ボスウェリア、フルーツ香味剤、着色剤、または保存料を含む。
【0021】
ある実施の形態では、本発明は前述の栄養補助組成物のいずれか1つに関し、さらに、ゼラチン、アジュバント、水、ピーナッツ油、ミネラルオイル、大豆油、ゴマ油、化学合成油、安定剤、または緩衝剤を含む。
【0022】
ある実施の形態では、本発明は、前述の栄養補助組成物のうち1つ以上を含む調理済み食品に関する。
【0023】
ある実施の形態では、本発明は、アブラヤシ属の果実から得られる抽出物を治療に有効な量で哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における利尿を誘発する方法に関する。
【0024】
ある実施の形態では、本発明は、アブラヤシ属の果実から得られる抽出物を治療に有効な量で哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における高血圧を治療する方法に関する。
【0025】
ある実施の形態では、本発明は前述の方法のいずれか1つに関し、ここで前記抽出物は栄養補助組成物または医薬組成物におけるものである。
【0026】
ある実施の形態では、本発明は前述の方法のいずれか1つに関し、ここで前記抽出物は水溶性の成分である。ある実施の形態では、本発明は前述の方法のいずれか1つに関し、ここで前記水溶性の抽出物はフェノール類を含む。ある実施の形態では、本発明は前述の方法のいずれか1つに関し、ここで前記フェノール類はケイヒ酸および安息香酸の誘導体を含む。
【0027】
ある実施の形態では、本発明は前述の方法のいずれか1つに関し、ここで前記抽出物はアブラヤシ属から得られるものである。
【0028】
ある実施の形態では、本発明は前述の方法のいずれか1つに関し、ここで前記抽出物は、ヤシ油をミリング処理した植物液から得られるヤシ果汁である。
【0029】
ある実施の形態では、本発明は、
(a)前記アブラヤシ属の果実のミリング処理から得られる植物液の抽出物の組成物を含むパッケージと、
(b)前記アブラヤシ属の果実のミリング処理から得られる植物液の抽出物を、それらを必要とする哺乳動物における利尿の誘発に使用するための使用説明書と、
を含むキットに関する。
【0030】
ある実施の形態では、本発明は、
(a)前記アブラヤシ属の果実のミリング処理から得られる植物液の抽出物の組成物を含むパッケージと、
(b)前記アブラヤシ属の果実のミリング処理から得られる植物液の抽出物を、それらを必要とする哺乳動物における高血圧の治療に使用するための使用説明書と、
を含むキットに関する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】ナイルサバンナネズミ(Nile rat;Arvicanthis niloticus)の写真。
【図2】週齢52週までのオスおよびメスのナイルサバンナネズミの成長グラフ。
【図3】週齢別のオスおよびメスのナイルサバンナネズミの食物消費を示す、2つのパネルグラフ。
【図4】月齢8ヶ月までのナイルサバンナネズミの随時血中グルコース値のグラフ。
【図5】月齢12ヶ月までのナイルサバンナネズミの空腹時血中グルコース値のグラフ。50週まで生存した動物は少数であり、それらは比較的低度の高血糖症(糖尿病)を有していた。
【図6】自然発症性糖尿病が進行するオスのナイルサバンナネズミの異なる随時血中グルコースの測定値における水分摂取のグラフ。測定は、週齢20〜32週の23匹のオスのナイルサバンナネズミから採取して行った。
【図7】2型の糖尿病が進行するオスのナイルサバンナネズミについての食物摂取、水分摂取、および体重を示すグラフのパネル。オスのナイルサバンナネズミは、食物および水分摂取の増大は、2型の糖尿病の初発症候のうち、血中グルコースの上昇に関連することを実証している。体重(脂肪)過剰は糖尿病の発病にとって必須条件ではない;n=13。
【図8】200mg/dLを超える随時血中グルコースを有するオスおよびメスのナイルサバンナネズミの週齢別の割合を示す棒グラフ。ラットには、BetaChip上に敷き詰めた市販の食餌5008を与えた(n=175の観察記録)。
【図9】非糖尿病および糖尿病のナイルサバンナネズミの食物および水分摂取の表。非糖尿病の空腹時グルコースは、12週および52週のオスおよびメスを合わせて平均約65mg/dLであったのに対し、糖尿病の場合は約160mg/dLの空腹時血中グルコースを有していた;「*」で表示。「**」は、スチューデントのt検定において、糖尿病の場合に著しく大きいことを示す(P<0.05)。本質的に、糖尿病の場合はカロリーを浪費する。
【図10】ナイルサバンナネズミにおけるトリグリセリド値に対する空腹時血中グルコース値のグラフ。
【図11】自然発症糖尿病ナイルサバンナネズミにおけるトリグリセリド値に対する非空腹時または空腹時血中グルコース値のグラフ。
【図12】非糖尿病の絶食した対照および糖尿病のナイルサバンナネズミにおけるリポタンパク分析の図表。「a,b,c」の共通の上付き文字を共有する平均値は、一元配置分散分析法およびフィッシャーの多重比較検定で、有意である(p<0.05)。
【図13】糖尿病が進行しているラットにおける空腹時血中グルコース値および肝臓重量のグラフ。
【図14】空腹時血中グルコース値の変化における、ナイルサバンナネズミの平均インスリン値の表。*は、アッセイに>12ng/dLのカットオフ値を含めたことを示しており、したがって、12ng/dLの任意数が割り当てられた。
【図15】ipGTTの際のオスおよびメスのナイルサバンナネズミにおけるインスリン反応の表。
【図16】糖尿病および非糖尿病のナイルサバンナネズミにおける腹腔内グルコース負荷試験(ipGTT)に対する絶対応答および相対応答を示す2つのグラフのパネル。
【図17】糖尿病および非糖尿病のナイルサバンナネズミにおける腹腔内インスリン耐性試験に対する非空腹時グルコースの絶対応答および相対応答を示す2つのグラフのパネル。
【図18】高脂肪または低脂肪の食餌を与えたメスのナイルサバンナネズミについてのボディマスインデックス(BMI)およびリーンマスインデックス(LMI)の表。
【図19】3種類の異なる食餌を5ヶ月間与えた5週齢のオスのナイルサバンナネズミにおける体重および臓器重量、血中グルコースプロファイル、およびカロリー摂取の表。a,b,c…の共通の上付き文字を共有する平均値は、一元配置分散分析法およびフィッシャーの多重比較検定で有意である(p<0.05)。「*」は、24週齢の15時間絶食後の血中グルコースを示す(n=5/群)。
【図20】3種類の異なる食餌を5ヶ月間与えた5週齢のオスのナイルサバンナネズミにおける血漿および肝臓脂質の表。a,b,c…の共通の上付き文字を共有する平均値は、一元配置分散分析法およびフィッシャーの多重比較検定で有意である(p<0.05)。「*」は、24週齢の15時間絶食後の血中グルコースを示す。
【図21】3種類の異なる食餌を5ヶ月間与えた5週齢のオスのナイルサバンナネズミにおける臓器重量の表。a,b,c…の共通の上付き文字を共有する平均値は、一元配置分散分析法およびフィッシャーの多重比較検定で有意である(p<0.05)。「*」は、24週齢の15時間絶食後の血中グルコースを示す。実験2。
【図22】3種類の異なる食餌(半精製した食餌)を与えたナイルサバンナネズミにおける、5ヶ月後のグルコース負荷試験のグラフ。実験2。
【図23】ラットの食餌を不断給餌または80%の不断給餌で与えたオスのナイルサバンナネズミにおける腹腔内グルコース負荷試験のグラフ。80%まで食物制限した不断給餌では、自然発症糖尿病オスのナイルサバンナネズミにおけるipGTTが改善する(実験5)。
【図24】水またはヤシ果汁のいずれかを与えた糖尿病および非糖尿病のナイルサバンナネズミにおける血中グルコースおよび血漿トリグリセリド値の棒グラフ。1群あたりn=4。ラットは、開始時に20週齢であり、さらに追加で12週間、水またはPFJを与えた。
【図25】ヤシ果汁または水を与えたナイルサバンナネズミにおける、空腹時リポタンパクのプロファイルの棒グラフ。1群あたりn=4。ラットは20週齢であり、さらに追加で12週間、水またはPFJを与えた。
【図26】水またはヤシ果汁のいずれかを与えた月齢3ヶ月のナイルサバンナネズミにおける、1ヶ月および9ヶ月後の食物摂取および血中グルコース値の棒グラフ。ナイルサバンナネズミ、実験7(GAE1500ppm)。
【図27】9ヶ月間、水またはヤシ果汁を与えた月齢3ヶ月のナイルサバンナネズミにおける血漿脂質の棒グラフ。*p<0.05。
【図28】9ヶ月間、水またはヤシ果汁を与えた、開始時の月齢3ヶ月のナイルサバンナネズミにおける臓器重量(%体重)の棒グラフ。
【発明を実施するための形態】
【0032】
開示する説明、方法、および実施例は、油ヤシの果実を使用して、代謝不均衡、真性糖尿病、前糖尿病状態、メタボリック・シンドローム、および他の関連する障害の治療および予防を補助する。
【0033】
それはまた、心臓疾患、脳卒中、高血圧、眼合併症(網膜症、白内障)、腎疾患(腎症)、神経系疾患(神経障害)、末梢血管疾患、歯の疾病、胃不全麻痺、性機能不全、および妊娠中の合併症を併発した糖尿病を結果的に生じる二次的な内科的合併症の治療および予防にも関する。
【0034】
「包含する」、「有する」、「含む」および「含有する」と言う用語は、他に断りのない限り、制限のない用語(すなわち「含むが限定されない」ことを意味する)と解釈されるべきである。明細書における数値の範囲の記述は、本明細書に別記されない限り、単に、個別に、その範囲内に含まれる各区切られた値に関する簡潔な表現方法としての役割をし、各区切られた値は、それが本明細書に個別に記述されているかのごとく、本明細書内に取り込まれることが意図されている。本明細書に記載されるすべての方法は、本明細書に別記されるか、あるいは文脈と矛盾することが明白にされない限り、任意の適切な順番で行うことができる。本明細書に記載される任意およびすべての例または例示的表現(例えば「など(のような)」)の使用は、単に、本発明をより明らかにすることを意図しており、他に主張しない限り、本発明の範囲における限定を提供するものではない。本明細書における表現のいずれも、特許請求の範囲に記載されない任意の要素が本発明の実施に必須であることを示唆すると解釈されるべきではない。
【0035】
本明細書では、ナイルサバンナネズミにおける「糖尿病」という用語は、一般に、>225mg/dLの随時血中グルコース値、または>110mg/dLの空腹時血中グルコース値を意味する。
【0036】
本明細書ではヒトにおける「糖尿病」という用語は、一般に、および現在のところ、経口のグルコース負荷試験の際の、≧200mg/dL(≧11.1mmol/L)の随時血漿または血中グルコース濃度、または≧126mg/dL(≧7.0mmol/L)の空腹時血漿グルコース濃度、または≧200mg/dL(≧11.1mmol/L)の2時間負荷後グルコース濃度を意味する。
【0037】
本明細書では、ナイルサバンナネズミにおける「非糖尿病」という用語は、一般に、≦80mg/dLの空腹時血漿グルコース値、また<200mg/dLのは随時の血漿グルコース値を意味する。
【0038】
本明細書では、ヒトにおける「非糖尿病」という用語は、一般におよび現在のところ、経口のグルコース負荷試験の際の、<100mg/dL(5.6mmol/dL)の空腹時血漿グルコース値、または<140mg/dL(<7.8mmol/dL)の2時間負荷後グルコース値を意味する。
【0039】
本明細書では、ナイルサバンナネズミにおける「前非糖尿病」という用語は、一般に、約80〜約110mg/dLの空腹時血漿グルコース値を意味する。
【0040】
本明細書では、ヒトにおける「前非糖尿病」という用語は、一般におよび現在のところ、経口のグルコース負荷試験の際の、100〜125mg/dL(5.6〜6.9mmol/L)の空腹時血漿グルコース値、または140〜199mg/L(7.8〜11.1mmol/L)の2時間負荷後グルコース値を意味する。
【0041】
これらの定義は、施術者が一般に米国糖尿病学会(ADA)に照らして従う、現在認められている指針であることが認識されよう。指針は、時間とともに変化し、また地域または国によっても変化するであろうし、また当業者に既知の、指針を提示するグループまたは機関(例えばADA、世界保健機関、NIDDK/NIH、CDCなど)に応じて決まるであろう。医師はまた、診断および治療を決定する際に、臨床経験、患者の既往歴、および/または他の情報を使用して差し支えない。したがって、これらの定義は、科学および医薬の進歩にしたがい、時間とともに変化しうる。
【0042】
本発明はまた、成人における潜在性の自己免疫性糖尿病(1.5型糖尿病としても知られる)の治療および予防にも適用できることが理解されよう。
【0043】
本明細書では「随時」および「非空腹時」という用語は、一般に、最後の食事後の経過時間を気にせずに、昼夜を問わず随時であることを意味する。
【0044】
本明細書では「空腹時」という用語は、一般に、少なくとも12時間はカロリー摂取していないことを意味する。
【0045】
本明細書では「代謝不均衡」という用語は、一般に、血漿グルコースの上昇に関連する任意の障害または疾患の状態または状況を意味する。代謝不均衡には、例えば、真性糖尿病、妊娠性糖尿病、β−細胞機能の遺伝子欠損、インスリン作用に関する遺伝子異常、膵外分泌、内分泌障害、薬物または化学物質誘発性の疾患、感染、および、糖尿病、前糖尿病状態、およびメタボリック・シンドロームに関連する他の遺伝的症候群が含まれる。
【0046】
本明細書では「栄養補助」という用語は、一般に、栄養学的な利益の他に、追加の利益を提供する食物のことを意味する。
【0047】
メタボリック・シンドローム
メタボリック・シンドロームは、米国心臓協会(AHA)が述べる通り、ひとりの人における代謝性のリスク因子群によって特徴づけられる。メタボリック・シンドロームは、メタボリック・シンドロームX、シンドロームX、インスリン抵抗症候群、Reavenシンドローム、またはCHAOSの別称でも知られている。リスク因子としては、限定はしないが、腹部肥満、アテローム性脂質異常血症、高血圧、インスリン耐性またはグルコース不耐性、血栓症前の状態(高フィブリノゲンまたはプラスミノゲン活性化因子阻害剤−1)、および炎症促進状態(C反応性タンパクの上昇)が挙げられる。
【0048】
今のところ、メタボリック・シンドロームを診断するための広く受け入れられている基準はない。最も一般的に用いられるのは、米国コレステロール教育プログラム(NCEP)の成人治療パネルIII(ATP III)である。AHAおよび米国心臓、肺、血液研究所は、現在、次の要素:胴囲の増加(男性:≧40インチ、女性:≧35インチ)、空腹時トリグリセリド≧150mg/dL、HDLの低下(男性:<40mg/dL、女性<50mg/dL)、血圧≧130/85mmHg、および空腹時グルコース≧100mg/dLのうち、3つ以上に該当する場合にメタボリック・シンドロームと認定することを推奨している。これは、施術者が採用するであろう、現在の多くの指針の1つであることが理解されよう。指針は時間とともに、また地域または国によって、また指針を提示するグループまたは機関(例えば世界保健機関、NCEP、AHAなど)によっても変化するであろう。
【0049】
ナイルサバンナネズミ(Arvicanthis niloticus)
ナイルサバンナネズミ(図1)は、アフリカグラスネズミ、縞のない(unstriped)グラスマウス、またはクズ(Kuzu)ラットという別名でも知られ、ナイル川デルタ地帯およびアラビア半島の一部に生息する。本明細書では、これらの名称のいずれも、ナイルサバンナネズミ(Arvicanthis niloticus)のことを指す。齧歯動物は、粗い、灰色がかった茶色の毛皮を有する。成熟した、頭部と体部の長さは〜13cmであり、加えて尾部がさらに10cmある。成熟ラットの体重は、メスで110〜130gであり、オスよりもやや軽い(図2)。標準的なラット用の食餌および水を与えた非糖尿病のメスおよびオスのナイルサバンナネズミの成長は、週齢4〜30週の間は安定かつ非線形であり、その時点で、それ以上成長することなくプラトーに達する。オスは130〜140gで落ち着くが、メスの最終体重は115〜125gになる。ナイルサバンナネズミには、脂肪の付加重量が発生しうるが、ほとんどの場合は過度ではない。付加脂肪に起因して、時々、オスでは160g、メスでは150gに達する場合がある。食餌および水を与えた週齢52週までのオスおよびメスのラットについての発育データを採取した。各時点における観察記録の数nは、オスで3〜67匹、およびメスで2〜70匹の範囲で変化した。生存動物の総数Nは、オスが206匹、メスが200匹であった。
【0050】
オスおよびメスのナイルサバンナネズミによって、ラブダイエットとして消費される食物の量を図3に示す。食物消費を、29匹のメスおよび19匹のオスのナイルサバンナネズミについて35週間測定した。各時点nは、1〜12匹のオスおよび1〜17匹のメスで表される。メスのナイルサバンナネズミは経時による食物摂取の増大と直線関係を示したが、オスのナイルサバンナネズミは、30週目以降、グルコース不耐性の進行につれて摂取量が減った。
【0051】
最適条件下では、ナイルサバンナネズミは、6〜12ヶ月の間、3〜4週間ごとに4〜8匹の子どもを、継続的に飼育下繁殖させることができる。子どもは、生後21日で離乳することができる。離乳から約6週齢まで、ナイルサバンナネズミは約40〜60mg/dLの空腹時グルコース値を有する。月齢3〜4ヶ月までは、血中グルコースは約70〜80mg/dLに上昇する。飼育において、これらのラットは約2年間生存する。ハツカネズミ属またはクマネズミ属に由来する種とは異なり、ナイルサバンナネズミは昼行性の動物であり、日中に最も活動的になる。ナイルサバンナネズミは日周期およびその調節機構における研究に利用されている。
【0052】
本発明に用いたナイルサバンナネズミの飼育株は、ミシガン州立大学のLaura Smale氏から得た6対のつがいを起源とするものであった(McElhinny,T.L、1997)。
【0053】
ナイルサバンナネズミにおける糖尿病の進行
飼育において、ナイルサバンナネズミは、ヒトの2型糖尿病と関係するメタボリック・シンドロームと多くの類似点を有するプロファイルを含む、ヒトに見られるのと同様の臨床症状を伴う、予期しない自然発症性糖尿病を発現する(Lakkaら,2002)。ナイルサバンナネズミの疾病は、進行性の高血糖症、高トリグリセリド血症、多飲症および多尿症を伴う過食症を特徴とし、最終的にはケトアシドーシス、ケトン尿症、および末期の腎炎および腎硬化症につながる腎肥大を生じる結果となる。インスリン感応性および分泌は経時とともに衰えるのに対し、カロリー制限は本質的に糖尿病の発現を防止し、これらの観察記録はヒトの状態と似ている。糖尿病が進行したナイルサバンナネズミの約10%は、白内障も進行する。
【0054】
標準的なラット用の食餌(ラブダイエット(LabDiet)社(米国ミズーリ州セントルイス所在)製のFormulab Diet#5008(脂肪17%、タンパク質27%))を与えた場合、ナイルグラスネズミは、成熟し、かつ糖尿病を有しない時点において、典型的には、1日当たり14gの食物(40〜50kcal/日)を消費し、おおよそ10〜20mLの水を飲む。食餌を与えた、感受性のラットにおける糖尿病の発病は、典型的には、早ければ、多くのオスで生後8〜12週間、メスでは16〜22週間で進行し始める。
【0055】
図4は、標準的な食餌および水食を与えたオスおよびメスのナイルサバンナネズミにおける、多重実験の経時による複数の実験から採取した、随時血中グルコースのプロットである。いずれの時点においても、オスのラットはメスよりも高い血中グルコース値を有していた。早くも8週間で、オスは150mg/dLに達し、8ヶ月ではおよそ400mg/dLに達しうるが、メスでは幾分低い。各時点における観察記録の数nは、オスで4〜48匹、メスで4〜57匹の範囲であった。動物の総数Nは、オスで120匹、メスで114匹であった。
【0056】
