説明

真空処理遊星システム工作物キャリヤ

【課題】真空処理遊星システム工作物キャリヤを発展させる。
【解決手段】真空処理遊星システム工作物キャリヤは、駆動装置1と連結可能で太陽システム軸7の周りを回転可能な、太陽車9を有する太陽システム9,9′と、その周りを回転するよう回転可能に連結され、遊星軸11の周りを回転可能な遊星システム17,17′とを含み、前記遊星システム17,17′は、駆動連結部15,13を有する。前記キャリヤはさらに、太陽システム7,9,9′への駆動接続を有し、少なくとも一つの月システム29,31を含むキャリヤであって、前記月システムは、前記月軸19に沿って重なって互い違いに配置される少なくとも2つの月車29を有し、前記月車29の各々は少なくとも1つの工作物のための受容部を有し、前記太陽システムへの前記月システムの駆動接続は、少なくとも操作中は中断されることなく成立する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空処理遊星システム工作物キャリヤに関するものである。
この発明は基本的に、真空処理装置、特に真空被覆装置のための工作物キャリヤ技術に関するものである。工作物キャリヤ技術の目的は常に、処理を施されるべき工作物の全表面においてできるだけ均一な処理効果、特に被覆の厚さおよび品質を保証できるよう、処理ソース、特に被覆ソースやエッチングソースの側を通って工作物を移動させることにある。
【背景技術】
【0002】
非公開のスイス特許出願番号2278/97ないし1736/98は、それぞれ1997年9月25日および1998年8月25日のものであるが、これらの出願では以下のような構造の遊星システム工作物キャリヤについて述べられている。
【0003】
すなわち、装置側の駆動装置と連結可能な、装置に対して軸を中心に回転する、第一のシステムが設けられる。
【0004】
この第一の回転システムは、以下において太陽システムと呼ばれる。
太陽システムには、回転軸が太陽システムの軸に対しオフセットされ、かつそれに平行な、さらに遊星システムと呼ばれる第二の回転システムが設けられ、その回転運動は、装置ないし室によって形成される基準システムへの解除可能な係合によって生じる。
【0005】
遊星システムには、遊星システムと太陽システムの軸に平行な回転軸によって回転載置される、さらに月システムと呼ばれる第三の回転システムが設けられる。月システムでは、工作物が自転する。
【0006】
このような三重回転運動を伴う工作物キャリヤは、特に比較的小さな工作物に適用され、装置固定の被覆ソースのような処理ソースの側を工作物が通過することによって、工作物の全面が均一に処理される。
【0007】
上述の工作物キャリヤ配置では、月システムが間欠的に回転運動に入る。これは、ばね状に形成されて、月システムのラチェット様のかみ合いに作用するストッパーの側を月システムが、太陽システムの回転運動と、さらにそれに重なる遊星回転運動によって通過することで、成立する。遅速の月システムはその際、回転増加することなくストッパーの側を通過するが、これは一様な工作物処理にとってマイナスとなる。月システムの突然の増加回転運動は一般に、特に処理時間が比較的短い場合、特に工具の被覆時間が短く、したがって当然処理効果が十分でなく、層厚が薄い場合、ばね状ストッパー係合の統計的ゆらぎ、およびそれより帰結する基板の処理ソースへの整列のゆらぎによって、工作物処理の均一性にマイナス効果をもたらすことになる。
【0008】
薄膜処理装置の一例が特開平1−133320号公報(特許文献1)に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平1−133320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この発明の課題は、上記の工作物キャリヤをさらに発展させながら、上述の欠点を除去することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に基づくキャリヤは、真空処理装置のための真空処理遊星システム工作物キャリヤであって、駆動装置と連結可能な、前記装置に対して太陽システム軸の周りを回転可能な、太陽車を有する太陽システムと、前記太陽システム軸の周りを回転するよう前記太陽システムに回転可能に連結され、遊星軸の周りを回転可能な少なくとも一つの遊星システムとを含み、前記少なくとも一つの遊星システムは、前記遊星軸を中心として遊星システムを駆動するための駆動連結部を有し、前記キャリヤはさらに、太陽システムへの駆動接続を有し、月軸の周りを回転するよう遊星システムに載置された、少なくとも一つの月システムを含むキャリヤであって、前記月システムは、前記月軸に沿って重なって互い違いに配置され互いに離れている少なくとも2つの月車を有し、前記月車の各々は少なくとも1つの工作物のための受容部を有し、前記太陽システムへの前記月システムの駆動接続は、少なくとも操作中は中断されることなく成立する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明による処理方法を実施するための、この発明による工作物キャリヤの第一の実施形態の原理と機能方法を示す、概略図である。
