真空用開閉弁
【課題】バルブボディの外壁面に半導体ヒータを密着させることで、接触面積を大きくする真空用開閉弁を提供する。
【解決手段】第1流路7と第2流路8とを連通する弁孔を有するバルブボディ4と、弁孔の外周に形成された弁座と当接又は離間する弁体と、弁体を駆動する駆動手段3と、バルブボディ4の外壁面に設けられたヒータ40と、ヒータ40をバルブボディ4の外壁面に押圧する取付板42と、ヒータ40と取付板42の間に断熱材41を有する真空用開閉弁1において、ヒータ40は、薄板状で、柔軟性のある半導体ヒータとする。
【解決手段】第1流路7と第2流路8とを連通する弁孔を有するバルブボディ4と、弁孔の外周に形成された弁座と当接又は離間する弁体と、弁体を駆動する駆動手段3と、バルブボディ4の外壁面に設けられたヒータ40と、ヒータ40をバルブボディ4の外壁面に押圧する取付板42と、ヒータ40と取付板42の間に断熱材41を有する真空用開閉弁1において、ヒータ40は、薄板状で、柔軟性のある半導体ヒータとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造工程でプロセスガスが流れる流路の途中に設けられ、その流路を開閉する真空用開閉弁に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体工程で使用する加熱流体の中には、温度低下により気体から液体又は固体へ変質し生成物として析出するものがある。生成物が析出し内部に付着すると弁の機密性を阻害したり、流路が絞られてしまうため問題となる。
そこで、バルブボディをヒータにより加熱することによって、プロセスガスと接触する部分の温度を高め生成物が付着することを防止している。
【0003】
従来、この種の技術として、下記に記載する特許文献1に係る発明がある。図19に、特許文献1に係る真空用開閉弁100の一部断面図を示す。
真空用開閉弁100は、バルブボディ101、加熱機構102を有する。加熱機構102は、金属で厚みのあるヒータである焼結体PTCヒータをアルミケースで覆ったものである。加熱機構102は、バルブボディ101の平面101Aに取り付けられている。
【0004】
加熱機構102により加熱することにより、バルブボディ101は加熱される。それにより、プロセスガスと接する真空用開閉弁100内の弁室、弁座等が暖められ、プロセスガスが常温になることを防止し、生成物の付着を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−349468号公報
【特許文献2】特開2008−121859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、真空用開閉弁100には、以下の問題があった。
すなわち、加熱機構PTCヒータは金属で厚みがあるため柔軟性がない。そのため、図19には示さないが、バルブボディ101の表面に、例えば図5に示すように凹部4Aが必要で形成されている場合、加熱機構102と凹部4Aは接触しない。接触しない(接触面積が小さい)と、加熱機構102が直接凹部4Aを加熱することができないため温度が低くなるため問題となる。また、加熱機構102と接触しない(接触面積が小さい)と、伝熱効率が悪くなり、消費電力も増加するため問題となる。
さらに、特許文献2の図18に示す真空用開閉弁200においては、特許文献1の加熱機構102をバルブボディ204の外壁に用いたとしても、バルブボディ201の内で暖める場所である弁座209が暖まりにくいため問題となる。なぜなら、弁座209は、外気に触れる第2流路208が当接しており、弁座209は冷えやすいからである。また、弁座209は外壁部から離れた所に形成されているため、外壁部に用いられる加熱機構102の熱が直接伝わりにくいからである。さらに、弁座209は、プロセスガスが弁体210により堰き止められる場所であるため、特に生成物が付着しやすいため問題となる。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的はバルブボディの外壁面に半導体ヒータを密着させることで、接触面積を大きくする真空用開閉弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る真空用開閉弁は以下の構成を有する。
(1)第1流路と第2流路とを連通する弁孔を有するバルブボディと、弁孔の外周に形成された弁座と当接又は離間する弁体と、弁体を駆動する駆動手段と、バルブボディの外壁面に設けられたヒータと、ヒータをバルブボディの外壁面に押圧する取付板と、ヒータと取付板の間に断熱材を有する真空用開閉弁において、ヒータは、薄板状で柔軟性のある半導体ヒータであること、を特徴とすることにある。
(2)(1)に記載する真空用開閉弁において、前記半導体ヒータは、厚みが1.0mm以下であること、を特徴とすることにある。
(3)(1)に記載する真空用開閉弁において、断熱材は弾性力を有する弾性断熱材であること、弾性断熱材により半導体ヒータを前記バルブボディの外周面に密着させること、を特徴とすることにある。
(4)(3)に記載する真空用開閉弁において、取付板は端部に折り返されている折返し端部を有する折返し取付板であること、を特徴とすることにある。
(5)(4)に記載する真空用開閉弁において、折返し端部が同じ高さであること、折返し端部がバルブボディに接触することにより、弾性断熱材を均一に押圧することができ、半導体ヒータとバルブボディとの密着度合いを均一にすること、を特徴とすることにある。
(6)(4)に記載する真空用開閉弁において、折返し端部が取付板の一端に形成されていること、又は、折返し端部が取付板の両端に形成され、両端の折返し端部の高さが異なること、を特徴とすることにある。
(7)(4)又は(6)に記載する真空用開閉弁において、取付板が、弾性断熱材の押圧力を場所により変化させることにより、半導体ヒータとバルブボディとの密着度合いを変化させること、を特徴とすることにある。
(8)(3)に記載する真空用開閉弁において、取付板が、コの字形状をしているコの字取付板であること、取付前の状態においては、コの字取付板の開口部が内側に細くなっていること、コの字取付板の開口部を拡げた後に戻る反力により、弾性断熱材を押し付け、半導体ヒータとバルブボディを密着させること、を特徴とすることにある。
(9)(4)乃至(8)に記載するいずれか一つの真空用開閉弁において、遮蔽板を有すること、を特徴とすることにある。
【発明の効果】
【0009】
上記真空用開閉弁の作用及び効果について説明する。
(1)第1流路と第2流路とを連通する弁孔を有するバルブボディと、弁孔の外周に形成された弁座と当接又は離間する弁体と、弁体を駆動する駆動手段と、バルブボディの外壁面に設けられたヒータと、ヒータをバルブボディの外壁面に押圧する取付板と、ヒータと取付板の間に断熱材を有する真空用開閉弁において、ヒータは、薄板状で柔軟性のある半導体ヒータであることにより、バルブボディの外壁面に凹凸があったとしても半導体ヒータを密着させることができる。それにより、ヒータとバルブボディの接触面積が大きくなり伝熱効率が良くなり、ヒータの消費電力も少なくて済む。
(2)前記半導体ヒータは、厚みが1.0mm以下であることにより、半導体ヒータを薄板状で、かつ、柔軟性のあるものとすることができる。それにより、バルブボディの外壁面に凹凸があったとしても半導体ヒータを変形させバルブボディに密着させる形状とすることができる。
(3)断熱材は弾性力を有する弾性断熱材であること、弾性断熱材により半導体ヒータを前記バルブボディの外周面に密着させることにより、バルブボディに凹凸があったとしても、断熱材がバルブボディの凹凸形状に変形し、半導体ヒータも同様にバルブボディの凹凸形状に変形させることができる。それにより、大きな接触面積で密着させることができる。
(4)取付板は端部に折り返されている折返し端部を有する折返し取付板であることにより、取付板で弾性断熱材を押圧するとき、弾性断熱材への押圧力は折返し端部の高さで調整することができ、それにより、半導体ヒータとバルブボディとの密着度合を調節することができる。そして、密着度合いによりバルブボディの温度を調節することができる。
(5)折返し端部が同じ高さであること、折返し端部がバルブボディに接触することにより、弾性断熱材を均一に押圧することができ、半導体ヒータとバルブボディとの密着度合いを均一にすることができる。
(6)折返し端部が取付板の一端に形成されていること、又は、折返し端部が取付板の両端に形成され、両端の折返し端部の高さが異なることにより、弾性断熱材への押圧力を場所により変化させることができる。押圧力を変化させることにより、例えば、生成物が析出しやすい弁座付近の押圧力を高め、弁座付近を高温にすることができる。
(7)取付板が、弾性断熱材の押圧力を場所により変化させることにより、半導体ヒータとバルブボディとの密着度合いを変化させることができる。例えば、生成物が析出しやすい弁座付近等の密着度合いを他の部分よりも密にすることにより、弁座付近の温度を上げることができる。
(8)取付板が、コの字形状をしているコの字取付板であること、取付前の状態においては、コの字取付板の開口部が内側に細くなっていること、コの字取付板の開口部を拡げた後に戻る反力により、弾性断熱材を押し付け、半導体ヒータとバルブボディを密着させることができる。