図5は、食餌と水を12ヶ月間与えたオスおよびメスのナイルサバンナネズミにおける空腹時血中グルコースの増加を実証している。オスの空腹時血中グルコースは平均250〜300mg/dLに達し、メスでは150mg/dLであった。図5のデータは、複数の実験を基に作成した。各時点における観察記録の数nは、オスが8〜22匹、メスが2〜16匹の範囲であった。調査対象となった動物の総数Nは、オスは76匹、メスが86匹であった。
【0057】
図6は、週齢20〜32週のオスのナイルサバンナネズミにおける随時血中グルコースと水の消費の相関関係を示している。すべての動物に標準的な食餌(chow diet)を与え、水分摂取量を週2回測定した。結果は、血中グルコースの増加につれてラットが多渇症を示し、水分摂取は、このモデルにおける糖尿病の進行を追跡するための手段として示されている。
【0058】
図7および図9は、糖尿病が進行している週齢12週〜40週のオスのナイルサバンナネズミにおける食物摂取(食餌(chow)として)、水分摂取、および体重を示している。これらの割合は、食物および水分摂取が血中グルコース値の上昇と関係していることを実証している。脂肪としての過剰の体重は、必ずしも糖尿病の発病および進行のための必須条件ではない。
【0059】
図8は、月齢8ヶ月までに、90%を超えるオスおよび50%を超えるメスが、血中グルコースに基づいて糖尿病を発現することを実証している。糖尿病の発病は、メスよりもオスの方に早く現れるように思われる。これらのラットは、高血糖症に併発して、多尿症、多渇症、および多食症も示す。多くのラットは、無治療で放置すると、7〜12ヶ月までに、白内障、悪液質、糖尿病ケトアシドーシス、および昏睡も発現する。自然発症性糖尿病の進行に加えて、ナイルサバンナネズミは、前述の代謝性のリスク因子群を特徴とするメタボリック・シンドロームの兆候および症状も発現する。
【0060】
糖尿病を研究する方法として、生理的変化の測定および血液または血漿の分析が挙げられる。これらには、限定はしないが、成長動力学、ボディマスインデックス(BMI)、リーンマスインデックス(LMI)、食物および水分摂取、性差、空腹時および随時血中グルコース、トリグリセリド(TG)、リポタンパク、コレステロール、肝臓重量および肝臓脂質、腎臓の大きさおよび機能、グルコース負荷試験(GTT)、インスリン耐性試験(ITT)、血中インスリン濃度、膵島細胞の形態、高脂肪食、およびカロリー制限が含まれる。
【0061】
糖尿病のナイルサバンナネズミは、多くの場合、高トリグリセリド血症を発現する。空腹時血中グルコースを空腹時トリグリセリド値と比較した場合(図10)、>125mg/dLのTG値は、多くの場合、血中グルコースの上昇と関係していた。図11は、随時および空腹時血中グルコース値の低い動物は、典型的には、血中グルコース値の高い範囲のものと比較して低いトリグリセリド値を有することを示している。データは、空腹時グルコース値の上昇と高いトリグリセリド値(すなわち>125mg/dLの空腹時トリグリセリド)の組合せが、糖尿病の最良の指標であることを示唆している。高トリグリセリド群ではオスが大多数だったのに対し、低トリグリセリド群の動物の大多数がメスであった。中間値のトリグリセリド群のオスおよびメスのラットを各カテゴリに均等に分配した。
【0062】
糖尿病のナイルサバンナネズミは、多くの場合、リポタンパクの大幅上昇を示す(図12)。高血糖症と関連して、超低密度リポタンパク(VLDL)、低比重リポタンパク質(LDL)、トリグリセリド(TG)、および総コレステロール(TC)に著しい増大が見られた。本実験の時点で、雌雄混合の18匹のナイルサバンナネズミを、それらの空腹時血中グルコースに応じて3つの群に分けた:非糖尿病60mg/dL未満;前糖尿病61〜150mg/dL;糖尿病150mg/dLよりも大きい。血漿の超遠心分離後にリポタンパクを単離した。同様の脂質プロファイルを有する傾向にある非糖尿病および前糖尿病の動物と比較して、糖尿病ラットでは、TG、TC、VLDL−CおよびLDL−Cのすべてにおいて著しい増加が見られた。群間のLDL−Cのパーセンテージにはほとんど差異は見られなかったが、非糖尿病および前糖尿病の動物のHDL−C(それぞれ50%および67%)は、糖尿病のナイルサバンナネズミ(6%)に比べて、およそ10倍であった。しかしながら、糖尿病において低下傾向にあったものの、HDL−Cの絶対値の間には有意差は観察されなかった。LDL−C/HDL−Cの比は、糖尿病の動物においてより高く現れたが、群間の相違は有意に達するほどの差異ではなかった。対照的に、TC/HDL−Cの比は、過量のVLDL−Cに起因して、非糖尿病および前糖尿病の群と比較して糖尿病の群でおよそ10倍高かった(p<0.05)。
【0063】
糖尿病における食餌の脂肪の影響を試験した実験では、肝臓重量と空腹時血中グルコースのプラスの相関関係が見られた(図13)。肝臓重量が大きくなると、空腹時血中グルコースも上昇を示し、逆もまた同様であった。肝臓重量の増大は、すべてではないが、一部の実験において肝臓TGの蓄積と関係していた。
【0064】
ナイルサバンナネズミ(7〜5週齢のオスおよびメス)を空腹時血中グルコースに基づいて4つの群に分け、それらの空腹時インスリン濃度を決定した(図14)。一般に、インスリンは、糖尿病が進行し、グルコースが100mg/dLよりも高く上昇するにつれて、増大する傾向にあった。>150mg/dLの空腹時血中グルコース値は、初期にはインスリン耐性に関連しており、異常に高い血中グルコース値を有する動物のインスリン濃度は最終的には低下した。このことは、糖尿病が進行するにつれて、β細胞が完全に消耗し、インスリン分泌が低下したことを示唆している。しかしながら、インスリンの大きい標準偏差は、各群内の変動を実証している。
【0065】
腹腔内(IP)グルコース負荷試験を受けたナイルサバンナネズミにおけるグルコースチャレンジに対するインスリン反応の変化を定量化した(図15)。エリートXLグルコメーターを用いて、注入後0分および60分の尾部の血液を採取し、測定した。ラットのインスリンの抗体に基づくELISA法によってインスリン濃度を測定した。一般に、これらのラットは、インスリン耐性と一致するような方式で反応し、インスリン分泌が低下した。例えば、206匹のオスの動物は、60分におけるインスリンに9倍の増加を示しし、それにもかかわらず血中グルコースは491mg/dLにおいて上昇し続け、インスリン耐性を示した。インスリン分泌の障害は、すでに97匹のオスの動物に見られ、ここで初期の血中グルコース値は454mg/dLであり、インスリンが不十分に、わずか0.6ng/mLだけしか増加しなかったことから、さらに738mg/dLまで増大した。58匹のオスなどの健康なラットは、40mg/dLの初期の空腹時グルコース値を有し、最小限のインスリン上昇を伴って、89mg/dLまでしか上昇しなかった。114匹のオスのラットは、60分においてわずか90mg/dLの比較的低い血中グルコース値を維持するのにインスリンの5倍の増加を必要とし、初期段階におけるインスリン耐性の可能性を示唆した。
【0066】
週齢5〜47週の19匹のオスのナイルサバンナネズミ(糖尿病6匹、正常13匹)にグルコース負荷試験を行った(図16)。すべての動物を、一晩かけて15時間絶食させ、2.5g/kg体重のグルコース溶液を注入した。その後、エリートXLグルコメーターを用いて、注入後0、1、3および5時間の尾部血液の血中グルコースを測定した。それらの応答に応じて、ラットを糖尿病または非糖尿病にグループ分けした。糖尿病群は200mg/dLの空腹時血中グルコースから開始し、1時間後に550mg/dLのピーク値に達した。5時間後、これらの糖尿病動物のグルコースは、まだ初期値を上回っていた。非糖尿病群は、わずか55mg/dLの初期空腹時血中グルコース値を有し、1時間後に200mg/dLのピーク値に達した。ちょうど3時間後に、血中グルコースは初期値に戻り、5時間後には44mg/dLまで低下した。相対応答(%変化)は、非糖尿病ラットが、糖尿病ラットと比較してグルコース用量に対してより動的に反応し、急上昇するが、初期の正常血中グルコース値まで急速に戻ることを実証している。
【0067】
インスリン耐性試験(ITT)(図17)は、血中グルコースに基づいた、糖尿病または非糖尿病に分類された非空腹時のナイルサバンナネズミに注入した腹腔内インスリンに対するグルコースの絶対および相対反応を示している。これらの8匹の糖尿病および7匹の非糖尿病のナイルサバンナネズミ(週齢9〜55週)には、食餌および水が与えられた。それらに、0.5IU/kg体重のインスリンの腹腔内注射を与えた。エリートXLグルコメーターを用いて、注射後15分、次に30分間隔で、尾部血液の血中グルコースを測定した。血中グルコースは、非糖尿病ラットでは60分で底打ちし、120分後にはインスリン用量からほとんど完全に回復した。対照的に、糖尿病群における血中グルコーは、注入後120分においてさえも、ゆっくりと最小限に低下した。このことは、糖尿病の動物のインスリン耐性が、インスリン値の上昇の存在下であっても、高いグルコース値を維持することを示唆している。
【0068】
グルコース相対反応(図17)は、生理学的機序が働いていることを明示している。非糖尿病ラットの血中グルコース値は、インスリン注射後に急速に低下し、60分後にグルコースの回復が始まる。他方では、糖尿病群は正常に応答せず、注入後120分まで継続して、血中グルコースのゆっくりとした低下を見せた。
【0069】
空腹時血中グルコースに基づいて、前糖尿病になっていない8匹の40週齢のメスのナイルサバンナネズミを選択し(平均値=117mg/dL)、異なる脂肪レベルの食餌を12週間与えた。この時点において、空腹時血中グルコースは、高脂肪食餌群では223mg/dLだったが、低脂肪群では82mg/dLに低下した(p<0.05)。終了時点において、体重、枝肉重量、および長さを測定し、BMIおよびLMIの計算に用い、糖尿病の状態との潜在的関連性についてこれらの肥満指数を調べた。鼻先から尾基底部までを測定した長さを用いて、メートルを2乗した長さでkg体重を割ることにより、BMI値を計算した。全体重の代わりに枝肉重量(すべての臓器および体脂肪のプールの除去後)を使用したこと以外は同じ方式で、LMI値を計算した。データ(図18)は、群間におけるBMI値およびLMI値は同程度であったものの、糖尿病(血中グルコース値)において著しい差異を示している。言い換えれば、肥満の有無はこのモデルにおける糖尿病の進行の必須条件ではなく、食餌に応じて、または12週間にわたる血中グルコースの変化に関係する関数として、BMIまたはLMIと血中グルコースの差異との間には相関関係は見られなかった。このことはまた、ナイルサバンナネズミの糖尿病の病状の改善(すなわち、食事療法による前糖尿病から正常(非糖尿病)へのシフト)が、ボディマスまたはリーンマスの差異を誘発することなく進行することを示唆している。
【0070】
別の研究では、15匹の離乳したオスのナイルサバンナネズミに、3種類の食餌:低脂肪/高繊維、高脂肪/低繊維、または食餌#5008のうちの1つを5ヶ月間与えた(n=5/群)(図19〜22)。低脂肪食餌のラットの体重増加は最も小さい傾向にあったものの、いずれの食餌群についても体重に有意な差異はなかった。低脂肪の食餌を与えたラットは、終了時に最も低い空腹時グルコース値を有していた(図19)。高脂肪・低繊維群では、肝臓脂質ならびに血漿総コレステロールおよびトリグリセリド値に著しい増加が見られた(図20)。高脂肪・低繊維食餌群では、5ヶ月の期間の終了時には肝腫脹および腎肥大も見られた(図21)。高脂肪/低繊維の食餌のナイルサバンナネズミはまた、5ヶ月の期間の終了時における腹腔内グルコース負荷試験(ipGTT)後に、血中グルコース値の最小の制御を示した(図22)。これは、高脂肪の食餌が、別の2つの食餌と比較して、メタボリック・シンドロームおよび糖尿病の幾つかの側面を誘発したことを示唆した。
【0071】
他の食事療法
上記のことから示唆されるように、ナイルサバンナネズミ、特にオスは、栄養療法に関する実験に適している。何ヶ月もの間、健康への有害な影響のない、組織内で作った精製した食餌を動物に与えた。
【0072】
カロリー制限
成熟ナイルサバンナネズミについて、糖尿病の状態におけるカロリー制限の影響を、糖尿病ラットを用いた第1実験および糖尿病の発病前の第2の実験において研究した。第1の実験では、32週齢のオスのナイルサバンナネズミ(空腹時血中グルコース約300mg/dL)に、不断給餌のラブダイエットまたは不断給餌群の80%のカロリー摂取のいずれかを与えた。どちらの群も14週間の実験の間に体重は変化せず、本質的に同一の最終体重(平均値約120g)を有していたが、空腹時血中グルコースは、14週間後、対照群ではわずかに200mg/dLを超えたのに対し、制限群では顕著に改善した(約150mg/dLまで)。実験終了時におけるグルコース負荷試験は、制限群のはるかに良好なグルコース制御を実証するとともに、血中グルコースにおけるカロリー制限の好ましい効果を裏付けた。
【0073】
第2の制限実験は、18週間行われ、11匹の20週齢の非糖尿病群(6匹のオスおよび5匹のメス)を含み、6匹の動物には制限食(chow diet)(不断給餌群の75%)を18週間与えた。殺処分の時点で、不断給餌群の空腹時血中グルコースは初期の56mg/dLから211mg/dLまで上昇したのに対し、制限群では本研究の開始から終了までの間に60mg/dLから72mg/dLへの微増しか見られなかった。群間のこれらの末端のグルコース値の比較は、統計的に有意であった。ipGTTの間、制限群では1時間で72mg/dLから226mg/dLに上昇したのに対し、不断給餌のグルコース群では211mg/dLから制限群のほぼ2倍の517mg/dLに上昇した。グルコース注射の5時間後、不断給餌群および制限群は、それぞれ233mg/dLおよび184mg/dLの血中グルコース値を有し、不断給餌群におけるインスリン耐性が制限群のものよりも悪化したことを示唆した。肝臓は、不断給餌の対照群と比較して、制限群において有意に軽かった(25%、p<0.05)。
【0074】
これら2つの研究結果は、軽い制限では体重を低下させなかったけれども、高齢のナイルサバンナネズミにおける食餌(chow diet)によるカロリー制限が、空腹時血中グルコースに有益な効果を有することを示唆している。同様に、ヒトにおけるカロリー制限および減量も、典型的には、2型の糖尿病を有する患者におけるインスリン耐性を改善する(Aucottら,2004)。
【0075】
油ヤシ(Elaeis)
油ヤシは、ヤシ科(Arecaceaeまたはpalm)の2つの品種、すなわち、ギニアアブラヤシ(Elaeis guineensis)(西アフリカ原産)とアメリカアブラヤシ(Elaeis oleifera)(中央および南アメリカ原産)を含む。最も一般的にヤシ油の生産における商業的農業に使用される成木は、20mもの高さに育つ。果実は受粉から成熟まで5〜6ヶ月を要し、単一の種子(核)を有する油性かつ多肉質の外皮(果皮)を含む。油ヤシは側枝を生じず、伝播は播種による。ひと塊りの果実は40〜50kgもの重さになりうる。
【0076】
アフリカの油ヤシは、1900年代の初頭にスマトラおよびマレーシアに持ち込まれた。今や世界生産の大部分がマレーシアからもたらされている。研究によって、油ヤシおよびその果実のさまざまな用途が見出されており、食用油および水溶性の抽出物の両方を提供する(参照することにより本明細書に取り込まれる、Abeywardenaら(Asia Pacific J Clin Nutr,2002)、Tanら(Eur J Lipid Sci Technol,2007)、Zuninoら(J Nutr,2007)、およびHayesおよびKhosla(Eur J Lipid Sci Technol,2007))。ヤシ果汁は、パームバタースープなどのアフリカの料理に用いられている。パームバターは果実から作られ、さらに精製可能なレッドパーム油も含む。熱帯地方以外に居住し、新鮮なパームナッツが入手できない場合には、缶詰のパームスープの素またはパームナッツパルプ(シードソース(sauce graine)、ヤシの実(noix de palme)、またはヤシの実のクリーム(cream of palm fruit)ともいう)も同じであり、下記料理法を含めた料理に使用することができる。缶詰のパームスープの素は、国際的な食料品店またはアフリカの食料品店で見つかるであろう。基本的なパームバターソースは、およそ100個の新鮮な完熟のパームナッツ(熱帯地方でのみ入手可能)を使用して作られる。料理法は次のとおりである:(1)2〜3カップの水を片手鍋で沸騰させる;(2)沸騰水にパームナッツを入れる(水を上までかぶせる必要はない);(3)蓋をして、果皮が剥がれてくるまでパームナッツを数分間煮る;(4)鍋の水を切り、ポテトマッシャー(または乳鉢と乳棒)を用いて、パームナッツをパルプになるまで押しつぶす;(5)パームナッツパルプと1〜2クオート(またはリットル)の冷水を合わせ;攪拌し;パームナッツを手で搾ってパームナッツからすべての果実および油を取り出す;(6)パルプを、ろ過器を通して片手鍋(最初に濯いでおく)の中に押し出す;(7)ろ過器に残ったナッツの皮および核種を廃棄する;(8)パルプを2回裏ごししてすべてのナッツ核種および皮のかけらを排除し、最終的に油および果実がすべて片手鍋に入るようにする;(9)パルプをわずかに沸騰させて加熱し、たいていの場合は攪拌し、ソースにとろみが出るまで煮る(およそ1時間);(10)ソースの加熱後、他の構成成分を加えることができる。パームバターは大量に作って差し支えなく、後で使用するために冷凍してもよい。
【0077】
他の研究は、他の天然植物源から得られる抽出物およびジュースの抗糖尿病効果を示しており、例えば、Xieら(J Food Sci,2007)、Attele(Diabetes,2002)、El−Alfyら(Pharma Res,2005)、Aviramら(Am J Clin Nutr,2000)、Wuら(Eur J Nutr,2004)、Zuninoら(J Nutr,2007)、およびSinghら(Clinical Chimeica Acta,2005)が挙げられ、参照することにより本明細書に取り込まれる。
【0078】
ヤシ油のミリング処理から得られる植物液の水溶性抽出物(本明細書ではヤシ果汁と称される)は、抗糖尿病および抗高血糖性の特性を有すると考えられるフェノール類を含む。ヤシ果汁に見られるフェノール類としては、限定はしないが、バニリン酸、クロロゲン酸、カテキン、カフェイン酸、プロトカテク酸、ゲンチシン酸、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、クマリン酸、フェルラ酸、およびルチン水和物などのケイヒ酸および安息香酸の誘導体が挙げられる。
【0079】
一般に、本方法は、糖尿病の治療または予防に有効な任意の投与計画を包含する。ある実施の形態では、ヤシ果汁源は、単回用量または複数回用量で患者に与えられる。単回用量は、毎日、または1日に複数回、または1週間に複数回、または毎月、または1ヶ月に複数回投与して差し支えない。ある実施の形態では、ヤシ果汁源は一連の用量で投与される。一連の用量は、毎日、または1日に複数回、毎週、または1週間に複数回、または毎月、または1ヶ月に複数回投与して構わない。
【0080】
ヤシ果汁を含む製剤は、任意の従来の方式で治療のために患者に投与して差し支えない。ヤシ果汁を含む製剤は、原液で投与することができるが、栄養のある果汁または製剤として存在してもよい。本発明に従った天然飲料または製剤は、ヤシ果汁を含む複合体を単独で、またはそれらの薬学的に許容される塩を、1つ以上の薬学的に許容される担体または賦形剤および随意的に他の治療薬とともに、含む。担体は、製剤の他の構成成分と相溶性であるという意味で許容されるべきであり、受容者にとって有害であってはならない。組合せの個別の成分が別々に投与される場合には、それらは栄養補助剤および/または製剤として存在して構わない。
【0081】
本発明の栄養補助剤または製剤は、1つ以上の他の薬剤、医薬品、担体、アジュバント、および/または希釈剤を含みうる。例えば、ヤシ果汁源は、本明細書に記載される糖尿病および他の疾患および/または障害の治療のための他の活性薬剤と併用して差し支えない。適切な経口の抗糖尿病剤としては、スルホニル尿素、メグリチニド、ビグアニド、チアゾリジンジオン、およびα−グルコシダーゼ阻害剤が挙げられる。