【図2】図1の機能原理にしたがった、この発明による工作物キャリヤの好ましい実現形態における部分概略断面図である。
【図3】図1および2の実施形態において実現されるのが望ましい、遊星システム部材の太陽システム部材への係合を示す図である。
【図4】この発明による工作物キャリヤのさらなる実施形態の原理を示す、図1と同様の図である。
【図5】請求項4の原理に従って実現された、この発明による工作物キャリヤの好ましい実現形態の、図2と同様の断面図である。
【図6】この発明による工作物キャリヤの第三の原理による実現形態を示す、図1ないし4と同様の図である。
【図7】図6の原理に従った、この発明による工作物キャリヤの好ましい実現形態を示す、図2ないし5と同様の断面図である。
【図8】この発明による工作物キャリヤのさらなる実施形態の原理を示す、図1ないし4ないし6と同様の図である。
【図9】図8の原理に従った、この発明による工作物キャリヤの好ましい実現形態を示す、請求項2,5ないし7と同様の断面図である。
【図10a】太陽システムと遊星システムとの間における、好ましいさらなる駆動接続を示す概略図である。
【図10b】図10aの配置を概略的に示す、上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下において、この発明は例として図面を参考に説明される。
図1には、簡潔を期して概略的に示された、この発明による遊星システム工作物キャリヤ100の第一の実施例が示される。回転駆動装置1は、この配置の機械的基準システムである室壁3と、クラッチ5を介して解除可能なように駆動装置1と駆動連結された少なくとも一つの、この発明による工作物キャリヤ100との間において作用する。回転駆動装置は通常、室壁3を有する室の外側に配置され、真空気密回転ダクトによって導かれる。工作物キャリヤ100は太陽システム軸7を有し、機械的基準システム3に回転載置される。この太陽システム軸は、駆動されて、太陽回転運動ωsを行う。太陽システム軸7に回転固定接続された少なくとも一つの太陽車9には、単数または複数の遊星軸11が太陽システム軸7に平行に回転載置される。これらの遊星軸は遊星駆動車13を介して、好ましくは歯車を介してかみ合いながら、太陽システム軸7と同軸で配置され、かつ機械的基準システム3に対して固定された伝動リング15と係合する。
【0014】
太陽システムが太陽システム軸7の周りを回転駆動されると、遊星軸11は遊星回転ωpする。
【0015】
少なくとも一つの遊星軸11には、少なくとも一つの遊星歯車17が回転固定配置され、これに、遊星軸11に平行に、少なくとも一つの月軸19が回転載置される。遊星軸11に対して自由に、しかも同軸で回転運動するように、好ましくは伝動歯車である伝動車21が設けられ、この歯車は、月軸19に回転固定され、好ましくは歯車として形成された月駆動車29と係合する。
【0016】
伝動歯車21にはストッパーU字バー25が固定され、このバーは、遊星軸11の周りを旋回運動しながら最後には、太陽車9を有する太陽システムのストッパー27と、Pにおいてストッパー接続する。
【0017】
遊星回転ωpとそれに応じた、遊星軸11を中心とする月軸19の回転において、ストッパーバー25はストッパー27において停止し、それに続いて月駆動歯車29が回転を始める。月システムは、太陽システムの駆動が続く限り、間断なく回転ωmする。
【0018】
月システムには、室内において処理されるべき少なくとも一つの工作物のための工作物保持器が設けられる。
【0019】
図2には、図1においてその原則が説明されたこの発明による遊星システム工作物キャリヤの実現形態が図示される。既に図1について説明された部材については、同じ参照符号が付された。好ましくは図2に実現されたような図1の配置の機能方法は、図1についての説明から容易に理解される。
【0020】