(9)遮蔽板を有することにより、高温の取付板に作業者が触れて火傷することを防ぐことができる。また、取付板への気流が直接当たることを防ぐため、大気への放熱による温度低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態に係る真空用開閉弁1の正面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る図1に示す真空用開閉弁1のAA断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る図2に示す真空用開閉弁1(閉弁時)のLL断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る図2に示す真空用開閉弁1(開弁時)のLL断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る真空用開閉弁1のバルブボディ4の側面に凹部4Aが形成された一部上面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る真空用開閉弁1B(取付板52取付前)の一部上面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る真空用開閉弁1B(取付板52取付後)の一部上面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る真空用開閉弁1Cの正面断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る真空用開閉弁1Cの変更例に係る正面断面図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係る真空用開閉弁1Dの正面図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係る真空用開閉弁1DのBB断面図である。
【図12】本発明の第4実施形態に係る真空用開閉弁1Dの組立図である。
【図13】本発明の第4実施形態に係る真空用開閉弁1Dに掛かる反力Yを示した図である。
【図14】本発明の第5実施形態に係る真空用開閉弁1Eの正面図である。
【図15】本発明の第5実施形態に係る真空用開閉弁1EのCC断面図である。
【図16】本発明の第6実施形態に係る真空用開閉弁1Fの正面図である。
【図17】本発明の第6実施形態に係る真空用開閉弁1FのDD断面図である。
【図18】従来技術である真空用開閉弁200の正面断面図である。
【図19】従来技術である真空用開閉弁100の一部上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明に係る真空用開閉弁の一実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1に真空用開閉弁1の正面図を示す。図2に、図1の真空用開閉弁1のAA断面図を示す。図3は、第1実施形態に係る図2に示す真空用開閉弁1(閉弁時)のLL断面図を示す。図4は、第1実施形態に係る図2に示す真空用開閉弁1(開弁時)のLL断面図を示す。図3及び図4に示す真空用開閉弁1は、従来技術と同様、半導体製造装置に設けられた反応室と真空ポンプとの間に配置される。
真空用開閉弁1は、ベローズ31を伸縮させながら弁開閉を行うON−OFF式遮断弁であって、反応室からガスを排出する配管の開放と遮断を制御する。真空用開閉弁1は、弁部2にアクチュエータ部3の駆動力を与えて弁開閉を行う。真空用開閉弁1の内部の構成は、本出願人が行った出願である上記特許文献2の発明と構成が同様であるため、ここでは説明を割愛する。
【0012】
<ヒータ取付の構成>
図1に示すように、真空用開閉弁1は、弁部2及びアクチュエータ部3により構成されている。弁部2の外面には弁本体4が露出している。弁本体4には、第1流路7及び第2流路8が形成されている。
バルブボディ4の側面のうち、第2流路8が形成された面以外の3面には、薄型のヒータ40、樹脂製の断熱材41、及び、取付板42が取付けられている。
ヒータ40は、本実施例においては例えば、ゲルマヒーター(日本ゲルマヒーター株式会社製、登録商標)を使用する。ゲルマヒーターは、厚み0.3mmの極薄の板状の形状で、半導体である発熱部を電気的絶縁性の有る樹脂フィルムで被覆したもので、かつ、柔軟性を有するため、バルブボディ4に凹凸がある場合には、凹凸の形状に沿うような形状に変形することができる。また、自己制御することができる。
また、ゲルマヒータの発熱は面発熱による。抵抗は高く一定であり、電流は小電流で一定であり、消費電力は少ない。伝熱効率は良く、90%以上である。温度特性として、自己制御性がある。また、構造の変化がないため寿命が長い。
【0013】
断熱材41は、本実施例においては例えば、シリコンスポンジやシリコンラバー等の弾性力及び断熱性を有する樹脂を用いる。断熱材41の大きさは、ヒータ40と同様か又はそれ以上の大きさである。
取付板42は、金属である。取付板42の大きさは、断熱材41と同様か又はそれ以上の大きさである。取付板42の四隅には、4つのネジ孔42Aが形成されている。ネジ孔42Aには、ネジ43が挿入され、取付板42をバルブボディ4に固定している。
【0014】
バルブボディ4にヒータ40を取り付けるため本実施例では、例えば以下の3つの手順によって取付ける。
第1に、バルブボディ4にヒータ40を貼り付ける。ヒータ40は、厚み0.3mmの薄板状のものであるため、バルブボディ4の側面に密着させることができる。
第2に、断熱材41をヒータ40の上に貼り付け、ヒータ40の上から断熱材41をバルブボディ4の方向に対して押圧する。
第3に、取付板42を断熱材41の上から固定する。具体的には、取付板42のネジ孔42Aにネジ43をはめ込む。ネジ43をはめ込むことにより、取付板42はバルブボディ2の方向へ押圧される。取付板42がバルブボディ4の方向へ押圧されると、断熱材41及びヒータ40をバルブボディ4へ押圧することができる。
断熱材41には、弾性力があるため、バルブボディ4の方向へ押圧されると、弾性力によりヒータ40をバルブボディ4の方向へ押圧することができる。ヒータ40は、厚み0.3mmと薄く、かつ、柔軟性を有するため、断熱材41の弾性力によりバルブボディ4に押圧され、ヒータ40とバルブボディ4の間の空気層がなくなるほど押圧することができる。そのため、図2に示すように、ヒータ40をバルブボディ4に密着させることができる。
【0015】
<ヒータ・断熱材・取付板の作用・効果>
真空用開閉弁1を加熱するのは、真空用開閉弁1の第1流路7、第2流路8、弁室5を流通するプロセスガスの生成物が、常温で析出しないようにするためである。プロセスガスが常温で生成物が析出し付着されると、第1流路7、第2流路8、弁室5等に付着し、真空開閉弁1の機密性を阻害したり、流路が絞られてしまうためである。
そのため、半導体製造工程で使用される真空用開閉弁1は、バルブボディ4をヒータ40により加熱することによって、プロセスガスと接触する部分の温度を高め生成物が付着することを防止している。
【0016】
本実施例においては、弾性力のある断熱材41を用いてヒータ40がバルブボディ4に密着して取付けられているため、ヒータ40が発生する熱を効率良くバルブボディ4に伝えることができる。そのため、省電力でバルブボディ4を加熱することができる。
したがって、プロセスガスの流体の温度を高め生成物の付着を防止することができる。
【0017】
また、本実施例においては、図5に示すように、真空用開閉弁1のバルブボディ4の側面に凹部4Aが形成されている場合であっても、ヒータ40は、厚みが0.3mmの薄板状の形状であり、かつ、柔軟性があるため、バルブボディ4の側面である凹部4Aに適合した形状にすることができる。バルブボディ4の側面である凹部4Aに適合した形状とすることにより、バルブボディ4とヒータ40との間の非接触部を小さくすることができる。したがって、バルブボディ4とヒータ40の接触面積が大きくなり伝熱効率が良くなり、ヒータ40の消費電力が少なくて済む。
なお、本実施例では、厚さ0.3mmの半導体ヒータを用いているが、厚さ1.0mmの場合、厚さ0.3mmのものよりも厚みはあるが、十分に柔軟性を確保することができるため、バルブボディ4の側面の凹凸に適合した形状にできる。なお、厚さ1.0mmとすると厚さ0.3mmと比べ厚みを有するため伝熱効率・発熱効率が悪くなるが、半導体ヒータの目標温度が低い場合には十分実用に耐えることを実験により確認している。
さらに、厚さ0.7mmであれば、1.0mmよりも柔軟性を有するため、厚さ1.0mmよりも容易にバルブボディ4の側面の凹凸に適合した形状にできる。また、0.5mmであれば、0.7mmよりも伝熱効率・発熱効率が良いため省エネになり効果的であることを実験により確認している。
【0018】
