説明

真空断熱材

【課題】工場では溶着や接着を行い真空引き可能な吸引ノズルを取り付けた気密構造体とし、使用先で吸引ノズル部から真空ポンプで吸引する方式を採用することで半永久的に高真空を確保することができる真空断熱材の提供。
【解決手段】気密空間部を有する気密構造体には1箇所または複数箇所に吸引ノズルが溶着され前記吸引ノズルに真空ポンプを接続することで気密空間部を真空引き可能な真空断熱材10である。自動車でルーフ用真空断熱材41としドアー用真空断熱材45、46とに使用区分したとしてルーフ用真空断熱材41の吸引ノズル21には逆流防止栓89を備え先端口部のキャップ85で漏れ込みを防止している。真空引きする場合には、キャップ85を取り外し車販売店またはガソリンスタンドに設置される真空ポンプ90と接続し吸引すればよい。逆流防止栓89を備えることで真空吸引操作時に誤って大量の大気を吸わせてしまうことを防いでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体のルーフ用やドアー用等の真空断熱材また住宅等建物の屋根用真空断熱材及び保冷用や保温用の真空断熱材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特に、人類だけが生活の快適さを得るために暖房や冷房また自動車に膨大な石油や石炭また天然ガスなどの多くのエネルギー消費し続けている。
自然災害の少ない地球に優しい環境の維持継続を考えた場合、この再生不可能な貴重な地下資源である石油や石炭また天然ガスの消費をこれからも続ければ大気汚染が進み地球温暖化が加速する。このことが生物にとって致命的な風水害や砂漠化など異常気象に伴う自然災害に見舞われる可能性が格段に高くなると言われている。
石油や石炭また天然ガスなどの貴重な地下資源は大切に利用すべきで燃料に使用するよりも生物が共栄共存し人類が豊かになるための製品を生みだすことに振り向けられるべきもので、限りある地球資源の有効利用に関し人類は基本的な指標を世界的に合意しなければならない段階にあると言ってよい。
【0003】
ところで近年、インド、中国、ブラジルなどでは自動車の購買意欲も高く、特に、気温が高いインドでは天井からの暑さを嫌い天井の高い車の方がよく売れるとして各自動車メーカは対応している。
しかし、車高が高いと燃費効率も低下する。また、将来的にはデザイン的な要求も高まると考えられ、最終的には外気温にあまり影響を受けない薄くて軽い材料で造られた優秀な断熱材が必要となるのである。
そして、自動車以外の移動体や住宅等建物また保冷用や保温用に優秀な断熱材はこれからも必要であり技術開発を進めなければならないし優秀な断熱材の技術開発は地球温暖化の抑制に結び付くのである。
【0004】
そこで、真空を利用した高い断熱性と遮音性に着目した。
真空断熱等の考えは昔からあるものの実用化されているものとしては、工場で真空化した真空窓ガラスサッシや冷蔵庫等に使用している真空断熱材の一部だけで、工場で真空化していることから真空化装置の大きさも限られ、その為に芯材のサイズで500mm X 1500mmより大きい真空断熱材の製造が難しいなど自由度がなく、また、製造に時間とコストがかかり過ぎる難点がある。
更に、既存の真空断熱材では製造後の真空度低下割合を判別することが無理であることも難点の一つである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の事情の通り、工場で真空化した既存の真空断熱材には問題点も多い。
そこで、真空断熱材の製造方法を変更し工場では溶着や接着を行い真空引き可能な吸引ノズルを取り付けた気密構造体とし、その後、使用先で真空引き可能な吸引ノズル部から真空ポンプで吸引する方式を採用することで半永久的に高真空を確保することができる。
この真空断熱材の提供と普及促進は地球温暖化の抑制に結び付けれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を講じた。