ここではさらに、工作物保持器31が月軸19に固定される。太陽システムは、太陽車9と、長手棒33,35、ならびにスポーク37,39を有する、保持器として構成される。外側長手棒35は同時に、図1によると、ストッパー27として作用することがわかる。遊星軸11の上部は、41に示されたようにピン軸受に載置されるが、これによってそれぞれの遊星システムの月システムとの簡便な離脱ないし再挿入が可能となる。これに対し、遊星軸11の下部は好ましくは、43に図示されたように、円錐軸受に載置される。
【0021】
遊星軸11に回転固定載置され、好ましくは軸方向において遊星軸に挿し込み可能な遊星歯車17は、同様に遊星軸11に挿し込み可能な間隔ブッシング45によって間隔を保たれる。伝動歯車21は、その中央開口部を相応の小ささに寸法決めすることによって、それぞれの間隔ブッシング45に沿って導かれ得る。伝動歯車21には三つ、またはそれ以上の月システムが付属し、それらの月駆動歯車29によって導かれ得るので、これによって、材料および重量を削減しながら伝動歯車21の中央開口部を大きくすることが可能となり、さらにこれによって軸受の摩擦がより少なくなる。
【0022】
歯車21が月システムによって導かれるべき場合、それぞれの遊星歯車17には好ましくは少なくとも5つの月システムが設けられる。さらに場合によっては、伝動歯車を導くため、伝動歯車21および/または遊星歯車17に支持歯車47またはすべり支持部(図示されず)が設けられ得る。
【0023】
もう一つの構造では、遊星歯車17が間隔ブッシング45と回転固定接続され、後者のブッシングが上記伝動歯車21のための軸受ブッシュとして利用される。
【0024】
図1ないし図2の実施形態では、太陽回転運動ωsが始まると、遊星回転運動ωpによってそれぞれのストッパーU字バー25が、ストッパーないし長手棒27ないし35に当たって初めて、月システムが自転ωmを始める、ということになる。
【0025】
図3には、図2のIII−III線における長手棒35の断面図が示され、ストッパーU字バー25の端部領域の好ましい形状が示される。U形状の窪み49によってバー25は、ストッパー27として作用する長手棒35に旋回固定載置され、したがって太陽回転運動ωsが始まると、月回転運動ωmも遅滞なく開始される。
【0026】
ストッパーU字バー25の形状は、工作物の様々な形、大きさ、ないし月システムの設計に合わせられる。
【0027】
図2からわかるように、好ましくは太陽システムに選択的に複数の遊星システムが、それらの軸11とともに設けられ、遊星システムにはそれぞれ選択的に複数の遊星歯車17が、かつ遊星歯車17には選択的にそれぞれ複数の月システムが設けられ、さらに駆動装置1ないし室3内には複数の担体キャリヤ100が設けられ得る。
【0028】
月運動、または遊星運動の一つが万一止められた場合、この発明による工作物キャリヤ全体がひっかかって動かなくなるのを防ぐために、この発明の工作物キャリヤでは破損予定位置51が作られることによって、損害はそれぞれの装入量のできるかぎりわずかな一部に限られる。そのような破損予定位置は好ましくは、図1から図3の実施形態では、ストッパーバー25の端部部材に設けられ得る。それぞれのストッパーバー25を簡単に調べれば、全ての月システムが規則どおり動いたのかどうかが、後で確認可能である。さらに、破損予定位置51において折れるストッパーバー25の端部領域には視覚的に目に付くように、例えば彩色によって印が付けられ得る。そこにはまた、作動中の室3内における回転運動を監視するために、例えば光電子による、容量性または誘導性検出ないし磁気検出が可能な部材が設けられ得る。
【0029】
この発明による工作物キャリヤの規則的機能を管理するためのもう一つの方法は、駆動モータ1において受容される出力を測定するというものである。図1の駆動モータ1に連結された、この発明による工作物キャリヤ100の一つが止められると、負荷モーメントは増大し、受容モータ出力が増加する。これによって、アラーム信号および/または自動切断が作動し得る。このようにして、破損が生じた際には、装入加工を早期に中断し、判明した障害を除去し、加工プロセスを引き続き中断されたところから進行させることが可能である。
【0030】
図4には、図1のそれと同様に、この発明による工作物キャリヤ100のさらなる実施例の概略が示される。図4の実施形態においても設けられる部材については、図1のものと同じ参照符号が付された。
【0031】