また、ヒータ40に対して、取付板42との間に弾性力のある断熱材41を挟み込むことで、断熱材41は、バルブボディ4に押圧され、ヒータ40ともども、バルブボディ4の側面の凹部4Aの形状に変形させることができる。ヒータ40はバルブボディ4に対して押圧されるため、凹部4Aとの間の空気層が押し出される。ヒータ40と凹部4Aの間に空気層がなくなると断熱する空気層がなくなるため、より伝熱効率がよくなる。
したがって、弾性力のある断熱材41を有することにより、ヒータ40を、バルブボディ4に適合した形状にすることができ、さらに、バルブボディ4とヒータ40の間に空気層がなくなるほどを密着させることができるため、バルブボディ4とヒータ40の接触面積が大きくなり伝熱効率が良くなる。
【0019】
また、断熱材41を有することにより、ヒータ40で生じた熱が取付板側へ伝わることを抑制しているため、大気への無駄な放熱を抑えて省エネとなり、また、取付板42の温度が下がることで安全側に働く。
【0020】
<真空用開閉弁の内部構成>
図3に示すように、弁部2は、「弁本体」に内蔵される。「弁本体」は、第1流路7と第2流路8との間に弁座9を設けた弁室5を形成するものであり、本実施形態では、バルブボディ4と第2閉鎖プレート20とパイプ部材28によって構成されている。第2流路8と弁室5の当接部に弁孔17が形成されている。弁孔17の外周には弁座9が形成されている。バルブボディ4は、剛性及び耐圧性を確保するためにステンレスや炭素鋼などの金属を材質とする。バルブボディ4は、第2閉鎖プレート20に塞がれて弁室5を形成するための中空部6を備える。中空部6には、バルブボディ4の側面に開口する第1流路7が連通すると共に、バルブボディ4の図中下面に開口する第2流路8が連通している。バルブボディ4は、第1流路7が中空部6に開口する開口部の周りに設けられた平坦面により弁座9が構成されている。弁座9には、弁体10が当接又は離間する。
【0021】
一方、アクチュエータ部3は、バルブボディ4に連結されるシリンダボディ18に内蔵される。シリンダボディ18は、耐圧性を確保するためにステンレスや炭素鋼などの金属を材質とする。シリンダボディ18は、上下に開口する筒状をなす。シリンダボディ18は、上側開口部が金属製の第1閉鎖プレート19に塞がれ、下側開口部が金属製の第2閉鎖プレート20に塞がれることによって、ピストン室21を形成している。
【0022】
ピストン室21は、シリンダボディ18に摺動可能に装填されたピストン22によって一次室21aと二次室21bに仕切られている。ピストン22は、耐圧性と剛性を確保するために金属を材質とし、ゴムや樹脂などの弾性材料からなるシール部材23が外周面に装着されている。そのため、ピストン室21は、ピストン22によって一次室21aと二次室21bとに気密に区画されている。一次室21aは、図示しない開口部を介して大気開放されている。二次室21bは、シリンダボディ18に開設されたオリフィス24を介して操作ポート25に連通している。第1実施形態では、オリフィス24は断面が円形状に形成されている。
【0023】
ピストン22の中心部には、図中下側から図中上側に金属製の出力軸26が貫き通されている。出力軸26は、ピストン22の図中上側に突き出した部分に金属製の固定ナット27を締め付けられてピストン22と一体化されている。尚、第1実施形態では、固定ナット27は出力軸26の一部を構成するものとする。出力軸26は、第2閉鎖プレート20とパイプ部材28に摺動自在に挿通され、先端部が弁室5内に突き出している。
【0024】
パイプ部材28は、弁体10の全開位置を決めるように弁室5内に下端部が配置されている。出力軸26は、パイプ部材28の下端部から進退可能に突出し、先端部が弁体10の中心部に貫き通されて取付ナット29を締め付けられ、弁体10と一体化されている。よって、ピストン22と弁体10とは、出力軸26を介して一体化され、一体的に直線往復運動する。
【0025】
弁体10とパイプ部材28との間には、復帰ばね30が縮設され、弁体10を弁座9側に向かって押し下げている。この押圧力によって、弁体10がOリング13を押し潰すように弁座9に押し付けられ、シール力を発生する。復帰ばね30の弾性力は、弁体10から出力軸26を介してピストン22へ伝達され、ピストン22に図中下向きの力を与える。
【0026】
出力軸26とパイプ部材28と復帰ばね30は、ベローズ31によって覆われ、摺動部等から発生するパーティクルが弁室5内に漏れないようにしている。ベローズ31は、ステンレス等の金属を材質とし、弁室5内に伸縮自在に配設されている。ベローズ31は、上端部が環状の保持部材32に溶接され、その保持部材32をバルブボディ4とシリンダボディ18とに嵌め合わせることによってバルブボディ4及びシリンダボディ18に対して位置決めされている。ベローズ31の下端部は、復帰ばね30の外側において固定プレート11に溶接されている。
【0027】
<真空用開閉弁の作用・効果>
上記構成を有する真空用開閉弁1は、例えば、第2流路8が真空ポンプに接続され、第1流路7が真空容器に接続される。そして、操作ポート25に図示しない操作流体制御装置が接続される。
操作ポート25に操作流体を供給しないときには、図3に示すように、復帰ばね30の弾性力によって弁体10が弁座9に当接し、第1流路7と第2流路8との間を遮断する。そのため、第1流路7から第2流路8へと流体が流れない。よって、真空容器は真空引きされない。
【0028】
操作ポート25に操作流体を供給し、二次室21bの内圧が復帰ばね30の弾性力に打ち勝つと、図4に示すように、ピストン22が図中上向きに移動して弁体10を弁座9から離間させ、全開位置まで移動させる。これにより、第1流路7と第2流路8とが連通し、第1流路7から第2流路8へ流体が流れる。よって、真空容器は真空ポンプのポンプ動作によって真空引きされる。
その後、二次室21bの操作流体を排気し、復帰ばね30の弾性力が二次室21bの内圧に打ち勝つと、弁体10が復帰バネ30に付勢されて下降し、図3に示すように弁座9に当接する。そのため、第1流路7と第2流路8との間が再び遮断され、流体が流れなくなる。よって、真空容器は真空引きされなくなる。
【0029】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る真空用開閉弁1Bを図6及び図7に記載する。真空用開閉弁1Bは、第1実施形態と比較して取付板の形状を除いて、第1実施形態の真空用開閉弁1と相違するところがないため、取付板を除いて説明を割愛する。
図6及び図7に、取付板端部に折り返されている折返し端部を有する折返し取付板52を示す。折り返された端部を、折返し端部521とする。
図6に示すように、折返し取付板52は、折返し端部521の長さを調整することで、バルブボディ4と折返し取付板52との隙間高さXを調整することができ、折返し取付板52の押さえつけ力を調整することができる。折返し端部521の高さを両端で変えることにより、ネジ43で固定する際の押圧力が変わる。したがって、折返し取付板52の押圧力を場所により変化させることにより、ヒータ40とバルブボディ4との密着度合いを変化させることができ、生成物が析出し付着しやすい弁座9付近の密着度を他の部分よりも密にすることにより、弁座9付近の温度を上げることができる。
また、図7に示すように、折返し端部521が同じ長さであれば、折返し取付板52をネジ43で固定する際にかかる荷重が同じとなり、ヒータ40をバルブボディ4に均等な力で接触させることができる。
【0030】
また、折返し端部521の長さを端部ごとに変えることで、断熱材41の押圧力を場所により変化させることができ、ヒータ40とバルブボディ4との密着度合いを変化させ、生成物が析出し付着しやすい弁座9付近等の温度を上げることができる。
【0031】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る真空用開閉弁1Cを図8に記載する。真空用開閉弁1Cは、第1実施形態と比較して取付板の形状を除いて、第1実施形態の真空用開閉弁1と相違するところがないため、取付板を除いて説明を割愛する。
図8に示すように、取付板をL字形状とするL字取付板62を示す。L字取付板62は、取付板の一端を折り返してL字形状としたものである。折り返された端部を、折返し端部621とする。折返しのない端部を他端部622とする。
【0032】
図8に示すように、L字取付板62は、L字形状とすることで、ヒータ40を強くバルブボディ4に押し付け熱を伝えたい部分と、ヒータ40を弱くバルブボディ4に押し付け熱を伝えたくない部分とに対して、押圧力を換え、熱の伝導に強弱を付けることができる。
すなわち、真空用開閉弁1Cにおいては、プロセスガスの生成物が、析出し付着し易い弁座9付近を高温にしたい。弁座9付近は第2流路8がヒータ40と当接しておらず、さらに、外気に触れている部分であるため温度が下がりやすいからである。
そこで、L字取付板62のうちヒータ40を寄り近くで押圧することができる他端部622を弁座9付近にもってくる。他端部622は、折返し端部がなくヒータ40に近いため、ネジ43で固定する際にその押圧力が伝わりやすい。したがって、ヒータ40をバルブボディ4に対して強く押圧することができるため、弁座9付近の温度を上げることができる。
【0033】