【0082】
経口投与のための担体または賦形剤の例としては、コーンスターチ、乳糖、ステアリン酸マグネシウム、微結晶性セルロースおよびステアリン酸、ポビドン、リン酸水素カルシウムおよびカルボキシメチルスターチナトリウムが挙げられる。本発明では、所望の投与経路に適した任意の担体が意図されている。
【0083】
本発明の組成物は、固体の投与形態(例えば、丸薬、カプセル、または錠剤)、半固体の投与形態または液体の投与形態で含まれて差し支えなく、それぞれ、所定の量の活性成分を含む。ある実施の形態では、固体の投与形態は容易に飲めるようにコーティングされている。本発明の組成物は、粉末または顆粒の形態;あるいは溶液または懸濁液でありうる。経口投与では、微粉末または顆粒は、希釈剤、分散剤、および/または界面活性剤を含んでいて差し支えなく、水またはシロップ中に溶液または懸濁液で、カプセルまたは小袋中に乾燥状態で、懸濁剤が含まれうる非水溶液または懸濁液で、または結合剤および滑剤が含まれうる錠剤の形態で存在していてもよい。成分に、香味剤、保存料、懸濁剤、濃化剤または乳化剤などを添加してもよい。
【0084】
経口の送達方法は、多くの場合、消化管のpH変化、酵素への曝露、および胃腸膜の不浸透性など、身体によって課せられる化学的および物的障壁によって制限される。栄養補給剤または製剤を経口投与するための本発明の方法は、本発明の組成物とアジュバントとの同時投与も含みうる。例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテルおよびn−ヘキサデシルポリエチレンエーテルなどの非イオン界面活性剤は、本発明の製剤とともに投与するか、あるいは本発明の製剤に取り込んで、腸壁の浸透性を人為的に増大させることができる。他の方法は、本発明の製剤と酵素阻害剤の同時投与を含む。活性成分は、ボーラスまたはペーストとして存在して差し支えなく、あるいはリポソームおよび乳剤中に含めてもよい。
【0085】
直腸投与用の製剤は、坐剤または浣腸剤として提供されてもよい。
【0086】
水溶液の形態で投与する場合、製剤にはヤシ果汁源および水が含まれる。溶液中の随意的な成分としては、適切な溶媒、緩衝剤、甘味料、抗菌性の保存料、香味剤、他の果汁、およびそれらの混合物が挙げられる。製剤の成分は、2つ以上の機能を果たしうる。例えば、適切な緩衝剤は、香味剤および甘味料としても作用しうる。
【0087】
本発明に用いる溶液において適切な溶媒としては、例えば、ソルビトール、グリセリン、プロピレン・グリコール、および水が挙げられる。随意的に、2つ以上の溶媒の混合物を使用してもよい。溶媒または溶媒系は、典型的には、全液剤の約1%〜約90重量%の量で存在する。
【0088】
適切な緩衝剤としては、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、リン酸カリウム、およびさまざまな他の酸および塩が挙げられる。2つ以上の緩衝剤混合物を随意的に使用してもよい。緩衝剤またはそれらの混合物は、典型的には、約0.001重量%〜約4重量%の量で存在する。
【0089】
適切な甘味料としては、例えば、サッカリンナトリウム、スクロース、およびマンニトールが挙げられる。2つ以上の甘味料の混合物を随意的に使用してもよい。甘味料またはそれらの混合物は、典型的には、約0.001重量%〜約70重量%の量で存在する。
【0090】
適切な抗菌性の保存料としては、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、および塩化ベンザルコニウムが挙げられる。随意的に、2つ以上の保存料の混合物を使用してもよい。保存料またはそれらの混合物は、典型的には約0.0001重量%〜約2重量%の量で存在する。
【0091】
患者が溶液をより摂取し易くするために、チェリー香味剤、綿菓子の香味剤、または他の適切な香味剤など、適切な香味剤を溶液に使用してもよい。香味剤またはそれらの混合物は、典型的には、約0.0001重量%〜約5重量%の量で存在する。
【0092】
栄養補助剤
本発明は、アブラヤシ属(Elaeis)の果実抽出物でできた自然食品製剤を提供する。本発明は、粉末化、液体、または固体の形態で存在しうる、抽出物を提供する。本セクションでは、望ましい、本発明の教示に照らして容易に生産される、製剤の形態および成分について論じる。
【0093】
抽出物は、例えば、水、ミルク、果汁または幾つかの他の同様の液体で再構成する場合に、抗高血糖活性を必要とする対象に提供するのに用いられうる飲料を提供する、再構成可能な濃縮物または粉末組成物でありうる。患者、特に延長治療の状態にある者にとって、より魅力のある、したがって、より効果的な支援を提供するために、ある期間にわたり、様々に組み合わせて作られうるさまざまな形態、すなわち、シェイク、スープ、果実飲料、スナック・バーおよび、錠剤、ジェルカプセルなどの他の固体形態の、注意深く設計された多くの製品を利用する糖尿病の管理プログラムにおいて、本濃縮物または粉末化した組成物、およびそれらから調製される飲料は、経腸投与される成分として、特に有用である。
【0094】
飲料に加えて、本発明の抽出物は食品にも使用して差し支えない。これらの抽出物は、任意の他の食品と組み合わせてもよく、例えば、本発明の抽出物を含む水溶性の食品が使用されうる。本発明の化合物で強化した粒粉を、焼成食品、シリアル、パスタおよびスープなどの食品に使用して差し支えない。有利には、これらの食品は、低脂肪、低コレステロールまたは他の制限食事療法に含めてもよい。
【0095】
栄養補助食品には、栄養飲料、ダイエット飲料、ならびにスポーツ、ハーブおよび他の強化飲料が含まれうる。本発明は、抗糖尿病薬として用いられうる栄養補助組成物を提供する。よって、それは、限定はしないが、真性糖尿病、妊娠性糖尿病、β−細胞機能の遺伝子欠損、インスリン作用の遺伝子異常、膵外分泌の疾患、内分泌障害、薬物または化学物質誘発性の疾患、感染、ならびに、糖尿病、前糖尿病状態、メタボリック・シンドロームなどに関連する他の遺伝的症候群など、血中グルコースの上昇を引き起こす、任意の代謝条件または不均衡を緩和するのに使用することができる。
【0096】
精製した抽出物に加えて、栄養補助食品または食料品はまた、限定はしないが、必須脂肪酸、ビタミンおよびミネラルなどのさまざまな他の有益な成分も含みうる。これらの成分は当業者に周知であるべきであるが、しかしながら、任意の特定の製剤または含量に縛られることなく、本セクションは、本発明の補助食品の一部を形成しうる成分の簡潔な説明を提供する。栄養補給剤の含量及び生産を説明する追加の開示は、例えば米国特許第5,902,797号;同第5,834,048号;同第5,817,350号;同第5,792,461号;同第5,707,657号および同第5,656,312号の各明細書に見出すことができよう(それぞれ参照することにより本明細書に援用される)。γ−リノレン酸(ω−3)およびリノール酸(ω−6)などの必須脂肪酸を、本発明の補助食品に加えてもよい。必須脂肪酸は、心臓血管の健康および免疫システムの支援に関与している。これらの必須脂肪酸のバランスが崩れると、コレステロール代謝の悪化を生じうる。
【0097】
ミネラルである亜鉛と銅は、両方とも、心臓血管の健康に関与しており、亜鉛:銅が5:1の比で供給されるべきである。これら2種類のミネラルのバランスが崩れると、銅における亜鉛の拮抗作用を生じうる。この影響は、心臓血管の健康を支えるための銅を利用する身体能力を妨げうる。銅と比較して過剰量の亜鉛は、重要な心臓を守る酵素であるSOD(スーパーオキシドジスムターゼ)を作る身体能力も妨げうる。また、適切な亜鉛:銅の比は、HDLのLDLに対する適性バランスを達成するためにも必要とされる。典型的な米国人男性の食餌における亜鉛の摂取は、RDAのわずかに33〜75パーセントであり、したがって、亜鉛を含む栄養補助食品が意図されている。
【0098】
セレンおよびヨウ化物もまた、それらが最も効果的に機能する比、約2:1のセレン:ヨウ化物の比を有する。これらのミネラルは、甲状腺機能に作用し、したがって、甲状腺機能における変化によって生じた、代謝において結果的に生じる効果を有する。不均衡になった甲状腺機能は、身体に、食物からの栄養素の吸収不良を生じうる、過度のストレスをかけてしまう。これは、言い換えれば、成長および発達を遅延させうる。
【0099】
ピリドキシン、葉酸およびコバラミンもまた、それらが血管障害の予防において最も効果的に機能する比を有する。ピリドキシン(ビタミンB6):葉酸:コバラミン(ビタミンB12)の最適な比は、約100:4:1である。これらのビタミンAは、潜在的に毒性のアミノ酸ホモシステインの値を低減するそれらの能力を通じて、心臓血管機能に作用する。この比は、食餌による心臓疾患の危険性において、個別に消費するこれらビタミンの不均衡かつ不適切なレベルを認識する。
【0100】
加えて、ビタミンC、ビタミンB1(チアミン)、およびビタミンEも提供されうる。ビタミンCの必要量は喫煙者で増大し、喫煙は肺癌の主要原因である。ビタミンB1は、エネルギー転換において重要な役割を果たす。チアミン二リン酸(TDP)は、炭水化物のエネルギーへの転換に必要な補酵素である。米国の男性は、現在、全カロリーの約45%を炭水化物から摂取しているため、食餌におけるビタミンB1の最適化が望ましい。
【0101】
ビタミンB6およびビタミンB12と一緒に葉酸を補給すると、血中のホモシステイン値の調節を助け、したがって本発明の栄養補助食品製剤における有用な成分である。ビタミンD(カルシフェロール)は、骨格の形成およびミネラルのホメオスタシスにとって必須である。ビタミンDなしでは、小腸は、カルシウムが吸収にどのくらい使用可能であるかにかかわらず、十分なカルシウムを吸収することができない。従って、ビタミンDは、強靭な骨の形成を補助するための栄養補給剤の成分として望ましい。
【0102】
金属酵素マンガン−スーパーオキシドジスムターゼ(Mn−SOD)の駆動におけるマンガンの役割は、他の金属酵素系(グルタミン合成酵素、アルギナーゼ、およびピルビン酸カルボキシラーゼ)における同様の役割とともに、はっきりと確認されている。多くの酵素系も、マンガンの金属酵素ではないにもかかわらず、マンガン活性化を受けることが示されている。マンガン−SOD結合は、この形態の金属酵素が細胞のミトコンドリア膜内における唯一の作用形態であると思われることから、臨床上特に重要であり、従って、ミトコンドリアの保護および身体の酸化エネルギー生産システムの確実性における独特の役割を果たしうる。栄養補助食品にマンガンを含めることは望ましいであろう。
【0103】
補助食品に含まれうる追加の微量栄養素としては、限定はしないが、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、リボフラビン、ナイアシン、ナイアシンアミド、パントテン酸、ピリドキシン、コバラミン、ビオチン、イノシトール、酒石酸水素コリン、ベタイン、およびビタミンKなどのビタミン、ならびにモリブデン、クロムおよびカリウムなどのミネラルが挙げられる。
【0104】
ストレス、運動、および他の条件は、体内成分に損傷を与えうるフリーラジカルを体内に発生させる。フリーラジカルを打ち消すため、本発明は、上述のビタミンCおよびEに加えて次の抗酸化物質を含みうる:シトラスバイオフラボノイド、混合カロチノイド、緑茶抽出物、およびN−アセチルシステイン。
【0105】
さらには、製剤をより良好な味にするために、製剤に当業者に周知の他の香味剤および添加剤を加えてもよい。例えば、製剤は、ショウガ、ボスウェリア、フルーツ香味剤、着色剤、保存料などを含みうる。
【0106】
固体形態で摂取する場合、本発明の栄養補助組成物は、さらに、ゼラチンなどの固体担体またはアジュバントを含みうる。液体形態で摂取する場合には、液体担体、すなわち、水、石油、動物油またはピーナッツ油、ミネラルオイル、大豆油、またはゴマ油などの植物油、または化学合成油などを加えてもよい。本発明の栄養補助組成物は、安定剤、保存料、緩衝剤、抗酸化物質、または当業者に既知の他の添加剤含みうる。
【実施例】
【0107】
本発明について一般的に述べてきたが、単に本発明の特定の態様および実施の形態の例証の目的で含まれるのであって、本発明を限定することは意図されていない、次の実施例を参照することにより、より容易に理解されよう。下記実施例と共に、図24〜28も参照されたい。
【0108】
実施例1
ナイルサバンナネズミを用いて、糖尿病の進行における、ヤシ果汁(PFJ)の効果を決定した。1つの研究では、8匹のオスの糖尿病ラットおよび4匹のオスの非糖尿病ラットを、12週間、研究した。ラットは、実験開始時にはおよそ20週齢であり、およそ32週齢で終了した。4匹の糖尿病ラットおよび2匹の非糖尿病ラットには、実験期間を通して水を与え、残りのラット(4匹の糖尿病、2匹の非糖尿病)には1500ppmの没食子酸当量(GAE)のPFJを与えた。
【0109】
体重増加および食物摂取は正常かつ同程度であった、PFJを与えられたラットはわずかに摂取量が少ない傾向にあったが、成長はPFJを与えられない糖尿病ラットよりもわずかに良好であった(表1)。月齢8ヶ月のナイルサバンナネズミ(実験開始12週間後)のそれぞれについて、血漿脂質プロファイルを確立した。浅麻酔(CO2+O2、1:1混合物)した後に、尾部血液から血液サンプル(50μl)を採取し、EDTAを含む試験管に入れた。血漿の分離後、Infinity TMキットを使用して、分光光度法でTGおよびTCを決定した。加えて、一晩絶食したラットからプールしたナイルサバンナネズミの血漿2〜3サンプルを合わせて、より大きい末梢血液サンプルから血漿リポタンパクを単離した。ベックマン・ウルトラクリア・チューブ(Beckman Instruments社製(米国カリフォルニア州パロアルト所在))に、2mLのd=1.24g/mL溶液、3mLの血漿のd=1.21g/mL溶液、2mLのd=1.063g/mL溶液、2.5mLのd=1.019g/mL、および2.5mLのd=1.006g/mL溶液を順次積層することによって、密度勾配を調製した。Beckman L−60オプティマ超遠心分離機を使用して、チューブを、Beckman SW41ローター内で、37,000rpmで48時間、15℃で回転させた。回転後、あらかじめ設定された密度でリポタンパク画分を回収した:VLDL d<1.006g/mL、LDL 1.006<d<1.063g/mLおよびHDL 1.063<d<1.21g/mL。Infinity TMキットを用いて各画分のコレステロール値を決定した。
【0110】
0週および11週の時点で非空腹時の血中グルコースを測定し、空腹時の値は、ラットを殺処分した第12週に得た。他の血液化学および臓器重量は、表1に示すように、第12週に行った。
【表1−1】
【表1−2】
【0111】
実験開始時における非空腹時の血中グルコース値は、糖尿病ラット群が非糖尿病対照群の約3倍高かった(300+に対して100+mg/dL)。12週間後、空腹時血漿グルコースは、水を与えた糖尿病ラット(糖尿病対照群)で650mg/dLであったのに対し、PFJを与えた糖尿病ラット群ではわずか120mg/dLであった。非糖尿病ラットにおいては、水およびPFJの両群で空腹時血中グルコースの値が<100mg/dLと、互いに大きな差異はなかった。
【0112】
12週間の実験の終了時における血漿脂質およびリポタンパクは、水またはPFJを与えた糖尿病ラットの間で異なっていた。水を与えた糖尿病ラットでは、トリグリセリド値およびVLDL−C値が大幅に上昇し、HDL−C値が低下した。PFJを与えた糖尿病ラットは、本質的に正常であり、非糖尿病対照群とほぼ同じ血漿脂質値を有していた。
【0113】
剖検では、水を与えたラットにおける糖尿病の進行に関連する貯蔵脂肪の消耗は、ヤシ果汁群には見られず、非糖尿病ラットと同様であった。さらには、水を与えた糖尿病群の肝臓および腎臓の大きさの増大は、糖尿病群にPFJを補給することによって正常化した(表1)。
【0114】
従って、血中グルコースおよび脂質プロファイルの改善(特にVLDLおよびHDL)からも分かるように、唯一の水源としてGAE1500ppmのヤシ果汁を与えることで、より高齢(20週齢)の中程度の糖尿病のオスのナイルサバンナネズミにおける糖尿病の進行を阻むことができた。ヤシ果汁を与えなかった糖尿病ラットは、腎臓および肝臓の肥大とともに重度の多尿症/多渇症へと進行し(水分摂取群で6倍に上昇)、末端グルコース、TG、およびTCの上昇とともに、HDLの低下を示した。
【0115】
実施例2
長期間のPFJの摂取が発病を抑止するか否か、または糖尿病を防止するか否かについて判断するため、正常な血中グルコース値(50〜55mg/dL)を有する16匹の若年(12週齢)の健康なオスのナイルサバンナネズミを用いて、実験を行った。動物に、水またはヤシ果汁(GAE1500ppm)のいずれかとともに、標準的なラット用の食餌#5020を9ヶ月間与えた。9ヶ月の期間の終了時に、空腹時血中グルコース値は、<80mg/dL正常な平均値を有したPFJを与えたラットと比較して、水を与えたラットでは2.5倍に上昇した(表2)。
【表2−1】
【表2−2】
【0116】
研究の終了時点において、PFJを与えたラットと比較して、水を与えたラットのみが、血中グルコースの増大に加えてトリグリセリド値および総コレステロール値の上昇を示した。水を与えたラットは、肝腫脹および腎肥大も示した。水を与えた群は、多渇症および多食症を含む他の糖尿病の症状を示した。
【0117】
9ヶ月間の全カロリー摂取は、糖尿病で20%多く、水分摂取量は9ヶ月の期間にわたり、2倍であった。それにもかかわらず、PFJを与え、カロリーを少なめに消費した群は、糖尿病群と同じく成長し(体重、体長、BMI、LMI)、多くの場合、これらのラットの糖尿病と関連する、カロリーの過剰消費(消耗)が露呈した。ヤシ果汁を補給されたナイルサバンナネズミは、恐らくはPFJの糖含量に起因して、最初から水分を多く摂取した(その後の実験で、ラットが砂糖で甘くした飲料を好むことが示されている)。しかしながら、この群は、対照(糖尿病)群で進行した糖尿病の多渇症とは異なり、経時による水分摂取において、最小限の増加を示した。PFJを与えたラットは、糖尿病が進行したPFJを与えないラットよりも小さい腎臓および肝臓を有していた。
【0118】
GAE1500ppmの常習的なPFJは、成長または臓器重量に有害作用がないことを示した。いずれの群においても体脂肪全体には影響がなく、実施例1のラットと比較して、これら8匹の水を与えたラットでは疾患は重症ではなかったことから、全貯蔵脂肪は糖尿病による枯渇は見られなかった。
【0119】
血漿トリグリセリドは7ヶ月までに上昇し、水を与えたラットでは糖尿病が進行したことから、7〜9ヶ月の間に劇的に上昇し、この群の数匹のラットは進行疾患に達し始めたことを示唆した。従って、1500ppmのPFJを長期間、健康的に摂取することで、グルコース、血中脂質、および肝臓および腎臓の重量から判断すると、若年のナイルサバンナネズミは、糖尿病の発病から保護された。
【0120】
実施例3
ナイルサバンナネズミの糖尿病の進行における、段階的な濃度のPFJの摂取の効果を判定するための実験を行った。28匹の若い(12週齢)健康なオスのナイルサバンナネズミを4つの群に分けた。第1群(対照)には、17週の実験期間中、水のみを与えた。第2、第3、および第4群には、研究全体を通じて、それぞれ、450ppm、900ppm、および1800ppmのGAEのヤシ果汁を与えた。すべての群に、標準的なラット用の食餌#5020を与えた。17週間後、ラットを殺処分し、その測定結果を、研究期間を通じて採取した体重および食物摂取の測定結果に加えた。結果を表3に示す。
【表3−1】
【表3−2】
【0121】