ここでは図1の、伝動歯車21を備えるバー25ならびにストッパー27が省略される。それらに代わり、補助遊星車17′には月システムごとに、遊星軸11に平行な回転軸62を有する、好ましくはここでも歯車である伝動車60が回転載置される。伝動車60は歯車リムによってかみ合う歯車60として形成され、遊星軸11の周りを同軸で回転する(図示されず)伝動表面64と係合する。回転軸62に回転固定された、好ましくは歯車である、もう一つの回転固定伝動歯車66は、遊星軸11の周りを同軸で回転し、好ましくは内側および外側が歯切りされたリングとして形成された伝動リング68と係合する。リング68の内側表面とは伝動歯車66が係合し、外側表面とは月駆動歯車29が係合する。伝動リング68は遊星歯車17にすべり載置される。特に伝動歯車66および伝動リング68を相応に寸法決めすることによって、月回転速度を必要に応じて調整することができる。したがって月の回転運動ωmは例えばゆっくりと調整可能であるので、それに設けられた工作物には依然として均一かつ全面的な処理、特に被覆が施されるが、月システム回転軸受けは同時に最小限の摩耗に晒される。
【0032】
図5には、図4に概略が図示された、この発明による遊星システム工作物キャリヤの実施例が示される。既に説明された部材については同じ参照符号が付される。特に、図5に示されたこの発明の工作物キャリヤの構造には同じ参照符号が付されているので、図4についての説明から容易に理解される。
【0033】
特に、図4の伝動表面64は、太陽歯車9に固定された把持アンカー70に、内側歯切りされたリングとして取付けられるのが、わかる。
【0034】
これまでに選択された方法にしたがって、図1ないし図4と同様に、図6においても、この発明の工作物キャリヤ100のさらなる実施例の原則が概略的に示される。図1ないし図2の実施形態が参照される。図1を見ると、図6の実施形態ではまた、伝動歯車21、ストッパーバー25およびストッパー27がない。それらの代わりに、太陽歯車9には回転伝動表面72が、好ましくは遊星軸11の周りを回転する(図6には図示されず)内側に歯切りされたリングの形で設けられる。月駆動歯車は伝動表面72と駆動接続している。月駆動歯車29が外側歯切りされた歯車である限り、この歯車は太陽歯車9に、遊星軸11の周りに同軸で配置されたリングの、伝動表面72を形成する歯切りとかみ合う。
【0035】
ここでも、月駆動歯車29と伝動表面72、特にそれらの相互の歯切りを相応に寸法決めすることによって、変則比を限られた範囲で調整することが可能である。
【0036】
図2および図5と同様に図7では、図6のこの発明による工作物キャリヤの実施形態が示される。図からわかるように、歯車リング72aの内側歯切りの形をした伝動表面72が、それぞれ月駆動歯車29の回転軌道の高さで、把持アンカー74によって太陽歯車9に載置されている。
【0037】
その際、把持アンカー74上のリング72aは、間隔維持ブッシュ(図示されず)によって間隔を保たれて、これらのアンカーに差し込まれ得る。これによって、個々の月運動平面におけるリングの迅速な取付けが可能である。
【0038】
図8には、これまでと同様に、この発明による遊星システム工作物キャリヤのさらなる実施例の原理が概略的に示される。同じ部材については引き続き、同じ参照符号が付される。図1を参照すると、図8の実施形態ではまた伝動歯車21、ストッパーバー25およびストッパー27が省略されている。それらの代わりに、遊星軸11には好ましくは歯車の形の補助遊星車17′が、回転固定状態で設けられ、この歯車は、好ましくはこれもまた歯車である伝動車76と係合、ないしかみ合う。これによって、太陽歯車9に解除可能なように回転載置された、太陽軸7に平行な、伝動軸78が駆動される。この伝動軸78は、それぞれの月駆動歯車29の高さで各々、これもまた好ましくは歯車の形の末端動力側伝動歯車80を担う。伝動歯車80と月駆動歯車29とはそれぞれ、伝動リング86の内側ないし外側伝動表面82/84と係合、好ましくはかみ合い係合する。リング82は(図8では分りやすく間隔を空けて示されるが)それぞれの遊星歯車17において導かれ、遊星軸11を中心に同軸で延びる。様々な伝動器、すなわち17′,76,80,82,および86における84の寸法決めを適切に行うことによってまた、太陽システム回転運動ωsと月システム回転運動ωmとの間の変速比が調整可能である。ここでは、伝動車80と、場合によっては伝動リング82とが、装入の際に容易に交換可能である。伝動車80は伝動軸78に回転固定状態で挿し込み可能であるが、個々の伝動車80の間にはそれぞれ、伝動軸78を介して間隔ブッシングが押し込まれる。
【0039】
図9には、図2,5および7と同様に、図8について概略的説明がなされたこの発明による工作物キャリヤの実施例の好ましい実現形態が示される。これまで使用された参照符号および、図8において引用された参照符号が選択されているので、図9に示された実施形態の構造および機能方法は当業者には容易に明らかである。