それに対して、L字取付板62の折返し端部621側は、折返し端部621が存在するためL字取付板62とヒータ40が他端部622と比べ遠い。したがって、L字取付板62の押圧力が直接ヒータ40に掛からないため、他端部622側よりも押圧力が弱くなる。よって、弁座9付近を他端部622側と比べると直接温度を上げることができない。
したがって、L字取付板62の押圧力を場所により変化させることにより、ヒータ40とバルブボディ4との密着度合いを変化させることができ、生成物が析出し付着しやすい弁座9付近の密着度を他の部分よりも密にすることにより、弁座9付近の温度を上げることができる。
【0034】
なお、図8においては、他端部622側には折返し端部を設けなかったが、図9に示すように、他端部622側に、折返し端部621よりも高さの低い折返し端部623を設けることによっても、上述した図8のL字取付板62と同様の効果を得ることができる。
【0035】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る真空用開閉弁1Dを図10乃至図13に記載する。真空用開閉弁1Dは、第1実施形態と比較して取付板の形状及び断熱材の形状を除いて、第1実施形態の真空用開閉弁1と相違するところがないため、取付板を除いて説明を割愛する。
図11に示すように、取付板をコの字形状とするコの字取付板72を示す。また、図12に示すように、コの字取付板72の開口部721は内側に細くなっている。コの字取付板72には、ネジ孔計8個形成されている。
断熱材をコの字形状とするコの字断熱材71とする。
【0036】
図12に示すように、第1にバルブボディ4にコの字断熱材71を取付ける。第2にコの字取付板72をコの字断熱材71の上から取付ける。コの字取付板72は、開口部721が内側に細くなっているため、取り付ける際には板材を拡げてコの字断熱材71に取り付ける。コの字取付板72は開口部721の板材を拡げるため、図13に示すように反力Yが生じ、その反力Yでコの字断熱材71をバルブボディ4に押し付け、さらに、反力Yによりコの字断熱材71がヒータ40をバルブボディ4に押し付けることができる。したがって、コの字取付板72が開口部が内側に細くなっているコの字形状をしていることにより、取付の際に反力を生じさせ、ヒータ40をバルブボディ4により密着させることができる。
また、第1実施例に係る取付板42では、バルブボディ4に取付ける際には、計12個のネジ43を必要とするのに対して、コの字取付板72をバルブボディ4に取付ける際には、ネジ43を計8個使用するだけでよいため、取付に際するコストの削減を図ることができる。
【0037】
(第5実施形態)
第5実施形態に係る真空用開閉弁1Eを図14及び図15に記載する。真空用開閉弁1Eは、第1実施形態と比較して取付板の上方に取り付けられた遮蔽板に関係するものを除いて、第1実施形態の真空用開閉弁1と相違するところがないため、遮蔽板に関係するものを除いて他の説明を割愛する。
図14に示すように、真空用開閉弁1Eは、バルブボディ4、ヒータ40、断熱材41、取付板42、取付ネジ86、遮蔽板85、ネジ83を有する。
図15に示すように、取付ネジ86は、ボルト形状であるネジ頭86A及びネジ部86Bを有する。ネジ頭86Aの中心部には、雌ネジ861Aが形成されている。
遮蔽板85は、取付板82と同程度の大きさである。
【0038】
バルブボディ4にヒータ40、断熱材41、取付板42を取付けるまでは、第1実施形態と同様である。取付板42を取付ける際には、取付ネジ86を使用する。取付ネジ86を取付けた後、取付ネジ86のネジ頭86Aに遮蔽板85を取付け、ネジ83により固定する。ネジ頭86Aには、雌ネジ861Aが形成されているため、ネジ83をネジ頭86Aに固定することができる。ネジ頭86Aに遮蔽板85を固定すると、遮蔽板85と取付板42との間には、ネジ頭86Aの高さ分だけ空間が形成される。ネジ頭86Aの高さ空間をもたせることで、取付板42の熱が直接遮蔽板85には伝わらず、伝熱は放射熱のみになるため、製品外面の遮蔽板85の表面温度を下げることができ、作業者が取付板42に触れて火傷することを防ぐことができる。
また、ネジ頭86Aの高さ空間には、空気層が存在する。空気層は断熱材の役割を果たすため、外側(遮蔽板85側)へ伝わるよりも内側(バルブボディ4側)へ熱が伝わりやすくなる。空気層には、熱がこもるため保温効果を得ることができる。
【0039】
また、遮蔽板85は、バルブボディ4に取付けられた取付板42の上方のみに形成される。加熱したい部分は、バルブボディ4のところのみであり、アクチュエータ3は、放熱した部分である。したがって、加熱したいところのみ遮蔽板85で覆うことで、その空間に熱がこもり保温効果をあげることができる。また、放熱させたい部分には、遮蔽板85がないため、クリーンルームのダウンフローなどによって熱が奪われる。
【0040】
(第6実施形態)
第6実施形態に係る真空用開閉弁1Fを図16及び図17に記載する。真空用開閉弁1Fは、第1実施形態と比較して取付板の上に断熱材が取付けられていること形状及び断熱材の形状を除いて、第1実施形態の真空用開閉弁1と相違するところがないため、取付板の上に断熱材が取付けられていることを除いて説明を割愛する。
図16及び図17に示すように、真空用開閉弁1Fは、バルブボディ4、ヒータ40、断熱材41、断熱材付取付板92、取付ネジ93を有する。
断熱材付取付板92は、断熱材部92A及び取付板部92Bを有する。断熱材部92A及び取付板部92Bには、取付孔92Cが形成されている。
【0041】
バルブボディ4にヒータ40、断熱材41を取付けるまでは、第1実施形態と同様である。断熱材41の上には、断熱材付取付板92を取付ける。ネジ93を断熱材取付板92の取付孔92Cに挿入し、バルブボディ4に取付られることにより固定する。
真空用開閉弁1Fは、断熱材部92A、及び、断熱材41との2重の断熱材を有する。また、断熱材部92Aと断熱材41は、取付板部92Bを挟んでいる。したがって、ヒータ40から生じた熱は、断熱材41を有するため取付板部92Bには直接伝わらない。また、断熱材部92Aが外面に取付けられているため、取付板部92Bに伝わった熱は、外面には直接伝わらない。したがって、製品外面の表面温度を下げることができ、作業者が使用する時の安全性を向上させることができる。
【0042】
尚、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で色々な応用が可能である。
例えば、本実施例においては、断熱材を使用することとしたが、断熱材を用いずヒータを取付板のみで取り付けることもできる。
【符号の説明】
【0043】
1、1B、1C、1D、1E、1F 真空用開閉弁
2 弁部
3 アクチュエータ部
4 バルブボディ
7 第1流路
8 第2流路
9 弁座
10 弁体
40、70 ヒータ
41、71 断熱材
42 取付板
52 折返し取付板
62 L字取付板
72 コの字取付板
85 遮蔽板
92 断熱材付取付板
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造工程でプロセスガスが流れる流路の途中に設けられ、その流路を開閉する真空用開閉弁に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体工程で使用する加熱流体の中には、温度低下により気体から液体又は固体へ変質し生成物として析出するものがある。生成物が析出し内部に付着すると弁の機密性を阻害したり、流路が絞られてしまうため問題となる。
そこで、バルブボディをヒータにより加熱することによって、プロセスガスと接触する部分の温度を高め生成物が付着することを防止している。
【0003】
従来、この種の技術として、下記に記載する特許文献1に係る発明がある。図19に、特許文献1に係る真空用開閉弁100の一部断面図を示す。
真空用開閉弁100は、バルブボディ101、加熱機構102を有する。加熱機構102は、金属で厚みのあるヒータである焼結体PTCヒータをアルミケースで覆ったものである。加熱機構102は、バルブボディ101の平面101Aに取り付けられている。
【0004】
加熱機構102により加熱することにより、バルブボディ101は加熱される。それにより、プロセスガスと接する真空用開閉弁100内の弁室、弁座等が暖められ、プロセスガスが常温になることを防止し、生成物の付着を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−349468号公報
【特許文献2】特開2008−121859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、真空用開閉弁100には、以下の問題があった。
すなわち、加熱機構PTCヒータは金属で厚みがあるため柔軟性がない。そのため、図19には示さないが、バルブボディ101の表面に、例えば図5に示すように凹部4Aが必要で形成されている場合、加熱機構102と凹部4Aは接触しない。接触しない(接触面積が小さい)と、加熱機構102が直接凹部4Aを加熱することができないため温度が低くなるため問題となる。また、加熱機構102と接触しない(接触面積が小さい)と、伝熱効率が悪くなり、消費電力も増加するため問題となる。