すべての群のラットは、およそ同じ体長および体重に成長した(BMIおよびLMIを計算)が、対照(水)群は、終了時点で体重がわずかに少なく、第12週までに判明した水分摂取の増加に関連して、腎肥大を有していた。恐らくは尿中のグルコースの減少または組織のグルコース利用の機能不全を相殺するため、対照ラットの方がよりたくさん食餌を摂取した。腎臓重量はPFJの摂取と反比例の関係を有していたが、900gのAEでは水平状態に達しているように見えた。各群で脂肪重量についての差異は見られなかった。対照ラットに見られた血中グルコース値の上昇は、糖尿病の発病が第9週より前であったことを示唆した。先の研究で観察されたように、水を与えた群では末期的な肝腫脹が見られ、肝臓重量および血中グルコース値はPFJの濃度が増加するにつれて低下し、900gのAE以上では正常値が測定された。450gのAEでも血漿総コレステロールおよびトリグリセリドに顕著な低下効果を有し、900gおよび1800gのAEではほんの少しだけ改善した。
【0122】
データは、PFJが2型の糖尿病の発達および進行からの保護を補助することを実証しており、その保護効果は900gのAEで本質的に達成される。一部の血液化学における用量依存性の影響が生じたが、すべての測定値についてではない。
【0123】
実施例4
初期の糖尿病(>110mg/dLの平均グルコース値)を有する11匹の高齢(28週齢)のオスのナイルサバンナネズミにおけるPFJの影響を調べるため、第4の研究を行った。ラットの1つの群には水のみの食餌を与え、他の群にはGAE1500ppmのPFJを20週間(5ヶ月)与えた。標準的なラット用の食餌#5020を両群に与えた(表4)。
【表4−1】
【表4−2】
【0124】
先の研究で見られたように、PFJラットの食物摂取は少なく、ラットはわずかに小さく、実験期間中に重量が減少したのに対し、糖尿病群では重量が増加した。しかしながら、カロリーの低減はジュース中の天然の糖分によって幾分相殺されたため、エネルギー摂取の低減(15%)は大きく影響しなかった。最終的な分析では、PFJを与えたラットはBMIおよびLMIが低い傾向にあるとともに、体長が短かった。20週間後、PFJを与えたラットは多渇症および多食症の程度が低く、糖尿病の症状の改善を示唆した。肝臓はPFJを補給されたラットで著しく小さかったが、腎臓が小さい傾向は、水を与えたラットのみと比較して、統計的に有意ではなかった。加えて、水を与えた群は、20週間にわたり、ほぼ200mg/dLの血中グルコース値の増大を示したのに対し、PFJ群では血中グルコース値は変化しなかった。空腹時血漿総コレステロール(TC)には、さらに顕著な結果が見られ、20週間にわたり、水およびPFJ群で、それぞれ、22%および46%低下した。さらに顕著であったのは、水を与えた群の血漿トリグリセリド値が3倍に増大したのに対し、PFJ群が正常値まで、ほぼ70%低下したことである。
【0125】
従って、糖尿病の発病を示した高齢のオスのナイルサバンナネズミにおいても、GAE1500ppmのPFJの補給は、糖尿病のさらなる進行を防ぎ、あるいは、さまざまな糖尿病の指標、特に血中グルコースおよび血漿トリグリセリドの値を実際に改善することができた。
【0126】
フェノール類が豊富なPFJを450〜1800ppmのGAEで補給することにより、ナイルサバンナネズミのモデルにおける2型の糖尿病の発達に対し、用量依存性の保護効果を示した。特に、PFJは、低いグルコース値を維持し、若年のナイルサバンナネズミにおけるグルコースの増大を防ぎ、ナイーブラットにおけるトリグリセリド値の増大を防ぎ、一部の例では、軽度の糖尿病を有するラットにおいてもトリグリセリド値が低下した。PFJは、結果的に、食物および水分の摂取を低減し、腎肥大および末期の腎炎を防いだ。理論に縛られるわけではないが、PFJの1種類以上のフェノール類(または一部の他の未確認の成分)が膵β細胞において潜在的な水溶性の抗酸化物質として作用し、非補給ラットにおいては究極的にβ細胞を破壊することとなる活性酸素種(ROS)からミトコンドリアを保護したと仮定される。本質的に、ナイルサバンナネズミは、市販の食餌または精製した食餌の十分なエネルギー供給を前にした場合に、インスリン産生において、異常なほど過剰に消耗しがちである。
【0127】
実施例5
ApoE-/-マウス(アポリポタンパクE欠損)は、高い血中脂質およびグルコースを発現し、病勢が進展するにつれてアテローム性動脈硬化症を発症することから、これらマウスについて研究した。PFJが脂質プロファイルの危険性を有利に改善するか否かについて判断するため、マウスに、食餌および1050ppmの没食子酸当量(GAE)の水へのPFJの添加の有無の条件下で、10週間、精製した食餌を与えた(表5)。
【表5】
【0128】
殺処分時において、空腹時血中グルコース値に差異は見られなかった(成長するにつれて、両群の差異は実質的に2倍になった)。総血漿コレステロール(TC)の影響もなかったが、血漿トリグリセリド(TG)の測定値は、PFJを与えたマウスにおいて約50%低かった。さらには、脂肪プールは、PFJを与えなかった対照群と比較して、PFJ−マウスでは、重量が30%低いことと関連して(p<0.05)、40%の低減を示した(p<0.05)。このことは、PFJが、apoEマウスの成長におけるエネルギーの処分(損失)を促進し、低い空腹時TGを生じ、これが低脂肪および低体重に反映したことを示唆している。他の臓器には影響はなかった。このPFJ誘発性のプロファイルは、インスリン耐性および2型の糖尿病に関連したメタボリック・シンドローム(高いTGおよびグルコース値および脂肪症の増大)とは正反対である(表6)。
【表6】
【0129】
実施例6
BALB−c系マウス(オスおよびメスの離乳マウス)にラブダイエット#5020を8週間与えた(表8)。毎日の最終的な摂取量が約300mgGAE/kg体重/日となるように、飲料水にPFJを補充した。
【0130】
PFJを与えたマウスは、食物を著しく多く消費したにもかかわらず(p<0.05)、体重増加が30%減少し(NSの傾向)、したがって、摂食効率(g増加/kcal)はかなり低い(40%)(表7)。脂肪プールはPFJ−マウス(NSの傾向)で30%低く、空腹時の最終的な血中グルコースは大幅に、25%も低かった(p<0.05)。大きさの違うメスおよびオスの混合は観察する実際の重量に幅広いバリエーションを生じることから、臓器重量の有意性は妨げられたが、傾向は一致しており、疑う余地はなかった。理論に縛られるわけではないが、データは、この系では、オスのapoE-/-マウスに見られるように、PFJの補給がエネルギーの処分を促進し、血中グルコースおよび貯蔵脂肪に好ましい影響を与え、体重の低下および全般的な抗糖尿病プロフィールをもたらすことを示唆している。
【表7】
【0131】
実施例7
従来のラットモデル(スプラーグ−ドーリーラットのオス)では、実施例5および6と同様の傾向が見られた(表8)。離乳ラットに、食餌自体に取り込んだ0または3000ppmのPFJ GAEを含む、精製した食餌を4週間、与えた。食物摂取および体重増加は各群間で同様であったが、PFJを与えたラットでは低い傾向にあった。水分摂取はPFJを与えたラット群の方が多く、腎臓もこの群の方が重かった(両方ともp<0.05)。PFJ補給群の盲腸の方が大きく、脂肪のプールは著しく小さく、他の臓器重量に影響はなかった。グルコースおよびコレステロール値は両群同様であり、かつ正常値であった。データは、PFJが貯蔵脂肪を低減することができ、余分な尿流量を処理する際に拡大を引き起こす腎臓に利尿効果を有することを示唆している。この結果は、ヒトの血圧低下を誘発するのに用いられる臨床の利尿薬と似ており、ヒトの臨床背景におけるPFJの転帰および用途が示唆されている。
【表8−1】
【表8−2】
【0132】
等価物
当業者は、日常的な実験のみを利用して、本明細書に記載される発明の特定の実施の形態についての多くの等価物を得ることを認識し、あるいは得ることができよう。したがって、前述の実施の形態は単に例示の目的で提示され、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内において、本発明が、明確に記載され、特許請求の範囲に定義される以外にも、実施されうることが理解されるべきである。
【0133】
参照による取り込み
本明細書で引用されるすべての米国特許公報および米国特許出願公開公報は、参照することにより本明細書に取り込まれる。
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2008年4月2日出願の米国特許出願第12/080,361号の優先権の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、油ヤシ果汁を使用する、真性糖尿病、前糖尿病状態、および他の関連する障害の治療および予防方法に関する。
【背景技術】
【0003】
真性糖尿病は、脂肪、炭水化物、およびタンパク質の慢性の代謝疾患である。それはインスリン産生、インスリン作用、またはその両方の異常から生じる高い血中グルコース値を特徴とし、これがグルコースの輸送および代謝障害につながり、結果として高血糖症が生じる。世界保健機関(WHO)は、1憶8000万人を超える人々が糖尿病を患っていると推定しており、糖尿病は最も一般的な非伝染性疾病の1つであり、2030年までには倍増すると予想されている。
【0004】
米国では、人口のおよそ7%に相当する2080万人が糖尿病を有している。推定1460万人が糖尿病と診断されている;しかしながら、120万人は、彼らが疾患を有していることに気づいていない。成人(20歳以上)の10%よりも多くが糖尿病を有しており、60歳以上のアメリカ人の20%よりも多くが疾患を有している。糖尿病と診断されたすべての人々のおよそ90〜95%が、成人発症型または2型の糖尿病を有している。糖尿病を有する残りの5〜10%の人々(一般に子どもおよび若年成人)は、インスリン依存性または1型の糖尿病を有する。糖尿病の進行の危険性は、通常はボディマスインデックスで測定するが、これは年齢および体重と共に増大する。毎年、成人に対し、約150万の新たな症例が診断される。2002年において、糖尿病は米国における死因の第6番目であり、しかも実際より少なく報告されている可能性が非常に高い。
【0005】
心臓疾患、脳卒中、高血圧、眼合併症(網膜症、白内障)、腎疾患(腎症)、神経系疾患(神経障害)、末梢血管疾患、歯の疾病、胃不全麻痺、性機能不全、および妊娠中の合併症を包含する糖尿病を引き起こす、深刻な内科的合併症が存在する。年齢をマッチングさせた糖尿病を有する人々の死亡の危険性は、概ね、糖尿病を有しない人々の約2倍である。
【0006】
1型の糖尿病を有する人々は、ポンプまたは注入によって送達することによって、インスリンを補充しなければならない。2型の糖尿病を有する人々は、注意深い食餌および運動プログラム、減量、および/または経口薬の摂取に従って、血中グルコースを調節することができる場合がある。糖尿病を有する人々の多くは、コレステロールおよび血圧を調節するために経口薬の摂取も必要とする。糖尿病と診断された成人のうち約11%がインスリンおよび経口薬の両方を摂取し、22%がインスリンのみを摂取し、49%が経口薬のみを摂取し、17%はインスリンと経口薬のどちらも摂取していない。殆どの非インスリン療法は、血中グルコース値を低下させるか、食後のグルコース値に対する感応性を向上させるか、あるいはインスリンの膵臓分泌を増大させるように設計された経口薬である。経口の抗糖尿病は、抗糖尿病用医薬品販売全体の約63%を占める。例えばメトホルミンは、肝臓が過剰量の糖を作るのを防ぐことによって作用するが、すべての患者に有効ではなく、有効性は典型的には経時によって低下する。別の種類の薬物であるインスリン増感剤、すなわちグリタゾンは、インスリン耐性を低減させて、糖尿病のインスリン値の低下をさらに有効にする手助けをする。しかしながら、グリタゾンは肝臓毒性および死亡と関連付けられており、したがって医師はこれらの薬物の使用に対して依然として慎重である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、糖尿病および他の関連する障害を治療するために、さらにより安全かつ有効な治療が、非常に広範な臨床において必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、少なくとも、真性糖尿病および他の代謝不均衡を治療および予防するための方法およびキットを対象とする。
【0009】
1つの実施の形態では、本発明は、アブラヤシ属の果実から得られる抽出物を治療に有効な量で哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における代謝不均衡の治療方法を提供する。
【0010】
1つの態様では、抽出物は、栄養補助組成物または医薬組成物におけるものである。別の態様では、抽出物は水溶性の成分である。さらに別の態様では、水溶性の抽出物はフェノール類である。特定の態様では、フェノール類はケイヒ酸および安息香酸の誘導体を含む。別の実施の形態では、抽出物は、ヤシ油をミリング処理した植物液から得られる、ヤシ果汁である。
【0011】
別の実施の形態では、本方法は、さらに、インスリン分泌および/または感応性を増強することを含む。さらに別の実施の形態では、本方法は、さらに、血中グルコース値を低減することを含む。
【0012】
本発明のある態様では、代謝不均衡は、真性糖尿病、妊娠性糖尿病、β−細胞機能の遺伝子欠損、インスリン作用に関する遺伝子異常、膵外分泌疾患、内分泌障害、薬物または化学物質誘発性、感染、および、糖尿病、前糖尿病状態、およびメタボリック・シンドロームに関連する他の遺伝的症候群からなる群より選択される。1つの態様では、代謝不均衡はI型および/またはII型を含めた真性糖尿病である。別の態様では、代謝不均衡は、成人における潜在性の自己免疫性糖尿病(例えば1.5型糖尿病)である。
【0013】
さらに別の態様では、哺乳動物における真性糖尿病の治療は、真性糖尿病の二次的な内科的合併症を予防する。さらに別の態様では、真性糖尿病の二次的な内科的合併症は、心臓疾患、脳卒中、高血圧、網膜症、白内障、腎症、神経障害、末梢血管疾患、歯の疾病、胃不全麻痺、性機能不全、または妊娠中の合併症を含む。
【0014】
本発明によれば、代謝不均衡はメタボリック・シンドロームでありうる。1つの態様では、メタボリック・シンドロームの治療には、1つ以上の診断基準を治療することが含まれる。さらに別の実施の形態では、診断基準は、胴囲、トリグリセリド、HDL、血圧、および空腹時血中グルコース値からなる群より選択される。さらに別の実施の形態では、代謝不均衡は前糖尿病状態であり、哺乳動物は真性糖尿病のリスク因子を1つ以上有する。別の態様では、前糖尿病状態は、低下した空腹時グルコース値またはグルコース不耐性を含む。さらに別の態様では、真性糖尿病の1つ以上のリスク因子は、年齢、身体不活動、BMIの異常、遺伝学的疾病素質、民族性、高血圧、多嚢胞性卵巣症候群、循環器疾患、以前に低下した空腹時グルコースまたはグルコース耐性、およびインスリン耐性に関連する他の臨床症状からなる群より選択される。
【0015】
本発明はさらに、キットの使用を含む。1つの実施の形態では、キットは、(a)前記アブラヤシ属の果実のミリング処理から得られる植物液の抽出物の組成物を含むパッケージと、(b)前記アブラヤシ属の果実のミリング処理から得られる植物液の抽出物を代謝不均衡の治療に使用するための使用説明書とを含む。別の実施の形態では、代謝不均衡は真性糖尿病である。
【0016】
ある実施の形態では、本発明は、アブラヤシ属の果実から得られる抽出物を治療に有効な量で含む、哺乳動物が摂取するための栄養補助組成物に関する。
【0017】
ある実施の形態では、本発明は前述の栄養補助組成物のいずれか1つに関し、ここで前記抽出物は粉末、液体、または固体である。ある実施の形態では、本発明は前述の栄養補助組成物のいずれか1つに関し、ここで前記粉末は再構成可能なな濃縮物である。
【0018】
ある実施の形態では、本発明は前述の栄養補助組成物のいずれか1つに関し、さらに、必須脂肪酸、抗酸化物質、ビタミン、またはミネラルを含む。
【0019】
ある実施の形態では、本発明は前述の栄養補助組成物のいずれか1つに関し、さらに、γ−リノレン酸、リノール酸、亜鉛、銅、セレン、ヨウ化物、ピリドキシン、葉酸、コバラミン、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンE、チアミン二リン酸、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンD、マンガン、ビタミンA、リボフラビン、ナイアシン、ナイアシンアミド、パントテン酸、ビオチン、イノシトール、酒石酸水素コリン、ベタイン、ビタミンK、モリブデン、クロム、カリウム、シトラスバイオフラボノイド、混合カロチノイド、緑茶抽出物、またはN−アセチルシステインを含む。
【0020】
ある実施の形態では、本発明は前述の栄養補助組成物のいずれか1つに関し、さらに、ショウガ、ボスウェリア、フルーツ香味剤、着色剤、または保存料を含む。
【0021】
ある実施の形態では、本発明は前述の栄養補助組成物のいずれか1つに関し、さらに、ゼラチン、アジュバント、水、ピーナッツ油、ミネラルオイル、大豆油、ゴマ油、化学合成油、安定剤、または緩衝剤を含む。
【0022】
ある実施の形態では、本発明は、前述の栄養補助組成物のうち1つ以上を含む調理済み食品に関する。
【0023】
ある実施の形態では、本発明は、アブラヤシ属の果実から得られる抽出物を治療に有効な量で哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における利尿を誘発する方法に関する。
【0024】
ある実施の形態では、本発明は、アブラヤシ属の果実から得られる抽出物を治療に有効な量で哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における高血圧を治療する方法に関する。
【0025】
ある実施の形態では、本発明は前述の方法のいずれか1つに関し、ここで前記抽出物は栄養補助組成物または医薬組成物におけるものである。
【0026】
ある実施の形態では、本発明は前述の方法のいずれか1つに関し、ここで前記抽出物は水溶性の成分である。ある実施の形態では、本発明は前述の方法のいずれか1つに関し、ここで前記水溶性の抽出物はフェノール類を含む。ある実施の形態では、本発明は前述の方法のいずれか1つに関し、ここで前記フェノール類はケイヒ酸および安息香酸の誘導体を含む。
【0027】
ある実施の形態では、本発明は前述の方法のいずれか1つに関し、ここで前記抽出物はアブラヤシ属から得られるものである。
【0028】
ある実施の形態では、本発明は前述の方法のいずれか1つに関し、ここで前記抽出物は、ヤシ油をミリング処理した植物液から得られるヤシ果汁である。
【0029】
ある実施の形態では、本発明は、
(a)前記アブラヤシ属の果実のミリング処理から得られる植物液の抽出物の組成物を含むパッケージと、
(b)前記アブラヤシ属の果実のミリング処理から得られる植物液の抽出物を、それらを必要とする哺乳動物における利尿の誘発に使用するための使用説明書と、
を含むキットに関する。
【0030】
ある実施の形態では、本発明は、
(a)前記アブラヤシ属の果実のミリング処理から得られる植物液の抽出物の組成物を含むパッケージと、
(b)前記アブラヤシ属の果実のミリング処理から得られる植物液の抽出物を、それらを必要とする哺乳動物における高血圧の治療に使用するための使用説明書と、
を含むキットに関する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】ナイルサバンナネズミ(Nile rat;Arvicanthis niloticus)の写真。
【図2】週齢52週までのオスおよびメスのナイルサバンナネズミの成長グラフ。
【図3】週齢別のオスおよびメスのナイルサバンナネズミの食物消費を示す、2つのパネルグラフ。
【図4】月齢8ヶ月までのナイルサバンナネズミの随時血中グルコース値のグラフ。
【図5】月齢12ヶ月までのナイルサバンナネズミの空腹時血中グルコース値のグラフ。50週まで生存した動物は少数であり、それらは比較的低度の高血糖症(糖尿病)を有していた。
【図6】自然発症性糖尿病が進行するオスのナイルサバンナネズミの異なる随時血中グルコースの測定値における水分摂取のグラフ。測定は、週齢20〜32週の23匹のオスのナイルサバンナネズミから採取して行った。