第1に、真空断熱材の両側面が合成樹脂製フイルムや合成樹脂製シートで覆われた真空断熱材で、前記真空断熱材の内部の気密空間部を吸引する真空引き可能な吸引ノズルを備えた真空断熱材とした。
第2に、前記真空断熱材は、内部に気密空間部を広く保持するため高い断熱性能を有する隙間保持部材を挟み合成樹脂製フイルムや合成樹脂製シートの周囲を溶着または接着した真空断熱材で、前記真空断熱材に取り付けられた吸引ノズルに逆流防止栓を備えた真空断熱材とした。
第3に、移動体に使用する前記真空断熱材の真空引き吸引手段は、真空ポンプを搭載する方式や、移動体の振動エネルギーを真空ポンプに伝える方式、また、真空ポンプを搭載せず必要な時に真空ポンプに接続し真空引きする方式の真空引き吸引手段とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明による真空断熱材は、高い断熱性能と遮音性能を半永久的に安定保持できる安価で用途先に合わせた真空断熱材の提供が可能となる。
軽さが求められる移動体のルーフ用やドアー用等の真空断熱材また住宅等建物の屋根用真空断熱材及び保冷用や保温用の真空断熱材には多くの用途が見込めるし、その用途拡大は大幅な省エネルギー化に結び付けることができる。
そして、移動体自体の振動エネルギーや太陽光発電や風力発電の自然エネルギーを利用すれば断熱が可能となるため地球温暖化を更に抑制でき地球環境に優しい省エネルギー技術を育てることができるのである。。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、移動体の真空断熱材とその吸引手段で、真空ポンプを搭載せず必要な時に真空ポンプに接続し真空引きする方式の概念図。
図2は、住宅等建物の陸屋根用真空断熱材の概略図。
【0009】
第1の実施形態、図1は移動体の真空断熱材とその吸引手段で、真空ポンプを搭載せず必要な時に真空ポンプに接続し真空引きする方式を図示している。
移動体の真空断熱材10の構成と構造は、両側面をアルミニウム箔と合成樹脂フィルムを貼り合わせたラミネートフィルム15内に芯材である隙間保持部材43を挟み周囲を溶着した気密空間部50を有する気密構造体となっていて、前記気密構造体には1箇所または複数箇所に樹脂製造吸引ノズルが溶着され前記吸引ノズルに真空ポンプを接続することで気密空間部50を真空引き可能な真空断熱材10である。
【0010】
そして、気密空間部50を保持する前記隙間保持部材43の材質は、高い断熱性能を有する繊維状断熱材55、例えば、ロックウールやグラスウールまたペット樹脂やペットボトルのリサイクルから造られるペットウール等を使用している。
【0011】
次に、この移動体の吸引手段4は、真空ポンプ90を搭載せず必要な時に真空ポンプ90に接続し真空引きする方式で、真空ポンプ90と直接接続する真空断熱材10にのみ吸引ノズルに逆流防止栓を備えている。
【0012】
例えば、上記記載の移動体が自動車でルーフ用真空断熱材41としドアー用真空断熱材45、46とに使用区分したとしてルーフ用真空断熱材41の吸引ノズル21には逆流防止栓89を備え先端口部のキャップ85で漏れ込みを防止している。
そこで、真空引きする場合には、キャップ85を取り外し自動車販売店またはガソリンスタンドに設置される真空ポンプ90と接続し吸引すればよい。この逆流防止栓89を備えることで真空吸引操作時に誤って大量の大気を吸わせてしまうことを防いでいる。
尚、図1ではルーフ用真空断熱材41とドアー用真空断熱材45、46とはチューブ管で連通している内容に関しては図示説明を省略した。
【0013】
第2の実施形態、図2は住宅等建物の陸屋根用真空断熱材の構成と構造を図示している。
住宅等建築物の陸屋根用真空断熱材30の構成と構造は、両側面を塩化ビニールシート19とし間に芯材の隙間保持部材43を挟み周囲を溶着した気密空間部50を有する気密構造体となっていて、前記隙間保持部材43はリサイクル古紙の断熱材の成型品で高い圧縮強度を有する片面のみが凹型のハニカム構造断熱板材49である。そして2枚のハニカム構造断熱板材49のハニカム構造面凹型同士を合わせた構造となっている。