【0040】
図10には、例えば図1においては太陽軸7と遊星車17との間で作用する、太陽システムと遊星システムとの間の駆動接続の極めて簡単な、従って好ましい実施例が示される。この配置は、月システムを回転駆動するための、既に説明されたその他全ての手段と組み合わされ、太陽/遊星システムのみが実現されているシステム、すなわち回転月システムのないシステムにおいてもまた利用され得る。
【0041】
図10aによると、ここでも既に引用された参照符号が使用されるが、既に説明されたように真空室外部に配置された、ここには図示されない駆動装置1に駆動される太陽軸7に太陽歯車9が載置される。この太陽車は、図1のようにそこに回転載置された(ここでは再度図示されず)遊星車17と、遊星駆動車13′とを担う。太陽軸7は、据え付けられた駆動車88の中央を通る。特に図10bの概略上面図からわかるように、駆動ベルトエレメント90は固定された中央駆動車88、ならびにあらかじめ設けられた遊星駆動車13′の周りを回転する。その際、遊星車の回転速度ωpは太陽車9と遊星駆動車13′との直径比率によって広い範囲で自由に選択可能であり、調整可能である。この配置において遊星車13′は駆動ベルトエレメント90に接して回転する。
【0042】
この発明による遊星システム工作物キャリヤを援用することによって、月システムの連続的回転運動が保証されるが、これによってまた特に、月システムに置かれた工作物の真空処理装置、特に被覆装置における処理時間が短くとも、規則的で、かつ全面的に均一な処理が得られる。
【0043】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0044】
1 回転駆動装置、3 壁(基準システム)、5 クラッチ、7 太陽システム軸、9 太陽車、11 遊星軸、13,13′ 遊星駆動車、15 伝動リング、17 遊星車、17′ 補助遊星車、19 月軸、21,23 伝動車、25 ストッパーU字バー、27 ストッパー、29 月駆動車、31 工作物保持器、33,35 長手棒、37,39 スポーク、41 ピン軸受、43 円錐軸受、45 間隔ブッシング、47 支持車、49 凹部、51 破損予定位置、60 伝動車、62 回転軸、64 伝動表面、66 伝動歯車、68 伝動リング、70 把持アンカー、72,72a 伝動表面、74 把持アンカー、76,80 伝動車、78 伝動軸、82,84 伝動表面、86 伝動リング、88 駆動車、90 駆動ベルトエレメント、100 工作物キャリヤ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空処理装置のための真空処理遊星システム工作物キャリヤであって、
駆動装置(1)と連結可能な、前記装置に対して太陽システム軸(7)の周りを回転可能な、太陽車(9)を有する太陽システム(9,9′)と、
前記太陽システム軸(7)の周りを回転するよう前記太陽システムに回転可能に連結され、遊星軸(11)の周りを回転可能な少なくとも一つの遊星システム(17,17′)とを含み、前記少なくとも一つの遊星システム(17,17′)は、前記遊星軸を中心として遊星システムを駆動するための駆動連結部(15,13)を有し、前記キャリヤはさらに、
太陽システム(7,9,9′)への駆動接続を有し、月軸(19)の周りを回転するよう遊星システム(17)に載置された、少なくとも一つの月システム(29,31)を含むキャリヤであって、
前記月システムは、前記月軸(19)に沿って重なって互い違いに配置され互いに離れている少なくとも2つの月車(29)を有し、前記月車(29)の各々は少なくとも1つの工作物のための受容部を有し、前記太陽システムへの前記月システムの駆動接続は、少なくとも操作中は中断されることなく成立する、キャリヤ。
【請求項2】
前記太陽システムへの前記駆動接続は強制駆動接続である、請求項1に記載のキャリヤ。
【請求項3】
前記太陽システムへの前記駆動接続は、かみ合い駆動接続である、請求項2に記載のキャリヤ。
【請求項4】
前記太陽システムへの前記駆動接続が、前記遊星軸(11)の周りを自由に回転可能で、かつ一方では前記太陽システム(27;64;72;76)と、他方では前記月システム(29)と伝動係合している伝動配置(21;60,66,68;76,80,86)を含む、請求項1に記載のキャリヤ。
【請求項5】
前記太陽システムへの前記駆動接続が、前記遊星軸(11)の周りを自由に回転可能で、かつ月システムの伝動車(29)と係合し、さらに太陽システム(9)のストッパー(27)に作用する回転停止装置(25)を有する伝動車(21)を含む、請求項1に記載のキャリヤ。