【図7】2型の糖尿病が進行するオスのナイルサバンナネズミについての食物摂取、水分摂取、および体重を示すグラフのパネル。オスのナイルサバンナネズミは、食物および水分摂取の増大は、2型の糖尿病の初発症候のうち、血中グルコースの上昇に関連することを実証している。体重(脂肪)過剰は糖尿病の発病にとって必須条件ではない;n=13。
【図8】200mg/dLを超える随時血中グルコースを有するオスおよびメスのナイルサバンナネズミの週齢別の割合を示す棒グラフ。ラットには、BetaChip上に敷き詰めた市販の食餌5008を与えた(n=175の観察記録)。
【図9】非糖尿病および糖尿病のナイルサバンナネズミの食物および水分摂取の表。非糖尿病の空腹時グルコースは、12週および52週のオスおよびメスを合わせて平均約65mg/dLであったのに対し、糖尿病の場合は約160mg/dLの空腹時血中グルコースを有していた;「*」で表示。「**」は、スチューデントのt検定において、糖尿病の場合に著しく大きいことを示す(P<0.05)。本質的に、糖尿病の場合はカロリーを浪費する。
【図10】ナイルサバンナネズミにおけるトリグリセリド値に対する空腹時血中グルコース値のグラフ。
【図11】自然発症糖尿病ナイルサバンナネズミにおけるトリグリセリド値に対する非空腹時または空腹時血中グルコース値のグラフ。
【図12】非糖尿病の絶食した対照および糖尿病のナイルサバンナネズミにおけるリポタンパク分析の図表。「a,b,c」の共通の上付き文字を共有する平均値は、一元配置分散分析法およびフィッシャーの多重比較検定で、有意である(p<0.05)。
【図13】糖尿病が進行しているラットにおける空腹時血中グルコース値および肝臓重量のグラフ。
【図14】空腹時血中グルコース値の変化における、ナイルサバンナネズミの平均インスリン値の表。*は、アッセイに>12ng/dLのカットオフ値を含めたことを示しており、したがって、12ng/dLの任意数が割り当てられた。
【図15】ipGTTの際のオスおよびメスのナイルサバンナネズミにおけるインスリン反応の表。
【図16】糖尿病および非糖尿病のナイルサバンナネズミにおける腹腔内グルコース負荷試験(ipGTT)に対する絶対応答および相対応答を示す2つのグラフのパネル。
【図17】糖尿病および非糖尿病のナイルサバンナネズミにおける腹腔内インスリン耐性試験に対する非空腹時グルコースの絶対応答および相対応答を示す2つのグラフのパネル。
【図18】高脂肪または低脂肪の食餌を与えたメスのナイルサバンナネズミについてのボディマスインデックス(BMI)およびリーンマスインデックス(LMI)の表。
【図19】3種類の異なる食餌を5ヶ月間与えた5週齢のオスのナイルサバンナネズミにおける体重および臓器重量、血中グルコースプロファイル、およびカロリー摂取の表。a,b,c…の共通の上付き文字を共有する平均値は、一元配置分散分析法およびフィッシャーの多重比較検定で有意である(p<0.05)。「*」は、24週齢の15時間絶食後の血中グルコースを示す(n=5/群)。
【図20】3種類の異なる食餌を5ヶ月間与えた5週齢のオスのナイルサバンナネズミにおける血漿および肝臓脂質の表。a,b,c…の共通の上付き文字を共有する平均値は、一元配置分散分析法およびフィッシャーの多重比較検定で有意である(p<0.05)。「*」は、24週齢の15時間絶食後の血中グルコースを示す。
【図21】3種類の異なる食餌を5ヶ月間与えた5週齢のオスのナイルサバンナネズミにおける臓器重量の表。a,b,c…の共通の上付き文字を共有する平均値は、一元配置分散分析法およびフィッシャーの多重比較検定で有意である(p<0.05)。「*」は、24週齢の15時間絶食後の血中グルコースを示す。実験2。
【図22】3種類の異なる食餌(半精製した食餌)を与えたナイルサバンナネズミにおける、5ヶ月後のグルコース負荷試験のグラフ。実験2。
【図23】ラットの食餌を不断給餌または80%の不断給餌で与えたオスのナイルサバンナネズミにおける腹腔内グルコース負荷試験のグラフ。80%まで食物制限した不断給餌では、自然発症糖尿病オスのナイルサバンナネズミにおけるipGTTが改善する(実験5)。
【図24】水またはヤシ果汁のいずれかを与えた糖尿病および非糖尿病のナイルサバンナネズミにおける血中グルコースおよび血漿トリグリセリド値の棒グラフ。1群あたりn=4。ラットは、開始時に20週齢であり、さらに追加で12週間、水またはPFJを与えた。
【図25】ヤシ果汁または水を与えたナイルサバンナネズミにおける、空腹時リポタンパクのプロファイルの棒グラフ。1群あたりn=4。ラットは20週齢であり、さらに追加で12週間、水またはPFJを与えた。
【図26】水またはヤシ果汁のいずれかを与えた月齢3ヶ月のナイルサバンナネズミにおける、1ヶ月および9ヶ月後の食物摂取および血中グルコース値の棒グラフ。ナイルサバンナネズミ、実験7(GAE1500ppm)。
【図27】9ヶ月間、水またはヤシ果汁を与えた月齢3ヶ月のナイルサバンナネズミにおける血漿脂質の棒グラフ。*p<0.05。
【図28】9ヶ月間、水またはヤシ果汁を与えた、開始時の月齢3ヶ月のナイルサバンナネズミにおける臓器重量(%体重)の棒グラフ。
【発明を実施するための形態】
【0032】
開示する説明、方法、および実施例は、油ヤシの果実を使用して、代謝不均衡、真性糖尿病、前糖尿病状態、メタボリック・シンドローム、および他の関連する障害の治療および予防を補助する。
【0033】
それはまた、心臓疾患、脳卒中、高血圧、眼合併症(網膜症、白内障)、腎疾患(腎症)、神経系疾患(神経障害)、末梢血管疾患、歯の疾病、胃不全麻痺、性機能不全、および妊娠中の合併症を併発した糖尿病を結果的に生じる二次的な内科的合併症の治療および予防にも関する。
【0034】
「包含する」、「有する」、「含む」および「含有する」と言う用語は、他に断りのない限り、制限のない用語(すなわち「含むが限定されない」ことを意味する)と解釈されるべきである。明細書における数値の範囲の記述は、本明細書に別記されない限り、単に、個別に、その範囲内に含まれる各区切られた値に関する簡潔な表現方法としての役割をし、各区切られた値は、それが本明細書に個別に記述されているかのごとく、本明細書内に取り込まれることが意図されている。本明細書に記載されるすべての方法は、本明細書に別記されるか、あるいは文脈と矛盾することが明白にされない限り、任意の適切な順番で行うことができる。本明細書に記載される任意およびすべての例または例示的表現(例えば「など(のような)」)の使用は、単に、本発明をより明らかにすることを意図しており、他に主張しない限り、本発明の範囲における限定を提供するものではない。本明細書における表現のいずれも、特許請求の範囲に記載されない任意の要素が本発明の実施に必須であることを示唆すると解釈されるべきではない。
【0035】
本明細書では、ナイルサバンナネズミにおける「糖尿病」という用語は、一般に、>225mg/dLの随時血中グルコース値、または>110mg/dLの空腹時血中グルコース値を意味する。
【0036】
本明細書ではヒトにおける「糖尿病」という用語は、一般に、および現在のところ、経口のグルコース負荷試験の際の、≧200mg/dL(≧11.1mmol/L)の随時血漿または血中グルコース濃度、または≧126mg/dL(≧7.0mmol/L)の空腹時血漿グルコース濃度、または≧200mg/dL(≧11.1mmol/L)の2時間負荷後グルコース濃度を意味する。
【0037】
本明細書では、ナイルサバンナネズミにおける「非糖尿病」という用語は、一般に、≦80mg/dLの空腹時血漿グルコース値、また<200mg/dLのは随時の血漿グルコース値を意味する。
【0038】
本明細書では、ヒトにおける「非糖尿病」という用語は、一般におよび現在のところ、経口のグルコース負荷試験の際の、<100mg/dL(5.6mmol/dL)の空腹時血漿グルコース値、または<140mg/dL(<7.8mmol/dL)の2時間負荷後グルコース値を意味する。
【0039】
本明細書では、ナイルサバンナネズミにおける「前非糖尿病」という用語は、一般に、約80〜約110mg/dLの空腹時血漿グルコース値を意味する。
【0040】
本明細書では、ヒトにおける「前非糖尿病」という用語は、一般におよび現在のところ、経口のグルコース負荷試験の際の、100〜125mg/dL(5.6〜6.9mmol/L)の空腹時血漿グルコース値、または140〜199mg/L(7.8〜11.1mmol/L)の2時間負荷後グルコース値を意味する。
【0041】
これらの定義は、施術者が一般に米国糖尿病学会(ADA)に照らして従う、現在認められている指針であることが認識されよう。指針は、時間とともに変化し、また地域または国によっても変化するであろうし、また当業者に既知の、指針を提示するグループまたは機関(例えばADA、世界保健機関、NIDDK/NIH、CDCなど)に応じて決まるであろう。医師はまた、診断および治療を決定する際に、臨床経験、患者の既往歴、および/または他の情報を使用して差し支えない。したがって、これらの定義は、科学および医薬の進歩にしたがい、時間とともに変化しうる。
【0042】
本発明はまた、成人における潜在性の自己免疫性糖尿病(1.5型糖尿病としても知られる)の治療および予防にも適用できることが理解されよう。
【0043】
本明細書では「随時」および「非空腹時」という用語は、一般に、最後の食事後の経過時間を気にせずに、昼夜を問わず随時であることを意味する。
【0044】
本明細書では「空腹時」という用語は、一般に、少なくとも12時間はカロリー摂取していないことを意味する。
【0045】
本明細書では「代謝不均衡」という用語は、一般に、血漿グルコースの上昇に関連する任意の障害または疾患の状態または状況を意味する。代謝不均衡には、例えば、真性糖尿病、妊娠性糖尿病、β−細胞機能の遺伝子欠損、インスリン作用に関する遺伝子異常、膵外分泌、内分泌障害、薬物または化学物質誘発性の疾患、感染、および、糖尿病、前糖尿病状態、およびメタボリック・シンドロームに関連する他の遺伝的症候群が含まれる。
【0046】
本明細書では「栄養補助」という用語は、一般に、栄養学的な利益の他に、追加の利益を提供する食物のことを意味する。
【0047】
メタボリック・シンドローム
メタボリック・シンドロームは、米国心臓協会(AHA)が述べる通り、ひとりの人における代謝性のリスク因子群によって特徴づけられる。メタボリック・シンドロームは、メタボリック・シンドロームX、シンドロームX、インスリン抵抗症候群、Reavenシンドローム、またはCHAOSの別称でも知られている。リスク因子としては、限定はしないが、腹部肥満、アテローム性脂質異常血症、高血圧、インスリン耐性またはグルコース不耐性、血栓症前の状態(高フィブリノゲンまたはプラスミノゲン活性化因子阻害剤−1)、および炎症促進状態(C反応性タンパクの上昇)が挙げられる。
【0048】
今のところ、メタボリック・シンドロームを診断するための広く受け入れられている基準はない。最も一般的に用いられるのは、米国コレステロール教育プログラム(NCEP)の成人治療パネルIII(ATP III)である。AHAおよび米国心臓、肺、血液研究所は、現在、次の要素:胴囲の増加(男性:≧40インチ、女性:≧35インチ)、空腹時トリグリセリド≧150mg/dL、HDLの低下(男性:<40mg/dL、女性<50mg/dL)、血圧≧130/85mmHg、および空腹時グルコース≧100mg/dLのうち、3つ以上に該当する場合にメタボリック・シンドロームと認定することを推奨している。これは、施術者が採用するであろう、現在の多くの指針の1つであることが理解されよう。指針は時間とともに、また地域または国によって、また指針を提示するグループまたは機関(例えば世界保健機関、NCEP、AHAなど)によっても変化するであろう。
【0049】
ナイルサバンナネズミ(Arvicanthis niloticus)
ナイルサバンナネズミ(図1)は、アフリカグラスネズミ、縞のない(unstriped)グラスマウス、またはクズ(Kuzu)ラットという別名でも知られ、ナイル川デルタ地帯およびアラビア半島の一部に生息する。本明細書では、これらの名称のいずれも、ナイルサバンナネズミ(Arvicanthis niloticus)のことを指す。齧歯動物は、粗い、灰色がかった茶色の毛皮を有する。成熟した、頭部と体部の長さは〜13cmであり、加えて尾部がさらに10cmある。成熟ラットの体重は、メスで110〜130gであり、オスよりもやや軽い(図2)。標準的なラット用の食餌および水を与えた非糖尿病のメスおよびオスのナイルサバンナネズミの成長は、週齢4〜30週の間は安定かつ非線形であり、その時点で、それ以上成長することなくプラトーに達する。オスは130〜140gで落ち着くが、メスの最終体重は115〜125gになる。ナイルサバンナネズミには、脂肪の付加重量が発生しうるが、ほとんどの場合は過度ではない。付加脂肪に起因して、時々、オスでは160g、メスでは150gに達する場合がある。食餌および水を与えた週齢52週までのオスおよびメスのラットについての発育データを採取した。各時点における観察記録の数nは、オスで3〜67匹、およびメスで2〜70匹の範囲で変化した。生存動物の総数Nは、オスが206匹、メスが200匹であった。
【0050】
オスおよびメスのナイルサバンナネズミによって、ラブダイエットとして消費される食物の量を図3に示す。食物消費を、29匹のメスおよび19匹のオスのナイルサバンナネズミについて35週間測定した。各時点nは、1〜12匹のオスおよび1〜17匹のメスで表される。メスのナイルサバンナネズミは経時による食物摂取の増大と直線関係を示したが、オスのナイルサバンナネズミは、30週目以降、グルコース不耐性の進行につれて摂取量が減った。
【0051】
最適条件下では、ナイルサバンナネズミは、6〜12ヶ月の間、3〜4週間ごとに4〜8匹の子どもを、継続的に飼育下繁殖させることができる。子どもは、生後21日で離乳することができる。離乳から約6週齢まで、ナイルサバンナネズミは約40〜60mg/dLの空腹時グルコース値を有する。月齢3〜4ヶ月までは、血中グルコースは約70〜80mg/dLに上昇する。飼育において、これらのラットは約2年間生存する。ハツカネズミ属またはクマネズミ属に由来する種とは異なり、ナイルサバンナネズミは昼行性の動物であり、日中に最も活動的になる。ナイルサバンナネズミは日周期およびその調節機構における研究に利用されている。
【0052】
本発明に用いたナイルサバンナネズミの飼育株は、ミシガン州立大学のLaura Smale氏から得た6対のつがいを起源とするものであった(McElhinny,T.L、1997)。
【0053】
ナイルサバンナネズミにおける糖尿病の進行
飼育において、ナイルサバンナネズミは、ヒトの2型糖尿病と関係するメタボリック・シンドロームと多くの類似点を有するプロファイルを含む、ヒトに見られるのと同様の臨床症状を伴う、予期しない自然発症性糖尿病を発現する(Lakkaら,2002)。ナイルサバンナネズミの疾病は、進行性の高血糖症、高トリグリセリド血症、多飲症および多尿症を伴う過食症を特徴とし、最終的にはケトアシドーシス、ケトン尿症、および末期の腎炎および腎硬化症につながる腎肥大を生じる結果となる。インスリン感応性および分泌は経時とともに衰えるのに対し、カロリー制限は本質的に糖尿病の発現を防止し、これらの観察記録はヒトの状態と似ている。糖尿病が進行したナイルサバンナネズミの約10%は、白内障も進行する。
【0054】
標準的なラット用の食餌(ラブダイエット(LabDiet)社(米国ミズーリ州セントルイス所在)製のFormulab Diet#5008(脂肪17%、タンパク質27%))を与えた場合、ナイルグラスネズミは、成熟し、かつ糖尿病を有しない時点において、典型的には、1日当たり14gの食物(40〜50kcal/日)を消費し、おおよそ10〜20mLの水を飲む。食餌を与えた、感受性のラットにおける糖尿病の発病は、典型的には、早ければ、多くのオスで生後8〜12週間、メスでは16〜22週間で進行し始める。
【0055】
図4は、標準的な食餌および水食を与えたオスおよびメスのナイルサバンナネズミにおける、多重実験の経時による複数の実験から採取した、随時血中グルコースのプロットである。いずれの時点においても、オスのラットはメスよりも高い血中グルコース値を有していた。早くも8週間で、オスは150mg/dLに達し、8ヶ月ではおよそ400mg/dLに達しうるが、メスでは幾分低い。各時点における観察記録の数nは、オスで4〜48匹、メスで4〜57匹の範囲であった。動物の総数Nは、オスで120匹、メスで114匹であった。
【0056】
図5は、食餌と水を12ヶ月間与えたオスおよびメスのナイルサバンナネズミにおける空腹時血中グルコースの増加を実証している。オスの空腹時血中グルコースは平均250〜300mg/dLに達し、メスでは150mg/dLであった。図5のデータは、複数の実験を基に作成した。各時点における観察記録の数nは、オスが8〜22匹、メスが2〜16匹の範囲であった。調査対象となった動物の総数Nは、オスは76匹、メスが86匹であった。
【0057】
図6は、週齢20〜32週のオスのナイルサバンナネズミにおける随時血中グルコースと水の消費の相関関係を示している。すべての動物に標準的な食餌(chow diet)を与え、水分摂取量を週2回測定した。結果は、血中グルコースの増加につれてラットが多渇症を示し、水分摂取は、このモデルにおける糖尿病の進行を追跡するための手段として示されている。
【0058】
図7および図9は、糖尿病が進行している週齢12週〜40週のオスのナイルサバンナネズミにおける食物摂取(食餌(chow)として)、水分摂取、および体重を示している。これらの割合は、食物および水分摂取が血中グルコース値の上昇と関係していることを実証している。脂肪としての過剰の体重は、必ずしも糖尿病の発病および進行のための必須条件ではない。
【0059】
図8は、月齢8ヶ月までに、90%を超えるオスおよび50%を超えるメスが、血中グルコースに基づいて糖尿病を発現することを実証している。糖尿病の発病は、メスよりもオスの方に早く現れるように思われる。これらのラットは、高血糖症に併発して、多尿症、多渇症、および多食症も示す。多くのラットは、無治療で放置すると、7〜12ヶ月までに、白内障、悪液質、糖尿病ケトアシドーシス、および昏睡も発現する。自然発症性糖尿病の進行に加えて、ナイルサバンナネズミは、前述の代謝性のリスク因子群を特徴とするメタボリック・シンドロームの兆候および症状も発現する。
【0060】
糖尿病を研究する方法として、生理的変化の測定および血液または血漿の分析が挙げられる。これらには、限定はしないが、成長動力学、ボディマスインデックス(BMI)、リーンマスインデックス(LMI)、食物および水分摂取、性差、空腹時および随時血中グルコース、トリグリセリド(TG)、リポタンパク、コレステロール、肝臓重量および肝臓脂質、腎臓の大きさおよび機能、グルコース負荷試験(GTT)、インスリン耐性試験(ITT)、血中インスリン濃度、膵島細胞の形態、高脂肪食、およびカロリー制限が含まれる。
【0061】
糖尿病のナイルサバンナネズミは、多くの場合、高トリグリセリド血症を発現する。空腹時血中グルコースを空腹時トリグリセリド値と比較した場合(図10)、>125mg/dLのTG値は、多くの場合、血中グルコースの上昇と関係していた。図11は、随時および空腹時血中グルコース値の低い動物は、典型的には、血中グルコース値の高い範囲のものと比較して低いトリグリセリド値を有することを示している。データは、空腹時グルコース値の上昇と高いトリグリセリド値(すなわち>125mg/dLの空腹時トリグリセリド)の組合せが、糖尿病の最良の指標であることを示唆している。高トリグリセリド群ではオスが大多数だったのに対し、低トリグリセリド群の動物の大多数がメスであった。中間値のトリグリセリド群のオスおよびメスのラットを各カテゴリに均等に分配した。
【0062】