ハニカム構造断熱板材49のハニカム形状の大きさは、絶対真空度に十分耐える最大とし広い空間容積が確保できるようになっている。
また、ハニカム構造面同士を合わせることでハニカム凹面が塩化ビニールシート面に現れないようにしている。
【0014】
真空断熱材30には1箇所または複数箇所に樹脂製吸引ノズル28が溶着され前記吸引ノズル28に真空ポンプを接続することで気密空間部50を真空引き可能な真空断熱材30である。
従って、吸引ノズル28と真空ポンプはチューブ接続され常時真空引き可能な状態とし半永久的に断熱性能と遮音性能が確保できる真空断熱材30となっている。
尚:太陽光からの放射(紫外線、赤外線、可視線など)を遮断する遮熱塩化ビニールシートを使用すること、または、ハニカム構造面同士の合わせ面にアルミニウム箔を入れることで放射を遮断する方法に関しては図示説明では省略した。
【0015】
そして、図2では防耐火性能に優れた軽量気泡コンクリート69の上面に防水施工を行い防水施工面77の上面に真空断熱材30を敷く方法を図示している。
理由は、既存の住宅リフォーム工事への普及促進なと採用が容易にできることにある。
【0016】
尚、本発明の実施形態に限らず、以下のような変更が可能である。
本発明の移動体用の真空断熱材10では、両側面をアルミニウム箔と合成樹脂フィルムを貼り合わせたラミネートフィルム15としたが、空気透過の極めて少ない合成樹脂製フィルムで構成したラミネートフィルム17を使用してもよい。
また、芯材である隙間保持部材43の材質や形状では異なる組み合わせ、例えば、形状で片面のみが凹型のものとは異なる貫通抜きした断熱材を使用することや異なる構成また構造の隙間保持部材43でもよく、上記の実施形態に制約や制限されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、移動体の断熱や住宅等建物の断熱また保冷用や保温用の断熱材の開発促進とこの真空断熱材の吸引手段の技術開発に結び付く。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、移動体の真空断熱材とその吸引手段で、真空ポンプを搭載せず必要な時に真空ポンプに接続し真空引きする方式の概念図。
【図2】図2は、住宅等建物の陸屋根用真空断熱材の概略図。
【符号の説明】
【0019】
10、30、41、45、46 真空断熱材
15 ラミネートフィルム(アルミニウム箔と合成樹脂フィルムを貼り合わせ)
19 塩化ビニールシート
21、28 吸引ノズル
43 隙間保持部材(芯材)
49 ハニカム構造断熱板材
50 気密空間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空断熱材の両側面が合成樹脂製フイルムや合成樹脂製シートで覆われた真空断熱材で、前記真空断熱材の内部の気密空間部を吸引する真空引き可能な吸引ノズルを備えた真空断熱材。
【請求項2】
前記真空断熱材は、内部に気密空間部を広く保持するため高い断熱性能を有する隙間保持部材を挟み合成樹脂製フイルムや合成樹脂製シートの周囲を溶着または接着した真空断熱材で、前記真空断熱材に取り付けられた吸引ノズルに逆流防止栓を備えたことを特徴とする請求項1に記載の真空断熱材。
【請求項3】
移動体に使用する前記真空断熱材の真空引き吸引手段は、真空ポンプを搭載する方式や、移動体の振動エネルギーを真空ポンプに伝える方式、また、真空ポンプを搭載せず必要な時に真空ポンプに接続し真空引きする方式の真空引き吸引手段。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2008−14481(P2008−14481A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−211399(P2006−211399)
【出願日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(501120889)
【出願人】(505122829)株式会社ウィズ・ワン (9)
【Fターム(参考)】