【請求項6】
前記太陽システムへの前記駆動接続が、太陽軸(64,72)と同軸で太陽システム(9)に配置され、かつ月システムの伝動車(60,29)と係合する伝動リング表面を含む、請求項1に記載のキャリヤ。
【請求項7】
前記太陽システムへの前記駆動接続が、前記遊星システム(9)に回転載置される伝動車(60,76)を含み、この伝動車(60,76)はもう一つの伝動車(66,80)と、遊星軸(11)の周りを回転する伝動リング(68,86)とを介して、月システムの伝動車(29)と回転係合している、請求項1に記載のキャリヤ。
【請求項8】
太陽車(9)に回転載置された伝動軸(78)を遊星車(17′)が駆動し、かつ前記伝動軸(78)が、もう一つの伝動車(80)と、遊星軸(11)の周りを回転する伝動リング(86)とを介して、月システムの伝動車(29)と回転係合している、請求項1に記載のキャリヤ。
【請求項9】
前記太陽システムの前記駆動装置、前記遊星システムの前記駆動連結部、および前記駆動接続のうちの少なくとも一つが、少なくとも一つの破損予定箇所(51)を有する、請求項1に記載のキャリヤ。
【請求項10】
前記太陽システム軸(7)が、固定された駆動車(88)を通り、かつ駆動ベルト(90)が駆動車(88)と、遊星システム上の駆動車(13′)とに巻きつく、請求項1に記載のキャリヤ。
【請求項11】
真空処理装置のための真空処理遊星システム工作物キャリヤであって、
駆動装置(1)と連結可能な、真空処理装置に対して太陽システム軸(7)の周りを回転可能な太陽システム(9,9′)と、
遊星軸(11)の周りを回転するよう太陽システム(9)に載置された少なくとも一つの遊星システム(17,17′)とを含み、前記少なくとも一つの遊星システム(17,17′)は、遊星駆動車(13′)を含み遊星システムを駆動するための駆動連結部(15,13)を有し、前記キャリヤはさらに、
太陽システム(7,9)への駆動接続を有し、少なくとも一つの工作物のための受容部が設けられ、月軸(19)の周りを回転するよう遊星システム(17)に載置された、少
なくとも一つの月システム(29,31)を含むキャリヤであって、前記駆動接続は少なくとも操作中は中断されることなく、太陽システムと月システムとの間で成立し、
太陽システム軸(7)が、固定された駆動車(88)を通り、かつ駆動ベルト(90)が、固定された駆動車(88)と、遊星軸に設けられた遊星駆動車(13′)とに巻きつく、キャリヤ。
【請求項12】
月システムと太陽システムとの間の駆動接続が、遊星軸(11)の周りを自由に回転可能で、かつ太陽システム(27)と月システム(29)と伝動係合している伝動配置(21;60,66,68;76,80,86)を含むことを特徴とする、請求項11に記載のキャリヤ。
【請求項13】
前記駆動接続が、遊星軸(11)の周りを自由に回転可能で、かつ月システムの伝動車(29)と係合し、回転停止装置(25)によって太陽システム(9)のストッパーに作用するさらなる伝動車(21)を有することを特徴とする、請求項11に記載のキャリヤ。
【請求項14】
太陽軸(7)と同軸で太陽システム(9)に配置され、かつ伝動車(29)がそれに接して月システム(19)上の回転運動を実行する伝動リング表面(72)を含む駆動伝達装置を含む、請求項11に記載のキャリヤ。
【請求項15】
前記駆動接続が少なくとも一つの破損予定箇所(51)を有することを特徴とする、請求項11に記載のキャリヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10a】
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【図10b】
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【公開番号】特開2010−265552(P2010−265552A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195868(P2010−195868)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【分割の表示】特願2000−588422(P2000−588422)の分割
【原出願日】平成11年12月15日(1999.12.15)
【出願人】(598051691)エリコン・トレーディング・アクチェンゲゼルシャフト,トリュープバッハ (44)
【氏名又は名称原語表記】Oerlikon Trading AG,Truebbach
【Fターム(参考)】