糖尿病のナイルサバンナネズミは、多くの場合、リポタンパクの大幅上昇を示す(図12)。高血糖症と関連して、超低密度リポタンパク(VLDL)、低比重リポタンパク質(LDL)、トリグリセリド(TG)、および総コレステロール(TC)に著しい増大が見られた。本実験の時点で、雌雄混合の18匹のナイルサバンナネズミを、それらの空腹時血中グルコースに応じて3つの群に分けた:非糖尿病60mg/dL未満;前糖尿病61〜150mg/dL;糖尿病150mg/dLよりも大きい。血漿の超遠心分離後にリポタンパクを単離した。同様の脂質プロファイルを有する傾向にある非糖尿病および前糖尿病の動物と比較して、糖尿病ラットでは、TG、TC、VLDL−CおよびLDL−Cのすべてにおいて著しい増加が見られた。群間のLDL−Cのパーセンテージにはほとんど差異は見られなかったが、非糖尿病および前糖尿病の動物のHDL−C(それぞれ50%および67%)は、糖尿病のナイルサバンナネズミ(6%)に比べて、およそ10倍であった。しかしながら、糖尿病において低下傾向にあったものの、HDL−Cの絶対値の間には有意差は観察されなかった。LDL−C/HDL−Cの比は、糖尿病の動物においてより高く現れたが、群間の相違は有意に達するほどの差異ではなかった。対照的に、TC/HDL−Cの比は、過量のVLDL−Cに起因して、非糖尿病および前糖尿病の群と比較して糖尿病の群でおよそ10倍高かった(p<0.05)。
【0063】
糖尿病における食餌の脂肪の影響を試験した実験では、肝臓重量と空腹時血中グルコースのプラスの相関関係が見られた(図13)。肝臓重量が大きくなると、空腹時血中グルコースも上昇を示し、逆もまた同様であった。肝臓重量の増大は、すべてではないが、一部の実験において肝臓TGの蓄積と関係していた。
【0064】
ナイルサバンナネズミ(7〜5週齢のオスおよびメス)を空腹時血中グルコースに基づいて4つの群に分け、それらの空腹時インスリン濃度を決定した(図14)。一般に、インスリンは、糖尿病が進行し、グルコースが100mg/dLよりも高く上昇するにつれて、増大する傾向にあった。>150mg/dLの空腹時血中グルコース値は、初期にはインスリン耐性に関連しており、異常に高い血中グルコース値を有する動物のインスリン濃度は最終的には低下した。このことは、糖尿病が進行するにつれて、β細胞が完全に消耗し、インスリン分泌が低下したことを示唆している。しかしながら、インスリンの大きい標準偏差は、各群内の変動を実証している。
【0065】
腹腔内(IP)グルコース負荷試験を受けたナイルサバンナネズミにおけるグルコースチャレンジに対するインスリン反応の変化を定量化した(図15)。エリートXLグルコメーターを用いて、注入後0分および60分の尾部の血液を採取し、測定した。ラットのインスリンの抗体に基づくELISA法によってインスリン濃度を測定した。一般に、これらのラットは、インスリン耐性と一致するような方式で反応し、インスリン分泌が低下した。例えば、206匹のオスの動物は、60分におけるインスリンに9倍の増加を示しし、それにもかかわらず血中グルコースは491mg/dLにおいて上昇し続け、インスリン耐性を示した。インスリン分泌の障害は、すでに97匹のオスの動物に見られ、ここで初期の血中グルコース値は454mg/dLであり、インスリンが不十分に、わずか0.6ng/mLだけしか増加しなかったことから、さらに738mg/dLまで増大した。58匹のオスなどの健康なラットは、40mg/dLの初期の空腹時グルコース値を有し、最小限のインスリン上昇を伴って、89mg/dLまでしか上昇しなかった。114匹のオスのラットは、60分においてわずか90mg/dLの比較的低い血中グルコース値を維持するのにインスリンの5倍の増加を必要とし、初期段階におけるインスリン耐性の可能性を示唆した。
【0066】
週齢5〜47週の19匹のオスのナイルサバンナネズミ(糖尿病6匹、正常13匹)にグルコース負荷試験を行った(図16)。すべての動物を、一晩かけて15時間絶食させ、2.5g/kg体重のグルコース溶液を注入した。その後、エリートXLグルコメーターを用いて、注入後0、1、3および5時間の尾部血液の血中グルコースを測定した。それらの応答に応じて、ラットを糖尿病または非糖尿病にグループ分けした。糖尿病群は200mg/dLの空腹時血中グルコースから開始し、1時間後に550mg/dLのピーク値に達した。5時間後、これらの糖尿病動物のグルコースは、まだ初期値を上回っていた。非糖尿病群は、わずか55mg/dLの初期空腹時血中グルコース値を有し、1時間後に200mg/dLのピーク値に達した。ちょうど3時間後に、血中グルコースは初期値に戻り、5時間後には44mg/dLまで低下した。相対応答(%変化)は、非糖尿病ラットが、糖尿病ラットと比較してグルコース用量に対してより動的に反応し、急上昇するが、初期の正常血中グルコース値まで急速に戻ることを実証している。
【0067】
インスリン耐性試験(ITT)(図17)は、血中グルコースに基づいた、糖尿病または非糖尿病に分類された非空腹時のナイルサバンナネズミに注入した腹腔内インスリンに対するグルコースの絶対および相対反応を示している。これらの8匹の糖尿病および7匹の非糖尿病のナイルサバンナネズミ(週齢9〜55週)には、食餌および水が与えられた。それらに、0.5IU/kg体重のインスリンの腹腔内注射を与えた。エリートXLグルコメーターを用いて、注射後15分、次に30分間隔で、尾部血液の血中グルコースを測定した。血中グルコースは、非糖尿病ラットでは60分で底打ちし、120分後にはインスリン用量からほとんど完全に回復した。対照的に、糖尿病群における血中グルコーは、注入後120分においてさえも、ゆっくりと最小限に低下した。このことは、糖尿病の動物のインスリン耐性が、インスリン値の上昇の存在下であっても、高いグルコース値を維持することを示唆している。
【0068】
グルコース相対反応(図17)は、生理学的機序が働いていることを明示している。非糖尿病ラットの血中グルコース値は、インスリン注射後に急速に低下し、60分後にグルコースの回復が始まる。他方では、糖尿病群は正常に応答せず、注入後120分まで継続して、血中グルコースのゆっくりとした低下を見せた。
【0069】
空腹時血中グルコースに基づいて、前糖尿病になっていない8匹の40週齢のメスのナイルサバンナネズミを選択し(平均値=117mg/dL)、異なる脂肪レベルの食餌を12週間与えた。この時点において、空腹時血中グルコースは、高脂肪食餌群では223mg/dLだったが、低脂肪群では82mg/dLに低下した(p<0.05)。終了時点において、体重、枝肉重量、および長さを測定し、BMIおよびLMIの計算に用い、糖尿病の状態との潜在的関連性についてこれらの肥満指数を調べた。鼻先から尾基底部までを測定した長さを用いて、メートルを2乗した長さでkg体重を割ることにより、BMI値を計算した。全体重の代わりに枝肉重量(すべての臓器および体脂肪のプールの除去後)を使用したこと以外は同じ方式で、LMI値を計算した。データ(図18)は、群間におけるBMI値およびLMI値は同程度であったものの、糖尿病(血中グルコース値)において著しい差異を示している。言い換えれば、肥満の有無はこのモデルにおける糖尿病の進行の必須条件ではなく、食餌に応じて、または12週間にわたる血中グルコースの変化に関係する関数として、BMIまたはLMIと血中グルコースの差異との間には相関関係は見られなかった。このことはまた、ナイルサバンナネズミの糖尿病の病状の改善(すなわち、食事療法による前糖尿病から正常(非糖尿病)へのシフト)が、ボディマスまたはリーンマスの差異を誘発することなく進行することを示唆している。
【0070】
別の研究では、15匹の離乳したオスのナイルサバンナネズミに、3種類の食餌:低脂肪/高繊維、高脂肪/低繊維、または食餌#5008のうちの1つを5ヶ月間与えた(n=5/群)(図19〜22)。低脂肪食餌のラットの体重増加は最も小さい傾向にあったものの、いずれの食餌群についても体重に有意な差異はなかった。低脂肪の食餌を与えたラットは、終了時に最も低い空腹時グルコース値を有していた(図19)。高脂肪・低繊維群では、肝臓脂質ならびに血漿総コレステロールおよびトリグリセリド値に著しい増加が見られた(図20)。高脂肪・低繊維食餌群では、5ヶ月の期間の終了時には肝腫脹および腎肥大も見られた(図21)。高脂肪/低繊維の食餌のナイルサバンナネズミはまた、5ヶ月の期間の終了時における腹腔内グルコース負荷試験(ipGTT)後に、血中グルコース値の最小の制御を示した(図22)。これは、高脂肪の食餌が、別の2つの食餌と比較して、メタボリック・シンドロームおよび糖尿病の幾つかの側面を誘発したことを示唆した。
【0071】
他の食事療法
上記のことから示唆されるように、ナイルサバンナネズミ、特にオスは、栄養療法に関する実験に適している。何ヶ月もの間、健康への有害な影響のない、組織内で作った精製した食餌を動物に与えた。
【0072】
カロリー制限
成熟ナイルサバンナネズミについて、糖尿病の状態におけるカロリー制限の影響を、糖尿病ラットを用いた第1実験および糖尿病の発病前の第2の実験において研究した。第1の実験では、32週齢のオスのナイルサバンナネズミ(空腹時血中グルコース約300mg/dL)に、不断給餌のラブダイエットまたは不断給餌群の80%のカロリー摂取のいずれかを与えた。どちらの群も14週間の実験の間に体重は変化せず、本質的に同一の最終体重(平均値約120g)を有していたが、空腹時血中グルコースは、14週間後、対照群ではわずかに200mg/dLを超えたのに対し、制限群では顕著に改善した(約150mg/dLまで)。実験終了時におけるグルコース負荷試験は、制限群のはるかに良好なグルコース制御を実証するとともに、血中グルコースにおけるカロリー制限の好ましい効果を裏付けた。
【0073】
第2の制限実験は、18週間行われ、11匹の20週齢の非糖尿病群(6匹のオスおよび5匹のメス)を含み、6匹の動物には制限食(chow diet)(不断給餌群の75%)を18週間与えた。殺処分の時点で、不断給餌群の空腹時血中グルコースは初期の56mg/dLから211mg/dLまで上昇したのに対し、制限群では本研究の開始から終了までの間に60mg/dLから72mg/dLへの微増しか見られなかった。群間のこれらの末端のグルコース値の比較は、統計的に有意であった。ipGTTの間、制限群では1時間で72mg/dLから226mg/dLに上昇したのに対し、不断給餌のグルコース群では211mg/dLから制限群のほぼ2倍の517mg/dLに上昇した。グルコース注射の5時間後、不断給餌群および制限群は、それぞれ233mg/dLおよび184mg/dLの血中グルコース値を有し、不断給餌群におけるインスリン耐性が制限群のものよりも悪化したことを示唆した。肝臓は、不断給餌の対照群と比較して、制限群において有意に軽かった(25%、p<0.05)。
【0074】
これら2つの研究結果は、軽い制限では体重を低下させなかったけれども、高齢のナイルサバンナネズミにおける食餌(chow diet)によるカロリー制限が、空腹時血中グルコースに有益な効果を有することを示唆している。同様に、ヒトにおけるカロリー制限および減量も、典型的には、2型の糖尿病を有する患者におけるインスリン耐性を改善する(Aucottら,2004)。
【0075】
油ヤシ(Elaeis)
油ヤシは、ヤシ科(Arecaceaeまたはpalm)の2つの品種、すなわち、ギニアアブラヤシ(Elaeis guineensis)(西アフリカ原産)とアメリカアブラヤシ(Elaeis oleifera)(中央および南アメリカ原産)を含む。最も一般的にヤシ油の生産における商業的農業に使用される成木は、20mもの高さに育つ。果実は受粉から成熟まで5〜6ヶ月を要し、単一の種子(核)を有する油性かつ多肉質の外皮(果皮)を含む。油ヤシは側枝を生じず、伝播は播種による。ひと塊りの果実は40〜50kgもの重さになりうる。
【0076】
アフリカの油ヤシは、1900年代の初頭にスマトラおよびマレーシアに持ち込まれた。今や世界生産の大部分がマレーシアからもたらされている。研究によって、油ヤシおよびその果実のさまざまな用途が見出されており、食用油および水溶性の抽出物の両方を提供する(参照することにより本明細書に取り込まれる、Abeywardenaら(Asia Pacific J Clin Nutr,2002)、Tanら(Eur J Lipid Sci Technol,2007)、Zuninoら(J Nutr,2007)、およびHayesおよびKhosla(Eur J Lipid Sci Technol,2007))。ヤシ果汁は、パームバタースープなどのアフリカの料理に用いられている。パームバターは果実から作られ、さらに精製可能なレッドパーム油も含む。熱帯地方以外に居住し、新鮮なパームナッツが入手できない場合には、缶詰のパームスープの素またはパームナッツパルプ(シードソース(sauce graine)、ヤシの実(noix de palme)、またはヤシの実のクリーム(cream of palm fruit)ともいう)も同じであり、下記料理法を含めた料理に使用することができる。缶詰のパームスープの素は、国際的な食料品店またはアフリカの食料品店で見つかるであろう。基本的なパームバターソースは、およそ100個の新鮮な完熟のパームナッツ(熱帯地方でのみ入手可能)を使用して作られる。料理法は次のとおりである:(1)2〜3カップの水を片手鍋で沸騰させる;(2)沸騰水にパームナッツを入れる(水を上までかぶせる必要はない);(3)蓋をして、果皮が剥がれてくるまでパームナッツを数分間煮る;(4)鍋の水を切り、ポテトマッシャー(または乳鉢と乳棒)を用いて、パームナッツをパルプになるまで押しつぶす;(5)パームナッツパルプと1〜2クオート(またはリットル)の冷水を合わせ;攪拌し;パームナッツを手で搾ってパームナッツからすべての果実および油を取り出す;(6)パルプを、ろ過器を通して片手鍋(最初に濯いでおく)の中に押し出す;(7)ろ過器に残ったナッツの皮および核種を廃棄する;(8)パルプを2回裏ごししてすべてのナッツ核種および皮のかけらを排除し、最終的に油および果実がすべて片手鍋に入るようにする;(9)パルプをわずかに沸騰させて加熱し、たいていの場合は攪拌し、ソースにとろみが出るまで煮る(およそ1時間);(10)ソースの加熱後、他の構成成分を加えることができる。パームバターは大量に作って差し支えなく、後で使用するために冷凍してもよい。
【0077】
他の研究は、他の天然植物源から得られる抽出物およびジュースの抗糖尿病効果を示しており、例えば、Xieら(J Food Sci,2007)、Attele(Diabetes,2002)、El−Alfyら(Pharma Res,2005)、Aviramら(Am J Clin Nutr,2000)、Wuら(Eur J Nutr,2004)、Zuninoら(J Nutr,2007)、およびSinghら(Clinical Chimeica Acta,2005)が挙げられ、参照することにより本明細書に取り込まれる。
【0078】
ヤシ油のミリング処理から得られる植物液の水溶性抽出物(本明細書ではヤシ果汁と称される)は、抗糖尿病および抗高血糖性の特性を有すると考えられるフェノール類を含む。ヤシ果汁に見られるフェノール類としては、限定はしないが、バニリン酸、クロロゲン酸、カテキン、カフェイン酸、プロトカテク酸、ゲンチシン酸、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、クマリン酸、フェルラ酸、およびルチン水和物などのケイヒ酸および安息香酸の誘導体が挙げられる。
【0079】
一般に、本方法は、糖尿病の治療または予防に有効な任意の投与計画を包含する。ある実施の形態では、ヤシ果汁源は、単回用量または複数回用量で患者に与えられる。単回用量は、毎日、または1日に複数回、または1週間に複数回、または毎月、または1ヶ月に複数回投与して差し支えない。ある実施の形態では、ヤシ果汁源は一連の用量で投与される。一連の用量は、毎日、または1日に複数回、毎週、または1週間に複数回、または毎月、または1ヶ月に複数回投与して構わない。
【0080】
ヤシ果汁を含む製剤は、任意の従来の方式で治療のために患者に投与して差し支えない。ヤシ果汁を含む製剤は、原液で投与することができるが、栄養のある果汁または製剤として存在してもよい。本発明に従った天然飲料または製剤は、ヤシ果汁を含む複合体を単独で、またはそれらの薬学的に許容される塩を、1つ以上の薬学的に許容される担体または賦形剤および随意的に他の治療薬とともに、含む。担体は、製剤の他の構成成分と相溶性であるという意味で許容されるべきであり、受容者にとって有害であってはならない。組合せの個別の成分が別々に投与される場合には、それらは栄養補助剤および/または製剤として存在して構わない。
【0081】
本発明の栄養補助剤または製剤は、1つ以上の他の薬剤、医薬品、担体、アジュバント、および/または希釈剤を含みうる。例えば、ヤシ果汁源は、本明細書に記載される糖尿病および他の疾患および/または障害の治療のための他の活性薬剤と併用して差し支えない。適切な経口の抗糖尿病剤としては、スルホニル尿素、メグリチニド、ビグアニド、チアゾリジンジオン、およびα−グルコシダーゼ阻害剤が挙げられる。
【0082】
経口投与のための担体または賦形剤の例としては、コーンスターチ、乳糖、ステアリン酸マグネシウム、微結晶性セルロースおよびステアリン酸、ポビドン、リン酸水素カルシウムおよびカルボキシメチルスターチナトリウムが挙げられる。本発明では、所望の投与経路に適した任意の担体が意図されている。
【0083】
本発明の組成物は、固体の投与形態(例えば、丸薬、カプセル、または錠剤)、半固体の投与形態または液体の投与形態で含まれて差し支えなく、それぞれ、所定の量の活性成分を含む。ある実施の形態では、固体の投与形態は容易に飲めるようにコーティングされている。本発明の組成物は、粉末または顆粒の形態;あるいは溶液または懸濁液でありうる。経口投与では、微粉末または顆粒は、希釈剤、分散剤、および/または界面活性剤を含んでいて差し支えなく、水またはシロップ中に溶液または懸濁液で、カプセルまたは小袋中に乾燥状態で、懸濁剤が含まれうる非水溶液または懸濁液で、または結合剤および滑剤が含まれうる錠剤の形態で存在していてもよい。成分に、香味剤、保存料、懸濁剤、濃化剤または乳化剤などを添加してもよい。
【0084】
経口の送達方法は、多くの場合、消化管のpH変化、酵素への曝露、および胃腸膜の不浸透性など、身体によって課せられる化学的および物的障壁によって制限される。栄養補給剤または製剤を経口投与するための本発明の方法は、本発明の組成物とアジュバントとの同時投与も含みうる。例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテルおよびn−ヘキサデシルポリエチレンエーテルなどの非イオン界面活性剤は、本発明の製剤とともに投与するか、あるいは本発明の製剤に取り込んで、腸壁の浸透性を人為的に増大させることができる。他の方法は、本発明の製剤と酵素阻害剤の同時投与を含む。活性成分は、ボーラスまたはペーストとして存在して差し支えなく、あるいはリポソームおよび乳剤中に含めてもよい。
【0085】
直腸投与用の製剤は、坐剤または浣腸剤として提供されてもよい。
【0086】
水溶液の形態で投与する場合、製剤にはヤシ果汁源および水が含まれる。溶液中の随意的な成分としては、適切な溶媒、緩衝剤、甘味料、抗菌性の保存料、香味剤、他の果汁、およびそれらの混合物が挙げられる。製剤の成分は、2つ以上の機能を果たしうる。例えば、適切な緩衝剤は、香味剤および甘味料としても作用しうる。
【0087】
本発明に用いる溶液において適切な溶媒としては、例えば、ソルビトール、グリセリン、プロピレン・グリコール、および水が挙げられる。随意的に、2つ以上の溶媒の混合物を使用してもよい。溶媒または溶媒系は、典型的には、全液剤の約1%〜約90重量%の量で存在する。
【0088】
適切な緩衝剤としては、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、リン酸カリウム、およびさまざまな他の酸および塩が挙げられる。2つ以上の緩衝剤混合物を随意的に使用してもよい。緩衝剤またはそれらの混合物は、典型的には、約0.001重量%〜約4重量%の量で存在する。
【0089】
適切な甘味料としては、例えば、サッカリンナトリウム、スクロース、およびマンニトールが挙げられる。2つ以上の甘味料の混合物を随意的に使用してもよい。甘味料またはそれらの混合物は、典型的には、約0.001重量%〜約70重量%の量で存在する。
【0090】