さらに、特許文献2の図18に示す真空用開閉弁200においては、特許文献1の加熱機構102をバルブボディ204の外壁に用いたとしても、バルブボディ201の内で暖める場所である弁座209が暖まりにくいため問題となる。なぜなら、弁座209は、外気に触れる第2流路208が当接しており、弁座209は冷えやすいからである。また、弁座209は外壁部から離れた所に形成されているため、外壁部に用いられる加熱機構102の熱が直接伝わりにくいからである。さらに、弁座209は、プロセスガスが弁体210により堰き止められる場所であるため、特に生成物が付着しやすいため問題となる。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的はバルブボディの外壁面に半導体ヒータを密着させることで、接触面積を大きくする真空用開閉弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る真空用開閉弁は以下の構成を有する。
(1)第1流路と第2流路とを連通する弁孔を有するバルブボディと、弁孔の外周に形成された弁座と当接又は離間する弁体と、弁体を駆動する駆動手段と、バルブボディの外壁面に設けられたヒータと、ヒータをバルブボディの外壁面に押圧する取付板と、ヒータと取付板の間に断熱材を有する真空用開閉弁において、ヒータは、薄板状で柔軟性のある半導体ヒータであること、を特徴とすることにある。
(2)(1)に記載する真空用開閉弁において、前記半導体ヒータは、厚みが1.0mm以下であること、を特徴とすることにある。
(3)(1)に記載する真空用開閉弁において、断熱材は弾性力を有する弾性断熱材であること、弾性断熱材により半導体ヒータを前記バルブボディの外周面に密着させること、を特徴とすることにある。
(4)(3)に記載する真空用開閉弁において、取付板は端部に折り返されている折返し端部を有する折返し取付板であること、を特徴とすることにある。
(5)(4)に記載する真空用開閉弁において、折返し端部が同じ高さであること、折返し端部がバルブボディに接触することにより、弾性断熱材を均一に押圧することができ、半導体ヒータとバルブボディとの密着度合いを均一にすること、を特徴とすることにある。
(6)(4)に記載する真空用開閉弁において、折返し端部が取付板の一端に形成されていること、又は、折返し端部が取付板の両端に形成され、両端の折返し端部の高さが異なること、を特徴とすることにある。
(7)(4)又は(6)に記載する真空用開閉弁において、取付板が、弾性断熱材の押圧力を場所により変化させることにより、半導体ヒータとバルブボディとの密着度合いを変化させること、を特徴とすることにある。
(8)(3)に記載する真空用開閉弁において、取付板が、コの字形状をしているコの字取付板であること、取付前の状態においては、コの字取付板の開口部が内側に細くなっていること、コの字取付板の開口部を拡げた後に戻る反力により、弾性断熱材を押し付け、半導体ヒータとバルブボディを密着させること、を特徴とすることにある。
(9)(4)乃至(8)に記載するいずれか一つの真空用開閉弁において、遮蔽板を有すること、を特徴とすることにある。
【発明の効果】
【0009】
上記真空用開閉弁の作用及び効果について説明する。
(1)第1流路と第2流路とを連通する弁孔を有するバルブボディと、弁孔の外周に形成された弁座と当接又は離間する弁体と、弁体を駆動する駆動手段と、バルブボディの外壁面に設けられたヒータと、ヒータをバルブボディの外壁面に押圧する取付板と、ヒータと取付板の間に断熱材を有する真空用開閉弁において、ヒータは、薄板状で柔軟性のある半導体ヒータであることにより、バルブボディの外壁面に凹凸があったとしても半導体ヒータを密着させることができる。それにより、ヒータとバルブボディの接触面積が大きくなり伝熱効率が良くなり、ヒータの消費電力も少なくて済む。
(2)前記半導体ヒータは、厚みが1.0mm以下であることにより、半導体ヒータを薄板状で、かつ、柔軟性のあるものとすることができる。それにより、バルブボディの外壁面に凹凸があったとしても半導体ヒータを変形させバルブボディに密着させる形状とすることができる。
(3)断熱材は弾性力を有する弾性断熱材であること、弾性断熱材により半導体ヒータを前記バルブボディの外周面に密着させることにより、バルブボディに凹凸があったとしても、断熱材がバルブボディの凹凸形状に変形し、半導体ヒータも同様にバルブボディの凹凸形状に変形させることができる。それにより、大きな接触面積で密着させることができる。
(4)取付板は端部に折り返されている折返し端部を有する折返し取付板であることにより、取付板で弾性断熱材を押圧するとき、弾性断熱材への押圧力は折返し端部の高さで調整することができ、それにより、半導体ヒータとバルブボディとの密着度合を調節することができる。そして、密着度合いによりバルブボディの温度を調節することができる。
(5)折返し端部が同じ高さであること、折返し端部がバルブボディに接触することにより、弾性断熱材を均一に押圧することができ、半導体ヒータとバルブボディとの密着度合いを均一にすることができる。
(6)折返し端部が取付板の一端に形成されていること、又は、折返し端部が取付板の両端に形成され、両端の折返し端部の高さが異なることにより、弾性断熱材への押圧力を場所により変化させることができる。押圧力を変化させることにより、例えば、生成物が析出しやすい弁座付近の押圧力を高め、弁座付近を高温にすることができる。
(7)取付板が、弾性断熱材の押圧力を場所により変化させることにより、半導体ヒータとバルブボディとの密着度合いを変化させることができる。例えば、生成物が析出しやすい弁座付近等の密着度合いを他の部分よりも密にすることにより、弁座付近の温度を上げることができる。
(8)取付板が、コの字形状をしているコの字取付板であること、取付前の状態においては、コの字取付板の開口部が内側に細くなっていること、コの字取付板の開口部を拡げた後に戻る反力により、弾性断熱材を押し付け、半導体ヒータとバルブボディを密着させることができる。
(9)遮蔽板を有することにより、高温の取付板に作業者が触れて火傷することを防ぐことができる。また、取付板への気流が直接当たることを防ぐため、大気への放熱による温度低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態に係る真空用開閉弁1の正面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る図1に示す真空用開閉弁1のAA断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る図2に示す真空用開閉弁1(閉弁時)のLL断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る図2に示す真空用開閉弁1(開弁時)のLL断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る真空用開閉弁1のバルブボディ4の側面に凹部4Aが形成された一部上面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る真空用開閉弁1B(取付板52取付前)の一部上面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る真空用開閉弁1B(取付板52取付後)の一部上面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る真空用開閉弁1Cの正面断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る真空用開閉弁1Cの変更例に係る正面断面図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係る真空用開閉弁1Dの正面図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係る真空用開閉弁1DのBB断面図である。
【図12】本発明の第4実施形態に係る真空用開閉弁1Dの組立図である。
【図13】本発明の第4実施形態に係る真空用開閉弁1Dに掛かる反力Yを示した図である。
【図14】本発明の第5実施形態に係る真空用開閉弁1Eの正面図である。
【図15】本発明の第5実施形態に係る真空用開閉弁1EのCC断面図である。
【図16】本発明の第6実施形態に係る真空用開閉弁1Fの正面図である。
【図17】本発明の第6実施形態に係る真空用開閉弁1FのDD断面図である。
【図18】従来技術である真空用開閉弁200の正面断面図である。
【図19】従来技術である真空用開閉弁100の一部上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明に係る真空用開閉弁の一実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1に真空用開閉弁1の正面図を示す。図2に、図1の真空用開閉弁1のAA断面図を示す。図3は、第1実施形態に係る図2に示す真空用開閉弁1(閉弁時)のLL断面図を示す。図4は、第1実施形態に係る図2に示す真空用開閉弁1(開弁時)のLL断面図を示す。図3及び図4に示す真空用開閉弁1は、従来技術と同様、半導体製造装置に設けられた反応室と真空ポンプとの間に配置される。
真空用開閉弁1は、ベローズ31を伸縮させながら弁開閉を行うON−OFF式遮断弁であって、反応室からガスを排出する配管の開放と遮断を制御する。真空用開閉弁1は、弁部2にアクチュエータ部3の駆動力を与えて弁開閉を行う。真空用開閉弁1の内部の構成は、本出願人が行った出願である上記特許文献2の発明と構成が同様であるため、ここでは説明を割愛する。
【0012】
<ヒータ取付の構成>
図1に示すように、真空用開閉弁1は、弁部2及びアクチュエータ部3により構成されている。弁部2の外面には弁本体4が露出している。弁本体4には、第1流路7及び第2流路8が形成されている。
バルブボディ4の側面のうち、第2流路8が形成された面以外の3面には、薄型のヒータ40、樹脂製の断熱材41、及び、取付板42が取付けられている。
ヒータ40は、本実施例においては例えば、ゲルマヒーター(日本ゲルマヒーター株式会社製、登録商標)を使用する。ゲルマヒーターは、厚み0.3mmの極薄の板状の形状で、半導体である発熱部を電気的絶縁性の有る樹脂フィルムで被覆したもので、かつ、柔軟性を有するため、バルブボディ4に凹凸がある場合には、凹凸の形状に沿うような形状に変形することができる。また、自己制御することができる。
また、ゲルマヒータの発熱は面発熱による。抵抗は高く一定であり、電流は小電流で一定であり、消費電力は少ない。伝熱効率は良く、90%以上である。温度特性として、自己制御性がある。また、構造の変化がないため寿命が長い。
【0013】
断熱材41は、本実施例においては例えば、シリコンスポンジやシリコンラバー等の弾性力及び断熱性を有する樹脂を用いる。断熱材41の大きさは、ヒータ40と同様か又はそれ以上の大きさである。
取付板42は、金属である。取付板42の大きさは、断熱材41と同様か又はそれ以上の大きさである。取付板42の四隅には、4つのネジ孔42Aが形成されている。ネジ孔42Aには、ネジ43が挿入され、取付板42をバルブボディ4に固定している。
【0014】
バルブボディ4にヒータ40を取り付けるため本実施例では、例えば以下の3つの手順によって取付ける。
第1に、バルブボディ4にヒータ40を貼り付ける。ヒータ40は、厚み0.3mmの薄板状のものであるため、バルブボディ4の側面に密着させることができる。
第2に、断熱材41をヒータ40の上に貼り付け、ヒータ40の上から断熱材41をバルブボディ4の方向に対して押圧する。
第3に、取付板42を断熱材41の上から固定する。具体的には、取付板42のネジ孔42Aにネジ43をはめ込む。ネジ43をはめ込むことにより、取付板42はバルブボディ2の方向へ押圧される。取付板42がバルブボディ4の方向へ押圧されると、断熱材41及びヒータ40をバルブボディ4へ押圧することができる。
断熱材41には、弾性力があるため、バルブボディ4の方向へ押圧されると、弾性力によりヒータ40をバルブボディ4の方向へ押圧することができる。ヒータ40は、厚み0.3mmと薄く、かつ、柔軟性を有するため、断熱材41の弾性力によりバルブボディ4に押圧され、ヒータ40とバルブボディ4の間の空気層がなくなるほど押圧することができる。そのため、図2に示すように、ヒータ40をバルブボディ4に密着させることができる。
【0015】
<ヒータ・断熱材・取付板の作用・効果>
真空用開閉弁1を加熱するのは、真空用開閉弁1の第1流路7、第2流路8、弁室5を流通するプロセスガスの生成物が、常温で析出しないようにするためである。プロセスガスが常温で生成物が析出し付着されると、第1流路7、第2流路8、弁室5等に付着し、真空開閉弁1の機密性を阻害したり、流路が絞られてしまうためである。
そのため、半導体製造工程で使用される真空用開閉弁1は、バルブボディ4をヒータ40により加熱することによって、プロセスガスと接触する部分の温度を高め生成物が付着することを防止している。
【0016】
本実施例においては、弾性力のある断熱材41を用いてヒータ40がバルブボディ4に密着して取付けられているため、ヒータ40が発生する熱を効率良くバルブボディ4に伝えることができる。そのため、省電力でバルブボディ4を加熱することができる。
したがって、プロセスガスの流体の温度を高め生成物の付着を防止することができる。
【0017】
また、本実施例においては、図5に示すように、真空用開閉弁1のバルブボディ4の側面に凹部4Aが形成されている場合であっても、ヒータ40は、厚みが0.3mmの薄板状の形状であり、かつ、柔軟性があるため、バルブボディ4の側面である凹部4Aに適合した形状にすることができる。バルブボディ4の側面である凹部4Aに適合した形状とすることにより、バルブボディ4とヒータ40との間の非接触部を小さくすることができる。したがって、バルブボディ4とヒータ40の接触面積が大きくなり伝熱効率が良くなり、ヒータ40の消費電力が少なくて済む。
なお、本実施例では、厚さ0.3mmの半導体ヒータを用いているが、厚さ1.0mmの場合、厚さ0.3mmのものよりも厚みはあるが、十分に柔軟性を確保することができるため、バルブボディ4の側面の凹凸に適合した形状にできる。なお、厚さ1.0mmとすると厚さ0.3mmと比べ厚みを有するため伝熱効率・発熱効率が悪くなるが、半導体ヒータの目標温度が低い場合には十分実用に耐えることを実験により確認している。
さらに、厚さ0.7mmであれば、1.0mmよりも柔軟性を有するため、厚さ1.0mmよりも容易にバルブボディ4の側面の凹凸に適合した形状にできる。また、0.5mmであれば、0.7mmよりも伝熱効率・発熱効率が良いため省エネになり効果的であることを実験により確認している。
【0018】
また、ヒータ40に対して、取付板42との間に弾性力のある断熱材41を挟み込むことで、断熱材41は、バルブボディ4に押圧され、ヒータ40ともども、バルブボディ4の側面の凹部4Aの形状に変形させることができる。ヒータ40はバルブボディ4に対して押圧されるため、凹部4Aとの間の空気層が押し出される。ヒータ40と凹部4Aの間に空気層がなくなると断熱する空気層がなくなるため、より伝熱効率がよくなる。
したがって、弾性力のある断熱材41を有することにより、ヒータ40を、バルブボディ4に適合した形状にすることができ、さらに、バルブボディ4とヒータ40の間に空気層がなくなるほどを密着させることができるため、バルブボディ4とヒータ40の接触面積が大きくなり伝熱効率が良くなる。
【0019】
また、断熱材41を有することにより、ヒータ40で生じた熱が取付板側へ伝わることを抑制しているため、大気への無駄な放熱を抑えて省エネとなり、また、取付板42の温度が下がることで安全側に働く。
【0020】
<真空用開閉弁の内部構成>
図3に示すように、弁部2は、「弁本体」に内蔵される。「弁本体」は、第1流路7と第2流路8との間に弁座9を設けた弁室5を形成するものであり、本実施形態では、バルブボディ4と第2閉鎖プレート20とパイプ部材28によって構成されている。第2流路8と弁室5の当接部に弁孔17が形成されている。弁孔17の外周には弁座9が形成されている。バルブボディ4は、剛性及び耐圧性を確保するためにステンレスや炭素鋼などの金属を材質とする。バルブボディ4は、第2閉鎖プレート20に塞がれて弁室5を形成するための中空部6を備える。中空部6には、バルブボディ4の側面に開口する第1流路7が連通すると共に、バルブボディ4の図中下面に開口する第2流路8が連通している。バルブボディ4は、第1流路7が中空部6に開口する開口部の周りに設けられた平坦面により弁座9が構成されている。弁座9には、弁体10が当接又は離間する。
【0021】
一方、アクチュエータ部3は、バルブボディ4に連結されるシリンダボディ18に内蔵される。シリンダボディ18は、耐圧性を確保するためにステンレスや炭素鋼などの金属を材質とする。シリンダボディ18は、上下に開口する筒状をなす。シリンダボディ18は、上側開口部が金属製の第1閉鎖プレート19に塞がれ、下側開口部が金属製の第2閉鎖プレート20に塞がれることによって、ピストン室21を形成している。
【0022】
ピストン室21は、シリンダボディ18に摺動可能に装填されたピストン22によって一次室21aと二次室21bに仕切られている。ピストン22は、耐圧性と剛性を確保するために金属を材質とし、ゴムや樹脂などの弾性材料からなるシール部材23が外周面に装着されている。そのため、ピストン室21は、ピストン22によって一次室21aと二次室21bとに気密に区画されている。一次室21aは、図示しない開口部を介して大気開放されている。二次室21bは、シリンダボディ18に開設されたオリフィス24を介して操作ポート25に連通している。第1実施形態では、オリフィス24は断面が円形状に形成されている。
【0023】
ピストン22の中心部には、図中下側から図中上側に金属製の出力軸26が貫き通されている。出力軸26は、ピストン22の図中上側に突き出した部分に金属製の固定ナット27を締め付けられてピストン22と一体化されている。尚、第1実施形態では、固定ナット27は出力軸26の一部を構成するものとする。出力軸26は、第2閉鎖プレート20とパイプ部材28に摺動自在に挿通され、先端部が弁室5内に突き出している。