適切な抗菌性の保存料としては、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、および塩化ベンザルコニウムが挙げられる。随意的に、2つ以上の保存料の混合物を使用してもよい。保存料またはそれらの混合物は、典型的には約0.0001重量%〜約2重量%の量で存在する。
【0091】
患者が溶液をより摂取し易くするために、チェリー香味剤、綿菓子の香味剤、または他の適切な香味剤など、適切な香味剤を溶液に使用してもよい。香味剤またはそれらの混合物は、典型的には、約0.0001重量%〜約5重量%の量で存在する。
【0092】
栄養補助剤
本発明は、アブラヤシ属(Elaeis)の果実抽出物でできた自然食品製剤を提供する。本発明は、粉末化、液体、または固体の形態で存在しうる、抽出物を提供する。本セクションでは、望ましい、本発明の教示に照らして容易に生産される、製剤の形態および成分について論じる。
【0093】
抽出物は、例えば、水、ミルク、果汁または幾つかの他の同様の液体で再構成する場合に、抗高血糖活性を必要とする対象に提供するのに用いられうる飲料を提供する、再構成可能な濃縮物または粉末組成物でありうる。患者、特に延長治療の状態にある者にとって、より魅力のある、したがって、より効果的な支援を提供するために、ある期間にわたり、様々に組み合わせて作られうるさまざまな形態、すなわち、シェイク、スープ、果実飲料、スナック・バーおよび、錠剤、ジェルカプセルなどの他の固体形態の、注意深く設計された多くの製品を利用する糖尿病の管理プログラムにおいて、本濃縮物または粉末化した組成物、およびそれらから調製される飲料は、経腸投与される成分として、特に有用である。
【0094】
飲料に加えて、本発明の抽出物は食品にも使用して差し支えない。これらの抽出物は、任意の他の食品と組み合わせてもよく、例えば、本発明の抽出物を含む水溶性の食品が使用されうる。本発明の化合物で強化した粒粉を、焼成食品、シリアル、パスタおよびスープなどの食品に使用して差し支えない。有利には、これらの食品は、低脂肪、低コレステロールまたは他の制限食事療法に含めてもよい。
【0095】
栄養補助食品には、栄養飲料、ダイエット飲料、ならびにスポーツ、ハーブおよび他の強化飲料が含まれうる。本発明は、抗糖尿病薬として用いられうる栄養補助組成物を提供する。よって、それは、限定はしないが、真性糖尿病、妊娠性糖尿病、β−細胞機能の遺伝子欠損、インスリン作用の遺伝子異常、膵外分泌の疾患、内分泌障害、薬物または化学物質誘発性の疾患、感染、ならびに、糖尿病、前糖尿病状態、メタボリック・シンドロームなどに関連する他の遺伝的症候群など、血中グルコースの上昇を引き起こす、任意の代謝条件または不均衡を緩和するのに使用することができる。
【0096】
精製した抽出物に加えて、栄養補助食品または食料品はまた、限定はしないが、必須脂肪酸、ビタミンおよびミネラルなどのさまざまな他の有益な成分も含みうる。これらの成分は当業者に周知であるべきであるが、しかしながら、任意の特定の製剤または含量に縛られることなく、本セクションは、本発明の補助食品の一部を形成しうる成分の簡潔な説明を提供する。栄養補給剤の含量及び生産を説明する追加の開示は、例えば米国特許第5,902,797号;同第5,834,048号;同第5,817,350号;同第5,792,461号;同第5,707,657号および同第5,656,312号の各明細書に見出すことができよう(それぞれ参照することにより本明細書に援用される)。γ−リノレン酸(ω−3)およびリノール酸(ω−6)などの必須脂肪酸を、本発明の補助食品に加えてもよい。必須脂肪酸は、心臓血管の健康および免疫システムの支援に関与している。これらの必須脂肪酸のバランスが崩れると、コレステロール代謝の悪化を生じうる。
【0097】
ミネラルである亜鉛と銅は、両方とも、心臓血管の健康に関与しており、亜鉛:銅が5:1の比で供給されるべきである。これら2種類のミネラルのバランスが崩れると、銅における亜鉛の拮抗作用を生じうる。この影響は、心臓血管の健康を支えるための銅を利用する身体能力を妨げうる。銅と比較して過剰量の亜鉛は、重要な心臓を守る酵素であるSOD(スーパーオキシドジスムターゼ)を作る身体能力も妨げうる。また、適切な亜鉛:銅の比は、HDLのLDLに対する適性バランスを達成するためにも必要とされる。典型的な米国人男性の食餌における亜鉛の摂取は、RDAのわずかに33〜75パーセントであり、したがって、亜鉛を含む栄養補助食品が意図されている。
【0098】
セレンおよびヨウ化物もまた、それらが最も効果的に機能する比、約2:1のセレン:ヨウ化物の比を有する。これらのミネラルは、甲状腺機能に作用し、したがって、甲状腺機能における変化によって生じた、代謝において結果的に生じる効果を有する。不均衡になった甲状腺機能は、身体に、食物からの栄養素の吸収不良を生じうる、過度のストレスをかけてしまう。これは、言い換えれば、成長および発達を遅延させうる。
【0099】
ピリドキシン、葉酸およびコバラミンもまた、それらが血管障害の予防において最も効果的に機能する比を有する。ピリドキシン(ビタミンB6):葉酸:コバラミン(ビタミンB12)の最適な比は、約100:4:1である。これらのビタミンAは、潜在的に毒性のアミノ酸ホモシステインの値を低減するそれらの能力を通じて、心臓血管機能に作用する。この比は、食餌による心臓疾患の危険性において、個別に消費するこれらビタミンの不均衡かつ不適切なレベルを認識する。
【0100】
加えて、ビタミンC、ビタミンB1(チアミン)、およびビタミンEも提供されうる。ビタミンCの必要量は喫煙者で増大し、喫煙は肺癌の主要原因である。ビタミンB1は、エネルギー転換において重要な役割を果たす。チアミン二リン酸(TDP)は、炭水化物のエネルギーへの転換に必要な補酵素である。米国の男性は、現在、全カロリーの約45%を炭水化物から摂取しているため、食餌におけるビタミンB1の最適化が望ましい。
【0101】
ビタミンB6およびビタミンB12と一緒に葉酸を補給すると、血中のホモシステイン値の調節を助け、したがって本発明の栄養補助食品製剤における有用な成分である。ビタミンD(カルシフェロール)は、骨格の形成およびミネラルのホメオスタシスにとって必須である。ビタミンDなしでは、小腸は、カルシウムが吸収にどのくらい使用可能であるかにかかわらず、十分なカルシウムを吸収することができない。従って、ビタミンDは、強靭な骨の形成を補助するための栄養補給剤の成分として望ましい。
【0102】
金属酵素マンガン−スーパーオキシドジスムターゼ(Mn−SOD)の駆動におけるマンガンの役割は、他の金属酵素系(グルタミン合成酵素、アルギナーゼ、およびピルビン酸カルボキシラーゼ)における同様の役割とともに、はっきりと確認されている。多くの酵素系も、マンガンの金属酵素ではないにもかかわらず、マンガン活性化を受けることが示されている。マンガン−SOD結合は、この形態の金属酵素が細胞のミトコンドリア膜内における唯一の作用形態であると思われることから、臨床上特に重要であり、従って、ミトコンドリアの保護および身体の酸化エネルギー生産システムの確実性における独特の役割を果たしうる。栄養補助食品にマンガンを含めることは望ましいであろう。
【0103】
補助食品に含まれうる追加の微量栄養素としては、限定はしないが、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、リボフラビン、ナイアシン、ナイアシンアミド、パントテン酸、ピリドキシン、コバラミン、ビオチン、イノシトール、酒石酸水素コリン、ベタイン、およびビタミンKなどのビタミン、ならびにモリブデン、クロムおよびカリウムなどのミネラルが挙げられる。
【0104】
ストレス、運動、および他の条件は、体内成分に損傷を与えうるフリーラジカルを体内に発生させる。フリーラジカルを打ち消すため、本発明は、上述のビタミンCおよびEに加えて次の抗酸化物質を含みうる:シトラスバイオフラボノイド、混合カロチノイド、緑茶抽出物、およびN−アセチルシステイン。
【0105】
さらには、製剤をより良好な味にするために、製剤に当業者に周知の他の香味剤および添加剤を加えてもよい。例えば、製剤は、ショウガ、ボスウェリア、フルーツ香味剤、着色剤、保存料などを含みうる。
【0106】
固体形態で摂取する場合、本発明の栄養補助組成物は、さらに、ゼラチンなどの固体担体またはアジュバントを含みうる。液体形態で摂取する場合には、液体担体、すなわち、水、石油、動物油またはピーナッツ油、ミネラルオイル、大豆油、またはゴマ油などの植物油、または化学合成油などを加えてもよい。本発明の栄養補助組成物は、安定剤、保存料、緩衝剤、抗酸化物質、または当業者に既知の他の添加剤含みうる。
【実施例】
【0107】
本発明について一般的に述べてきたが、単に本発明の特定の態様および実施の形態の例証の目的で含まれるのであって、本発明を限定することは意図されていない、次の実施例を参照することにより、より容易に理解されよう。下記実施例と共に、図24〜28も参照されたい。
【0108】
実施例1
ナイルサバンナネズミを用いて、糖尿病の進行における、ヤシ果汁(PFJ)の効果を決定した。1つの研究では、8匹のオスの糖尿病ラットおよび4匹のオスの非糖尿病ラットを、12週間、研究した。ラットは、実験開始時にはおよそ20週齢であり、およそ32週齢で終了した。4匹の糖尿病ラットおよび2匹の非糖尿病ラットには、実験期間を通して水を与え、残りのラット(4匹の糖尿病、2匹の非糖尿病)には1500ppmの没食子酸当量(GAE)のPFJを与えた。
【0109】
体重増加および食物摂取は正常かつ同程度であった、PFJを与えられたラットはわずかに摂取量が少ない傾向にあったが、成長はPFJを与えられない糖尿病ラットよりもわずかに良好であった(表1)。月齢8ヶ月のナイルサバンナネズミ(実験開始12週間後)のそれぞれについて、血漿脂質プロファイルを確立した。浅麻酔(CO2+O2、1:1混合物)した後に、尾部血液から血液サンプル(50μl)を採取し、EDTAを含む試験管に入れた。血漿の分離後、Infinity TMキットを使用して、分光光度法でTGおよびTCを決定した。加えて、一晩絶食したラットからプールしたナイルサバンナネズミの血漿2〜3サンプルを合わせて、より大きい末梢血液サンプルから血漿リポタンパクを単離した。ベックマン・ウルトラクリア・チューブ(Beckman Instruments社製(米国カリフォルニア州パロアルト所在))に、2mLのd=1.24g/mL溶液、3mLの血漿のd=1.21g/mL溶液、2mLのd=1.063g/mL溶液、2.5mLのd=1.019g/mL、および2.5mLのd=1.006g/mL溶液を順次積層することによって、密度勾配を調製した。Beckman L−60オプティマ超遠心分離機を使用して、チューブを、Beckman SW41ローター内で、37,000rpmで48時間、15℃で回転させた。回転後、あらかじめ設定された密度でリポタンパク画分を回収した:VLDL d<1.006g/mL、LDL 1.006<d<1.063g/mLおよびHDL 1.063<d<1.21g/mL。Infinity TMキットを用いて各画分のコレステロール値を決定した。
【0110】
0週および11週の時点で非空腹時の血中グルコースを測定し、空腹時の値は、ラットを殺処分した第12週に得た。他の血液化学および臓器重量は、表1に示すように、第12週に行った。
【表1−1】
【表1−2】
【0111】
実験開始時における非空腹時の血中グルコース値は、糖尿病ラット群が非糖尿病対照群の約3倍高かった(300+に対して100+mg/dL)。12週間後、空腹時血漿グルコースは、水を与えた糖尿病ラット(糖尿病対照群)で650mg/dLであったのに対し、PFJを与えた糖尿病ラット群ではわずか120mg/dLであった。非糖尿病ラットにおいては、水およびPFJの両群で空腹時血中グルコースの値が<100mg/dLと、互いに大きな差異はなかった。
【0112】
12週間の実験の終了時における血漿脂質およびリポタンパクは、水またはPFJを与えた糖尿病ラットの間で異なっていた。水を与えた糖尿病ラットでは、トリグリセリド値およびVLDL−C値が大幅に上昇し、HDL−C値が低下した。PFJを与えた糖尿病ラットは、本質的に正常であり、非糖尿病対照群とほぼ同じ血漿脂質値を有していた。
【0113】
剖検では、水を与えたラットにおける糖尿病の進行に関連する貯蔵脂肪の消耗は、ヤシ果汁群には見られず、非糖尿病ラットと同様であった。さらには、水を与えた糖尿病群の肝臓および腎臓の大きさの増大は、糖尿病群にPFJを補給することによって正常化した(表1)。
【0114】
従って、血中グルコースおよび脂質プロファイルの改善(特にVLDLおよびHDL)からも分かるように、唯一の水源としてGAE1500ppmのヤシ果汁を与えることで、より高齢(20週齢)の中程度の糖尿病のオスのナイルサバンナネズミにおける糖尿病の進行を阻むことができた。ヤシ果汁を与えなかった糖尿病ラットは、腎臓および肝臓の肥大とともに重度の多尿症/多渇症へと進行し(水分摂取群で6倍に上昇)、末端グルコース、TG、およびTCの上昇とともに、HDLの低下を示した。
【0115】
実施例2
長期間のPFJの摂取が発病を抑止するか否か、または糖尿病を防止するか否かについて判断するため、正常な血中グルコース値(50〜55mg/dL)を有する16匹の若年(12週齢)の健康なオスのナイルサバンナネズミを用いて、実験を行った。動物に、水またはヤシ果汁(GAE1500ppm)のいずれかとともに、標準的なラット用の食餌#5020を9ヶ月間与えた。9ヶ月の期間の終了時に、空腹時血中グルコース値は、<80mg/dL正常な平均値を有したPFJを与えたラットと比較して、水を与えたラットでは2.5倍に上昇した(表2)。
【表2−1】
【表2−2】
【0116】
研究の終了時点において、PFJを与えたラットと比較して、水を与えたラットのみが、血中グルコースの増大に加えてトリグリセリド値および総コレステロール値の上昇を示した。水を与えたラットは、肝腫脹および腎肥大も示した。水を与えた群は、多渇症および多食症を含む他の糖尿病の症状を示した。
【0117】
9ヶ月間の全カロリー摂取は、糖尿病で20%多く、水分摂取量は9ヶ月の期間にわたり、2倍であった。それにもかかわらず、PFJを与え、カロリーを少なめに消費した群は、糖尿病群と同じく成長し(体重、体長、BMI、LMI)、多くの場合、これらのラットの糖尿病と関連する、カロリーの過剰消費(消耗)が露呈した。ヤシ果汁を補給されたナイルサバンナネズミは、恐らくはPFJの糖含量に起因して、最初から水分を多く摂取した(その後の実験で、ラットが砂糖で甘くした飲料を好むことが示されている)。しかしながら、この群は、対照(糖尿病)群で進行した糖尿病の多渇症とは異なり、経時による水分摂取において、最小限の増加を示した。PFJを与えたラットは、糖尿病が進行したPFJを与えないラットよりも小さい腎臓および肝臓を有していた。
【0118】
GAE1500ppmの常習的なPFJは、成長または臓器重量に有害作用がないことを示した。いずれの群においても体脂肪全体には影響がなく、実施例1のラットと比較して、これら8匹の水を与えたラットでは疾患は重症ではなかったことから、全貯蔵脂肪は糖尿病による枯渇は見られなかった。
【0119】
血漿トリグリセリドは7ヶ月までに上昇し、水を与えたラットでは糖尿病が進行したことから、7〜9ヶ月の間に劇的に上昇し、この群の数匹のラットは進行疾患に達し始めたことを示唆した。従って、1500ppmのPFJを長期間、健康的に摂取することで、グルコース、血中脂質、および肝臓および腎臓の重量から判断すると、若年のナイルサバンナネズミは、糖尿病の発病から保護された。
【0120】
実施例3
ナイルサバンナネズミの糖尿病の進行における、段階的な濃度のPFJの摂取の効果を判定するための実験を行った。28匹の若い(12週齢)健康なオスのナイルサバンナネズミを4つの群に分けた。第1群(対照)には、17週の実験期間中、水のみを与えた。第2、第3、および第4群には、研究全体を通じて、それぞれ、450ppm、900ppm、および1800ppmのGAEのヤシ果汁を与えた。すべての群に、標準的なラット用の食餌#5020を与えた。17週間後、ラットを殺処分し、その測定結果を、研究期間を通じて採取した体重および食物摂取の測定結果に加えた。結果を表3に示す。
【表3−1】
【表3−2】
【0121】
すべての群のラットは、およそ同じ体長および体重に成長した(BMIおよびLMIを計算)が、対照(水)群は、終了時点で体重がわずかに少なく、第12週までに判明した水分摂取の増加に関連して、腎肥大を有していた。恐らくは尿中のグルコースの減少または組織のグルコース利用の機能不全を相殺するため、対照ラットの方がよりたくさん食餌を摂取した。腎臓重量はPFJの摂取と反比例の関係を有していたが、900gのAEでは水平状態に達しているように見えた。各群で脂肪重量についての差異は見られなかった。対照ラットに見られた血中グルコース値の上昇は、糖尿病の発病が第9週より前であったことを示唆した。先の研究で観察されたように、水を与えた群では末期的な肝腫脹が見られ、肝臓重量および血中グルコース値はPFJの濃度が増加するにつれて低下し、900gのAE以上では正常値が測定された。450gのAEでも血漿総コレステロールおよびトリグリセリドに顕著な低下効果を有し、900gおよび1800gのAEではほんの少しだけ改善した。
【0122】
データは、PFJが2型の糖尿病の発達および進行からの保護を補助することを実証しており、その保護効果は900gのAEで本質的に達成される。一部の血液化学における用量依存性の影響が生じたが、すべての測定値についてではない。
【0123】
実施例4
初期の糖尿病(>110mg/dLの平均グルコース値)を有する11匹の高齢(28週齢)のオスのナイルサバンナネズミにおけるPFJの影響を調べるため、第4の研究を行った。ラットの1つの群には水のみの食餌を与え、他の群にはGAE1500ppmのPFJを20週間(5ヶ月)与えた。標準的なラット用の食餌#5020を両群に与えた(表4)。
【表4−1】
【表4−2】
【0124】
先の研究で見られたように、PFJラットの食物摂取は少なく、ラットはわずかに小さく、実験期間中に重量が減少したのに対し、糖尿病群では重量が増加した。しかしながら、カロリーの低減はジュース中の天然の糖分によって幾分相殺されたため、エネルギー摂取の低減(15%)は大きく影響しなかった。最終的な分析では、PFJを与えたラットはBMIおよびLMIが低い傾向にあるとともに、体長が短かった。20週間後、PFJを与えたラットは多渇症および多食症の程度が低く、糖尿病の症状の改善を示唆した。肝臓はPFJを補給されたラットで著しく小さかったが、腎臓が小さい傾向は、水を与えたラットのみと比較して、統計的に有意ではなかった。加えて、水を与えた群は、20週間にわたり、ほぼ200mg/dLの血中グルコース値の増大を示したのに対し、PFJ群では血中グルコース値は変化しなかった。空腹時血漿総コレステロール(TC)には、さらに顕著な結果が見られ、20週間にわたり、水およびPFJ群で、それぞれ、22%および46%低下した。さらに顕著であったのは、水を与えた群の血漿トリグリセリド値が3倍に増大したのに対し、PFJ群が正常値まで、ほぼ70%低下したことである。
【0125】
従って、糖尿病の発病を示した高齢のオスのナイルサバンナネズミにおいても、GAE1500ppmのPFJの補給は、糖尿病のさらなる進行を防ぎ、あるいは、さまざまな糖尿病の指標、特に血中グルコースおよび血漿トリグリセリドの値を実際に改善することができた。
【0126】
フェノール類が豊富なPFJを450〜1800ppmのGAEで補給することにより、ナイルサバンナネズミのモデルにおける2型の糖尿病の発達に対し、用量依存性の保護効果を示した。特に、PFJは、低いグルコース値を維持し、若年のナイルサバンナネズミにおけるグルコースの増大を防ぎ、ナイーブラットにおけるトリグリセリド値の増大を防ぎ、一部の例では、軽度の糖尿病を有するラットにおいてもトリグリセリド値が低下した。PFJは、結果的に、食物および水分の摂取を低減し、腎肥大および末期の腎炎を防いだ。理論に縛られるわけではないが、PFJの1種類以上のフェノール類(または一部の他の未確認の成分)が膵β細胞において潜在的な水溶性の抗酸化物質として作用し、非補給ラットにおいては究極的にβ細胞を破壊することとなる活性酸素種(ROS)からミトコンドリアを保護したと仮定される。本質的に、ナイルサバンナネズミは、市販の食餌または精製した食餌の十分なエネルギー供給を前にした場合に、インスリン産生において、異常なほど過剰に消耗しがちである。