【0024】
パイプ部材28は、弁体10の全開位置を決めるように弁室5内に下端部が配置されている。出力軸26は、パイプ部材28の下端部から進退可能に突出し、先端部が弁体10の中心部に貫き通されて取付ナット29を締め付けられ、弁体10と一体化されている。よって、ピストン22と弁体10とは、出力軸26を介して一体化され、一体的に直線往復運動する。
【0025】
弁体10とパイプ部材28との間には、復帰ばね30が縮設され、弁体10を弁座9側に向かって押し下げている。この押圧力によって、弁体10がOリング13を押し潰すように弁座9に押し付けられ、シール力を発生する。復帰ばね30の弾性力は、弁体10から出力軸26を介してピストン22へ伝達され、ピストン22に図中下向きの力を与える。
【0026】
出力軸26とパイプ部材28と復帰ばね30は、ベローズ31によって覆われ、摺動部等から発生するパーティクルが弁室5内に漏れないようにしている。ベローズ31は、ステンレス等の金属を材質とし、弁室5内に伸縮自在に配設されている。ベローズ31は、上端部が環状の保持部材32に溶接され、その保持部材32をバルブボディ4とシリンダボディ18とに嵌め合わせることによってバルブボディ4及びシリンダボディ18に対して位置決めされている。ベローズ31の下端部は、復帰ばね30の外側において固定プレート11に溶接されている。
【0027】
<真空用開閉弁の作用・効果>
上記構成を有する真空用開閉弁1は、例えば、第2流路8が真空ポンプに接続され、第1流路7が真空容器に接続される。そして、操作ポート25に図示しない操作流体制御装置が接続される。
操作ポート25に操作流体を供給しないときには、図3に示すように、復帰ばね30の弾性力によって弁体10が弁座9に当接し、第1流路7と第2流路8との間を遮断する。そのため、第1流路7から第2流路8へと流体が流れない。よって、真空容器は真空引きされない。
【0028】
操作ポート25に操作流体を供給し、二次室21bの内圧が復帰ばね30の弾性力に打ち勝つと、図4に示すように、ピストン22が図中上向きに移動して弁体10を弁座9から離間させ、全開位置まで移動させる。これにより、第1流路7と第2流路8とが連通し、第1流路7から第2流路8へ流体が流れる。よって、真空容器は真空ポンプのポンプ動作によって真空引きされる。
その後、二次室21bの操作流体を排気し、復帰ばね30の弾性力が二次室21bの内圧に打ち勝つと、弁体10が復帰バネ30に付勢されて下降し、図3に示すように弁座9に当接する。そのため、第1流路7と第2流路8との間が再び遮断され、流体が流れなくなる。よって、真空容器は真空引きされなくなる。
【0029】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る真空用開閉弁1Bを図6及び図7に記載する。真空用開閉弁1Bは、第1実施形態と比較して取付板の形状を除いて、第1実施形態の真空用開閉弁1と相違するところがないため、取付板を除いて説明を割愛する。
図6及び図7に、取付板端部に折り返されている折返し端部を有する折返し取付板52を示す。折り返された端部を、折返し端部521とする。
図6に示すように、折返し取付板52は、折返し端部521の長さを調整することで、バルブボディ4と折返し取付板52との隙間高さXを調整することができ、折返し取付板52の押さえつけ力を調整することができる。折返し端部521の高さを両端で変えることにより、ネジ43で固定する際の押圧力が変わる。したがって、折返し取付板52の押圧力を場所により変化させることにより、ヒータ40とバルブボディ4との密着度合いを変化させることができ、生成物が析出し付着しやすい弁座9付近の密着度を他の部分よりも密にすることにより、弁座9付近の温度を上げることができる。
また、図7に示すように、折返し端部521が同じ長さであれば、折返し取付板52をネジ43で固定する際にかかる荷重が同じとなり、ヒータ40をバルブボディ4に均等な力で接触させることができる。
【0030】
また、折返し端部521の長さを端部ごとに変えることで、断熱材41の押圧力を場所により変化させることができ、ヒータ40とバルブボディ4との密着度合いを変化させ、生成物が析出し付着しやすい弁座9付近等の温度を上げることができる。
【0031】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る真空用開閉弁1Cを図8に記載する。真空用開閉弁1Cは、第1実施形態と比較して取付板の形状を除いて、第1実施形態の真空用開閉弁1と相違するところがないため、取付板を除いて説明を割愛する。
図8に示すように、取付板をL字形状とするL字取付板62を示す。L字取付板62は、取付板の一端を折り返してL字形状としたものである。折り返された端部を、折返し端部621とする。折返しのない端部を他端部622とする。
【0032】
図8に示すように、L字取付板62は、L字形状とすることで、ヒータ40を強くバルブボディ4に押し付け熱を伝えたい部分と、ヒータ40を弱くバルブボディ4に押し付け熱を伝えたくない部分とに対して、押圧力を換え、熱の伝導に強弱を付けることができる。
すなわち、真空用開閉弁1Cにおいては、プロセスガスの生成物が、析出し付着し易い弁座9付近を高温にしたい。弁座9付近は第2流路8がヒータ40と当接しておらず、さらに、外気に触れている部分であるため温度が下がりやすいからである。
そこで、L字取付板62のうちヒータ40を寄り近くで押圧することができる他端部622を弁座9付近にもってくる。他端部622は、折返し端部がなくヒータ40に近いため、ネジ43で固定する際にその押圧力が伝わりやすい。したがって、ヒータ40をバルブボディ4に対して強く押圧することができるため、弁座9付近の温度を上げることができる。
【0033】
それに対して、L字取付板62の折返し端部621側は、折返し端部621が存在するためL字取付板62とヒータ40が他端部622と比べ遠い。したがって、L字取付板62の押圧力が直接ヒータ40に掛からないため、他端部622側よりも押圧力が弱くなる。よって、弁座9付近を他端部622側と比べると直接温度を上げることができない。
したがって、L字取付板62の押圧力を場所により変化させることにより、ヒータ40とバルブボディ4との密着度合いを変化させることができ、生成物が析出し付着しやすい弁座9付近の密着度を他の部分よりも密にすることにより、弁座9付近の温度を上げることができる。
【0034】
なお、図8においては、他端部622側には折返し端部を設けなかったが、図9に示すように、他端部622側に、折返し端部621よりも高さの低い折返し端部623を設けることによっても、上述した図8のL字取付板62と同様の効果を得ることができる。
【0035】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る真空用開閉弁1Dを図10乃至図13に記載する。真空用開閉弁1Dは、第1実施形態と比較して取付板の形状及び断熱材の形状を除いて、第1実施形態の真空用開閉弁1と相違するところがないため、取付板を除いて説明を割愛する。
図11に示すように、取付板をコの字形状とするコの字取付板72を示す。また、図12に示すように、コの字取付板72の開口部721は内側に細くなっている。コの字取付板72には、ネジ孔計8個形成されている。
断熱材をコの字形状とするコの字断熱材71とする。
【0036】
図12に示すように、第1にバルブボディ4にコの字断熱材71を取付ける。第2にコの字取付板72をコの字断熱材71の上から取付ける。コの字取付板72は、開口部721が内側に細くなっているため、取り付ける際には板材を拡げてコの字断熱材71に取り付ける。コの字取付板72は開口部721の板材を拡げるため、図13に示すように反力Yが生じ、その反力Yでコの字断熱材71をバルブボディ4に押し付け、さらに、反力Yによりコの字断熱材71がヒータ40をバルブボディ4に押し付けることができる。したがって、コの字取付板72が開口部が内側に細くなっているコの字形状をしていることにより、取付の際に反力を生じさせ、ヒータ40をバルブボディ4により密着させることができる。
また、第1実施例に係る取付板42では、バルブボディ4に取付ける際には、計12個のネジ43を必要とするのに対して、コの字取付板72をバルブボディ4に取付ける際には、ネジ43を計8個使用するだけでよいため、取付に際するコストの削減を図ることができる。
【0037】
(第5実施形態)
第5実施形態に係る真空用開閉弁1Eを図14及び図15に記載する。真空用開閉弁1Eは、第1実施形態と比較して取付板の上方に取り付けられた遮蔽板に関係するものを除いて、第1実施形態の真空用開閉弁1と相違するところがないため、遮蔽板に関係するものを除いて他の説明を割愛する。
図14に示すように、真空用開閉弁1Eは、バルブボディ4、ヒータ40、断熱材41、取付板42、取付ネジ86、遮蔽板85、ネジ83を有する。
図15に示すように、取付ネジ86は、ボルト形状であるネジ頭86A及びネジ部86Bを有する。ネジ頭86Aの中心部には、雌ネジ861Aが形成されている。
遮蔽板85は、取付板82と同程度の大きさである。
【0038】
バルブボディ4にヒータ40、断熱材41、取付板42を取付けるまでは、第1実施形態と同様である。取付板42を取付ける際には、取付ネジ86を使用する。取付ネジ86を取付けた後、取付ネジ86のネジ頭86Aに遮蔽板85を取付け、ネジ83により固定する。ネジ頭86Aには、雌ネジ861Aが形成されているため、ネジ83をネジ頭86Aに固定することができる。ネジ頭86Aに遮蔽板85を固定すると、遮蔽板85と取付板42との間には、ネジ頭86Aの高さ分だけ空間が形成される。ネジ頭86Aの高さ空間をもたせることで、取付板42の熱が直接遮蔽板85には伝わらず、伝熱は放射熱のみになるため、製品外面の遮蔽板85の表面温度を下げることができ、作業者が取付板42に触れて火傷することを防ぐことができる。
また、ネジ頭86Aの高さ空間には、空気層が存在する。空気層は断熱材の役割を果たすため、外側(遮蔽板85側)へ伝わるよりも内側(バルブボディ4側)へ熱が伝わりやすくなる。空気層には、熱がこもるため保温効果を得ることができる。
【0039】
また、遮蔽板85は、バルブボディ4に取付けられた取付板42の上方のみに形成される。加熱したい部分は、バルブボディ4のところのみであり、アクチュエータ3は、放熱した部分である。したがって、加熱したいところのみ遮蔽板85で覆うことで、その空間に熱がこもり保温効果をあげることができる。また、放熱させたい部分には、遮蔽板85がないため、クリーンルームのダウンフローなどによって熱が奪われる。
【0040】
(第6実施形態)
第6実施形態に係る真空用開閉弁1Fを図16及び図17に記載する。真空用開閉弁1Fは、第1実施形態と比較して取付板の上に断熱材が取付けられていること形状及び断熱材の形状を除いて、第1実施形態の真空用開閉弁1と相違するところがないため、取付板の上に断熱材が取付けられていることを除いて説明を割愛する。
図16及び図17に示すように、真空用開閉弁1Fは、バルブボディ4、ヒータ40、断熱材41、断熱材付取付板92、取付ネジ93を有する。
断熱材付取付板92は、断熱材部92A及び取付板部92Bを有する。断熱材部92A及び取付板部92Bには、取付孔92Cが形成されている。
【0041】
バルブボディ4にヒータ40、断熱材41を取付けるまでは、第1実施形態と同様である。断熱材41の上には、断熱材付取付板92を取付ける。ネジ93を断熱材取付板92の取付孔92Cに挿入し、バルブボディ4に取付られることにより固定する。
真空用開閉弁1Fは、断熱材部92A、及び、断熱材41との2重の断熱材を有する。また、断熱材部92Aと断熱材41は、取付板部92Bを挟んでいる。したがって、ヒータ40から生じた熱は、断熱材41を有するため取付板部92Bには直接伝わらない。また、断熱材部92Aが外面に取付けられているため、取付板部92Bに伝わった熱は、外面には直接伝わらない。したがって、製品外面の表面温度を下げることができ、作業者が使用する時の安全性を向上させることができる。
【0042】
尚、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で色々な応用が可能である。
例えば、本実施例においては、断熱材を使用することとしたが、断熱材を用いずヒータを取付板のみで取り付けることもできる。
【符号の説明】
【0043】
1、1B、1C、1D、1E、1F 真空用開閉弁
2 弁部
3 アクチュエータ部
4 バルブボディ
7 第1流路
8 第2流路
9 弁座
10 弁体
40、70 ヒータ
41、71 断熱材
42 取付板
52 折返し取付板
62 L字取付板
72 コの字取付板
85 遮蔽板
92 断熱材付取付板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流路と第2流路とを連通する弁孔を有するバルブボディと、前記弁孔の外周に形成された弁座と当接又は離間する弁体と、前記弁体を駆動する駆動手段と、前記バルブボディの外壁面に設けられたヒータと、前記ヒータを前記バルブボディの外壁面に押圧する取付板と、前記ヒータと前記取付板の間に断熱材を有する真空用開閉弁において、
前記ヒータは、薄板状で柔軟性のある半導体ヒータであること、
を特徴とする真空用開閉弁。
【請求項2】
請求項1に記載する真空用開閉弁において、
前記半導体ヒータは、厚みが1.0mm以下であること、
を特徴とする真空用開閉弁。
【請求項3】
請求項1に記載する真空用開閉弁において、
前記断熱材は弾性力を有する弾性断熱材であること、
前記弾性断熱材により前記半導体ヒータを前記バルブボディの外面に密着させること、
を特徴とする真空用開閉弁。
【請求項4】
請求項3に記載する真空用開閉弁において、
前記取付板は端部に折り返されている折返し端部を有する折返し取付板であること、
を特徴とする真空用開閉弁。
【請求項5】
請求項4に記載する真空用開閉弁において、
前記折返し端部が同じ高さであること、
前記折返し端部が前記バルブボディに接触することにより、前記弾性断熱材を均一に押圧することができ、前記半導体ヒータと前記バルブボディとの密着度合いを均一にすること、
を特徴とする真空用開閉弁。
【請求項6】
請求項4に記載する真空用開閉弁において、
前記折返し端部が前記取付板の一端に形成されていること、又は、前記折返し端部が前記取付板の両端に形成され、前記両端の折返し端部の高さがことなること、
を特徴とする真空用開閉弁。
【請求項7】
請求項4又は請求項6に記載する真空用開閉弁において、
前記取付板が、前記弾性断熱材の押圧力を場所により変化させることにより、前記半導体ヒータと前記バルブボディとの密着度合いを変化させること、
を特徴とする真空用開閉弁。
【請求項8】
請求項3に記載する真空用開閉弁において、
前記取付板が、コの字形状をしているコの字取付板であること、
取付前の状態においては、前記コの字取付板の開口部が内側に細くなっていること、
前記コの字取付板の前記開口部を拡げた後に戻る反力により、前記弾性断熱材を押し付け、前記半導体ヒータと前記バルブボディを密着させること、
を特徴とする真空用開閉弁。
【請求項9】
請求項4乃至請求項8に記載するいずれか一つの真空用開閉弁において、
遮蔽板を有すること、
を特徴とする真空用開閉弁。
【請求項1】
第1流路と第2流路とを連通する弁孔を有するバルブボディと、前記弁孔の外周に形成された弁座と当接又は離間する弁体と、前記弁体を駆動する駆動手段と、前記バルブボディの外壁面に設けられたヒータと、前記ヒータを前記バルブボディの外壁面に押圧する取付板と、前記ヒータと前記取付板の間に断熱材を有する真空用開閉弁において、
前記ヒータは、薄板状で柔軟性のある半導体ヒータであること、
を特徴とする真空用開閉弁。
【請求項2】
請求項1に記載する真空用開閉弁において、
前記半導体ヒータは、厚みが1.0mm以下であること、
を特徴とする真空用開閉弁。
【請求項3】
請求項1に記載する真空用開閉弁において、
前記断熱材は弾性力を有する弾性断熱材であること、
前記弾性断熱材により前記半導体ヒータを前記バルブボディの外面に密着させること、
を特徴とする真空用開閉弁。
【請求項4】
請求項3に記載する真空用開閉弁において、
前記取付板は端部に折り返されている折返し端部を有する折返し取付板であること、
を特徴とする真空用開閉弁。
【請求項5】
請求項4に記載する真空用開閉弁において、
前記折返し端部が同じ高さであること、
前記折返し端部が前記バルブボディに接触することにより、前記弾性断熱材を均一に押圧することができ、前記半導体ヒータと前記バルブボディとの密着度合いを均一にすること、
を特徴とする真空用開閉弁。
【請求項6】
請求項4に記載する真空用開閉弁において、
前記折返し端部が前記取付板の一端に形成されていること、又は、前記折返し端部が前記取付板の両端に形成され、前記両端の折返し端部の高さがことなること、
を特徴とする真空用開閉弁。
【請求項7】
請求項4又は請求項6に記載する真空用開閉弁において、
前記取付板が、前記弾性断熱材の押圧力を場所により変化させることにより、前記半導体ヒータと前記バルブボディとの密着度合いを変化させること、
を特徴とする真空用開閉弁。
【請求項8】
請求項3に記載する真空用開閉弁において、
前記取付板が、コの字形状をしているコの字取付板であること、
取付前の状態においては、前記コの字取付板の開口部が内側に細くなっていること、
前記コの字取付板の前記開口部を拡げた後に戻る反力により、前記弾性断熱材を押し付け、前記半導体ヒータと前記バルブボディを密着させること、
を特徴とする真空用開閉弁。
【請求項9】
請求項4乃至請求項8に記載するいずれか一つの真空用開閉弁において、
遮蔽板を有すること、
を特徴とする真空用開閉弁。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2010−276096(P2010−276096A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−128635(P2009−128635)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】
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