【0127】
実施例5
ApoE-/-マウス(アポリポタンパクE欠損)は、高い血中脂質およびグルコースを発現し、病勢が進展するにつれてアテローム性動脈硬化症を発症することから、これらマウスについて研究した。PFJが脂質プロファイルの危険性を有利に改善するか否かについて判断するため、マウスに、食餌および1050ppmの没食子酸当量(GAE)の水へのPFJの添加の有無の条件下で、10週間、精製した食餌を与えた(表5)。
【表5】
【0128】
殺処分時において、空腹時血中グルコース値に差異は見られなかった(成長するにつれて、両群の差異は実質的に2倍になった)。総血漿コレステロール(TC)の影響もなかったが、血漿トリグリセリド(TG)の測定値は、PFJを与えたマウスにおいて約50%低かった。さらには、脂肪プールは、PFJを与えなかった対照群と比較して、PFJ−マウスでは、重量が30%低いことと関連して(p<0.05)、40%の低減を示した(p<0.05)。このことは、PFJが、apoEマウスの成長におけるエネルギーの処分(損失)を促進し、低い空腹時TGを生じ、これが低脂肪および低体重に反映したことを示唆している。他の臓器には影響はなかった。このPFJ誘発性のプロファイルは、インスリン耐性および2型の糖尿病に関連したメタボリック・シンドローム(高いTGおよびグルコース値および脂肪症の増大)とは正反対である(表6)。
【表6】
【0129】
実施例6
BALB−c系マウス(オスおよびメスの離乳マウス)にラブダイエット#5020を8週間与えた(表8)。毎日の最終的な摂取量が約300mgGAE/kg体重/日となるように、飲料水にPFJを補充した。
【0130】
PFJを与えたマウスは、食物を著しく多く消費したにもかかわらず(p<0.05)、体重増加が30%減少し(NSの傾向)、したがって、摂食効率(g増加/kcal)はかなり低い(40%)(表7)。脂肪プールはPFJ−マウス(NSの傾向)で30%低く、空腹時の最終的な血中グルコースは大幅に、25%も低かった(p<0.05)。大きさの違うメスおよびオスの混合は観察する実際の重量に幅広いバリエーションを生じることから、臓器重量の有意性は妨げられたが、傾向は一致しており、疑う余地はなかった。理論に縛られるわけではないが、データは、この系では、オスのapoE-/-マウスに見られるように、PFJの補給がエネルギーの処分を促進し、血中グルコースおよび貯蔵脂肪に好ましい影響を与え、体重の低下および全般的な抗糖尿病プロフィールをもたらすことを示唆している。
【表7】
【0131】
実施例7
従来のラットモデル(スプラーグ−ドーリーラットのオス)では、実施例5および6と同様の傾向が見られた(表8)。離乳ラットに、食餌自体に取り込んだ0または3000ppmのPFJ GAEを含む、精製した食餌を4週間、与えた。食物摂取および体重増加は各群間で同様であったが、PFJを与えたラットでは低い傾向にあった。水分摂取はPFJを与えたラット群の方が多く、腎臓もこの群の方が重かった(両方ともp<0.05)。PFJ補給群の盲腸の方が大きく、脂肪のプールは著しく小さく、他の臓器重量に影響はなかった。グルコースおよびコレステロール値は両群同様であり、かつ正常値であった。データは、PFJが貯蔵脂肪を低減することができ、余分な尿流量を処理する際に拡大を引き起こす腎臓に利尿効果を有することを示唆している。この結果は、ヒトの血圧低下を誘発するのに用いられる臨床の利尿薬と似ており、ヒトの臨床背景におけるPFJの転帰および用途が示唆されている。
【表8−1】
【表8−2】
【0132】
等価物
当業者は、日常的な実験のみを利用して、本明細書に記載される発明の特定の実施の形態についての多くの等価物を得ることを認識し、あるいは得ることができよう。したがって、前述の実施の形態は単に例示の目的で提示され、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内において、本発明が、明確に記載され、特許請求の範囲に定義される以外にも、実施されうることが理解されるべきである。
【0133】
参照による取り込み
本明細書で引用されるすべての米国特許公報および米国特許出願公開公報は、参照することにより本明細書に取り込まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アブラヤシ属の果実から得られる抽出物を治療に有効な量で哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における代謝不均衡を治療する方法。
【請求項2】
前記抽出物が栄養補助組成物または医薬組成物に含まれることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記抽出物が水溶性の成分であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記水溶性の抽出物がフェノール類を含むことを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記フェノール類がケイヒ酸および安息香酸の誘導体を含むことを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記抽出物が、ヤシ油をミリング処理した植物液から得られる、ヤシ果汁であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記代謝不均衡の治療が、インスリン分泌または感応性を増強することをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記代謝不均衡の治療が、血中グルコース値を低減することをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記代謝不均衡が、真性糖尿病、妊娠性糖尿病、β細胞機能の遺伝子欠損、インスリン作用に関する遺伝子異常、膵外分泌、内分泌障害、薬物または化学物質誘発性の疾患、感染、ならびに、糖尿病、前糖尿病状態、およびメタボリック・シンドロームに関連する他の遺伝的症候群からなる群より選択されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記代謝不均衡が真性糖尿病であることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
真性糖尿病がI型であることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】
真性糖尿病がII型であることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項13】
真性糖尿病が成人における潜在性の自己免疫性糖尿病であることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項14】
哺乳動物における真性糖尿病の治療によって、真性糖尿病の二次的な内科的合併症を予防することを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項15】
前記真性糖尿病の二次的な内科的合併症が、心臓疾患、脳卒中、高血圧、網膜症、白内障、腎症、神経障害、末梢血管疾患、歯の疾病、胃不全麻痺、性機能不全、または妊娠中の合併症を含むことを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記代謝不均衡がメタボリック・シンドロームであることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項17】
メタボリック・シンドロームの治療が、1つ以上の診断基準を治療することを含むことを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記診断基準が、胴囲、トリグリセリド、HDL、血圧、および空腹時血中グルコース値からなる群より選択されることを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記代謝不均衡が前糖尿病状態であり、前記哺乳動物が、真性糖尿病のリスク因子を1つ以上有することを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項20】
前記前糖尿病状態が、低下した空腹時グルコース値またはグルコース不耐性を含むことを特徴とする請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記真性糖尿病のリスク因子の1つ以上が、年齢、身体不活動、BMIの異常、遺伝学的疾病素質、民族性、高血圧、多嚢胞性卵巣症候群、循環器疾患、以前に低下した空腹時グルコースまたはグルコース耐性、およびインスリン耐性に関連する他の臨床症状からなる群より選択されることを特徴とする請求項19記載の方法。
【請求項22】
アブラヤシ属の果実から得られる抽出物を治療に有効な量で哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における利尿を誘発する方法。
【請求項23】
(a)前記アブラヤシ属の果実のミリング処理から得られる植物液の抽出物の組成物を含むパッケージと、
(b)前記アブラヤシ属の果実のミリング処理から得られる植物液の抽出物を、代謝不均衡の治療に使用するための使用説明書と、
を含むキット。
【請求項24】
前記代謝不均衡が真性糖尿病であることを特徴とする請求項23記載のキット。
【請求項25】
アブラヤシ属の果実から得られる抽出物を治療に有効な量で含む、哺乳動物が摂取するための栄養補助組成物。
【請求項26】
前記抽出物が、粉末、液体、または固体であることを特徴とする請求項25記載の栄養補助組成物。
【請求項27】
前記粉末が再構成可能な濃縮物であることを特徴とする請求項26記載の栄養補助組成物。
【請求項28】
必須脂肪酸、抗酸化物質、ビタミン、またはミネラルをさらに含むことを特徴とする請求項25記載の栄養補助組成物。
【請求項29】
γ−リノレン酸、リノール酸、亜鉛、銅、セレン、ヨウ化物、ピリドキシン、葉酸、コバラミン、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンE、チアミン二リン酸、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンD、マンガン、ビタミンA、リボフラビン、ナイアシン、ナイアシンアミド、パントテン酸、ビオチン、イノシトール、酒石酸水素コリン、ベタイン、ビタミンK、モリブデン、クロム、カリウム、シトラスバイオフラボノイド、混合カロチノイド、緑茶抽出物、またはN−アセチルシステインをさらに含むことを特徴とする請求項25記載の栄養補助組成物。
【請求項30】
ショウガ、ボスウェリア、フルーツ香味剤、着色剤、または保存料をさらに含むことを特徴とする請求項25記載の栄養補助組成物。
【請求項31】
ゼラチン、アジュバント、水、ピーナッツ油、ミネラルオイル、大豆油、ゴマ油、化学合成油、安定剤、または緩衝剤をさらに含むことを特徴とする請求項25記載の栄養補助組成物。
【請求項32】
請求項25〜31いずれか1項記載の栄養補助組成物を1つ以上含む、調理済み食品。
【請求項1】
アブラヤシ属の果実から得られる抽出物を治療に有効な量で哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における代謝不均衡を治療する方法。
【請求項2】
前記抽出物が栄養補助組成物または医薬組成物に含まれることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記抽出物が水溶性の成分であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記水溶性の抽出物がフェノール類を含むことを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記フェノール類がケイヒ酸および安息香酸の誘導体を含むことを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記抽出物が、ヤシ油をミリング処理した植物液から得られる、ヤシ果汁であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記代謝不均衡の治療が、インスリン分泌または感応性を増強することをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記代謝不均衡の治療が、血中グルコース値を低減することをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記代謝不均衡が、真性糖尿病、妊娠性糖尿病、β細胞機能の遺伝子欠損、インスリン作用に関する遺伝子異常、膵外分泌、内分泌障害、薬物または化学物質誘発性の疾患、感染、ならびに、糖尿病、前糖尿病状態、およびメタボリック・シンドロームに関連する他の遺伝的症候群からなる群より選択されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記代謝不均衡が真性糖尿病であることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
真性糖尿病がI型であることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】
真性糖尿病がII型であることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項13】
真性糖尿病が成人における潜在性の自己免疫性糖尿病であることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項14】
哺乳動物における真性糖尿病の治療によって、真性糖尿病の二次的な内科的合併症を予防することを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項15】
前記真性糖尿病の二次的な内科的合併症が、心臓疾患、脳卒中、高血圧、網膜症、白内障、腎症、神経障害、末梢血管疾患、歯の疾病、胃不全麻痺、性機能不全、または妊娠中の合併症を含むことを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記代謝不均衡がメタボリック・シンドロームであることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項17】
メタボリック・シンドロームの治療が、1つ以上の診断基準を治療することを含むことを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記診断基準が、胴囲、トリグリセリド、HDL、血圧、および空腹時血中グルコース値からなる群より選択されることを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記代謝不均衡が前糖尿病状態であり、前記哺乳動物が、真性糖尿病のリスク因子を1つ以上有することを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項20】
前記前糖尿病状態が、低下した空腹時グルコース値またはグルコース不耐性を含むことを特徴とする請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記真性糖尿病のリスク因子の1つ以上が、年齢、身体不活動、BMIの異常、遺伝学的疾病素質、民族性、高血圧、多嚢胞性卵巣症候群、循環器疾患、以前に低下した空腹時グルコースまたはグルコース耐性、およびインスリン耐性に関連する他の臨床症状からなる群より選択されることを特徴とする請求項19記載の方法。
【請求項22】
アブラヤシ属の果実から得られる抽出物を治療に有効な量で哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における利尿を誘発する方法。
【請求項23】
(a)前記アブラヤシ属の果実のミリング処理から得られる植物液の抽出物の組成物を含むパッケージと、
(b)前記アブラヤシ属の果実のミリング処理から得られる植物液の抽出物を、代謝不均衡の治療に使用するための使用説明書と、
を含むキット。
【請求項24】
前記代謝不均衡が真性糖尿病であることを特徴とする請求項23記載のキット。
【請求項25】
アブラヤシ属の果実から得られる抽出物を治療に有効な量で含む、哺乳動物が摂取するための栄養補助組成物。
【請求項26】
前記抽出物が、粉末、液体、または固体であることを特徴とする請求項25記載の栄養補助組成物。
【請求項27】
前記粉末が再構成可能な濃縮物であることを特徴とする請求項26記載の栄養補助組成物。
【請求項28】
必須脂肪酸、抗酸化物質、ビタミン、またはミネラルをさらに含むことを特徴とする請求項25記載の栄養補助組成物。
【請求項29】
γ−リノレン酸、リノール酸、亜鉛、銅、セレン、ヨウ化物、ピリドキシン、葉酸、コバラミン、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンE、チアミン二リン酸、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンD、マンガン、ビタミンA、リボフラビン、ナイアシン、ナイアシンアミド、パントテン酸、ビオチン、イノシトール、酒石酸水素コリン、ベタイン、ビタミンK、モリブデン、クロム、カリウム、シトラスバイオフラボノイド、混合カロチノイド、緑茶抽出物、またはN−アセチルシステインをさらに含むことを特徴とする請求項25記載の栄養補助組成物。
【請求項30】
ショウガ、ボスウェリア、フルーツ香味剤、着色剤、または保存料をさらに含むことを特徴とする請求項25記載の栄養補助組成物。
【請求項31】
ゼラチン、アジュバント、水、ピーナッツ油、ミネラルオイル、大豆油、ゴマ油、化学合成油、安定剤、または緩衝剤をさらに含むことを特徴とする請求項25記載の栄養補助組成物。
【請求項32】
請求項25〜31いずれか1項記載の栄養補助組成物を1つ以上含む、調理済み食品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
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【図6】
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【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公表番号】特表2011−518131(P2011−518131A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503170(P2011−503170)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/039296
【国際公開番号】WO2009/146102
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(502361511)ブランデイス ユニヴァーシティー (8)
【出願人】(500511648)マレーシアン・パーム・オイル・ボード (12)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/039296
【国際公開番号】WO2009/146102
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(502361511)ブランデイス ユニヴァーシティー (8)
【出願人】(500511648)マレーシアン・パーム・オイル・ボード (12)
【Fターム(参考)】
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